大口よしのりの政策・実績

大口よしのり国会質問

大口よしのり国会質問

2008年5月15日

169-衆-本会議-29号 平成20年05月15日

○大口善徳君 公明党の大口善徳でございます。
私は、自由民主党、公明党を代表し、ただいま趣旨の説明がありました特定商取引に関する法律及び割賦販売法の一部を改正する法律案について質問をいたします。(拍手)
質問に先立ちまして、一言申し上げます。
去る五月二日にミャンマーにおいてサイクロンによる大災害が発生し、九日のホームズ国連事務次長の発言によれば、被災者は百二十万から百九十万に及ぶとのことであります。また、十二日には、中国西部の四川省でマグニチュード七・八の大規模地震が発生し、多数の死傷者、行方不明者が出ています。いずれも、いまだ被害の全貌は明らかではありませんが、甚大な被害が発生しており、被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。
生命の危機にさらされている多くの人々を救うのは、まさに時間との闘いであり、政府におかれては、最大限の迅速かつ実効性のある支援をお願いいたします。
質問に入ります。
近年、相次ぐ食品事故、製品事故に加え、高齢者等をねらい撃ちするような悪質商法の横行は、看過しがたい社会問題であります。
我が国において、安全、安心な社会を形成することは極めて重要な課題であり、特に、消費者重視の行政は、福田内閣が一番力を注いでいる政治の方向性でもあり、今や、消費者を重視した取り組みこそが、新たな価値を生み、経済の活性化にもつながる時代となっています。政治も行政も企業も、そうした生活者や消費者の目線でこれまでのあり方を見直すことが求められているのでございます。
こうした中で、特に悪質な訪問販売等によるトラブルへの対応は待ったなしであります。中でも、商品やサービスごとに分割払いで購入する個別クレジットは、利用限度がないため、次々に契約を結ばされ、気がつけば多額の支払い義務を負う事態が起こっております。
例えば、認知症の年金生活者の女性に対し、複数の呉服会社がクレジット契約を通して、売買代金総額で三千万もの大量の呉服を次々販売したケースを初め、とても返済を見込めないような人に対してもクレジット契約による過剰与信が行われ、被害が拡大しています。
公明党といたしましても、悪質商法トラブルから高齢者等の消費者を守るため、昨年五月に法改正を含め具体策を検討するプロジェクトチームを立ち上げ、クレジット過剰与信の被害者や弁護士など関係者から被害実態を聞き取り、問題点を絞り込むなど、法改正に向けて精力的に党内論議を重ねてまいりました。
昨年十一月には、甘利経済産業大臣に、特定商取引法及び割賦販売法の両法の改正について、一、行政監督の及ばなかった個別クレジット会社を登録制とする、二、悪質販売の場合、クレジット会社は既払い金を返還する、三、一部を除き、原則としてすべての商品、サービスを法規制の対象とするなど、十項目にわたる申し入れを行ったのであります。
今回の改正案は、我が党の申し入れ事項の多くが取り入れられ、訪問販売等の規制を強化し、販売業者の悪質な行為に関し、加盟店契約を結ぶクレジット会社にも責任を負わせるなど、悪質商法問題に対する大きな前進をもたらすものと期待をしておりますが、以下の諸点について質問をさせていただきます。
まず、本改正案は、被害の未然防止と被害者救済に向けて、抜け穴のない規制体系とするために、特定商取引法及び割賦販売法において指定商品・役務制を廃止し、原則としてすべての商品、役務を規制対象とする原則適用方式を採用しております。
今後、特定商取引法から適用除外とされる商品、役務の整理が必要となりますが、安易に適用除外分野を拡大し、ネガティブリストのもと適用除外品リストを必要以上に複雑化すれば、法改正の本旨が損なわれるとも考えられます。適用除外の基準の考え方や適切かつ早期の明確化について、経済産業大臣にお伺いいたします。
次に、過量販売対策についてお伺いします。
例えば、ひとり暮らしの高齢者などに執拗な勧誘を繰り返して、不必要なものを大量に購入させるような商法は極めて悪質性が高く、最後には貯金も家も処分せざるを得ないような悲惨な被害が生じている状況であります。
今回の改正案は、訪問販売の場合に、日常生活において通常必要とされる分量を著しく超える商品、役務の販売、すなわち過量販売について、契約締結時から一年間は契約解除できることとしました。しかしながら、不適切な過量販売につき、消費者側の立証責任が重くなるようでは、使い勝手が悪いものになります。立証責任の軽減について、本改正案でどのような手当てがなされているか、経済産業大臣の御見解をお伺いいたします。
既払い金の返還制度についてお伺いします。
現行の割賦販売法では、販売方法に問題があって契約が無効になった場合、未払い分の支払いの拒絶が認められていますが、既に支払った分については消費者に返還されず、被害救済が十分でありませんでした。
本改正案では、訪問販売等で、特商法が定める不実告知等の不適正な勧誘や過量販売を行った場合、クレジット契約を取り消すことができ、支払い済みの代金も返還されることになった点については高く評価すべきであります。
ただ、特商法の対象でない店舗販売等は規制の対象外であり、販売会社が倒産した場合も既払い金返還請求が認められないなど、なおも問題が残されているのではないかと考えておりますが、これらの被害者救済のあり方についてどのようにお考えか、経済産業大臣にお伺いいたします。
悪質な次々販売の被害事例の中には、年金暮らしの高齢者など支払い能力に乏しい消費者との間で高額な個別クレジット契約を結んでいる場合が多く、悪質な販売を排除するためには過剰与信問題を解決しなければなりません。
現行法では、クレジット会社には過剰与信の防止が義務づけされておらず、返済能力のない人とは契約を結ばないよう求める努力規定のみでありました。
今回の割賦販売法改正でクレジット会社に過剰与信の防止が義務づけられましたが、その判断基準について、与信可能な額を年収の一定割合以下とするなどの総量規制を導入すべきとの意見もありますが、できる限り具体的な数値基準の原則を示すことにより、実効性のあるものにすべきであると考えます。この点について経済産業大臣にお伺いいたします。
今回の法改正は広範多岐にわたっており、重要な変更を伴うものでありますので、消費者、特に被害の多い高齢者には、特段の配慮をし、地方自治体とも協力して、わかりやすいパンフレットの配布やきめ細かな説明など、工夫を凝らして広報活動を展開するなど、制度の周知徹底を図る必要があります。
また、民事ルールが消費者生活相談等を通じて円滑に利用され、消費者被害を未然に防止するための消費者教育も重要であります。さらに、クレジット会社、訪問販売業者等の事業活動に及ぼす影響も極めて大きく、法施行に当たって混乱のないような万全の準備も必要です。
経済産業大臣の施行へ向けての取り組みについて、お伺いいたします。
本年四月二十三日、福田総理は、消費者行政推進会議において、消費者を主役とする政府のかじ取り役となる消費者庁(仮称)を来年度から発足させ、地方分権を基本としつつ、地方の消費者行政の立て直し、強化のため、国が講ずべき支援等を検討する旨明言されました。
本年一月の代表質問で、我が党の太田代表も、消費者庁をつくるべきだと長年の主張を改めて主張いたしました。
消費者庁の創設へ向けての取り組みについて、内閣官房の消費者行政を担当されている岸田大臣に、また、地方の消費者行政の強化への取り組みについて増田総務大臣に、それぞれお伺いいたします。
以上、本法律案に関し、消費者保護の観点から、重要課題について御質問させていただきました。
公明党は、今後とも消費者の視点に立った政策を推進すべく、政府とともに全力を尽くしてまいることをお誓いし、質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。(拍手)
〔国務大臣甘利明君登壇〕

○国務大臣(甘利明君) 大口議員の御質問にお答えをいたします。
まず、特定商取引法の適用除外の基準の考え方、その早期の明確化についてのお尋ねであります。
訪問販売等に関する特定商取引法の規制の適用除外とするべき商品等につきましては、改正法案に掲げているもののほか、訪問販売等に関し消費者の利益を適切に保護することができると認められる法律の監督下にあることを要件として政令で定めることとしております。
具体的には、消費者保護のための措置を講ずることが可能となるような法目的であること、消費者被害発生時における是正措置が現に整備されていることの二点を満たす法律の監督下にあるものを政令で定めることとしております。
政令の策定につきましては、法案成立後、早急に準備作業に取りかかり、内容を取りまとめる予定であります。
次に、過量販売契約の解除における消費者の立証負担の考え方についてのお尋ねであります。
御指摘のとおり、特に過量販売契約につきましては、被害者が高齢であることも多く、消費者の立証負担の軽減は重要な課題であります。
現在、特定商取引法や民法の取り消し規定を根拠として事業者と争う場合、事業者が悪質な行為を行ったことを消費者側が立証する必要があるため、特に高齢者の方々には利用が難しい面がありました。
このため、今回の改正案におきましては、過量な販売が行われたことをもって消費者が契約解除等を主張することができる根拠規定を創設しまして、被害者の立証に関する負担を軽減することを意図いたしております。
次に、既払い金返還が認められない店舗販売や、販売会社が倒産した場合における消費者被害の救済についてのお尋ねであります。
既払い金返還規定につきましては、消費者トラブルが集中をし、不意打ち性や取引の複雑性が高く、消費者の自由な意思表示が困難になりがちな訪問販売等について対象とすることとしております。
御指摘の店舗販売につきましては、今回の改正で、個別クレジットを行う業者を登録制の対象とするとともに、店舗販売の場合も含めて消費者からの苦情を適切に処理するよう義務づけており、これにより消費者トラブルへの適切な対応が可能になると考えております。
また、販売業者が倒産した場合の既払い金返還につきましては、クレジット業者がクレジット契約の締結前に調査を尽くしたとしても、倒産の可能性をあらかじめ把握することは極めて困難であることから、倒産という事実のみでクレジット業者に既払い金返還を一律に請求できるようにすることは適切ではないと考えております。
続きまして、過剰与信防止義務について、判断基準として数値基準を示すなど実効性のある規制にすべきではないかとの御指摘であります。
クレジット審査では、年収のほか、債務の支払い状況、販売する商品の価値などさまざまな要素を総合的に見て支払い能力を判断すべきでありまして、一律の数値基準を定めることは適当ではないと考えております。
一方、今回の改正案では、消費者が居住用資産を処分したり、必要最低限の生活維持費を支払い原資に充てることなく、支払い可能と見込まれる額を超えるようなクレジット契約を禁止することで過剰与信を防止することとしております。
また、訪問販売等に個別クレジットが利用される場合について、事業者の恣意的な判断がなされないよう、具体的なガイドラインを示すなどによりまして、今般の改正規定が実効性のあるものとなるよう、適切な運用を図ってまいります。
最後に、制度の周知徹底等、改正法の施行に向けた取り組みについてのお尋ねであります。
御指摘のとおり、今回の法改正は、指定商品制、指定役務制の廃止を含む大規模な改正でありますので、内容の周知徹底が重要と認識をしております。
法律、政令、省令のみならず、ガイドラインや通達も十分に整備した上で、消費者の方々、実際に消費者が頼りとする消費者相談員の方々、規制の対象となる事業者の方々に対しまして、それぞれきめ細かな周知を行ってまいる所存であります。
また、消費者相談の窓口であるとともに法執行の一翼を担っていただいている地方自治体とも十分な連携を図り、スムーズな法施行を目指してまいります。
以上です。(拍手)
〔国務大臣岸田文雄君登壇〕

○国務大臣(岸田文雄君) 消費者庁の創設に向けての取り組みについてお尋ねがありました。
御指摘のとおり、去る四月二十三日開催いたしました第六回消費者行政推進会議において、福田総理から、消費者庁の創設に向けた基本的考え方として、六つの基本方針と守るべき三つの原則について発言がありました。
今後は、総理のお示しになったお考えを踏まえ、消費者行政推進会議において取りまとめに向けた議論を引き続き進めていただき、その取りまとめを受け、政府としての方針を決定してまいりたいと考えております。
その中にありまして、消費者行政推進担当大臣といたしましては、一つは、地方の窓口機能の充実を初め情報一元化の仕組みをしっかりとつくっていくこと、二つ目としまして、集約した情報を分析し、対応できる専門性を兼ね備えた新組織をつくっていくということ、そして三つ目としまして、新組織が消費者行政の司令塔たる役割を果たせるようしっかりとした権限を付与すること等を重視しながら、消費者の視点から政策全般を監視し、消費者を主役とする政府のかじ取り役となる消費者庁の来年度発足に向けて努力していかなければならないと考えております。(拍手)
〔国務大臣増田寛也君登壇〕

○国務大臣(増田寛也君) 大口議員から、地方の消費者行政の強化への取り組みについてお尋ねがございました。
消費者行政の強化のためには、国に消費者庁を創設するのみならず、地域の現場で直接消費者の方々への対応をする地方公共団体の体制の強化が不可欠である、このように考えております。
先般、福田総理から示されました消費者庁の創設に関する指示の中でも、地方分権を基本としつつ、地方の消費者行政の立て直し、強化のために、当面、国が講ずべき支援策のあり方について検討するよう求められているところであります。
消費者問題に迅速かつ的確に対応するための地方への権限移譲や国の支援策等につきまして、担当大臣である岸田大臣と十分協力の上、検討を加速してまいります。
以上でございます。(拍手)

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