大口よしのりの政策・実績

大口よしのり国会質問

大口よしのり国会質問

2007年5月8日

166-衆-教育再生に関する特別委…-8号 平成19年05月08日

○大口委員 公明党の大口善徳でございます。
本日は、田村参考人、植木参考人、藤田参考人、佐貫参考人、大変有意義なお話をいただきまして、また、貴重なお時間を賜りまして、本当にありがとうございます。
それでは、早速、質問をさせていただきたいと思います。
一つは、今回、義務教育の目標という形で、九年間の目標を一体として規定していますね。小学校と中学校というものを義務教育という一くくりにして、そして、その目標を決めている。このことの意義について田村参考人にお伺いしたいと思います。

○田村参考人 九年という規定でございますが、実は、教育制度の中教審の委員会で義務教育の議論をしたときに調査をさせていただきました。いろいろなところに聞いて調査をしたんですが、実は、義務教育の九年というのが大多数の意見だとびっくりしたんです。延ばす方に意見が出るのかなと思いましたら、九年でいいという意見が圧倒的に多いんですね。むしろ減らしてもいいんじゃないかというような意見も入ってきたりして、延ばす方に行くと実は思っていたものですから、びっくりしたということを覚えております。そういった世の中の常識、意見というのが背景にございます。
それから、もし義務教育を九年以上にするということになりますと、財政的な問題も簡単には解決しないんではないか。上に延ばすか下に延ばすかという問題もございますが、問題が多様になりますので、現時点では、当分の間九年ということで進めていっていいのではないかというふうに私としては判断させていただきました。

○大口委員 そして、義務教育という枠組みで目標を立てられた、このことについての意義もお伺いしたいんですが。

○田村参考人 法律的には、教育基本法に、義務教育の問題を取り上げて、「目的」という形で明示をいたしております。それを受けての形で学校教育法にこういう規定が設定されているんだろうというふうに思っております。
しかし、これは法律的な問題で、実態としては、義務教育の問題というのを教育のコアとして、核として確認をしておかないと、このグローバル時代には、グローカル時代にはと言った方がいいのかな、グローカル時代には、多様な価値観が出てきて、どれもがいいという相対主義ということが基本になる危険があります。この相対主義、どれもがいいというのは考え方として大事なんですけれども、しかし、何にもなくなっちゃう危険もあるんですね。
そこで、私は、教育の核として義務教育については確認をしておく部分がかなりあるだろうというふうに思いまして、こういった形の規定については賛成しております。その核があって初めてそこから成長していくんだろうというふうに思いますので、義務教育の内容を法律が規定して明示するということについては意味がある、重要なことだというふうに思っております。
ありがとうございます。

○大口委員 次に、学校における組織運営体制や指導体制を確立するために、新たに副校長、主幹教諭、指導教諭というものを設置する、こういうことになったわけですね。既にこれを先行的に導入しているところもあるわけでございます。そういう中でこういう新しい役職を、これは教諭というか管理職という形になりますね。そしてまた、給与についてもそれに見合ったものを処遇する、こういうことでございます。
そういうことで、今までの、校長そして教頭、それ以外は教諭という、なべぶた、田村先生がおっしゃったなべぶたという形から、そこに管理職というのが入ってくる。そのことが、保護者や、あるいは地域、また子供たちにとって非常に有用である。例えば、学校の教師が、しっかりと子供と向き合う時間を確保しなきゃいけないんだ、親と向き合う時間が多くて大変だということで、非常にその意義がよくわかるんですが、では、学校の教師の側から見て、こういう制度の導入というもののメリット。
それから、主幹とか指導教諭、こういうものにふさわしい人材を確保していく、これは大変だと思うんですね。要するに、特に主幹教諭と指導教諭は、児童生徒の教育をつかさどるという役目も持ちながら、なおかつ校務の一端を担うわけでございますので、そういう点で非常に負担も重くなる。中には、一生涯一教諭という考え方の方もいらっしゃるわけですね。そういう中で、そういう人材をどう確保していくのか。
そして、こういう制度を導入することによって、これから教師を目指す方にとって魅力的な職場でなきゃいけないわけですが、それとの関係でどうなのかということについて田村参考人と植木参考人に、植木参考人は福岡市の教育長をやられておったわけでありますので、また教師という立場についても、いろいろ接しておられるということで、お伺いしたいと思います。
〔委員長退席、中山(成)委員長代理着席〕

○田村参考人 ありがとうございます。
そもそも論で申し上げますと、キリスト教社会で学校という制度が生まれました。キリスト教社会は現在でも、子供の教育については家庭が第一責任を持つ、これが常識になっております。それを疑う者はだれもいない、これが典型的なキリスト教社会、それを前提としてつくられた仕組みが学校という制度なんですね。
ところが、今は時代が変わりまして、特に我が国では、教育はすべて、かかわることもすべて学校が面倒を見ろと。うちの子が朝起きないから、先生、朝電話してきてくれとか、給食費を教員が取りに行くと税金の取り立て人が来たような扱いを親がする。これは全く理解をすることが難しいような社会状況になっているわけですね。先生方はそれで非常に苦労をされているわけです。
ですから、もう議論の余地なく、経営学的には、マネジメントの一番効率的な仕組みというのはなべぶた形なんですね。ITの発展によって、なべぶた形が多くの組織で活用されているし、それで十分機能するわけなんですが、しかし、社会の変化に対応するということを考えると、なべぶた形ではもう対応し切れない状況になっている。したがって、階層をつくって、職務が過重になる場合には給与を少しその部分で考える、普通の先生よりは高くなるとか、そういうような仕組みもある程度導入しなきゃいけない。
そんなことをしないで、とにかく先生をふやせばいいじゃないか、こういう議論もあることはよく存じ上げておりますけれども、現在の日本の状況の中で、定数改善、これは公務員である必要があるかどうか私はよくわからないんですけれども、しかし、現実は公務員ですから、したがって、公務員であるとすれば、定数増はそう簡単にはいかないわけですね。
そうすると、ほかの知恵を使わなきゃならない。そうなると、組織をそういうふうに変える。あるいは、この仕事はどうも教員がしなくてもいいんではないかという部分はアウトソーシングするとかあるいはボランティアに任せるとか、そういう知恵を働かせないと、先生方が望んでいる一番やりたいこと、それは子供に接する時間なんですね。これさえちゃんと持てれば先生方は満足して現場で働くわけです。その結果は子供に必ず返ってくるわけです。だから、その知恵を出したいということが実はワーキンググループの目標でございました。
結果、出てきましたのが、今答申として出ているような形でございまして、これはなかなかに簡単にはいかない難しい問題でございます。そういう意味で、現場の理解を得ながら、職務についての階層化ということを給与の表、つまり、現在は百万近い人がただ一つの給与表で働いているわけです。これが現実です。それでいいのかという問題もございます。
したがって、いろいろなことを考えると、答申でお示ししたような形でいくのが現状では一番いいのかな。今までやってきたことを相似形で全体の規模をふやすということでは、解決できると思いますけれども、それは現実にはお金の問題でできないわけですね。とすれば、財政が改善するまで待つわけにいきませんから、今のようなやり方を考えるよりほかにしようがないんじゃないかということで、お願いをしているという形で答申を出させていただきました。
ありがとうございました。

○植木参考人 まず、おっしゃるように、教諭というのはオールマイティーだと思います。すべての学級においてはオンリーワンです。だから、生徒にも尊敬され、保護者にも尊敬され、全部自分で決定します。それが原則だと思います。
その上で、まず、学校組織という意味では、校長。これには、今、多くの校長、申しわけないけれども、決定的にマネジメント能力が不足しております。私個人のあれでいえば、私は大学教官でした。それから、今、行政に入ってずっと、マネジメント能力、ある意味では管理職の要請を受けて十何年か来て、ようやく管理ができる、そういう力を身につけたわけですね。だから、ずっとなべぶたで、そして教頭だけちょっと経験して校長になって、あと、マネジメント、危機管理をやれとか地域との交渉をやれとか言われても、基本的に無理です。だから、やはりそれを教育する期間というのが要るのではないか。それで、なるべく皆さんを教育委員会に連れてきて鍛えるようにしていますが、そういうものも含めて、そういう能力を付与することは必要である。
教頭も、先ほど申しました棚卸し研究会で、特に地域との関連で物すごく仕事がふえているんですね。そうすれば、その部分を、校長を代理する者、学校を代表する者として行政能力を持った者を入れてもいいわけですね。そうすると、今学校は閉鎖的で全部校長に責任を負わせていますけれども、こういうものを行政の方が半分持って、午後から全部開放しようとか、そういうこともできます。もっとやわらかい運営ができます。
ということで、副校長は、ある意味では行政職でもいいのかもしれないし、教頭の行政経験をふやすためのそういうふうな期間に使ってもいいし、それから、学校に必ずしも全部要るわけではないと思います。小さい学校では、何人かをまとめて、何校かをまとめてつくってもいいというふうに考えております。
それから、主幹教諭につきましては、今教務主任ですね、これを何とかきっちり位置づけてやる必要はあるのかと思います。
それから、指導教諭につきましては、マイスター、やはり、ずっと教えるのがすごくすばらしい、その方たちをちゃんと評価してもいいのかなというふうに思っております。
以上です。

○大口委員 次に、学校の評価、それと情報提供についてお伺いしたいと思います。
学校の評価のあり方、今後の推進方策について、こういうものが中間取りまとめでも発表されております。学校の評価といっても、自己評価、それから学校関係者評価、そしてそれを教育委員会がその評価に対して対応する、また第三者評価、こういうふうに分かれていて、それはやはり、学校の運営の改善と発展、それによって教育水準の向上等も保証する、こういうことであるというふうに考えるわけでございます。
そういう点で、今の学校の評価の自己評価というのは、平成十七年で九七・九%、これは公立学校でありますが、ところが、公表が五割ぐらいである。外部評価も、アンケートとか除きますと、要するに学校関係者評価というもの、外部評価を除きますと六割ぐらい、こういうことでございますので、今回規定を置くことによって、学校評価が促進する、そして、先ほど申し上げた課題の改善ということを達成できる、こういうふうに私も考えております。
そこで、一つは、私立学校の場合、五二・四%ございますが、そういうことで、私立学校の場合は、この学校評価についてはいろいろ留意しなきゃいけないことがあるんじゃないかな、こういうふうに思います。これは田村参考人にお伺いしたいと思います。
それから、やはり第三者評価、これにつきましては慎重な御意見が多いようでございますけれども、植木参考人、この第三者評価についてもう少し御意見をお伺いできればと思います。

○田村参考人 ありがとうございます。
学校評価、これは、まともな教員、まともな学校であれば、こういうことが議論される前に普通にやっていたことでございます。つまり、授業がいいかどうかを学期ごとに生徒に確認するとか授業方法についての意見を生徒に聞いてみるとかいうのは、まともな先生ならみんなやっているわけです。学校も、そういったことはちゃんとした学校ならやっていました。
御質問の、調査によると私学がこのことが低いということでございますが、実は私立学校は、これはもちろん高めていく努力をこれから重ねるつもりではおりますけれども、基本的に、建学の精神という非常に特色のある教育をしている。それは、実は、入学する前に親に説明をし、生徒に説明している、こういう感じがありますので、今さら何だというような実感があるんだろうというふうに思っております。
したがいまして、調査の内容のように、きめ細かい項目についての調査ということになると、これは全部はやっていない。だけれども、中心はもうちゃんとわかっているからうちの学校へ来ているんだというような、こういう意識が強いというのは否めない事実でございます。
もっとも、私立学校の場合には、それをちゃんとやらないと、生徒募集がうまくいかないとつぶれてしまいますから、必死になってやっている、そういう背景もございます。
しかし、現状そのままでいいとは思っておりませんので、今後努力をさせていただきたいというふうに思います。団体の責任者としてのお返事でございます。よろしくどうぞお願いしたいと思います。

○植木参考人 私どもは、自己評価はすべての学校がやっておりますし、第三者評価につきましては、現在九〇%の学校でやっております。
ただ、第三者の範囲を、私先ほど申し上げましたように、一緒にその学校をつくっていく、単に評価するだけではなく、その学校を守り立ててよくしていこうという関係者、そういう方の意見がよりよく通るような、そういうふうな構成にしていただければありがたいかなと思っております。
以上です。

○大口委員 これは学教法の関係ではないんですが、地教行法の関係でございますけれども、田村参考人にお伺いしたいと思います。
知事が都道府県教育委員会に対し学校教育に関する専門的事項について助言、援助を求める際、その具体的な運用に当たっては、知事は、私立学校と協議をし、かつ、教育委員会は、知事に対して助言または援助を行う際、私立学校の自主性を尊重すること、こういうことを私ども強く主張しているわけでございます。このことについて、田村参考人に御所見をお伺いしたいと思います。

○田村参考人 この問題が私どもの中で大きな議論を沸き起こしたことは事実でございます。
つまり、戦後六十年の間、私立学校に対しては、その自主性、自律性を尊重するということで、いろいろな法律の上でも、また行政上の扱いの上でも、学校の自主性、独自性を尊重するという扱いがなされておりました。
そのことはそのこととして、実は、それとは直接関係があるかどうかわかりませんけれども、いわゆる履修漏れという大きな問題が起きました。これは公立も同じような状態で、私立だけではないんですけれども、しかし、学校現場で履修漏れという問題が起きるということがいいとは決して思いません。それは、ないようにしなきゃいけないわけで、その、ないようにしなきゃいけないという方法論の議論の中で、私立の自主性、独自性に対する配慮のもとにつくられた現行の制度をもうちょっと補強した方がいいのではないかという議論が出てまいりました。具体的には、教育委員会が知事部局に対してその部分を支援する、そういうことがあっていいだろうと。ただし、それも、あくまでも抑制的で、私立の自主性、独自性を尊重しないと私立学校が何のために存在しているかわからなくなってしまいますので。
かつて、戦後六十年の間私立学校は、独自性、自主性を尊重された結果、経営的には苦しくて随分苦労したわけですけれども、新しい教育を幾つも生み出してまいりました。
例えば中高一貫教育、これは私立学校がつくった仕組みでございます。非常にいいということで、現在は公立でそれを採用されております。それから、帰国生徒教育、これも私立学校がつくり上げたものでございます。それも、公立あるいは国立でそういうもののよさが認められて現在採用されております。それから、さらに言えば、体験学習、自然体験学習、社会体験学習みたいなものも実は私立学校が考えて始めたものでございます。そういった新しい教育を生み出す仕組みとしては、私立学校の存在というのは非常に重要だと考えております。
履修漏れがあってはなりませんので、そういう補強ということがあっていいんですけれども、しなければいけないんですけれども、しかし、あくまでも私立の自主性、独自性は尊重していくという態度をお持ちいただかないと、角を矯めて牛を殺すという結果にならないように御配慮を賜りたいというのが私どもの考え方でございまして、現在国会で御審議されておられる方向で、今、大口先生がおっしゃられた考え方で、私ども大賛成でございますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。
ありがとうございました。

○大口委員 藤田参考人、佐貫参考人にもお伺いしたかったんですが、時間の関係で、これで終わりたいと思います。
本当にありがとうございました。

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