大口よしのりの政策・実績

大口よしのり国会質問

大口よしのり国会質問

2009年4月17日

171-衆-法務委員会-6号 平成21年04月17日

○大口委員 公明党の大口でございます。
それでは、質問をさせていただきたいと思います。
きょうは、公訴時効の問題と、裁判員制度の中で障害者の皆さんに対する配慮、この二点についてお伺いしたいと思います。
まず、過去二十年間、昭和六十三年から平成十九年、公訴時効を迎えた殺人事件は何件か。これに対応する認知件数、昭和四十八年から平成四年のうちどれくらいの割合になるか。認知件数も含めて、御答弁願いたいと思います。

○大野政府参考人 まず、昭和六十三年から平成十九年までの二十年間におきます、殺人で公訴時効により不起訴になった人員の合計でありますが、九百九十人であります。
それから、先ほど昭和四十八年から平成四年までの二十年間という御指定でございましたけれども、これは公訴時効期間が十五年であるということで、先ほど申し上げた昭和六十三年から平成十九年までの二十年間に公訴時効完成により不起訴になった事件に対応する認知件数、こういう御趣旨かと思いますけれども、その殺人の認知件数の合計は三万四千九十三件になっているというように承知しております。

○大口委員 そうしますと、計算しますと、大体二・九%、認知件数の二・九%が時効を迎えている、これが殺人事件の場合であるということでございます。
当委員会におきましても、昨年の十一月十四日、神崎委員から、殺人罪の公訴時効の廃止問題については質問がありました。そのときに、かなり法務省としては慎重な答弁に終始されたわけでございます。しかしながら、法務省では、本年の一月から公訴時効勉強会を開始し、三月三十一日に「凶悪・重大犯罪の公訴時効の在り方について」という当面の検討課題の取りまとめ、いわば中間報告を出されたわけであります。
この中間報告を見ておりますと、今までの公訴時効制度の改正の必要性について、それぞれの論点、例えば、証拠の散逸や被告人の防御との関係とか、被告人の事実状態の尊重との関係とか、あるいは処罰感情等の希薄化との関係等々で、今までの前提としていたことについての問題提起も含まれていると思います。そういう点で、昨年の十一月から比べて、今回の取りまとめというのは少し前へ進んだ方向性にあるのかな、こういう印象がありますが、この点どうなのか。
それから、この勉強会の今後についてお伺いするわけでありますが、第二ステージはいつごろからスタートするのか、また、本年夏ごろまでを目途に一定の方向性を出すとのことでありますが、いつごろになるのか、お伺いしたいと思います。

○大野政府参考人 公訴時効勉強会をスタートさせました趣旨、きっかけといいましょうか経緯でございますけれども、被害者や遺族を中心といたしまして、殺人等の凶悪重大犯罪の公訴時効制度について見直しを求める声が寄せられたということがございます。また、ただいま委員から指摘がありましたように、当委員会でもその点について検討を求める御意見も承ったところでございます。そうしたことを踏まえまして、本年一月から省内勉強会を開催いたしまして、公訴時効のあり方等について検討を行ってきたものであります。
今回、中間取りまとめを行ったわけでありますけれども、今後さらにこの勉強会を継続いたしまして、被害者団体、学者等の有識者、関係機関などから意見を聞くなどして、さらに検討を進めていきたいと考えております。勉強会の開催日程につきましては、速やかに開催することができますよう現在調整中であります。
また、次の取りまとめを行う時期につきましては、これは今後の検討状況等にもよることでありますので、現段階におきましては夏ごろという以上に具体的なことを申し上げることはできない状況にありますので、御理解いただきたいと思います。
いずれにいたしましても、そうしたいわば第二ステージの検討をいたしまして、その次の取りまとめにおきましては、凶悪重大犯罪の公訴時効のあり方について一定の方向性が出せるように、速やかに検討を進めてまいりたいと考えているところでございます。

○大口委員 この夏ごろに一定の方向性が出た場合、法務省として、そういう法案というふうなことも考えられるわけでありますが、その場合は法制審議会の審議を経る必要があるのではないかなと。そこら辺の、その先についてお伺いしたいと思います。

○大野政府参考人 先日公表いたしました省内勉強会の中間取りまとめ「凶悪・重大犯罪の公訴時効の在り方について」でありますけれども、これは一定の方向性を打ち出したものではございません。現在のところ、これはまだ白紙でありますが、基本的な論点の整理を行うことができましたことから、とりあえずこの段階で国民の皆様にお示しすることとしたものであります。
そして今後、いわゆる第二ステージの検討をいたしまして、先ほども申し上げましたように、この公訴時効のあり方について一定の方向性を得るべく検討を進めてまいりたいと考えておりますけれども、現段階では法制審議会に諮問するのかどうかという点も含めまして、その後の進め方についてまで決めているわけではございません。そうした点につきましては、今後の検討の結果を踏まえて考えていきたいというふうに考えております。

○大口委員 昨年、二〇〇八年の七月十六日に毎日新聞が実施した世論調査があります。殺人事件の時効を、維持すべきだが一五%、なくすべきだが七七%となっています。法務省としても、この勉強会をやっておられるわけでございますけれども、やはり、内閣府の世論調査等、国民の世論というものを、マスコミだけじゃなくて政府としても私はやるべきであると思っておりますが、いかがでございましょうか。

○大野政府参考人 先ほどお答えいたしましたように、省内勉強会の中間取りまとめにつきましては、これは法務省のホームページにも掲載いたしまして、国民の皆様方にお示ししているところでございます。
今後、凶悪重大犯罪の公訴時効のあり方について検討を進めていくに当たりましては、いわゆる世論調査というやり方をとるかどうかはともかくといたしまして、何らかの方法で広く国民の皆様の御意見を伺うことについても検討してまいりたいと考えております。

○大口委員 それから、ヒアリングを行う予定だと聞いております。私は、やはり犯罪被害者団体、例えば全国犯罪被害者の会(あすの会)、あるいは宙の会、また犯罪被害者家族の会Poena、あるいは全国交通事故遺族の会など、広く意見を聞くべきである、こういうふうに考えておりますが、いかがでございましょう。

○大野政府参考人 公訴時効の在り方に関する省内勉強会におきましては、被害者団体の方からヒアリングという形で御意見を伺う方向で考えております。
ただ、具体的にどういった方々から伺うか、あるいはその順序をどうするかというようなことにつきましては、現在なお検討中でございます。
ただいまの委員の御意見も参考にさせていただきまして検討を進め、速やかに調整していきたいと考えております。

○大口委員 それから、ヒアリングの対象の関係機関等という中に日弁連等入っていると思います。それから、警察庁とか最高裁からも聞くことになるわけですね。
それと、私は、マスコミ関係者からも意見を聞くべきだと思っております。この前のヒアリングではその予定はないということだったんですが、ここはやはりマスコミ関係者からも意見を聞くべきだ、こう考えますが、いかがでございましょうか。

○大野政府参考人 関係機関等から御意見を伺うことにつきましては、どういう方法をとるのかということも含めて、現在なお検討中であります。
例えば日弁連などからヒアリングを行うということは十分考えられるというふうに考えております。そのほかの関係機関等につきましては、ただいまの委員の御指摘も参考に検討してまいりたいというふうに考えております。

○大口委員 中間報告では、考えられる方策の利点と、さらに検討する論点。
考えられる方策、これを四つ挙げています。公訴時効の廃止、それから公訴時効期間の延長、それからDNA型情報等により被告人を特定して起訴する制度、検察官の裁判官に対する請求により公訴時効を停止(延長)する制度ということが挙げられています。
さらに検討する論点という中で、捜査資源の適正な配分の要請、捜査人員の維持、記録、証拠物等の保管を考慮する必要というのが挙げられているわけであります。
これは警察庁が大きな関与をしているところでございますので、警察庁において、公訴時効が廃止となった場合にどのような影響があるか、公訴時効の見直しについてどう考えているのか、お伺いしたいと思います。

○米田政府参考人 公訴時効が廃止された場合には、これは被害者あるいは遺族の方々の心情に一層配慮するということになろうかと思います。
一方、捜査の負担ということでございますけれども、もちろん、捜査は進展度合いに応じまして捜査体制は伸縮はいたしますけれども、やはり極めて長期にわたって一定の捜査体制を維持しなければならない。しかしながら、一方で、日々犯罪は起こりますので、それは、ずっとそういう体制を維持するということはやはり負担になるだろうということはございます。
それから、証拠資料を、これは物的証拠等を極めて大量に収集いたします。それをずっと、理論上は永遠に警察において保管をしなければならない。それがどんどんたまっていくということもあろうかと思います。
そういったこともございますけれども、公訴時効の見直しにつきましては、警察といたしましては、被害者の方々の心情等への配慮、あるいは今申しました捜査への負担等、さまざまな観点から慎重な検討を行うべきであるというように現在のところ考えております。

○大口委員 いろいろ工夫をされれば、いろいろな問題はクリアできる、私はこう思っております。
次に、中間報告は、対象犯罪の範囲について、人の死亡を伴う重大犯罪を、殺害について故意がある犯罪、死刑に当たる罪、故意の犯罪行為により人を死亡させた罪、人を死亡させた罪と四つに分類することが可能としていますが、公訴時効が廃止された場合、対象犯罪の範囲によってどのような影響があるのか、警察庁にお伺いします。

○米田政府参考人 対象犯罪範囲による影響、ちょっと一概にお答えすることは困難でございますけれども、対象犯罪が拡大されるということになれば、より多くの被害者の方々、遺族の方々の心情に配慮することができるであろうというように考えます。また、捜査への影響という点では、より広範になるということも言えるかと思います。

○大口委員 主要な論点の一つとして、公訴時効制度を見直す場合、公訴時効が既に完成した後、例えば新法で再び未完成の状態に戻すこと、これはさすがにできないというのが学説の通説だと思います。
ただ、現に時効が進行中の事件への遡及適用については、これは大きな論点になるわけであります。先ほど挙げた毎日新聞の世論調査では、改正までにさかのぼらないのは当然が二一%、発生した年で年数が違うのはおかしいが六八%となっています。
学説では積極説と消極説があるようでございますが、それぞれの学説の主な論拠についてお伺いいたします。

○大野政府参考人 ただいま御指摘がありましたように、現に時効が進行中の事件に対しまして、見直された公訴時効を遡及的に、さかのぼって適用できるかという点については、学説上、見解が分かれております。そして、この問題は憲法の解釈にもかかわると考えられるために、今後、学者等有識者の方から意見を聴取するなどして、さらに検討を進め、深める必要があると考えているわけでございます。
遡及適用、さかのぼって適用することができるとする、いわば積極説の見解の論拠といたしましては、例えば時効期間に関する定めは、公訴時効が持つ安定的機能のもたらす利益と犯罪者の処罰を確保する利益とを比較衡量して、立法者の決すべき事項である、したがって、時効期間の事後的な伸長、伸ばすことも許されるんだという考え方があります。
また、罪刑法定主義は、行為の可罰性の有無と程度を事前に告知すべきものとする原則であって、それ以上の手続的制約、時効等でありますけれども、これは行為の可罰性には影響しないから、さかのぼって変更することは罪刑法定主義に反するものではないというような考え方もあるようであります。
これに対しまして、遡及適用、さかのぼって適用することを認めることができないとする、いわば消極説の論拠といたしましては、例えば公訴時効や挙証責任の転換など、被告人の実質的な地位に直接影響を与える実体法にも密接な訴訟規定については憲法三十九条の趣旨が及ぶという考え方があります。
また、公訴時効が、証拠の散逸、証拠が失われてしまうという訴訟上の理由だけではなく、犯罪の重大さに応じた一定期間の経過によってその可罰性が減少するという実体法上の意味も持っていることは否定できないことからすると、少なくとも現行法のもとでは、公訴時効は常に新法によるべきではなく、刑法六条あるいはその趣旨に従って、軽い方を適用すべきであるというような説もあるというように承知しております。

○大口委員 私も刑法学あるいは刑事訴訟法学を勉強したときに、有名な先生といいますと、松尾浩也先生あるいは団藤重光先生、このお二人の方は積極説、それから田宮裕先生や平野龍一先生は消極説、こういうことでございます。いろいろ学説等あるわけでありますけれども、これは憲法論もありますので、しっかり議論をしてまいりたいと思います。
次に、平成十六年に公訴時効期間延長の刑訴法の改正がありました。十五年を二十五年とかいう形で改正したわけです。同附則の三条で遡及適用について消極とした理由についてお伺いします。

○大野政府参考人 ただいま御指摘のとおり、平成十六年の刑訴法改正による公訴時効期間延長に係る規定につきましては、改正法の施行後に行われた犯罪行為についてのみ適用し、施行前に行われた犯罪行為については適用しないという明文が置かれたわけであります。これは、過去に行われた犯罪行為について事後的に公訴時効期間を延長することは被告人に不利益であると考えられることなどを考慮したものだと承知しております。

○大口委員 次に、裁判員制度と、障害を持つ方が裁判員となる場合の対応についてお伺いしたいと思います。
裁判員法の完全施行も、もう残すところあと一カ月余りとなったわけでありますが、裁判員制度については、当委員会を初めとして、これまで多くの議論が行われました。そして、これからも議論を続けられると思います。
この裁判員制度は、より広くの、そして、より幅広い層の国民が参加することが裁判員制度の成功に必須の要素であります。そのような視点からいえば、障害を持つ方がしり込みすることがなく安心して裁判員の職務を務めていただけるように、体制の整備を行っていくことが欠かせません。この点についてはこれまでもたびたび指摘されておるわけでありますが、今後も不断の検証が必要であります。
そこで、障害を持つ方が裁判員となる場合の対応について、何点かお伺いしたいと思います。
裁判員制度の開始に向けて、社会福祉法人全国社会福祉協議会、障害関係団体連絡協議会が障害者が安心して参加できるよう必要な配慮をまとめたパンフレット、これは法曹関係向けと障害者向けの二種類を作成し、法務省、裁判所等関係各所に配付と伺いました。これを私は手元に持っているわけであります。
この「法曹関係者の皆様へ」という中で、「障害者に配慮した裁判員制度の実現を 広く国民に開かれた裁判員制度を目指して」「障害のある人への配慮は、国民一人一人への配慮につながり、裁判員制度がすべての国民にとって分かりやすく、参加しやすい制度となります。」そして二ページ目の中に「障害のある人の視点や経験、意見を裁判に反映させることは、国民の幅広い視点を裁判に取り入れ、国民にとって分かりやすい裁判を実現するという裁判員制度の趣旨に合致するものであると考えられます。」こういうふうに書かれているわけでございます。その際、障害者の抱える問題を他の裁判官や他の裁判員が理解することが必要という関係者の声があったわけであります。
そこでお聞きしますけれども、障害者の抱える問題を他の裁判員に理解してもらうために最高裁で何か具体的に取り組んでおられることがあるのか、お伺いしたいと思います。

○小川最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。
これまで、複数の裁判所におきまして、障害者の方が参加した模擬裁判を実施したり、障害者団体の方から御意見をお聞かせいただくなどしてまいったところでございます。
こうした取り組みの中で、さまざまな障害やニーズを抱えている障害者の方がいらっしゃるということは十分認識しておりまして、こうした機会に得られました知見や課題を裁判官に周知しているところでございます。
そして、裁判官は、評議などの場で他の裁判員の方にも、障害者の方の抱える問題やそれに対する配慮について、そうした知見や課題を踏まえてお伝えすることになるのではないかと考えております。

○大口委員 視覚障害者の方の御意見の中に、視覚障害者が裁判員になった場合、隣に座る裁判官が口頭で補足説明をしてくれることになっているが、時間が限られる審理で十分な説明を受けられるかが気がかりである、裁判官の説明に頼る余り、その主張に流されるおそれもある、こういう意見があるわけです。
このような視覚障害者の方の不安を払拭するために裁判所の側でどのような配慮をしようと考えておられるか、お伺いしたいと思います。

○小川最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。
まず第一に、審理の場におきましては、当事者が視覚障害者である裁判員の方にも十分わかりやすい主張、立証、これを行うことになると思います。
また、御指摘のとおり、法廷や評議室では、裁判官の隣に障害者の方に着席していただくなどして、視覚障害者である裁判員の方が審理や評議の内容を十分理解していただけるように、適宜裁判官が必要と思われる視覚情報を説明するということを考えておりますけれども、それはあくまで当事者の主張、立証をありのまま説明するというものでございまして、裁判官みずからの見解を説明するというものではございません。
したがいまして、視覚障害者である裁判員の方が裁判官から説明を受けることによって裁判官の主張に流されるというようなことは、そういう心配はないものと考えております。

○大口委員 ここら辺は、裁判官が本当によく、障害者また視覚障害者の特性、また個人差もいろいろありますから、きめ細かくやっていただきたいと思う次第でございます。
次に、聴覚障害者の不安ということでございます。
全国の難聴者の方々でつくる全日本難聴者・中途失聴者団体連合会が三月の四日に最高裁判所に対して要望を提出しているとお伺いしております。この要望書の中で、一つとして、中途失聴、難聴者は裁判員の候補者として呼び出しを受け、選任のための面接のときから情報保障が必要となります、事前質問票に要約筆記、補聴器プラス補聴支援システム、手話通訳、電子速記などの希望を記入する欄を設け、本人が選択できるようにしていただきたい、そして、裁判員裁判を行う裁判所はこういう情報保障を用意していただきたい、こういう要望があるわけですが、これについて最高裁の御見解をお伺いしたいと思います。

○小川最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。
裁判所におきましては、調査票や質問票の送付時に、障害のために何らかのお手伝いを必要とされる方に早目に御連絡をいただけるように呼びかけているところでございます。
また、裁判所では、裁判員候補者の方の御希望に応じて、手話通訳者または要約筆記者の手配を考えているところでございます。

○大口委員 これは、裁判員制度を行う裁判所では十分対応できるということでありますね。ちょっとそこをもう一度確認したいと思います。

○小川最高裁判所長官代理者 裁判員制度を実施する庁におきまして対応をしたいと考えております。

○大口委員 次に、手話使用模擬裁判というのをやっているわけですが、手話を使用できる方ばかりではございません。そこで、文字による情報保障を必要とする中途失聴、難聴者を裁判員とする模擬裁判を行っていただきたい、こういう要請もありますが、これについてどうなのか、お伺いしたいと思います。

○小川最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。
模擬裁判につきましては、各地の法曹三者が手続検証のためのテーマを選択して実施してまいりましたが、施行も迫ってまいりましたので、今後、文字情報を必要とする中途失聴の方や難聴の方を裁判員とする模擬裁判を実施するのはやや難しいというふうに思われます。
裁判所といたしましては、これまで、要約筆記者の団体等から、裁判員裁判において要約筆記をどのように運用していくかといった観点からの説明及び実演をしていただくなどしていますので、そうした機会に得られました知見を裁判所の職員に伝えるなどして、裁判員裁判の実施に備え、障害を持っておられる方に対し、できる限りの配慮をしていきたいと考えております。

○大口委員 それから、要約筆記者のための研修を行ってくださいというのが一つあります。それから、本年八月から全国の地方裁判所に裁判員担当の部署が設けられるわけでありますが、その中に障害者裁判員候補者へのサポート体制などをコーディネートする部門を設けて、障害者が安心して裁判の責務を果たせるようにしていただきたい、そして、この部署には、中途失聴、難聴者による問い合わせが可能なように、電話番号のみではなく、メールアドレスとファクス番号も公開していただきたい、こういう要望でございますが、これについてお伺いしたいと思います。

○小川最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。
要約筆記者の研修についてでございますが、裁判員裁判では、一般の方々が理解しやすいよう、わかりやすい審理が行われて、難解な法律用語が用いられることはなくなりますし、裁判の手続等につきましては、裁判所において依頼した要約筆記者の方にも適切に説明いたします。したがって、現時点において、要約筆記者を対象とした研修の必要は少ないと考えているところでございますが、今後とも、必要性を判断しつつ、検討してまいりたいと考えております。
また、各地方裁判所の裁判員裁判担当の部署などにおきましては、障害者の方が不自由なく裁判員等として参加できるよう、できる限り配慮を行いたいと考えております。
また、ことしお送りする名簿記載通知には各裁判所のファクス番号を記載して、聴覚に障害をお持ちの方にもファクスにより各裁判所にお問い合わせをいただき、個別の事情に応じて対応することを予定しております。

○大口委員 広く国民に開かれた裁判員制度を目指して、これからもしっかり体制を整備していただきたいと思います。
以上で、私の質問を終了させていただきます。ありがとうございました。

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