大口よしのりの政策・実績

大口よしのり国会質問

大口よしのり国会質問

2010年4月22日

174-衆-内閣委員会-9号 平成22年04月22日

○大口委員 公明党の大口善徳でございます。
きょうは、各参考人の先生の皆さん、大変中身のある御意見を賜りまして、ありがとうございます。
私の方からは、まず、今回、幹部人事の弾力化についてお伺いをさせていただきたいと思います。
やはり、幹部人事というのは国民から理解されるものでなければならない。そういう点では、情実人事でありますとか、政治的な中立性、公正性、これがいかに国民の目から見て納得できるか、ここが大事ではないかな、こう思っております。
その点、政府案におきましては、次官、局長そして部長級、これが一つのバスケットになるわけであります。そして、この名簿に登載されれば、これは相当裁量によって人事が決められていく、こういうことであるわけです。そこに恣意性が出てくるのではないかな、こういうふうに考えるわけでございます。そういう点で、このことについては、幹部人事が恣意的になるのではないか。
あるいは、次官級から部長級に転任という形になりますね、政府の場合。そうしますと、七百万とか八百万給与が下がるわけであります。果たしてそういうことが実際にできるのかどうかもありますけれども、そういう場合には不利益処分に該当するのではないか。
あるいは、適性審査基準、これは一つのバスケットでありますから、部長級になれる人であればここに載っかるわけですので、標準職務遂行能力、適格性審査の基準、こういうのも相当幅が広いものになるわけでありまして、そういう中で人事評価もどうしていくのか、いろいろ問題点があるわけでございます。
国民生活センター、これは独法でありますが、公募をやって、結局は、その公募からは採用しないで、福島消費者相と政務三役で決めた、こういうようなこともあって、本当に今の内閣、郵政会社等も含めて、人事について非常にいろいろと問題があって、本当に情実人事とか、政治的中立性、公正性を確保できるのか、こういう疑念があるわけでございます。
それで、自民党さん、みんなの党さんの案、野党案は、次官は廃止しますけれども、局長級とかあるいは部長級、こういうバスケットを置く、それぞれ用意して、それに基づいてやる。ただし、特別降任ということもあるということでございます。
私ども公明党といたしましては、次官ですとか局長級でありますとか部長級、それぞれのバスケットの中でしっかり能力、実績を厳格に評価していくことがやはり、政治的中立性とか、情実人事を防ぐにはいいのではないかな。そして、それぞれのバスケットの中におけるものは転任でありますけれども、それから、バスケットから一段下がる場合は降任という扱いにして、これはしっかり厳格にチェックしていく、こういう考え方でございます。
こういうことにつきまして、田中参考人、飯尾参考人から、お伺いをしたいと思います。

○田中参考人 幹部を、次官から府省審議官クラス、これを一まとめにして、中での異動は転任にするというのが政府案でありますが、次官級だと通常二千三百万ぐらいの年俸ですね、審議官クラスだと千六百万ぐらいだと承知しておりますが、七百万ぐらいの差があります。その中だから、自由に動かしていく制度にすることは、それはそれで一つの考えだと思いますが、だから先ほど冒頭に意見で申し上げたのは、そのシステムをどういうふうに評価して、転任にしても、実際は次官から審議官に落とすわけですから、業務の内容が全く同じわけじゃないので、そうすること自体が私はいいことか悪いことかよくわかりません。わからないというよりもおかしいと思っています。
おかしいと思っていますし、先ほど晴山参考人がおっしゃったように、従来のシステムを変えるわけですから、なぜそれを変えるのか。単に国民の関心を引くためにのみそういうことをおっしゃっているんじゃないかというふうに初めは受けとめました。
しかし、それを本当にやるならば、その中で動かすというのは、どういう原理に基づいて、どういうシステムで、どういう考え方でやるかということ、その仕組みは国民に明らかにしておかれないと恣意的になりがちだし、何のための法、制度であるか。あるいは、公務員自体に対する意欲といいますか、やる気をなくしてしまうおそれも出てくるし、責任がどういうことになるのかということもあります。
あるいは、これは二千三百万から千六百万まで下がるわけですから、給与が変わるわけですから、不利益になることは事実でありまして、一回訴訟でも起これば私は非常にはっきりしていいんじゃないかと思っておりますが、そうでもないと、示されておりませんので何とも言いようがない。
私どもにとっては、そういうことを考えたことも私の時代にはなかったわけでございまして、どういう発想でそういうことをされるのか。
一方、自民党とみんなの党の案では、特別職にして、政令に落としていろいろ具体的におやりになるそうでありますけれども、その場合でも、やはり処遇を落とすのであればそれなりのルールというものがないと組織に非常な混乱を及ぼしますし、政府というものを今後運営していく上で非常に大きな問題になるのではないかということを申し上げたわけであります。
私は、幹部職の中をどういうふうにしてやるかということは理解不能なものですから、御質問申し上げたわけでございます。
お答えになりませんで、申しわけございません。

○飯尾参考人 前提について少し考えないといけないことがあるように思います。と申しますのは、こういう改革をするときには、現在実際にどのようなことが行われているかということと比べないと、法律の文言だけを比べるとなかなか難しいことがある。
実は、現在は幹部の職の場合は勇退勧告のような形になっておりまして、例えば次官であれば、やめてくれと言われると定年前でもやめてしまうということは、これは給料ゼロになるということ。ですからこそ、あっせんをして天下りをしておったというのがかつての姿であったというふうに思います。
ところが、今度あっせんをやめるということになると、では、人事をしようと思うと、ゼロになってしまうのかということになれば、たとえ給与が下がるにしても一定のところまでで保障されるというふうにもまた考えられるということだろうと思います。
そういう点でいうと、幹部としての身分保障というのは二階建てになっていて、ある職として一定評価されるというだけではなくて、幹部としての地位を保持するということが一定の保障になるということでありましょうから、これは、今御紹介されたどちらの案で、バスケットを幾つにするかという議論は当然ありますけれども、逆に言うと、このバスケットを入れたということは、定年まで働けるようにするということのある意味では不可欠な、これを除いてしまいますと、一度次官になるともう定年までずっと居続けるのが当然になるということになると、これはやはりなかなか、政権の重点項目が変わってくる、あるいは政権交代が起こるというときに人事ができないということを意味します。
そういう点では、これだけ見ると非常に残酷なように見えるけれども、それがなかったときに職を失う危険を考えると、一定の、バスケットにしたことによって職がより保障されるという側面もあるものですから、そこで、そのことはここで評価すると、バスケットを幾つにするかということはあるけれども、逆に言うと、バスケットがたくさんあれば人事はしにくくなりますから、幹部としての職の保障が難しくなる。バスケットが政府案みたいに一つになってしまえば、非常に残酷には見えるけれども、しかしできるだけいろいろなポストで抱えていくことができるという、まあ、トレードオフの関係があるように思っておりまして、どれぐらいで選ぶかというのは議論はあるかと思いますけれども、一つの考え方だというふうに私は思っております。

○大口委員 それで、早期退職勧奨の問題でございますが、実はこれについては、民主党さんは、平成十九年の天下り根絶法案で明確に早期退職勧奨の禁止規定がありました。しかし、鳩山内閣におきましては、現在まで退職勧奨を続けておりますし、また、仙谷大臣も、再就職のあっせんをしない退職勧奨はあり得ると。再就職あっせんをしない退職勧奨が本当にあり得るのかと思うわけでありますが。それで、退職勧奨を禁止する、この方針は転換されたわけでございます。
それで、飯尾参考人は、これは平成十九年十月の「時評」に、天下りを禁じて肩たたきが存続する矛盾と題して、能力的に問題がないのに組織の構造上の問題でいや応なく肩たたきをして、かつ天下りも禁止するというのはいかがなものでしょうか、こう論評されているわけでございます。
やはり、天下りを禁止して、しかも肩たたきも存続させていくということは、これは飯尾参考人の指摘するように矛盾があるのではないかな、こういうふうに思いますが、この点、いかがでございましょうか。

○飯尾参考人 そのことについては、早期退職勧奨というのはどういうものかということを考えることが非常に重要であって、現行法制下であると、先ほどのように幹部職にとどめるという制度的なプール制のようなものがないと、肩たたきがそのまま退職につながる、肩たたきをせざるを得ない圧力が強いので、大量に生じてしまう、そこでその世話をしないというのはおかしいということになりますけれども、逆に言うと、政府案にしても、あるいは議員提出法案にしても、プールをつくるとなってくると肩たたきをする必要性は非常に減ずるだろうというふうに思っておりまして、量的に違いが出てくるということになってきます。
そうすると、肩たたきに応じるかどうかは本人のかなり自由な意思という側面になってくるというふうに考えますと、早期退職勧奨は一般的には非常に減ってくるだろうというふうに予想をしております。
その中で、では本人の自由意思で応じてもらうということになると、それは何か退職金割り増しをもっと強化するとかなんとか、そういうことを考えざるを得ない。
ただ、逆に言うと、この幹部職員の制度を変えることによってその矛盾はかなり緩和されるというふうに私自身は感じております。

○大口委員 次に、今回、政府案は、民間人材登用・再就職適正化センター、これを設けたわけでございます。その中で、組織の改廃等による分限予定者への再就職支援はするということでございます。そしてまた、行為規制についての違反についてしっかり監視するということで、再就職等監視・適正化委員会を設置した、こういうことになっております。
ところで、この分限免職の回避については、わざわざこういうセンターを設けなくても、その都度、アドホックに閣議決定等をして対応することもできるわけでございまして、こういうものをわざわざつくる必要があるのかと私は思うわけでございます。
そういうことで、天下りの根絶ということにつきましては、いろいろと、政府案そしてまた自民、みんなの党案におきましても、みんなの党案の方は罰則を行為規制違反については置く、これは私どもも、公明党もそういう考えでございますけれども、ただ、こういうことによってすべての天下り、特に裏下り、こういうものを根絶できるのか。また、監察官の場合は、これは常勤が一名、非常勤が二十八名という予算規模でございまして、これでもって本当に天下り、わたり、裏下り、こういうものを根絶できるのか、これも私は疑問に思うわけでございます。
そこで、もう一度、二点確認します。
要するに、民間人材登用・再就職適正化センターというもの、これを常設で置く必要が私はないと思いますが、この点についていかがか。それから、天下り、裏下りの根絶につきまして、政府のスキーム、そしてまた、もちろん、自民党、みんなの党の罰則つきということだけで根絶できるのか。この二点につきまして、長谷川参考人、田中参考人そして飯尾参考人からお話をお伺いしたいと思います。
〔委員長退席、小宮山(洋)委員長代理着席〕

○長谷川参考人 私は、やはり、先ほど来申しているように、民間に官が出やすくしていく仕組みというのがないと根本の問題が解決しないんだろうと思うんです。それさえできればほかの、御指摘のセンターの話とかというのは、全部、いわば暫定の機関として考えてもいいんじゃないのかな。
つまり、最終的なでき上がりの理想形からすれば、民間がいつでも官に入ってこれる、官は、自分がやめたくなった場合、あるいは組織の都合上そろそろ引いた方がいいかなということがあった場合、いつでも民間に行けるというような仕組みさえあれば、いろいろな問題というのはあとは事後規制でいいんじゃないのかな。だから、刑事罰も含めて私はそこで賛成なんですけれども、そういう意味では、今のセンターというのは暫定の機関として考えておけば、その限りにおいていいのではないかなというふうに思っております。
だから、できるだけ早く出やすい仕組みを、ゴールに到達することを先に考えた方がいいということでございます。

○田中参考人 組織を改廃するときに、そのときに生じた人たちをどうするか、これは一番最近で大きく問題になったのは国鉄、もう二十数年前になりますが、そのときに、政府は挙げて、臨時にそのお世話をしました。
常時問題が起これば、いいんですよ。まだ国の機関から民間にとか地方にとかいうことが全くわからないときに、そういうときに、出先機関が廃止されるかどうかわからないのに、人だけはそこで確保しておく、そういう委員会を設けておくことが適切であるかどうかというのは私は非常に疑問に思っていまして、それは問題が生じそうなとき、生じてからでもいいと思います。生じる前からお世話をやかなければいけないことも起こると思いますから、そういう課題が現実の問題になったときに対応することでよろしいのではないかというふうに思っています。
それからもう一つ、これは、長谷川参考人も再三おっしゃっていますけれども、私は、安倍内閣以来の公務員制度改革で、基本法に至るまで、非常によかったのは、いろいろな議論で合意が得られたのは、官民の人材を、リボルビングドアにいたしまして出入り可能にして、日本国として、労働流動性というんですか雇用流動性を高めて、人材をそれぞれの分野に役立つようにしていくという物の考え方が非常に俎上に上り議論もされましたけれども、結構なことだと思っております。
公務員の場合、採用したときに、今までは1種という一度限りのレッテルのもと、終身までずっとずんどうで行くものですから、途中で肩たたきとかどうとかいうことが必要になってきたわけであります。それを、基本法のときの議論では、1種ということで入っても、途中で、課長、管理職になるまでには半分になるんだ、そういう発想で人事運用をすべきであるということで合意が得られたはずであります。そして、公募によって、官民が、あるいは省からほかの省へと、流動性を高めていくという考え方が非常に高まった、そういうことの中でこれからの公務員制度も考えていかなければいけないと思います。
そこで、先ほどの二つ目のお話ですが、天下りの問題に関して、罰則を設けたり、あるいは違反した人たちを監察官がというのは、一体どういう情報で、あり得るのは垂れ込みだけですよね。そのために常時目を光らせている、その人も大変だろうなと私は思います。それぞれ各省から毎年どこへ就職しようと、就職の情報をすべて得てそれが適正であるかどうかをチェックする、これは一体どういう仕組みでどうやってやるのかなと私は非常に疑問に思っておりまして、その仕組みを知りたいなと関心はあります。その仕組み次第で、動くようになるのか意味のないものになるのかということになろうかと思っております。
天下りという問題は、先ほども井上委員もおっしゃっていましたけれども、定義がどうもはっきりいたしません。私が現職のときから今でも思っておりますのは、天下りというのは、人事のために特定のポストの人、これは1種であろうと2種であろうと途中でやめていただく、そのためには、退職勧奨する以上は就職も世話しなければいけないという某大臣のお言葉は非常に私はある面でわかるわけで、もう失職するのに、給料もなくなるのに、やめてくれと言うわけにはいかない、だから、それが悪慣行として続いてきたわけであります。
仮に官がそれをやらない、やっちゃいけないわけですから、どういう現象が起こるかというと、恐らく、OBがそれこそNPOでもつくって、団体でもつくって、おい、おまえ、そろそろやめたらいいじゃないかと言って、OBがそういう就職をお世話するようになるのではないか。現に、役所から一つもお世話になっていない、おれは先輩が呼んだから来たんだというような人もおります。
だから、問題は継続的に行っているとか政府のお金が出ているとか、そういうことで判断していくよりないと思っております。
〔小宮山(洋)委員長代理退席、委員長着席〕

○飯尾参考人 この点につきましては、官民人材登用・再就職適正化センターについて、詳細について私がよく知っているわけではありません。
質問は、これで天下りは根絶できるのか、常設する必要があるのかということですが、天下りの根絶というのは、先ほど来出ていますように定義次第であって、これを完璧に定義することはできない。
そうすると、やはり天下りの弊害を除かないといけないわけでして、不透明なことが起こるということを避けるためには一定の監視が必要であろう。やはり事前規制だけでは十分ではなくて、転じていろいろな職につくということがありますから、そういうことを監視するためには常設の機関の方がよろしいのではないかということであります。
それから、分限処分については、アメリカ流に考えれば分限処分もあるということで、現行法制度はそのようになっていますが、日本の労働慣行からすると慎重であるべきものであろう。
ただ、わざわざこれをされたということは、やはり公務員人件費を減らすためには、場合によってはこれを発動されるおつもりかなというふうに推測しております。そうしたときに、やはり世話をしないというのはとんでもないことでありますから、世話をするためには一定のノウハウを蓄積する必要があって、アドホックに設けた機関では十分に世話ができないのではないかと思いますので、それは、そういうことを準備されるということは予定しておられるということかなというふうに理解しております。

○大口委員 どうもありがとうございました。
以上です。

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