大口よしのりの政策・実績

大口よしのり国会質問

大口よしのり国会質問

2009年6月30日

171-参-法務委員会-13号 平成21年06月30日

○木庭健太郎君 そこで、修正案提案者の方に来ていただいておりますが、今も大臣からお話がありましたが、特別永住者については、その歴史的経緯や我が国における定着性にかんがみ、特段の配慮が求められているところ、今回、衆議院の法務委員会において特別永住者証明書の常時携帯義務が削除されたというふうに承知しておりますが、その趣旨について提案者から伺っておきたいと思います。

○衆議院議員(大口善徳君) 木庭委員にお答えいたします。
木庭委員もこの問題について非常に熱心に取り組まれておられまして、今年の二月に、民団の方々と一緒に木庭委員も森法務大臣の方にこの件について要望をされたところでございます。
特別永住者につきましては、御案内のように、一九五二年、サンフランシスコ講和条約で、これは本人の意思に関係なく国籍を離脱された方であり、またその子孫であるわけです。こういう歴史的な経緯がある。また、今や四世、五世の方もいらっしゃいます。日本に生まれて日本に育って、そして本当に地域でもいろんな形で貢献され、納税もされている、そういう点で定着性があるわけでございます。
そういう特別の配慮ということをしていかなきゃいけないということで、平成十年、外登法の改正がございました。今から十年前でございます。このときに、この携帯義務について罰金を過料、刑事罰を行政罰にしたときでございますけれども、その際、やはりこういう定着性あるいは歴史的な経緯、こういうものを着目しまして、衆参で附帯決議がなされたわけであります。
また、そういうことで今回外国人登録証明書がなくなったわけでありますけれども、特別永住者証明書ということについて、常時携帯義務というものが、そしてまたその罰則というものが継続して問題となったわけでございます。
この附帯決議の中で、衆議院、参議院のこの立法府の意思の中の決議として、外国人登録証明書の常時携帯義務の必要性、合理性について十分な検証を行い、同制度の抜本的な見直しを検討すること、とりわけ特別永住者に対してはその歴史的経緯が十分考慮されなければならない、こういう立法府の意思が明確にされたわけでありまして、特に特別永住者については配慮をすべきということになったわけでございます。
そういうことで、この行政罰につきましても、実際には適用されていない弾力的運用ということであります。また、成り済ましの危険性も格段に低い、ほとんどない、こういうこともありまして、今回、この特別永住者への配慮の必要性、また附帯決議の趣旨を踏まえて、改めてこの特別永住者証明書の携帯義務の要否について真摯に検討を行いました。衆議院の法務委員会でもこの点につきましていろいろと議論をし、そして修正協議の中で、やはりこの常時携帯義務について、そしてまたこの罰則について、また旅券の携帯義務及び罰則についてはこれを削除すべし、こういうことになったわけでございます。

○木庭健太郎君 今経過の説明があったんですけど、私もちょっと感慨深いものがありまして、それは、前回の、先ほどお話があった、平成十一年だったと思うんですけど、外国人登録法の改正のとき、実は参議院に法案が送られたときにどういう法案が送られてきたかというと、先ほど白眞勲君が言っていたとおりですよ。携帯していなかったら、(発言する者あり)白眞勲さんがおっしゃっているんですけど、まさに、どういうことかというと、携帯してなかったらどうなるかというと、逮捕できるというような刑事罰を科したままの法案が実は参議院に送られてきた。
あのとき、私ども野党でございましたが、本当に民主党の皆さんにも御協力をいただいて、これは余りにも人権侵害というかひど過ぎるということで、そのときに何とかこの常時携帯義務をなくせないかということを実は随分警察庁の方ともやり合ったんですけど、法務省の方は何となくそこまでおっしゃるならという気になったんですが、警察庁の大反対の中でもめにもめて、最終的にどうなったかというと、だったら過料ということぐらいでしたらどうにかできますということで、実はそのときに刑事罰から過料に、行政罰に改めるというのがあったのがもうそのときでございまして、そういう意味では、もういつこれができるかというお話でいくと、本当に長年の願いがようやく今法案でできるんだなという思いで感慨深いということを、ちょっと済みません、私も余計なことを申し上げましたが、そんな思いがした次第でございます。
それとともに、これも先ほど丸山先生が、今野委員がというお話をしていた問題なんですけれども、何かというと、今回これで特別永住者のこの常時携帯義務の問題は一つ解決をしたと。ただ、問題は何かというと、同じような環境に、一般永住者の中でもほぼある意味では特別永住者と変わらないような方たちという一群がいることは間違いないと私どもは思っております。例えば華僑の皆さん方の問題でございます。
これ、質問通告しておりませんが、大口提案者、もしお答えできるならば、修正案の附則において、我が国への定着性の高い永住者についてその在留管理の在り方を検討する旨の規定というのを置かれたようでございますが、この規定を置いた趣旨を、通告しておりませんが、もし趣旨を御説明していただけるなら説明をしていただけますか。

○衆議院議員(大口善徳君) これ、附則の六十条の三項で、永住者のうち特に我が国への定住性の高い方、そして歴史的経緯ということも考えて、今後、一般永住者の中に様々な方がいらっしゃると、ですから、我が国への定住性が高い方、そして特別の歴史的経緯を踏まえて、在留管理の在り方について検討を進めていくべきとの趣旨を検討規定に入れさせていただいたわけでございます。
例えば、これは、朝鮮半島から来られて、そして、昭和二十年の九月の二日当時、朝鮮半島に一時帰郷していた方がいらっしゃいます。こういう方は、昭和二十年の九月二日当時はこの日本にいらっしゃらなかった、しかし歴史的経緯もありますし、また、ずっと定着をされていると。こういう方どうするんだと、こういうことが議論にあったわけでございます。
この方々について、じゃどうしていくのか。要するに、特別永住に準じて、日本への定着性が高い方、歴史的背景を有する方々、あるいは華僑の方々もそうでございましょう、こういう方々について、これは在留カードの常時携帯義務を含めた在留管理の在り方全般を幅広く検討を行っていこうということでこの附則を付けさせていただいたところでございます。
修正協議で、ここについて、その準ずる者についてはもう少し踏み込んだ形でできないかという議論もしたわけですけれども、どこへ線引きを引くかというようなこと、いろいろなことがございました。これをそういうことで検討課題という形にさせていただいたところでございます。

○木庭健太郎君 この事由を聞いたときにやっぱり一番心配なのは、もうこれも午前中から議論がありましたが、DVの問題との絡みの問題がやはり一番、配偶者の身分を有する者の活動を継続して行わないというような取消し事由とDV被害者の保護の必要性の問題というのは、本当、ちょっときちんとやっておかなくちゃという思いをしていたんですが、これも衆議院の方でこのDV被害者の保護の必要性等の様々な議論があって、修正を少しなさっているとお聞きしましたが、この修正の内容そして趣旨について提案者に伺っておきたいと思います。

○衆議院議員(大口善徳君) この配偶者の身分を有する者としての活動を行っていない場合の中で、お尋ねのいわゆるDV被害者の保護の必要性というものがもう衆議院の法務委員会におきましても多くの委員から質問があったわけでございます。
そこで、修正案は、このような外国人のDV被害者の保護の必要性ということを配慮しまして、入管法第二十二条の四の第一項第七号関係、そして入管法第二十二条の五を修正を加えたわけでございます。
まず、二十二条の四第一項第七号の関係でございますけれども、一つは、正当な理由、こういう活動を行わずに在留を継続していることにつき正当の理由がある場合につきましては、在留資格の取消しをすべきでないということになりました。
例えば、日本国籍を有する子供の親権を争って離婚の協議中であったり、あるいは離婚の調停中であったりする場合、あるいはDV被害等によって、配偶者の暴力等によって離婚協議中あるいは離婚調停中である場合、こういうような場合につきましては、在留を継続していることにつき正当な理由があるということで、在留資格取消し手続における意見聴取の際にそうした事情が判明すれば在留資格の取消しはしないことになることとしたわけでありますけれども、このような趣旨を明らかにするために、配偶者の身分を有する者として活動を行わず在留継続をしていることにつき正当な理由がある場合を除外すると明文で規定したわけでございます。
また、もう一つは、この行えない期間を三か月を六か月に延ばしたと、こういう修正を加えたということでございます。
一般に、就労資格で在留する場合については三か月以上継続して活動を行わない場合が取消し事由となるわけでありますが、配偶者の身分を有する者としての活動を継続して行わない期間ということにつきましては、やはり就労資格で在留の場合よりも一般的に日本社会でのつながりが深い、また、婚姻関係が完全に破綻したかどうか、修復の可能性があるかどうか等、やはりその取消しの可否について慎重に見極める必要があるということで三か月を六か月に延ばしたわけであります。こういうことも一つ配慮させていただいたと、こういうことでございます。
それから、入管法の二十二条の五でございますけれども、ここで、配偶者から暴力が原因で離婚したような事案について、申請があれば定住者等の在留資格への変更許可が見込まれる場合があるわけであります。そこで、在留資格取消し手続における意見聴取の際に、外国人に対して在留資格変更申請を行う意思があるか否か、これを確認し、それで、在留資格変更許可をするのが相当である場合には在留資格の取消し手続を終了させ、外国人の在留資格は取り消さないこととなります。このような趣旨を明らかにするため、在留資格変更申請の機会を与えるよう配慮することを明文をもって定めたところでございます。

○仁比聡平君 在留カードを常時携帯を刑事罰を科してまで求めるということ自体も私は大問題だと指摘を今後していきたいと思いますけれども、今局長もお認めになったように、在留カードの記載事項以外の外国人に関する様々な情報を在留資格に応じて必要な範囲において把握をしていくんだというふうにおっしゃっているわけですね。
先に修正案提案者にお尋ねしたいと思いますが、法案の十九条の十八第三項では、法務大臣は、在留管理の目的を達成するために必要な最小限度の範囲を超えて情報を取得、保有してはならないというふうに修正をされましたけれども、この趣旨は一体何なのかということなんですよ。
規制改革の答申で先ほど申し上げたような内容が答申をされて、これが閣議決定されているんですよね。修正案に言う在留管理の目的を達成するために必要であるとして閣議決定をしているんじゃないんですか、これ。修正案はこの閣議決定の考え方を変えるんだという意味ですか。

○衆議院議員(大口善徳君) これは、まず今回の新たな在留管理制度は、法務大臣が外国人本人や所属機関の届出によって取得する情報は在留管理のために必要な最小限の範囲に限定されているということで、しかも外国人に係る個人情報の利用や提供については、法令に基づく場合を除き、原則として目的外の利用等をすることはできないということが、これは行政機関の保有する個人情報の保護法にも規定されていて、厳格な運用を行うことになっているわけであります。
これは当然のことなんですが、今般、法務大臣が外国人の在留情報を継続的に把握する制度を構築するに当たって、情報の取扱いに当たっては個人情報の保護に対する十分な配慮が必要であることを明確に示すため、修正案でこのような規定を置いたと、こういうことでございます。

○仁比聡平君 後段に大臣が御答弁されたこと、先ほどの局長の御答弁では、前の議員に対する答弁では、事情に応じた弾力的な対応を図るとしたような答弁もあったわけですね。これは当たり前のことだと思います。けれども、実際にすべての外国人住民に対して、この要件を満たさなければ在留資格の取消しに至る、こうした規制が掛かる、新たに掛けられるということは、これは明らかなんですね。
総務省の関係の日本人住民についての届出に関する法違反に関して、昭和四十二年に当時の通知がございまして、通知といいますか、住民基本台帳事務処理要領というのがありまして、ここには、違反事件については、その理由のいかんを問わず、すべて住所地を管轄する簡易裁判所に通知するという、こういう定めになっているんですね。このようなやり方が法違反があるときの対応の仕方としてはあり得ることなんだろうと思うんですけれども、これが仮に外国人住民に今回の法案のように科せられるということになれば、これは外国人住民にとって一体どんなふうに自分が扱われるのかというのはこれは分からないということになってしまうでしょう。
正当な理由があればそうはならないという修正をされたわけですが、そこで言う正当な理由というのは何なんですか、大口提案者。

○衆議院議員(大口善徳君) これは二十二条の四の一項八号に、上陸の許可を受けた場合に、新たに中長在留者となった者が当該上陸許可の証印又は許可を受けた日から九十日以内に法務大臣に住居地の届出をしないこと、ただ、届出をしないことにつき正当な理由がある場合は除くと、こういうことで、正当な理由がある場合を除くということに修正させていただいたわけです。
これは、日本に上陸をして、この前の委員に対する答弁にもありましたように、例えば病気になったとか、あるいはけがをしただとか、九十日以内に届出ができないことに対して正当な理由がある場合があるだろうということで修正を加えたわけでございます。

○仁比聡平君 時間がもうなくなってしまいましたけれども、今お話しの日本人の配偶者等、これは平成十九年の数字で二十五万六千九百八十人、永住者の配偶者等で一万五千三百六十五人いらっしゃるわけですよね。この中でDV被害に遭われた方がわずか四十人ということはあり得ない数字です。そのうち九人しか在留資格の変更には至っていないわけですよね。
修正案提案者に最後聞いて終わりますけれども、これはあれですか、これまでのそうした運用は変えるんだということなんですか。そうじゃなかったら、幾ら政府原案の三か月を六か月に延ばそうが正当な理由を付け加えようが、これ問題全然解決しないんじゃありませんか。いかがです。

○衆議院議員(大口善徳君) 提案者といたしましても、このDVというのは犯罪行為を含む重大な人権侵害であると、こういう認識を持っております。
法務当局からDV被害者への対応の状況についての答弁が今あったわけでありますけれども、提案者としましても、法務省には、これまでの対応に足らざるところがあるのであれば、これを補い、関係省庁と連携をしつつ、人道的観点から適切かつ迅速に対応していただきたいと、こういうふうに考えております。

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