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大口よしのり国会質問

大口よしのり国会質問

2009年6月11日

171-衆-本会議-38号 平成21年06月11日

○大口善徳君 公明党の大口善徳でございます。
私は、公明党を代表して、ただいま議題となりました憲法審査会規程案につきまして、早期制定を求め、賛成の立場から討論を行います。(拍手)
まず、賛成する理由について述べます。
憲法審査会は、国会法第百二条の六の規定によって、平成十九年八月に衆議院に設置されましたが、その下位の法規範である衆議院憲法審査会規程が整備されないまま、既に二年近くが経過しております。法律を制定した国会自身が、その法律の施行に必要な下位規範をつくらないという違法状態をこのまま続けることは許されません。
衆参両院における憲法審査会の設置は、平成十九年五月に成立した、日本国憲法の改正手続に関する法律、いわゆる国民投票法の中で定められています。国民投票法は来年五月十八日まで施行されませんが、憲法審査会の規定の部分は先行して施行されました。その理由は、国民投票法施行までの三年間、いま一度、落ちついた環境で、現行憲法について、果たして改正が必要なところはどこなのかを一から議論をし、合意形成の努力をしてみようとの考えがあったからです。
すなわち、国民投票法ができると、すぐに具体的な形式を持った憲法改正案が提出され、国民投票が行われるのではないかとの不安を持つ人もおられることから、公明党は、国民投票法の施行を三年間凍結することを主張しました。この三年の間に、憲法審査会は、改正するならどこをどう改めるかあるいは改めないのかの幅広い議論をすることができたわけです。
しかし、私たちが憲法審査会を動かすために規程を制定するよう幾ら求めても、野党の方々には今日まで応じてもらえませんでした。かけがえのない貴重な議論の時間が約二年間も失われることになりました。まことに残念でなりません。
ところで、国民投票法を制定すること自体、また、憲法審査会を設置すること自体が改憲につながるかのような反対論があります。
日本国憲法は、世界でも有数の硬性憲法であり、憲法改正は、衆参両院の総議員の三分の二以上で発議され、さらに、国民投票で過半数を得られないと実現しません。これは、現実の国会の状況、政治の状況を見ても、そう簡単に乗り越えられるハードルではありません。かように、憲法改正のハードルは高く、国会の多数派が強行採決でどんどん進めることができるような手続ではありません。国民的コンセンサスが生まれるまで、真剣に国会で議論を尽くすことが要請されます。
今回の規程の制定は、憲法審査会という中立公正な議論の場を設けようとする手続の整備の話であって、特定の立場に立った、憲法改正を有利にしたり不利にしたりということがないということは明らかであります。憲法改正反対を言う余り、かたくなに憲法審査会を現状のまま放置させる姿勢は、憲法について真摯な議論が必要と考える多くの国民の思いを無視することにつながるのではないでしょうか。
なお、憲法改正国民投票法が本院において不正常な形で採決されたことから、その政治的けじめがつかなければ規程制定を行うべきでないという意見もあります。しかし、憲法改正国民投票法の制定経緯を虚心坦懐に振り返るならば、その調査審議は、実に丁寧に行われたものであることが理解できるはずです。
中山太郎議員が、憲法調査会長、憲法調査特別委員長として、護憲、改憲、論憲、加憲といった各会派の立場の違いを超えて、与野党が極めて円満に議論を進め、衆議院での議論は百九時間にも及ぶ濃密なものでありました。しかも、発言時間や質疑時間の割り当て等においても、少数会派に最大限の配慮をした上で行われたものでありました。最終局面で、わずかに採決に当たっての合意こそ得られなかったものの、きちんと手順を踏んで採決が行われたものだったのであります。
このことは、衆議院からの送付を受けてさらなる議論が進められた参議院において、自民、民主、公明の三党が一致して十八項目もの附帯決議を付した上で、憲法審査会を始動させることを前提として円満な法案採決がなされたことからも、今、正常な状況にあることは明白であります。
憲法審査会は、こうした憲法調査会以来の貴重な超党派的運営の先例を受け継ぎ、さらに発展させた憲法の議論の場となるべきです。それが大多数の国民の願いでもあると考えます。
ここで、あえて公明党の憲法改正をめぐる立場に触れてみたいと思います。
公明党は、かねてから、憲法改正のあり方として、加憲という立場をとっております。すなわち、現行憲法をすぐれた憲法であると高く評価し、国民主権、基本的人権の尊重、平和主義の憲法三原理を堅持しつつ、環境権やプライバシー権など、時代の進展に伴って提起されている新たな理念、原則を加え、補強し、二十一世紀型憲法を志向していく考え方です。
憲法全体を一気につくりかえるのではなく、時代が要請するテーマに応じて関連する憲法規定を補強するこの加憲という方法であれば、国民投票法が定める投票方法にも合うだけでなく、テーマごとに議論を深めて、その成果を改正案として発議するため、全部改正を議論するよりも、はるかに国民のコンセンサス形成に役立つと思います。
米国、フランスといった立憲主義の先進国も、加憲あるいは加憲型の改正を基本にしています。加憲こそ、民主的かつ現実的な方式であると確信します。
公明党は、加憲論議に当たって、一、国民主権をより明確にする視点、二、新たな人権条項を加えて人権を確立する視点、三、平和主義のもとで国際貢献を進める視点、四、環境を重視する視点、五、地方分権を確立する視点の五点を重視しています。
公明党は、平和主義に関する憲法九条については、戦争放棄を定めた第一項、戦力不保持を定めた第二項をともに堅持した上で、自衛隊の存在や国際貢献のあり方を加憲の論議の対象として慎重に検討しているところです。
また、憲法には、環境という言葉はどこにも用いられておりません。しかし、現在、人類が普遍的に取り組まなければならない課題として、地球環境問題あるいは気候変動問題が取り上げられております。このかけがえのない地球をどのようにして次の世代に残していくか、持続可能性という考え方を国家の基本法たる憲法の中に明示的に書き込み、環境立国としての我が国の進路を明確にすることは、実に有効なことではないでしょうか。
また、情報という言葉も憲法にはありませんが、インターネットを通じて情報がはんらんする中で、自己の情報やプライバシーを自分できちんとコントロールすることができる権利というものが必要になってきていると思います。
さらに、生存権、憲法二十五条にプログラム規定として定められているものですが、少子高齢化の進行、金融危機に端を発する経済の停滞の中で、これを、より実質化し、人間が人間らしく生きられる権利ということで再定義し直すことが現在求められていると思います。また、人間の安全保障という視点からこれをとらえ直すなども含めて、この第二十五条を、単なるプログラム規定という位置づけから脱却させていくことも必要ではないでしょうか。
幾つかの加憲に向けての私どもの視点を述べましたが、各党各人のさまざまな考え方があろうと思います。既に憲法改正試案をまとめたグループと議論すら拒否する方々など、その間の距離は相当離れています。
ただ、先に五年かけて衆参で取り組んだ憲法調査会の結論は、改正が必要だとの意見が支配的だったわけですから、今度は、一歩踏み込んで、どこをどう変えるのかについて、政党間の協議を論じる局面に事態は変化したのだと思います。
そうした憲法論議の重要な場の一つとして憲法審査会を位置づけ、その規程を早期に制定することで議論の場を整えるべきであると私は訴え、賛成の討論を終わります。
ありがとうございました。(拍手)

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