大口よしのりの政策・実績

大口よしのり国会質問

大口よしのり国会質問

2008年3月25日

169-衆-法務委員会-4号 平成20年03月25日

○大口委員 公明党の大口でございます。
来年の五月には裁判員裁判制度を実施する、こういうような段階に入ってまいりました。
判例タイムズに、今崎幸彦司法研修所の教官が、「司法研修所における裁判官共同研究の概要」ということを発表されております。そして、その裁判員裁判の審理に求められる理念というのは、法廷で目で見て耳で聞いてわかる審理、これがキーワードになるわけでございます。大型否認事件、それから難解な法律概念、正当防衛でありますとか責任能力、心神喪失、心神耗弱、殺意、共同正犯と従犯、こういう難解な法律概念、そしてまた量刑のあり方、こういうことを審理、評議していくことになるわけです。
今回、そういう点で問題提起になった事件として、秋田の連続児童殺害事件がございます。これについては、公判前整理手続で一年三カ月、十二回、そして公判は半年間、十四回という形で、結果が無期懲役であった、こういうことも議論を呼んでおるわけであります。
そこで、まず秋田の連続児童殺害事件の第一審判決について、公判に空白がないよう審理と並行して行われた精神鑑定であったため、真相解明が不十分であった、こういう指摘もあるわけであります。
裁判員制度開始後は、短期間に集中した審理を行う必要がある。五日間以下で九割と言われていますが、公判開始後の鑑定を行うことは例外中の例外であるはずであります。この点、これまでのように公判開始後に鑑定を実施したのでは審理が中断してしまい、裁判員の負担が増大してしまうことから、裁判員法五十条で、公判前整理手続における鑑定実施命令の制度が整備され、裁判員制度と同時に施行される予定になっています。
裁判員裁判において、この制度を適正に運用するとともに、必要に応じて捜査段階においてもしっかりとした鑑定を行って、裁判員に負担のかからない審理計画を立てる必要がある、こういうふうに思いますけれども、最高裁の見解をお伺いしたいと思います。

○小川最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。
委員まさに御指摘のとおりでございまして、公判開始後の鑑定の実施によりまして審理が中断されることのないよう、公判前整理手続において裁判員に負担のかからない審理計画を立てる必要があるという議論がなされているものと承知しております。
そのような観点から、現在、裁判官の協議会あるいは司法研究等で、裁判員裁判のもとにおける鑑定のあり方について検討がなされているところでございまして、今後もそのような検討がさらに進められていくものと考えております。

○大口委員 鑑定のあり方についても、また鑑定書がわかりやすいものである必要もあるし、あと一年でありますので、これから本当にしっかり検討していただきたいと思います。
また、今回の事件で、量刑のことも問題になったわけであります。
量刑は裁判員裁判でも極めて重要な問題でありまして、先述の、今崎司法研修所教官が発表したこの「裁判員裁判における審理及び制度運営上の課題」でも、裁判員裁判において、量刑相場を示すべきか否か、示すに当たって裁判員の意向を確認すべきか否か、また、資料を示すとして、どのようなものを示すのかといったことがこの裁判官の研究会で議論されたことが紹介されておりました。
こうした点について、最高裁としての見解及びその準備状況についてお伺いしたいと思います。

○小川最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、裁判官の研究会や協議会等において、量刑について国民の感覚を反映させることが制度の重要な趣旨の一つと位置づけられておりますことから、評議において、裁判員に量刑について自由に意見を言っていただくことが大変重要であるとの議論がなされております。
他方で、我が国の刑事法では幅広い法定刑が定められていることから、裁判体によって量刑に過度のばらつきが出るということは望ましくない。量刑の公平を確保するためには、裁判員に量刑資料を示した上で量刑判断を行ってもらうことが有益なのではないか。具体的には、検察官、弁護人は、これまでの量刑傾向を踏まえて意見を述べることになるから、裁判員にも事件の類型ごとに大まかな量刑の幅を示すような資料を示す必要があるのではないかとの議論もなされております。
いずれにしましても、最高裁としましては、裁判体が量刑資料を示すこととした場合に、適切な資料を迅速に作成することができるように、裁判官の研究会等における議論の内容等を踏まえまして、それまでの同種事件の宣告刑がどの幅におさまっているか、これをグラフで示すことができるようなシステムを開発しているところでございます。
委員の御指摘も踏まえまして、今後も引き続き裁判員制度のもとで充実した評議が実現できるように必要な準備を進めていく考えでございます。

○大口委員 ばらつきが余りにも大きくなって、それで公平さを欠くというようなことになってきますと、裁判員裁判の信頼性にもかかわってきますので、しっかり準備をしていただきたいと思います。
次に、裁判員裁判というのは、裁判員と裁判官との評議のあり方も重要であると思います。先ほどの今崎論文でも、裁判員との議論における裁判官の姿勢、スタンスの議論がなされたと紹介しています。専門知識を持っているのでそれにこだわりを持つのか、こだわらないで、裁判員の意見をどう酌み取っていくのか、こういうことも議論されているわけでありますけれども、いずれにせよ、裁判員裁判においては、評議において裁判員と裁判官とが十分にコミュニケーションをとることが重要であって、そのための研修を事前に十分行っておくということが大事である、こういうふうに考えておりますけれども、最高裁のお考えをお伺いしたいと思います。

○小川最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、裁判員裁判の評議においては、裁判員と裁判官とが十分コミュニケーションをとって充実した評議が行われることが大変重要であるというふうに考えております。裁判員と裁判官が一つの裁判体を構成して、一つのチーム、同じチームの一員となって判断に当たるということでございます。
この点、現在、全国の地方裁判所において、模擬裁判や模擬評議を繰り返して実施しておりまして、その際、評議の様子を法曹関係者等に公開して、事後の意見交換会等において御意見をいただいて、そうした結果等を踏まえまして、協議会や研究会等において議論を重ねてきております。
委員の御指摘も踏まえて、今後も引き続きこうした実証的な検証を積み重ねて、裁判員制度施行後適切な評議が実現できるよう必要な準備を進めていきたいと考えております。

○大口委員 いかに裁判員とのコミュニケーションを図って引き出してくるか、これにやはり裁判員裁判の成否がかかっておると思うんですね。ですから、やはり心理学でありますとかコミュニケーションのいろいろな技術をどう学んでいくか、意識改革もしなきゃいけませんが、技術も大事だと思いますので、しっかり対応していただきたいと思います。
また、先般、被害者参加制度ができました。裁判員裁判と被害者参加の適切な調和を図ることが重要であります。衆議院の附帯決議でも、「犯罪被害者等が刑事裁判に参加する制度及び裁判員制度の実施時期が近接していることにかんがみ、裁判員裁判に犯罪被害者等が参加する場合において、裁判員がこれらの制度の内容を十分理解できるよう努めること。」とされております。
この問題に関する研究は進んでいるのか、最高裁の見解を聞きたいと思います。

○小川最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。
現在、裁判官協議会や研究会におきまして、裁判員裁判の運用とともに被害者参加の運用について協議が行われているところでございます。また、今後、被害者参加が行われる事件の模擬裁判を行って、法曹三者で運用について実証的に検討することも予定しております。
こうした検討を踏まえまして、裁判員に対して被害者参加制度をわかりやすく説明できるように準備を進めていきたいと考えております。

○大口委員 裁判員裁判制度、審理について冒頭にもお話ししましたように、例えば正当防衛というものをどう裁判員に理解していただくか、あるいは責任能力、これも心神喪失や心神耗弱、こういう概念、あるいは殺意、共同正犯と共謀共同正犯とか従犯ですとか、こういう法律概念というのは、私どもは司法試験で勉強したわけでありますけれども、こういうことを本当に裁判員に理解していただくということも大変難しい問題でございます。評議のことも今申し上げました。
そういう点からいきますと、これは刑事裁判の大改革でありまして、そういうことについて、果たして裁判員裁判対応の増員が五年間で百五十人で足りるかどうかということは、先ほども同僚議員からありましたけれども、私はちょっと心配なんですね。ですから、もちろん裁判官の質も大事でありますが、ある程度の、万全の体制を期するための人員も大事だ、こう考えておりますが、いかがでございましょうか。

○高橋最高裁判所長官代理者 先ほど答弁申し上げましたとおり、裁判員裁判といいますのは、従来、刑事訴訟でやっていなかった業務が新たに加わる、特に選任手続でございます。
毎日六人、あるいは予備員を入れますと八人の裁判員を選ぶためには、やはり数十人、恐らく七、八十人あるいは五、六十人ぐらいの人がその日に裁判所を訪れて、そこからくじ引きだとかいろいろな選任手続で質問をしたりなどして選んで、そして午後からは審理を始める。そこでも集中審理ということになりまして、今まで刑事訴訟でやっていなかった業務、それから新たにつけ加わる業務がございます。
そういうものを処理するために、先ほど申し上げましたとおり、大体五年で百五十人程度の増員が必要ということを申し上げまして、大体それで賄えるというふうに私どもは考えております。

○大口委員 とにかく失敗は許されないものですから、本当に今、最高裁も、裁判所も模擬裁判等で一生懸命やっておられるわけでありますけれども、ぜひともきょう質疑させていただいたことをまたしっかり認識していただいて、対応していただきたいと思います。
それでは、法務大臣の方にお伺いをさせていただきたいと思います。
法曹人口について、大臣が御主張されておりました勉強会というものが発足しました。これは二月二十日だと聞いております。これの中で、やはり法曹の質の問題、需要の問題、そして訴訟社会化の問題、隣接法律専門職種との関係の問題等を議論されている、こういうふうに聞いております。
新たな法曹養成制度において、法科大学院教育、司法試験、司法研修所が有機的に連携したプロセスによって法曹を養成するのでありますから、質の確保という意味では、法科大学院のあり方も非常に私は重要であると思うんですね。
それで今、司法試験も、御案内のように、昨年で、法科大学院修了者の四割、特に法学部未修了の方は三割台ということで、本当に合格者が少ないという現状です。ですから、ある法科大学院でも不祥事がありましたけれども、非常に受験校化しておりまして、本当にこの法科大学院教育の教育自体がおかしくなってきているんじゃないか、それがやはり法曹の質にも非常に影響してきていると私は思うんですね。ですから、例えば法科大学院も今定員が五千八百でありますが、本当に果たして五千八百もとっていいのかということを法科大学院も真剣に考えていただかなきゃいけないと思うんですね。
そういう点で、この勉強会において、本当に大臣が法曹の質ということを非常に重視されているということでありますから、法科大学院のあり方について議論をするということは私は不可欠であろう、こういうふうに考えております。
そういう点で、法科大学院のあり方について、あるいは司法試験等のあり方についての議論というのも対象になるのか。そして、そうなってきますと、やはり文科大臣との意見交換あるいは文科省の意見というものもしっかり交換していかないと、この質の問題というのは私は前に進んだ議論にならないと思うんですね。
この点についていかがか、お伺いしたいと思います。

○鳩山国務大臣 大口先生おっしゃるように、やはり今回の司法制度改革の中で法科大学院をつくったというのは最大の変化の一つだろう、そう思っております。法曹の養成の仕組みを大幅に変えたわけですから。
この間、新聞を読んでおりましたら、結局どんどん減らしていって旧試験がいずれ消えてしまう、そうすると、昔は弁護士あるいは裁判官、検事になるために、とにかく一生懸命、金はないけれども勉強して、それで難関を突破するという人が大勢いたけれども、予備試験というのはあるかもしれませんが、原則法科大学院に行かなければ法曹になれないということになれば、金がなくて、ねじり鉢巻きで勉強したい人はこれからは法曹になれないのかということが書いてありまして、なるほど一つの考えだなと思うわけで、すごく大きな変化。
したがって、法科大学院をつくった最大の理由は、やはり有機的な連携でしょうね、司法修習との。そういう意味で、当然、法科大学院の状況、これは第三者評価を義務づけてありまして、きのうは大学基準協会だったでしょうか、慶応大学や法政大学についての第三者評価をしている。それから、これからあと二つ、日弁連関係の機関ともう一つ、法科大学院の第三者評価をしますね。これは大変注視したい、こう考えております。
当然、そうなってきますと、法科大学院自体は文部科学省の教育機関として存在しているわけですから、すべてが私どもで決められることでは全くありませんから、私の勉強会は副大臣と私中心として、メンバーを確定しているわけでもありませんけれども、当然、私もかつて文部大臣をやっておりまして、今でも人脈もありますから、参考意見等を聞いてみたい、こういうふうに思っておりますし、折に触れて法科大学院についての調査もするわけでございますので、連携をとっていこうと思っております。

○大口委員 時間になりましたので、以上で終わります。ありがとうございました。

大口よしのりについて
大口よしのりについて
活動記録
活動記録
政策・実績
政策・実績
リンク集
リンク集

▲このページの先頭へ