大口よしのりの政策・実績

大口よしのり国会質問

大口よしのり国会質問

2008年5月30日

169-衆-法務委員会-14号 平成20年05月30日

○大口委員 公明党の大口でございます。
きょうは、酒巻参考人、斎藤参考人、土師参考人、原参考人、お忙しいところありがとうございます。
土師参考人については、私も著書を読ませていただきました。被害者の側の思いというものを述べていただきまして、本当にありがとうございます。また、原参考人は、みずから見事に更生された、そういう体験もお持ちになってここに来られたことに対して敬意を表したいと思います。
酒巻参考人にお伺いします。
まず、少年法の目的、少年の健全育成がある、そのことから、審判の形式について、二十二条の第一項で、審判は懇切を旨とし和やかに行うものとする、こういうことで決められているということであります。それと、平成十六年に犯罪被害者の基本法、そして十七年に基本計画ということで、やはり犯罪被害者の個人の尊厳にふさわしい処遇をするということも、これは非常に大事な目的であります。その二つの目的をどう調和するかということで、いろいろと法制審議会で御苦労をされたと思うのですね。
少年の健全育成の目的ということと傍聴を認めるということとの関係性でいきますと、考え方として、少年の健全育成にプラスになる場合だけ傍聴を認める、積極的にプラスになる場合だけ傍聴を認める、こういう考え方が一つあります。もう一つは、健全育成の妨げにならない限りできるだけ傍聴を認めるべきだと。こういうふうに、調和の関係、傍聴をかなり制限した形で考えるものと、できるだけ広く認めようという考えがあると私は思うのですね。
この点について、法制審議会でどういう議論があったか、あるいは先生はどういうふうにお考えなのか、お伺いしたいと思います。

○酒巻参考人 御質問ありがとうございます。
今議員がおっしゃったような問題の整理の仕方で、正面からの議論は余り行っていないと思います。
そこで、私の考えを述べますと、少なくとも、おっしゃいましたように、少年の育成に役に立つ場合に限って傍聴をお認めするという考え方もあろうかと思いますけれども、基本的な発想としては、確かに少年法の基本目的から出発しているわけです。
今回の立法は、その大枠の中で何よりも実現すべき目標であったのは、これまで審判そのものを見るという観点からは完全に排除されていた犯罪被害者の方々の思い、そしてその背景にあるのは、その前にできた基本法であります犯罪被害者の方の尊厳にふさわしい扱い、そっちがやはり出発点でございますので、そっちを出発点にして、しかし、それを全面的に推し進めた場合に基本理念と衝突する場合もあるかもしれない、それをどうやって法律的に対処して調和的な制度をつくるか、そういう形であったというふうに私は理解しております。

○大口委員 土師参考人にお伺いします。
著書の中でも、少年法の壁という表現をされておられました。そして、傍聴制度、本当に真実を知りたい、こういう思いがつづられていたわけでありますが、今、酒巻参考人のこういう考え方に対してどのように評価されるか、お伺いしたいと思います。

○土師参考人 被害者、被害者遺族の思いとしましては、そういう制限なく本来でしたら傍聴はぜひさせていただきたい。先ほど申し上げましたけれども、真実を知るということ、そして加害少年、そしてその両親の実際の生の状況を見たいというのは、被害者遺族の思いです。
ただ、法律的なこともありますので難しいところだと思うのですけれども、その中の妥協できる範囲までは最低持っていっていただけたらというふうに個人的には思います。

○大口委員 この考え方について、斎藤参考人はどういうようにお考えですか。

○斎藤参考人 私の考えは、日弁連の意見書にも書いてありますが、少年審判規則二十九条の範囲で現行法でもできるという立場でございます。
少年審判規則二十九条の立場は、まさに少年の健全な育成に資する場合に裁判官が審判廷に被害者の在席を認めることもできるではないかということだと思います。つまり、少年審判規則二十九条は、親族あるいは教師、あるいはその他少年の立ち直りの援助者となり得る方の在席を認めるという規定ですね、書きぶりですから。となれば、その被害者の存在が少年にとっても更生にプラスになるという場合がないわけじゃないと思います。
例えば、非常に小さな万引きであっても、被害者にとってみては、その被害、盗品は大変な重い貴重なものである、それを被害者から直接伝えることによって、少年がその反省の意を強くあらわしていくこともあり得る、そういうような場合は、まさに少年の立場にとってプラスであろう。そういう場合に限って、私どもは、被害者の在席、場合によっては傍聴という形も認めてもいいかもしれないという立場でございます。

○大口委員 このように、関係性、相当性の判断をする場合にもいろいろな考え方があるわけですね。そういう点で、この相当性の判断のことを考えてみましても、原則どうなのかということが非常に大事になってくると私も問題意識を持っております。ただ、やはり平成十六年の犯罪被害者等基本法の精神というもの、被害者の個人の尊厳というものを大事にしていきたい、私もこう考えておる次第であります。
次に、酒巻参考人に、例えば触法少年につきましては、一般的、類型的に、精神的に未熟である、脆弱性がある、こういう類型であります。そういう点で、少年の年齢というものを相当性の判断の一番最初に持ってきておられるということであれば、やはり相当性の判断をする場合、触法少年ということについては、その判断の中で考えていく大きな要素ではないかな、こう思います。さらに、ある一定の年齢、例えば小学生のような場合は、傍聴の影響性というのはかなり大きいのではないかということも私は事実ではないかと思います。
そういう点で、触法少年あるいは小学生というようなことで傍聴に対する一つの制限を認めたり、あるいは認めないということについての立法政策上の観点からの御見解をお伺いしたいと思います。

○酒巻参考人 御質問どうもありがとうございます。
先ほど意見を述べたときにも少し触れましたけれども、今回の立法は、現在の法制度の中の、十四歳、触法かどうかという枠で類型的に傍聴を認めないという制度にはしておりません。しておりませんけれども、やはり少年の年齢、特に年少であるということは、傍聴による影響について大変重要な考慮要素でございますので、まさに裁判官の相当性の判断の要素として明らかに少年の年齢というのを記載しているところだろうと理解しています。
その上で、今先生がおっしゃいましたとおり、触法の中でさらに年少である、たしか前回の少年法の御審議で、少年院に入れる可能性、形としては、原案は十四歳未満でも可能ではあるけれども下限はつくっていなかったわけですけれども、それを、国会の御審議で下限を設定されたということも承知しております。
一つの立法政策として、触法という類型ではないけれども、その中でさらに年少である場合に、やはり余りにも小さいので、これ以上若い人については立法として一律に傍聴を認めないという考え方も私はあり得るだろうと思っています。
ただ、現在の立案された法制度でも同じような結論は、恐らく健全な裁量をする裁判官であれば、まさに考慮要素の中に年齢というのが入っているわけですから、条文がなくてもあっても、多分、年少の場合にはほとんど同じ結論になるのではないかというふうに想像はしております。
以上です。

○大口委員 私も、さきの委員会質疑で、モニター傍聴についてお伺いをしたわけであります。特に、被害者の方が同じ部屋で加害少年と顔を合わせたくないというような場合に、選択肢の一つとしてそういうモニター傍聴を認めてほしいという場合が私はあると思います。それに対して種々の弊害があるということもありますけれども、私は、やはりできるだけ、何が起こっていて、少年がどういう少年なのかということを知るための選択肢というのはふやしていくべきではないかな、こう思っております。
そのことにつきまして、土師参考人のモニター傍聴についてのお考えと、それから原参考人には、別室でモニターで被害者が見ておられる場合と審判廷にいらっしゃる場合の少年としての心理的な感覚はどのようなものか、これは想像になると思いますけれども、お伺いしたいと思います。

○土師参考人 傍聴につきましては、私自身が思います原則は、実際に審判廷での傍聴が原則だというふうに思っております。
被害者側としては、どうしても同じ空気を吸うのも嫌だという方もおられますので、そういう場合はモニターでもいいのかなというふうに思います。それと、裁判官の判断でこれはモニターの方がというふうに判断された場合はいいのかなというふうには思いますけれども、基本的には、審判廷での傍聴が原則だというふうに私自身は思っております。

○原参考人 モニターと直接傍聴するときの少年心理の違いですけれども、やはりモニターである以上は、直接近くに、数メートル先に被害者がいるよりかは心理的には多少緊張状態が和らぐのではないかとは思いますけれども、見られていると知った以上は言動自体が、言葉を崩しますけれども、格好つけた言葉になってしまうといったことには違いはないと思います。

○大口委員 今回こういう法改正をするに当たって、私は、やはり裁判官あるいは捜査に当たる者、そして付添人の役割は非常に大事だな、こう思っております。加害少年が本当に反省するかどうかということにおいて付添人というのは非常に大事でございますし、また傍聴を認めるという上において付添人の役割が大事ではないかなと思いますが、日弁連を代表されています斎藤参考人からお伺いしたいと思います。

○斎藤参考人 おっしゃるとおりでありまして、やはり付添人制度は極めて重要だと思います。
私どもは、基本的に、先ほど述べたように、傍聴制度は望ましくないと思っております。しかし、どうしても一部でもそれを導入するというのであるならば、それは付添人、弁護士の法的援助は不可欠であるというふうに思います。それなくしては、まさに子供が被害者の前で物が言えなくなる状態になるだろうというふうに思います。それは、まさに適正な審理とは言えないと思います。適正手続の観点から、付添人は欠かせないということを申し上げます。

○大口委員 ありがとうございました。

○神崎委員 今回の少年法の改正案につきまして、与野党で修正合意ができました。これは大変喜ばしいことだと思います。
修正案についてお尋ねをしたいわけです。
先ほど水野委員もお尋ねになりましたが、触法少年に係る事件の傍聴について、十二歳未満に係る事件を傍聴の対象から除外をいたしました。十二歳で区切った理由はということでありますが、触法少年については精神上未成熟であるということを十分考慮して判断するということでもよかったのかな、何で十二歳ということでやる必要があったのか、その点を含めてお答えいただきたいと思います。

○大口委員 ただいまの御質問にお答えしたいと思います。
触法少年というだけで、やはり一般的に精神の発育が十分でなく、その心情の安定への配慮の要請がより大きいということで、今回その配慮という規定を置かせていただいたわけであります。
さらに、低年齢の場合、特に中学校に入学する年齢を目安にして、十二歳未満の少年については、やはりこれは十分配慮をしなきゃいけない。
ただ、少年院送致のときにも、昨年改正をさせていただきましたけれども、やはり小学生という状況の中で被害者に傍聴を許すという、その影響性というのは相当大きいだろう、こういうことで、一定の年齢ということで、どこを切るかということであったわけでありますが、中学校に入学する年齢を目安にする、こういうことでございます。
先ほども御案内がありましたように、十二歳未満でこの対象事件に係るというのは相当レアケースであります。小学生がこういう重大犯罪を犯すということについては、やはりその環境等も十分配慮しなきゃいけないという意味におきましても、こういう規定を置かせていただきました。

○神崎委員 最後に、弁護士である付添人の意見聴取について、意見聴取の手続をとればいいのかどうか、付添人の意見が反対ということであれば傍聴を許さないということになるのか、ちょっとそこの考え方を。

○大口委員 お答えいたします。
付添人は、やはり加害少年のいろいろな相談を受ける、そして、とにかくいろいろと教育もしていく、そして更生に対して努力をしていく、そういう点で、少年と付添人の信頼関係というのは非常に特別のものがあると思うんですね。
そういうことからいきますと、傍聴を許可するに当たって、やはり裁判所がきめ細かくその相当性を判断する場合に付添人から意見を聴取していくということは非常に大事なことでありますし、また、傍聴を許す場合にもしっかりと付添人の意見を聞かなきゃいけない、こういうことにしたわけであります。
ただ手続として意見を聞きさえすればいいのかというと、そういうものではありませんで、付添人が傍聴に反対した場合、では必ずその意見に拘束されるかというと、そうでもない。しかし、家庭裁判所が知らないような事情をその付添人から聞かされる、こういうこともありますので、傍聴を許すことが相当でないと認められるに至ったときは傍聴を許さないことになると考えられますけれども、付添人の意見を十分聞くということです。裁判所ですから拘束はされませんが、付添人の意見を十分聞くということでございます。

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