大口よしのりの政策・実績

大口よしのり国会質問

大口よしのり国会質問

2007年5月16日

166-衆-教育再生に関する特別委…-1号 平成19年05月16日

○大口委員 公明党の大口善徳でございます。
きょうは、五人の公述人の先生方、大変貴重な御意見を賜りまして、ありがとうございます。
きょうは、時間も短いものですから、特に私どもが問題にしておるところについて、全員にお伺いできないかもしれませんが、お伺いしたいと思います。
一つは、今回、教育委員会の責任の体制の明確化ということが地教行法で規定をされたわけでございます。教育委員会というのは、政治的中立性をしっかり確保する、そしてまた教育行政における安定性や継続性を確保するという点において私は存在意義はある、こういうふうに思っております。そして、地方分権という観点、非常に大事でありますので、今回も四十九条、五十条で是正要求、指示につきまして、今度は自治事務、あくまで地方自治法の国が関与できる枠内でやっているということで、地方分権についても配慮されている制度だ、こういうふうに考えております。
ただ、知事さんの中には、教育委員会につきまして、選択制といいますか、首長さんが政治的責任を負う、そして、今の有権者は教育問題に対して非常に関心が高い、ですから住民に選ばれた首長が本来やるべきであるということも考えられるんじゃないか、それで選択制にするということも考えていいのではないか、こういう御意見も地方の公聴会でありました。
この教育委員会について、今回の法改正によって、選択制というような議論に対してどう思われるのか。そして、教育委員会の責任を今回明確にしたわけでありますけれども、その場合に、きちっと役割分担を決めたということと、それから、学識経験者の知見を活用して活動の状況の点検、評価を行って、これを発表するということですね。教育委員会の自己評価といいますか、こういうものが導入されたわけでございます。これが機能するようにするにはどうしたらいいのか。この点について、木村公述人にお伺いしたいと思います。
〔委員長退席、小坂委員長代理着席〕

○木村公述人 御承知だと思いますが、教育委員会は、もともとはアメリカで発足した制度でございます。
私もアメリカへ参りましてかなりあちこちの教育委員会を見せていただきましたが、まさにあれがアメリカのデモクラシーの象徴であるというぐらいに私は思っております。完全に政治から独立し、しかも、住民の意見を聞いて、そしてしかるべき教育ポリシーをつくっていくという制度になっております。
ちょっと余談でありますけれども、例えば、教育委員会は一般の人が傍聴できますように、私の見た幾つかの教育委員会では夕方五時からやる、そうしてひどい場合には朝四時、五時までやると、徹底した民主主義を貫いております。そこに教育委員会の精神があるのであって、そういう意味でいうと、若干、我が国は教育委員会が十分成長しなかったということは申し上げられるかと思います。
さはさりながら、私は選択制というものには非常に危険性が伴うというふうに思っております。そういう意味でいうと、現在の制度を、今議員がおっしゃった安定性、継続性、政治からの独立ということをやはり徹底して追求していくのが、民主主義を標榜する日本のやり方だというふうに思います。
それから、私も、先ほど申し上げましたように、東京都の教育委員会の委員長をしておりますが、確かに、本来ですと教育委員会は議会からチェックをされるはずなんですけれども、今の状態でいきますと、そのチェックのされ方は極めて薄いということは申し上げてよろしいかと思います。
そういうことでいうと、どういうメカニズムにするか私まだ考えておりませんけれども、教育委員会のアクティビティーに対して何らかの評価をするということはやはり必要ではないかというふうに考えております。

○大口委員 次に、この教育委員会につきましては、穂坂公述人も具体的な提案をされております。教育委員会廃止論というような論文も出ておったんですが。きょう先生からお伺いして、そうじゃないということがわかったわけでございますけれども。例えば県費の教職員というものを廃止しよう、そういうお考えも、私も非常に同意するようなところがあるわけでございますけれども。
そういうことを踏まえた上で、私は、やはり現場に、市教育委員会あるいは学校の現場にもっと権限を移譲すべきである、そして、子供たちに一番近いところに権限を移譲して、またお金も移譲していくことが教育の活性化につながるんだ、こう思っておるんですが、この点、いかがでございましょうか。

○穂坂公述人 おっしゃるとおりだと思います。やはり現場の役割分担をしっかり決めていただいて、現場が自己責任をしっかり持てる、そういう体制がいいというふうに思っています。
さらに、教育委員会のそれぞれの機能も、今お話がありましたように、確かに政治的中立性は担保しなくちゃいけないと思うんですね。ですから、私がもっと現場の自主性を担保してほしいと言うのは、決して何でもやってもいいという気持ちじゃないんです。
例えば、指導助言なんていう言葉も、私は逆に言えばおかしいと思っているんです。なぜなら、国がやるべき仕事、これが例えばちっとも地方がやっていない、現場がやっていないとすれば、それは是正命令をするのは当たり前で。ですから、お金はやはり国にしっかり持ってもらう。さっき言ったような安定性とか継続性とか、教育水準を一定担保するとかというのは、それぞれがやはり役割分担の中でしっかりやるべきもので、だから、そこのところを明確にしないで、小手先と言えば大変失礼なんですが、ちょこちょこ変えても、私はいかがなものかなと。今言ったように、そういうものを踏まえた上で、現場の裁量権、現場の自主権、そういうものをしっかり担保してもらった方がありがたい、こう思っております。

○大口委員 次に、田中公述人や米浦公述人から、副校長それから主幹教諭、指導教諭、こういう職階制といいますか、こういうものを導入することに反対だ、こういう御意見でございました。
今まではなべぶたであったわけですね。校長、教頭、そしてあとは同じ教諭、こういう状況でありました。しかしながら、今学校には本当にいろいろな問題が殺到しているわけでして、そして第一線の教諭に大変な負担があるわけですね。そういう点ではやはり、例えば今給食費の取り立てまでやっておられる、やらざるを得ない、こういうような状況もあるし、また本当にいろいろな問題のある親がいらっしゃる、本当に長時間にわたっていろいろ対応しなきゃいけないとか、さまざまな対応もしなきゃいけない。
そして、だんだん、今ベテランの先生がこれからたくさん退職するようになってきますよね。そうなってきますと、やはり若い先生がこれからかなり入ってこられる。それに対する指導教諭、スーパーティーチャーのような方がちゃんと先輩としてのしっかりとした立場で指導するということも大事じゃないかな、こう思っておるわけです。
副校長や主幹制度を東京都でいち早く導入されたということでございますので、木村公述人に、その施行された結果こういう成果があったというようなことがありましたら、お伺いしたいと思います。

○木村公述人 その前に、私、十年ほど前まで四年間、東京工業大学の学長をしておりました。実は、大学もなべぶたなんですね。学長だけが一人ぽつんとなべの持ち手のようになっておりまして、あとは全部横並び。もちろん学部長とか評議員はいるんですが、結局マネジメントは一人でやらなきゃいけないという、非常に裸の王様になってしまうんです。
もうこれは大変な苦痛、苦労でありまして、パブリックマネーを使う、国立大学ですからほとんどパブリックマネーでマネージされているんですけれども、正直申し上げて、そういう体制というのは、はっきり申し上げて非常に税金の無駄遣いをしている。マネジメントの効率化が全然できていないということで、大学はその後、副学長等をたくさん導入するようになりまして、非常に効率的になりつつありますけれども、同じことがやはり公立学校についても言えるんですね。校長が一人で悩むということ。
東京都で、これは東京都の場合はまだ法律的なサポートがありませんから、ただ東京都としてこういうことをやってみようということでやったんですが、私もかなりの数の校長先生とお話ししますと、やはり非常に楽になったと言う方が多いですね。自分一人で悩んでいたのが、必ずしも校長と副校長がうまくいっているということはないんですけれども、伺ってみますと、副校長がいることによって非常に相談しやすくなった。それで、その結果、視野が広がって、先生方にも意見を聞いてもらえるようになったということを随分聞きます。
そういうことでいうと、東京都が全面的に成功している、つまり法律的なバックグラウンドがありませんから、東京都だけでやっているということで、全面的に成功しているとは申し上げませんけれども、そういうマネジメントという観点からはかなり楽になったのではないかと思うんです。
ちょっと話が長くなって申しわけないんですが、マネジメントというのは非常に大切だと思うんですね。つまり、先ほど申し上げましたように、公立学校というのはパブリックマネーで運営されているわけですから、これはできるだけ効率的にせざるを得ない。そうなると、いろいろ批判はありますけれども、マネジメントの効率化を図るというのは絶対に必要だ、そういうことからいうと、この新しい職の設置というのは、非常に私は将来に向けて有効であるというふうに考えております。

○大口委員 次に、学校の評価についてお伺いしたいと思いますが、今、学校は自己評価ということで、教職員の方々が目標を立てて、そして、それに対してどう達成したかという等々の自己評価を、これはもうほとんどの小中学校でやっている。それで、公表もそこそこなされている。また、学校関係者評価、これも今実施をしているところがかなりふえてきておるわけですね。ところが、PTAのアンケートによりますと、保護者の方は、そういう自己評価、関係者評価というもの、いわゆる外部評価がなされていることはほとんどお知りになっていない、八割弱の人は知らないという状況である、そんな状況でございます。そして、今回義務づけがされたわけですけれども、それとともに第三者評価という議論もあって、今一部試行もされている、こういう状況でございます。
私は、やはり学校みずからがきちっと点検をする、また保護者、地域の方々に入っていただいて関係者でもって評価をするというようなことは非常に大事なことだ、こう考えております。第三者評価については時期尚早だという意見もございますけれども、この学校の評価のあり方について、山極公述人にお伺いしたいと思います。

○山極公述人 ありがとうございました。
今、委員のお話にありましたように、学校評価というのが教育水準の向上や学校運営の質の向上等に役立てるという意味では全く同じ意見であります。
先ほど申しましたように、学校評価は学校設置基準以降、それ以前も教育課程評価とか、そういったことは盛んにやっていたんですけれども、本格的には、それ以降各学校でやられるようになったわけであります。私も時々学校評価で講演へ行きまして、あしたも実は千葉県の小中高等学校の新任教頭に対して、学校評価について二時間しゃべらなきゃいけないんですけれども。
一生懸命やっている、これはもちろんいいんですけれども、学校評価、いわゆる目的、プラン・ドゥー・チェック・アクションありますけれども、そういう目的からすべて学校の先生がつくっているんです、内輪で。そうすると、保護者から見て、本当はこういうことを調べてもらいたいんだというのが必ずしも出てこないんです、学校だってやはりみっともないものはしたくないもので。
例えば学力テストをやった場合に、自分の学校の学力テストの結果はどうだったのか、ほかの地域に比べて何がよくて何が悪かったのか。あるいは、高等学校なんかに行って遅刻の多い生徒がいた場合、遅刻の人数はどのぐらい実際にいるのかとか。あるいは、今学校は絶対評価というのをやっていますね。あれもいわゆる教科別に五段階で、要するに、五が何人、こうなっていますと、親は、この判定基準がどういう意図でやっているのかというかなり疑義があるんですね。そういう場合に、自分の学校は教科別に五は何人ぐらいいるのか、四は何人ぐらいいるのかとか、そういうエビデンス、これがほとんど隠されているんです。そして、プラン・ドゥー・チェックなんというのを学校でつくっている。ですから、サイクルが、非常にレベルの低いプランをつくってサイクルを回していますから、くるくるくるくる、はい回っているんですね。それが教育の水準の向上や教育全体の向上につながっていかないんです。
そういう意味では、やはり大事なのは、事前に事実、もちろん子供のプライバシーなんて公表したらとんでもないですけれども、学校の実態をまず情報開示していく、そしてそのためには、うちはこういう目的で、こういうやり方で、こういう形できちっと評価していく、そして結果はきちっと評価する、こういったものをもっとしていかなきゃいけない。
四月に、各学校はPTAの全員を集めて、校長先生は学校の目標や教育活動を説明します、ほとんどの学校は。しかし、では三月、学年末に、そのうちのどれとどれが達成したのか、どれが達成しなかったのか、達成しない場合にはどこに原因があったのか、では来年にどうつなげるかなんというのを最後の学年末に言っている学校なんてほとんどありません。四月に言って終わりです。これでは、結果責任ということは問われないんですね。これからの教育評価というのは、そういう意味で、自分に厳しくしていくということ、それによって上げるということですね。
第三者評価、もちろん大事です。イギリスは、第三者評価、OFSTEDなんていう視学官制度で第三者評価をやって始まったんですけれども、今は、やはり学校評価というか点検評価、これが基本だ、そしてそっちの方に少しずつ移っています。ですから、日本も自己点検をしっかり、そして外部評価を入れていく、その上で第三者評価というようなものについて検討も進めていく、そういうことがいいのではないか、こう思っております。
以上です。

○大口委員 今、学校評価につきまして非常に詳しいお話をいただきまして、ありがとうございます。
今回の改正の中で、私どもは、やはり教師は、もちろん学力だけではなくて人間性、こういうものが本当に大事ではないかな、こう思っておりまして、穂坂公述人もそういうお話をされておりまして、やはり採用の問題があります。そういうことも私どもは以前も議論をさせていただいたわけであります。それから、やはり教師が子供たちと向き合う時間をいかに確保するか、こういうことも大事だと思います。
そういう点で、やはり教育を充実させるためには投資をしっかり行っていかなきゃいけない、金と人、これをきちっとやっていかなきゃいけないということもこの委員会の審議でいろいろとお伺いさせていただきました。先生方の思いをまた胸にして頑張ってまいりたいと思います。
きょうは本当にありがとうございました。

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