大口よしのりの政策・実績

大口よしのり国会質問

大口よしのり国会質問

2009年3月17日

171-衆-法務委員会-3号 平成21年03月17日

○大口委員 公明党の大口でございます。
本日議題となりました裁判所職員定員法の一部を改正する法律案につきまして、同法第一条の関係では、民事訴訟事件及び刑事訴訟事件の適正かつ迅速な処理を図るとともに、裁判員制度導入の態勢整備を図る等のため、判事の員数を四十人及び判事補の員数を三十五人増加すること、並びに、第二条関係の、民事訴訟事件、刑事訴訟事件及び家庭事件の適正かつ迅速な処理を図るとともに、裁判員制度導入の態勢整備を図る等のため、裁判所書記官等を百三十人増員するとともに、他方において、裁判所の事務を簡素化、合理化、効率化すること等に伴い、技能労務職員等を百二十七人減員し、以上の増減を通じて、裁判所職員の員数を、これは裁判官以外でありますが、三名増加するということでございまして、これについては賛成をいたします。
ただ、きょうも弾劾裁判所訴追委員会で、準強制わいせつの裁判官のことについて私も質問することになっておるわけでありますけれども、ストーカーの事件を起こしたり、準強制わいせつ事件を起こしたり、あるいは判決書を偽造する職員がいたりということで、これは個人の問題というより裁判所としてのコンプライアンスに非常に欠ける面があると私は思います。この点につきましては質問しませんけれども、今後二度とこういうことがないように、しっかり厳しく対応していただきたい、こう思う次第でございます。
さて、裁判の迅速化、専門化ということで増員を進めてきています。平成十三年四月十六日に最高裁が司法制度改革審議会に対して、訴訟の迅速化、専門化への対応と裁判官制度の改革を主たる目的として、今後十年間で五百人程度の裁判官の増員が必要である、こう回答して、平成十四年から司法制度改革の中で位置づけられて計画的に増員が図られているわけであります。今回の改正案が成立しますと、裁判員裁判制度導入の五年間百五十人も今回達成するわけでありますが、それとは別に八年間で三百六十七人の裁判官の増員が達成されることになります。
平成十三年当時の司法制度改革の議論を踏まえて、この計画的な増員が大きく進展した今、これまでの増員の成果について検証するべき時期が来ていると思うわけであります。最高裁として、裁判官増員の成果が予想どおりあらわれているところと反対にあらわれていないところを、具体的な数字を示しながらお答え願いたいと思います。
また、民事訴訟事件や家事事件が急増している状況にあって、今後新たな増員計画について最高裁がどのようにお考えになっているかもお伺いしたいと思います。

○小池最高裁判所長官代理者 お答えいたします。
委員御指摘のとおり、司法制度改革審議会におきまして、計画的な増員の構想を明らかにしたわけでございます。
その趣旨といいますのは、裁判官の増員を図りまして、それによって裁判官の手持ち件数を減らすことによって、判決までに、その当時平均で二十カ月以上かかっていた証人調べのあるような手ごたえのある地裁の民事訴訟の審理を、一年以内に終了できるようにしたい旨の意見を述べました。ところで、平成二十年の末ではその平均審理期間というのが十八・九カ月程度かかっておりまして、まだここのところは達成できていないというところがございます。
しかし、改善されたところもございまして、例えば、地裁の民事の未済事件のうち、その当時、二年を超える事件というのがおよそ一万二千件ございました。それが二十年の末では半減しまして、六千三百件程度まで減少しております。また、その当時、専門訴訟について非常に時間がかかると言われておりましたが、例えば医事関係訴訟、平成十二年には三十五・六カ月、約三年かかっておりましたが、二十年末には二十四・〇カ月、約二年というふうに短縮されておりまして、その他専門訴訟等は大幅に期間短縮されている。ここは非常に改善されていったところでございます。
今後の計画でございますが、委員御指摘のとおり、地裁の民事訴訟事件は非常に急増しておりまして、平成二十年には二十万件に達しました。また、家事事件につきましても非常に増加傾向が顕著でございまして、二十年に七十二万件に達しております。また、事件の中身につきましても、世の中の動向を反映しまして、やはり事件内容は多様化、専門化、複雑化するというところがございます。
そういった意味で、中長期的には事件の数、中身とも非常に増していく、あるいは難しくなっていくと思われます。
また、法曹人口がふえるということになります。これについてはいろいろな観測がございますが、やはり事件の量あるいは内容等も難しくなるだろうという観測がなされているところでございまして、今後、裁判所、こういった中長期的な見通しのもとに人的体制の充実を図ってまいりたい。やはりこういった国民の期待にこたえる適正、迅速な裁判を目指し、事件動向を踏まえつつ、引き続き計画的な人的拡充を図ってまいりたい、かように考えております。

○大口委員 この増員の目的の一つとして、裁判官の手持ち事件、これを司法改革審議会のときは、当時、百八十件を百三十から百四十に減らすべしと。こういうことで四百五十人ぐらい必要だ、こういう積算をされているわけであります。
そういう中で、今、最高裁は、国会に対して、東京や大阪など一部の裁判所の裁判官の手持ち事件数についてしか明示していないんですね。ですから、最近の東京、大阪の状況はどうなのか。それから、裁判官の手持ち事件数を減少させることを目的の一つとして増員を行っている以上、地方の裁判官の手持ち事件数はどのように減少しているかということも具体的な数字を示すべきである、こういうふうに考えます。
そして、今の、地方については単純には示せないということであるならば、やはり新たな数値目標というものを立てて、そして地方の裁判官の負担の適正化ということの目標を立てなければいけない、こういうふうに考えておりますが、いかがでございましょうか。

○小池最高裁判所長官代理者 まず、東京、大阪の手持ち件数の状況を御説明申し上げます。
平成十三年当時、委員御指摘のとおり、東京では大体百八十件くらいの手持ち件数ということだったわけであります。東京の通常民事部の裁判官一人当たりの手持ち件数であります。これが平成二十年度末では、東京地裁の民事の通常部で約二百三十件程度、大阪地裁の方では大体二百件程度となっております。平成十三年の末はそのぐらいでございまして、一時これは減少傾向で百六十件台ぐらいまで減っていったのでありますが、その後事件がふえてきているというような状況がありまして、今このような水準になっているというところでございます。
それで、地方の裁判官というところで数値目標を立てるべきではないかということでございます。
私どもも、この点は長年いろいろ考えておるわけでありますが、地方の裁判官に一義的に数値目標を立てるというのはなかなか難しゅうございます。と申しますのは、御案内のように、例えば地方の支部の場合には、一人の裁判官が刑事事件、民事事件、あるいは家事事件、少年事件をすべて取り扱っている場合がありますし、地方の本庁ですと、やはり複数の事件を取り扱っている場合がございます。
それでまた御案内のように、訴訟事件と、例えば破産執行事件とかいう事件につきまして、また一件の裁判官の負担が大分違いますし、それから、事件の中身も大分違います。例えば、単純な売買という事件も、売買代金だけが争いになっている場合と、契約の趣旨が争いになっている、そういうところまでになりますと、これはいろいろ違い、一件の重みが違ってくるというところで、一義的になかなか数値目標を挙げるのが困難であるというところがございます。
ただ、これは事件数というものが非常に大きなファクターでございまして、それを目安にしつつ、今委員御指摘のように手持ち件数、未済の件数、あるいは事件の動向、それから現場の負担感、そういったものをきめ細かく聴取しまして、負担の適正、あるいは適正な事件処理の体制を築いていく、このような体制をとっておりますし、今後もそういうようなことで考えてまいりたいと思っております。

○大口委員 ですから、今後の増員計画を立てるわけでありますから、きちっとこれは国民にも説明できるように、やはりちゃんと数値目標を立てて、そしてそのためにはこれだけ必要なんだ、そしてどれだけ達成されているのかということを、裁判所はもっと積極的に国民の皆さんに説明すべき義務があると私は思います。ちょっとそんな努力が不足していると思っていますので、しっかりやっていただきたいと思います。
次に、法科大学院の定員削減の件でございます。
法科大学院の修了者を対象にした新司法試験、平成十八年から始まっています。当初、合格率は七割から八割ということを目指していたと思うわけでありますが、平成十八年の合格率は四八・三%、平成十九年は四〇・二%、平成二十年は三三%と、これは到底及ばない数字になっている。社会人がリスクを冒して入学するかという話にもなってきて、多様な人材を育成していくということにならないわけでございます。
昨年九月三十日に、中央教育審議会から法科大学院の教育の質の向上のための改善方策、中間まとめが公表されました。これは本年四月中旬に最終まとめが予定されているわけでありますが、この中間まとめで、今後、法科大学院の質の一層の向上のため、入学定員の規模に比して質の高い教員の数を確保することが困難である、志願者数が減少し競争率が低いため質の高い入学者を確保することが困難である、修了者の多くが司法試験に合格していない状況が継続している状況が見られる法科大学院については、みずから主体的に入学定員の見直しを個別に検討する必要があるとしているわけであります。
このような動きを受けて、文科省が昨年十月二十日から十一月十一日まで全国七十四法科大学院に対してヒアリングを行った結果、全体の四分の一を超える十九校が平成二十二年度入試から入学定員の削減をするということ、そして、このほか四十九大学院が定員の見直しについて検討を始める、こう回答しておりまして、法科大学院の九割が定員削減を検討しているわけであります。
ことしの一月十六日、日弁連の新しい法曹養成制度の改善方策に関する提言は、新しい法曹養成制度について、「その理念との乖離が一部で生じていることから、社会の幅広い需要に応える多様で質の高い法曹を養成するため、」「地域的な適正配置に配慮しつつ、法科大学院の一学年総定員を当面四千名程度にまで大幅削減すること。」としているわけでございます。
私の方は、前々から四千人ぐらいにすべき、こう言っているわけでございますが、法務大臣は、所信表明で、これからの司法を支える質、量ともに充実した法曹を確保するために、新たな法曹養成制度の整備の状況等を見定めながら、平成二十二年ころに、司法試験合格者数を三千人程度とすることを目指す、また、法曹養成のプロセス全体の改善に努めるとおっしゃっているわけでございます。法務省も、異例のことでありますけれども、昨年の文科省のヒアリングに加わった、こういうふうに聞いております。
現在五千八百人の法科大学院の定員は適切かどうか、また、このような法科大学院の定員削減をめぐる動きについて、法曹の質の維持の観点からどのように考えておられるか、森法務大臣にお伺いしたいと思います。

○森国務大臣 私は、質、量ともに充実した法曹を養成するためには、各法科大学院が新たな法曹養成制度の中核的な教育機関としてその修了者の質を向上させる必要があるというふうに思っております。したがって、全法科大学院の入学総定員について何名が適当であるかということはともかくといたしまして、各法科大学院の修了者の質を向上させる観点から、みずからの判断により入学定員を適正化というか削減することは望ましいことであるというふうに考えております。
今委員から御指摘ありましたように、法務省といたしましても、先ごろも文部省に協力してヒアリングを行ったところでございますけれども、法科大学院の教育の改善を促進するために、文部科学省に協力してその方向の努力に努めていきたいというふうに思っております。

○大口委員 時間が来ましたので、以上で終了いたします。ありがとうございました。

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