大口よしのりの政策・実績

大口よしのり国会質問

大口よしのり国会質問

2008年4月4日

169-衆-法務委員会-6号 平成20年04月04日

○大口委員 公明党の大口でございます。
今回の法案につきまして、質疑をさせていただきたいと思います。
昨年の六月に、犯罪被害者等基本法あるいは基本計画を受けまして、被害者参加制度、この法律ができたんです。そして、この十二月にもこれが実施されるということであります。
これは、被害者等が参加の申し出をして裁判所がそれを許可する、そして証人尋問について言えば、情状についての証言の証明力を争うための尋問をすることができる、また被告人質問につきましては、意見陳述をするために必要な質問ができる、そして訴因の範囲内でありますが、事実または法律の適用について意見の陳述ができる、こういうことで、私ども、犯罪被害者の皆さんの要望に的確にこたえることのできる被害者参加制度である、こういうふうに思っております。
いよいよそれがこの十二月に実施されるということでございまして、被害者参加制度の意義について、それから今後の取り組みについて、大臣にお伺いしたいと思います。

○鳩山国務大臣 今大口先生がおっしゃられた事柄がまさに物事の本質だと思っておりますけれども、一言で申し上げて、日本の刑事司法手続とか裁判とか、いろいろと工夫を重ねて仕組みをつくってきたのでありましょうが、どちらかというと被害者の方々にお気の毒な場面が多過ぎたのではないのか、そういう反省の中から犯罪被害者等基本法というものが生まれ、政府でも計画をつくり、そしてこの基本法によって、刑事に関する手続への参加の機会を拡充する制度というものができ上がったわけであります。
今まで傍聴しかできなかった被害者や遺族の方が傍聴ではなくて出席ができる、今先生おっしゃったように、もちろん証人尋問も、一定の範囲において、裁判所の許可された範囲内においてできる、被告人質問も同様だ、そして締めくくりの意見陳述、今までも意見陳述という制度はあったようでありますが、締めくくりの段階における意見の陳述もできる、こういうような刑事訴訟法の改正等もあったわけで、被害者の訴訟参加というものが創設をされたわけでございまして、私は大変意味のある大変革だというふうにとらえております。
被害者の皆さんの、遺族の皆さんの心情とか意見というものが裁判には反映されるべきだ、それがまた適正な科刑にもつながっていくだろうと思いますし、あるいは名誉の問題というんでしょうか、やはり被害者御自身が直接裁判に参加して御自身の名誉の回復を図るとか、あるいは人生の立ち直りのきっかけをつくるというようなこともあり得ると思いまして、私は大変意味のある大きな転換をいたしたものと考えております。
〔倉田委員長代理退席、委員長着席〕

○大口委員 その昨年の刑訴法の改正に当たって、これはちょっと異例のことだと思うんですが、いろいろと審議もしました。
その中で、やはり被害者の方には、被害者参加制度について、国選弁護士を付すべきである、こういうことで、政府の法案をさらに修正して、附則の中に「資力の乏しい被害者参加人も弁護士の法的援助を受けられるようにするため、必要な施策を講ずるよう努めるものとする。」という形で与党修正をさせていただきました。私も提案者でありまして、自民党の先生方と協議してこういうものを盛り込ませていただいたわけです。そういう点で、今回の法案については非常に感慨ひとしおのものがございます。
さらに、この犯罪被害者等基本計画に基づいて経済的支援に関する検討会も行われて、昨年の九月に結論が出て、犯給法の金額を自賠責並みに倍額にするという法律が今回内閣委員会に出ております。それとともに、この被害者国選弁護士制度が法案として出されたということで、私も非常に意義深いものだと考えておりますけれども、中に、被害者参加人に国選弁護士をつけなくても検察官がサポートすれば十分だ、こういう意見、慎重論もあったというふうに聞いております。
そこで、この被害者国選弁護士制度の意義について、改めて大臣から御所見をお伺いしたいと思います。

○鳩山国務大臣 国選弁護は不要ではないかという意見があったこと、あるいは存在をしていることは私も知っております。
というのは、民事事件のように被害者が原告で加害者が被告という形、それは歴史的には、大昔はそういう裁判もあったかもしれませんが、現在は、原告というのは国が、検察官が全部一括して行うということでありまして、検察官と犯罪被害者等は密接なコミュニケーションをとっていくわけだし、これから被害者参加人、参加制度の中で参加しようとする方に対しては適切なアドバイスを検察官も当然するだろう、こう思っております。
ですが、先ほど申し上げましたように、被害者と検察官はかなり立場が違って、あくまでも公益、国を代表していますが、公益の代表者として、法と証拠に基づいて公訴を提起し公判活動を行うという使命。やはり、被害者参加人の尊厳の確保というようなことですと、直接検察官がその任務を負うわけでは全くないわけであります。したがって、検察官は法と証拠に基づいて公判を行っておりますから、当然ですが、被害者参加人の希望に沿うような形で物事を進めるとは全く限らない。
そういう意味で、やはり被害者が検察官といろいろ話をする場合であれ、あるいは実際の意見陳述とかあるいは質問、尋問のときであれ、全く被害者に親身になって、同じ立場に立ってくれる弁護士さんというものが必要だろう。もちろん、自分自身が発言するのはためらってしまう、あるいは自分が法廷に行くのは嫌だという方は、当然弁護士さんに代理、代行をしてもらえる。そういう意味で、被害者参加には検察官だけでは足りないので、やはり弁護士あるいは国選弁護士が必要だ、こう考えるわけでございます。

○大口委員 今大臣から、この意義についていろいろ深く考えられてのお考えをお伺いしました。
とにかく、犯罪被害者の方は、大事な方を亡くされた遺族を含めまして、本当に精神的にも、あるいは経済的にも苦境に陥っておられる、そういう方々の尊厳を回復していく、名誉を回復していく、そのためにはやはりこの国選弁護士という制度は被害者参加制度を実質的に実効あらしめる不可欠のものである、こういうふうに考えておりまして、今大臣からこの制度に対する意義を確認させていただいて、非常に私どもも同感でございます。
その上で、昨年もこの被害者参加制度についてはいろいろ議論がありました。野党の方から、例えば、法廷を私的闘争の場にするに等しいとか、被告人と直接対峙する被害者が感情的になるというような御懸念もありました。そういうことで、被害者が感情的な訴訟活動をすることにならないようにどうしていくかということでは、やはり検察官が適切に対処するということが必要であろう、こういうふうに思います。
例えば、質問内容を事前に検察官と被害者、弁護士も入って話し合うとかいう形で感情的な質問は防いでいけると思うわけでありますが、あとの感情は当然出てくるわけでありますので、それまで遮ることはできないとは思うわけであります。
そういう点で、この被害者参加制度の成否は検察官にかかっている部分が大きいと思うのです。法廷で、隣に被害者が座られる、多分国選弁護士ないし委任を受ける弁護士はその被害者のさらに隣に座ると思っておるのですけれども。いずれにしましても、検察官の役割が非常に大きいという点では、この被害者参加制度の導入に向けて現在検察庁としてどのような準備をされているのか、研修等を日弁連では行っているということでございますけれども、そういうことについてお伺いしたいと思います。

○大野政府参考人 検察当局におきましては、犯罪被害者等基本法を受けまして、被害者の尊厳、その心情を十分重んじ尊重した検察活動に努めているわけでございますけれども、この被害者参加制度というのは全く新しい制度ということになるわけでございます。
ただいま委員の方から御指摘がありましたように、この制度が円滑に運用されるためには、検察官と被害者参加人との間のコミュニケーションというのが大変重要視されているというように理解しております。
そこで、現在、本検察当局といたしましては、検察官と被害者参加人あるいは今回被害者国選弁護制度が創設された場合には国選弁護人ということになりますけれども、被害者参加人の委託を受けた弁護士等との意思疎通のあり方等につきまして、一体どういう点に留意すべきなのか、またどうすれば円滑な訴訟運営と同時に被害者の正当な訴訟活動が行えるようになるのかという点について検討を進めているところであります。
必要な留意事項等につきまして、現場の検察官に対する周知徹底を順次図っていくものというように承知しております。

○大口委員 これは、ただ単にマニュアル等の書いたものだけで周知徹底ができるかどうかということでありますので、どう周知徹底させるか、研修等も含めたことをやはりよく検討していただきたいと思います。
しかも、この被害者参加制度が十二月には実施されて、そして来年の五月には裁判員制度が実施される、こういうことで裁判員制度も半年ぐらいの間に続けて導入をされるということであります。
そういうことから、前回、定員法のところで最高裁には見解をお伺いしたわけですけれども、最高裁としては、この被害者参加が行われる事件の模擬裁判で、法曹三者でこの運用についても実証的に検討することを予定している、こういう答弁がございました。これも、昨年のこの被害者参加制度の法案の、刑事訴訟法改正の質疑の中でも、被害者の参加により、被告人が不当に重い処罰を受けるおそれだとか、いろいろ混乱が生じるのではないかとか、いろいろなことが委員会でも指摘をされたわけであります。
こういうことで、被害者参加制度自体も初めて、それから裁判員制度というのも、これは非常に大転換の、初めてのことであります。要するに、裁判員制度と被害者参加制度、この新しい制度、初めての制度が次から次へと出てくるわけでございますので、それについての対応、準備についてもお伺いしたいと思います。

○大野政府参考人 今委員から御指摘がありましたように、刑事裁判の現場におきましては、裁判員制度それから被害者参加制度という非常に大きな二つの改革が時を接して行われるということになるわけでございます。
衆議院法務委員会で、昨年の被害者参加制度創設の際の附帯決議におきましても、裁判員裁判に被害者等が参加する場合において、裁判員がこれらの制度の内容を十分に理解できるように努めることというような附帯決議もなされたところでございます。
そこで、法務省といたしましては、今後、この両制度が調和して円滑に運用できるように、被害者が裁判員裁判に参加する場合も含めまして、その運用上の留意点につき、模擬裁判への参加等もあわせて関係機関と協議して検討を進めてまいりたいというように考えております。
それから、被害者参加制度の方が先に実施されることになるわけでありますので、被害者参加制度が施行された後、その運用状況も十分に踏まえまして、これが来るべき裁判員制度の施行できちんと円滑に実施できるようにさらに検討したいというように考えているところでございます。

○大口委員 次に、国選弁護士の選定の請求の要件についてお伺いしたいと思います。
今も赤池先生から御質問がありましたけれども、資力が一定の要件を満たさない被害者参加人について、請求により国費で弁護士を付す、これは原則として費用の償還は不要であるということであります。被疑者、被告人の国選弁護制度においては、これは原則として全部または一部が被告人の負担となる、ただし、裁判所が審理の中で被告人の資力を判断して、訴訟費用の納付ができないことが明らかである場合には被告人の負担とならない。刑事訴訟費用法の第二条第三号ということでこういう取り扱いをしていることからいえば、被疑者、被告人国選弁護人制度よりも、費用の負担は原則として償還は求めないという点は、非常に被害者に配慮された設計になっている、私はこういうふうに評価をしておるわけであります。
そしてもう一つ、この標準的な金額、政令で定める基準額の算定の中に、標準的な三カ月間の必要生計費を勘案して一般に弁護士の報酬及び費用を賄うに足りる額ということで、被疑者、被告人国選弁護では一カ月でありますけれども、それを三カ月ということにしたということも、要件の緩和をしているということで評価をしたい、こういうふうに考えております。
さらに、被害者参加人の資力については、被害者参加人に属する現金、預金等の合計額から、請求の日より三カ月以内に支出することと認められる療養費等の額を差し引くということも、これは被害者の療養等が必要だというような今の状況も十分配慮した仕組みになっている、こういうことで評価をしたい、こう考えておるわけです。
本法の五条第一項において、「手続への参加を許された刑事被告事件に係る犯罪行為により生じた負傷又は疾病の療養に要する費用その他の当該犯罪行為を原因として請求の日から三月以内に支出することとなると認められる費用の額」こういうふうになっておるわけでありますけれども、この療養費等の中には当然医療費が入ります。それから、被害者が通院するために必要な交通費、被害者の通院に付き添う者の付き添い費用あるいは被害者のリハビリ費用とか被害者を介護するための費用等も入ると思うんですね。それとともに、被害者の葬祭費用といいますか、これは本当に悲しいことでありますけれども、そういうことも選定の請求の日以後に支出される場合には入るというふうに考えておるわけでございますけれども、この私の解釈について御見解をお伺いしたいと思います。

○大野政府参考人 現在の法律案で、資力から控除される、犯罪行為を原因として支出することとなると認められる費用と申しますのは、被告事件の訴因に掲げられた犯罪事実を原因とする不法行為に基づく損害賠償として認められる損害から慰謝料と消極損害を除いたいわゆる積極損害、つまり財産を積極的に減少させる損害ということになります。
したがいまして、今委員から御指摘のありました、通院する際の交通費あるいは介護に必要な費用あるいは葬儀代、これらはいずれも基本的に積極損害に含まれると考えられますので、資力から控除される費用に当たるというように考えております。

○大口委員 もう一つ、基準額についてお伺いをしたいと思うんですけれども、基準額は政令で定める、こういうことになっていますが、具体的にどれぐらいの額なのかということでございます。
被疑者、被告人国選弁護の場合は、今も答弁がありました五十万ということでございますね。これは、一カ月の請求料二十五万、それから弁護士報酬費用というのが二十五万というふうに解されるのではないか。そうしますと、請求費が二十五万ということでありますと、三カ月分ですので七十五万、それに弁護士の報酬費用で百万程度となるのではないか、こういうふうに考えられるわけでありますが、この私の認識についてどう考えておられますか。

○大野政府参考人 基本的な考え方につきましては、今委員から御指摘のあったようなことで計算をすることになるわけでありますけれども、実際には、家計調査に関する各種の統計数値あるいは弁護士の報酬等に関する調査結果等を参考にいたしまして、政令で具体的な額を定めるということになっております。

○大口委員 それから、参加弁護士の候補者を指名するに当たっては、法テラスにおいて最適の人を選ぶということはしっかりやっていただきたい、こういうふうに思っております。被害者の置かれた大変厳しい境遇ということをやはり本当に理解して、その運用をしていただきたいと思うわけでございます。
この選定請求が可能となる時期はいつなのか。そして、スウェーデン等は、被疑者の逮捕前といった捜査の初期の段階で被害者支援のために裁判所によって国選弁護士が選任されている、そういう制度もあるわけですね。その時期と、こういうスウェーデン等の制度があるわけですけれども、それとの関係についてちょっとお伺いしたいと思います。

○大野政府参考人 被害者参加弁護士の選任請求のできる時期についてでありますけれども、まず、そのもとになります被害者参加の申し出は、被害に係る事件が起訴された後ということになるわけであります。起訴された後であれば第一回公判期日の前でもすることができるということになるわけでありますけれども、そのように被害者参加の申し出をいたしまして、それにつきまして裁判所から許可を受けた後であれば、これはいつでも被害者参加弁護士の選定の請求ができるということになるわけでございます。

○大口委員 スウェーデンの例もあったわけでございますけれども、これについては、被害の直後から、犯罪被害者の相談、マスコミの対応、刑事告訴、法廷付き添い、訴訟記録の閲覧、謄写、意見陳述の助言等各種の支援について弁護士費用の援助を受ける制度、犯罪被害者等法律援助事業というのがありますね。やはりこれをもっとしっかり活用していくことが大事だ、こう思っておりますけれども、その点について、日本司法支援センターの取り組みについてお伺いしたいと思います。

○深山政府参考人 今委員から御指摘があったように、日本司法支援センターでは、日本弁護士連合会からの委託を受けた事業として、被害者等に対する法律援助業務というのを昨年の十月一日から開始しておりまして、その内容は、日弁連の費用負担で、資力の乏しい犯罪被害者の方やその親族、遺族を対象として、告訴、告発であるとか、犯罪被害者等給付金の申請の代理であるとか、あるいは事情聴取への同行、法廷傍聴への随行といったさまざまな行為について弁護士費用を援助するという事業を行っております。
また、法テラスでは、主要な業務の一つとして犯罪被害者支援業務を行っていまして、これは刑事手続への関与や損害の回復を図るための法制度のいろいろな情報提供、それから犯罪被害者等の支援を行っている相談窓口の御紹介、さらに犯罪被害者等の援助に精通している弁護士さんの紹介といったようなことも行っております。

○大口委員 このほか、経済的支援に関する検討会では、昨年の法改正の中で損害賠償命令制度というのができました。今回の被害者国選弁護士に、それについても代理人として仕事をできるようにしてはどうかという意見もあったと思いますけれども、これについてはやはり法律扶助制度と本当に有機的な連携を図っていくべきであろう、こう思っております。これは答弁は求めません。
最後に、予算でございます。
本法律案の執行に要する経費として、平成二十年度予算には約一千八百万円が計上されていると承知しております。法務省にお伺いしますと、これも半年分百五十件掛ける十二万で一千八百万ということが算出根拠となっておりますが、もしこの額が不足した場合どのような措置を講じられるのか、これは大臣にお伺いしたいと思います。

○鳩山国務大臣 被害者国選弁護を始めるわけですが、実際どの程度の数になるのかが全く予想がつきませんで、予算では、いわゆる法テラスの方で国選弁護関係九十億という予算を要求してつけてもらっています。これはもちろん、被告人国選、それからまだ拡大しておりません被疑者国選の分を全部含めた数字なわけで、事件数の予測が困難なんですが、多分、被害者国選という事件が二万弱ぐらいなのかなという推定をします。現在、意見陳述の制度がありますが、この要求が出てきているのが大体六%ぐらいということになりますと、千何百というオーダーなんじゃないか。その中で、先ほどから議論のあっている資力が問題で国選弁護をつけるというと年間で三百件ぐらいか、そんな推定をしておるわけでございます。
今大口先生おっしゃったように、これを大きく超える、もっとはるかに大きな数になるというような場合になれば、かといってこれは打ち切ることの全くできない事柄でございますので、当然、財務省等にかけ合って、私がしっかりやらなければならぬことだと思っております。

○大口委員 時間になりましたので、以上で終了させていただきます。ありがとうございました。

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