大口よしのりの政策・実績

大口よしのり国会質問

大口よしのり国会質問

2009年3月18日

171-衆-消費者問題に関する特別…-3号 平成21年03月18日

○大口委員 公明党の大口善徳でございます。
総理初め野田大臣にお伺いをさせていただきたいと思います。
さて、ことし一月五日の本会議でこの特別委員会が設置されまして、今回ようやく審議が始まったわけでございます。
その中でございますけれども、例えば、中国の冷凍ギョーザの事件がありました。保健所、地方自治体、関係省庁との情報連絡が不十分であった、あるいは、食品に関する全体的なリスク管理が問題があった、司令塔がなかった、安全基準は適切であったか、こういう問題点があります。
あるいは、ガス機器一酸化炭素中毒事故につきましても、これは、事業者から報告徴収が不十分であったんじゃないか、あるいは、経産省の関係部署間での事故情報の共有が不十分であったんではないか。長期にわたって適切な対応がなされなかった、そして死亡事故が続発して、とうとい命が失われた。
また、コンニャク入りゼリーの事故につきましても、事業を規制する法律がなかった、こういう点ではすき間になっていた。
これまでの行政のあり方につきまして、こういういろいろな問題があったわけでございます。
そこで、今回の政府案でございますけれども、やはり、今のこの状況を考えますと、行政にメスを入れていく、そして今までの行政はどこが悪かったのかということをしっかりやっていく、そして行政の中に消費者庁をつくる、また地方の消費者行政というものを充実させる、これが大事だということで、今回法案ができたわけでございます。
そういう点で、民主党の案は、どちらかというと、行政の外ということで、隔靴掻痒の感があるわけですね。監視機能だということを聞いておるわけでありますが、むしろ行政の中で、行政の仕組みを変えていく、こういうことが私は大事ではないかと思う次第でございます。
そういう点で、今回のこの消費者庁の関連三法案、これを国会に提出するに至ったわけでありますけれども、行政についてどのように問題があると考え、今回のような法案になったのか、消費者庁設置の意義とともに、総理自身から、国民に対して御説明をいただきたいと思います。

○麻生内閣総理大臣 今、大口先生からも御指摘ありましたとおり、これまでの行政組織というものは、明治にさかのぼって殖産興業、戦後も経済復興、いろいろスローガンを掲げてやってきたときには、生産者、製造者、もしくは事業者という方向に、育成していくという立場にあった行政が主になされてきたんだと思っております。
しかし、現実問題、今言われましたいろいろな事例が挙げられておりますとおり、最近、ここ数年、いろいろな問題になった事件というものは、間違いなくこれは、食料に関して、またエレベーター等は物に関して、いろいろな分野にわたって、それを利用している消費者にとりまして多くの問題が起きているというようなことが事件としてなっております。人も亡くなっておられる。
そういった状況の中にあっては、少なくとも、縦割り行政でだれの責任といったときに、単純にその役所の所管であるのが明確であればよろしいんですが、先ほど事件、例を挙げられましたように、多省庁にまたがるというようなことになりますと、なかなか問題は簡単にいかないということが出てきて、複数省庁横断的になってきていると対応はどうしてもおくれる。結果としてそれは被害者にとって原因の究明がおくれる、対応がおくれるということです。
今回は、消費者の関連三法案というものは、こうした課題、今申し上げたような課題に対処するために、新たに消費者庁というものをつくって、各省の持っております法律をここに集中させて、一元的に、かつ横の連絡は迅速に、そういったようなことをやり、かつ自分なりにやれる、自分の省で決断をしてやれるというような形にしていって、いわゆる生活者に立った方向に転換をさせていくというところが今回の法律を出させていただいた主たる背景であります。

○大口委員 そういう中で、政府案では、表示、取引、安全、業法、その他ということで、二十九本の法律が移管されたわけですね、消費者庁に。これにつきまして、二十九本の移管法以外に、他の省庁に対しては勧告できないのではないかというような誤解が今あるわけでございます。
この二十九本というのは消費者に身近な法律ということで、この二十九本の所管を移しますと、大体消費生活相談の関係で大半はカバーできるということで移されたわけでありますけれども、これ以外の法律についても、これは勧告とかあるいは措置要求とかいろいろできるわけでありますが、そこら辺の誤解について、野田大臣の方からわかりやすく説明していただきたいと思います。

○野田国務大臣 消費者庁は、新法消費者安全法案に基づいて、各省がそれぞれ所管する法律の規定に基づく措置を速やかに実施するよう関係大臣に対して要求する権限を持つことになります。この措置要求は、消費者庁がみずから所管または共管することとなる二十九本の法律による措置以外を対象とするものであり、消費者被害の発生または拡大の防止を図るために必要な措置を広範にカバーするものでございます。
きのうの本会議で、民主党の田名部委員から、金融分野や薬事、医療関連などの問題に消費者庁は関与できないのではないかという御懸念をいただいたところですが、それは全く誤解でございまして、消費者庁は幅広に各省庁に対して措置要求をすることができます。
この措置要求は、内閣の一員たる内閣総理大臣から同じく内閣の一員たる各大臣に行うものであり、かつ各大臣は内閣の統括のもとに一体として行政機能を発揮するものであることからすると、各大臣がこれに応ずることが期待される、大変実効性の高いものだと思います。
以上です。

○大口委員 このイメージ図を見ていただきますように、この右の上に勧告、措置要求があるわけですね。これで各省庁に対して要求できるということになるわけです。これによって被害の発生とか拡大を防止するということで、総理大臣の名前でやるわけですから、非常にこれは効果がある、こういうふうに考えているわけでございます。
そしてさらに、消費者庁というのはいろいろな権限を持っているわけでありますけれども、私は、大事なことは、この真ん中の長官という下に、情報を一元的に集約し、調査分析する、それから、消費者行政の司令塔として各省庁に対し勧告をする、また、縦割りを超えて新法を企画立案する、さらに、この二十九本の所管をするとともに、消費者安全法に基づき、各省への措置要求、すき間事案への対応、こういう形で、しっかりとした権限を持っているわけです。
例えば、マルチ商法の被害について言えば、新しい法律また改正というようなことが企画立案できるわけであります。そして、消費者庁みずからも立入検査をしたり業務停止命令、こういうこともできるわけでございます。
あるいは、コンニャクゼリーについて言えば、すき間事案であって、厚生労働省、農水省、経産省の規制の対象外というわけでありますけれども、消費者安全法によって、この左下にありますように、消費者事故について公表、注意喚起、こういうことができますし、また、事業者に対して、勧告、これは安全使用の方法、あるいは、譲渡、引き渡しの禁止、回収命令、こういうこともできるようになっておりまして、かなり強力な権限を持っている、こういうふうに私は考えております。
それから比べますと、民主党の消費者権利院の方は隔靴掻痒の感があるんじゃないかな、私はそう思うわけでございます。
そして、消費者政策委員会、これは非常に大事な委員会だと私は思います。この緑の、消費者政策委員会、これは、消費者の声、意見というものをやはり消費者行政に反映させなきゃいけない。それから、消費者庁、二百四名ですか、これは役人ですね。それに非常勤の専門家も八十人ぐらい入るそうです。この中には民間の方をどんどん入れてもらいたいと思いますが、さらにこの消費者政策委員会、ここがやはり消費者の意見や声がしっかり届く、そういう点でいえば、消費者庁を透明化する非常に重要な委員会である、こう思います。
そこで、有識者と書いてあるんですが、私は、その構成員として、消費者団体、消費生活センターの相談員の第一線で頑張っていただいている方あるいは長年にわたって消費者問題に携わっている実務に詳しい弁護士、こういう人がやはり現場の声を代表できる人ということで入っていただきたい、こういうふうに思います。
もう一つは、消費者政策委員会の事務局、これも大事でございまして、これは役人任せではないんだ、消費者政策委員会というのは消費者の声が反映できるんだ、こういうことからいきますと、事務局につきましてもやはり消費者サイドの事務局でなきゃいけない。そういう点では、消費者サイドを担保できるような、そういう事務局をどうこれからつくり込んでいくか、これが大事だと私は思いますが、野田大臣の御意見をお伺いしたいと思います。

○野田国務大臣 まさにおっしゃるとおりで、消費者庁ができることがすべてではなく、やはりそれをしっかりと国民目線、消費者目線で監視し、その運営がちゃんと運んでいるかどうか、そういうやはり強いカウンターパートがいなければならないわけで、今委員がお示しいただいた図の中に、見てわかるように、長官と消費者政策委員会というのは同じ位置にあるわけですね、立場が。そのくらい強力なものをやはり想定させていただきたいと思います。
委員につきましては、設置法に基づいて、消費者が安心して安全そして豊かな消費生活を営むことができる社会の実現に関してすぐれた識見を有する方のうちから内閣総理大臣が十五名以内で任命するということになっておりますので、今委員がおっしゃったような方々も含めて、いろいろ幅広く検討していただくことになると思います。今、具体的にどのような方ということは言及できませんけれども、最も適任の方々に参画いただくことが重要だと考えております。
また、事務局につきましても、おっしゃったように、独立性をしっかり担保して務めていただかなければならないというふうに思っております。

○大口委員 ここは肝ですから、よろしくお願いしたいと思います。
そして、この消費者政策委員会というのは、これはちょっと誤解があって、政府からの諮問があった場合にしか調査審議し意見具申ができないというようなことではなくて、消費者政策委員会が独自に、当然、調査審議し意見具申ができる、こういうことでございます。そこが政府で一般に置かれている審議会と違う、非常にこの消費者政策委員会というのは権限が強い、ここについても御答弁願いたいと思います。

○野田国務大臣 大口委員おっしゃるとおり、一般の審議会とは異なり、消費者政策委員会は、広範かつ強い権限を有するものとなっております。
具体的には、消費者政策の基本方針等の企画立案、消費者庁を含めた関係府省庁の政策の評価、監視について意見を述べるとともに、内閣総理大臣が各省大臣に対し個別の行政処分を求めるなど消費者安全法の執行に関する意見を述べる権限を有しているということになります。

○大口委員 そこで、総理、この消費者政策委員会、これは、みずからの判断で必要だと考えました重要事項について意見具申ができる、その意見を踏まえて、内閣総理大臣がみずからの責任のもとで各省大臣に対して措置を講じるよう求めることができる、こういう仕組みになっているわけでございます。
消費者庁が一日も早く発足していただきたいわけでございますけれども、消費者政策委員会から総理に対して意見具申された暁には、麻生総理としてどのような対応をされるのか。そして、政府案に対して、時の総理のやる気次第で、実効性がないというような批判もあるわけでありますが、この意見具申というのは制度的にも非常に実効性のあるものだ、こういうふうに考えております。総理の御意見を賜りたいと思います。

○麻生内閣総理大臣 消費者の政策委員会というのは、ここに書いてありますとおり、消費者の意見が直接届く、透明性の高い仕組みということで設けられたものであります。したがいまして、法律に基づいて、消費者行政にかかわります、いわゆる重要事項とか、消費者の被害の発生の拡大が防止される、そういったようなことを考えたときに、これは、内閣総理大臣に直接具申ができるということにしてある仕組みというか、組織なんだと思っております。
当然のこととして、そういう組織からの意見具申というのは大変重要なものでありまして、これは、どなたであろうと、内閣総理大臣という立場になれば、消費者に拡大しようとするのを防止するというのは一つの例ですけれども、そういった意見が出されたときは最大限尊重するのは当然のことだと存じます。

○大口委員 今回の法案のもう一つのポイントは、霞が関改革だけではなくて、消費者行政の最前線といいますか、消費者にとって最も身近な地方公共団体における消費者行政機能の充実が重大な課題である、こういうふうに思うわけでございます。
ところが、この消費者問題の現場の最前線の消費生活センターの相談員の方々、事件は四倍も五倍もふえる、しかし予算は半減だ、そういう中で大変な思いをして仕事をされているわけです。そして、相談員の方々は、それこそ、相談者の心を開いて、そして問題の本質を聞き出す能力が必要ですし、また、事業者に対して説得したりあるいは指導したりするということで、事業者に対してもそういうことをやらなきゃいけない、身の危険を感じることもある。また、新しい悪徳商法だとか新しいサービスですとか商品、販売形態というのが出てきますので、自己研さんもやる。法律もどんどん変わっていますから、それにも追いついていかなきゃいけない。こういうことで、相談員の仕事というのは、非常に高度で専門性を要求されるわけでございます。
しかしながら、この相談員の方々は、非常勤の一年更新、中には三年や五年の雇いどめがあり、給与水準も低い、退職金もボーナスもないのが現状です。ちなみに、相談員の年収について、全国消費生活相談員協会の平成二十年五月の報告書によりますと、一カ月十七日以上の勤務者の場合で、百五十万円から二百五十万円未満が七〇・八%、こういう状況になっているわけでございます。
そういう点で、今回予算で、平成二十年度の第一次、第二次の補正予算あるいは二十一年度の予算で、財政的にかなり力を入れたと考えます。例えばその中で、都道府県に地方消費者行政活性化の基金を百五十億積む。その中で、やはり相談員の養成が大事ですし、研修に皆さん行きたいんですね。だから、上限一日一万五千円という手当もつくというようなこと等、配慮はしていると思うんです。
それから、この地方消費者行政活性化基金の方は人件費が出ないんですね。ですから、鳩山大臣にも聞きました。また、野田大臣も努力されていますが、地方交付税の基準財政需要額、これを倍増した。単価でいえば百五十万を三百万にした、こういうことなんです。
ですけれども、実際に、では相談員の方がその給与が上がっているかというと、それは努力しようとしているところもありますけれども、私は総理にやはり、地方分権ということはもちろん踏まえなければいけませんが、大号令をかけていただきたい、発信していただきたい、こう思うわけでございます。
そして、私、実は午前中の民主党の質問の中で、小宮山提案者に対して、実は相談員の身分について、また消費生活センターについて国の事務だということで、国家公務員の身分なんですね、民主党の場合。それは緊急避難的な措置だ、いずれ地方に戻す可能性がある、こういう答弁をされているんです。だから、国家公務員というのはあくまで緊急避難的なものであって、いずれ地方に戻すと。それに対して小川委員の方から、ああよかった、こういう発言が出ているわけでございます。
私は、第一線で苦労されている相談員の方々が、この身分が国に行ったり地方に行ったりというようなことを、私はそういうことを答弁されるのはいかがなものかと。本当に、この消費生活相談員の方々がこれを聞いて、身分が国なのか地方なのか、それは緊急避難なんだ、こういうことも私は問題かなと思っております。総理から御答弁願います。

○麻生内閣総理大臣 大口先生、今の話だけですと、私はほかの方がいろいろ言っておられることが正しいと思っているわけじゃありませんよ。ただ、あなたの話だけだと、その発言をされた現場におりませんので、ちょっと何ともお答えのしようがないのですが、一回国家公務員にしてからまた地方公務員に戻す、何のためにですか。その意味が理解できないので、ちょっと、今聞いた範囲だけだと、何のために地方公務員を国家公務員に、また地方公務員に戻すか、何の意味か、目的がさっぱりわからぬと思います。

○大口委員 もう少し説明しますと、相談員の待遇をばらつきをなくすためにとりあえず国家公務員にする、これは緊急避難だ、だからまた地方に戻す、こういうことでありました。
では、総理、この待遇を改善する、これについても一言答弁をいただきたい。相談員の待遇を改善するということもお聞きします。

○麻生内閣総理大臣 待遇の改善については、多分これは鳩山大臣の方から、たしか百五十から三百とかいろいろお話を既にしておられると思いますが、これは地方に対して交付税などなど、いろいろ措置をさせていただいております。
ただ、それをきちんと使っていただいて対応していただくというのが大事なところで、そういった意味では、それがきちんと使われているか否か、これは総務大臣なり消費者担当大臣なりがきちんとそれをフォローしてもらわなければならないと存じますが、こういった新たな仕事をしていただくためにしかるべき処遇をするのは当然のことだと考えております。

○大口委員 本当に消費生活相談員の方々の処遇というものを、鳩山大臣も、これは地方交付税であるから、地方分権というのがあって、ただ、お願いはすると。それから、野田大臣も、各首長さんに対してお願いをするということでございまして、やはり首長さんの意識を高めていただく、そういうことは総理ができると思うんですね。
そういうことで、しっかり努力していただきたいと思いますが、その点、もう一言御答弁願います。

○麻生内閣総理大臣 新しい役所ができて、それに基づいて法律ができて、きちんとその意識が地方、千八百の行政体、いろいろな表現がありますけれども、そういったところに徹底していくのに少々時間はかかるとは思います。
しかし、意識を変えるというのは大変大事なところでありまして、そういった意味では、今申し上げたように、きちんとしたそれに伴う処遇、待遇というものを考えるのは当然のことだと思いますので、最大限の努力をさせていただきたいと存じます。

○大口委員 ありがとうございました。以上で終了します。

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