大口よしのりの政策・実績

大口よしのり国会質問

大口よしのり国会質問

2009年3月27日

171-衆-消費者問題に関する特別…-7号 平成21年03月27日

○大口委員 公明党の大口でございます。
下谷内参考人、国府参考人、きょうは、お忙しいところありがとうございます。
また、下谷内参考人は相談員を長年やられて、本当に一番よく実情をわかっておられます。きょうもしっかり聞いていきたいと思います。あるいは国府参考人も、この消費者問題について弁護士の活動を通して多角的に仕事をされているということで、しっかりお伺いしてまいりたいと思います。
まず、国府参考人の御発言の中で、消費者庁は今、二百四名で予算を九十三億ということなんですが、それで、今回そのほかに補正予算で二百五十五億ということで、大体三百五十億ぐらいになります。観光庁は定員が百三名で予算が六十三億だと思うんですが、今、一千億で二百名ということであったんですけれども、この点はどういう計算をされたのか、ちょっと御確認だけしておきたいと思います。

○国府参考人 先ほど、私の記憶間違いかもしれませんがという前置きをしておりましたので、私自身、自分で調べて正確な情報を持っているというのではなくて、観光庁の設立に頑張っておられた私の地元のある議員の方から、今度こんなすばらしい観光庁ができたんだというお話を伺った際に、二百人規模で一千億の予算規模だというふうにお伺いしたので、そのような対比で申し上げました。
ですから、もし間違っておるようでしたら、訂正させていただきたいと思っております。

○大口委員 それでは、まず下谷内参考人、今回、相談員のやはり処遇についてお話をしていただきました。これは、昨年の十一月の国民生活局の調査を見ておりますと非常にその実態がよくわかります。それで、直接これは国民生活局に送り返してもらうということで、本音が出ておるような感じがいたします。
これを見ましても、先ほど下谷内参考人も紹介されましたように、非常勤が九八・五%、平均年収が百六十五万円、それから超過勤務手当なしが七九・三%ということであったり、あるいは雇いどめもある、また一年が契約期間であるということでございました。
そして、いろいろな本音がここに書かれておりました。例えば、PIO―NETが陳腐化しているとか、モンスター市民がふえて大変だとか、相談員の育成には五年は必要だとか、あるいは相談員のレベルアップをするために他の職員との連携も大事であるとか、さまざまな本音が出ております。
このアンケートによりますと、待遇についてかなり不満である方が二三・九%、不満であるという方が四八・四%、七二・三%の人が今の待遇に対してかなり不満あるいは不満である、こういうふうに回答されています。
そして、その不満の原因として、給与水準、これが六四・二%、正職員との待遇差が四八・四%、昇給制度の不備、これは、昇給がないですから、何年やっても給与は変わらないということですので、これが四三・七%、相談業務への法的位置づけの不備が三八・三%、それで、研修の不備が三七・五%。こういうことで、不満が、やはり給与水準だけじゃなくて、正職員との待遇差とか昇給制度の不備、それから相談業務への法的位置づけの不備、研修の不備、こういうことが出ております。
そこで、給与水準も、鳩山総務大臣は私の質問に対して、百五十万を三百万にこの基準財政需要額を倍増するということをおっしゃったわけでありますが、これについては、相談員の方が一番当事者でございますので、やはり、しっかりチェックをしていただくとともに、首長さんが本当に意識を持っていただく。この地方消費者行政というのは非常に大事だということを首長さんが本当に自覚していただかなきゃいけない。
そういう点では、全国レベルの組織でございますので、やはりまた下谷内参考人の方からも発信をしていただきたいと思います。
今このアンケートについてどう考えておられるのか、感じておられるのか、それから、同じく、国府参考人についてもこのアンケートについてのお考えをお伺いしたいと思います。

○下谷内参考人 ありがとうございます。
まず後ろからいきますと、総務大臣の人件費の増額につきまして、私どももありがたく、御質問していただきまして回答を引き出していただきましたことに感謝を申し上げます。
私どもも、先ほども申し上げましたように、首長さんの考え方一つによりまして非常に左右される問題で、それは消費者にとってどのような影響を及ぼすかということを十分考えていかなくてはいけないと思っております。私どもも、先生がおっしゃられました、全国組織でございますので、できるだけ監視を続けてまいりたいと思いますし、また先生方もぜひ御監視をお願いしたいと思っております。
もう一点は、先ほど国民生活局が調査されました資料をもとにお話をされました。実は、私が申し上げておりますのは、ほとんどが私どもで実態調査した報告書をもとにお話ししております。ただし、書いている者はほとんど同じでございますので、問題点はないかと思います。それを踏まえて御説明申し上げたいと思います。
先生がおっしゃられましたように、モンスター消費者だとか、PIO―NETの陳腐化というのはPIO―NETの不備ということではないかと思います。
これらにつきまして、確かに、今消費者に情報が中途半端に行っておりますので、消費者は権利の主張をされる方も時にはあるかと思います。それはほんの一部の御相談者のことでありまして、普通の御相談者、消費者というものは、真剣に自分がどうあるべきか、そして私はなぜこんな生活を送らなければならないのか、なぜこのような状況になったのかということをほかの御相談者の方は真剣に考えていらっしゃいます。
確かに、いろいろな御相談者がお見えになりますので、時間をとってしまうこともあります。しかしながら、ひたすら聞くということもありますし、またそれは適度にこなさなければならない、相談員の重いところでもございます。それは、相談員だけでやれることではなくて、職員との連携が必要かと思います。そのためにも、職員の専門性ということを十分お願いしたいと思います。
相談員の五年でということでございますが、確かに、先ほど国府参考人もおっしゃられましたように、雇いどめが非常に多くなってきております。それは、平成十六年の総務省の地方行政の非常勤職員等についてのが出ましたので、それに合わせて、地方行政は、相談員の首を切るためにはこれが手っ取り早いということで使われたものと考えております。
しかしながら、国府先生もおっしゃられましたように、私もさきに申しましたように、相談員というのは一朝一夕でできるわけではございません。五年というのは、やっと相談員は五年で一人前かなというような状況で、実際に私も長年相談しておりましたときに、やはりこれは長期に相談を受け、長期になりますと、いろいろな法律も変わるから、だんだん年がいって困難ではないだろうかという御意見もございました。それは間違っております。たとえ、どんなに高齢になったとしても、その相談員は自分のために相談を受けているのではありません。地元の消費者がどのようにして安心、安全な生活ができるか、その一点にかかって、そのために研修を日夜励んでいるわけです。ほとんどの日当がその研修と交通費代に終わってしまうわというふうにおっしゃる方もあります。
実は、私どもで、ある九州の地方で相談員がどうしてもいない、何とか一人派遣してもらえないだろうか、だれかを紹介していただけないだろうかということがございました。だけれども、資格を持っている者、そして地方には相談員がなかなかおりません。そのときに、七十を過ぎて、退職しておりました相談員だったんですが、ともかくこの人を使ってみてください、それでだめならば考えましょうということで送りました。
確かに行政は、えっ、こんな年だからそれはだめです、新しい法律がいっぱいできているからというようにすごく抵抗されましたが、今おたくの相談窓口で人が必要である、そして、被害に遭われた方を救済するということをお考えならば、まず使ってみてください、その上で御判断していただきたいと。人を派遣するのに、人身売買でもないんですけれども、ともかく使ってみてください、そしてそれが不満であれば、何か問題があればおっしゃっていただきたいと申し上げましたところ、とてもすばらしい相談員を紹介していただいた、この人ならば大丈夫ですし、新しい相談員が入ったときに十分指導ができるということで、今現在もその方は相談員として働いております。
それがまず一つの見本ではないだろうかなと思います。試験を受けて頭でっかちではなくて、やはりどのようにこの御相談者がここに来てくれたか、思いを真剣に受けとめているわけです。
したがいまして、雇いどめのようなものにつきましては、いろいろな相談員がおりますが、私どもとしてはできるだけ適切な相談員を配置していただければと思っております。
他の職員との連携とか、不満があるかどうかということでございますが、やはり何度も申し上げますように、職員が真剣に取り組まないと、御相談というものは相談員一人だけではできません。ですから、ぜひ職員との連携を強く求めていきたいと思っております。
給与が非常に低いということに関しましては、何度も申し上げておりますので、そこのところは先生があのような御答弁を引き出されたことに関しまして、非常に感謝と御礼を申し述べたいと思います。
研修等におきましても、ほとんど自腹で行っております。今度、新しく活性化基金で、いろいろな形で研修ができるということをお考えいただいておるようでございますが、一人でも多くの消費者の被害を救済し、また情報を発信し、そして日本全体が安心、安全な生活を送れるためには、ぜひ御検討のほどをよろしくお願いしたいと思います。

○国府参考人 今のアンケートの中に、研修が非常に不十分であるという御不満があったように今委員の御質問でも聞きましたが、私も多くの相談員の人たちと接していて、その点を感じます。
相談員の人たちの中にも、非常によく勉強されて熱心に取り組まれて、弁護士顔負けぐらい法律をよく知っている方が大勢いらっしゃいます。しかし、その人たちの勉強というのは、ほとんど自費で、みずからがやっています。例えば、週末に相談員同士で研究会をやって、そこに弁護士を講師で招いて勉強会をやったり、すべて自費でやっているわけですね。
今回、第二次補正予算で活性化基金がつくられて、研修に国のお金がどんどん使われていくというのは非常に歓迎しておりますが、そのときに、例えば国民生活センターへ行くための旅費であったり宿泊費であったり研修参加費というだけではなくて、相談員が研修に行っている日もやはり給料をちゃんともらえる、つまり、そういう手当てが必要だと思いますね。休みの日に研修するのではなくて、給料をもらっている勤務日に研修ができるということが必要だと思います。そういう措置を内閣府の方では工夫していただいているというふうには聞いておりますが、必ずそういう裏づけがなければだめだという点です。
それから、どんどん法律が変わっていきますから、座学でいろいろ法律を勉強するということも必要です。そのためには、地方にいても、例えば国民生活センターからインターネットなんかで講習内容が送られてくる。今、弁護士も、全国でそれをライブ研修ということでやっていますが、そういった工夫もやっていただいて、新しい法律もそれで学んでいく。
それも、やはり勤務時間内にそういう勉強をする時間が与えられなきゃならないと思います。そうでないと、みずから自発的に頑張る人はよく勉強するけれども、勉強しない人はいつまでたってもレベルは上がらないということでは困ります。
もう一つは、そういった座学だけではなくて、事例研究会的な勉強が大事だというふうに言われております。大阪では、大阪府内の消費生活センターの相談員と大阪弁護士会とが月に一回、共同事例研究会というのをやりまして、そこにみんなが事例を持ち寄って、事例検討の形で紛争の解決の方策を議論しておるわけです。ただ、残念なことに、その事例研究会に出られるのが、各市町村、相談員一人ずつしか来られないわけですね。例えば私の地元の枚方市では、六人だったか八人だったかいる相談員が毎回一人しか来ない。そうすると、年に一回か二回しかそういう共同事例研究会にも参加できないという問題があります。
そういった意味で、給料を支給しながら研修する機会を与えることによって、相談員全体のレベルアップを図っていくことが必要です。
これはまだ、大阪は相談員の皆さんが有資格者ばかりで、非常に恵まれた地域での話です。ところが、地方に行けば、都道府県センターですら有資格者が余りいないというのも多くあるというふうに聞いています。その意味から考えると、相談員のための研修体制をどうつくるのかというのは非常に重要だし、急務だと思っています。
それから、もう一点申し上げたいのは、そのように非常に研修をしてスキルを高めていった相談員が、一方では、官製ワーキングプアという言葉が去年あたりから言われ出しました。あれはたしか、自民党の消費者問題調査会に相談員の皆さんなんかも呼ばれて実態を御報告された際に、非常に劣悪な条件だという中で官製ワーキングプアという言葉が出てきたようですが、やはり私たちは、相談員の人たちにしっかり研修して高いスキルを求めていく、そのかわり、相談員の待遇もきちっと保障していくんだ、そういったものがこれからの相談員には求められていると思います。
これまで、相談員制度が最初できたときのように、漬物の漬け方を先輩の主婦として教えるだけでよかった、その時代とはもはや違うんだということで、高いスキルとより高い待遇を保障する、そういった相談員の待遇制度であってほしいなというふうに思っています。

○大口委員 消費者庁を設置する法案あるいは権利院を設置する法案が出ておるわけでありますが、これは与野党で合意に向けてやっていくわけで、何とか発足させていきたいと思います。そうなってきますと、やはり消費生活センターにさらに期待が高まるわけでありまして、そして窓口の一元化ということで、さらに、二十四時間三百六十五日という問題もいろいろ御提示ありましたけれども、そういう点では充実を図っていかなきゃいけない、こう思うわけです。
そういう中で、民間委託あるいは指定管理者制度、こういう形でNPO等が、大阪もそうですが、消費生活センターに派遣する、こういう形態について下谷内参考人は疑問を呈しておられる。雇いどめ防止のためにこういう形をするようでありますけれども、これについてどうお考えなのか、簡潔にお二人からお話をお伺いしたいと思います。

○下谷内参考人 ありがとうございます。
私どもの意見書におきまして、ここの点につきましては、今おっしゃられましたように雇いどめがあるということで、反対意見を出させていただきました。
確かに、私が勤務しておりました消費生活センターも、消費者協会に委託をいたしておりました。ただし、それは本課から一〇〇%予算がついておりまして、ほかから来るわけでも全くないというような状態でございましたので、消費生活センターを維持運営するためだけにつくられた消費者協会でございました。その場合でしたらば、民間委託といいながら運営がうまくできております。
ただし、昨今の指定管理者制度の問題がありまして、なかなか困難なことであるかと思います。NPOだとか指定管理者制度になりますと、それは三年とか五年になったときに、改めてまた入札制度等が起きるわけでございます。
ある行政では、雇いどめをなくすためにNPOをつくればいいじゃないかということで、NPOをつくったところもございます。しかしながら、根本的な運営に関しまして、三年とか五年で新たな問題が起きるということについては相談員も勉強不足であったかと思いますが、その辺のところにつきましては何ら手当てはされていないということになってまいります。
したがいまして、できるだけ地方行政の中でしっかりと運営していただけるということが必要なのではないかと思います。それはやはり地元の消費者のためにという、この一言でございます。

○国府参考人 私は、民間委託については問題があるというふうに考えております。
先ほど申し上げましたように、相談を受けるというのは、紛争をあっせんで解決する、そういうサービス的な側面だけではなくて、やはり、事業者指導とか企画立案に結びつけるという、まさに公権力の作用に直接影響する、そのまず末端というかセンサー的な役割があるという点で、そういったものを民間に委託していいのかということで、否定的だというふうに申し上げたいと思います。
私の地元の大阪府は、もう四、五年、これをやっておりますが、うまくいっているかのように言われておりますけれども、これは、民間委託はおかしいということをみんなが批判して、大阪府も、批判されている以上、きちっとやらないといかぬものだから今きちっとやれているだけで、民間委託というものがうまくやれるという本質を持ったものではないというふうに思っております。
以上です。

○大口委員 そういう中で、相談員の待遇をよくするために、国家公務員化ということを民主党さんも提案されているわけなんですが、こういう消費生活センターの中の相談員というのは、センサー機能といいますか、持っておられまして、今、事業者に対してもちゃんと指導をする、指導してもだめな場合は、それこそ、本庁の取り締まり部局と連携して、それで行政処分等をやる。静岡県の場合、結構それがうまくいっているんです。
そういうことからいくと、身分が違うということについては、支障が出てくるんじゃないか、現場の混乱が出てくるんじゃないかということについて、下谷内参考人と国府参考人、もう時間も少なくなりましたので簡単にお願いしたいと思います。

○下谷内参考人 国家公務員という案も出ておりますが、地方行政を充実させるために今回のこのようなことを考えられておりますし、やはり私は、何度も言っておりますように、そこに住んでいる消費者がどのように救済されるか、安心、安全な生活ができるか、この一点でございます。
したがいまして、国家公務員というのはなじまないし、また、相談員の中で、私は国家公務員、あなたは非常勤職員だというように、二重行政になりかねません。やはり地元の行政の中で検討していただくということが一番必要なのではないかなと思っております。

○国府参考人 私は、冒頭に申し上げたように、考え方としては国家公務員化はあり得るというふうに考えております。
ただ、現場で今反対の意見があるのは、今の現状の中にそういったものを持ってくるという、現状を改善するという立場からすると、非常に異質なものが入ってくるという意味で反対があるんですが、これを根本的に、そういう相談業務を国の責任でやるんだというふうに考えて変えていくことができれば、それも一つの方策かと考えております。

○大口委員 時間が終了しましたので、これで終わらせていただきます。ありがとうございました。

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