大口よしのりの政策・実績

大口よしのり国会質問

大口よしのり国会質問

2007年4月25日

166-衆-法務委員会-13号 平成19年04月25日

○大口委員 平成十七年二月に、愛知県安城市で、仮出所直後の保護観察中の男がスーパーマーケットで乳児らを殺傷する事件が起きたほか、同年五月には、保護観察つき執行猶予の有罪判決を受け、保護観察中に所在不明になった男が少女を監禁したとして逮捕された事件がありました。
これらの保護観察中の者による凶悪犯罪が短期間に連続して発生したことから、保護観察制度が機能不全に陥りかけており、その目的を十分に果たせていないのではないか、こういう国民の批判が高まったことは記憶に新しいところでございます。本法律案の目的、第一条に新たに再犯の防止が明記されたのは、このような事件が発生した社会的な状況を受けてのことと理解しております。
本法律案の目的規定に掲げられている再犯の防止と自立、改善更生のための指導、援助との関係については、目的である自立、改善更生を通じて、結果として再犯を防止するのか、再犯防止と自立、改善更生をともに目的とするものか、二つの考え方があると思いますが、法務大臣の所見をお伺いしたいと思います。

○長勢国務大臣 更生保護法は、今提案理由で御説明申し上げましたように、社会内処遇において、犯罪を犯した方あるいは非行の少年等が社会の一員として自立し、改善更生することを究極の目的とするものでございます。
当然、こういう改善更生がされれば、再犯また再非行ということにはならないということになりますし、また、再犯や再非行を犯すというようなことになれば、当然改善更生というものが行われていないということになるわけでございますので、今先生おっしゃったようなことがあったということ、またそういう中で従来の保護観察制度が十分機能しておったかどうかという反省に立って、この再犯防止と改善更生というものは一体として理解をされ、また、そういう立場で我々も努力をしていかなきゃならない、国民の皆さんにも理解をしていただきたいという趣旨でこの規定を設けることといたしたものでございます。

○大口委員 更生保護の目的に再犯を防ぐことが明記されたことにより、今後、再犯防止の実効性が上がるのではないか、こう考えるわけでありますが、今後、この目的規定を受けて、社会内処遇をどのような方針で行っていくのか、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

○長勢国務大臣 今御説明申し上げましたように、法案の第一条は、再犯や再非行を防ぐことと改善更生を助けることが一体のものとして行われねばならないということを法律上明示いたしたわけでございます。したがって、社会内処遇の基本的な方針というものは変わるわけではございませんけれども、社会内処遇の中心的な担い手である保護観察官の社会の安全、安心に対する責任意識というものが、そういう意味で向上が図られるということになりますし、また、保護観察官と保護司の役割分担に関する規定の整備、遵守事項の整理あるいは充実ということとも相まって更生保護の機能が充実強化される、そして再犯の防止という側面から見てもその機能が高まるということになると考えておりますし、そのように努力をしてまいりたいと考えております。

○大口委員 有識者会議の報告書、「更生保護制度改革の提言 安全・安心の国づくり、地域づくりを目指して」の中で指摘をされていますように、更生保護は国の責任において実施すべきである、そして更生保護は省庁間の壁を越えて国家として取り組むべきことが重要かつ基本的な課題である、こう認識しております。
本法律案の第二条一項で、更生保護に対する国の責務について規定しているところであります。更生保護法案第二条は、国の責務として、民間等の協力や地方公共団体の協力を規定していますが、社会内処遇を充実させるため、厚生労働省、地方公共団体、民間団体との連携強化を図ることが必要だと考えますが、どのような施策を行っていくのか。そして、更生保護は余り国民に理解されていないのではないかと思われますが、国民の理解を深めていくためにはどのような方策をお考えか、この二問について法務大臣の御所見をお伺いします。

○長勢国務大臣 社会内処遇を充実させていくことが必要なわけで、そのことが国の責務ということになるわけでございますが、そのためには、高齢等の理由で福祉の措置が必要な保護観察対象者に対しても迅速に福祉の措置が受けられるようにすることや、あるいはアルコールの問題を抱える対象者もおるわけで、こういう者に対しては円滑な医療への橋渡しを行うということが必要であります。そういうことで、日ごろから地方公共団体との連携を密にするということが不可欠であると考えております。
また、更生保護施設入所者の自立を援助するためには、今、更生保護女性会や保護観察対象者を積極的に雇用してくれる協力雇用主など、更生保護ボランティアを初め地域の民間の人々と連携協力を進めるということも大変大事な、必要なことであると考えております。
法務省としても、保護観察所長が先頭に立って、地方公共団体に足を運んで、福祉や医療の方々も含めて更生保護というものの重要性を説明し、連携強化、協力を依頼しておる、また、地域の民間団体に対しましても、一層具体的な連携について理解と協力が得られるように努力をいたしております。
更生保護が余り知られていないのではないかという御指摘は、そのとおりだということを我々も感じております。私自身も、保護司というのはよく聞いておりましたけれども、保護観察所というのは、前に法務委員会で関与するようになるまでは余り知らなかったぐらいでございまして、まことに申しわけないと思っておりますが、今まで社会を明るくする運動などを通じて更生保護の考え方などを広報してまいったわけでございますが、さらに本年度からは、全国の保護観察所に広報担当者を指名して、保護観察所長が先頭に立って、この広報担当者と一緒に地域の福祉事務所等の関係機関の研修会、町内会、商工会議所等の諸団体、学校等に出かけて説明をする、講演の機会を持つということを進めていく、継続的な、計画的な広報活動に取り組むよう指示をしたところでございます。
今後とも、ぜひ国民の皆さんの理解をいただいて、更生保護、再犯防止が進むように努力をしてまいりたいと考えております。

○大口委員 世界一安全な国づくりを目指しているわけですので、その世界一安全な国づくりのためにこの更生保護がいかに大事かということを大臣みずからやはりまた大いにアピールをしていただきたいと思います。
本法律案で、すべての保護観察対象者が遵守すべき一般遵守事項と保護観察対象者ごとに定められる特別遵守事項とに分けて、その内容について細かく規定をしております。第五十条、五十一条でございます。
この第五十条、五十一条二項による遵守事項の法的規範としての明確化に関連して、一般遵守事項と特別遵守事項に分けてその内容を細かく規定している理由及び一般遵守事項として画一的に遵守しなければならないものとした趣旨をお伺いしたいとともに、法律案では、保護観察を充実強化するため、すべての保護観察対象者が遵守すべき一般遵守事項として、保護観察実施者に対する面接及び生活の実態を示す事実の申告等を義務づけていますが、このような規定が設けられた経緯、また設けられることによって実際どのような効果が期待できるのか、お伺いしたいと思います。

○藤田政府参考人 御指摘のように、保護観察対象者が守るべき遵守事項につきまして、現行法に比べて更生保護法案はかなり詳細に規定を設けております。これは、保護観察対象者の側から見ますと、どんな事項を自分は遵守しなきゃいけないのかということが明確になる、どんな行動をとるか、またはどんな行動をとってはいけないかということを自分で判断することが容易になるということで、そのことが改善更生に向けた意欲を一層喚起することにつながるだろうというふうに考えております。
他方で、保護観察を実施する保護観察官等の側から見ますと、これは、保護観察の指導監督のいわば基準のようなものでございますので、これに違反するとどんな不良措置をとるかということも自分の側でも明確に判断できるということになろうかと思います。
また、対象者ごとに特別遵守事項をきちんと定めるということにいたしますと、それに違反した場合の不良措置がとられるということが外にも明らかになりますので、いわば定め得る事項の範囲を限定して、余り過酷にわたらないというようなことも担保できるというふうに考えるところでございます。
一般遵守事項と特別遵守事項は現在でも分かれておるわけでございますけれども、今回もそれを基本的には踏襲いたしております。一般遵守事項というのは、やはりすべての保護観察対象者が遵守しなきゃならない共通のものというのはどうしてもあるわけでございますので、これを一律に法律で規定するというふうにいたしたところでございます。
この一般遵守事項において、今御指摘になりました、呼び出しに応ずる、あるいは訪問に応じて面接を受けることとか、あるいは保護観察官や保護司に生活の実態を示す事実を申告し、あるいはこれに関する資料を提示するということを新たに入れておるところでございますけれども、これは、保護観察官や保護司が、対象者の感情とか、あるいは生活態度、心理的な葛藤、欲求というようないろいろな状態を知って、十分に行状を把握した上で、改善更生を図るための必要な指導を行うということが必要でございます。そのためには、対象者としっかり面接をし、実態を示す事実についての十分な情報を得ることが不可欠であるというふうに考えたところでございます。
これらにつきましては、現行法におきましても、対象者が当然守るべき事項と考えられてきたわけでございますけれども、やはり明文で一般遵守事項として明記することが、保護観察の実効性を高めるゆえんであろうと考えた次第でございます。

○大口委員 次に、特別遵守事項について個別にお伺いしてまいりたいと思います。
第五十一条二項一号で、「犯罪性のある者との交際、いかがわしい場所への出入り、遊興による浪費、過度の飲酒その他の犯罪又は非行に結び付くおそれのある特定の行動をしてはならないこと。」こう定めているわけですね。しかしながら、この規定の内容は抽象的であり、主観が入ってくるのではないか、こう思いますので、実際の運用上はどのように対象となる行為を特定していくのか、見解をお伺いしたいと思います。

○藤田政府参考人 今回の特別遵守事項につきましては、今までは、法律に一切、特別遵守事項の類型なんかは示されておりませんでしたけれども、今回は、きちんと明確にしようということで、特別遵守事項の類型を細かく法律に書いたわけでございます。
しかし、やはり幾ら書きましても、御指摘のように、抽象的な規定にどうしてもとどまらざるを得ないというふうに思います。そこで、実際には、この類型をもとにいたしまして、個々の対象者ごとに、わかりやすい、具体的な特別遵守事項を定めて、本人に守らせるようにしたいと思っております。
例えば、今御指摘の、犯罪性のある者との交際をしてはいけないということにつきましては、例えば暴力団と関係のある仮釈放者がおりましたならば、○○組暴力団の構成員、準構成員とつき合わないというようなことでありますとか、あるいは、保護観察の原因となったものに共犯がいる事案でありますと、今回刑罰を受けることとなった事件の共犯者と接触をしたり、連絡をとり合わないことというように、細かく定めるということになろうかと思います。
いかがわしい場所への出入りでございますと、例えば暴力団に関係のある仮釈放者であれば、○○組の暴力団事務所に出入りしないことというふうに定める。遊興による浪費でございますと、例えば、お金に困った、それは遊興が原因だということになりまして泥棒をしたような者につきましては、例えば、パチンコ、競馬、競艇、競輪をしないことというように定めるということになろうかと思います。

○大口委員 無職者と有職者で再犯率が大きく異なっているというデータが出ています。平成十七年、無職者は三九・六%、有職者は七・三%ということからも明らかなように、対象者の改善更生を図り、再犯を防止するためには、対象者を定職につかせることが重要である、こう考えます。第五十一条第二項第二号において、特別遵守事項として「労働に従事すること、」が規定されており、その重要性がうかがえるわけでございます。
この点、就労支援対策の一つとして、協力雇用主という制度があると伺っています。大臣が冒頭でお述べになられましたこの協力雇用主の制度について、現在どのような企業が雇用主になっているのか。それから、保護観察対象者の社会内処遇の一層の充実を図るためにということで、有識者会議が、民間経済団体との連携を強化して、現在六千事業にとどまっている協力雇用主を少なくとも三倍程度に増加させるべき、こういう提言もあるわけでありますが、そういう点で、協力雇用主制度の一層の推進を図るためにどのように対応するのか、法務大臣に御所見をお伺いしたいと思います。
〔委員長退席、上川委員長代理着席〕

○長勢国務大臣 改善更生を図るためには職につかせるということが最も重要であるということは、御指摘のとおりでございます。
今、協力雇用主についてのお尋ねでございますが、その前に、就職をさせるということのために、我々も大変重要だと思っておりまして、昨年四月から、厚生労働省と連携をした総合的就労支援対策というものを開始いたしまして、無職の保護観察対象者を何とかして職につかせたい、そのための身元保証制度や試行雇用奨励金制度を設けまして、それを活用しながら施策を実施しておるところでございまして、それなりに成果も上がっておるというふうに考えております。
今御質問の協力雇用主でございますが、刑務所出所者等の雇用の受け皿を確保するために、こういう方々にお願いをしておるわけでございます。有識者会議では、これを三倍にふやすべきであるという御提言もいただいておるところでございまして、中央、地方の事業主団体、企業に対して積極的な働きかけを今行っておるところであります。
同時に、協力雇用主にはなっていただいておりますけれども現実に雇用に至っていないという方もおられますので、実質的に、この方々を中心にして、そこで雇用してもらえるように、さらにお願いをするというか、働きかけを強化していきたいと思っております。

○大口委員 次に、五十一条二項四号でございますけれども、今回、特定の犯罪的傾向を改善するため、専門的処遇プログラム、こういうものを定め、受講するということも特別遵守事項に入っていますね。「医学、心理学、教育学、社会学その他の専門的知識に基づく」、そういう処遇ということでございますが、それはどのような内容のものなのかが一点。
そして、薬物事犯に対しては、平成十六年度から覚せい剤事犯の仮釈放者に対して任意で実施されている簡易尿検査を専門的処遇プログラムの中に位置づけて、尿検査の実施を義務づけていく、そういう方針をお持ちなのか、お伺いしたいと思います。

○藤田政府参考人 今御指摘の、法案の五十一条二項四号に規定します「専門的知識に基づく特定の犯罪的傾向を改善するための体系化された手順による処遇」というものは、現在あるものは一つでございまして、これは、性犯罪をした仮釈放者及び保護観察つき執行猶予者、この二種類の対象者に対しまして行っております性犯罪者処遇プログラムというものでございます。
これは、御指摘のとおり、心理学の認知行動療法という理論を基礎に、犯罪者自身に自分が性犯罪を起こす危険性の高い状況を自覚させて具体的な対策を考えさせたり、あるいは被害者の感情を理解させることによって性犯罪の再犯を防止しようというプログラムでございます。当面はこの一つだけでございますが、今後、もし体系化されたプログラムが他にできれば、それも考えられるところではございます。
簡易尿検査でございますけれども、これは、現在も任意で、本人の同意を得て、覚せい剤の事犯者に対して行っておりまして、半分ぐらいの者が応じております。これは今後も続けていきたいと思うのでございますけれども、これを特別遵守事項にするかどうかにつきましては、尿検査を観察所に来て必ず定期的に受けろということだけを特別遵守事項にいたしますと、何か強制的に、保護観察の目的以外の、例えば捜査とかそういうことでやっているんじゃないかというふうに受けとめられるということもあるかと思います。そういうふうに受けとめられると、結局、保護観察対象者の改善更生にはやはりよくないというふうに思いますので、単体で特別遵守事項にするということは考えておりません。
ただ、薬物犯罪者に対して、今後、先ほどの体系的なプログラムというものができて、その一環としてこの尿検査が位置づけられるというような形になりましたならば、そのときにはそれもプログラムとして受講義務があるということになろうかと思います。

○大口委員 本法律案は、この遵守事項を守らない者にはペナルティーとして仮釈放の取り消しがとられるわけですね。仮釈放の取り消し手続においては、告知聴聞の手続を設けなくてもよい、こういうふうになっているわけですね。少年に対する仮退院を取り消す措置の場合については、家庭裁判所の決定によるわけでございますけれども、その審理に当たっては、医学、心理学、教育学等の専門家及び本人を収容中の少年院の職員の意見を聞かなければならない旨規定されているわけですね。仮釈放を取り消す措置については、このような規定はなく、事後的に不服審査が認められているにすぎないわけです。
したがって、仮釈放の取り消しについて、事後的に不服審査を保障するだけでなくて、取り消しの措置をとる前に保護観察対象者に対して告知聴聞の機会を保障して、遵守事項違反の有無、その理由、情状などについて意見を述べ、資料などを提出する機会を保障するということも必要ではないか、こう考えるわけでありますが、御見解をお伺いしたいと思います。

○長勢国務大臣 仮釈放の取り消しの処分は、裁判によって刑罰として刑事施設への拘禁を命ぜられている者について、保護観察を実施して改善を図るという行政目的により、刑の執行の形態を変容させて緩和をしていた状態であるわけでありますが、それを本来の裁判どおりの刑の執行態様に戻すという措置であります。したがって、対象者本人にとって不利益な処分ではありますけれども、新たな不利益処分を科すというものではないわけでありまして、本人の言い分を聞く機会を設けてからでなければそうした処分をとり得ないというわけではないというふうに考えております。
そういうことで、今御指摘のように、特別の手続を、告知聴聞という手続を明記していないわけでございますが、この点については、現行の犯罪者予防更生法でも規定されておる手続を変えるわけではないわけであります。
そうはいいながら、何もなしにとんとやるわけではございませんで、実務上は、仮釈放取り消しの申請を行う保護観察所において、例外なく、観察官が対象者に十分その状況を聴取して、調査をして、その上で判断をするということでございますので、従来の犯罪者予防更生法で規定されている手続を変えないということにいたしておるわけであります。

○大口委員 また、今回、犯罪被害者等に関する制度も導入をされました。本法律案に、被害者等から意見等を聴取する制度が導入されたわけですね、仮釈放の審理という点において。
この場合、被害者から意見を聴取する際に、被害者の感情が変化することを踏まえて、被害者等の希望、意向に基づき、例えば反省や償いの様子といった、加害者、受刑者等の刑事裁判終了後の動向等に関する情報を被害者に伝達した上で意見を聴取する、こういった手続を検討する必要性について、有識者会議の報告書でも提言があるわけですが、その運用について大臣にお伺いしたいことが一点。
それともう一つ、本法律案で、悔悟の情を深める指導監督を行うため、被害者等の心情を保護観察中の加害者に伝達する制度、これを導入しています。六十五条です。この規定にある心情等の伝達について、被害者等から申し出があった場合、すべて一律に伝達する扱いなのか、それとも伝達しない場合もあるのか、伝達しない場合があるとするならば、どのような場合が想定されるのか、運用のあり方についてお伺いしたいと思います。さらに、伝達しない扱いとした場合に、被害者等にどのような説明をするのかについても法務大臣にお伺いしたいと思います。

○長勢国務大臣 犯罪被害者等基本計画では、仮釈放審理において被害者等が意見を述べる制度、保護観察中の加害者に被害者等の心情等を伝達する制度のほか、判決確定後の加害者の情報を被害者等に提供することについて検討し、施策を実施するということとされております。
今回の法案では、このうちの、仮釈放等審理において被害者等が意見を陳述する制度と、保護観察中の加害者に対して被害者等の心情を伝達する制度を法案に盛り込んだところでございます。
判決確定後の加害者の情報を被害者等に提供することにつきましては、現在、具体的に、いかなる情報を提供できるのかということを別途検討いたしております。その検討の中で、仮釈放審理における意見聴取制度及び保護観察対象者に対する被害者等の心情伝達制度で意見や心情を述べる被害者等に対しても、加害者に関する有用な情報が提供できるように検討していきたい、このように考えております。
次に、保護観察対象者に対し被害者等の心情等を伝達する制度について、申し出があったらすべてこれを実施するのかという御質問でございますが、これは、申し出があればすべて実施するというものではありません。
例えば、当該被害に係る事件が暴力団同士の抗争事件に絡んでいるものでは、被害者とされている者が実質的には被害者と言えないというような場合もありますし、被害者等の心情等を伝達することによって保護観察対象者が被害者等を逆恨みするおそれがあるということもあり得ますので、そういう場合には、被害者等から心情等を聴取せず、あるいは聴取した心情等を伝達しないということも考えられると思います。
そういうことでございますので、伝達しないことがあるわけでございますが、そのような場合には、その旨を被害者等に説明をするということにしたいと考えております。

○大口委員 今回、六十一条で、「保護観察における指導監督及び補導援護は、保護観察対象者の特性、とるべき措置の内容その他の事情を勘案し、保護観察官又は保護司をして行わせるものとする。」と役割分担を書いています。
保護司への過度の依存をやはり解消しなければいけない、それが六十一条一項の趣旨であると思いますが、これについて大臣のお考えをお伺いしたいということと、全国で約九百の保護区があると承知していますが、全国の保護観察官のうち、観察実務を実際に担当している保護観察官の数は何名いるか、約九百ある保護区に最低正副二人ずつ程度の保護観察官を置くべきであり、そのために保護観察官の抜本的な増員の必要がある、こう考えておりますが、どのような見解をお持ちでしょうか。また、保護観察官の人的体制の強化に関して今後どのように取り組んでいくか、法務大臣の見解をお伺いしたいと思います。

○長勢国務大臣 保護観察官が保護司に過度に依存するということがあってはなりませんし、また、役割分担を明確化すべきではないかという指摘がされておるところでございます。
六十一条一項の改正は、こうした御指摘を踏まえまして、現行法では単に「保護観察官又は保護司をして行わせる」としか規定していないわけでありますが、「保護観察における指導監督及び補導援護は、保護観察対象者の特性、とるべき措置の内容その他の事情を勘案し、保護観察官又は保護司をして行わせるものとする。」ということにしております。
といっても、まだ少しわかりにくいじゃないかという御意見もあるわけでございますが、なかなか、相手の状況あるいは観察官、保護司の能力その他の事情もありますので、余り明確に分けるのも必ずしも得策ではないということも考えて、こうしたわけでありますが、この法律を設けたことによりまして、例えば特異重大事犯や暴力的性向の強い者など、処遇上、特別の配慮を要する事案は、保護司さん任せじゃなくて、官がみずから行うのがいいだろう、保護観察官が直接担当するということも留意をしながら考えていかなきゃならないということになりますし、また、保護観察官が、より適切な場合、地域に密着して、相当日夜をかけてやれるような場合は、保護司の方々にお願いした方がいいだろうというようなこと等々を勘案しながら、双方の特性に応じた適切な役割分担というものを今まで以上に法律上も要請をされるということになると思いますので、そういう運用に努めていきたいと思っております。
とはいっても、保護観察官の数が少ないじゃないか、おっしゃるとおりでございまして、今までもこの増員に努めております。御案内のとおりの定員事情でございますので、十分ではないわけでございますが、九百の保護区について、事件数等に応じて複数にしたりしておるわけでありますが、本年度から新たに代理官という制度を設けまして、保護区が、観察官がいなくても、出張中のような場合、問題が起きないというか、ちゃんとした対応ができるような体制をつくるとか、万全を期していきたいと思っておるわけでございます。
増員と同時に、やはり、先ほども御説明いたしましたように、今まで観察官が直接保護に当たるというようなことが比較的少なかったり、また指導監督が十分ではないというような御指摘もありますので、専門官制を導入するとか、あるいは研修制度を充実するとか、その質の向上にも一生懸命取り組んでいきたいと考えております。

○大口委員 どうもありがとうございました。以上で終わります。

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