大口よしのりの政策・実績

大口よしのり国会質問

大口よしのり国会質問

2010年11月26日

176-衆-政治倫理の確立及び公職…-4号 平成22年11月26日

○手塚委員 冒頭、この政治資金規正法及び政党助成法の一部を改正する法律案提出者におかれましては、前国会の経緯もございまして、趣旨説明をしていただいて、各党、質疑の御準備をいただいた中、急に総理がおやめになるという状況の中で、こうして審議のタイミングをお待たせしてしまったこと、おわびを申し上げたいというふうに思います。
質問に入らせていただきます。
今回のこの法案の趣旨、これまで選任及び監督双方において注意を怠ったという場合の条文で書かれていたわけでありますけれども、アンドをオアに変える、そういう趣旨だというふうに承知をしております。
まず、この改正案がどういった趣旨で御提案だったのか、お答えをいただきたいというふうに思います。

○大口議員 ただいま手塚委員から御質問ありました点について御答弁申し上げます。
その前に、この法案は昨年の十一月十一日に提出をさせていただきました。そして、本年五月二十五日に趣旨説明をさせていただきまして、今、手塚委員から冒頭ございましたようなことがあって、ようやく、一年を越えてこういう機会を与えていただいた。委員長並びに理事、委員各位の皆さんの御努力に対して心から感謝を申し上げますとともに、ぜひとも、この法案につきましては精力的な御審議を賜りたいと思います。
さて、今手塚委員からお話がございましたが、実はこの政治資金規正法というのは、政治資金の流れを透明化して、そして、政治団体あるいは公職の候補者により行われる政治活動を国民の不断の監視のもとに行われるようにする、そして政治活動の公明、公正を確保し、もって民主政治の健全な発達に寄与するということでございます。
政治資金収支報告書というのは、これは政治資金の入りと出を正しく記載する、これによって、国民の前に政治活動及び公職の候補者の政治活動を明らかにする。これは、民主主義のインフラです。また、根幹です。ですから、これを毀損する虚偽記載あるいは不記載というのは、形式犯ではなくて、極めて重い犯罪だ、こういうふうに私は考えているわけであります。
そして、今回のこの法案につきましては、虚偽記載等があった場合に、政治団体の代表者の会計責任者に対する選任、監督の責任は、選任及び監督の双方に責任がなければならない、こういうふうに厳格解釈を現行法はされていたわけであります。しかし、監督責任があったにもかかわらず、選任の責任がないから罰せられないということは、とにかくもう、あれは秘書のやったことだ、あれは秘書が独断でやったんだ、秘書任せなんだ、こういう言い逃れができてしまうということになります。
そこで、監督責任を怠っていれば、これは選任の責任が全うされていた、あるいはその立証ができなかったとしても、責任を負うということにして、政治家の言い逃れを防止する、そして政治資金収支報告書の正確性を担保する、このために、政治団体の代表者の会計責任者に対する選任または監督の責任、これを強化したものでございます。

○手塚委員 現行法において、選任及び監督について相当の注意を怠っていた場合のみに代表者、すなわち政治家の責任を問うことになっている。この選任と監督について相当の注意を怠った場合だけ政治家の責任を問われることになっている、この理由についてお知らせいただきたい。これは参考人でも結構でございます。

○田口政府参考人 お答えいたします。
現行の政治資金規正法及び政党助成法につきましては、政党、政治団体の収支については、一義的に、会計責任者に会計帳簿の記載義務あるいは収支報告書等の提出義務を課しまして、会計責任者の責任におきまして当該団体の収支を行うという仕組みになってございます。
一方、政党、政治団体の代表者につきましては、その団体の収支について、会計責任者のような直接的な記載義務、提出義務は負ってございませんが、収支報告書等につきまして虚偽記入等があった場合において、代表者が会計責任者の選任及び監督の双方について相当の注意を怠ったようなときには、当該団体の収支の適正確保についての代表者としての責任を果たしたとは言いがたいということから、罰則の対象としているものと考えられるところでございます。

○手塚委員 ありがとうございます。
我が党も、政治改革推進本部の中で御提案のものを精力的に検討もさせていただきました。確かに提案者御指摘のように、選任について注意を怠る、会計責任者をだれにするという選任について注意を怠るというのは一体どういうことなのかな、自分自身のことにも思いをいたしながら、選任に注意を怠るというのはどういうことを言っているのかな、本当にわからない法律だなと思いましたし、その選任と監督、双方ですね、両方相当の注意を怠るというのは、ほとんどもうこの法律は、まあ言葉は適切かどうかわかりませんが、死んでしまっているというか、適用されにくいものなんじゃないかなと。その意味において、我が党としても制度の見直しが必要であろう、そこは御提案にも賛同できるところかな、こう思います。
一方、政治家にとっては、まさに政治生命にかかわるような公民権停止ということになってくるわけでございますから、これを、選任の方は注意を怠るってよくわかりませんが、監督で注意を怠る、アンドをオアにした場合ですね、いずれか、今回の御提案の場合、かなりいろいろな影響が出てくるというふうに思いますけれども、その辺はどのようにお考えなのか、お聞かせいただきたいというふうに思います。

○大口議員 手塚委員にお答えをいたします。
冒頭でも申し上げましたように、とにかくこの政治資金の入りと出、これをきちっと正しく収支報告書に記載するということが民主主義のインフラ、根幹だ。ですから、虚偽記載、不記載は極めて重い罪である。こういうことが前提です。
その上で、会計責任者がこのような虚偽記載とか不記載、こういうことがないようにするということが、やはり政治団体の代表者である政治家がこれはしっかりと選任だけではなく監督についても相当の注意を怠らないということ、これが自由な政治活動を行う上で当然の前提である、こういうふうに考えています。
そして、今回、このアンドをオアにするということでございますけれども、本改正案を適用されますと、罰金五十万円以下となりますね。そして公民権停止が政規法の二十八条の一項、また、国会法の百九条、地方自治法百二十七条、百四十三条で議員あるいは首長が失職します。こういう政治生命にかかわることになることはおっしゃるとおりです。
しかし、この監督責任というのは、会計責任者が故意に収支報告書の虚偽記載あるいは不記載に違反した場合のみなんです。ですから、この会計責任者が過失による場合、これは重過失も軽過失もそうでありますが、うっかりミスもそうですね、こういう場合は本改正案の対象にならない。ですから、監督責任の対象にならない。ということは、会計責任者の故意犯についてその監督責任を負う、こういう構造になっているということを御理解いただきたいと思います。これは大きな歯どめになっています。
それから、これは政規法の二十八条の三項に、公民権停止とあるわけですが、情状によりこの公民権停止を適用しない場合、あるいは期間を短縮する、こういうことも規定されておりますので、裁判所でもこの情状ということできちっと判断をするということでございますから、多大な影響が出るということについては、相当もうこの現行法が既に歯どめがかかっている、こういうふうに考えています。

○手塚委員 趣旨はよくわかりますし、御答弁、理解できるところではありますけれども、ただ、どうしても条文で書かれると、相当幅広くとれるんじゃないかというような懸念も出てまいります。
何か問題があったときに、捜査当局の裁量というんですか、それがすごく余りに広く、政治家の側からすれば、それがうっかりミスだったのか、まあうっかりミスは大丈夫だということですけれども、何をもってうっかりミスだったのかどうか、故意だったのかどうか、非常にそこはやはり心配になるところでもございます。
その意味で、相当の注意という、これが法律用語でよく出てくる言葉かどうか明るくありませんが、この相当の注意という定義、概念、どの程度の注意を払っていればいいのか、そこをもう少し踏み込んでお答えいただけるとありがたいなと思います。

○大口議員 手塚委員にお答えします。
まず、相当の注意を怠ったということの立証責任は検察にあります。ですから、検察はこれを立証するために、厳しく証拠を吟味してやることになります。ですから、そういう点では裁判所のチェックもありますし、厳格にこれは相当の注意ということを判断する、こういうふうに思われます。
現行法に選任、監督ということが書かれていて、相当の注意ということも書かれています。だから構成要件は現行法にもあるんですね。ですから、今回改めて新たな構成要件をつくるということにもなるわけですけれども、ただ、既にこの選任、監督、あるいは相当の注意というものの構成要件が現行法にあるということでございますので、その点は御認識をいただきたいと思います。
その上で、現行法の場合、選任につき相当の注意を怠ったときというのは、会計責任者を選任する際、その人柄、能力等の調査につき相当の注意、すなわち、社会通念に照らし客観的に何人もなすべき程度の注意を怠ったときと承知しております。
それから、監督につき相当の注意を怠ったとき、これは、会計責任者の執務態度、執務の状態について、監督者として相当の注意、すなわち、社会通念に照らして客観的に何人もなすべき程度の注意を怠ったとき、こういうふうに解釈をされているわけでございます。
そして、委員が、具体的にどのような事情がある場合に、選任または監督につき相当の注意を怠ったと言えるのかということでございます。
これは、個々の事例ごとに異なるものと考えられます。ですから、私は裁判官ではございませんから確定的にお答えはできませんけれども、やはり人柄や能力等を全く調査しないで会計責任者を選任する、あるいは、虚偽記載とかこういう違反を繰り返ししているような人を選任する、選任についてはこういう場合が考えられると思うんですね。
あるいは、代表者が会計責任者に対し適法な政治資金収支報告書を作成しなさいということをきちっと指示することもない、あるいは、政治資金収支報告書について報告を受けたり確認をしたりすることもないなど、会計責任者の執務態度、執務の状態についておよそ監督していないようなときには、一般的には、相当の注意を怠ったと評価されるのではないか、こういうふうに考えます。

○手塚委員 最後にいたしますけれども、このたび、平成二十一年から、国会議員の関係の政治団体の政治資金収支報告書から、登録政治資金監査人によるいわゆる監査、資金監査が義務づけられておりますけれども、これとの関係について、お考えをお聞かせいただければと思います。

○大口議員 手塚委員にお答えをさせていただきます。
それこそ、今御指摘ありましたように、登録政治資金監査人による政治資金監査、これが行われているわけです。これは、この政治資金規正法改正法案のときの与党、当時は私どもは与党でありましたけれども、与党プロジェクトでやってきたことでございます。
この登録政治資金監査人による政治資金監査というのは、まず、会計帳簿それから領収書等が保存されていること、これが一ですね。二に、会計帳簿にその年の支出の状況が記載されており、かつ、会計責任者が会計帳簿を備えていること。三番目に、収支報告書は、会計帳簿及び領収書等に基づいて支出の状況が表示されていること。四番目に、領収書等を徴しがたかった支出の明細書は、会計帳簿に基づいて記載されていること。この四点についてチェックをするということでございまして、その実質的な内容のチェックまで行うものではないということでございます。
また、これは支出のチェックということになります。収入についてのチェックということはありません。
そういうことで、この登録政治資金監査人による政治資金監査制度があるからといって、政治団体の代表者が会計責任者の選任または監督について相当の注意を怠ってよいというわけではないわけでございます。
政治資金収支報告書に正しく政治資金の入りと出を記載することは、何回も言っておりますように、民主主義のインフラ、根幹でございますので、やはり政治団体の代表者としては、政治資金収支報告書の中身の正確性を担保するためにも、今回のような改正が必要である、このように考えております。

○石田(真)委員 この政治資金の問題は本当に長年の課題でありまして、先ほどもちょっと御指摘ありましたけれども、平成十九年の政治資金規正法の改正、これもそういう大きな流れの中で取り組んできたわけでありまして、きょうは、委員の武部先生、それから公明党の東先生、佐々木憲昭先生、そして実務レベルで大口先生と私と、随分と議論させていただきました。本当に難しい中で、どういう形がいいのか、国民的理解が得られるのかということで、難産の末誕生したというふうに思っておるわけでございます。
国会議員関係団体の一円以上の領収書、そして登録政治資金監査人の監査を受ける、非常に厳格化を図るということで行われまして、実際、もう二十一年から行われて、先日も新聞紙上で駐車違反がいいのか悪いのかというような、今まで議論の対象にならなかったようなことが起こっているわけでありまして、これも、いい悪いは別にして我々がこの法律をつくった成果ということになると思いますし、透明性は一段と高まっているというふうに思います。
そういう中で、実際問題、私の事務所でもやってみると、秘書の人が言うのは、大変な労力ですよと。それからもう一つは、登録監査人に監査の費用、これも結構高いんですね。実際高いんです。
ですから、こういうような本当に大変なコストを、費用面でも労力面でもコストをかけてこの法律を施行しているということになるわけでありまして、そうなってくると、これをもうちょっと今回の公明党さんの案の中で利用することはできないのかな。つまり、この法律案の考え方、これは政治家本人が全部チェックしなくても登録監査人という第三者が支出についてチェックをする、先ほども手塚さんのお話がありましたけれども、一応そういう形をとるわけでありますので、現行法と、そして今の、十九年の改正法、この中で不備な点はまだ残っているのかということなんです。この二つで随分と網羅されているのではないかと思いますが、その点についてお考えをお聞かせいただけたらと思います。

○大口議員 石田委員にお答えをさせていただきます。
平成十九年の政規法の改正につきましては、石田先生とも毎日のように、数カ月にわたっていろいろ議論させていただきました。武部先生、また我が党の東委員、また佐々木憲昭委員、あの事務所費の問題があって、本当に真剣な議論をして、それで、国民の信頼を何とか回復させようということでやってきたわけでございます。
先生御指摘のとおり、一件一円以上一万円以下の支出に係る少額領収書等の写しの開示制度、これも導入をし、また、登録政治資金監査人による政治資金監査制度、これも導入をしたということでは、政治資金の透明性の向上、これは一円以上ですから非常にアップをした、こういうふうに考えるわけでございます。
そして、登録政治資金監査人の政治資金監査制度、これもやはり第三者、これは弁護士、公認会計士、あるいは税理士の専門家にチェックをしていただくということでは、そういう点における公正性というものもアップした、こういうふうに言えると思います。
ただ、先生もう一番実務責任者として御案内のとおり、先ほど手塚委員に挙げました四項目についてチェックするということですから、実質的に、本当にそういう支出があったかどうかについての実態調査までは登録政治資金監査人には権限がないということでございますので、やはりそこには虚偽記載とかあるいは不記載ですとか、そういうものは現行制度において封ずるということは難しいということは、委員も御案内のとおりであると思います。
また、収入の方のチェックにつきましても、これは今回の平成十九年の政規法の改正というのは支出についてのチェックでございますので、収入についてのチェックがない。今回、収入についていろいろ巨額の虚偽記載等があったわけでございますので、そういうことも考えますと、政治資金収支報告書の適正性を担保するため、正確性を担保するためには、やはり政治団体の代表者が、第一義的には提出義務者である記載義務者である会計責任者であるわけですけれども、ただ、この会計責任者に対して、選任だけじゃなくて監督もしっかりやっていく、強化していくということが必要であろう、こういうふうに考えます。
また、自民党の本年参議院選挙の選挙公約にも、「政治家が違法行為を秘書に責任転嫁し逃れることのないよう、政治家の監督責任を強化します。」こういうことで、自民党さんとも共通の認識を私どもも持っておる、こういうふうに考えております。

○石田(真)委員 大口先生答弁されましたように、そのとおりであります。
収入面については、十九年の改正法案では触れていないわけであります。ただ、支出面でいいますと、領収書を偽造したり虚偽のものをつくったりする、これは法律で罰せられていますから、支出面については随分担保されるのではないかなというようなことも思っておるところでございます。
さて、公明党さんが今回提出された案についてなんですけれども、「選任又は監督」に改めるということでございます。時間がないので、ちょっとはしょって質問させていただきます。
先ほどもありましたけれども、相当の注意を怠らないということになるわけですけれども、相当の注意ということになると、現行法のあれを見ますと、相当な注意とは、社会通念に照らし客観的に何人もなすべき程度の注意であると解されている、非常にあいまいであります。
今回もし法改正がなされるとすると、非常に影響が大きい。例えば、恣意的な運用もなされないとは限らないわけでありまして、そういうことを防ぐために、相当の注意、それの構成の要件をもう少し厳格化する必要があるのではないか。
あえて申し上げるとしたら、代表者の果たすべき義務を具体的に限定列挙する、そういうようなことをすることによって、より明確化を図るということが考えられるのではないかと思いますけれども、そのあたりについて提出者の御意見をお聞かせいただきたいと思います。

○大口議員 石田委員にお答えします。
確かに、これは罰金だけではなくて、公民権の停止、そしてまた失職ということでございますので、そういう点では、この相当の注意の構成要件について、厳格に捜査当局あるいは裁判所においても解釈をしていただきたい、こう思っておりますし、それは、そうなる、こういうふうに思っておるわけでございます。
ただ、先生、手塚委員に対する答弁でも申し上げましたように、これは、会計責任者が故意に収支報告書の虚偽記載等の違反をした場合のみ代表者の責任が問われる、こういうことになっておりまして、会計責任者は、過失による場合、うっかりミスとか計算間違いとか、こういうものは監督責任を問われない、こういうことは現行法でもきちっと歯どめがかかっているわけでございます。
先生の方からは、例えば代表者の義務を限定列挙したらどうかとか、そういう点では、もう少し構成要件を具体的に書いたらどうかとか、こういう御提案であったわけでありますけれども、ここはやはり、もう既に現行法に、この選任そして監督、あるいは相当の注意ということが構成要件として書かれているわけであります。同じ問題は現行法の中でもあるわけでございますけれども、ここは、私ども、手塚委員にお答えしたような具体例を挙げさせていただきました。それとともに、やはり、この問題、裁判所の判例等の集積もあるわけでございまして、今後、しっかりそれにつきましては注視をしていきたい、こういうふうに思います。
ただ、限定列挙という場合は、限定列挙することがなかなか法技術的に難しいということと、それから、では、それ以外のことはやらなくてもいいのかというようなことがございまして、現行法から後退するという印象も免れないのじゃないかな、こういうふうに思います。

○石田(真)委員 決して、私は、現行法から後退するということはないと思います。大変厳しくなるというふうに、まあ、その考え方は、我々もそういうふうに、問題ないわけですけれども、しかし、余りにそれがあいまいに、恣意的に運用される、そのあたりについての懸念というのがやはりあるわけなんですね。
それと、もう一つは、公民権停止というのは、これはもう我々にとったら政治生命をほとんど失うということになるわけですね。そういうことから思いますと、一遍に公民権停止の要件になるよりも、もう少し、軽微な場合と重大な場合、こういうことを分けるというような考え方も成り立つのではないかと思いますけれども、時間が来ましたので、そのことについて最後お聞きして、質問を終わらせていただきたいと思います。

○大口議員 今後いろいろ議論をしていきたいと思いますが、これにつきましては、私も先ほど申し上げましたように、情状によって公民権停止の規定が適用されない、あるいは期間を短縮するということを裁判所がきちっと判断するという規定もございます。いずれにしましても、先生の問題提起は問題提起として受けとめさせていただきたいと思います。

○富田委員 提案者の大口さんの方から、最終的には裁判所が個々の事案に即して判断するので、そんなに心配することはないんじゃないかということがありました。私も大口さんと同じ弁護士出身ですから、裁判所の運用は多分そういうふうになるんだろうと思います。
ただ、菅総理も、十一月九日の予算委員会で、我が党の佐藤委員の質問に答えてこういうふうに言われていました。
私は、皆さんが出されている法案は本当に十分に傾聴に値すると思っておりまして、ただ、この場でも申し上げたように、いわゆる、たしか任命責任と監督責任をオアで結んで、その場合に罰則といいましょうかペナルティーが議員の資格の剥奪ということでありましたので、それは若干、私に近い法律に詳しい人に聞いたときに、果たしてそこまでの厳罰というものが本当に副作用を伴わないのかという御指摘もありましたので、そこはしっかり議論させていただいて、必要であれば、それを年内というのか年度内というのか、必ず、ちゃんとした議論をした上で、場合によってはこういう点とこういう点を少し変えていただければ賛成できる、そういうことも含めて、早速、もう既に議論も多少はしていただいていますが、我が党の中にある政治改革推進本部、これで検討させていただきたいというふうに総理は言われました。
菅総理のこの懸念というのは、提案者から見て、どういうような御感想を抱かれますか。

○大口議員 富田委員にお答えいたします。
菅総理がどこまで現行法についての御理解があるのかちょっとわからないわけでございますけれども、先ほどから述べておりますように、選任アンド監督について相当の注意を怠る場合については、罰金だけじゃなくて、公民権停止、そして失職という厳しいペナルティーを現行法でも課されているわけでございます。
その歯どめとして、二十五条二項で、政治団体の代表者が責任を負う場合というのは会計責任者が故意の場合に限るということで、歯どめがしっかりかかっている。それからまた、裁判所の情状の判断によって、公民権停止、失職について、この情状によって適用しないということも規定されているわけでございます。
そういう点で、相当の注意というものの構成要件が既にあるわけでございますので、新たに構成要件をつけ加えてはいない。アンドなのかオアなのかによって、適用範囲は大きくなるわけでありますけれども、しかし、ここは、特殊な構成要件ではなくて、法の解釈によってきちっと限定的に厳格な解釈というのが行われる。政治活動の自由との関係というものがありますから、厳格な解釈が行われる、こういうふうに思います。

○富田委員 先ほど手塚委員も、また石田委員も言われていましたが、やはり、かなり政治家にとって重い責任を負うようになるというところは、そのとおりだと思うんですね。政治の場から退場ということになることがあるかもしれません。
民主党の小沢先生の方は、先日の委員会でもちょっと御紹介させていただきましたが、一九九三年五月に発表された「日本改造計画」の中で、第一部「いま、政治の改革を」という章の中に、「一億二千万人の目で政治資金を監視」という項目を立てられて、最後にこういうふうに結ばれております。「政治資金制度の改革と同時に、政治資金規正法違反者に対する罰則を強化し、政治腐敗防止制度を確立すべきである。具体的には、違反者を公民権停止処分にし、違反の言い逃れを封じるために連座制も強化する。」というふうに書かれて、その後にこんなふうにおっしゃっています。「これは、他の刑罰とのバランスからいえば、重すぎることになるが、政治家が自らの重い責任を果たすために自分自身を厳しく律する自律・自浄の措置として実施すべきだと思う。政治資金の全面公開と同様に、政治家自身が責任と倫理を明確にする制度として確立すればよい。」というふうに、もう十七年前に御提言されています。
このとおりだと思いますので、この小沢先生が言われた趣旨を多分提案者の大口さんは生かされて今回の法案としてまとめられたと思うんですが、そこはどうでしょうか。

○大口議員 富田委員にお答え申し上げます。
まさしく、小沢民主党元代表が「日本改造計画」でこのように記述されているわけです。今御紹介があったとおりです。そして、違反の言い逃れを封じるために連座制も強化する、こういうふうにおっしゃっているんですね。
私ども、今の政治資金規正法、今回の提案は連座制ではございません。政治団体の代表者が会計責任者の監督責任、選任または監督について相当の注意を怠ったという、みずからの相当の注意を怠るという行為についての責任なんです。ところが、小沢元代表のこの記述は、連座制ということでございますから、とにかく会計責任者が違法行為をすれば自動的にこの処分を代表者は受ける、ここまで強くおっしゃっているわけでございます。
そういう点からいえば、今私どもが提案しているものについていえば、それほど過激なものではない、むしろ、こういう、昨今、政治と金の問題、こうやって国民の信頼を失っているわけですから、この程度の改正というのはあってしかるべきである、こういうふうに考えます。

○富田委員 先ほど手塚委員の方から、十分検討に値する、民主党の政治改革推進本部でも御検討いただいているというお話をいただきました。
先日の委員会でもちょっと御紹介しましたが、ことしの十一月十日付の朝日新聞にそのことをちょっと報道していただいていまして、「民主党の政治改革推進本部は九日の役員会で、公明党が出した政治資金収支報告書の虚偽記載で議員本人への罰則を強化する政治資金規正法改正案について「趣旨は理解できる」とし、大筋で受け入れる方針を確認した。」という報道がなされています。その後に、「ただ、単純ミスでも議員本人に責任が及ぶことへの懸念から、収支報告書に本人が確認したことを示す「サイン」を義務づけることを検討。」というような記述がありました。
これは、我が党で検討したときも、本人がきちんと確認しているんだということで、こういったサインが必要じゃないかというような議論もありました。そうしたことを踏まえて、なぜ今回のような法案になったのか、提案者の方からちょっと御説明をいただきたいと思います。

○大口議員 富田委員にお答えいたします。
まず、単純ミスでも議員本人に責任が及ぶことへの懸念、この文言でございますけれども、今何回も申し上げていますとおり、政規法二十五条の二項の前項の場合とは、会計責任者が故意に同条一項に違反した場合と解釈されているわけでございます。会計責任者の計算の誤りのような単純ミスの場合はそもそも故意の虚偽記載に当たらないということで、政治団体の代表者が責任を問われることがないわけでございます。
その上で、収支報告書に本人が確認したことを示すサインを義務づけることはどうなのか、こういう御提案ではないかなと思うわけですが、これにつきましては、我が党もいろいろと検討させていただきました。
例えば、これは、今の政治資金規正法を見てみますと、収支報告書の真実性を確保するための措置として宣誓書の添付を義務づけています。この宣誓書の義務者は収支報告書の提出義務者であるということで、会計責任者が宣誓をする、署名をする、こういうことになっております。代表者は、実は毎年提出する収支報告書についての提出義務者とはされておりません。
ただ、十七条一項及び二十九条でありますように、政治団体の解散に伴う収支報告書の提出の場合は、政治団体の代表者も会計責任者とともに収支報告書の提出義務者となっておりますので、解散の場合は宣誓書に、代表者も会計責任者も双方が記名押印、または署名をしなければならない、こうなっているわけでございます。
現行法が、毎年提出する収支報告書については代表者を提出義務者としていないということでございますので、現行の政規法の体系との整合性を、代表者にサインを義務づけるということを考えるのであれば、その整合性を考えなきゃいけない、こう思っております。

○富田委員 今の提案者大口さんの説明で経緯はわかると思いますので、ただ、現行法の体系をどう考えるかというところも含めて、十分民主党の皆さんともここは協議が可能だと思います。解散の場合にはサインさせているわけですから、そのあたりについても、できましたら実務レベルで協議ができればというふうに考えておりますので、ぜひそこは、大口さんの方でも御努力をいただきたいと思います。
大口さんが先日、先日といっても通常国会のときに提案理由説明されましたときに、この法案の提出の経緯という中に、政治と金をめぐる問題、当時の鳩山総理や小沢幹事長の資金管理団体の虚偽記載事件により、国民の政治に対する信頼は大きく揺らいでいるというふうに指摘をされていました。
これは、四月の二十七日に第五検察審査会の方で起訴相当の議決をしたことを受けての話だと思うんですが、その起訴相当の議決書の中にこんな記載がありました。「政治資金規正法の趣旨・目的は、政治資金の流れを広く国民に公開し、その是非についての判断を国民に任せ、これによって民主政治の健全な発展に寄与することにある。」(一)として、「「秘書に任せていた」と言えば、政治家本人の責任は問われなくて良いのか。」(二)として、「近時、「政治家とカネ」にまつわる政治不信が高まっている状況下にもあり、市民目線からは許し難い。」と。「本件事案については、被疑者を起訴して公開の場(裁判所)で真実の事実関係と責任の所在を明らかにすべきである。 これこそが善良な市民としての感覚である。」というふうに結ばれています。
我々は、本当はこういう視線を一番大事にしなければいけないのに、ちょっとその市民の目線と離れてしまっているんじゃないか。そういうところにもう一度立ち戻るためにも、今回の大口さんが提案されている法案というのは大事だと思うんですが、この検察審査会の議決書の提言ともいうべき部分については、どんな御感想をお持ちですか。

○大口議員 富田委員にお答えいたします。
とにかく、これは、一般の世間の市民の皆様から言わせれば、秘書がやったことだ、秘書に任せている、だから自分は責任を負わない、こういうことはほとんど通用しない。民間の場合は、部下のやったことについてこれは当然責任があると。これが、今厳しい経済状況の中で、民間の世界はそういう状況になっています。
そういう市民の目線というものを反映させるのが検査審査会の趣旨でございまして、こういう御提言をまさしく実行するために、私も、この提出させていただいた法案について、一日も早い成立に向けて努力してまいりたい、こういうふうに考えております。

○富田委員 ぜひ各党間の協議が調うように期待をしております。
実は、けさ、きょう五時過ぎに起きたんですが、新聞をあけましたら、読売新聞の社会面に、「小沢氏政党支部へ三億七千万」という大きな見出しの記事が載っておりまして、何だろうなと思ってちょっと詳しく読んだんですが、昨年の八月に行われた衆議院選直前の七月下旬、旧新生党の資金がプールされている政治団体、改革フォーラム21から三億七千万の寄附を、小沢一郎元民主党代表が代表を務める民主党岩手県第四区総支部が受けていたという指摘がされていました。
これは、本来、旧新生党が解散する際にあった資金だというふうに指摘がされていて、本当であったら、私も大口さんも九三年七月の選挙で初当選したんですが、その後つくられた新進党に私ども公明党も合流しましたので、そのときに新生党から新進党に移すべき資金だったんじゃないのかと。それが小沢元代表が代表を務める総支部にそのまま移って選挙の資金として使われたというのは、政治資金の流れという点から見て、国民の目から見て、これはちょっと不自然じゃないのかなということでこういう記事になったと思うんです。
今回公表されたのは要旨ですから、具体的なところまでこの記事でもわかりません。ただ、識者は、やはり政党解散時の資金の処理にきちんとしたルールが必要なんじゃないかと。そこがはっきりしていないから違った方向にお金が流れていっている。
こういうところも、やはり国民の目線から見て、どうも政治家というのはうさん臭い金をいじっているんじゃないか、政治資金は税金がかからないわけですから、そういうお金を変に活用しているんじゃないかなというふうな目で見られてしまう。その結果、政治に対する信頼がなくなっていくということになると思います。
こういう政党解散時あるいは総支部解散時なんかのときのきちんとしたルールづくりというのも、今回の政治資金規正法、また政党助成法の改正を提案されているわけですから、こういう議論の中で、私は各党でやっていくべきだと思いますが、最後に提案者の御意見を伺って終わりたいと思います。

○大口議員 富田委員の御指摘は全くそのとおりでございます。
本来、新生党の資金であります。新生党の趣旨に賛同されて寄附された、そういうお金も入っているわけです。あるいは、ここでは詳しく記載されていませんが、政党助成金、こういうものも入っているわけです。
解散時に、例えば政党助成金であれば、本来国庫に返すべき、あるいは承継する政党にこれは引き継ぐべきだと思いますし、それ以外の資金につきましても、その趣旨からいって、これをこういう形の、改革フォーラム21に移す、そしてそれが今度は民主党の選挙資金のために使われるということについてはおかしい。やはり政党が解散した時点におけるルールづくり、これが非常に必要だ。これも各党に呼びかけて協議をしていきたい、こう思っております。

○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
政治資金規正法は、政党や政治団体が国民の不信を招くようなことをすれば議会制民主主義そのものの不信につながる、このようにしているわけであります。
小沢元代表、鳩山前総理、小林元議員の問題等々、民主党政権になってからも多くの疑惑が噴出してまいりました。小沢元代表は、国会では一言も説明をしておりません。記者会見では、私は関与していないと秘書のせいにしております。
こういう小沢元代表のような事例は、公明党が提案しているこの案によりますと、仕組み上、どのような扱いを受けるということになるのでしょうか。

○大口議員 佐々木委員にお答えをいたします。
この小沢元代表の問題のようなケースにつきまして、これまでは、会計責任者の選任かつ監督、双方について相当の注意が必要であったわけであります。
しかし、この改正後は、会計責任者が故意に政治資金収支報告書の虚偽記載等の違反をした場合には、政治団体の代表者が会計責任者の選任または監督のいずれか一方について相当の注意を怠ったときは、刑事責任を問われることとなり、秘書が勝手にやったという言い逃れはできない、こういうふうに考えます。

○佐々木(憲)委員 疑惑を受けた政治家については、まずその真相を明らかにして、再発防止のための対策を進めるということが必要だと思うんです。
小沢元代表の問題について言いますと、現在司直の手にゆだねられているということで、見守るだけしかないんだというような議論がありますけれども、私は違うと思うんですね。
国会というのは政治的道義的責任を明らかにする場でありますから、我々が何も裁判所にかわって刑事責任を追及するということをやるわけではございません。
そういう国会の役割、この点についてどのようにお考えでしょうか。

○大口議員 佐々木委員にお答えいたします。
小沢元代表が議院運営委員長として作成した政治倫理綱領の一つに、「われわれは、政治倫理に反する事実があるとの疑惑をもたれた場合にはみずから真摯な態度をもつて疑惑を解明し、その責任を明らかにするよう努めなければならない。」こういう項目があることは、皆さん御存じのとおりでございます。
小沢元代表の問題について、国民の大多数は、小沢元代表からのさらなる説明責任を果たすよう求めている。政治倫理に反する事実があるとの疑惑が持たれていることは間違いないわけでございます。したがって、政治倫理綱領にあるとおり、小沢元代表は、このような疑惑を解明するため、みずから真摯な態度をもって説明する必要がある。
そして、我が党も、また共産党さんもそうでございますけれども、小沢元代表に政治責任、また道義的責任があると考えて、その政治倫理に関する疑惑を解明するよう国会招致を要求しているわけでございます。
早く民主党も自浄能力を発揮され、これに協力していただくよう、強く求めていきたいと思います。

○佐々木(憲)委員 この裁判で問題になっておりますのは、虚偽記載に関して小沢元代表の関与があったのかなかったのか、こういう点に限られているわけですね。
しかし、問題は、私はこの四億円の原資がどこから来たのかが重大な問題だと思っておりまして、小沢氏は、例えば二〇〇七年二月の記者会見では、献金してくれた皆様のお金を資産として有効に活用する、それが皆様の意思を大事にする方法だ、こういうふうに政治資金であったと述べているわけです。ところが、二〇〇九年十月、マスコミの取材で陸山会が回答したところによりますと、四億円の定期預金を担保に同額の融資を受けた、こういう説明をしているわけです。それから、二〇一〇年、ことしの一月十六日の民主党党大会では、私どもが積み立ててきた個人の資産であります、こういうふうに、政治資金だった、銀行から借り入れた、個人の資産だった、説明がくるくると変わっているわけであります。
私は、これは一体何が真相なんだろう、原資は一体どこから来たのか、こういう疑惑がますます深まらざるを得ないわけでございます。大口さんはどのようにお考えでしょうか。

○大口議員 佐々木憲昭委員にお答えいたします。
先生御指摘のとおりでございまして、二〇〇七年、二〇〇九年、二〇一〇年と、そんな短期間の間に全く違う説明をしている。供述の変遷というのは供述者の信用性がないということなんですね。ですから、国会においてきちっと説明をしていただかなければならない。だから、国民の大多数は、その説明責任を果たすよう求めているわけでございます。
この十月五日、野党国会対策委員長会談においても、社民党を除く野党六党間で、小沢元代表の説明の場として証人喚問が適切との意見で一致を見ているところでございまして、これをしっかり求めていくべきである、このように考えております。

○佐々木(憲)委員 先ほども少し議論がありましたが、きょうの読売新聞に、小沢氏政党支部へ三億七千万、昨年の衆院解散日に旧新生党資金を寄附というふうに書かれております。
これは、旧新生党の資金がプールされている政治団体改革フォーラム21、そこから三億七千万円の寄附を小沢元代表が代表を務める民主党岩手県第四区総支部が受け取っていた、こういう報道でありまして、解散時の新生党には立法事務費四億八千万円を含む九億二千五百万円という資金があって、これは本部、支部から集められて、それが改革フォーラム21に移された。その改革フォーラム21の実質的な支配、運営は小沢元代表によって行われている。
そうなりますと、公的な資金が政党解散時に特定の政治団体に移されて、その政治団体から小沢さんの支部にお金が流れる。公金を私物化し、それをみずからの目的のために利用する、この姿というのは私は非常に重大な問題だというふうに思います。そういう意味で、これは徹底した究明が必要だというふうに思いますが、大口さんはどのようにお考えでしょうか。

○大口議員 佐々木委員にお答えします。
私もけさ読売新聞を見まして、びっくりしました。驚きました。本当にまた新たな疑惑が出てきたわけでございます。
そして、改革フォーラム21でありますとか小沢元代表が実質支配している団体については、いろいろな疑惑がこれまでも指摘されているわけでございます。この点につきましても、しっかり国会において説明をしていただかなければならない、こういうふうに考えております。

○佐々木(憲)委員 次に、先ほどから議論がされている政治資金規正法の関連で、使途の公開ということで、各党間の協議、私も参加して行われました。
私は、あのとき、政党助成金の使途についても、これは税金が原資でありますから、一円以上を公開ということになれば、当然、政党助成金の方は税金なんですから、これは対象とすべきだと思っておりまして、あの協議の中ではそういう方向に一度行ったんですけれども、何か土壇場で実現しなかった、御記憶があると思うんですが。やはり、これは税金ですので、全部ちゃんと公開する、これが必要だと思うんです。それが一点。
それから、あのときは、入りの問題は外部監査を入れても対象にしないということになっていますが、私はその入りの問題も棚上げしてはだめだと思っておりまして、あのときも主張しました。やはり政治資金という問題はクリーンに、透明にということが大事だと思いますが、この点についてお考えをお聞かせいただきたいと思います。

○大口議員 佐々木委員にお答えいたします。
一つは、政党助成金というのはまさしく税金でございます。ですから、政治資金が一円以上であれば、政党助成金も一円以上でしかるべきじゃないか、こういう議論はございました。ですから、それも推進していこうということであったわけですね。これについてはしっかり努力していかなきゃいけない、こういうように思います。
それから、入りの問題につきましても、この委員会でも御指摘いただきました。石田先生からもいただきました。この点についてもこれから検討していかなきゃいけないなと思っています。
ただ、入りの問題も、今回の私どもの法案で、代表者がその責任を負うということは、入りの問題について適正化する非常に大事な法案でございますので、御理解いただきたいと思います。

○佐々木(憲)委員 入りの問題については、例えば企業・団体献金の禁止ですね。これはきちっとやっていかなければならないというふうに我々は考えております。公開と同時に、そのことが必要だと思っております。
次に、選挙制度の問題についてお聞きしますが、やはり民意を正確に反映するという選挙制度が民主主義の基本だと私は思います。ところが、小選挙区制が導入されて、民意の集約ということが理由として挙げられたわけですけれども、しかし実態は、得票率と議席占有率に非常に大きな乖離があらわれているわけです。
例えば、〇五年の総選挙で自民党が二百九十六議席と圧勝したわけですね。そのうち、二百十九議席が小選挙区制の当選者であります。この小選挙区の自民党の得票率は四七・八%だったんです。ところが、議席占有率は小選挙区の七三%。昨年の政権交代が起きた総選挙では、民主党は、得票率は四七・四%でありました。過半数に達しておりません。しかし、議席占有率は七三・七%。非常に大きな乖離があるわけであります。小選挙区というのは民意を集約というけれども、民意をゆがめているんじゃないかと私は思うんですね。
やはり、得票に応じた議席占有率というのは本来の民意の反映であって、それがこのように非常に大きく乖離するというのは問題だと思っておりますが、大口さんの御意見をお聞かせいただきたい。

○大口議員 今回の法案とは別の案件でございますし、私が党を代表するものではございませんけれども、ただ、今佐々木委員がおっしゃったように、現行の小選挙区比例代表並立制というのは、これは御案内のとおり、民意の集約と民意の反映という二つの考え方で成り立っているんですが、四割の得票で七割の議席というのは、余りにも民意の反映というものがゆがめられているのではないかな、こう思うわけでございます。
やはり成熟社会において、多様な民意をしっかり反映させる、こういう抜本的な選挙制度の改革が必要であると私どもは考えております。各党協議会を設置して、議論を早く開始していく必要がある、こういうふうに考えます。

○佐々木(憲)委員 民意をゆがめるという小選挙区制の比率が仮に高まっていきますと、ますます乖離が起こるわけです。
民主党のマニフェストでは、比例定数の八十削減、こういうことが書かれております。私は、これはますます民主主義を、民主的な制度が壊されるというふうに非常に危機感を覚えております。
比例八十が削減されると一体どういうことになるのかということで調べてみますと、小選挙区三百、比例百、今百八十ですから、これが百になりますね。そうすると、総定数に対して小選挙区の占める比重というのは、六二・五%が七五%に一気に高まって、小選挙区制オンリーにどんどん近づいていくわけです。
仮に、昨年の総選挙が比例八十削減のもとで行われたといたしますと、民主党は、四二・四一%の得票で衆議院の議席の六八・五%、圧倒的多数を占めるわけです。三分の二以上の議席になります。自民党の占有率は比例得票率とほぼ同じでありますが、共産党、公明党、みんなの党、国民新党など、これらの得票率は三〇・八六%なんです。ところが、議席にしますと、わずか八%。つまり、三割の得票を持っている相対的に小さな政党が、比例八十削減されることによりまして、八%、一割以下に落ちちゃう。これは余りにも乱暴なものでありまして、私は、こんなことは絶対にやってはならないと思っております。
つまり、国民の意思が議席に正確に反映される比例代表制度こそ我々は大事なものだと思っております。そのところを削って、このように民意をゆがめるというのは大問題だというふうに思いますが、大口さんはどのようにお考えでしょうか。

○大口議員 佐々木委員にお答えいたします。
先ほども申し上げましたように、この小選挙区比例代表並立制自体も民意の反映という点では問題があると思うわけです。しかし、それが百八十という形で入っている。その百八十からさらに八十削減するということは、これは選挙制度の根幹にかかわる問題でありまして、我々としては反対をしたい、こう思っています。
とにかく、民意を反映する抜本的な選挙制度の改革を各党でしっかり協議すべきであろう、こういうふうに思います。

○佐々木(憲)委員 選挙制度というのは議会を構成する上での大変重要な前提であり土台である。したがいまして、各政党がきちっと、どのように民意を反映させていくかという観点からこれを見なければならぬと思っておりまして、この比例削減八十というのは絶対に許すわけにはまいりません。
それから、金がかからない選挙制度だと言われましたけれども、もう時間がありませんのでお聞きしませんが、実態は、かえって金がかかるということをおっしゃっている方々がたくさんいるわけであります。
週刊金曜日十一月十九日号では、公明党の幹事長代理、選対委員長の高木陽介さんが「新進党時代に小選挙区制で選挙戦をやった時、公明党時代に比べると何倍もカネがかかりました。ポスターの数も全然違いましたし、ビラやチラシも絶えず作り続け、秘書も増やしました。 九三年当時の「カネのかからない制度」というのは全くの幻想だったと今思っています。」こういうふうに答えていますけれども、最後に感想を、どういうふうにお感じですか。

○大口議員 佐々木委員にお答えいたします。
実態は、日常活動の中で、広報活動も含めて、さまざまお金がかかっている実態があると思います。そういう点では、当初の金がかからないということは幻想であったという高木議員の指摘というのは、私もそのように実感をいたします。

○中島(隆)委員 社会民主党の中島隆利でございます。
提出されました政治資金規正法、政党助成法の改正案に質問する前に、法案提出者に、昨今の政治と金をめぐる問題につきまして認識をお伺いしたいと思います。
先日も、一般質疑で総務大臣にお聞きをいたしました。国会議員の政治資金をめぐる疑惑が相変わらず取りざたされております。国民の政治不信を助長しているものと考えます。国会議員の政治と金の問題というと、一つは、政治資金規正法などでやはり抜け穴が存在をしているのではないかということ、もう一つは、疑惑を持たれた議員が国会の内外を問わず国民に疑惑を払拭する、そういう説明責任を果たしていない、この二つの問題があるように思います。
この点を踏まえまして法案提出者にお伺いいたしますが、国会議員の政治と金にまつわる問題についてどのように認識を持たれているのか、まずお尋ねをいたします。

○大口議員 中島委員にお答えをいたします。
政治と金の問題が、本年に入りましても、鳩山前総理、そして小沢民主党元代表初め、小林元議員等と、次から次へとこういう問題が、本来からいえば国の予算をしっかり審議すべきでなければならないわけでありますけれども、疑惑を究明せよという国民の声にこたえて、やはり予算委員会でもいろいろ追及をせざるを得ない、こういう状況でございます。
そういう点で、やはり、この政治と金の問題というものをしっかり根絶していく、そのためには絶え間ない努力が必要である。国会議員に課された、各党に課された責務であると思います。
そういう点で、政治資金規正法、例えば一円以上の領収書についての開示制度も含めて、私もいろいろ携わらせていただきました。あるいは、登録政治資金監査人の制度、こういうものも導入させていただきました。しかし、次から次へと問題が起こってくるということで、今回は、秘書がやったことで代表者は知らない、政治家は知らない、こういうことを封ずるためにこの法案を出させていただいたわけでございます。
とにかく、こういう問題が噴出をしていることに対して的確に、これは、国権の最高機関である、立法府である国会が国民の不信を払拭するために働いていかなきゃならない、そういう意味におきまして、今回の法案を提出させていただきました。
また、政治倫理綱領で御紹介しましたように、「われわれは、政治倫理に反する事実があるとの疑惑をもたれた場合にはみずから真摯な態度をもつて疑惑を解明し、その責任を明らかにするよう努めなければならない。」こういうことでございますから、刑事責任は刑事責任、しかし、やはり政治的道義的責任等についての説明を国会でしっかり果たすということが大事である、こういうふうに思っております。

○中島(隆)委員 政治資金規正制度は選挙の公正性、透明性を国民に示すという意味では非常に重要でありますが、その法律が、代表者である議員あるいは会計責任者等が正確にしていないと、疑惑が問われたら、代表者である議員が国会で証言をすべきだというふうに我が党も、小沢さんに含めて、政倫審等について国会で明らかにしてほしいというのを再三申し上げておるところであります。
そこで、二〇〇九年度の政治資金収支報告書は、一円以上の領収書を添付する、一万円を超える支出の公開が義務づけられているわけであります。都道府県届け出分あるいは総務省届け分双方につきまして、十一月末までには公表されるものと承知いたしております。
新聞報道等されておりますが、選管で公表された分につきまして、国会議員の政治団体から、先ほど来ありました駐車違反の反則金や、あるいは高級クラブでの打ち合わせ、そういう支出のケースがあるというふうに報道されております。多額の領収書を紛失しているというケースもあるわけであります。
さきの委員会でも指摘されておりましたが、インターネットで公開すれば要旨の公報掲載の義務はなくなった、こういう問題も指摘をされておりますけれども、全部公開されたわけでありませんが、新しいルールのもとでの政治資金収支報告書の公表分について、法案提出者はどのように印象を抱かれているのか、お尋ねいたします。

○大口議員 中島委員にお答えいたします。
この平成十九年の政治資金規正法の改正案によって、一件一万円超の支出について、人件費を除いて収支報告書に明細を記載することが義務づけられたということで、今回、先生御指摘のようなことがマスコミ等で報道され、明らかになったわけでございます。さらに加えて、一件一円以上一万円以下の少額領収書の写しの開示制度も導入させていただきました。
やはり、政治活動のお金の入りと出を透明化していくことによって、国民の皆さんに、その政治団体そして政治家の政治活動がお金の面で非常に明らかになる。それがその政治家に対する投票行動、投票する場合の大きな基準になってくるわけでございます。
そういう点で、国民の監視に置くということにおきましては、こういう透明化をさせていただいたことが大事である、そう実感しております。

○中島(隆)委員 虚偽記載あるいは今指摘しましたような記載、使途等を含めて、やはり政治資金を厳格にやる必要があると思いますので、こういう観点につきましても、今後、政治資金規正の中でさらに検討いただく必要があるのではないかというふうに思っております。
次に、企業・団体献金の禁止について、法案提出者にまずお尋ねをいたします。
国会議員の政治と金をめぐる疑惑では、先ほど来指摘されております法制度の不備という抜け穴があって、今回、公明党が提出されました改正案も不備を是正するものの一つと承知をいたしております。
政治資金をめぐる法制度の問題でございますが、私ども社民党でも、根本的な問題として、政官業の癒着や、あるいは不自然な金の流れを断ち切るためにも、企業・団体献金の禁止を我々は主張いたしておりますし、早急に実施をすべきであると考えております。この点につきまして、法案提出者はどのようにお考えか、お聞かせいただきたいと思います。

○大口議員 中島委員にお答えいたします。
公明党も、企業・団体献金の全面禁止をすべきだ、こういう考えでございます。
そのためにも、各党協議機関の設置を我が党は提唱しておりまして、合意形成に努めてまいりたい、こういうふうに考えております。

○中島(隆)委員 政治に対する信頼回復は、まずは献金を国民に透明性を持つ個人献金中心にすべきだというふうに思っております。公明党さんの協議会提案、私どもも賛成であります。ぜひそういう協議を促進していきたいというふうに思っております。
それでは、改正案の内容についてお伺いをいたします。
最初に、政府参考人にお聞きをいたします。
現行法では、政治資金収支報告書への虚偽記載などの違反があった場合、政治団体の代表者が会計責任者の選任及び監督の双方で相当の注意を怠った場合に罰金や公民権の停止といった処罰がされるようになっております。これは、逆に言いますと、選任、監督のどちらか一方で相当の注意を払っていれば法に抵触しない。これをもって、虚偽記載などのケースでも、秘書が勝手にやっていたという理由で残念ながらこれまで通ってきた現状であります。
そこで、現行法で、処罰のケースを会計責任者の選任、監督の双方で注意を怠った場合として明記されたわけでありますが、この考え方について、先ほど来御説明があっておりますが、再度、双方でという明記をされたこの位置づけ等についてお尋ねしたいと思います。

○田口政府参考人 お答え申し上げます。
現行の政治資金規正法と政党助成法におきましては、会計責任者に会計帳簿の記載義務、さらには収支報告書、使途等報告書の提出義務を課しまして、政党、政治団体の収支につきましては、一義的に会計責任者の責任において行うという仕組みとなっているところでございます。
政党、政治団体の代表者の方につきましては、当該団体の収支につきまして、会計責任者のような直接的な記載義務、提出義務は負ってございません。しかしながら、収支報告書等の虚偽記入があった場合において、代表者が会計責任者の選任と監督の双方について相当の注意を怠ったというような場合につきましては、当該団体の収支の適正確保という観点から見まして、当該団体を統括する立場にございます代表者としての責任を果たしたとは言いがたいという考え方から、そのような場合につきましては罰則の対象としているものと考えられるところでございます。

○中島(隆)委員 次に、法案提出者にお聞きをいたします。
改正案では、この双方または選任か監督のいずれか一方で問題が生じていれば政治団体の代表者も処罰されることになるわけでありますが、秘書の責任にして言い逃れることを封じることをねらいにしたものだと思います。
改めまして、この改正のねらい、それから、例えば過去のケースや事案においてこの効果を期待できるというものがありましたら、お示しをいただきたいというふうに思います。

○大口議員 中島委員にお答えをいたします。
現行法は、選任及び監督の双方について相当の注意を怠った場合に問い得るけれども、例えば、選任について相当の注意を怠っていなければ、監督につき相当の注意を怠っていたとしても、結果として政治家の言い逃れを許すことになる。秘書に任せた、秘書が勝手にやったということを、これまでの過去の事例でも繰り返し言いわけとして言われていることでございまして、最近でいえば、小沢民主党元代表あるいは鳩山前総理もそういうことになっているわけでございます。
今回、そういう点で、言い逃れを封ずるために、二十五条二項で、選任または監督のいずれか一方について相当の注意を怠れば政治団体の代表者を処罰できることにいたしたわけでございます。罰金だけではなくて、公民権停止、失職、政界退場となる効果が期待されると思います。

○中島(隆)委員 確かに、今回の改正で国会議員の言い逃れを防ぐ効果があるというふうに思います。
ただ、現行法では、相当の注意を怠っていた場合に問題になるわけでありまして、これを改正されたというふうに思いますが、この相当の注意といったものの具体的な中身でございますが、先ほど来それぞれ御質問があり、回答もいただいております。
政府参考人に、もう一度、この相当の注意とはどのようなものか、少し具体的にお話をいただきたいと思います。

○田口政府参考人 お答え申し上げます。
相当の注意といいますのは、社会通念に照らしまして客観的に何人もなすべき程度の注意であると解されているところでございます。
そういう中で、選任につき相当の注意を怠るとは、会計責任者を選任する際に、その人柄、能力等の調査に相当の注意を怠ることをいうと解されております。
また、監督につき相当の注意を怠るとは、会計責任者の執務態度、執務の状況について監督者としての相当の注意を怠ることと解されているところでございます。
現行の規正法におきましては、収支報告書に虚偽の記入をした場合等におきまして、政治団体の代表者が当該団体の会計責任者の選任と監督の双方につきまして、今申し上げました相当の注意を怠ったときに罰金に処する旨の定めがあるところでございます。
なお、個別の事案が今申し上げましたような解釈に該当するかどうかという点につきましては、個々の事案ごとに具体の事実関係、態様に即して判断をされることになるものと考えてございます。

○中島(隆)委員 選任と監督の責任、今お答えがありました。人柄とか態度とか、こういうことでありますが、問題は、記載された中身の虚偽であるかどうかという判断、この把握が非常に重要であると思いますし、この法律が施行されれば、両方の責任を問い、さらには代表者を最大の責任者として問うていくということになると思いますので、そういう位置づけで確認をしたいと思います。
次に、相当の注意の中身について今ありました。選任と監督、それなりの注意等がありますが、虚偽記載などが発覚をした、こんなケースは想定できると考えます。この場合、法的には政治団体代表者の処罰ができなくなってしまうと思うのですが、いかがでしょうか。法案提出者にお伺いいたします。

○大口議員 中島委員にお答えいたします。
今回出させていただいた代表者の責任というのは、代表者みずからの責任ということでございまして、それは、会計責任者が故意に虚偽記載とか不記載等の政治資金規正法違反をした場合に、相当の注意を怠っていた場合は責任を負うということでございます。
そういう点で、相当の注意を払っていた場合につきましては、これは責任を負わないということでございまして、そういうケースが想定できるかというと、会計責任者が通常では考えられないような巧妙な手段を用いて収支報告書の虚偽記載等を行ったというような場合について、政治団体の代表者が会計責任者の選任及び監督について相当の注意を払っていれば、刑事責任を問われないということでございます。

○中島(隆)委員 時間が来ましたようですから。
今回の公明党さんの法改正の提案、私ども賛同いたします。
やはり政治資金規正法、まだまだ国民の批判を買っております。何としても政治資金規正法に基づく適正な処理と透明性、そして説明責任、これが必要だと思いますので、そういう立場でこの法案に賛成を申し上げて、私の質問を終わります。

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