大口よしのりの政策・実績

大口よしのり国会質問

大口よしのり国会質問

2006年11月2日

165-衆-日本国憲法に関する調査…-4号 平成18年11月02日

○大口委員 公明党の大口善徳でございます。
まず、国民投票の運動規制の中で、選挙運動とそれから国民投票運動ですね、これに対して、どう違うという認識を持っておられるのか。そしてそこから国民投票運動の規制の考え方、これもやはり選挙運動とは違うんだろう。まずその基本についてお伺いしたいと思います。

○赤松(正)議員 選挙運動と国民投票運動の違いについて、そして、そこから出てくるところの規制についての原則的な考え方はどういうことかという大口委員の御質問です。
選挙運動は人を選ぶ、政党を選ぶ、こういう選挙と、それから国民投票運動の場合は国家の基本的なありようというものを選択するということでございますので、この二つの運動の性格には今申し上げたように大きな違いがまずあると思います。
そういう上において、国民投票運動の方は、主権者である国民の政治的意思の表明そのものでありますので、国民一人一人が自由闊達に萎縮することなく意見を表明する、闘わせるということが必要であると考えております。したがって、国民投票運動については原則自由で、規制はあくまで投票が公正に行われるための必要最小限のものにとどめておきたい、そんなふうな考えで立案をした、こういうことでございます。

○大口委員 そういうことからいきますと、公選法と国民投票法をパラレルに考えるというのは私はいかがなものかなと。やはり、国民投票は国民投票法の中でその運動というもののあり方を考えていくべきではないかと思います。
そういう点で、与党案の百一条に、表現の自由、学問の自由、政治活動の自由、その他日本国憲法の保障する国民の自由と権利を不当に侵害しないように留意しなきゃいけない、当たり前の規定だと言う方もいらっしゃいますけれども、非常にこれがしっかりと保障されなければならない、こういうふうに考えるわけであります。
そういう中で、特定公務員の範囲につきまして、与党案と野党案で違うわけであります。
私は、やはり特定公務員の範囲も限定をすべきであると。そういうことからいきますと、投票事務の関係者あるいは中央選挙管理会の委員等、これに限るべきではないか。裁判官、検察官、公安委員会の委員、警察官、こういう人に対する規制というものは、この規制というのが投票の公正を図っていくものだということからいきますと、投票の公正に対して具体的に危険性がある場合に限るべきじゃないか。そういうことからいきますと、この裁判官以下警察官までを対象にするのはいかがなものか、こう思うわけです。
一方で、会計検査官、収税官吏それから徴税吏員、こういうものも公選法上は規制の対象になっているわけですが、これは外しているわけですね。人によっては警察官よりも徴税官吏の方が怖いというような方もいらっしゃるわけでありますから、ここに区別をするのもいかがなものかな、こういうふうに思うわけでございます。
この点につきましては船田先生も、性善説に立つことも考えなきゃな、こうおっしゃっておりましたけれども、私の疑問点といいますか、特に運動主体の制限のない国が、皆さんが視察されたイタリア、デンマーク、エストニア、オーストリア、スロバキア、スイス、ポーランドでは制限がない、こういうこともありますので、この辺についてのお考えをお伺いしたいと思います。

○赤松(正)議員 今、大口委員御指摘の、中央選挙管理会の委員等はいいけれども、それ以外、裁判官以下については禁止の対象に入れるべきではないんじゃないのか、あるいはまた、会計検査官や収税官吏等は外しているけれども中には怖い人もいるという話でございましたけれども、まず基本的には、ほかの一般国民ではおよそなし得ないというか、大きな影響をもたらす存在としての裁判官、検察官、公安委員会の委員、警察官、こういう位置づけをしているということだと考えております。
会計検査官や収税官吏、徴税吏員というのは、国のありようというものを決める今回の国民投票法といった場合、直接の関係性が弱い。それに対して裁判官とか検察官等につきましては、先ほど挙げられた分については、より国の基本的なありようというものに関して影響力の強い存在、こういうことから挙げているわけでございまして、投票が公正に行われるための必要最小限の規制としての国民投票運動を禁止する、こういうことの位置づけをしたわけでございます。
海外等の実例を挙げての御質問でしたので、そのくだりは保岡先生にお願いします。

○保岡議員 昨年とことし、直接視察した諸外国というのは、オーストリア、スロバキア、スイス、スペイン、フランス、ポーランド、イタリア、デンマーク、エストニアの九カ国で、先ほど先生も言われたように、これらの国のうちで公務員の国民投票運動を禁止しているとの説明を受けた国としてはスペインとフランス。
しかも、スペインにおいては、現職の軍人、警察官、判事、検事及び選挙管理委員の国民投票運動は禁止されているとの説明を受けた。これは日本の与党の提案に少し近いものでございます。それからフランスにおいては、公務員による投票用紙や政見発表書等の配布が禁止されているとの説明を受けました。これはちょっと我々の規制とは異質の規制ではないかと思います。
昨年、本年、直接視察した諸外国のうちで、御指摘のような公務員の地位利用による国民投票運動を規制している例は他に見当たらない。
ただ、昨年スペインを訪問した際、フンコ政治憲法研究所長からちょうだいした、欧州評議会の独立の諮問機関であるベニス委員会の報告書によりますと、アルメニアにおいては公務員の投票運動の禁止はその権限を用いる場合に限定されているようである。地位利用みたいなものかなとは思いますが。ただ、裁判官、警察官、軍人については投票運動が絶対に禁止されている。これは、先ほど来与党の提案にあるような理由が基礎になっているのではないかと思っております。

○大口委員 それから、公務員、教育者の地位の利用について、今アルメニアという話もされましたが、これについては一つは船田先生も前回の答弁で、要するに、大学の先生が例えば憲法改正に賛成しないと単位を上げないとかいうことがありました。あるいは、例えば生活保護で公務員が生活保護についても厳しくやるよ、こう言うようなこと。あるいは補助金をもう打ち切るよと。
こういうような職務権限に関してやる場合は、公務員がその職権を濫用して人に義務のないことを行わせ、または権利の行使を妨害したとき、こういう場合は刑法の公務員職権濫用罪に当たるわけですね。ですから、非常に悪質なものはこういうふうになってきます。これは百九十三条です。また、私立学校の場合は二百二十三条の強要罪とか、悪質なものについてはこういう形の規制があるということとともに、また、公務員、教育者の地位の利用について、公職選挙法上の判例は事例があるんですけれども、国民投票法における解釈と公選法における公務員、教育者の地位の解釈が本当に同じでいいのか、私はこれもあると思うんですね。
そういうことからいきますと、本当に、どういう場合に投票の公正が侵害されるのかということでもっと限定をすべきではないかな、こういうふうに思うわけでございます。
そして、私はまた、公務の中立性とか、こういうことについては国民投票法で規制するものではないんじゃないかなと考えるんですが、いかがでございましょうか。

○船田議員 お答えいたします。何度も私の名前を挙げていただき、ありがとうございます。
私どもは、特定公務員の運動禁止、一般公務員、それから教育者の地位利用による運動の禁止ということで書きました。これは、いわゆる公務員法による政治的中立性確保という観点とは別でございまして、あくまでこれは投票の公正さを担保するために、このような運動禁止あるいは地位利用による運動禁止という取り決めを考えたわけでございます。
しかしながら、今、大口先生御指摘のように、いわゆる公務員法、それから一般の刑法で処罰できる部分というのは当然あると思っております。もちろん、公務員の政治的中立性を確保するために公務員法というのはありますから、やはり法の趣旨がちょっと違っておりますので、そのあたりは少し整理をしなければいけないと思いますが、実務上というか実態上、地位利用というものは限定することがなかなか難しい、あるいは、このことがさらに国民運動を萎縮するということにつながるとすれば、公務員法によって対応する。国民投票運動の体系ではなくて、公務員法や一般刑法の分野である意味の規制を行うということも、これは法的には考えられると思っております。
ただ、公務員法を適用いたしますと、国家公務員法と地方公務員法では実は少しずつ内容が違っているということがございまして、例えば国家公務員法におきましては国民投票そのものというのは政治的な行為には該当しない、こうなりますし、逆に地方公務員法においては公の投票も政治行為であるというふうに規定されちゃっておりますので、国民投票もその字面からすれば公の投票ということで政治的な行為として認定されちゃう、こういうことになります。公務員法を適用する場合の問題点、これはばらつきがある、こういうことでございますので、このあたりはやはりきちんと調整をしなければいかぬというふうに思っております。

○大口委員 次に、組織的多数人買収罪につきまして、事後買収を外すとか、かなり今回与党の案でそういう配慮はしているわけでありますけれども、例えば、影響を与えるに足りる金銭とか物品ですとか財産上の利益とか、影響を与えるに足りるということに非常に解釈の幅があるというような構成要件上の問題もあるのではないかな、こう思っております。この構成要件をかなり厳格に限定した、こういうことについての御説明。
それから、民主党に対して、枝野先生も、十億使ったりというような場合とか、投票の公正さへの信頼が揺らぐ場合もあるので、買収罪について検討はされるのではないかなと。ただ、どう書くかということでしょうが。ただ、スイス、スペイン、デンマーク、オーストリアでもこういう買収罪というのはあるわけでありまして、そこら辺についての御見解をお伺いして、私の質問とさせていただきます。

○葉梨議員 お答えをいたします。
公職選挙法を、このまま罰則を引き写したということではないということは最前から私どもの答弁者は申し上げているわけなんですけれども、実際のところを言いますと、公選法の買収罪に関する規定というのは相当広いものがあって、当選を得または得さしめない目的をもって選挙人または選挙運動者に対して財産上の利益を供与する、これが構成要件になります。そしてさらには、選挙運動者に対する報酬も買収罪の適用になるし、また今、大口委員からもお話がありましたとおり、事後買収、そういったものも買収罪の要件になる。
基本的に、最近の例からいいますと、運動買収という形で検挙事例がある例が多いというふうに承知しているんです。さすがに票を買うという行為での買収罪の摘発というのは大分減ってきているようなんですけれども、さはさりながら、国民投票運動というものの構成を考えたときに、本当にコアの部分となります票を組織的に買うような行為、これについてはやはり構成要件を厳格にして、罰則でもって担保することが必要じゃないかというふうに考えています。
そこで、与党案ですと、まず指揮命令系統などの組織性、それから、多数人に対して、しかもそれは投票人に対してですから投票買収。そして、それは反対または賛成という勧誘行為の対価としての、それに財産上の利益があると言うに足りるような、そういったようなものの利益を供与するという形になっています。
そして、先ほど船田委員から申し上げましたように、この財産的利益というのについて、さらに流通性あるいは財貨性、そういったものをどういうふうに持たせるか、あるいは、これは解釈でいくのか立法措置でいくのか、そこら辺のところは検討しているということですけれども、少なくとも相当厳格な構成要件による縛りがかかっているということは御理解を願いたいと思います。

○鈴木(克)議員 それでは、私の方から御答弁させていただきます。
我々も、一票をお金で買うような行為が国民投票において許されるものではないというのは十分考えておるわけであります。しかし、国民投票運動と政治的意見の表明との区別が明確にできない、主権者たる国民の政治的意見の表明の機会を最大限保障しつつ本当に悪質なケースだけを対象とする構成要件を設けることは困難であるというふうに現時点では考えておるわけであります。
一方で、国民投票においては一億の国民が投票権者であり、その過半数を得なければ買収が意味を持たない、そのような買収を秘密裏に進めるということは非常に困難である、明るみに出れば社会的に十分な制裁を受ける、このように考えております。また、個人の当落を争う選挙とは異なって、国民投票においては個人的利害から買収行為へつながる危険性というのはそれほど高くないのではないかな、このようなことも考えております。したがって、自由闊達な議論を萎縮させるリスクをも勘案すると、仮に対価性が明らかなケースであったとしても、メディアを初めとする言論による淘汰によりやっていくべきである、このように実は考えております。
最後に、こうした判断に基づいて、公選法の買収罪や、与党案の組織的多数人の買収罪の規定について、さらに要件を限定し、自由な国民投票運動に対する萎縮効果を与えるとの懸念が払拭され、かつ、最も悪質な行為のみを対象とするアイデアがあるならば検討の余地はないではない、このように現段階では考えておりますが、我々の党の案の方がすぐれておるのではないのかな、このように考えておるところであります。

○大口委員 以上で終わります。ありがとうございました。

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