大口よしの活動記録

アクション 日々の活動から

アクション 日々の活動から

2005年3月12日

国連食糧農業機関(FAO)漁業閣僚会合及び森林閣僚会合に出席して

去る3月12日及び14日に、世界の水産や林業を巡る諸課題を議論するための漁業閣僚会合及び森林閣僚会合が、国連の農業関係の専門機関である食糧農業機関(FAO)の本部(イタリア ローマ市)において開催され、農林水産大臣政務官である私が政府代表として出席したので、その概要について述べてみたい。
漁業閣僚会合における議題は、インド洋津波被害からの復興支援及び違法・無報告・無規制(IUU)漁業問題の2つであった。
昨年末インドネシアを中心に多くのインド洋沿岸諸国を襲い、34人の邦人を含む多数の尊い命を飲み込んだ未曾有の災害からの復興に関しては、被災国の閣僚から、被災地の切実な現状報告と一日も早い復興のため支援を求める声が相次いだ。こうした声に応え、私は、我が国が、同じアジアの一員として人材面、技術面、そして資金面などあらゆる面において最大限の支援をすでに実施し、また、今後も被災国の復旧・復興のために積極的な役割を果たしていくことを表明した。また、FAOに対し、被災地域の持続的漁業の復興支援に十分役割を果たすよう求めた。
また、FAOによると、世界の水産資源の約6割が乱獲傾向にあり、我々日本人の食卓に欠かすことのできないマグロ類などの資源枯渇が懸念されている。増加の一途をたどる世界人口を将来にわたって養うためにも、水産資源の適切な管理と持続的な利用は地球規模で取り組まなければならない課題である。FAOでは、1995年に「責任ある漁業のための行動規範」を採択するなど世界の水産資源の持続的な利用に向けた取組を進めている。しかしながら、一部の国や地域による違法な操業(IUU漁業)はなくならず、世界の水産資源を脅かす憂慮すべき問題となっている。
こうしたことから、私は日本政府代表として、過去10年間にIUU漁業撲滅のための多くの条約や計画が策定されたにもかかわらず効果を上げていないことを指摘し、加盟国が「責任ある漁業のための行動規範」等の着実な実施により、過剰漁獲能力問題を解決する必要があるとの演説を行った。また、特にマグロ類については、世界のマグロ地域漁業管理機関の合同会合を2007年初旬に日本で開催することを提案し、これが合意された。
これら2つの議題に対し、漁業閣僚会合では、被災国自らのリーダーシップにより漁業資源の持続的利用など前述のFAOの行動規範に沿った責任ある漁業活動が確保されるよう国際社会が協調して復興支援を行っていくことが謳われた「漁業及び津波に関する2005年ローマ宣言」並びに過剰漁獲能力問題解決に向け国際社会が1つになって取り組む姿勢を明記した「IUU漁業に関する2005年ローマ宣言」が採択された。
一方、森林閣僚会合については、1992年ブラジル・リオサミットで合意された「持続可能な森林経営」の推進が議題の中心となった。リオサミット以降様々な国際的な枠組みの中で取組が進展しているものの、世界の森林の減少・劣化のペースは衰えておらず、特に熱帯地域においては、1年間に1200万haもの森林が減少している。こうした中、持続可能な森林経営の達成に向けた今後の国際協力の枠組みの在り方に関し、加盟各国間の共通認識の醸成と合意形成の促進を目的として本閣僚会合が開催されることとなった。
私は日本政府代表演説の中で、持続可能な森林経営の達成に向け、国際社会が一致協力して取り組むべき重点課題を提案した。その提案とは、一つには、各国が持続可能な森林経営の基準・指標を適用し自国の森林経営・森林政策の実態を明らかにするとともに国内の森林に関する国内法律の遵守と違法伐採の防止等適切な政策が策定実施されること、もう一つは、持続可能な森林経営を著しく阻害する違法伐採問題に対処するため、木材生産国における違法伐採への取組に対する国際的な支援を強化することである。
本閣僚会合の最後に採択された「森林に関するローマ宣言」では、各国は国内における森林法の施行とガバナンス(統治)を強化するとともに合法的に伐採された木材の貿易に向けた国際協力を推進することが謳われ、また、FAOに対しては各国における林産物の違法な生産を防止するための取組を支援するよう要請がなされ、日本政府の主張が強く反映された形となった。

さらに、マリ、ニカラグア、モーリタニア、ギニア・ビサウ、セネガルの各国の漁業担当大臣、及びインドネシアの林業大臣と二国間会談を行った。漁業関係閣僚との二国間会談の主な議題は、本年6月に韓国ウルサンで開催される国際捕鯨委員会年次会合において商業捕鯨再開へ向けた日本の主張への支持を要請すること及び、本年秋に向けて議論されている国連改革に関連して、安全保障理事会における我が国の常任理事国入りへの支持と協力を要請することであった。インドネシアの林業大臣とは違法伐採撲滅に向けた二国間の協力関係などに話が及んだ。
また、ジャック・ディウフFAO事務局長とも会談し、インドネシア・スマトラ島沖地震・津波の復興に対するFAOのイニシアティブや我が国の貢献、FAOにおける邦人職員の積極的な登用などについて意見交換を行った。

限られた時間の中で二つの閣僚会合といくつもの二国間会合をこなす慌ただしいスケジュールではあったが、とかく国内からは見えにくい日本の外交や国際貢献を最前線で体感できたことは大変に意義深いものであったと思う。

大口よしのりについて
大口よしのりについて
活動記録
活動記録
政策・実績
政策・実績
リンク集
リンク集

▲このページの先頭へ