大口よしのりの政策・実績

大口よしのり国会質問

大口よしのり国会質問

2010年4月23日

174-衆-法務委員会-9号 平成22年04月23日

○大口委員 公明党の衆議院議員の大口でございます。
きょうは、四人の参考人の皆さん、大変ありがとうございます。これまでも被害者の会の方々からはいろいろお伺いをさせていただいたりして、ようやっとここまで来たというふうに思います。
それでは、まずお伺いをさせていただきたいと思いますけれども、大澤参考人、よろしくお願いいたします。
今回の公訴時効の趣旨の中で、証拠の散逸という問題が一つあると思います。これにつきましては、特に日弁連の皆さんから、非常にこの証拠の散逸ということに対して、これが冤罪になるのではないか、こういう危惧がなされているわけであります。
特に、長い期間経過しますと、先ほどもありました、証人がいなくなる、そういう点では調書が証拠能力を持ち証明力を持つ、反対尋問の機会がない。こういう場合でも、当然これはそういう事案も、別に長い期間が経過する経過しないにかかわらずそういう裁判があるとは思うんですが、特に裁判員裁判制度におきましては、できるだけ証人によって、見て聞いてわかりやすい裁判をしていくということが要請されているわけでございます。
そういう点で、こういう時効を廃止した場合の裁判員裁判のあり方、審理のやり方等々、これはいろいろクリアしていかなきゃいけない問題があると思います。この点についてお伺いしたいと思います。

○大澤参考人 時効を廃止した場合の裁判員裁判でどうなるのかというお話でございましたけれども、確かに、証人等がいなくなれば、しかし起訴がされているわけですから、まずは、いろいろな証拠散逸ということがある中でも、訴追にたえられるだけの証拠が集まったという前提で事件が始まってくるというわけでございます。
そうだといたしまして、裁判員裁判の対象になるような重大な事件につきましては、これはきちっと事案の真相を解明して、そして処罰をするということがやはり国民一般の立場からも求められているということでありましょうし、その場合、訴追にたえる証拠があるということで起訴をされたということになれば、それに従って検察としては立証をされる以外にないだろうと思います。
その場合に、もし仮に証人がいなくて調書しかないということになれば、これは現在の裁判員裁判でももちろん調書が取り調べられることもありますし、そういう調書について必要があれば取り調べる。それは、できるだけわかりやすいように取り調べるとともに、しかし反対尋問もできないという調書でありますので、そして古い時代にとられた調書でもある、そういうものについては、裁判員の方も含めてやはり慎重に証明力を判断していただくということかと思います。
証人尋問ができなくて調書が証拠になるという事態は、御質問の中にもありましたように通常の裁判でもあることですし、非常に時間がたった状況のもとで、そういう証人尋問もできない調書というものの証明力については、やはりそれなりにきちっと厳格な判断がなされると思いますし、それは裁判員の皆さんが加わっても、むしろ国民の常識も踏まえてきちっと判断されるものということではないかというふうに考えております。

○大口委員 今の件につきまして、江藤参考人はどうお考えなのか。
それともう一つ、捜査資料の保管のあり方、これが非常に重要になってきます。特にDNA型鑑定試料については、これは非常に決定的な証拠になるわけです。しかし、足利事件がありました。ただし、科学的な進歩は非常に進んでいます。そういう点で、このDNA型鑑定試料というのは非常に重要な役割があります。それについてのアクセスについてもいろいろ提案されていると思います。
その二点、お伺いしたいと思います。

○江藤参考人 まず第一点でございますが、法律上のたてつけは、証拠能力があるか否か、そしてあとは証明力だけの問題という点は、今大澤先生がおっしゃったとおりだろうとは思います。ただ、さはさりながら、実際に出てきた調書、これの信用力が果たしてあるのかないのかということを裁判員が本当に見分けることができるのか、こういう問題はあろうかと思います。
先生御存じのように、現在の供述調書、供述録取書と申しますものは全部一人称で書かれております。私は、ここで生まれ、こうしてこうしてああいうことをしました、こういうことをしました。しかし、それは、それを言ったとされる調書の本人が言っていることではなくて、そういうふうに取り調べ官が書くんです。書いて、これに間違いないねといって判こをつかせる、あるいは指印をつかせる、こういうたてつけになっております。ですから、ああ、ちょっと違うなというふうに思っても、あの取り調べ状況の中で指印を押して署名する人はどうしても多いわけです。
そういう類型的な危険性があるものを裁判員に判断させて、果たして十分なことができるのかどうなのか、先生がおっしゃるようにわかりやすい審理とまで言えるのか、そういう疑問があり、ますます冤罪の可能性が高まるのではないかという心配をしているということでございます。
それから、第二点のDNAの問題でございますが、これはいろいろな取り扱い方法についてはございますが、私どもが一番懸念しておるのは、科学的な証拠に対する過度の依存ということでございます。
現に、足利事件でそういう例はございました。これはDNAで間違いないと言われたら、だれしもそういうふうに思ってしまう。当時のレベルであれば、そういうことを言う捜査官はたくさんいただろうと思うんです。ちゃんと証拠は挙がっている、間違いないよ、何を頑張っているんだと。
こういう形で調書をとられるということでございますので、科学的証拠にいろいろな危険性がある、証拠の入手、由来に問題はなかったか、その保管に問題はなかったか、途中にすりかえの問題はなかったか、いろいろな危険があるのに、それを捨象して、ただ科学捜査の科学性は信頼できると言ったのでは、これはかえって盲点になってしまうということが足利事件から私どもが得た教訓のように思っております。
ということで、先生へのお答えになったかどうかわかりませんけれども、お答えとさせていただきます。

○大口委員 次に、小林参考人、よろしくお願いいたします。
小林参考人は、殺人事件の被害者の遺族の方の会ということで宙の会を結成されて運動されてきました。その思いがこういうことになってきていると思うんですが、今回、人を死亡させた罪で、しかも法定刑が死刑というふうなもの、こういうふうに廃止の対象を限定されていますね。そこはやはり殺人というものに対する一つの、ほかの犯罪類型とは異なるいろいろなものがあると思うんです。それにつきまして、この限定したことについて思いを述べていただければと思います。

○小林参考人 やはり、一言で申し上げれば、命の尊厳の侵害ではないかなというふうに思います。
人が殺されれば、これは二度と生きて戻ってくることはないわけでございまして、これはまさにほかの犯罪とは比較にならないぐらい大変重大な事件だというふうに感じております。それだけに、やはりここでは殺人に限ってという部分については我々としても十分理解ができるというふうに考えております。

○大口委員 ただ、廃止の対象を、例えば強姦致死のように人格を根底的に覆すようなものについても広げるべきじゃないか、あるいは、植物状態になっておられるような方、重篤な後遺症がある方、こういうことについても広げようじゃないか、こういう御意見もありますが、いかがでございましょうか。

○小林参考人 法律的には大変素人なものですから、明確なお答えになるかどうかわかりませんけれども、人が死ぬというふうなことについては、これは現象としては結果的には全く同じだと思います。しかし、そこに意図的なものが働いていたのか、あるいは過失とか、結果的に死に至ったという部分では、やはりある程度切り分けは必要なのかなというふうに考えております。

○大口委員 では、片山参考人、お願いいたします。
片山参考人は、捜査機関から十分情報が提供されていない、そこはやはりしっかりしてほしいということでこの中間総括というものを提案されたということであります。そういう点では、今の警察の情報提供についてはどういう点が不満なのか、もう一回お伺いしたいということ。
それと、片山参考人の場合は、ひき逃げで息子さんが被害に遭って、不起訴処分になって、そこから署名活動とかいろいろな形でやって、やっと有罪まで持っていかれた。そういう点で、今回、ひき逃げ、救護義務違反、これについては対象になっていない、こういうことについてどうお考えなのか。
この二点、お願いいたします。

○片山参考人 警察の捜査についての不満でございますけれども、それは、明らかなとおり、どういう捜査をしているのか、例えば、証拠についてのリストも開示されていない、任意で提供したどういうものが証拠として使われるのか、いやこれは関係ないですと言われるのかも教えてくれない、また、具体的な進捗状況についても教えてくれない、家族が疑いを持って見られているのか、それともただ話を聞かれているのかさえも教えてくれない、これは大いなる不満であろうというふうに思います。
私は、時効の期間というのは、事件を立証するために必要な証拠を集めるための必要な時間だというふうに考えております。したがって、ひき逃げの事件についても非常に関心があるわけですけれども、では、時間をかければ十分に納得ができる捜査ができるかというと、そうもいかないのではないかというふうに考えております。具体的なデータは持っておりませんけれども、恐らく、五年、十年たっていくと、それこそ証拠の信用性、客観性というのも疑問を挟まれる方も多いのではないかというふうに思っているところです。
ただ、殺人というのは、いろいろな、被害者とあるいは犯人との関係性も立証しなければいけない部分だというふうに思っておりますので、むしろ、被害者側として見ても、ひき逃げの事件よりは、同じ被害者が死亡している事件でありながら、殺人の方がより時間がかかるのはいたし方がないというふうに考えております。

○大口委員 最後に、大澤参考人、今回の時効廃止、また延長するということが犯罪の抑止力になるのかどうか、そこら辺の議論を簡潔にお願いしたいと思います。

○大澤参考人 検挙される数がふえるかどうかというところでは余り大きな違いはないのではないかという議論がありますけれども、まず、この種の重い犯罪について公訴時効を廃止したり、かなり長くする、要するに、この種の犯罪についてはきちっと訴追して、事案の真相を解明して、必要な処罰をするんです、そういう、法定刑には尽くされない厳しい評価を示すという意味は間違いなく持っているだろうというふうに思います。そういう点では、そういうものを通じての抑止効ということには一定働き得るのではないか、そのように考えている次第です。

○大口委員 四人の参考人の皆さん、本当にありがとうございました。
以上で終わります。ありがとうございます。

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