大口よしのりの政策・実績

大口よしのり国会質問

大口よしのり国会質問

2004年4月1日

159-衆-本会議-19号 平成16年04月01日

○大口善徳君 私は、公明党を代表して、ただいま議題となりました内閣提出の国民年金法等の一部を改正する法律案等の年金改革関連三法案につきまして、小泉総理並びに関係大臣に質問をいたします。(拍手)
公的年金制度は、持続可能な社会保障制度の根幹であり、私たちが生涯の生活設計を行う上で、既に所与のものとして老後の生活に欠かすことのできない基本的、中核的な存在となっております。
少子高齢化の本格的な到来、なかんずく団塊の世代がいよいよ年金受給者へ移行する重要な節目に当たって、持続可能な年金制度を確立するため、この通常国会で年金改革法案を成立させることが国民に対する立法府の責務であると考えます。(拍手)
年金制度改革については、さきの総選挙においても、大きな争点の一つとなりました。私たち公明党も、マニフェストで、百年安心の抜本的年金改革案を国民の皆様にお示ししました。その後、政府・与党において議論を重ね、国民の負託にこたえるべく、今般、内閣から法案が提出されたのであります。
他方、民主党の対応はどうでありましょうか。政府案は抜本改革に値しないと批判されるのは結構でありますが、責任政党を標榜するのであれば、早急に改革案をお出しになり、正々堂々と国会の場で議論すべきであると考えます。(拍手)
そもそも、民主党は、総選挙のマニフェストで、新しい二階建ての年金制度を提言されていました。それからおよそ五カ月が経過した現時点においても、具体的な改革案が待てど暮らせど出てこない。いまだ国民に示されていない。このことをどう説明されるのでありましょうか。(拍手)
ようやく近々、その案を示されると聞きましたが、その際、特に、新たな制度の見直しによって、年金制度の根幹である給付と負担はどうなるのか、また、財源として検討されている消費税はどのくらいの税率になるのか、もしも具体的な数値が明確に示されないものであるならば、それは国民に単なる幻想を抱かせるだけの虚構にすぎないのであり、全く対案の名に値しないことを、前もって申し述べておきたいと思います。(拍手)
こうした認識の上で、以下、順次質問をいたします。
まず初めに、今般の年金改革の意義であります。
これまで、五年ごとに制度改正して、給付と負担の見直しを繰り返してきました。また、その際に使用される将来人口推計などの見通しや前提の置き方に甘さがあったことや、年金運用の面での問題が国民の年金制度に対する信頼を損なう結果につながったとするならば、率直に反省すべきものと思います。
今般の年金改革の抜本見直しに当たっては、国民の率直な不安、具体的には、保険料はどこまで上がり続けるのか、給付水準は下がり続けるのではないか、将来年金は破綻し、我々はもらえないのではないかという声に対し、明確な回答を用意するものでなくてはなりません。また、その裏づけとなる試算についても、必要な情報を十分に国民に提供されるべきであります。
内閣提出の年金改革案によれば、第一に、将来にわたってモデル年金における給付水準は現役世代の平均収入の五〇%以上を確保するとしたこと、第二に、保険料率は段階的に引き上げ、厚生年金の最終保険料率は一八・三%、国民年金は一万六千九百円を上限とすること、第三には、基礎年金の国庫負担割合について二分の一へ引き上げる道筋をつけたことなど、将来にわたる持続可能な、安心、安定した制度改革が盛り込まれており、政府案はまさに抜本改革の名に値する法案なのであります。(拍手)
小泉総理並びに坂口厚生労働大臣に、年金改革法案の意義と、その骨格である給付と負担のあり方についてお伺いいたします。
ところで、小泉総理の年金一元化に対する発言が一部憶測を招いているようでありますが、一元化は、所得の把握とプライバシーの関係、自営業者などの負担の増大、移行期間の取り扱いなど多くの問題があって、将来腰を据えてしっかりと議論すべき課題であり、まずは抜本改革である政府案の成立を期することが重要であると考えますが、その真意について、小泉総理の明確なお答えをいただきたいと存じます。
また、既に年金を受給しておられる方については、その年金額は、物価の伸びがマイナスである場合を除き減額されないと認識しておりますが、この点、マクロ経済スライドとの関係とあわせ、坂口大臣の御答弁を賜ります。
長年の懸案であった女性と年金の問題に関し、夫が払った厚生年金の保険料は夫婦で共同して負担したものとみなすという規定が盛り込まれ、いわゆる専業主婦である妻の年金受給権が明確になったことは画期的なものと認識しております。改正案では、離婚時等の年金分割規定が盛り込まれましたが、今後さらに検討を進め、女性の年金受給権を確固たるものとしていく必要があると考えます。小泉総理の見解を賜ります。
高齢者雇用施策と年金の関係について質問いたします。
今般の高年齢者雇用安定法改正案において、六十五歳まで働き続けることが可能な環境が整備される一方、年金制度においても在職老齢年金制度を見直し、六十歳代前半の一律二割支給停止措置を廃止することとしたことは、時宜を得た改正であると考えます。
今後の定年年齢引き上げ、継続雇用制度の実現に向けた取り組みの方針を含め、高齢者雇用施策について、坂口大臣にお伺いいたします。
次に、国民年金保険料の未納についてであります。
この問題は、これを放置すれば世代間の助け合いという制度の根本を揺るがすものとなりかねず、看過することはできません。年金制度に対する国民、特に若年世代の理解を深めていくための努力を重ね、徴収対策の強化を図っていくべきであります。
徴収に当たっては税務当局との連携を図ることが重要であると考えますが、この点に関して、坂口大臣並びに谷垣財務大臣の答弁を求めます。
さて、今般の年金改革法案の重要な点として、これまでの永久均衡方式を改め、有限均衡方式を採用し、また、年金積立金の考え方を大きく転換させていることが挙げられます。
有限均衡方式の意義について、さらには、今般なぜ積立金の考え方を変更したのか、坂口大臣の御答弁をお伺いします。
また、年金積立金は、新たに設置される年金積立金管理独立行政法人において管理運用がなされるわけでありますが、これまで以上に、専門性の徹底と責任の明確化が図られ、安全かつ効率的な運用を行うべきであり、国民から見て、より透明性を高めていくことが重要であると考えますが、坂口大臣の見解を求めます。
これまで、年金保険料を原資として、大規模年金保養基地、すなわちグリーンピアなど数多くの福祉施設が設置されてきました。その当時、与野党すべてが附帯決議で賛意を表した経緯があるとはいえ、その後の社会経済状況の変化の中で、これら福祉還元事業としての必要性が希薄になってきていたにもかかわらず、的確な対応がなされてこなかったことについて、その政治、行政の責任は極めて重いものと考えますが、この点について、小泉総理の見解をお伺いします。
今回の法律案においては、グリーンピアは平成十七年度限りで廃止することとされていますが、さらに、その他社会保険庁が設置してきた福祉施設等についても、年金資金への損失を最小化しつつ、その廃止、売却を含めた徹底的な見直しを行うべきであると考えます。
また、今後、公務員改革の先鞭をつける意味からも、委託先公益法人への厚生労働省職員の天下りは行うべきではないし、役員の処遇の適切な見直しが必要であると考えますが、年金福祉施設等と委託先公益法人の見直しに向けた基本的考え方、進め方について、坂口大臣の答弁を求めます。
さらに、年金保険料を財源とする社会保険事務費の使途に、国民の強い批判があります。平成十六年度予算の執行に当たっては、使途を厳しく見直し、経費の一層の削減に努めるとともに、平成十七年度予算編成においても、この批判に真剣にこたえるべきと考えますが、小泉総理の見解を求めます。
次に、無年金障害者の救済措置についてであります。
先月二十四日、東京地方裁判所における学生無年金障害者訴訟において、国の立法不作為として違憲判決が出されました。政策論としては、無年金障害者の問題は、現在のように年金制度が成熟する前のいわば政策移行期において発生したものであり、強制加入である現行制度における未納問題とは別に、年金制度の枠組みの中で何らかの対策、救済措置を検討すべきであると考えます。
我が党としても、今国会中に所要の立法措置を講ずるなど、その救済に全力を挙げてまいりたいと思いますが、試案を発表された坂口大臣の御見解を伺います。
最後に、社会保険庁は、種々の批判を真摯に受けとめ、その反省に立って国民の信頼回復に努めるべきことは当然のこと、今後の福祉還元事業の清算に伴って、社会保険庁の組織・人員体制の抜本的な整理合理化を図っていくべきであると考えます。
年金行政の信頼回復に向けた決意とあわせ、小泉総理の認識をお伺いし、私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇〕

○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 大口議員にお答えいたします。
政府法案と年金の一元化に関する私の発言についてでございますが、今回の法案は、従来のように五年ごとに改正するのではなく、長期にわたって制度が維持できるように、給付の下限と負担の上限を定め、基礎年金の国庫負担割合を三分の一から二分の一に引き上げるとともに、経済情勢や人口構成の変化に応じて給付と負担を自動的に調整する仕組みを定めたものであり、抜本的な改正であります。
少子化、高齢化の急速な進行が見込まれる中で、今回の改正によって給付と負担の長期的な均衡を確保し、安定的な仕組みとすることにより、国民の年金に対する信頼を確保することは、先送りのできない課題と考えており、今国会で法案をぜひとも成立させていただきたいと考えております。
一方、厚生年金、国民年金、共済年金に関しての年金一元化は、従来から議論のあるところでありますが、その実現のためには、所得の捕捉の問題をどうするか、事業主負担をどう考えるか、税と保険料の負担をどう組み合わせるかなど、基本的に検討すべき事項があり、検討に一、二年を要し、実施には相当の期間を要する、制度の基本にかかわる問題であります。
このため、私は、今回の改正法案の成立を図ることとは切り離して、こうした基本的問題についても協議することは有意義である旨を申し述べたところでございます。
女性と年金についてでございますが、女性と年金にかかわる問題については、今回の年金制度改正案において、個人の生き方、働き方の多様化に対応した年金制度とする観点から、離婚時等における年金分割制度の導入を初めとする見直しを行うこととしておりますが、御指摘のように、女性と年金の問題については、今後とも検討を続ける必要があると考えております。
福祉施設についてでございますが、グリーンピアや年金の福祉施設についてさまざまな批判があることについては、これを真摯に受けとめ、反省すべき点は反省し、今後このようなことがないように改革を進め、国民の信頼を確保していくことが重要と考えます。
具体的には、年金制度の厳しい財政状況等を踏まえ、グリーンピアについては平成十七年度末までの廃止を決定しており、その他の年金福祉施設については、今後、年金保険料を投入しないこととするなど、そのあり方について徹底的な見直しを行うこととしたところであります。
社会保険事務費についてでございますが、年金事務費については、その使途についてさまざまな御指摘があることは承知しております。平成十六年度予算の執行に当たっては、経費の節減を図り、その使途について国民の信頼を損なうことのないよう努めていくとともに、平成十七年度予算における取り扱いについても、適切に検討していきたいと考えております。
社会保険庁と年金行政の信頼回復でございますが、年金制度を安定的に運営するためには、保険料の徴収や年金給付などの年金事業を担う社会保険庁に対する国民の信頼が不可欠であります。
このため、社会保険庁は、多くの批判を反省し、効率化、合理化の観点から事業運営や組織のあり方に関して不断の見直しを行うとともに、年金受給者の需要に的確に対応できる体制を確保するなど、国民の信頼確保に全力を挙げるべきものと考えております。
残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)
〔国務大臣坂口力君登壇〕

○国務大臣(坂口力君) 大口議員にお答えを申し上げたいと思います。
一つは、年金額の改定とマクロ経済スライドとの関係についてのお尋ねでございました。
今回の改正案で提案しております給付水準調整の仕組み、いわゆるマクロ経済スライドでございますが、既に年金を受給されている高齢者につきましても、ともに制度を支えていただくよう、物価上昇率から社会全体の年金を支える力に応じた調整を新しく年金を受給する者と同様にお願いすることといたしております。
その際には、高齢者の生活の安定にも配慮しまして、改定率の調整は名目額を下限とし、調整によって年金額を前年度の額よりも引き下げることはしないことといたしております。
高齢者の雇用施策につきましてのお尋ねもございました。
少子高齢社会の急速な進展を踏まえまして、高齢者が意欲と能力のある限り活動し続けることができる社会の実現を目指す必要がございます。その意味におきまして、高年齢者雇用安定法の改正案におきましては、六十五歳までの雇用の確保を図りますため、定年の引き上げ、継続雇用制度の導入等を事業主に求めることとしており、こうした取り組みを通じて、高齢者雇用対策の一層の強化を図ってまいりたいと考えております。
国民年金保険料の未納問題についてでございますが、国民年金第一号被保険者の保険料につきましては、平成十四年度で納付率が六二・八%となっていることは、まことに深刻な事態というふうに認識をいたしております。この事態に対しまして、制度に対する理解を深めていただき、自主的な納付に結びつけるようにしなければなりません。
また、未納者に対しましては、個々に催告状の送付、電話や戸別訪問等による保険料納付の督励、こうしたものを行います一方、コンビニエンスストア等におきまして保険料の収納をしやすくするようなことも取り入れていきたいというふうに思っております。しかし、こうしたことを踏まえましても、それが前進をしない場合には、強制徴収も実施してまいりたいと考えているところでございます。
社会保険庁と税務当局との連携につきましては、税務当局等からの所得情報の取得を円滑にするための規定を今回の改革案の中に盛り込んでおるところでございますが、効果的な納付督励、免除勧奨、あるいは強制徴収、こういったことにつきましては、未納者情報を税務当局に提供し、また税務当局からも情報をちょうだいできるようになればというので、現在、お話し合いを進めさせていただいているところでございます。
それから、有限均衡方式についてでございますが、長期間の給付と納付の均衡を図りますために、世代間扶養の考え方を基本としつつ、一定の積立金を保有し活用することによりまして、将来世代の急激な負担の上昇を抑える財政計画となっております。
これまでは、遠い将来にわたるすべての期間について財政の均衡を図ることとしておりましたが、遠い将来におきまして現時点では予測できないような大きな変化が生ずることも否定できませんことから、今回の改正案におきましては、現在から百年間の期間を考慮して検討をしているところでございます。
今後の年金積立金の運用についてのお尋ねもございましたが、より専門性を徹底した上で、責任体制を明確化していきたいと思っております。
新法人の長になる人は、民間から資金運用の専門家を登用いたします。また、新法人に学識経験者から成る運用委員会を置きまして、運用方針の検討や運用状況の監視を行うことにしたいと思っております。
グリーンピア業務でありますとか住宅融資業務は廃止をいたしまして、運用業務に特化をしたいと思っております。
第三者機関であります独立行政法人評価委員会による専門的かつ客観的な評価を受けることとし、その結果を役員の報酬等に反映させることといたしております。
年金の福祉施設及び委託先公益法人に関する御質問もございました。
年金の福祉施設につきましては、年金制度の厳しい財政状況や与党合意等を真摯に受けとめまして、年金の福祉施設につきましては、例外なくこれを整理してまいりたいと考えております。できるだけ年金財政に貢献できるようにすることが重要であると考えております。
施設の委託先公益法人につきましても、天下りの問題も含め、そのあり方について徹底した見直しを行っていきたいと考えております。
最後に、無年金障害者につきましてのお尋ねがございました。
この無年金障害者の問題につきましては、今、鋭意検討を進めているところでございますが、平成十四年の七月に私も試案を出させていただいたところでございまして、ぜひ今回この前進を図りたい、そのためにどうするかということの詳細な検討を与党とも進めているところでございます。
どうか、そうした状況にありますことをひとつ御理解いただきたいと存じます。(拍手)
〔国務大臣谷垣禎一君登壇〕

○国務大臣(谷垣禎一君) 大口議員にお答えをいたします。
国民年金保険料の未納問題についてのお尋ねがございました。
これにつきましては、厚生労働大臣からもお答えのあったところでありますが、政府全体として取り組むべき重要な問題と考えておりまして、社会保険庁と税務当局の連携によりまして、国民年金保険料の納付率を向上させるとともに、未納者に社会保険料控除の適用をさせないことを目指した対策を講じることとしております。
具体的には、社会保険庁が市町村の税務当局から未納者の所得情報の提供を受けて、納付督励や強制徴収あるいは低所得者に対する免除勧奨という未納者対策を行った上で、未納者情報を税務当局に提供する、それから、税務当局は社会保険料控除の是正にこれを活用することとしております。
現在、財務省と総務省、社会保険庁の間で、実務的な点について詰めを行っているところでありまして、この方策の実施によって、未納者ができるだけ少なくなるものと期待しております。(拍手)

大口よしのりについて
大口よしのりについて
活動記録
活動記録
政策・実績
政策・実績
リンク集
リンク集

▲このページの先頭へ