大口よしのりの政策・実績

大口よしのり国会質問

大口よしのり国会質問

2007年4月5日

166-衆-日本国憲法に関する調査…-2号 平成19年04月05日

○大口委員 本日は、百地章公述人、庭山正一郎公述人、小林庸平公述人、そして田辺初枝公述人、まことに貴重な御意見を賜りましてありがとうございます。
私の方から質問をさせていただきます。
一つは、まず百地公述人、そして庭山公述人に憲法問題予備的国民投票についてお伺いをしたいと思います。
三月二十二日の公述人であります江橋教授が、
憲法改正に際しては、早い段階で、改憲作業に入ることの是非と、その場合にどの部分をどのような方向で改正するべきなのか、一度は国民の意向を聞くべきであろうと考えております。こうした最初の段階の手続を省略して、国民の意向も聞かずに議会内で改正の作業を始め、改正案ができて初めて国民の同意を求めるというのは、いかにも一方的で不十分ですし、その結果、国民の意向との間にそごが生じ、肝心の国民投票でせっかくの改正案が否決される危険性も高くなります。
私は、憲法改正問題を選挙の争点にすると、憲法問題以外のさまざまな思惑が絡みついてしまい、冷静で理性的な判断がしにくくなるという欠点があると思います。それを避けるためには、独立した予備的な国民投票を行い、
云々とあるわけでございますけれども、この点につきまして、百地公述人は国民投票の対象を憲法改正に限定したのは当然であるということでございますが、こういう憲法問題予備的国民投票についてどうお考えなのか。
そしてまた、庭山公述人につきましても、ただいまの中では御意見を述べられておりませんけれども、三分の二以上の多数の賛成をまず一回得た上で、総選挙の後、再度三分の二以上の賛成を得て初めて発議をすべきだ、こういう御意見も紙で述べておられるわけでございますけれども、これとの関連を含めてお伺いしたいと思います。

○百地公述人 憲法問題についての予備的国民投票というお話でございました。
私も、この委員会のニュース等は見ておりますし、必要に応じて議事録は読んでいますけれども、そのときの議論をきちんと把握しておりませんのでおっしゃっていることがよくわからないんです。私は、さっきも申し上げましたように、国民投票制度そのものに対して疑問を持っておりますから、本来すべきではないと思っておりますし、また内容も、仮にやるとしても何をやるのか。つまり、具体的な憲法問題、いろいろな争点を挙げてそれについて賛否を問うのかとか、やり方についても大変なことになると思いますし、一般的な憲法問題についての予備的国民投票といっても非常に難しいのではないかとも思います。
それからまた、そのような投票を行うということは、実は国会の審議、発議に対して予断を与えるおそれがあるという意味で、私はすべきではないというふうに考えております。

○庭山公述人 今御紹介があったように、国会の発議について一工夫をしろということを人権協会で御提案申し上げています。
その趣旨は、憲法というものが安定的な形で改正されるというのは国民の一大事業でございます。この事業にできるだけ多くの方がみずから参加をするという形をとりませんと非常に不安定な憲法改正でしかなくなる、これが基本の発想でございます。
そのためにいろいろな手段が考えられますが、私どもは総選挙でそれを争点化するのが一つのやり方だということを申し上げているわけであります。そういうことによって、国民がその問題をみずからの問題として、結果的には安定的で円滑な形で憲法改正ができるんじゃないかという趣旨でございます。
ただ、それは一つの方法でございまして、では、例えば争点化しないでやるときはどうするんだ。そのときには、先ほど私どもが申し上げたような形、例えば司法審査にそれを付するというふうな形で間接的に国民のその事業に対する注意を喚起するとか、いろいろな形があると思います。先ほどおっしゃられました事前型の予備投票というのは、そういう意味で私は基本的に好意的に評価しております。
ただし、アンケートというのは設問の仕方そのもので誘導的になります。そんなアンケートには答えられないよねというふうな愚劣なアンケートも世間にはたくさんございます。ですから、改正をすべきかどうか、あるいはどこかに改正すべき点があるかというふうな設問そのものが大変政治的な色彩を帯びざるを得ないということもございますので、その技術的な処理に関しては大変な工夫が要る。それこそ相当この委員会でまたもんでいただかなくちゃいけない一つの問題じゃないかというふうに思っております。

○大口委員 今、庭山公述人から司法審査ということも触れられました。私、公明党でございますけれども、もちろん憲法の基本原理、三原則をしっかり守っていく、そしてそれが憲法改正の限界であるという部分においては意見が全く一致しておるわけでありますし、この委員会でもそういうコンセンサスを得ているわけでありますが、その手法として、今具体的に御提案がありました司法審査というものを発議があった段階で最高裁でやっていく。
ただ、これは発議の段階ですから、要するにまだ法規範が成立していない、案の段階でありますね。その段階で最高裁が審査をする。これは、大体今の通説は具体的争訟性というものが前提になっておって、具体的な事件の中で憲法判断していくということであるわけですけれども、今公述人がお考えになっているものは、最高裁に抽象的な審査権、しかもまだ法規範が成立していない段階で審査をする権限を与えるということであります。こういうことが現行憲法の中で認められるものなのかどうか、お伺いしたいと思います。

○庭山公述人 私は百地先生と違いまして憲法そのものの研究者ではございませんので。ただし、そういう議論そのものが実は余り今までされていなかったんじゃないかというふうに思っております。学者の方の中には、具体的な争訟性がなくても裁判所が取り上げることができるという説もあるようでございます。
先ほど申し上げましたように、手続の安定ということを考えますと、むしろ事前に司法審査でクリアしておく方が、国民投票の後になってたくさんの裁判が出てくるよりはよほど賢明ではないかというのが私の考えでございます。

○大口委員 次に、投票権者の投票権の年齢につきましては、小林公述人、大変すばらしい活動をされているということで敬意を表したいと思います。そして、やはりそういう小林公述人のような方の地道な努力というものが今回の投票年齢を下げることにつながっていると思っております。公明党も選挙年齢を十八歳にということはマニフェストにも書かせていただいているわけでございますけれども、この点につきましてちょっとお伺いをしたいと思います。
それで、世界の常識は十八歳以上であるということでございます。そして、公述人は、義務教育を終えたら、十六歳でもいいのではないか。そして、長野県の平谷村については、住民投票で、十六歳以上の方が非常に高い意識を持って、投票率が成人を上回って、ちゃんとやられたという御報告もいただきました。
ただ、憲法の改正案についての国民投票というものと、いわゆる公職選挙法の人を選ぶ場合の投票年齢と、そしてまたこういう住民投票というもので年齢も違ってくるのではないかと。特に、子供というのは余り親の言うことを聞かないということで、親の影響を受けるかどうかわかりませんが、低年齢ですといろいろな形で影響を受ける。そして、その影響も、いい影響であればいいんですが、誤解を生じたり、あるいは影響を意図的に与えようとする勢力とか、そういうことも考えられます。そういう点で私は世界標準の十八歳以上がいいのではないかと思っておりますけれども、公述人の御意見を賜りたいと思います。
そしてまた、この件につきまして、田辺公述人はお子さんを育てられて、そして子供たちもよく御存じなわけでありますので、投票年齢の問題について御意見を賜りたいと思います。

○小林公述人 まず、今回与党が修正案を出された案と民主党の案、それぞれにおきまして、現行の選挙権年齢二十歳よりも引き下げた形で御提案いただいていることに関しましては、私は非常に高く評価させていただきたいというふうに考えております。
先ほど御質問の件で、まず一点目として、国民投票法案もしくは住民投票、一般の選挙といった形で年齢が変わってくることもあり得るのではないかというお話もございましたが、これは私はあり得るのではないかというふうに思っております。
例えば、現在では無理ですけれども、地域の問題であればもっと身近に感じることができると思いますので、国政の選挙の年齢よりも下げるということはあってもいいと思いますし、四年前に平谷村を訪れたときに村長さんがおっしゃっていたのは、住民投票は一つのシングルイシューの投票である、であるから、より若い人でも理解が容易であるために、より低い年齢の方でも参加してもらうことは、こちらがしっかり環境整備をしてあげれば大丈夫だというお話もありましたので、年齢自体が変わってくるということは考えられるのではないかなと。
もう一点の、逆に、でも若過ぎると親の影響を受ける可能性もあるのではないかというお話もあったと思うんですが、では本当に大人が周りの人に全く影響を受けずに自分で考えられているかといったら、そうでない人もたくさんいるというのは一方であるかと思います。
どこで線を引くかというお話になるかと思うんですが、一つ、私たちが義務教育年齢終了時の十六歳という形で線を引かせていただいたのは、やはりそこは社会として、それまでの段階でしっかりと判断をできる機会、トライ・アンド・エラーをできる機会をしっかり保障していくことによって、みずからの力で考えて判断するような、民主主義を支える人々を育てていく責任があるのではないかと。今それができているかといえばまだまだ私は不十分だと思いますが、そういったことを整備して、その上でなるべく引き下げていくということが必要ではないかという意味で、私たちは十六歳という形で訴えさせていただいているということでございます。

○田辺公述人 年齢については、私は十八歳がふさわしいと思います。
ただ、今の子供たちを見ておりますと、諸外国と比べまして自分の意見をきちっと言えない。なぜかというと、やはり学校教育がそういう教育内容になっていないからではないかと思うんです。受験のあり方もかなり問題だと思うんですけれども、やはり暗記に頼る、先生方から言われたことを丸暗記するような学習方法になっていると思うんですね。
それで、戦後、学生評議会というのが子供たちの間にあったということをちょっと伝え聞いたことがあるんですけれども、やはり戦後の教育というのは国民主権、基本的人権を学ぶ、憲法の観点からそういった教育内容があったんだと思うんです。子供たちが学び、子供たちが考え、意見を言う意見表明権、そういった教育内容があったので非常に生き生きと学校生活を送れたと思うんです。
ですので、十八歳投票、十八歳選挙権は、私は、本当に今の子供たちはもう成熟しておりますし賛成なんですけれども、やはりきちっと自分の意見を言えるような体制を、環境整備をお願いできれば賛成です。

○大口委員 小林公述人も模擬選挙等をやって、政治教育ということで頑張っておられるということでございますので、これは本当に私どもも文科行政においても考えていかなきゃいけないことではないかな、こう思っております。
次に、テレビ、ラジオにおける有料広告、スポットCMの規制でございます。
投票期日前十四日禁止するということでありまして、まだ民主党さんはさらに全面禁止ということも検討されているようにお伺いしております。
これにつきまして、表現の自由というものを尊重していきたいということで陳述していただきました庭山公述人から、この点について御意見を賜りたいと思います。

○庭山公述人 この問題は極めて悩ましい問題だというのが私の本音でございまして、それは、観念的な表現の自由を言い立てるだけで本当にいいのかというふうな反問を私もよく受けます。したがって、全面禁止にした方がよほどすっきりするという意見を言う方が私の周りにもおります。それは事実でございます。
私は、極めて重要なときに表現の自由を一部制限するということがこの問題で実現をしたときに、それがどういう形で今後の日本社会の表現の自由に影響していくだろうかということを一番懸念しているわけでございます。
もちろん、憲法問題に限らず、特に国が緊急事態を招来しているような状況において、このことを前例として、そこで表現の自由を狭めていくというふうなことがもし起こればもう取り返しのつかないことになる。ですから、これはある意味では国会議員の先生方に対する信頼ともつながってまいります。この問題が将来のそういうふうな不当な表現の自由の制限につながらない、本当に先生方を信頼申し上げてよろしいのかという、多分、国民はそういう目でこの問題を見るのではないかというふうに思っております。
私どもの協会は、表現の自由を大事にするという観点から、制限は原則反対というふうに申し上げております。この点について、私どもをさらに安心させていただくような材料があれば、また考えることはやぶさかではないということを申し上げておきます。

○大口委員 この点につきまして、メディア規制等も含めまして、百地公述人にお考えをお伺いしたいと思います。

○百地公述人 今、庭山公述人がおっしゃったとおり、やはり表現の自由にかかわる問題ですから、規制というのは慎重でなくてはならないと思います。
それと関連してよく言われるのが、もしそれを認めると、財界あたりが資金を投入して一方的に改憲を進めるんじゃないかというような議論があります。私は果たしてそこまで財界がやるのかどうか、いろいろ疑問を持っていますけれども、そういう議論があるのであれば、他方で、では組合等がそういう広告を出す場合のことはどうなのか。
例えば政治資金規正法でも、会社が資本金が幾らであれば幾らまでの献金ができるという、これに対応して、労働組合であれば何万人規模だったら何万円と。つまり、対等に規制しているわけですから、もし財界云々という議論が出てくるのであれば、当然労働組合等によるそういう問題もあるわけでありまして、ただ財界がどうのこうのということで反対する議論は、やはり一方的だというふうに思っております。

○大口委員 質疑時間が終了いたしましたので、以上で終わります。
きょうは本当にありがとうございました。

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