大口よしのりの政策・実績

大口よしのり国会質問

大口よしのり国会質問

2011年3月30日

177-衆-法務委員会-4号 平成23年03月30日

○大口委員 公明党の大口でございます。
法案の方は後ほどお伺いさせていただきたいと思いますが、まず初めに、東北地方太平洋沖地震についてお伺いをさせていただきます。
その前に、まず冒頭、このたび本当に多くのとうとい人命が失われました。そして多くの遺族の方が悲しんでおられます。心から哀悼の意を表したいと思います。そしてまた、行方不明の方々、そしてその御親族の方々、被災地の方、そして避難所の方、あるいは原発で避難をされ、また本当に不安にさいなまれている方々に対して、心からお見舞いを申し上げたいと思う次第でございます。
私も、この二十六日、二十七日、現地へ行ってまいりました。宮城県の、それこそ仙台市、そして塩竈市やあるいは多賀城市、そして七ケ浜町等々見てまいりまして、本当にこの津波の被害というものがいかに大きなものか。もう根こそぎさらっていく。そして生活の場、また漁業の場、農業の場、また工業地帯も甚大な被害をこうむっている。そういう点で、本当にこの問題につきましては、もうそれこそ国を挙げて、また国会を挙げてこれは対応していかなきゃならないと痛感をした次第でございます。
そういう点で、平沢議員の質問にありましたが、大臣、副大臣、政務官、いずれも現地に行かれていない。それはいろいろ現地に御迷惑をかけてはいけませんけれども、ただ、やはりこの法務省におきましても、この現場に、政務官がフットワークがいいわけでございますから、どうですか、もう喫緊に現地に行かれるということで、いかがでございましょうか。大臣、ではお願いします。

○江田国務大臣 おっしゃることは本当に痛いほど胸に突き刺さるのでございますが、諸般の事情で、私があるいは副大臣が行くわけにいかないというところで、そこはぜひ御理解をいただきたいんですが、内閣としては、これはやはり若い行動力のある者が現地へ行って陣頭指揮に当たるということで、黒岩政務官が間もなく行くことになっておるので、ちょっと本人からの決意を聞いてやっていただきたいと思います。

○黒岩大臣政務官 内閣の方から近々に現地に飛べということで今指示が下っておりますので、本当に、大口委員のおっしゃるように、つぶさにその現地をしっかりと把握して、また法務省の方にも届けたいと思っております。

○大口委員 私も、名取市というところの避難所にお伺いしましたが、御主人を亡くされた方が相続の問題でいろいろ相談されたいというお話がございました。それから、それこそ会社あるいは工場が全く流されて、もう働きに行く場所もない、こういう場合についてどうなのか。さまざまな法律の問題を皆さん抱えておられまして、そういう将来に対する不安を解消するためのこういうことに対してもやはりタイムリーにおこたえをしていかなければならない、こう思うわけでございます。
そういう点で、法テラスがやはり今回、その存在意義をかけて、全力でこのニーズにこたえていかなければならない、こういうふうに思うわけでございます。
法テラスコールセンターは、東京都の中野から、ちょうど被災地である仙台市に移転することになっている。平成二十二年度に仙台で一部の運用が開始され、二十三年四月一日から本格稼働が予定されている。今回の震災によってこの仙台のコールセンターが被災したために、移転準備中の東京ですべての情報提供の業務を行うことが余儀なくされている。その結果、つながる割合が五〇%ぐらいということも聞いていて、十分な情報提供業務が行えない、こういう状況にあるとも聞いております。四月一日からの仙台コールセンターの本格稼働については、被災地ということもあり、懸念がございます。そういう点で、東京での業務継続を含めた暫定的な措置が必要ではないか、こう思うわけでございます。
災害発生時には特有の法律問題、今お話し申し上げましたけれども、司法アクセスの確保はより重要性を増しております。政府として、法テラスの情報提供業務の円滑な実施に向けた支援措置を講ずる必要性がある、こう思いますが、御所見を大臣からお伺いしたいと思います。

○江田国務大臣 委員おっしゃるとおり、法律問題、法律相談、これから非常にたくさん出てくると思います。まさに法テラスが今ここでその力を発揮しなきゃいけないときだと思っております。
そんな中で、仙台のコールセンターが一時業務を停止したというのは、これは事実でございます。ちょうど東京から仙台へ移るその途中で、両方稼働していたので、仙台を応援する形で、東京は四月以降も仙台コールセンターの補完の形で情報提供を継続する予定にしておりまして、支障なくやっていけるものと思います。
なお、法テラス、仙台のコールセンターは、比較的施設設備の損傷は軽微でございました。しかし、百二十人ほどおりましたオペレーターの多くが被災をして、その確保に支障を来しているところでございまして、今申し上げたように、東京でしっかり応援をしていきたいと思っております。

○大口委員 また、震災に伴う法律相談でございますので、例えば被災者生活再建支援法とか、本当に震災に伴ういろいろな法律相談、こういうものがございますし、また、相続のことでありますとか登記のこととかいろいろあるわけであります。
そういう点では、私は、法テラスが行っている情報提供業務を拡大して、そして震災対応を専門とするコールセンター、こういうものを設けるべきではないか、そしてちゃんと専門家がその対応をする、こういうことを提案したいと思いますし、また、フリーダイヤルなど、被災者に経済的な負担をかけないようなそういう方法を実施すべきと考えますが、大臣、いかがでございますか。

○江田国務大臣 委員の御指摘も重要な御指摘だと思いますが、しかし、現在のところ、私どもが言うのもちょっと口幅ったいかもしれませんが、既存のコールセンターの番号、〇五七〇―〇七八三七四(おなやみなし)、この番号は結構周知済みでございまして、FAQ、よくある質問と答え、これを充実させたり、また、オペレーターに震災対応に特化した研修をするなどして、この番号で震災の相談も一括して、しかしオペレーターにはちゃんと研修させて適切な答えができるように、そういうようなことを法テラスの方で検討されるものと思っておりまして、法務省としても、法テラスのそうした取り組みをしっかり支援をしていきたいと思っております。

○大口委員 いずれにしましても、ちゃんと必要な情報が提供できますようにお願いしたいと思います。
そして、今、日弁連と東京三会が法テラスと協力して、三月二十三日から無料の法律相談を実施していますね。そして、仙台弁護士会、岩手弁護士会でも無料の法律相談を開始する、こういうことであるわけでございます。やはり、今後、被災地での面談による無料法律相談の実施が必要である、こういうふうに思うわけでございます。
この点で、私は、やはり弁護士会、あるいは司法書士会連合会、土地家屋調査士会、あるいは高齢者、障害者の支援団体等とも連携をして、相談支援体制の情報を収集し、避難所での巡回無料法律相談、登記相談、被災地に出向いての出張の無料法律相談、登記相談、それから、今、被災地から被災地外の避難所に来られている方々に対する法律相談、これをしっかり法テラスがかんでやっていただきたい。それに対しては、国としても予算の措置も含めたしっかりとした支援をしていただきたい、こういうふうに考えますが、いかがでございますか。

○江田国務大臣 法テラスとしても、今委員御指摘の、弁護士会、司法書士会、土地家屋調査士会等々、こういう専門家の皆さんとしっかりと連携して法テラスサービスというものを展開していかなきゃいけないし、そうやっていただけるものだと思っております。
なお、法テラスにおいては、日弁連と連携しながら、例えば弁護士の出張相談とか巡回相談とか、このような方法で需要に対応されるものと期待をしておりますし、法務省としても応援をしていきたいと思います。

○大口委員 総合法律支援法のもとで法テラスが民事法律扶助業務を行っているわけでありますけれども、それを利用するためにはさまざまな書類を用意する必要があります。ただ、被災者、避難者はこれらの書類を準備できない方々がほとんどだ、こう思います。そして、大きな被害に遭われています。本当に、家を失う、また工場を失う、あるいは船を失う、こういうことでございますので、それまでの収入からすれば資力基準を満たさない場合であっても利用できるような柔軟な対応を行うべきだ、こういうふうに思うわけでございます。
これは阪神・淡路大震災の場合に、代理援助について、当時の法律扶助事業を担っていた法律扶助協会において特例措置をとった、こういうふうに聞いているわけでございます。今回につきましても、提出書類や資力基準の柔軟な対応が必要である、こういうふうに考えますが、いかがでございましょうか。

○江田国務大臣 阪神・淡路大震災のころにはまだ法テラスができていなかったわけですが、しかし、弁護士会等あるいは財団法人法律扶助協会などの活動に対して資力要件緩和あるいは審査の合理化などを行ったと承知しておりまして、現在の法テラスも、そういう資力要件緩和など、あるいは審査の合理化など、これは今、民事法律扶助の予算面での大幅な拡充が実現をしており、当時よりも相当要件が緩くなっておりますので、それをさらにというのは、どの程度できるかは慎重に検討する必要がありますが、提出書類について、今の状況に即した対応が必要だということはおっしゃるとおりでございまして、法テラスの運用上の工夫を行うものと思っております。

○大口委員 また、法律扶助制度を利用している被災者も多くおられます。民事法律扶助、立てかえ、あれは償還制でありますが、被災者の方々に対する償還をどのように考えているか。
これは、阪神・淡路においてもそうでございましたように、業務方法書改正を行って、やはり償還猶予あるいは免除ということが必要である、こういうふうに考えますが、いかがでございましょうか。

○江田国務大臣 これも、阪神・淡路大震災のときに償還猶予とかあるいは免除制度を弾力的に運用したというように承知をしておりまして、現在、立てかえ金償還の猶予または免除については、生活保護法による保護を受けているとき、またはそれに準ずる程度に生計が困難であるときに認められるということになっておりますが、この震災の状況を考えれば、これはもうそういう基準というものを十分弾力的に運用していかなきゃならぬということは当たり前でございまして、今後の状況をしっかり注視していきたいと思います。

○大口委員 今回、津波の被害の大きいところというのは沿岸部ですね、沿岸部には弁護士が少ない地域が多いわけでございます。そういう点で、やはり、特に津波被害の大きい、そして弁護士が少ない沿岸部における対応をしっかりやるべきではないかな、こういうふうに思います。法律相談等あるいは民事法律扶助等を手厚くやっていくべきであると思いますが、この点、いかがでございましょうか。

○江田国務大臣 御質問の通告をいただいて、ちょっと調べてみましたら、仙台弁護士会においても岩手弁護士会においても福島弁護士会においても、いずれにせよ、沿岸部に弁護士さんが多くないというのは事実でございます。
したがって、この地域の弁護士さん方だけではなかなか十分なサービスが提供できないのは容易に想像されるところで、日弁連とも法テラスが十分相談をして、先ほど申し上げました出張相談、巡回相談などをやっていくものと思っておりますし、法務省としてもそのように後押しをしたいと思います。

○大口委員 次に、被災した建物の職権による滅失登記についてお伺いをさせていただきたいと思います。
今回、未曾有の被害で、本当に建物が滅失という状況が、もう大変な数に上っているわけでございます。そこで、これも阪神・淡路大震災の際に、本来、所有者が建物の滅失登記の申請を行うことが原則でありますが、所有者の申請を待つまでもなく、当時の不動産登記法二十五条ノ二の規定に基づき、登記官が職権で滅失登記を実行し震災の復興に寄与した、こういうふうに聞いております。このような方策を講ずることが被災地の支援にもなると考えられます。
今回の震災においても、現行の不動産登記法第二十八条に基づいて職権で滅失登記を実施する、そのような方策を講ずる予定があるか、お伺いしたいと思います。

○江田国務大臣 これは委員おっしゃるとおり、これだけ多数の建物が倒壊して、しかも建物の所有者が被災をしているので、申請によるというのが事実上不可能、現実的でないことはもう明らかでございます。
したがって、被災者の負担をできる限り軽減する、さらにまた被災地域の復興促進のためにも、迅速、適正に滅失登記をする必要があり、その方策を検討中でございますが、委員おっしゃる職権による滅失登記もその一つだと思っております。

○大口委員 また、今回津波によって根こそぎやられているわけであります。そういう点で、今、倒壊した建物の撤去作業、これは瓦れきの撤去というのは最大の課題でございまして、それを一生懸命やっておられる。むしろ、遺体を捜索するために瓦れきの撤去をしている、こういう状況でございます。
そういう中で、被災地の土地の境界が判別できない状況になっているわけでございます。復興のために、土地の境界について復元することが不可欠でございまして、この境界の復元に当たって、精度の高い、不動産登記法第十四条の規定に基づく登記所に備えつけられた地図を活用することで、被災地における土地の境界復元が可能となると思います。この十四条地図がないところの場合は境界の復元が困難な可能性もございます。
そこで、この十四条地図がどの程度被災地において備えつけられているのか、そしてまた、備えつけられていないところの場合、特に境界標識がない場合、どのように境界を復元するのか、お伺いしたいと思います。

○江田国務大臣 土地の移動というのが、土地全体がざっと動いている、そういうことも言われておりまして、まず今の形状というものがどういうものであるかというのを確定しなきゃなりませんが、それを前提として、移動しても、自分の所有地がそのまま移動しているわけですから、それが変わるわけではないので、境界標識あるいはその他の土地の境界を示すものを可能な限り捜し出して、特定をして、登記に反映をさせていかなければいけないと思っております。
この地域は、幸いなことに、今の十四条地図が八割ぐらい整備をされているというので、全国平均からいうと相当高いところでございますので、これを十分使うことができますが、精度の高い地図がない地域では、今申し上げたような境界標とかそうしたもので精いっぱいやっていきたいと思います。さらに、その後の中長期的な対応については、これは関係省庁とよく協議をしていかなければなりません。

○大口委員 これは、国交省や厚労省、総務省に対して、境界標識、コンクリートくいですとかあるいは金属びょうでありますとか、こういうことの保存について通知をしているとお伺いしております。ホームページでやっておられるようでありますが、やはり、国交省、厚労省、総務省だけじゃなくて、復旧復興に関連する官だけではなくて民の業者にもこの保存をお願いする、きめ細かな周知を徹底する必要がある、こういうふうに思います。
それと、どうでしょうか、今、現地の境界標識はどの程度保存されているのか、これもお伺いできればと思います。

○江田国務大臣 現地はもう、私は行ってはおりませんが、容易に想像される大変な事態でございまして、境界標識があるかないかというところまで確認できないのが事実じゃないかと想像いたします。
ちょっと今、後ろからメモが回ってまいりましたが、印象ですが、かなり残っているという印象であるというふうに聞いております。(大口委員「あと、きめ細かな通知も」と呼ぶ)そのようにやってまいります。

○大口委員 次に、瓦れきの処理についてでございます。
名取の市長さんからお話をお伺いしました。佐々木市長さんでございます。
その中で、瓦れきの処理については、一つは財源の問題ですね。瓦れきの処理だけでなく、個人の住宅の建物の解体費用についても国庫補助事業とされたい、あわせて、津波の影響が広範囲に及んでおり、瓦れき処理の費用、これも全額国庫負担でお願いしたい、こういう要望もいただきました。そういう方向で政府も今考えて検討されておられるというふうに聞いております。
そしてまた、被災車両の取り扱いについても、今回の災害について、津波災害が甚大であったという性質上、多くの自動車が災害に巻き込まれ、被災地に放置されている状況である。自動車について撤去や処分に多額の経費を要する、所有者の私有財産という性質が強いこともあり、行政としても安易に処分することはできないなど、取り扱いに係る課題が多い。国において被災車両の取り扱い方針について統一的な見解を示すほか、自治体が処分せざるを得ない場合、全額国庫負担とされたい、こういうことですね。
指針だけ出されても困る、やはり財政的にきちっとやっていただきたい、こういう要望でございました。
閣内にいらっしゃる大臣からも、これについて前向きの答弁をいただきたいと思います。

○江田国務大臣 ぜひそのように努力をしたいと思います。

○大口委員 倒壊家屋についてでございますけれども、今回の指針の中で、敷地内にある建物については、一定の原形をとどめている場合には、撤去をすることについて所有者等の意向を確認することを基本としつつも、所有者等に連絡がとれない場合や倒壊等の危険がある場合には、土地家屋調査士等の専門家に判断を求めた上で解体撤去することとされている。ここでこの判断を求める専門家というのは「土地家屋調査士等」となっております。
やはり専門家をしっかり現地で確保していくということのためにも、この「等」ということも明確にしていただきたい、こう思いますし、先ほども答弁でございましたけれども、全国の土地家屋調査士会連合会にしっかりそのお願いをする、こういうことでございますけれども、本当にどれぐらいの調査士の方あるいは専門家の方が必要であって、それに対して十分確保できるのか。費用等の問題もございます。こういう点について、小川副大臣にお伺いしたいと思います。

○小川(敏)副大臣 土地家屋調査士さん等の専門家に判定いただくのは、建物が敷地の外に流出してしまったものではなくて、敷地の中にとどまっているものでございます。
敷地の外に流出してしまっているものは、他人の土地の上に乗っかっているわけですから妨害排除請求の対象でありましょうし、また、そこまで流出してしまっていますと、引き家にしてもとに戻すというのは不可能であって、一見家の形をしているとしても、もう家としての機能がないから解体殻と同じではないか。このような考えに立って、廃棄処分していいというふうに指針を示したわけでございます。
敷地の上に乗っかっておりますということは、他人の土地の上に乗っかっているわけでないわけですから、妨害排除請求の対象ではなくて、まさに建物の所有者が、自分の敷地の上にあるわけですから、やはり所有者の考えというものは最優先しなければならない。ですから、所有者が残すといえば、その所有者の判断で残して何らかの手当てをするんでしょうが、しかし、連絡がとれないというような場合に、やはりそれが放置されていれば倒壊して危険が及ぶとかいうような事情がございますので、ここは、少なくとも家屋としての価値がないものに関しては、行政の判断で撤去してもやむを得ないのではないかということで、いわば思い切った指針を示したわけでございます。
そうはいっても、行政の判断で解体撤去してしまうというときに、家として使えるというものであれば、それはやはり行政の判断だけではできないのではないか。そうしたときに、家としてまだ使えるのか使えないのかということをどうしても専門家の判断をいただいて、それから、後々のために写真等にもその状況を残しておいて、解体撤去した後に所有者等から苦情の申し出があった場合にはきちんと対応しよう、このような趣旨で専門家等の判断をいただくということにしたわけでございます。

○大口委員 それで、その専門家の確保、これについてはどうですか、どういう見通しを立てておられますか。

○小川(敏)副大臣 的確な数字を今具体的に申し上げられないんですが、どうも、現場の状況は、敷地の外にまさに流出してしまった家屋が大変多いようで、敷地の中にとどまっているというのは余り多くないのではないか。それから、敷地の中にあれば、恐らく所有者の方が自分で判断されるケースも多いのではないか。
そうしますと、具体的に行政が撤去するということを判断しなければならない、あるいは撤去するに至る数は案外多くないんじゃないかというような予想もしますが、ただ、これは申しわけございません、これから作業を進めていく中でどのくらいの数が出てくるか、率直に申し上げまして数の予測ができないものですから。しかし、多ければ多いなりに、やはりきちんとした専門家の協力をいただくという体制は整えなければならないというふうに思っています。
具体的に、的確な数字的なことについては今言える状況ではないので、御容赦ください。

○大口委員 今は救援救助、復旧、これが最大値ではありますが、そういう観点からいっても、政務三役が現場に行かれることは大事でございますし、それから、ある程度、今は航空写真といいますか、上から見れば大体の状況はわかるわけですから、そういう点ではスムーズに、敷地内にとどまっている建物について、応急危険度判定士というのもあるんですが、なかなか今現場は大変な状況でございます。それで、どれぐらいの戸数があるかというふうなことは試算がもうできるはずです。そういうことも早急にやっていただきたい、こういうふうに思います。
また、自動車、船舶については、これは専門家は関与をしない。外形から判断して、その効用をなさない状態にあると認められるものは撤去し、仮置き場等に移動させて差し支えない、こういうことでございますが、船舶でもとても大きなものもあります。普通の家の何十倍も、そういうものもあるわけでございます。こういうものについて専門家の関与を必要としないということについては、これは相当自治体がその分リスクを負うことになるというふうに思いますが、このあたりについてはどうお考えでしょうか。

○小川(敏)副大臣 確かに委員御指摘のとおり、船は小さいものから大きなものまでありまして、扱いにつきましても、あるいはこの指針を示す上につきましても大変苦労したところでございますが、ただ、船は基本的には海にあるものですから、それが陸地にあるということは他人の土地の上にあるのかなということで、妨害排除の対象であるというふうに考えております。
そして、損壊の程度ですが、やはりある程度外見から見てわかりやすいのかなと。船が割れていれば、これは船として難しいでしょうし。ただ、水につかったといっても、船はもともと海に浮かぶものですから、水につかっただけでは船の効用が廃したとはなかなか言えないというところで、その判定では非常に難しいところがあります、率直に申し上げまして。
ただ、指針としましては、やはりそういう基準を設けて、あとは、現場におきまして、船として使えるのかどうか、まさに現場の人の判断にゆだねるしかないのかな、このように考えております。

○大口委員 ただ、現場の自治体も大変な負担の中で、自治体自体がすべて流されてしまって、県が対応するというような状況もあるわけでありますので、やはりそこら辺のサポート体制といいますか、それも指針を出すだけではだめであって、そういうことも、大変困難な場合についてはどうするのかということもやはりマニュアル等で出していただかなきゃいけないと私は思います。
今回、やはり瓦れきの処理というのを一日も早くということで、特別立法にしないでこういう指針という形にしたわけであります。しかし、やはり自治体としては賠償のリスクもあるわけです。ですから、そこら辺は、指針を出しっ放しではなくて、できるだけ丁寧に対応していくべきではないかな、こういうふうに思うわけでございます。そういう点で、今回の、こういう形をとったことについて大臣にお伺いをしたいと思います。
また、やはり自治体が判断に迷うこともあると思います。特に、船舶とか難しい事例があると思います。これに対してきめ細かく相談に乗る、あるいは、そういう困難事例についてはマニュアルを出してあげる、こういうことをお考えいただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。

○江田国務大臣 これは、小川副大臣を座長として指針を出して、そして、それを具体化していくのは、小川副大臣の法的措置についての検討会議ですが、もう一つ、円滑化についての検討会議というのがございまして、そこで鋭意進めているところでございます。
あわせ、立法措置については、これはやはり今委員おっしゃったとおり、立法で一律にというと、やはり現場で逆に混乱するので、現場の判断を最大限やりやすいようにしていこうと。
私は常々、この場でも言いましたが、思いを現場にはせながら、あるいは、それぞれの残っているものについて、その所有者が持っている思いを大切にしながら、しかし、極力この作業が前へ進むように、現場で判断すれば、それは、自分の土地の上に妨害物があってこれをどけてほしいと思う土地の所有者も、あるいは、人の土地の上に自分の物件が乗っかっている、したがってこれをどけなきゃならぬことになる所有者も、そして、全国民が皆、やはり早くこれをどけて、そして復興の道へと歩み出したいという気持ちを持っていますから、その思いで決断していけば、これは後から、自分の自動車は動いたのになんといって損害賠償なんかを起こしてくるような人は、そうはおられないんじゃないかなと思っております。

○大口委員 私がお願いしたいことは、指針を出すだけじゃなく、政府として全面的に自治体のバックアップをしていただきたい、それを申し上げたかっただけでございます。
それから、阪神・淡路のときもそうでございましたが、震災で被害を受けた、滅失した建物、滅失登記、これが行われているわけでありますけれども、住宅、工場、事務所等の建物が被害を受けた場合の、建物を新築した場合など、関連する登記、例えば所有権保存登記、移転登記、抵当権設定登記、こういうものの登録免許税が免税になる措置が講ぜられたわけであります。あるいは、不動産の登記事項の証明書の交付等の請求があった場合に、この登記手数料を徴収しない、こういう扱いもしたわけでありますが、この点は今回どうでありましょうか。

○江田国務大臣 これは、阪神・淡路大震災でそういう経験がございますから、それを踏まえて、関係省庁としっかり調整をしていきたいと思います。

○大口委員 次に、被災地における更生保護行政についてお伺いいたします。
三月二十八日現在、残念なことに、保護司さんが二名が死亡されたと確認がされたということでございます。そのほか、行方不明の方もいらっしゃるわけでございます。
この被災地において、保護司さんが何名いらっしゃって、担当地域の保護観察対象者が何人いるのか、これが一点。そして、その保護司さんとその保護観察対象者の安否確認、これがどうなっているのかが第二点目。そして、被災地の保護司さんがこのような状況で更生保護に関する職務を行うのはほとんど不可能に近いのではないか。そういう点で、この当該地域における更生保護を続けていかなきゃならないわけでありますから、現状を適切に把握するとともに、保護観察所が保護司さんを強力にバックアップしていかなきゃならない、こういうふうに思います。
法務省はどのような対策を講じていくのか、特に、保護司さんが活動できない場合には保護観察官がそのかわりの業務を行う、こういうことで、マンパワーの不足も考えられますので、これについてどうカバーしていくのか、お伺いしたいと思います。

○青沼政府参考人 安否確認の状況について、数字的なことだけ御説明申し上げます。
岩手、宮城、福島各県の中で、被害が甚大な地域にお住まいの保護司の方の合計数は七百四十七名でございます。このうち、現時点で、委員御指摘のように二名の方の死亡が確認されておりまして、そのほかに、安否の確認がとれない方が相当数まだおられるという状況でございます。また、同じ地域における保護観察対象者の方ですが、この合計数は四百九十六名でございます。このうち死亡が確認された者が一名おりまして、そのほかに安否未確認の者も相当数いるという状況でございます。
現在、避難所に直接赴くなどして鋭意安否確認をやっているという状況でございます。

○江田国務大臣 そのような状況でございまして、なかなか現状の把握自体がまだまだ難しいという中ではありますが、当然、保護観察という仕事が非常に困難になっていくということはもう容易に想像できることでございまして、今後、現地の保護観察等をできるだけ早く軌道に乗せるとともに、保護司の負担を少しでも軽減していかなきゃいけないので、安否確認を急ぐとともに、こうした事件について保護観察官に直接担当させるとか、あるいは、盛岡と仙台の保護観察所に近隣の保護観察所から既に各一名、保護観察官を派遣済みでございますが、負担の状況をしっかり把握をして、四月当初からさらに職員を応援派遣するつもりでございます。
復興の状況を確認しながら、今後とも、必要に応じ適切にバックアップの態勢を組んでまいりたいと思います。

○大口委員 それでは、最後に法案について御質問させていただきたいと思います。
裁判所職員定員法改正案、我が党も賛成をさせていただきたいと思います。
これは、平成十四年度から十年程度の期間を想定して、訴訟の迅速化、専門化への対応のため、約四百五十人の裁判官の増員が計画的に行われてきた。本法律案による二十三年度の増員でちょうど十年目を迎えるということでございます。
しかし、依然として、家事事件や労働審判などの事件数の増加、訴訟の専門化が進んでおります。また、今回の震災によりまして相当また事件数がふえるのではないか、こういうふうにも考えます。また、常駐裁判官がゼロである支部や出張所が依然として多数存在している。一人の裁判官が民事、刑事、家事の各事件の担当を兼ねていたり、多数の担当事件を抱えているゆえに期日がなかなか決まらない、判決の言い渡しが先延ばしになっている。こういう状況をかんがみますと、今までの計画的な増員で十分であったのか、これはしっかり見ていかなきゃいけないと思います。
また、特例判事補の指名状況を見ると、五年以上の職務経験を有する判事補のほぼ全員が指名されていて、特例判事補が単独訴訟事件を担当する時期についても、判事補任官後七年目から八年目とする目標が掲げられていますけれども、昨年三月、同じような質問をして、その三月十二日の答弁では、東京、大阪、名古屋という都市部の地裁本庁でほぼ達成されたが、地方の地裁本庁や支部などは、任官六年目、七年目の者を含む特例判事補によって単独訴訟事件の処理を支えているのが実情だ、こういうことでございます。
平成二十四年度以降の増員の必要性、そして必要な増員の規模についてどのように考えているのか。そして、やはり、どの企業体でもそうですが、きちんと目標を立てて計画的に増員していくということでございますが、そのあたりについての最高裁の御見解をお伺いしたいと思います。

○戸倉最高裁判所長官代理者 今委員が御指摘されたような事情がございまして、裁判所といたしましても、今後とも司法機能の強化のためには裁判官の増員が必要な状況にあるということを認識しておる次第でございます。
具体的な増員数ということになりますと、やはり事件の数あるいは質がどのように変わっていくかということを中長期的に見きわめる必要があるわけでございますが、この点につきましては、社会経済状況の予測を加味するほか、近年事件数が増加していた過払い金返還請求事件等の動向が、また若干減少に転じたといったような事情もございます。さらに、新たに複雑困難な類型の事件が増加するといったいろいろな可能性が否定できないものでございまして、率直に申し上げまして、見きわめるということが非常に困難な状況でございます。したがいまして、現時点において、今具体的な、何人ぐらいというのを、計画をお示しすることは非常に難しいということを御理解いただきたいというふうに存じます。
ただ、いずれにいたしましても、今後とも裁判所に与えられた機能を十分に果たし、国民の期待にこたえることができるような、中長期的な、計画性を持った人的体制の充実というものには努めてまいりたいというふうに考えております。

○大口委員 時間が来ましたので、以上で終わらせていただきます。ありがとうございました。

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