大口よしの活動記録

アクション 日々の活動から

アクション 日々の活動から

2005年2月17日

2月17日に行われた衆議院憲法調査会で、党を代表して、憲法の司法・改正・最高法規等について発言しました。

公明党の大口善德でございます。本日は、「司法・改正・最高法規等」について、公明党憲法調査会の昨年6月の論点整理を踏まえ、意見を述べさせていただきます。
日本国憲法は、憲法規範の実効性を担保するため、憲法保障制度を規定しています。権力分立制(41条、65条、76条1項)、違憲審査制(81条)、硬性憲法としての改正手続き(96条1項)、「法の支配」の原理を表す97条、前2条の形式的・実質的最高性から導き出される最高法規(98条1項)、そして、公務員に対する憲法尊重擁護義務(99条)等です。
わが党は、現行の日本国憲法は優れた憲法であり、その憲法保障制度についても、基本的には維持すべきものと考えております。
以下、主な論点につき、意見を述べます。

(1)「司法」について、憲法裁判所の導入については、わが党の論点整理で「司法消極主義に傾いている現在の最高裁判所のあり方を改善していくことが重要であり、憲法裁判所の設置までは必要ないのではないか」との指摘があり、私も同じ意見であります。
最高裁判所の現状に対しては、①多くの上告事件を抱え、多忙なため、憲法判断の責務を十分果たしていないように見える、②憲法判断に消極的で、憲法規定を正面に押し出すことなく、法律レベルで解決を図るケースが多い、③行政の一部局である内閣法制局に事実上憲法解釈が委ねられている、④時間が非常にかかり、迅速な救済ができない、ことなどの批判があります。
憲法裁判所導入論は、憲法判断の権限を憲法裁判所に集中することにより、明確かつ迅速に、統一的な憲法解釈を可能にし、判決の一般的効力をもつことにより、法的安定性に資すると主張します。しかし、憲法裁判所には根本的な疑念があります。すなわち、迅速な合憲判決が憲法議論を封じ込め、政権に早期のお墨付きを与えたり、スーパー立法府となって、国会の立法機能を弱体化させる「政治の裁判化」や、国会で議決した政策問題の逆転を狙い、政争を裁判所に持ち込む「裁判の政治化」を招き、また、具体的事件から離れた観念的な憲法判断に終始したり、人権感覚に優れた下級裁判所の憲法判断の機会をなくすることになるからです。
私は、当憲法調査会における北海道大学教授の笹田栄司参考人の意見陳述の指摘にある通り、違憲審査制の停滞の現状を最高裁判所の責任のみに帰するのではなく、立法による最高裁判所の機構改革、すなわち「上告審機能」と「違憲審査機能」を分離し、上告審機能を大幅に削減し、憲法判断が十分にできる環境整備をし、最高裁判所裁判官の任命システムについても、選任過程における透明性・客観性を確保するため、幅広く各界の意見が反映できる最高裁判所裁判官任命諮問委員会を設置し、内閣がその意見を尊重し、固定化した出身分野比率による選任や、膨大な上告事件処理のためのキャリア実務家中心の構成から、憲法問題に精通した学者等の専門家を積極的に活用する等の改革が必要と考えます。
さらに、最高裁判所裁判官の国民審査制度については、ほとんど形骸化しており、これを廃止し、より民主的な方法を検討すべきとの有力な考えもあります。最高裁判所の裁判官は、憲法判断に消極的で、顔が見えず、国民審査の判断材料となる情報に乏しいので、まずは、積極的な情報開示をすべきです。
今般の司法制度改革については、過度の事前規制・調整型社会から、事後監視・救済型社会へ転換しつつあるわが国の構造改革の中で、司法の役割がより重要度を増しているとの認識に立ち、国民の司法参加、利用しやすい司法制度等を実現するものであり、主権在民の精神からも憲法的意義のあるものです。特に裁判員制度は、国民が裁判員として裁判官とともに、事実認定と量刑を共同決定することによって、司法が一部専門家のものではなく、国民に広く開かれたわかりやすい信頼されるものとなり、国民の司法に対する関心を高め、違憲審査や、最高裁判所の裁判官国民審査の活性化にも寄与するものであり、国民の司法参加を憲法に明記し、立法上保障することも前向きに検討すべきと考えます。

(2)96条1項の改正手続きについて、わが党の論点整理では、「各議院の総議員の3分の2以上の賛成」の規定については、改正そのものを厳しくしているとの指摘も少数ながらありましたが、憲法改正の重さから妥当であるとの意見が大勢でした。また国民投票についても、改正の要件であることを前提とし、選挙人名簿を投票人名簿とすることが適切であるとし、国政選挙と同時に行われることの想定については、①政権を争う国政選挙と憲法改正の賛否を争点とする国民投票とはまったく性格が違うこと、②原則として自由であるべき国民投票運動と、規制がある選挙運動との調整が大変な問題であることから、同時実施については慎重論が大勢です。
わが党の太田昭宏委員も発言しているように、憲法改正案の内容をどのように周知させるかという問題は、国会での発議のあり方と大きく関わるものであり、これらの点を踏まえ、国会法改正を含む手続法制定の議論を行う必要があります。
憲法改正は、国法秩序の根幹をなす国の基本にかかわる重要問題ですから、しっかりとした議論をし、議会の合意形成に誠意をもって努力し、その過程を憲法制定権力を有する国民に示し、出来るだけ国民のコンセンサスをつくり、国民主権の原理に基づく国民投票によって民意を確認することが不可欠です。したがって、改正手続きの要件を緩和すべきではないと考えます。なお、高見勝利参考人の当調査会最高法規小委員会における発言、「憲法改正規定の単なる形式的ハードルの高低だけを見て、一国の憲法の改正の難易度あるいはその頻度を論ずるというのは、やや問題がある」との指摘は重要であり、憲法改正議論を改正手続きの要件の緩和に向けるのではなく、国民に対し、改正の必要性・合理性を十分説明し、国民的コンセンサスが得られる改正案を示すことが基本であると考えます。
またわが党は96条2項について、①現行憲法は優れた憲法であり、国民の間に広く定着していること、②諸外国では、時代の状況に合わせて憲法を補強する方式をとる国が少なくないこと、③同項の「この憲法と一体を成すものとして」という表現は、米国憲法のアメンドメント方式が基本となっていることから、わが党が主張する「加憲」はきわめて現実的な方式であると主張しています。

(3)条約と憲法との関係、国際協調主義と国家主権の移譲について、わが党の論点整理によれば、条約と憲法との関係については、あくまでも国の最高法規である憲法の方が条約よりも優位するとの見解に立つべきであると考えますが、条約をはじめとする国際法規の遵守など、現行憲法が定める国際協調主義の精神はより一層徹底していくべきとの指摘があります。なおこれに関しては、EU加盟国のような国際機関への主権の一部移譲なども将来的には検討する必要があるとの指摘もあります。

(4)99条の憲法尊重擁護義務の名宛人について、わが党の論点整理では、公務員に加えて、「国民」の憲法尊重擁護義務も定めることについて、党の議論として否定的でありました。憲法は、国家権力による国民の権利の侵害を防ぐための規範であるという「法の支配」立憲主義の立場から、私も同じ意見です。
なお、内閣法制局の法案提出前の厳格な事前審査や、議員立法における議院法制局の事前審査は、99条の憲法尊重擁護義務に基づくものです。
これにつきまして山花幹事からもお話がありましたが、後者、議院法制局の体制については、より強化すべきでありますし、また司法の違憲審査制度というものによって、最終的に憲法の判断をすることを積極的に行うべきあると考えます。

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