大口よしのりの政策・実績

大口よしのり国会質問

大口よしのり国会質問

2011年5月27日

177-衆-法務委員会-14号 平成23年05月27日

○大口委員 公明党の大口でございます。
この法案についてお伺いいたすわけでございますけれども、サイバー関係の法整備、それから強制執行妨害関係の罰則の整備等につきましては、組織犯罪の関係、国際組織犯罪防止条約の改正部分を除いた上で今回出されている。平成十六年、十七年に提出されているものからいわゆる条約刑法を除いたものが出されているわけでございます。
私ども、強制執行妨害関係については、これはこういう形で改正をすべきだ、こういうふうに思っております。そして、サイバー関係につきましても、我々、十六年、十七年に出させていただいた上に、さらにいろいろ修正も加えているということでございますので、これについては基本的には賛成をしたいと思っております。
ただ、前回の法案の策定から既に七年経過しておりますし、いろいろとIT技術の発達等がございまして、やはりここはしっかり中身を議論していかなければいけないという点で、解釈上の問題についてお伺いしたいと思っております。
また、差し押さえ手続も、有体物を想定していたものが、今回は、電磁的記録というデータが対象物となっている、あるいはリモートアクセスというような新しい概念も出てきております。そういうことも含めて、疑義等を、解釈上の問題点について明らかにしていきたいと思います。
まず、コンピューターウイルスの関係でございますけれども、刑法百六十八条の二の一項一号でコンピューターウイルスの定義が書いてあるわけですが、これは「人が電子計算機を使用するに際してその意図に沿うべき動作をさせず、又はその意図に反する動作をさせるべき不正な指令を与える電磁的記録」、こういう定義であります。
これは、その意図に沿うか反するかということの判断をする場合において、電子計算機の使用者におけるプログラムの具体的な機能に対する現実の認識を基準とするのか、それとも、使用者として認識すべきと考えられるべき一般的な基準、一般的には使用者として認識すべきと考えられる基準、これをその基準として判断するのか、ここについてお伺いしたいと思います。

○江田国務大臣 コンピューターウイルスの定義は、今委員が御指摘のとおり、「人が電子計算機を使用するに際してその意図に沿うべき動作をさせず、又はその意図に反する動作をさせるべき不正な指令」、その意図というのはだれを基準にするのかという御指摘かと思いますが、この罪は、電子計算機のプログラムに対する社会一般の信頼、これを保護法益とするわけでありまして、それぞれの個人の信頼とか不信とかという話ではございません。
電子計算機を使用する者一般の信頼を規範的に判断をしていくということでございまして、プログラムの具体的な機能に対するその使用者の現実の認識を基準とするのではなくて、一般に認識すべきと考えられているところが基準になる、そのように思っておりまして、その判断に当たっては、プログラムの機能の内容であるとか、あるいは機能についての説明内容であるとか、あるいは想定される利用者、あるいは利用方法、こういうことを総合的に考慮することになると思います。

○大口委員 そうしますと、判断の基準として、プログラムの使用説明書の記載というのが参考になると考えるんですが、いかがですか。

○江田国務大臣 使用説明書は一つの参考になると思います。

○大口委員 例えば、パソコンの中のデータをすべて消去するというプログラムがあって、それがプログラムとしては有用なものである場合に、それと異なる説明、例えば、これは気象速報を随時受信するプログラムである、こういう説明がなされたものが広く配布され、その利用者が被害を受けたというケースが考えられます。こういう場合、使用者の意図に反する動作をする不正指令電磁的記録等になるのか、お伺いしたいと思います。

○江田国務大臣 今具体的な事例をお挙げになっているわけでございますが、利用者の意図に反してデータが消去をされてしまう。利用者としては、今の場合に、天気予想プログラムですか、天気の予想が出てくるものと思ったら、意に反してすべてのデータが消去されてしまうというようなことでございますから、これは、この意図に沿うべき動作を一般的にさせず、また一般的に意図に反する動作をさせてしまう、そういう指令を出す、そうした電磁的記録だということが言えると思いますので、該当するというふうに評価をされる場合が多いのではないかと思います。

○大口委員 そうすると、使用説明書の説明の仕方いかんによって、これがウイルスかどうかということが判定されるというふうにお伺いしたわけでございます。
そこで、使用説明書等が存在しないプログラムはどうなのか。
個人によるフリーソフトウエアの開発では、説明書なしで配布ということが十年以上前から行われているわけです。こういう使用説明書等が存在しないプログラムについて、どのような動作をするプログラムか説明しないでプログラムを配布すると、それは使用者の意図に反する動作をする不正指令電磁的記録とみなされるのかということで、さきの例だと、パソコンの中のデータをすべて消去するというプログラムを何も説明しないでウエブサイトで公開している場合、これは該当いたしますか。

○江田国務大臣 私も、こうしたところに余り詳しい方ではないので、むしろ委員にいろいろ教えていただければと思いますが、フリーソフトというのは何であるかというと、ワープロソフトのように一般的有用性を有するソフト、あるいはそれとも、コンピューターを初期化するソフト、このような利用場面が限定されるソフトなどといったソフトの機能のことをいうんだというようでございます。
これを利用するとき、どういう表示、説明がされているかとか、あるいは、これがもしウエブページ上で提供されている場合であると、そのウエブページの内容、説明、そうしたものから想定される当該フリーソフトの利用者やあるいはその利用方法、そうしたことを総合的に考慮して判断されるもので、ウエブサイト上、これは消去用のソフトですよということがあれば、そして、それをウエブにアクセスして、消去用のソフトが欲しいなと思っている人が見つけて、それを使えば、これはウイルスになるようなことはあり得ないと思います。

○大口委員 その説明がない場合を問題にしているわけでございますけれども、そういう事例もあると。
それから、プログラム業界では、バグはつきものだ、バグのないプログラムはないと言われています。そして、例えば、無料のプログラム、フリーソフトウエアを公開したところ、重大なバグがあるとユーザーからそういう声があった、それを無視してそのプログラムを公開し続けた場合は、それを知った時点で少なくとも未必の故意があって、提供罪が成立するという可能性があるのか、お伺いしたいと思います。

○江田国務大臣 あると思います。

○大口委員 いずれにいたしましても、こういうプログラム等、ソフトウエア関係の方から、こういう場合は罪に当たるのか否かということで、いろいろ声がありますので、このあたりにつきましては、罪刑法定主義という基本にしっかり立って、明確にしていかないといけない、こういうふうに思っております。
それから、今回の法案で、不正指令電磁的記録の作成、提供、供用、取得、保管という五つの行為を処罰しているわけでありますが、作成という行為は、作成されたその瞬間に犯罪が成立することとなると。供用ということから見ますと、かなり早い段階で成立させることになるわけでございます。こういうふうに、供用の予備的行為ともとらえることができるわけでありますけれども、作成についてまで処罰することとしたのはどうなのか。
まず、提供、供用を処罰の対象として、その効果を見て、取得、保管、作成について規制すべきという意見もあると思いますけれども、これについてはどうお考えでございますか。

○江田国務大臣 提供とか供用とかを罪の類型として、その運用状況を見て、作成罪が必要かどうかを考えろ、こういう御意見もあるかと思いますけれども、しかし、作成というのは、社会からコンピューターが受ける信頼、これを害すべきものを新たにこの世に存在をさせるに至らしめるという行為であって、いわば害悪の根源をつくり出す行為で、しかも、作成するということは、明確に外から認識できる具体的な行為でございますので、そうした行為の結果、コンピューターウイルスが電磁的記録上あるいはその他の形で存在するに至れば、それ自体、当罰性が十分に認められると考えております。

○大口委員 刑法に関する分では以上で区切りとしたい思います。
次に、刑事訴訟法の改正の関係でお伺いいたしたいと思います。
今回、記録命令つき差し押さえの新設と、電磁的記録に係る記録媒体の差し押さえの執行方法の整備、これは九十九条の二と百十条の二があるわけでありますが、この適用場面として、記録命令つき差し押さえは、プロバイダーのような第三者に対する差し押さえを想定し、電磁的記録に係る記録媒体の差し押さえの執行方法の整備というのは、被疑者に対する差し押さえというのを想定しているのか、お伺いしたいと思います。

○江田国務大臣 記録命令つき差し押さえでございますね。
記録媒体自体を差し押さえるということになりますと、これは人に対する侵害の程度というのが大変大きくなるわけですが、そこまでしなくても、電磁的記録の内容を他の記録媒体に写すことによって証拠化できるならば、それで捜査の目的を達成できるというような場合にこういう方法を使おうと。
しかし、これについては、被処分者が応じることが予想されなければそれをやってみても効果が生じないので、あらかじめ拒否することが予想されるというような場合には、記録命令つき差し押さえというのは利用は想定されないということでございます。被処分者の協力が期待できる場合であっても、いろいろな諸般の事情から、記録媒体自体を差し押さえなければ捜査目的を達することができない場合というのもあるかと思いますが、記録命令で用が足りれば、それはそれにこしたことはないと思っております。

○大口委員 そうしますと、協力が見込まれない第三者についてはどうなりますか。

○江田国務大臣 あらかじめ協力が見込めないということになりますと、これは記録媒体自体を差し押さえるというところへ進まざるを得ないと思います。

○大口委員 次に、百十条の二について。
差し押さえにかえて、差し押さえるべき記録媒体に記録された電磁的記録を他の記録媒体に複写等をした上で他の記録媒体を差し押さえることができると。この差し押さえにかえてということは、では、これはかえなくてもいいということの趣旨と理解していいのか。もしそうだとすると、従来、パソコンをすべて差し押さえられる事態があったが、従来どおりパソコンをすべて差し押さえるのか、それとも、他の記録媒体に複写して、その記録媒体を差し押さえるかは、差し押さえ許可状を執行する現場の捜査官が選択できることになるという趣旨なんですか。
あるいは、わざわざ、今回、電磁的記録の性質に着目して、電磁的記録に係る記録媒体の差し押さえの執行方法の整備をするのであれば、可能な限り、他の記録媒体に複写等をして、その記録媒体を差し押さえる方法を選択することが望ましいと考えますが、いかがでございますか。

○江田国務大臣 これは委員おっしゃるとおりで、差し押さえの令状を持って現場へ捜査官が参ります。電磁的記録、これが記録媒体にある、記録媒体自体を差し押さえてしまう、それができるということがまず大前提にあるんですけれども、しかし、その記録媒体自体を差し押さえてしまうと、これは被処分者にとって大きなダメージになるわけで、そこで、執行方法として、その電磁的記録を別の記録媒体に複写して、そして差し押さえということにするという方法を用意しているわけでありまして、これは被処分者がどの程度、被差し押さえ者がどの程度協力してくれるかなどなど、いろいろな事情によって、どういう執行方法をとるかというのはいろいろなものがあり得る。
そこで、一般の場合と同じでございますが、捜査機関が差し押さえの現場に行って初めて判断がつくという場合が多いと思いますので、その点は捜査機関の判断にゆだねるのが適切であると思っております。

○大口委員 稲田委員からも質問がございました。これは日弁連の意見書でも指摘されているんですが、差し押さえた記録媒体に保存されている電子データと完全に同一の担保がされていないといけないのではないかと。要するに、差し押さえをした、それで、もとの電磁的記録と複写された電磁的記録が同一であるということの保証が必要ではないか。
これに対して、差し押さえの過程ですとか、あるいは保管方法ですとか、そういうのを捜査官が、差し押さえた者が法廷で証言する、それによって同一性を証明していくということのようでありますけれども、そういう捜査官の供述というようなものではなくて、もっと客観的に同一性を確保するということをお考えにならないのか、お伺いしたいと思います。

○江田国務大臣 これは先ほどもお答えを申し上げましたが、同一性がなければ、いやいや、自分の思っていたものと全然違うものを何か複写だと称して証拠に使われる、そんなことが争われたのでは、それはたまったものじゃありません。
そこで、例えば複写する場合に、後で書きかえが不能な、そういう記録媒体に複写をする、それで、これはそういう記録媒体ですよということを何らかの記録に、捜査報告書でも何でもいいかと思いますが、残しておくとか、あるいは複写の過程をすべて記録にしっかり残しておくとか、そういうことで客観的な証拠として同一性を担保していく。
捜査官の供述というのも同一性の担保の一つの資料にはなると思いますが、それだけでなくて、捜査官の供述もいろいろ過ちがあることもありますので、客観的なそういう資料にしっかりと同一性を担保するような記録を残していくということを心がけると思います。

○大口委員 また、これは刑訴法九十九条の二項。これまでも辻委員初めいろいろな方々が指摘をされていますが、大臣に私としても答弁を求めておきたいと思います。
接続サーバー保管の自己作成データの差し押さえの導入について、リモートアクセスによって接続されている別のコンピューターを設置している場所を特定し、明示しなくても、もとのコンピューターに対する捜索・差し押さえ許可状において特定、明示されていれば別のコンピューターに対する差し押さえを可能にすることができる、これがこのリモートアクセスという新しい形のものであるわけです。
これについて、憲法三十五条一項の規定、その中で「正当な理由に基いて発せられ、且つ捜索する場所及び押収する物を明示する令状がなければ、侵されない。」としている点、つまり捜索の場所と押収するものを特定し、令状に明示することを求めている、さらに憲法三十五条二項で各別の令状を求めているということに反するという批判がありますが、これについて大臣の御答弁を、実質的な理由というものを示してお答え願いたいと思います。

○江田国務大臣 私も本当に詳しくはないんですけれども、例えば、私のパソコンで何らかの記録がある、しかし、その記録は私のパソコンのハードディスクにあるのではなくて、容量もそんなに多くはないからどこか別のパソコンのハードディスク上に電磁的記録が保管されているというような場合があって、そして、これは私のパソコンで、別のパソコンにあるデータを書きかえたり、いろいろとすることができる、そういうものの場合に、リモートアクセスということで、私のパソコンからその別のパソコンに飛んでいって、そこにあるデータを複写して差し押さえをするというようなことができる、そういう規定であると、私の乏しい知識でそこまでは何とか理解をしているわけであります。
裁判官に、どこのパソコンのハードディスクに保存してあるのかといったようなことまで全部令状に書けといっても、現実にはなかなか無理で、したがって、捜査機関の恣意を防ぐ、そういう趣旨で差し押さえ令状にいろいろなものを書くわけですから、私のパソコンならパソコン、これを書いて、さらに、そのパソコンでアクセスできる別の場所に保存されているものも差し押さえの対象になる、こういうふうに書いてあれば、これは、一般の場合に、例えば覚せい剤を差し押さえる、その場所が家の中にあるか、あるいは駐車場にある車の中にあるか、そこまで別に厳密に令状に書いていなくても差し押さえができるというのと同じことでございまして、そういう差し押さえ令状の記載でリモートアクセスにも対応できると思っております。

○大口委員 このリモートアクセスによって差し押さえをすることに縛りを刑訴法ではかけているわけです。
一つは、以前の法案ではなかったものとして、今回、「当該電子計算機で作成若しくは変更をした電磁的記録又は当該電子計算機で変更若しくは消去をすることができることとされている」ということで、作成、変更をする、あるいは変えたり消したりできるという限定が加えられているわけであります。
この「できることとされている」ということは、単なる管理権限を単位として判断されているということになると、最も高い権限を持った者のIDでリモートアクセスすれば、この限定というものは意味がなくなる。そういう点で、単なる管理権限ではなくて、被処分者が現実に保管をするために使用している、そういう状況が必要ではないか。
それと、刑訴法百七条の二項で、その電磁的記録を複写すべきものの範囲を記載しなきゃいけない、先ほどの大臣の答弁で、こういう形で縛りをかけているということでありますが、この百七条の二項の「その電磁的記録を複写すべきものの範囲を記載しなければならない。」というこの「記載」の仕方によって、縛りをかけた意味がない場合、憲法上の問題も出てくるんじゃないかと思います。
そのことについて、具体的にどのような記載をしなきゃいけないのか、お伺いしたいと思います。

○江田国務大臣 刑訴法百七条第二項で、差し押さえ状には電磁的記録を複写すべき記録媒体の範囲を記載しなければならないと。これをどういうふうに書くのかということですが、これは、令状発付の段階で関連性等を裁判官が審査することがあるので必要だとしていることだと思っておりますが、どういうふうに書くか、どこまで限定するかは、個々の事案ごとにさまざまなものがあって、令状において最大限特定をしていく。
例えば、被疑者のパーソナルコンピューターにLANで接続しているサーバーのうち、ある課のパーソナルコンピューターで作成、変更等の処理をすべきファイルが記録されている部分、そういうような特定をする。こうなりますと、複写の範囲もその部分に限定されるということで、そうした書き方を工夫していくのだと思います。
被処分者が現に管理している電磁的記録という文言を用いることについては、電磁的記録に対する管理が多義的に解されるおそれもあって、明確とも言えず、今申し上げたとおり、原案の規定によって複写の範囲は適切に限定されるものであって、今回のような規定ぶりにするのが適切だと考えております。

○大口委員 ですから、権限だけではなくて、令状にどう特定をしていくかということを厳格にしていただかなければならない、こういうふうに思います。
この規定を使って、海外にある電磁的記録を差し押さえることは可能か。日本に本社があって、電気通信回線で接続されている海外にある支社のコンピューターの中に電磁的記録がある、それを差し押さえることはできるんですか。

○江田国務大臣 他国の領域内にある記録媒体、記録媒体というのは、これは媒体ですから、ちゃんとした、物理的に知覚できるものになるわけですから、どこの国にありますかと所在ははっきりするわけですが、その海外の記録媒体のデータに直接アクセスして複写するということになると、これはやはり、当該他国の主権を侵害する心配がある。国際的に統一した見解があるわけではないと思いますが、やはりそこのところは、ちょっと心配がないわけではないと思われます。
そうした、明らかに別の国のもの、別の国にあるという場合には、いろいろな枠組みがありますから、そうした枠組みを使って他国の理解を得るということを、やはり捜査共助などで要請することが望ましいのではないかと思っております。
〔委員長退席、牧野委員長代理着席〕

○大口委員 今、クラウドコンピューティングとか、こういうことで、データを海外に置くという例がこれからますます多くなってくると思うんですね。だから、リモートアクセスをしてみたら海外の支社にそのデータがあるということで、司法共助、この条約加盟国については、条約の二十五条の相互援助規定に基づいてやる、そうでない場合は二国間の条約等でやるということなんですが、ここのあたりにつきましては、ある意味では、リモートアクセスの、本来、サイバースペースというのは無制限なんですが、しかし、国家の主権という壁があるということですので、今後、これは国際的な議論が必要ではないかな、こういうふうに思います。
次に、電磁的記録の保全要請について。
刑訴法百九十七条の三項、四項、五項で、令状によらない処分として、しかし罰則がない処分として、こういう要請ができる。今回、前の法案から修正をして、申請主体の限定、必要性の要件、それから保全要請期間、これは条約は九十日以内ですけれども、六十日以内、書面による申請、こういうふうに修正されたわけでございます。
ただ、捜査機関によって安易に保全要請が出される、濫用されるということは気をつけなければいけない。そういう点から、例えばこの保全要請の件数とか、あるいは保全要請の対象に対する差し押さえ件数とか、あるいは保全要請の解除件数等、保全要請の運用状況について毎年公表していく、情報開示していく、こういうことが必要ではないかと思いますが、いかがでございますか。

○江田国務大臣 保全要請につきましては、今委員御指摘いただいたとおり、一定の義務とはいうものの、罰則はないとか、単に保全を求めるだけであって、後に差し押さえまでいけばこれは中身がわかるわけですが、中身まで開示をしろと言っているわけではないとか、あるいは、期間も限定され、また求める主体についても限定をし、さらに書面でとかいろいろ要件を加えておりますので、濫用ということは考えにくいと思っております。
その上で、保全要請は、恐らく、かなり機動的に、膨大な数に上り、その要請がそのまま差し押さえまでいかないようなこともまた出てきたり、要請はしたけれども途中で消えてしまうというようなこともあるかと思いますので、統計をとること自体はなかなか現実的ではない。
正確な見込みを申し上げることは困難でございますが、捜査現場の負担というのも非常に大きいものになってくるだろうと思いますので、そういう統計的な処理にのせるということは非常に困難ではないかと思っております。
〔牧野委員長代理退席、委員長着席〕

○大口委員 ただ、大臣、やはりこういう保全要請という手続がこれまでにない手続でございますから、それについて統計上の情報がないというのは、我々がまたこれを議論するに当たって材料がないということになりますね。ですから、そこはもう一度よく考えていただけないでしょうか。

○江田国務大臣 御指摘を踏まえて検討させていただきます。

○大口委員 今回、法案が成立しましたらサイバー犯罪条約を批准することになるわけでありますが、そうなりますと、サイバー犯罪条約の二十条で、通信履歴をリアルタイムで収集、記録するために必要な立法その他の措置をとることが求められているわけであります。これは新たな立法措置が必要になると考えているのか。通信傍受法では重大な犯罪についてしか傍受を認めていません。電子メールにもそれが適用されると考えられますが、この通信履歴についてのリアルタイム収集、記録はどのように対応されるのかこの法案で提案されていないわけですけれども、今後どうされるのか、お伺いしたいと思います。

○江田国務大臣 御指摘の点は、サイバー犯罪条約のリアルタイム収集の立法措置等、これが条約上要求をされてはおりますが、我が国ではこの規定は、この法律で権限を特につくるというのでなくて、刑事訴訟法第二百十八条に基づく検証によって担保されることになると理解をいたしております。
プロバイダーをして自国の領域内にある技術的手段を用いることによりリアルタイムで収集、記録させるとか、あるいは、当局みずからが収集、記録するに当たり、プロバイダーをして協力、支援させるとかそういうことでございますが、この点についても検証によって行うこととなり、プロバイダーの協力を得るため、本法案において電磁的記録に係る記録媒体の検証を受ける者に対する協力要請の規定を新設しているわけでございまして、それ以上に新たなものが必要とは考えておりません。

○大口委員 サイバー関係についての質問はこれで区切りといたしたいと思います。また参考人のお話も聞いていきたいと思います。
そこで、一昨日、法曹養成に関するフォーラムの開催があったと聞いております。私ども、この五月十三日付のペーパーをいただきました。検討内容が、一、個々の司法修習終了者の経済的な状況等を勘案した措置のあり方、二、法曹養成に関する制度のあり方ということでございまして、その検討の進め方について、会議は非公開とする、原則として会議終了後速やかにこの議事録を作成して公表する、そういうことで、この経済的な状況を勘案した措置という方は本年八月末までに第一次報告を取りまとめる、それから法曹養成に関する制度のあり方については第一次報告までに可能な限り検討するとして、その後も引き続き検討を行い、検討結果を第二次報告として取りまとめる、こういうことでございます。
この法曹の養成に関する制度のあり方というのは非常に国民的な関心がある。また、経済的な状況を勘案した措置につきましても、これは司法関係者にとっては非常に大きな関心事でございます。ですから、会議を非公開にするということ自体、これはとんでもないことであって、今の政権のこれまで言ってきたことと違うのではないか、こう思います。会議は公開すべしということについて、いかがでございますか。

○小川(敏)副大臣 法曹養成フォーラム、私出席しておりますので、私から答えさせていただきます。
一昨日開催されました第一回の中で、委員から会議を公開すべしという意見が多数出ました。また、それを受けまして、私ども政務の方、準備段階でも非公開ということになってはおりますが、趣旨としましては、最低限議事録を公開する、そしてそれ以上のことはむしろ委員会の判断で決めていただこうというニュアンスがあった上での非公開ということでございました。
それで、一昨日、そのフォーラムの中で、多数の委員の公開すべしという意見を踏まえまして、公開するという方向の中で、ただ、司法試験の試験の内容とか事柄の性質上公開することに差し支えがあるものは、やはりその部分に限定して非公開ということがあり得るとしても、基本的には公開しようという方向性が確認されました。それを踏まえて、今座長を中心としまして、どのような形で公開するかということを議論いたしまして、次の第二回からは決まった方法で公開するものと予定しております。

○大口委員 時間が参りましたので以上で終わります。
ありがとうございました。

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