大口よしのりの政策・実績

大口よしのり国会質問

大口よしのり国会質問

1995年2月20日

132-衆-予算委員会第四分科会-1号 平成07年02月20日

○大口分科員 新進党の大口善徳でございます。きょうは、少子化問題につきまして、その中でも乳幼児の医療問題を特に取り上げてまいりたいと思います。
私も、地元に帰りますと、乳幼児の医療の問題ではお母さん方からいろいろな御相談をいただきます。例えばアトピーの問題ですとかあるいは歯の矯正の問題ですとか、いろいろ乳幼児医療にお金がかかる、そういうようなことが子育てをしていく上において大変経済的な負担である、そのような声をいろいろなところで聞くわけでございます。
少子化につきましては、それこそ平成五年度におきまして出生数が百二十万人を切る、また出生率におきましても合計特殊出生率が一・四六ということになる、これは大変深刻な問題だと思います。ただ、昔のように産めよふやせよということではなくて、当然結婚しない方もふえてまいります。また、晩婚化にもなってまいります。また、お子さんを持たない、これも一つの自由でありまして、そういう権利も尊重しなければなりません。ただ、お子さんが欲しい、また、本当は三人欲しいのだけれども経済的な理由で二人しかつくれない、そういうような方につきましては、これから高齢社会がますます進展してまいるわけですけれども、いろいろな意味におきまして、高齢者の方々を支える、また二十一世紀の日本、また世界を担っていく方々の育児の支援というもの、これは国を挙げてしなければならない、そのように考えております。
そこで、大臣に、エンゼルプランにおける――エンゼルプラン、今、保育所の問題ですとかあるいは学童クラブ、保育の問題とか、そういうことに非常に重点を置かれている、それは当然大事なことでございましょう。乳幼児の医療問題につきましてはこれからだ、こういうふうに思います。出産につきましては一時金ということでかなりアップをしたわけでございますけれども、この乳幼児の医療問題につきましてエンゼルプランでこれからどう位置づけていかれるのか、このあたりについてお伺いしたいと思います。

○佐々木政府委員 ただいま、乳幼児の医療費との関連で子育て支援策ということのお尋ねがございました。
先に私からお答えさせていただきますと、今お話もございました少子化が進行しているわけでございますけれども、私どもとしましては行政面から、今先生のお話もございましたが、子供を持ちたい人が安心して子供を産み、育てることができるような条件整備をすること、これが大事だというふうな観点に立っておりまして、そういう意味で子育て支援社会づくりを目指しまして、昨年末、関係四省で、子育て支援の施策の基本的方向、いわゆるエンゼルプランを定めたところでございます。これにのっとりまして、子育て支援の策はいろいろな多岐にわたる課題がございますが、いろいろある中で、やはり少子化に対応するそれぞれの要因ごとの対応が要るわけでございますけれども、中で特に女性の社会進出というのは大きな流れでございますので、まずは、特に子育てと仕事の両立支援を緊急的に図りたい、そういったことを中心にいたしまして、緊急保育対策等五カ年事業ということで緊急対策を講ずることとしたところでございます。子育て問題はいろいろございますが、それぞれ事業の性格に応じまして着実な前進を図っていかなければならないと私どもは思っておるところでございます。
お尋ねのありました子育てのコスト、いろいろございますけれども、検討すべき事項はたくさんございます。中で、今ございました乳幼児の医療費の無料化の関係につきましては、私どもも、各都道府県においてそれぞれ地域の実情に応じたいわゆる単独の措置ということでの対応をしていることは承知をいたしてございますが、この医療費の問題につきましては、医療費保障全般の考え方の中で、やはり医療を受ける者と受けない者とのバランス等の観点から、基本的には受診者に一定の御負担をいただくというふうな考え方でいきますのが原則的な考え方だというふうに思ってございまして、今の時点で都道府県の肩がわり的な形で無料化というようなことは私ども難しいと考えでございます。
乳幼児につきましては、いろいろ課題がございますので、例えば難病の子供、あるいは未熟児、障害児といった特に手厚い援護が必要な児童のケースにつきましては、その治療に要する経費等について公費負担の措置を講ずる等、あるいは健康づくりの対策等を講ずるというようなことで対応を図っていきたい、こんなふうに考えているところでございます。

○大口分科員 大臣にその点についてやはりお願
いいたします。

○井出国務大臣 エンゼルプランは、その一環としてまず七年度から保育対策に重点を当ててスタートしようとしたゆえにつきましては、今担当局長が御説明したとおりであります。
それから、乳幼児の医療費の問題でございますが、これは一昨年でしょうか、遠藤和良議員からも御同様の御質問を当時の厚生大臣がいただいておるわけでございますが、これまた今局長が答弁してくれましたが、受診者に一定の御負担をいただく、これは医療を受ける者と受けない者との均衡という観点に立ちますものですから、これを原則としておるわけでございます。
しかし、難病とか障害児あるいは未熟児といった大変手厚い援護を必要とする児童の皆さんの特別の疾病や治療につきましては、もちろん既に医療費の公的負担を実施しているところでございますし、また、一歳半とか三歳でしょうか乳幼児の健康の保持増進を図るために母子保健施策も講じているところでありまして、今後ともこの面ではより一層の推進を図っていきたい、こう考えておるところであります。

○大口分科員 平成四年十二月現在における乳幼児の医療費の無料化の実施自治体というのは、中で実施していなかったところが東京都、京都府、大阪府、沖縄県、京都市、大阪市、この六つであったわけでございます。ところが、その後平成六年四月現在におきましては、沖縄県でもこれは実施をされまして、今の六つとも全部実施。その結果、平成六年四月現在におきましては、乳幼児の医療費の無料化実施自治体、四十七都道府県すべて実施をしている、こういうことでございます。これは地方において医療費の無料化というものの要請がいかに強いものであるかということを物語っていると私は思います。
また、医療費の無料化についての意見書というのがございますけれども、平成四年三月から平成六年十月まで、長野県、兵庫県、大阪府、群馬県、東京都、兵庫県、栃木県、神奈川県、佐賀県、岐阜県、この十都府県で意見書が出ておる。全国市長会におきましても、平成五年六月に決議要望書というのを出している。また、平成六年一月から十二月まで二十二件、平成五年一月から十二月まで九十七件、市町村議会において要望書が出ている。こういうことを考えますと、根本的にこの問題につきまして、地方のこれだけの要請がございますわけですから、やはり前向きに検討していただかなければならない、私はそう考えております。
ちなみに、老人医療費の無料化制度につきましては、三十八都道府県が実施して、それから国の制度が創設された、こういうことでございます。今度の乳幼児の医療費無料化につきましては、四十七都道府県全部実施しているわけでございます。そういうことから、国の制度としても考えるときではないか。特に、こういう少子化の問題が深刻になってまいりまして、確かに、受ける受けないで不均衡があるというようなことでございますけれども、お子さんを二十一世紀の担い手として国が全面的に支援していこうという観点でいくならば、その不均衡というものは、ある意味では合理性があると私は考えます。この点についてはいかがでございましょうか。

○佐々木政府委員 平成四年に比べて、ただいまでは全都道府県で何らかの形の無料化が行われているというようなことも踏まえ、あるいは子育て支援という観点から積極的な検討をすべきではないかというふうなお尋ねでございます。
私どもも、各都道府県がそういうことで独自にそれぞれのやり方でやっておるということは承知をいたしているわけでございますが、先ほども御答弁させていただきましたように、やはり医療費の保障のあり方という観点からは、今のような形で一定の御負担をお願いする、しかし、政策的に手厚い対応が要るものについては、これはぴしっと対応していくというふうな考え方が今の時点で基本的に大事なところではないかというふうに思っております。
もとより、子育て支援の関係につきましてなすべきことはいろいろございます。私どもも、多岐にわたる施策の中から、緊急度等をよく勘案しながら、計画的な施策の展開に努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。

○大口分科員 地方分権ということでございますけれども、地方に財源がないという状況の中で、地方自治体は精いっぱいこの少子化に立ち向かっているわけでございます。そういう点で、やはりここは政府といたしましても、しっかりと取り組んでいただきたいと思うのです。
今地方財政は非常に逼迫して厳しい折でございます。また、この一覧表を私も見ておりますけれども、全国でこの医療費の無料化、ばらつきがすごくあるわけです。その適用年齢が一歳未満から中学校卒業までというような適用年齢の格差がある。あるいは無料化の対象が一律でない。所得制限があったり、あるいは歯科が入っていたり入っていなかったり、あるいは入院に限定して通院は入れなかったりとかばらつきがある。自己負担金のあるものとないものがある。あるいは助成の方法ですが、現物給付と償還払いの相違がある。
これは地方自治体の独自性ということで、ある程度地方自治体の独自性にゆだねるということは大事なことですけれども、こんなに格差がありますと、同じ日本の国において、引っ越しをするたびに医療費の助成が違う。このようなことは、医療の全国的な、どこへ行ってもある一定の水準をサービスする、こういう国としての一つの要請からいきますと、これは問題があるのじゃないかな、こういうことも指摘をしておきたいと思います。
続きまして、特に歯科について、問題にしてまいりたいと思うのです。
この歯の問題につきましては、六歳児未満の乳幼児の場合に乳幼児加算というのがございます。基本診療の加算と特掲診療料の加算、こういう加算がございます。この加算につきましては、確かに、大人の方を治療するのに比べて、乳幼児を治療する、これは非常に何倍もいろいろな面で手数がかかるといいますか、そういうことからこの乳幼児の加算につきまして歯医者さんに技術評価として加算することは当然のことだ、私はこういうふうに思うわけです。しかし、今まさしく少子化でもって、乳幼児について考えていかなければいけないこういう状況の中で、この乳幼児加算ということによりまして、やはりお母さん方の負担というのは非常に大変なものがございます。
例えば、虫歯二本をグラスアイオノマーで充てんする、その場合の保険金額というのは二千四百円なのですね。また、同じ虫歯二本をレジン充てんした場合には三千円を取られる、こういうことなのです。これがお子さんが一人、二人、三人となっていきますと、これは大変な負担になってまいるわけです。乳幼児加算ということは、技術料として評価すべきであるという点においては全然異論はないのでありますけれども、こういう加算をした場合の自己負担につきまして、やはり国として考えていくべきではないかな、私はそのように思うわけです。
特に虫歯の有病率が、三歳以後急に多くなっている。それからまた、医療現場において、給料日前に子供の受診キャンセルが多い、そういう現場の声もあるわけです。そういうことからいきますと、この乳幼児加算について国としてどう考えるのか、お伺いしたいと思います。

○岡光政府委員 御指摘がありましたように、六歳未満のお子さん方の歯の治療の場合には、それだけ治療に当たっては成人の場合と比べれば手間がかかるものですから、加算の制度をつくっているわけでございます。御指摘がありましたように、グラスアイオノマーセメントによる治療の場合、例えば二本治療をして二日の診療がかかった、こういう場合には総点数は八百三十四点、一点十円でございますので、八千三百四十円になるわけでございます。子供の場合ですから一部負担割合は三割という計算になりますので、三割ということで計算をいたしますと二千五百円、こういうことになるわけでございます。
おっしゃいますように、加算というのは、治療
を行う医療サイドにそれだけのいわば手間暇がかかるものですから、それを配慮して行っているわけで、具体的に申し上げますと、初診料の場合に二百十点になっておりますが、その中には加算が四十点入っておるとかあるいは充てんをしたような場合の具体的な治療につきましては通常の場合の五割増しにしておる、こんなことになっておるわけでございます。
そういう場合の一部負担金についてどういうふうに考えるかということでございますが、私ども、一部負担の考え方としましては、一つは、実際に医療を受けた、そういう方がその医療を受けた程度に応じまして負担をしてもらう、こういう考え方で一定割合の、本人の場合ですと一割とかあるいは家族の場合ですと三割とか、そういうふうに一定割合を負担をしてもらうという格好になっているわけでございます。そのことがまたコスト意識の喚起にもつながるであろう、こう考えておりまして、一定割合を負担していただいておるわけでございます。
どうしてもこの点についてその負担ができない、こういうことを考えまして、その医療費の一部負担の負担の関係で家計が破壊されてしまう、こういうことになっては困りますので、例えば一月当たりで見まして総トータルの負担が、今のところ六万三千円を超える場合にはそれ以上は負担しないでいいですよ、例えば百万円の医療費がかかった場合に一割の一部負担ですと十万円かかりますが、それでも六万円で結構ですよというふうに、家計をこの医療費の負担で破壊しないような特別の高額療養費の制度なんかも持っておるわけでございまして、その際には、特に低所得者に対しましては特別の配慮をして三万五千円に負担を減じているわけでございます。
こういった一般的な対応で家計負担の軽減に配慮をすることによって、トータルとして対応したいというのが現在の私どもの考え方でございます。

○大口分科員 この点につきましても、非常に現場においてはこのことについては声が高かったものですからさらに検討をしていただきたい、私はこのように思います。
また、歯科の矯正治療につきましてお伺いをしたいと思います。
平成四年度の三歳児の歯科健康診査の実施状況によりますと、反対咬合あるいは上顎前突、要するに出っ歯といいますね、開咬、叢生、乱ぐい歯、こういう不正咬合の数が、受診児童百六万七千六百四十六人に対して、不正咬合の人数が十二万五千二百七十七人と、およそ一一・七%、一割を超える三歳児の受診児童がこういう不正咬合であると、こういう現実がございます。
これは、食生活ですとかあるいはかたいものを食べないですとか、あごが発達しないとかいろんな要素が考えられると思いますが、こういう不正咬合といいますのはこれから、矯正歯科学会でいろいろと研究をされていることと思いますが、身体に生理的、病理的あるいは心理的ないろいろな障害を及ぼすものである、こういうふうに考えるわけでございます。
例えば、生理的な障害としましては、そしゃく能力の低下、あるいは発言の障害発生、あるいはあご骨の成長、発育、こういうことに障害をもたらす可能性がある。また病理的な障害としましては、虫歯が発生しゃすい、こういうことがございます。かなり乱ぐい菌となりますと、これはもう磨いてもきれいに掃除できないというような状況もあります。あるいは心理的におきましても、これは子供が消極的になったり、それで社会的な適応性を失う、こういうおそれもあります。このような種々の深刻な影響というもの、これから研究される中でますますそういうことがはっきりわかってくると思います。
そういう点におきまして、諸外国においても、スウェーデン等では一種の公費負担医療制度というのがあるようでございますけれども、日本におきましても、こういう矯正治療について考えなきゃいけないと私は思います。
と申しますのも、その歯科の矯正治療を行いますと、保険の適用がありませんので、何十万、場合によると百万近くこれがかかるわけです。このことは、一般家庭におきましてお子さんの歯科の矯正をしたいという思いが、保険の適用がないために高額な医療費を負担しなければいけないということで非常に深刻であるわけです。経済的な事情をとるかお子さんのそういう歯科の矯正を選択するかそういうことで非常に悩ましい問題があるわけです。この点につきまして政府としてどのように考えておられるか、御答弁願います。

○岡光政府委員 御指摘がありましたように、現在のところは疾患に起因することが明確なかみ合わせの異常のケースに限りまして歯科の矯正治療の対象にしているわけでございますが、先生からお話がありましたように、単に歯並びをきれいにするというそれだけではなくて、やはり生活上いろいろ支障のあるケースもあるわけでございます。
その辺につきましては、私どもの診療報酬を扱う中央社会保険医療協議会のその席におきましても、疾患としての位置づけが明確でないもので、その歯科の矯正治療の対象の範囲にどの程度のものを加えていったらいいのかこれはひとつ今後の歯科医学の進歩等を踏まえまして中長期的に検討すべきではないか、こういう指摘も受けておりますので、そういった専門の検討の場等を通じながら、どのようなものを対象範囲にしていけばいいのか、これからも検討していきたいと思っております。

○大口分科員 今歯科矯正では、唇顎口蓋裂に起因した咬合異常または顎変形症による手術の前後における治療、こういうものが保険の適用になっているわけでございますが、それに近いものとかいうものも私はあると思うのですね。ですから、要するに疾患と直接結びつくようなグレーの部分というのがかなりあると私は思うのですね。こういうものについては早急に、その中長期的な検討というようなことじゃなくて、もう早期にこれは検討すべき課題じゃないかな、こう思うわけです。
実際に私の身の回りでも、三歳児で大体一割ぐらいの人が不正咬合という状況ですから、治療を要する者はそれからさらに減るわけでございましょうけれども、やはりかなりの数のお子さんについてこういうことが考えられるわけです。それを経済的な理由で放置しなきゃいけないという現実があるわけですよ。これから少子化、そして二十一世紀を担う子供を、子育てを全面的に支援していこう、こういうことからいきましても、これはやはりしっかりと考えていただかなければいけないと思います。この件につきまして大臣にちょっとお願いします。

○井出国務大臣 私も身近にそういう小さな子供たちが存在していることは承知しております。特にこの問題は最近また関心も高まってきたわけでございます。
いわゆる永久歯にかわるわけですが、こうした際に菌とあごとのアンバランスなどによってこういった状況が出てくるわけでございます。これがそしゃくあるいは身体にどの程度影響が与えられるのか、全身の健康に何らかの障害を及ぼしているのかどうか、正直言って私、まだ現時点で承知しておりません。日本歯科学会などの専門家の先生方にも少し御意見をお聞きしてみたいなと考えております。

○大口分科員 大臣から、そういう歯科学会の方の意見を聞いていくと。また、この矯正歯科学会の研究ということについてもやはりバックアップを厚生省としてもしていただきたい。そしてこの問題については、重要な課題ですし、中長期的なというようなそういう悠長なことを言っていられない状況でございますので、どうか前向きに考えていただきたいと思います。
もう一度大臣に、それについてお願いします。

○井出国務大臣 その方向でいきたいと思います。

○大口分科員 よろしくお願いいたします。
以上で、質問を終わります。

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