大口よしのりの政策・実績

大口よしのり国会質問

大口よしのり国会質問

2012年2月16日

180-衆-予算委員会-10号 平成24年02月16日

○大口委員 公明党の大口善徳でございます。予算委員会で質問させていただきます。よろしくお願い申し上げます。
まず、福島特別立法についてお伺いをいたします。
未曽有の東日本大震災、原子力発電所の事故災害から間もなく一年を迎えようとしております。本年を復興再生元年として、国会、政府挙げて被災地の復興に取り組まなければなりません。とりわけ、原子力発電所の事故に見舞われた福島県の復旧、復興、再生には、まだ多くの課題が山積しております。
政府は、二月十日、福島復興再生特別措置法案を閣議決定し、国会に提出をいたしました。私たち公明党も、福島県の復興・再生に関する提言を一月二十四日に発表し、二月一日に平野復興大臣に申し入れをさせていただきました。また、我が党は福島特別立法検討プロジェクトチームを発足しておりまして、協議を重ね、今、政府が提出された福島復興再生特別措置法に対するいろいろな検討をさせていただいております。まず、この件につきまして、問題点を指摘させていただいて御答弁をいただきたい、このように考えております。
まず、子育て支援措置としての十八歳以下の子供の医療無料化につきましてお伺いをしたいと思います。
文科省の調査によりましたら、昨年九月一日時点で、ちょっと古いわけでありますが、幼児、児童生徒の県外への転校は一万一千九百十八名。他の被災県に比べますと、桁が違うんですね。こういう状況でありますから、福島県といたしましては、これは何としても、こういう子供たち、親御さんも一緒に出ておられるということで、打開をしたい、その一つの考えとして永続的な十八歳以下の子供の医療無料化を国に求めてきたわけでございます。
本年二月七日の参議院の予算委員会において、我が党の渡辺孝男議員の質問に対し、小宮山厚生労働大臣は、県が独自で基金で、福島県民健康管理基金でなさるので、そこの助成金の特例を設けるとか、いろいろな形でその基金を援助するということを考えていきたいと答弁をされました。また、野田内閣総理大臣及び平野復興大臣も、当時は復興担当大臣ですね、この件につきまして、基金が枯渇しないように支援を行う旨、答弁をされているわけでございます。
野田総理は、十八歳以下の医療無料化について、ストレートに実現することはできませんけれども、県が基金を活用して対応するということの中で、問題は、これをしっかり継続させていくということが大事だと思いますので、そのためには、まず基金が枯渇しないようにすること、そのための支援は万全を期していきたいというふうに思いますと。同趣旨のことを平野当時復興担当大臣も答弁されております。
政府としてこのような方針を立てておられるわけでございますから、私どもとしましては、今回提出された福島復興再生特別措置法案の中に、条文で書いていただけないのか、そのことが、この方針を法的に担保するという形で福島県の皆さんにも安心していただける、こういうふうに考えるわけでございます。
十八歳以下の医療の無料化ということを、県の基金であるといいましても、今ゼロ歳の人も実は十八年継続をする話なんですね。ですから、基金ということで枯渇しないようにするといいましても、その答弁だけでは福島県の皆さんは安心できないわけでありまして、ここについての条文化、法定化ということにつきまして、平野復興大臣にお伺いしたいと思います。

○平野(達)国務大臣 福島県における十八歳以下の医療費無料化につきましては、国としては、医療費の根幹にかかわることだということで、直接それに国費を出すということは現段階ではできないということで、県からは極めて残念だという言葉がございましたけれども、国側の考え方はおおむね了解していただいたというふうに思っております。
委員の御趣旨は、今回、それにかわって県が、福島県民健康管理基金等の活用を含めまして、今その具体的な方策を詰めている最中ではございますけれども、将来この基金が枯渇することがあるじゃないか、それに向かって国もしっかりとしたコミットをすべきだ、そう条文で書くべきだ、そういう御意見だったと思いますけれども、基本的に、まず県の取り組みをしっかりとフォローするということが基本だというふうに思っております。
この基金は、国が七百八十億、それから東電が二百五十億、それをもとにして動かす基金でございまして、この無料化、県の独自の取り組みという形でやるわけでありますけれども、無料化を将来ともわたって存続するというときに、その基金のお金をどうするかということについては、それが将来枯渇しないように、国としてもその段階で県と話をしながら前向きに取り組むということがやはり大事だというふうに思っています。
ただ、これを現段階で法律の条文に書くかどうかということについては、今、我々のスタンスとしては、まず県の取り組みを見て、その基金というものの創設が国と東電のお金でできたという経緯もございますので、この経緯を踏まえて、枯渇という問題が出てきた場合には県と国が真摯に向き合ってお話をする、そういうスタンスで臨むのがいいのではないかというのが今の政府の考え方であります。

○大口委員 そこで、県と協議をしてということになりますと、これはやはり、信頼ということからいきまして、枯渇しないようにすると総理はおっしゃったわけですよね。そこまでの答弁をされているわけですから、そこから後退しちゃうんじゃないですか。そうじゃなくて、やはりここは法定も含めて検討するという前向きな答弁を大臣に私は求めたいと思いますが、いかがですか。

○平野(達)国務大臣 この基金が国のお金と東電の二百五十億というものからできているということでありまして、それをもとにして医療費を無料化するということであります。そういうことで県も了解したということでございます。この財源が将来どこかの段階で、これは健康管理基金ということで、健康診断にも使わなくちゃなりません、それから医療費の無料化ということにも県が使うということでございますから、この経緯はきっちり尊重しなくちゃならないというふうに思っております。
枯渇という問題につきましては、繰り返しになりますけれども、その段階で前向きに、やはりきちっと国も対応しなければならないということは、私どもも了解しているつもりであります。

○大口委員 次に、今回、環境省が一月の二十六日に、住民の早期帰還を目指して除染工程表を発表しました。しかし、福島県の住民の方々は、健康被害に対する不安がございます。
そこで、放射線による健康上の不安の解消につながる措置として、放射線被曝に起因すると疑われる健康被害が将来発生した場合に、国は、保健、医療及び福祉にわたる措置を総合的に講ずべきであると思います。福島復興再生特別措置法案ではこうしたことが明確に書かれていません。この点について政府の考え方をお伺いしたい。やはり、こういう措置を法文で明文化するということ、当然そうあるべきであると考えますが、いかがでございましょうか。

○平野(達)国務大臣 条文に関することなので、私の方からお答えをしたいと思います。
福島復興再生特別措置法案では、放射線に関する健康上の不安の解消など、住民が安心して生活できる環境の実現のための施策を一応規定はしております。
紹介させていただきますと、具体的には、これは細野大臣のところが所管になりますけれども、健康管理調査の実施に関する措置、放射線対策として農産品等の放射線濃度の測定、除染の迅速な実施、児童等の被曝放射線量の低減のための措置、放射線の人体への影響等に関する調査研究の推進、それから医療及び福祉サービスの確保のための施策、こういった規定を盛り込んでございまして、こういった施策に取り組みながら、放射線被曝に対する不安解消に必要な措置を講じるよう取り組んでまいりたいというふうに考えております。

○大口委員 ですから、今私が言ったようなことをやはり明確に条文化するということが、これは県民の安心につながるわけです。ですから、この部分についてどうなのか、ストレートにお伺いしたいと思います。

○平野(達)国務大臣 今言ったような部分については、各条に、こういった施策を実施する、そういう規定になっております。という答弁でよろしいでしょうか。

○大口委員 ですから、放射線被曝に起因すると疑われる健康被害が将来発生した場合に、国は、保健、医療及び福祉にわたる措置を総合的に講ずる、こういうような条文をしっかり書いていただきたいと言っているんです。

○平野(達)国務大臣 まずは、放射線被曝に起因すると疑われる健康被害が将来発生した場合というよりは、そういったものに対する不安の解消ということと、こういうことが発生しないようにするための措置というのをこちらで規定しております。
そして、疑われる健康被害が将来発生した場合ということを規定するのがいいのかどうかということについては、これは国会でも御議論いただきたいと思いますけれども、私どもとすれば、まだここまでのところは用意しなくてもよろしいんではないか。
むしろ、繰り返しになりますけれども、今地元の中でも大きな問題になっておりますのは、放射線に対する不安、健康不安ということだったと思います。こういったものを解消する、それからあと、疑われる健康被害が出てこないようにするということで、除染等によって放射線のレベルを下げる、こういったものを法律に規定して、健康に対する不安を取り除くということが基本ではないかというふうに考えております。

○大口委員 この点についてはまた議論したいと思いますが、やはり、あらゆる可能性について万全を期すという姿勢で政府は臨まなきゃいけない、こういうふうに思います。
三番目に、復興交付金でございます。
復興交付金を充てて行う事業の対象とすることができる地域についてでございますが、条文を資料でお示ししたいと思います。
これは東日本大震災復興特別区域法、特区法ですね、この七十七条に、復興交付金事業計画の作成という中で、要するに、福島県もこの特定市町村に全て入っているわけですが、その後、限定されています。東日本大震災により、相当数の住宅、公共施設その他の施設の滅失、損壊等の著しい被害を受けた地域、こういうふうに限定されているわけでございます。
ですから、例えば、中通りでありますとか会津の方にはこの条文どおりに当てはまらない場合があって、なかなかこの復興交付金というのが活用できない、現場からそういう声が上がっているわけですね。
それで、原子力被害という特殊な事情を十分考えますと、福島において柔軟かつ弾力的に復興交付金が活用できるように、この地域、この条文のこの部分、七十七条のこの部分につきましては、福島県内の全ての地域がこれに含まれるよう特別措置法においてちゃんと措置をすべきである、私はこういうふうに考えますがいかがかということと、特区法の七十九条に、復興交付金の交付に関する基本理念というものが、これは衆議院の修正で盛り込まれたんですが、その精神から照らしてどう考えるのか、お伺いしたいと思います。

○平野(達)国務大臣 まず、復興交付金につきましては、復興特区法において、東日本大震災により、相当数の住宅、公共施設その他の施設の滅失、損壊等の著しい被害を受けた地域、こういうふうに規定したところでありまして、津波、地震、原子力災害ももちろん入るんですが、公共施設、建物等々が著しい被害を受けた地域の復興に向けての支援、そういう意味での交付金だということでございます。
福島県内の全市町村を対象としており、また、復興特区法における東日本大震災には原子力災害も含まれていることから、福島県及び県内の全市町村は、地震や津波による被害と同様に、原子力災害により相当数の施設に著しい被害が生じた地域の復興、地域づくりのための事業に復興交付金を活用することも可能です。
可能ですけれども、繰り返しになりますけれども、著しい被害ということで、内陸部はどうしても、著しい被害という観点からすると、適用の範囲から外れる地域も出てまいります。ただ、災害復旧事業とか、その他、例えば企業の立地のための交付金等々については、この交付金の外の制度もございますから、こういったものも使えるということであります。
それからあと、原子力発電所の事故を起因とする公共施設等々の被害が出た場合には、概念上は復興交付金等々もその対象にはなり得るということでありますが、今のところ、原子力災害と公共施設の被害ということについて直接の因果関係が認められるような地域はそんなにないのかなというのが、今の私どもの率直な感想であります。
その一方で、原子力災害の地域については、これ以外に、例えば福島県には特別の交付金、基金等々も設置しておりますから、そういったものの活用も十分可能だということもあわせて申し上げさせていただきたいと思います。

○中井委員長 大臣、七十九条の修正項目の精神に照らしてどうだと聞いているんです。

○平野(達)国務大臣 七十九条の精神、まさにこの精神にのっとって復興交付金は運用すべく、今関係市町村と詰めさせていただいているということでございます。

○大口委員 復興交付金というのは大変な期待があるんですよね。それで、やはり中通りや会津の方々もこれを使いたい、こういうことでございますから、そこは政府で、適用できるようにしっかり検討してください。大臣、お願いします。よろしいですか。

○平野(達)国務大臣 七十七条、七十九条、この精神を外さないようにしっかり運用してまいりたいというふうに思います。

○大口委員 さらに、復興交付金を充てる事業等について、今回、福島復興再生特別措置法で盛り込まれている中に、原子力災害による被害を受けた産業の復興再生計画、これがありますね。それから、再生エネルギー源の活用とか、医薬品あるいは医療機器等に関する研究開発等、あるいは国際競争力を強化しよう、こういうことの重点推進計画というものがありますね。
こういうことに基づいて国が認定するものでございますから、こういう事業についてはやはり復興交付金が使えるようにするのが大事だ、七十九条の精神からいっても、この基本理念からいっても、そうであるべきだ、私はこういうふうに考えますけれども、いかがか。それと、特区法における復興交付金の運用の弾力化ということをやはりもっと真剣に考えていただきたいんですね。
この二点についてお伺いしたいと思います。

○平野(達)国務大臣 福島県におきましては、福島特措法に基づき策定される、産業復興再生計画には原子力災害により被害を受けた福島の産業の復興及び再生の推進を図るための措置、重点推進計画には福島における新たな産業の創出に寄与する措置が記載されることになっております。
一方で、先ほども申し上げましたけれども、こういった計画を受ける形で、例えば、企業立地補助や国際的な医療拠点、開発拠点等の整備など、福島原子力災害等の復興基金の造成を既に行っております。それから、再生可能エネルギーの研究開発及び関連施設の整備などの関連予算を含め、総額五千三百四十億円程度の予算措置を第三次補正予算なんかでも措置してございます。こういった措置をフルに活用していただくということがまず基本かなというふうに思っています。
あわせて、この計画にのっとって、例えば、まだまだ不足だという点がございますれば、これはまた福島県とも協議して、また財務当局とも協議しながら、この計画の実施に必要な予算はしっかり確保しなければならないというふうに考えております。

○大口委員 次に、中間貯蔵施設についてお伺いします。
細野大臣、けさは島田の広域瓦れき処理の試験焼却に行かれたということです。私どもも、これは推進していかなきゃいけない、こういうふうに思っております。
その上で、昨年十二月二十八日、細野当時原発事故担当大臣が福島県知事に、中間貯蔵施設を福島県双葉郡内に設置する考えを示されたわけですね。そのことについて、政府の今の方針についてお伺いしたいということ。それから、今回政府で検討しているのは、あくまで中間貯蔵施設であって、最終処分場については別途検討するということでよいのかということ。それから、福島特措法に、中間貯蔵施設を最終処分場としない旨をしっかり規定して法的に明確にすべきではないか。
この三点をお伺いしたいと思います。

○細野国務大臣 まず、けさ方、島田市の方で試験溶融ということで取り組みましたものですから、行ってまいりました。委員会で御容赦をいただいて行かせていただいたことに、心より感謝を申し上げたいと思います。ありがとうございました。
御質問の中間貯蔵施設でございますけれども、昨年末お示しをしましたとおり、双葉郡内に設置の要請を引き続いてさせていただいております。双葉郡の方々は避難をされている方がたくさんいらっしゃいますので、一番つらい思いをされている方々にさらに負担をお願いすることになるというのは本当に心苦しい限りではありますけれども、やはり除染を進める上では、どうしても、出てくる土を何らかの形で貯蔵しておかなければならないということでございまして、今、これは、何とか可能性をそれぞれの地域で探っていただけないかということで、双葉郡の八町村それぞれの皆さんに、個別にさまざまなお願いをさせていただいている、そういう状況でございます。その考え方には変わりはございません。
そしてもう一つ、そうした中で、私どもで申し上げておりますのは、やはりこれだけ大きな負担を福島の皆さんにお願いをする以上は、最終的な処分のあり方というのは、県外ということをしっかりと目指していくべきだということでございます。
三十年という期間を設定いたしましたのは、三十年たてば全体の放射線量は下がるということももちろんありますけれども、それと同時に、減容化の技術開発も随分進むのではないかというふうに考えておりまして、既にその研究開発は始めております。そういったことも含めて、三十年後にはそれを凝縮してコンパクトにして、最終処分をしっかりと目指していきたいと思っております。
法制化というお話でございますけれども、一つの考え方としてはそれもあり得るというふうに思っております。今地元とさまざまな、協議に入りたいということでやっておりますので、その協議の中で、どういった形にすれば確実に方針をしっかりと次の内閣、次の政権にもつなぎとめていくことができるのかということについて検討してまいりたいと考えております。

○大口委員 今、法制化ということで前向きの答弁がございました。やはり、この方針の永続性ということは、法的に担保するというのが一番なんですよ、法治国家におきましては。よく検討していただきたいと思います。
次に、電源開発促進税制及びエネルギー対策の特別会計についてお伺いをいたします。枝野大臣、お願いします。
福島県は、いわゆる電源立地交付金を来年度から申請しない方針であると聞いております。福島県がこのような判断をしたことについてどういう思いがあるのか、大臣の認識をお伺いしたい。
また、原子力災害からの福島の復興及び再生に関する国の施策を実施するための財源の確保を図るため、この電源開発促進税制及びエネルギー対策特別会計の見直し等を行い、いわゆる電源立地交付金の財源を活用することも考えられるわけでございますが、これについての政府のお考えをお伺いしたいと思います。

○枝野国務大臣 福島県からは、原子力に依存しない社会づくりを進める、そのことの中で、市町村配分分を除いて申請しないというお考えを表明されております。
もちろん、国全体として原子力をどうするかはこの夏に向けて検討中でありますが、特に、事故の当事県である福島県がこうした御判断をされて申請をされないというお考えをされているということについては重く受けとめているところでございまして、県が辞退された額については、予算案への計上を見送っているところでございます。
それから、財源の問題でございますが、電源立地交付金そのものは、ほかの、現に立地をしていただいて請求されている地方自治体が多々あるわけでございますので、それを何か流用というわけにはいきませんが、広い意味でのエネルギーの特別会計ということでは、既に国会でお認めいただいている、二次補正における原子力被災者・子ども健康基金の創設、あるいは三次補正の再生可能エネルギー先駆けの地とするための総額一千億円の基金創設など、こうしたところについては、エネルギー特会から予算計上をしているところでございます。
繰り返しになりますが、現に原発の立地をお願いして、そのときのお約束で電源立地交付金を交付している地方自治体とのお約束はしっかりと守らなきゃいけない一方で、エネルギー特別会計の使い方等については、法の趣旨あるいは税の目的等のところとの整合性がとれる範囲内で、安心、安全、そして復興に、できるところについては使わせていただくということでやらせていただきたいと思っております。

○大口委員 次に、二重ローンについてお伺いをいたします。
再生支援機構につきましては、昨年十一月二十一日の株式会社東日本大震災事業者再生支援機構法に基づいて、ようやく二月二十二日に再生支援機構が設立をし、三月五日から業務が開始されます。
この再生支援機構法は、公明党、自民党が中心となって議員立法として、これは参議院では昨年の七月二十九日に可決したわけですが、衆議院におきまして、三党協議の中で、新たな法律のスキームは否定的だったんです、民主党が。しかし、これは三党協議で協議を重ね、四カ月近くたって十一月二十一日に成立をした、そして今回、三月五日からスタートをする、こういうことになったわけでございます。
立法者の一人として、大震災から一年を迎えようとしている段階でこの再生支援機構がスタートするということに対しては申しわけない思いでいっぱいなんですが、しかし、この再生支援機構が二重ローン解決のために有効に機能し、そして被災事業者の方々の再生に大きく貢献することができるよう、私どもは全力を挙げてまいりたいと思います。
これにつきまして、平野復興大臣の、この再生支援機構の設立、業務開始に当たっての基本的な認識、決意をお伺いしたいと思います。

○平野(達)国務大臣 委員から御紹介がございましたように、昨年十一月に支援機構法が成立をいたしました。大口委員には大変な御尽力をいただきました。
機構の設立、業務開始に向けて、今、鋭意準備を行っておりますけれども、きょう設立認可を行ったところでございます。三月五日から業務を開始する予定で、今、その準備を加速させている、こういう状況です。支援機構の社長には、事業再生、地域金融等に精通された元足利銀行頭取の池田憲人氏にお引き受けいただくほか、事業再生の知見を有する人材が役職員として、一体となって被災事業者の再生支援に最大限取り組める体制を整えてまいりたいというふうに考えております。
これから復興が本格化してまいりまして、二重ローン問題も、どちらかというと、今まで債務の延長、支払いの延期等々の措置によって表に出てこなかったんですけれども、この二重ローン問題が大きな課題になってくるというふうに思います。そういった意味でも、この再生支援機構、既に先行しております産業復興機構とあわせて大車輪の仕事をしていかなければならないというふうに考えております。

○大口委員 今、産業復興機構の話が出ました。
政府は、もともとは産業復興機構を各県に置いて、それでやれば十分だという話だったわけですね。それで、中小企業庁が中心になって昨年の十月から十二月にかけて、被災五県、岩手県、宮城県、福島県、茨城県、青森県に、各県の中小企業再生支援協議会のもとに産業復興相談センターを設置し、そして、窓口業務、事業計画のチェック、買い取り価格のチェック、債権者間の調整、産業復興機構への債権買い取りの要請、リスケ等を行ってきたわけですね。そしてまた、岩手県、宮城県、福島県、茨城県の被災四県については、いわゆるファンド法による、中小機構が八割出資した産業復興機構を設置して債権買い取りをさせる仕組み、これをつくったわけでございます。
これに対して、我々が議員立法でつくった再生支援機構は、四次補正で今回政府保証枠というのが五千億認められて、五千億円の買い取り規模を持つ。これは、産業復興機構四県で二千億と比べますと非常に、二・五倍の大きさであるわけでありますが、我々のこの再生支援機構というのは、できるだけ多くの事業者を支援の対象とする。これは法律の十八条の三項に書いています。
そして、産業復興機構の支援が行き届きにくい小規模事業者、農林水産事業者、医療福祉事業者、これに重点を置いて、そしてまた中堅企業も、資本金五億円以下あるいは従業員一千人以下についても対象にするということでございますけれども、これにつきましては、支援困難なものについては再生支援機構の方でやるということでございます。
そういうことで、零細事業者について、非常に手間暇かかるわけです。また、非常に数も多いわけであります。産業復興相談センターでは、振り分けとして再生支援機構の方にこういう零細な事業者、そしてまた支援困難なものについて振り向ける、こういうことについて確認いたします。いかがでございましょうか、大臣。

○平野(達)国務大臣 まず、支援機構につきましては、仙台本店と東京本部の二カ所に拠点を設けますけれども、加えて……(大口委員「いや、その前に振り分けはどうか。今、振りわけの話です」と呼ぶ)そうです、振り分けの話です。
窓口については、産業復興相談センターにとりあえず一元化して、この窓口で十分かどうかというのは現況を見ながらこれから検討しますが、とりあえず一元化します。
今、委員の御質問に答えますと、いずれ、この支援機構は、小規模事業者、農林水産業者、それから医療福祉事業者などにきめ細かく対応する、そこに重点を置いて設立されましたので、産業相談センターにそういう案件が持ち込まれたときには、優先的にといいますか、支援機構にその案件はお任せする、必然的にそういう方向になってくるというふうに思っております。

○大口委員 次に、再生支援機構の組織の体制、これは極めて重要なわけでございます。これにつきましては、再生支援機構の本店が仙台、これは我々が強く要求してそうなりました。そして、東京本部を千代田区に設置するということを聞いているわけでございます。
しかし、今大臣もおっしゃいましたように、再生支援機構というのは、小規模事業者、農林水産事業者、医療福祉事業者という零細なところに対してはきめ細かく対応しなければならない、こういうことでございます。そして、そういうことからいいますと、産業復興相談センターに相談窓口は委託するということでございますけれども、やはり、各県の産業復興機構のように、どちらかというと買い取りだけというよりも、もっと仕事としては膨大なわけでございます。
また、現場に本当に寄り添うような形でやらなきゃいけないわけですね。ところが、本店は仙台、そして東京本部を置くということで、産業復興機構は岩手県、宮城県、福島県そして茨城県にあるわけでありますが、仙台以外、被災県において支店等がない。これで本当に被災事業者に寄り添った形できめ細かな対応ができるのか、私は非常に疑問に思っておりまして、そこら辺、いかがでございますか。

○平野(達)国務大臣 まず、窓口については、先ほど言いましたように、まずは相談センターで一元化させるということで、また、委員のおっしゃるように、小規模事業者等々に対する窓口が必要だということであれば、その状況に応じてこれは考えなければならないというふうに考えております。
それから、産業復興機構は先行しておりますので、この産業復興機構との連携をしながら支援機構が仕事をして、その両者が相まって仕事をできるような体制をつくることも大事ではないかなというふうに思っています。さらには、支援機構によるその支店的なものをつくるということではなくて、産業復興機構との連携ということもやはり考えていかなければならないというふうに考えております。

○大口委員 大臣、もう御存じのことだと思いますが、産業復興機構というのは買い取りが主でありまして、やはりこれは再生支援機構が責任を持ってやっていかなきゃいけないと思うわけですよ。ですから私が指摘をしているわけなんです。そこはどうですか。

○平野(達)国務大臣 産業復興機構、頑張っておりますけれども、なかなか買い取りがまだ進まなくて、岩手県もやっと二件目が決まったということの報告を受けております。
その背景には、企業グループ補助金等々のこともございまして、さまざまな背景があるようですが、いずれこれから、この二重ローン問題、債権の買い取りはふえてくると思います。そういう中で、やはり産業復興機構、もうだめだということではなくて、産業復興機構にも仕事をしていただかなくちゃなりませんし、支援機構と相まってということで申し上げましたけれども、基本はそういう方向で考えまして、とにかく二重ローン問題が解消できるような、そういった体制づくりだけはしっかり進めていきたいというふうに思っております。

○大口委員 これは大臣もおっしゃっていますけれども、被災五県の産業復興相談センターの案件処理件数、これを見ますと、直近は六百六件ですよ。そして、産業復興機構の買い取り決定、これは、岩手県だけ、二件だけですね。
一月七日のNHKスペシャルで、「“震災失業”十二万人の危機」ということで、この例は、美容院を経営されている、六歳の息子さんと二人暮らしの女性ですよ。それで、二十五年ローンで、一年半前に理容室、自宅兼で建てた。一千五百万円のローンがあった。今回流された。店舗の再建のために少なくとも一千万円のローンを組まなきゃいけなかった。そして、これについて産業再生機構に電話をしたけれども、対応してもらえなかった。それで、産業復興相談センターに電話したら、産業復興機構を紹介されたけれども、結局何もしてもらえなかった。こういうことで、たらい回しにされたということが出ております。
こういうことがNHKで報道されますと、やはり、産業復興相談センターというのも、電話してもしようがないんだな、あるいは、産業復興機構についても、これは期待できないなということがもうアナウンスされているわけでございます。
私ども、この産業復興相談センターの仕組みにつきましては、中小企業庁が中心になってやられたわけでありますけれども、非常に改善をしなきゃいけないことがたくさんある、もっと機能を強化しなきゃいけないことがたくさんある、こう思うわけですが、枝野大臣、いかがでございましょうか。

○枝野国務大臣 まだ相談を受け付けた中で買い取り決定やリスケ合意に至ったものが少ないということについては、当事者の皆さんのお立場に立てば、できるだけ早くということが必要だろうと思っております。ただ、例えば再生の可能性をしっかりと判断いたしませんといけないということがございますし、また、買い取りやリスケに際しては、不動産の鑑定や債権者間の調整などがやはりある程度の時間が必要だということは御理解をいただければと思っております。
それぞれ、産業復興相談センター、そして産業復興機構においては、中小企業庁がしっかりと研修その他をさせていただいておりますが、現場で御苦労いただいている皆さんのほとんどは、民間金融機関の皆さんや地元の税理士さん等でございまして、大変汗をかいて頑張っていただいているということは御理解いただければというふうに思っております。中小企業庁としても、さらにきめ細かく対応できるようにということで努力をさせていただきたいと思います。
なお、御指摘のありましたテレビ番組についてでございますが、これは実は、産業振興機構というところに産業復興相談センターがある。その産業振興機構と産業復興相談センター、そして今度支援機構ができる。若干名前も紛らわしいし、どこが中心的窓口なのかということについての周知が必ずしも十分でなかった点があろうかというふうに思いますが、産業復興相談センターにきちっと御連絡いただければ、きちっとワンストップで受けられるように、このことはしっかりと徹底をしているところでございます。

○大口委員 だから、広報のあり方も考えなきゃいけません。それから、例えばこの産業復興相談センターというのも長々しい名前ですから、もう少しわかりやすい、愛称みたいなものを考える必要があると思いますが、大臣、いかがですか。

○枝野国務大臣 周知、わかりやすさということについては、さらに努力して改善できる点がないかどうか、御指摘を踏まえて検討させていただきたいと思います。

○大口委員 ただ、農家の場合、なかなか商工会議所には行きづらいという面があります。また、漁業の皆さんの場合もそうでございます。そういう点で、農協や漁協、あるいは商業者なら商工会議所とか、一番身近なところにやはりちゃんとしっかりと相談をして、事業再生について力強く、きめ細かく相談を受けられ、そして再生支援機構のサービスがしっかり受けられるようにできるかどうかが勝負だと思うんですよ。
今、はっきり言って、先行した各県の産業復興機構は機能していません。だって、二千億といっても、二件ですよ、買い取りが。今回は五千億の規模があるわけです。ですから、そういう点では、本当にきめ細かく対応していくためにも、それぞれの各関係機関と連携をして、そして窓口でどこまで充実して、これだったら信頼できるな、これだったらいろいろと手続を進めていけるなということが確信を持てるような体制をつくっていかなきゃいけないと思うんですが、その点、平野大臣、いかがでございましょうか。

○平野(達)国務大臣 被災地域の土地利用計画の骨格も大体見えてきまして、これが実行に移されますと、個人商店、個人事業者、こういったものが、もう一回もとのというか、また仕事を復活させたい、そういう希望が次から次へと出てくると思います。
こういう中でも二重ローン問題が足かせにならないように、そういったきめ細かな対応をしっかりやるように、この支援機構にしっかり仕事をしていただかなければなりませんし、あわせて、復興相談センターにつきましては、委員の御趣旨も踏まえまして、相談窓口も必要に応じて充実していけるように、これは中小企業庁とも連携しながら取り組んでいきたいというふうに思っております。

○大口委員 中小企業庁だけではなくて、農林水産あるいは医療関係も含めて、よろしくお願いしたいと思います。
今回、私どもが心配しているのは、再生支援機構にRCC、整理回収関係の方が二十五名いらっしゃる。専門家ですけれども、どちらかというと回収にこれまでいそしんでこられた方。だから、事業再生の方をしっかりやってもらわなきゃいけないですから、私ども、これは注目していますので、大臣、しっかり見てください。
それから、支援基準につきましても、メーンバンクやスポンサー等から貸し付けや出資を見込まれる場合というのが条件になっているわけでありますが、政府系金融機関も、メーンバンクやスポンサーと一緒に、新しい融資あるいは出資というものを積極的に行っていただかなきゃいけないと思うんです。この点、平野復興大臣、それから財務大臣も、これは政府系金融機関のある意味で所管の代表格として、政策金融機関も積極的に支援をしていくということについて御答弁いただきたいと思います。

○平野(達)国務大臣 これは大口委員も一番お詳しいわけでありますけれども、三党合意にも、「政策金融機関は、「支援機構」からの要請に基づき、債権者である金融機関等と連携を図り、事業者の再生に必要な補完的な資金供給について適切な役割を果たす」ということが三党合意で決めておられまして、これを受けた形で、政策金融機関との連携はしっかりとっていきたいというふうに思っております。

○安住国務大臣 事業を本当に再生するための新しいお金をどういうふうに融通するかということですけれども、大前提としては、やはり民間の金融機関が提供して、それを公的な機関が補完するということが前提だというふうに踏まえてはおります。ですから、支援機構が支援対象をそうした考えに基づいて判断はしていってもらう。
ただし、日本政策金融公庫は特別貸し付け等で震災対応に全力を挙げておりますので、東日本大震災事業者再生支援機構や事業者からの相談についても、随時、柔軟に対応する予定でございます。

○大口委員 財務大臣、被災地は地元でございますので、ぜひともここはしっかり推進をしていただきたい、こういうふうに思う次第でございます。
支援基準につきましては、いろいろ数値基準が出てまいりました。
今回の再生支援機構、十五年かけて支援をしていくということでございますから、やはり十五年以内というような非常に長いタームで、例えば債務超過の解消を考える。それから、有利子負債のキャッシュフローに対する比率、これは十五倍以内というようなことも聞いておりますけれども、これはしっかりとそういう形で緩やかにしていく。
あるいは、五年以内を目途に営業利益の黒字ということですが、硬直的に考えていただくと困ります。やはり、農業の場合ですと、農地の浸水地域は土地改良に数年の時間も必要ですし、また医療関係ですと、人口が戻ってきませんと患者さんもふえません。こういうことがありますから、そこは柔軟にやっていただきたい。そして、営業利益の黒字化ということとともに、選択肢として、経常利益の黒字、こういうものも選択肢の中に入れていただきたい、こういうふうに考えます。
支援基準について、簡単に御答弁いただきたいと思います。

○平野(達)国務大臣 まず、今回の事業支援というのは、震災による被災事業者支援という、どちらかというと非常事態における支援でございまして、そのための基準であるということも留意しつつ策定してまいりたいというふうに考えております。
今委員からもさまざまな御提案がございましたけれども、個別の業種特性等にも配慮する、あるいは合理的な事情ありと認められる場合には硬直的に適用しない、そういった規定も支援基準に含める予定で、現場に合わせた、そういった運用が図れるように、これは最大限配慮してまいりたいというふうに思っております。

○大口委員 我々は、議論で、再生支援機構が被災事業者から債権を買い取る、それで、簿価と買い取った価格の差額、これについては原則として免除をすべきである、こういう提案をして、大臣も、昨年十一月十四日、衆議院の復興特別委員会におきまして、この法律の目的が債務の負担を軽減しつつ被災事業者の再生を支援することとなっているから、運用はしっかりそういう形のものにしていきたい、こういう答弁をされました。これの確認をお願いします。

○平野(達)国務大臣 いわゆる簿価と買い取り価格の差額を例えば全額免除すべきだ、そういった考え方もございますけれども、ここの点に関しましては、そういった考え方もあるということなんですが、それをきっちり定めるということではなくて、買い取り差額以上に場合によっては支援をする場合もございますし、そこまでいかなくてもいいのではないかというケースもありますので、そういった考え方を基本としつつ、しかしやはり硬直的に決めないという考え方で、要は、再生するためにできるだけの支援をするという考え方でこれは運用していきたいというふうに考えております。

○大口委員 財務大臣にちょっとお伺いしたいんですが、東日本大震災の被災事業者が、再生支援機構または産業復興機構に買い取られた債権について、再生計画に基づいて債務免除を受けた場合、この債務免除益の課税関係、これはどうなるのか、お伺いしたいと思います。

○安住国務大臣 御指摘の、法人事業者と個人事業者の双方についてあると思いますので、それぞれについてちょっとお話を……(大口委員「簡潔に」と呼ぶ)簡潔に。
一般論で申し上げますと、法人事業者については、法人税法上、法人が債務免除を受けた場合の債務免除益は益金と算入されるわけであります。他方、その事業年度の費用、損失の額が損金の額に算入されるほか、過年度に生じた青色欠損金や、つまり七年前ですね、一定の場合におけるいわゆる期限切れ欠損金が、これは七年より古いものですね、損金の額に算入される結果、通常、法人税の課税関係は生じないものというふうに考えております。
個人事業者については、これもやはり債務免除益については経済的利益として課税対象にはなりますが、債務者が資力を喪失して債務を弁済することが著しく困難であるとされた場合には免除されるものについては課税しないものと取り扱っております。

○大口委員 あと、債権買い取り価格の算定方法につきましても、附則の三条の簡易な方法ということは、今検討していただいていると思います。
産業復興機構の方は、過去三年ないし五年のキャッシュフロー、それを、再生計画によって売り上げの見通しを出して、そして五年ぐらいのフリーキャッシュフローを現在価値化して決めるということでございますが、今回の再生支援機構、これについての買い取り価格の算定方法は、やはり十五年間の支援ということも考えて、五年ということでなくて、例えば十五年後ぐらいまでのフリーキャッシュフローですとか、あるいは十五年後の担保価値ということになってくれば相当また価値は上がってきます。そういうことも踏まえた価格算定方法ということを検討すべきである、こういうふうに思いますが、いかがでしょうか。

○平野(達)国務大臣 今、算定方法をさまざまな観点から検討させておりますけれども、一方で、やはり一物二価というのもおかしいなという考え方もございます。その一方で、支援機構のやり方、独自の考え方もあるのではないかという考え方もございまして、支援機構は支援機構で債権の買い取り価格の考え方があるのではないかという意見もございまして、今、そこは調整中でございます。
いずれにせよ、附則の第三条の趣旨を踏まえまして、事業再生計画、事業者の経営状況の見通し及び担保財産の価格の見通し等を勘案した、適正な時価というとまた月並みな言い方になりますけれども、そういった価格算定ができるような方式をしっかり設定してまいりたいと考えております。

○大口委員 次に、原子力損害賠償紛争解決センターについてお伺いしたいと思います。
この原子力損害賠償紛争解決センターは、今、二月十四日時点の申し立てですが、九百三十三件、件数はそうなっています。ところが、和解に至った件数は四件にとどまっています。
昨年九月一日に申し立てた第一号の件は、東京電力が一部拒否して、まだ和解は成立しておりません。これから、南相馬市の小高地区、一万人を超える集団の申し立てもあると聞いておりますし、また、双葉町の弁護団が結成されて、二月末に第一次、そして、それについて集団の申し立てがある、こういうようなことを聞いています。
ですから、この紛争解決センターにつきましては、やはり体制を整備しなきゃいけないと思うんですよ。要するに、時間がかかり過ぎている。仲介委員が百二十七名、それから、パネル調査官が三十名、事務局でもそれ以外で二十名、こういうことでして、今、調査員がみずから領収書の整理をやったり、そしてまたコピーをしたり。要するに、本人が申し立てているのが八割で、代理人がついていないのが多いんですよ。こういう未整理の段階で来ていただくものですから、そういう点でも大変になっているんですね。
やはり、仲介委員、パネル調査官、事務局員、この辺を大幅にふやさないと、膨大な処理というのはできないということが一点。これに対して対応をどう考えるのか。
二点目に、そういうことで、原発損害賠償事件というのは、これは非常に、百五十万人とも二百万人とも言われるわけでありますよね、膨大なものになるわけです。ですから、これにつきましては、和解の事例をしっかり集積して、そして公表すべきだと思います。申し立て件数、具体的な申し立ての内容を類型化したもの、それから解決した和解の概要、これはもちろん申立人個人が特定されないように配慮はしなければいけませんが。そしてさらに、和解に至らなかったケースについても、センターが提示したもの、こういうのは公表して、これは基準になりますから、相対交渉にもプラスになります。
この二点についてお伺いしたいと思います。

○平野(博)国務大臣 議員は非常に専門家でもありますし、御指摘の点はよく理解をいたしております。
現実を少し御報告申し上げますと、特に、紛争、訴訟という概念でいきますと、やはり、基本は相対ということですが、今回の原賠法に照らし合わせまして、被害者をいかに早く救済するか、あるいは公平にきちっとやれるか、こういうことでございます。
私どもが、今の紛争に持ち込まれております案件を見ていましても、なかなか数が、毎月のごとくふえてまいっております。今委員御指摘のように、自主的避難者でも百五十万人ぐらいおられるということですから、当然かなりの方々がおられる。
こういう観点で、今委員御指摘の状況については、特にパネルですね、あるいは調査官、調査官が今事務の、本来の業務でないところに追われておるものですから、これは早急に体制を強化する、こういうことでございますし、また、相対の東電の方におきましても、相談窓口を一万人規模にふやして、何としても被災者を早く賠償で和解ができるような体制強化を図りたいということでございます。
もう一点、先ほど申されましたように、公表するということは、より迅速に進めていく、こういう観点で私は非常に大事な御指摘だと思っております。ただし、個人情報等々の問題は十分考慮しながら、きょうでも大体の流れについては公表してまいりたい、こういうふうに思っておりますので、適宜公表することによって、類型化が確定をし、より紛争解決に寄与するものと私は思っておりますので、先生御指摘のとおり、きょうでも公表したい、このように思っております。

○大口委員 ぜひとも情報公開はしっかりしていただきたい。そして、それをいい例として、参考になる例として発表していただきたい、こういうふうに思います。
とにかく、今一兆六千億円ぐらい既に賠償金として払われています。やはり、和解を尊重するということを東電はしっかり考えていただかなきゃいけない。ですから、この点、枝野大臣、和解仲介案の尊重ということを、もちろん特別事業計画には書いてあると思うんですが、しっかり履行を求めてください。お願いします。

○中井委員長 枝野経産大臣、時間が終わっていますので、短くやってください。

○枝野国務大臣 御指摘の件は、十三日の緊急特別事業計画の変更認定に当たっても伝えたところであります。
東京電力は、和解仲介案ではなくて和解提示理由だから、まだ途中なんだとか、いろいろなことを言っていますが、国民的な常識に従って対応するように、さらに厳しく指導してまいります。

○大口委員 以上で終了します。ありがとうございました。

○中井委員長 これにて大口君の質疑は終了いたしました。
次に、高橋千鶴子さん。

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