大口よしのりの政策・実績

大口よしのり国会質問

大口よしのり国会質問

2012年6月1日

180-衆-法務委員会-5号 平成24年06月01日

○大口委員 冒頭、抗議をいたしたいと思います。
昨日の五時半に理事懇がセットされ、そして、けさの理事会で、職権でこういう形でセットされた。私ども、自民、公明、民主で、松野参議院議員、民主、柴山昌彦衆議院議員、自民、そして公明、私が、八回に及ぶ協議をさせていただきまして、これは一緒につくってきたわけであります。ところが、この一方的な職権によるセットによりまして、自民党が出席できない状況にあるということについては、強く抗議をしたいと思います。
ただ、これは、ある意味では三党で合意した事項でございまして、四月十三日に合意しています。それから一カ月以上たっているわけでありますので、これについて私ども質疑をしていきたい、こう思っていますので、よろしくお願いいたします。
まず、法曹人口について、大臣の見解をお伺いしたいと思います。
政権交代後、千葉法務大臣は、平成二十二年三月十二日の当法務委員会において、法曹人口について、「基本的に、平成二十二年ごろには合格者数三千人程度を目指すという、既に閣議決定をいただきながら進めてきたものを今見直すということは考えておりません。」こういう答弁をされています。
また、江田法務大臣は、これは二十三年四月十四日の参議院法務委員会におきまして、「司法制度改革のスタートのときに三千人という目標を立てて、そこへ持っていこうといろんな努力をしましたが、それが実現できていないということはこれは大変残念なことで、しかし、できていないにはできていない理由があるわけですから、これと真正面と向き合いながら、合格者数のことについても、何が何でも三千というわけではなくて、やはりそこはいろんな工夫をしながら、しかし法曹人口を増やしていく、日本の法的サービスというのをもっと層の厚いものにしていくという努力はしていかなきゃいかぬと思っております。」こう答弁されています。
今後の法曹人口について、法務大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

○小川国務大臣 年間三千人程度ということを理念として出発しました法曹養成制度でありますが、しかし、現実には、そういう状況になっていないというのが実情でございます。
そうした観点を踏まえまして、今直ちに見直すということを決定するということではございませんが、しかし、そうした当初の理念に達していないという現状を踏まえて、これについてさまざまな、つまり、法曹の職域の拡大等といった問題もございます。あるいは、ロースクールの教育の中身といったような問題もございます。さまざまな点が絡んでいるところでございますので、今、法務省あるいは政府といたしましては、法務省、文科省等関係六省庁によりまして、それから有識者を踏まえて法曹養成フォーラムを設けて、その場におきまして法曹養成制度全般を検討しておるわけでございまして、当然、その中には、この司法試験合格者三千人についても検討するものでございます。
そうした検討を踏まえて、この合格者の人数についても検討してまいりたい、このように考えております。

○大口委員 去る四月二十日、総務省は、法曹人口の拡大及び法曹養成制度の改革に関する政策評価書を公表いたしました。その中で総務省は、法務省に対してと文科省に対して勧告をしているわけですね。
法務省に対しては、「司法試験の合格者数に関する年間数値目標については、これまでの達成状況との乖離が大きく、また、法曹・法的サービスへの需要の拡大・顕在化も限定的であることから、これまで及び今後の弁護士の活動領域の拡大状況、法曹需要の動向、法科大学院における質の向上の状況等を踏まえつつ、速やかに検討すること。」と勧告しています。
総務省、この総務省の勧告について、勧告先である省庁はどのような尊重義務があるのか、お伺いします。

○新井政府参考人 お答えいたします。
総務大臣には、設置法または政策評価法上の権限といたしまして、調査結果に基づき、関係大臣に対し勧告を行うことができることとなっており、勧告は、法令解釈上相手方を拘束する意味を持つものではございませんが、それが尊重されることを前提としているものと理解しております。
また、勧告につきましては、その実効性を確保するため、法律上、勧告に基づいてとった措置について報告を求めることができることとなっており、勧告の際、総務大臣から閣議の場で関係大臣に対しまして適切な改善措置を要請するとともに、勧告後の実施状況につきまして、二回にわたりフォローアップを実施しているところでございます。

○大口委員 この年間合格者数の数値目標のこと、あるいは法曹人口のことで総務省の勧告があったわけです。これに対して法務大臣はどのように対応されようとしておりますか。

○小川国務大臣 いただきました勧告につきましては、その趣旨を十分尊重して検討してまいりたいと思っております。
ただ、これから新たに始めるといったことではなくて、先ほども申し述べました法曹養成フォーラム、ここには、法務省、文科省のほか、総務省等、関係省庁六省の中に総務省も入っておりますが、そうした点、有識者も含めた法曹養成フォーラムで現在検討中でございます。今回の総務省の勧告も、法曹養成フォーラムの中でこれも公表、検討ということで説明していただきました。そうした点を踏まえて、これから真摯に検討してまいりたいと思っております。

○大口委員 次に、民主党修正案についてお伺いをいたします。
まず、一条で「司法修習生に対する適切な経済的支援を行う観点から、法曹の養成における司法修習生の修習の位置付けを踏まえつつ、」こうあるわけでございます。この中で、法曹の養成における司法修習生についての検討をした結果、司法修習生に対する適切な経済支援として修習資金の貸与制を給費制に戻すことを排除しない、こう考えてよいのか、お伺いしたいと思います。

○辻委員 お答えいたします。
委員御指摘のとおり、給費制に戻すことを排除しない趣旨であります。

○大口委員 経済的な事情によって法曹への道を断念する事態を招くことがないようにすることが大前提と私どもは考えておりますが、それについてどうでしょうか。

○辻委員 委員御指摘のとおり、法曹を目指す者が経済的な事情でその目的を断念することがあってはならないと考えております。
本修正案は、法曹養成制度全体の速やかな検討を行い、一定の結論を得ることと、その中で、修習資金の貸与については、司法修習生に対する適切な経済的支援を行う観点から検討することを主な内容としております。法曹養成制度全体の検討が早期に行われることの中で、司法制度改革の基本原理である高い資質を備えた多数の法曹の養成及び確保を実現するための経済的支援のあり方が検討されることが重要であり、経済的な事情で法曹を目指す者がその目的を断念することがあってはならない、このように考えております。

○大口委員 次に、「司法修習生の修習の位置付けを踏まえ」というのはどういう意味かということです。
昨年十二月、当委員会で漆原委員が明らかにしましたように、旧憲法下では裁判官、検察官と弁護士が別々に養成されていたのを、新憲法の司法権強化と人権保障の観点で、法曹三者は統一の修習制度として国が養成することとしたわけでして、法曹三者は対等な立場で司法制度の一翼を担う重要な存在と位置づけました。そのような理解を前提としているのか、お伺いします。

○辻委員 戦前の分離修習ではなくて、戦後の法曹養成については、法曹三者はそれぞれ司法の担い手であり、職業としての法曹は一体であるべきであって、法曹たるものはひとしく高度の一般的教養と法律的素養を身につけているべきであるという考え方のもとで、法曹三者の統一の試験、修習が実施されてきたものであります。
今後の検討においても、司法修習生に対する経済的支援のあり方の検討においても、このような法曹養成全体における司法修習の意義を踏まえて検討されるべきだと考えております。

○大口委員 次に、新たな合議制の組織についてお伺いしたいと思いますが、法曹養成制度の制度全体の見直しというのは非常に大きなテーマなわけでございます。第二の司法制度改革とも言えるわけですね。ですから、本来からいえば、かつての司法制度改革審議会のような法的な根拠を持った機関において集中的に議論をすべきであるわけですよ。
ところが、今回、内閣官房、総務、法務、財務、文科、経産の六大臣の申し合わせ事項という形で法曹の養成に関するフォーラムというものをつくられたわけであります。そういう点では、これではやはり法曹養成制度全体の抜本的な見直しということにおいては、委員も、果たして我々の議論してきたことを政府はそのまま実行してくれるのかというような意見まで出るまで、ある意味では立脚するところが弱いわけでございます。フォーラムの先生方は一生懸命されているわけでありますけれども、そういうことが言えると思います。
そこで、今回の新たな合議制の組織と現在開催されている法曹の養成に関するフォーラムはどのような関係にあるのか、お伺いしたいと思います。

○黒岩委員 お答えいたします。
法曹養成フォーラムは、一昨年の裁判所法の一部改正、この法律に関する衆議院の法務委員会決議を受けまして、法曹の養成に関する制度のあり方についての検討を行うために、今おっしゃられた関係六大臣の申し合わせに基づきまして制定されているものであります。
一方、本修正案におきましては、法科大学院の教育と司法試験等との連携等に関する法律、いわゆる連携法の附則第二条におきまして、国民の信頼に足る法曹の養成に関する制度について、学識経験を有する者等により構成される合議制の組織の意見等を踏まえて検討を行うこととしておりまして、この合議制の組織につきましては、閣議決定に基づくものとし、そしてこのフォーラムによる従前の検討体制をより強力にして、新たに整備することを想定しているというところでございます。

○大口委員 そうしますと、フォーラムでこれまで議論してきた内容を参考にするとしても、閣議決定による新たな合議組織である以上、フォーラムのこれまでの取りまとめに拘束されるわけではないと考えてよろしいですか。

○黒岩委員 おっしゃるとおりでございます。
この組織での検討におきましては、必ずしもフォーラムでの検討内容に拘束されるようなことはないと考えております。

○大口委員 新たな合議制組織は、法曹養成全体について審議するわけでありますが、具体的にはどのようなことを検討するということですか。

○黒岩委員 まずは、法曹有資格者の活動領域拡大のための方策、そして、今後の法曹人口のあり方のほか、法科大学院、ロースクールにおける法学教育、司法試験、司法修習といった各法曹養成の課程につきまして、制度全体が検討されることになると考えております。

○大口委員 新たな合議制組織の委員の人選に当たって、どのようなことが重視されるのかということでございます。
フォーラムの皆さんは一生懸命されていることは認めますけれども、やはりいろいろな御意見があります。ですから、人選というのは極めて大事でございまして、そこについてどういう点を重視されて人選をするのか、お伺いしたいと思います。

○黒岩委員 お答えします。
修正案におきましては、学識経験を有する者等により構成される合議制の組織の意見等を踏まえつつ検討を行うこととしております。
これは、実務者協議でもさまざまな御意見をいただきまして、それを反映いたしまして、この組織については、従前の検討体制をより強力なものにすると先ほど申し上げましたが、さらに、法科大学院及び法曹関係者以外の多様な意見も反映されるよう整備されるものと考えております。そして、特定の関係者に偏ることなく、幅広い分野の学識経験者等の意見を得られるようにすることが重要と考えております。

○大口委員 特に私が思うのは、貸与制の賛成論者が非常に多い構成になっていて、そういう点では、法曹養成全体のあり方についてしっかり議論をしていただかなきゃいけないという点では、人選をしっかりやっていただきたいと思います。
この法施行後、一年以内に検討を加えて一定の結論を得るとありますが、この一定の結論とは、政府の講ずべき措置の内容及び実施時期を明記した工程表と解してよいのか、お伺いします。

○階委員 大口委員におかれましては、法曹養成制度の見直しについて、いつも的確な御意見を御披瀝されておりまして、本当に敬意を持っております。
今御指摘されたのは、連携法の附則二条に関する修正案の部分でございまして、一定の結論というのは、委員おっしゃるとおり、政府の講ずべき措置の内容及び実施時期を明記したものでございます。それを工程表と言うかどうかはこれは別にしまして、いずれにしましても、そういう、いつまでに何をやるかということを明示したものを政府として発表されるというふうに理解しております。

○大口委員 「速やかに必要な措置を講ずる」の、この「速やか」とはどれぐらいの期間を考えておりますか。

○階委員 同じ附則二条の関係でございますけれども、「速やかに」というのは、立法措置をとるということが仮に結論としてあった場合は、これは国会の審議などもありますからすぐに実行に移すことはできませんけれども、基本的には、一刻の猶予もならないわけですから、やれるものはすぐ実行する、法改正などを要するものは、法改正ができ次第、実行するというようなことになると思います。

○大口委員 大臣にお伺いします。
今、与党修正案についてお伺いしましたが、これは政府・与党一体でございますので、大臣として、今、提出者からの答弁について大臣としても責任を持って実行していく、その点、お伺いしたいと思います。

○小川国務大臣 その趣旨を尊重しまして、適切に対応してまいります。

○大口委員 次に、諸外国の例を引いて、ちょっと給費制の問題についてお伺いしたいと思います。
まず、諸外国の法曹養成制度を見ますと、ドイツでは、日本と同様に、法曹資格の取得のために統一修習が義務づけられていて、二年間の修習期間中、国費から給与が支給されることになっています。
また、韓国では、法学専門大学院制度の導入により司法研修院での司法研修は廃止されることになりましたが、旧制度も並行して続いているわけですけれども、旧制度では、二年間の研修期間中、国費から給与が支給されています。
さらに、ロースクールと修習が併存するカナダにおいても、州により多少の違いはありますが、ロースクール卒業後の法曹資格付与コース、BACにおいて、実務修習期間中は修習先から給与を支給されることになっています。
他方、アメリカでは、ロースクール卒業後、試験に合格すれば弁護士資格を取得できることになっています。
韓国でも、新たに導入された法学専門大学院制度においては、法学専門大学院卒業後、試験に合格すれば弁護士資格を取得できることになっておりまして、統一修習はありません。これは、みんながまず弁護士になって、それから裁判官あるいは検事になっていくわけですね。
給費制は法曹養成制度の根幹であり、現行の司法修習制度は、国家が国家の責任において司法機能の充実のために実施するものとして六十年以上営まれてきたわけであります。統一修習を実現するために、修習専念義務を課し、兼業やアルバイトを禁じた上、給費を支給してきたものであります。修習専念義務を課しながら自費による修習を強要することは、現在の法曹養成制度のもとで経済的な負担を負う修習生にさらに過大な負担を課すことにほかなりません。
このように、法曹資格の取得のために修習専念義務がつけられている国においては修習生に対して給与が支給されており、また給与は支給されるべきだと考えているわけですが、法務大臣の所見をお伺いします。
また、諸外国のうち、統一修習を行っている国で、司法修習生に対し修習専念義務が課されているにもかかわらず給与を支給していない国があるのか、これもあわせお伺いしたいと思います。

○小川国務大臣 まず後者の方でございますが、ドイツにおきましては委員の御指摘のとおりでございますが、それ以外の国におきましては、まだ把握し切れておりませんので、承知していないというふうに答弁させていただきます。
そして、委員の御質問の中で、修習生、法曹となろうとする者が経済的事情によって困難なことがあってはならないという点は、全く御指摘のとおりであると思っております。
ただ、給費制か貸与制かというところでございますが、一つの考え方といいますか、私どもの考え方といたしましては、修習しているとき、専念義務があるそのときに経済的に困難な方には、その経済的な支援を、いわば支えるということが必要ではないかと思います。そうした意味で貸与制があるわけでございますが、修習中に経済的な支援を受けられるということでは、給費制も貸与制も実質的には同じではないかと。ただ、法曹になった後に、返還できるという経済力をつけた段階ではお返しいただきたいということでございます。
そうした意味で、修習中、全く経済的な支援を行わない、あるいは、経済的な力がない人には修習あるいは法曹になる道を閉ざしているということではないということをぜひ御理解いただきたいと思っております。

○大口委員 私の方で通告してあったわけですよね。今ドイツのことを言及されましたが、韓国には、法務省は事情もよくわかっておられるわけだし、大体、主要国について、全部の国を挙げているわけではないわけですよ。限られた国を挙げているわけですから、そこをもう一度、御見解をお伺いしたいと思います。

○小川国務大臣 韓国では、従前の、給費制であった、我が国と同じような仕組みでございましたが、これが制度が変わりまして、現時点では、大学の後、三年間の法科専門大学院を修了して弁護士試験に受かれば資格を得られるという仕組みになっておりますので、制度が変わっております。委員も、韓国で旧制度という御指摘がありました。旧制度は委員の御指摘のとおりでございます。
また、アメリカ、イギリス、フランス、こうした主要国につきましては、統一修習と国費の支給という仕組みはとっておらないようでございますが、それ以外の国につきまして、統一修習をとっている国、そして給費、国費を支給しているという制度をとっている国については調査し切れておりませんので、きょうのところは、承知していないということで答弁させていただきます。

○大口委員 大臣は副大臣時代からこの問題をずっとやっておられて、お勉強もされているわけですから。今、基本的なことをお伺いしているわけですよ。
しかも、アメリカとか韓国の新しい制度においては、法科大学院を卒業すれば弁護士になれるわけですよね。我が国においては、司法修習を終了しなければなれないわけですから、そういう点では構造が違うわけですね。
法曹一元化ということでいえば、アメリカ、韓国は、とにかく法科大学院を卒業して試験に受かれば、修習を要しないで誰でも弁護士になって、そして、そこから検事や裁判官といくわけです。これが法曹一元化の一つの形ですよね。しかし、我が国においては、そうではなくて、統一修習をすることによって、そこで法曹三者が対等な形で修習をしていくわけです。その場合、統一修習をしなければ法曹資格が得られないわけですから、そこはアメリカや韓国の新しい制度と根本的に違うわけですよね。そして、そこで修習専念義務を課されるわけであります。
そういうことからいきますと、私どもの調査によりますと、諸外国のうち統一修習を行っている国で、司法修習生に対して修習専念義務が課されているにもかかわらず給与を支給していない国はない、こう思っているんですね。ですから、このことについてしっかり調査をしないで一定の結論を得るということ自体、おかしなことであると思うんですね。フォーラムでも、やはり本当はそこら辺もしっかり調査しなきゃいけなかったと思うんですが、その点をお伺いします。

○小川国務大臣 確かに、委員の御指摘もごもっともでございますが、ドイツ、フランス等ヨーロッパ、ただ、国の数も大変多いものでございまして、例えばドイツのように、統一修習、国費支給という制度をとっている国がヨーロッパの中にどこがあるのかということにつきましては、まことに申しわけございません、現時点では、今答弁できる資料を持ち合わせておりません。しかし、そうした点をさらに調べるようにという委員の御指摘はごもっともでございますので、主要な国についてさらに範囲を広げて確認してみたいと思います。

○大口委員 司法修習生には修習専念義務が課されている、アルバイト等も禁止されている。これは、司法修習制度はより質の高い法曹を生み出すことを目的とし、裁判官、検察官、弁護士のもとで、実際の生の事件を扱うものであります。一年間という限られた期間で、終日にわたって充実した修習を行う必要があることから、修習生に修習専念義務を課すことが、効果的、効率的に司法修習を行うため極めて重要であることに基づいておるわけであります。
しかし、現在の貸与制のもとでアルバイト等が禁止されている状態では、法科大学院修了に至るまでに多額の借金を負っている修習生が生活を維持するには大変な経済的な負担が発生しております。給費制を維持することが一番望ましいと考えておりますが、現在、既に昨年十一月から貸与制に移行しています。
そこで、修習期間中の最低限の生活費に加え、自宅を離れて配属地に移転する場合の引っ越し代、住居費、交通費等は援助する等、適切な財政支援を行う必要があると考えますが、法務大臣の見解をお伺いしたいと思います。

○小川国務大臣 一般論としまして、適切な財政支援を行うべきであるという考えはそのとおりであると思っておりますが、具体的に今、現行の貸与制も、従前の給費制のときと同じ金額をいわば貸与するわけでございます。また、住居を賃借する等という事情があれば、それに加算するということでございますので、そうした考慮はしてあるものというふうに思っております。

○大口委員 大臣、大臣も司法修習生の時期があったわけでありまして、そういう点で、やはり経済的理由によって今、法科大学院へチャレンジしようとする人まで急激に減少している、また、法学部自体に入学しようとされる方が非常に減少している、こういうことでは、法曹あるいは法治国家における一つの人材の基盤が崩れ落ちようとしているわけですよ。
そこをやはり、しっかり認識はされておると思いますけれども、認識していただいて、今後、この新たな合議機関、一年という中で集中的に法曹養成制度全体について議論をして、日本が国際社会においてそれこそ存在感を持ち、また国民の人権が守られ、正義が達成できるような、こういう社会を目指して、これから法曹養成のあり方について議論をすることが非常に大切である、こういうふうに申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。

○小林委員長 これより原案及び両修正案を一括して討論に入ります。
討論の申し出がありますので、これを許します。大口善徳君。

○大口委員 私は、公明党を代表いたしまして、ただいま議題となっております政府提出に係る裁判所法の一部を改正する法律案につきまして、公明党提出に係る修正案に賛成、仮に公明党提出に係る修正案が否決された場合には、次善の策として民主党提出に係る修正案に賛成の立場から討論を行うことといたします。
法曹養成に関する制度については、法科大学院の志望者の減少、司法試験合格率の低迷を初めとするさまざまな問題点が指摘されている現状を踏まえ、制度全体の見直しを早急に行う必要があります。
修習資金の貸与制についても、この全体の見直しの中で、法曹の養成における司法修習生の修習の位置づけを踏まえつつ検討が行われるべきであり、その間については、貸与制への移行を停止し、給費制を復活すべきと考えます。
この点、公明党提出に係る修正案は、法科大学院の教育と司法試験等との連携等に関する法律の改正規定を加え、現行法上、来年四月以降に行うこととされている法曹養成に関する制度についての検討を直ちに行うこととした上、その検討に関し法律に基づく合議制の機関の意見を踏まえることとし、所要の措置を講ずる期限として平成二十五年十月三十一日を定めるなど、法曹養成に関する制度の見直しを早急かつ確実に行うことができる内容となっております。
また、裁判所法の改正規定において、平成二十五年十月三十一日までの間の修習資金の貸与制の停止と給費制の暫定的な復活をした上、貸与制については、法曹の養成に関する制度についての検討において、法曹になろうとする者が経済的理由から法曹になることを断念することがないよう適切な財政支援を行う観点から、司法修習の位置づけを踏まえつつ検討することとしております。法曹の養成に関する制度全般の中で検討を行うことも、また法曹志願者の経済的負担の重さが問題となっている現状をあわせ考えても、妥当な内容であります。
以上のような点から、公明党提出に係る修正案が最善であると考えております。
一方、民主党提出に係る修正案は、公明党の主張を取り入れ、法曹の養成に関する制度に関する検討を直ちに行うこととした上、合議制の組織の意見を踏まえることや、結論の取りまとめを一年以内に行って速やかに必要な措置を講ずる旨を定めております。また、修習資金の貸与制についても、法曹の養成に関する制度の検討において、修習生に対する適切な経済支援を行う観点から、法曹の養成における司法修習生の位置づけを踏まえつつ検討することとしており、審議の中で修習資金の貸与制を給費制に戻すことを排除しないことも確認されています。
民主党提出に係る修正案においては、法曹の養成に関する制度に関する検討に関し設置される合議制の組織が別に法律の定めるところによるものでなく閣議決定によるものであるということ、そして、検討期間においても修習資金の貸与制が適用され続けることなど、なお十分でない点があると考えております。
しかし、大きな方向性としては評価すべきものであり、早急に法曹養成の制度に関する検討を行うべき状況にも鑑み、公明党提出に係る修正案が否決された場合には、次善の策として民主党提出に係る修正案に賛成することを表明いたします。
以上です。

○小林委員長 これにて討論は終局いたしました。
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