大口よしのりの政策・実績

大口よしのり国会質問

大口よしのり国会質問

2007年4月18日

166-衆-法務委員会-12号 平成19年04月18日

○大口委員 この虞犯少年に係る事件については、警察法第二条に基づき、現在でも、相手方の協力が得られる範囲で警察により調査が行われているところでございます。法律上の根拠が明確でないとして相手方の協力が得られず、あるいは協力を得る上で困難な場合があって、事実解明に支障があるとの指摘がなされていたため、政府提出案においては虞犯少年に係る事件に関する調査手続を整備することとされたわけでございます。
しかし、当委員会における真剣な審議がありまして、そして、政府提出法案については、警察による調査権限の及ぶ範囲が不明確で調査対象の範囲が過度に拡大するおそれがあるなど、懸念が指摘されたわけでございます。
そこで、こういう審議を十分に踏まえまして、これは与野党から御指摘があったわけですね、そういうことで、このたび修正案で、虞犯少年に係る事件については明文での規定を控えることとしたわけでございます。
したがって、本修正案は、これまで警察が行ってきた虞犯少年に係る事件の調査の実態を何ら変更するものではなく、警察がこれまでと同様に虞犯少年に係る事件について任意での調査を行うことができることは一切変わりありません。

○長勢国務大臣 我々が提出いたしました法律案、また、この審議の経過を踏まえた与党の修正案の経過については、今大口委員から御説明のあったとおりだと考えております。
したがいまして、与党の修正案におきましてはこの規定は削除するということになっておりますけれども、現行法の規定はそのまま維持されるものでございますから、虞犯少年に係る警察の調査権限が変更されたり否定をされるということはないものと思っております。
一般市民の間には、非行少年等に対する警察が頼りないという声もよく聞くわけでございまして、これまでと同様に、虞犯少年に係る非行事実の存否や内容について、警察において適正に調査を行っていただきたいものと思っております。

○神崎委員 同じく与党修正案では、第三条第一項二号につきまして、「客観的な事情から合理的に判断して、」及び「疑うに足りる相当の理由のある者」としております。具体的にこれはどのような意味なんでしょうか。また、疑うに足りる相当の理由があるとの警察官の判断はだれがどのようにチェックするのでしょうか。

○大口委員 この修正案は、触法少年に係る事件について警察の調査権限が及ぶ範囲を明確にし、単に警察が主観的な疑いや必要性を認めただけでは足りないということを明らかにした趣旨で、客観的な事情から合理的に判断して疑うに足りる相当の理由のある場合としたものでございます。
それから、相当な理由があるとの警察官の判断はだれがどのようにチェックするのかということについてですが、相当の理由があるとの判断は、第一義的には、これは調査を行う警察官が行うということであります。その判断の相当性は、任意調査の場合には、家庭裁判所に事件が送致された後、家庭裁判所の裁判官により事後的にチェックされることになります。
他方、触法少年に対する強制処分を行う場合には、警察は裁判官が発出する令状を得て行うことになりますので、その相当性の判断は令状を発出する裁判官が事前にチェックすることになります。
以上です。

○神崎委員 低年齢の少年から警察官等が調査を行う場合は、低年齢の少年の特性に配慮しなければならないと思います。諸外国では、児童心理学者とか法律家等の共同作業によりまして、調査のマニュアルを作成していると承知しております。今後、専門家によりますマニュアルとかガイドラインの作成を予定しているのかどうか。

○片桐政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘のように、少年につきましては、質問者の暗示を受けやすい、また迎合的になりやすい等の特性を有しますことから、そうした特性に配意して、私ども面接を行わなければならないというふうに考えております。
このため警察庁では、国家公安委員会規則であります少年警察活動規則において、少年警察活動は、「少年の心理、生理その他の特性に関する深い理解をもって当たること。」また、「少年の性行及び環境を深く洞察し、非行の原因の究明や犯罪被害等の状況の把握に努め、その非行の防止及び保護をする上で最も適切な処遇の方法を講ずるようにすること。」等と規定いたしておりまして、また、警察庁次長通達でございます少年警察活動上の留意事項についてにおきまして、少年の年齢、性別、性格等に応じてふさわしく、かつ、わかりやすい言葉を用いる、また少年のよき聞き手となり、一方的にこれを押さえつけようとせず、その原因を理解することに努めるなどと定めるなど、少年の特性に配意した対応をするように指示しているところでございます。
このほか、少年警察の活動に従事いたします職員の各種研修の際には、御指摘のような専門家、例えば児童精神医学とか非行臨床学等の専門家においでいただきまして、専門的知見に基づく指導等をいただいているという状況にございます。
今後とも、少年の特性に深い理解を持って調査に当たりますとともに、専門家の御意見もいただきながら、御指摘のようなマニュアルの作成についても検討してまいりたいと考えております。

○神崎委員 次に、少年を保護するための措置についてお尋ねをいたします。
まず第一に、付添人の選任につきましては、これは民主党案も与党案も同じ修正と考えていいのかどうか。

○大口委員 これにつきましては、同じと考えて結構です。

○神崎委員 民主党案では、少年に関する質問に際して、児童福祉司または付添人の立ち会いを認めるとしているが、与党案にはありません。児童福祉司または付添人の立ち会いを認めることに何か支障があるんでしょうか。

○大口委員 触法少年の事件の調査において、事案の内容や個々の少年の状況に応じ、柔軟かつ迅速な対応が求められていますが、児童福祉司や弁護士である付添人の立ち会いを質問の要件としたり、立ち会いを一律に義務づけることにしますと、場合により、少年に対しての適時適切な質問や、ひいては事案の真相解明に支障を来す事態を招くおそれなしとはいたしません。また、警察官が少年と向き合って、その信頼を得つつ事案の真相を聞くといったことが困難になる場合もあると考えておりまして、児童福祉司や弁護士である付添人の立ち会いを質問の要件としたり、それらの者の立ち会いを一律に義務づける制度の導入については、これは大いに議論をしていかなきゃいけない課題である、こう思っております。
以上です。

○神崎委員 民主党案は、「あらかじめ、答弁を強要されることはないこと」などを告げなければならないものとするとしております。与党案は、この点について、「質問に当たつては、強制にわたることがあつてはならない。」ものとしているところであります。これら両案は、基本的に同じ考え方というふうに理解してよろしいでしょうか。

○大口委員 与党修正案では、第六条の四の二項において、調査について、配慮規定として、「質問に当たつては、強制にわたることがあつてはならない。」こう定めております。調査における質問は、少年に強制的に供述させることを容認するものではなく、あくまで任意の供述を得ることを目的とするものであり、調査に当たっても十分そのことを念頭に置く必要がある、こう考えたことから、その旨を明記したものであります。
他方、民主党提出の修正案のように、答弁を強要されることはないことを告げることについては、触法少年について、刑事責任を問われる可能性がない以上、黙秘権、供述拒否権の問題は生じないとの見解が有力であると考えております。(発言する者あり)

○七条委員長 御静粛にお願いいたします。

○大口委員 また、これらの少年への質問は、身柄の拘束を伴わないものであります。さらに、触法少年への質問が、少年の健全な育成のための措置に資することを目的として行われることを考えますと、少年を適切に保護するために、少年がみずから話をしやすい環境を整えることも重要であると思われます。
仮に、答弁を強要されないことの告知を一律に義務づけることにより、少年に正直に話をしなくてもよいと誤った意識を生じさせることがあれば、調査の目的に沿わないことになります。したがって、あらかじめ答弁を強要されることがないことの告知を義務づけることは適当でないと考えます。
以上でございます。(発言する者あり)

○七条委員長 御静粛にお願いします。

○神崎委員 与党案は、調査に当たりまして、「少年の情操の保護に配慮」することを加えております。これを加えた趣旨について、お尋ねいたします。

○大口委員 この点についても、委員会でいろいろ御審議がございました。少年の情操ということを、これはしっかり考えなければいけない。被暗示性とか、いろいろな特質がございます。そこで、第六条の二は、触法少年について、以前から警察の調査で行われているところを、その法律上の権限が明確でないことを明確にしたものでございます。
これに関し、調査の対象となる低年齢の少年については、その特性に照らして、権利保護のために一定の配慮をすべきであると指摘されたことから、修正案で第六条の二第二項において、調査について、配慮規定として、少年の情操の保護に配慮しつつ行うことを定めたものでございます。
以上です。

○神崎委員 民主党案は、「少年の答弁及び質問の状況のすべてを記録媒体に記録しなければならない。」ことや、質問の中止、調査の中止などに関する規定を設けることとしておりますが、与党案にはありません。民主党案について、どのようにお考えになっているんでしょうか。

○大口委員 この問題は可視化の問題でございまして、捜査の可視化とかいう形で大変な議論になっておるわけでございます。
そもそも触法少年や虞犯少年に対する質問は、刑事処分に結びつく犯罪捜査ではなく、また身柄拘束もしない、任意で行うものであります。また、質問を録音、録画した場合、少年を取り巻く家庭環境その他の人間関係、少年自身の抱える問題等のプライバシーに深くかかわる事実を話題とすることが困難となるとともに、少年に供述をためらわせる、そういうことも指摘されているわけであります。
この取り調べの可視化については、本当にいろいろな議論がございます。そして、そういう中で、成人の刑事事件の捜査や取り調べのあり方を含め、これから大いに議論していかなきゃいけないことだ、こういうふうに思っております。今の段階で、少年に対する質問について、それらの規定を設けることは、十分これは慎重に考えなきゃいけない、こう思っております。
また、児童相談所は、非行事実の有無や内容に関する調査を行うに必要な専門的知識を有していません。警察の少年に対する質問の要否や適否について判断することができるわけではないものですから、児童相談所が警察に対して質問の中止等を求め、警察がこれに従って一定の措置を義務づけられるという制度を設けることは適当でない、こう思います。

○神崎委員 次に、家庭裁判所送致に係る規定についてお尋ねをいたします。
民主党案は、第六条の六の、都道府県知事または児童相談所長の送致の規定は、これを削除することとしております。与党案は原案のままであります。この規定を削除するとどのような支障があるか、お尋ねをいたします。

○大口委員 都道府県知事または児童相談所長が、警察官から触法少年の事件の送致を受けた場合、児童福祉法第二十七条に基づき、その裁量により児童福祉法上の措置をとるか、家庭裁判所の審判に付することが適当であると認める場合には、少年を家庭裁判所に送致します、この点について、政府原案の第六条の六は、殺人など重大な触法行為をした疑いのある少年については、これはいわゆる検察官関与事件ですね、原則として家庭裁判所に送致する、こういうふうにしておるわけです。
その理由は、第一に、非行の重大性にかんがみ、家庭裁判所の審判を通じて、非行事実を認定した上で適切な処遇を決定する必要性が特に高いと考えられること。
第二に、このような重大な事件について、家庭裁判所において、証拠資料に基づいて非行事実の有無、内容を確定することが、被害者を含む国民一般の少年保護手続に対する信頼を維持するために必要であると考えられるからです。
そして、第三に、家庭裁判所の審判手続においては、被害者等は、記録の閲覧及び謄写や意見の陳述を行ったり審判結果等の通知を受けることができるため、被害者保護等の観点からも、少年法が定める家庭裁判所の審判手続によって事実解明等を行う必要があると考えるからであります。
民主党の修正案は、この規定を削除することとしていますが、その場合には、重大事件についても、家庭裁判所の審判で事実認定がされず、適切な処遇選択がなされないおそれがあり、ひいては被害者を含む一般国民の信頼を維持することができなくなる上、被害者保護の観点からも問題が多いと考えるわけです。
以上です。

○神崎委員 民主党案は、児童相談所などにつきまして、「必要な体制の整備に努める」とする規定を置いております。与党案にはありません。こういった規定を置くかどうかは別にいたしまして、児童相談所等の必要な体制の整備に努めることは極めて重要だと考えますが、いかがでしょうか。

○大口委員 これは、法務委員会の視察で私どもも現場を見まして、本当にこの児童相談所等の必要な体制の整備というのは大事である、一時保護所の状況あるいは児童自立支援施設の状況を見せていただいても、しっかりこの体制を整備することは大変重要である、こういうふうに考えております。
ただ、これは厚生労働省において必要な体制整備が進められるものと期待をしておりますし、私どももしっかりそのことを政府に要求していかなきゃいけない、こう考えておりますが、あえて法律に規定するまでの必要はない、こういうふうに思われます。
少年法の改正という法案の改正項目からも離れてしまう、こういう問題がございます。

○神崎委員 次に、十四歳未満の少年の少年院送致などについての修正についてお尋ねいたします。
与党案は、十四歳未満の少年に対しても少年院送致ができるとした原案を修正し、「おおむね十二歳以上」と限定をしております。民主党案は、「おおむね十四歳以上」としているところであります。
なぜ、おおむね十二歳以上と限定をしたのか、おおむね十二歳とは、実際これは大体何歳ということなんでしょうか。何歳まで少年院送致ができるのか、その点についてお尋ねをいたします。

○大口委員 これも審議の中で、やはり下限を設けるべきだ、この場合はいかなる低年齢の少年でも少年院に送致される可能性があると懸念されていたわけでございます。
そこで、与党修正案では、収容年齢の下限を設けることとしました。そして、少年院に送致される少年の年齢の下限として、いずれかの年齢をもっておおむねという一線を引くのであれば、中学に入学する年齢を一応の目安として、一定程度、弾力的な処遇選択を可能とすべきと考え、少年院送致の下限をおおむね十二歳としたものであります。
また、現行法上、初等少年院送致の上限がおおむね十六歳未満、中等少年院及び特別少年院の下限がおおむね十六歳以上と、それぞれおおむねという文言を用いて規定されており、いずれも一歳程度の幅を持って運用されていると承知しております。
少年院に入所させるかについては、個別の事案により家庭裁判所で適切な判断がされる、こう思っており、おおむね十二歳以上と規定した場合は、一応十二歳以上がその対象となると考えられるものの、場合によって十一歳程度までの少年が少年院送致されることもある、こう考えております。

○神崎委員 近年におきます重大触法事件の発生状況を見ますと、例えば、十歳の少年が殺人等の重大事件を起こすということは十分想定できるところであります。十歳以下の少年を少年院に収容する必要が認められる場合があるのではありませんか。
修正案がおおむね十二歳と定めたのは、十歳以下の少年を一切除外する趣旨なのか。そして、その場合どう対応することをお考えになっているのでしょうか。

○大口委員 おおむね十二歳以上と規定した場合、せいぜい十一歳程度までの少年が少年院送致されることと考えられますが、それ以下の少年の少年院送致は基本的には想定しがたいと考えております。

○神崎委員 次に、保護観察中の者に対する措置の修正についてお尋ねいたします。
民主党案は、遵守事項を遵守せず、保護観察によっては改善更生を図ることができないと認めるときは、家庭裁判所が少年院送致等の決定をすることができる旨の規定の削除を求めております。
これに対し、与党案は、遵守事項を遵守しない場合、原案に、犯罪者予防更生法第四十一条の三第一項の「警告を受けたにもかかわらず、」を加えております。このように修正をした趣旨についてお伺いいたします。

○大口委員 ここで、遵守事項を遵守するように指導監督を、保護観察がそれを主たる内容とし、そのため保護観察官や保護司が保護観察に付されている者と接触を保つことが不可欠の前提となっているわけです。
しかしながら、実際には、再三の指導に反して保護司や保護観察官のもとに出頭もせず、保護観察官等が接触することすらできなくなるなど、遵守事項の不遵守を繰り返し、社会内処遇としての保護観察が実質的に機能し得なくなっている事例が少なくなく、また、現在このような状況に有効に対処できる法的枠組みは必ずしも十分と言えない。
そこで、保護観察における指導監督に努めたにもかかわらず、遵守事項の遵守をしない場合に、その違反が重大であり、そのまま保護観察を継続することによって本人の改善更生を図ることができないと認められるときは、家庭裁判所において新たな保護処分を言い渡すとされたものでございます。
これによって、遵守事項の重要性が制度上も明確になって、少年にそのことの意味を自覚させて、これを守ろうという意欲を生じさせ、その改善更生を図ることにつながると考えております。

○神崎委員 次に、国選付添人の導入についてお尋ねをいたします。
国選付添人の導入についての修正は、民主党案も与党案も実質的に同じと考えていいんじゃないかと思いますが、それでよいのか。
それから、第六条の三の付添人とは、少年法十条に言う付添人と同じ意味なのかどうか、民主党案の調査付添人などとしなかった理由も含めてお伺いをいたします。

○大口委員 ここは、民主党案と同じでございます。それから、付添人も少年法十条の付添人と同じでございます。あとは、調査付添人と付添人という言葉遣いの違いであって、実質は同じでございます。
以上です。

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