大口よしのりの政策・実績

大口よしのり国会質問

大口よしのり国会質問

2012年6月15日

180-衆-法務委員会-8号 平成24年06月15日

○大口委員 公明党の大口善徳でございます。
大臣、就任をされて、阪神・淡路のときは消防庁長官としてリーダーシップを発揮された、この法務行政におきましてもリーダーシップを発揮していただきたい、そのことを望むものでございます。
ただ、本当に、民主党政権になってから七人目の法務大臣。ついこの間、小川前法務大臣に所信をお伺いした、それからまだ三カ月ぐらいしかたっていない、こういう状況でございます。そういう点で、しっかり腰を据えて法務行政に傾注をしていただきたい、こう思う次第でございます。
まず、人権救済機関の設置についてでございます。
民主党政権になりまして、この人権救済機関の設置については、もう千葉大臣が所信の挨拶で、政府からの独立性を有する人権救済機関の創設、着実に実現してまいりたいと考えておりますということをおっしゃっていますし、また柳田大臣、江田大臣、平岡大臣、そして小川大臣も、この件につきましては、これはことしの三月二日です、所信の挨拶のところで、政府からの独立性を有する新たな人権救済機関の設置については、これまでの政務三役が築いてきた検討の成果を踏まえ、この政務三役には大臣も入っておられるわけですけれども、国民の理解を得られるような制度の構築を目指し、今国会での法案提出に向け作業を進めてまいります、こういうふうにおっしゃっているわけであります。
そして、大臣は、今回の所信、六月十二日の挨拶の中で、「政府からの独立性を有する新たな人権救済機関の設置については、これまでの間、国民の理解を得られるような制度の構築を目指し、法案の作成作業を進めてきたところ」ですと。もう法案はできているわけですね。「今国会での法案提出に向け努力してまいります。」こう御発言されているわけです。
ただ、もう会期末、六月二十一日でございます。本当にこの法案を提出する気持ちがあるのか、お伺いしたいと思います。

○滝国務大臣 ただいま大口委員が御指摘のとおり、政府としては、これはもう一貫してこの問題について取り組んでまいりました。そして、その中で、やはり大方の皆さん方の御賛同が得られるような、そんな配慮をその都度その都度、案を見直す中でやってまいっただけに、とにかく、この国会に間に合えば、何とか閣議決定を経た上で提出をしたいという気持ちは強く持っているのが今の状況でございます。

○大口委員 いずれにしましても、民主党さん、やると言ったことについてなかなかやれないということがずっとここのところ続いているわけですね。ですから、所信でそういうふうに歴代の大臣が表明している以上、それに対してはしっかり実行していただいて、そして、大いにこの委員会で議論していくということが大事だと思うんですね。
会期延長をされるということであれば、必ず出すということでよろしいんですか。

○滝国務大臣 今、大口委員の方から会期延長という言葉も出ましたけれども、事情が、出すことに応じられるような状況であれば、とにかく出したいということについては変わりはございません。

○大口委員 次に、被害者参加人への旅費等の支給のことについてお伺いします。
第二次犯罪被害者等基本計画において、被害者参加人に対する旅費、日当、宿泊費の支給について検討されているわけですね。
先日、この件で、全国犯罪被害者の会(あすの会)とそれから犯罪被害者支援弁護士フォーラムから要望を受けました。その要望は、被害者参加人への旅費等の支給について、被害者参加人に対して旅費等を支給する制度を平成二十五年度から実施していただきたい、また、裁判所から直接被害者に支給していただきたい、こういう要望がありました。
そして、理由として、被害者が刑事裁判に参加できるよう、旅費、日当、宿泊費を支給するということは、犯罪被害者等基本法で定められた犯罪被害者等の権利利益の保護を図るために必要不可欠であるということ。
それから二番目に、一生立ち直れないほどの精神的ダメージを受けているときに、法テラスなどへの煩雑で事後的な申請手続を経なければ支給を得られないというのでは、被害者参加人はその申請自体ちゅうちょしてしまうおそれがある。被害者参加人の出廷状況を把握している裁判所から直接支給することが最も合理的であり、かつ被害者参加人の権利利益の保護に資する方法と言える。
また、刑事裁判は被害者のためにもあるということが今や国民の共通の認識だ。そうだとすれば、鑑定人や証人と同様、被害者参加人についても、刑事裁判に必要な存在として、必要な費用について同様の運用をすべきである。
こういうことでございます。これにつきまして、大臣から御見解をお伺いしたいと思います。

○滝国務大臣 今御指摘のとおり、被害者に対してできるだけ支給しやすい、受け取りやすい、そういう制度をやるならば、そうすべきだというふうに思っております。
今御指摘のように、例えば法テラスを通じてというような回りくどいことでは、これはなかなか手数がかかる。旅費といっても、わずかな旅費からあるいはまとまった旅費までいろいろあるだろうと思いますけれども、一々遠回りをして支給させていただくというのはいかがなものだろうか。そんなことも含めて、今の御指摘のようなことを中心にして検討してまいりたいと思っております。

○大口委員 二十五年度からこれをやるということになれば、今、予算の概算等についても検討されているわけですから、早急に結論を出していかなきゃいけないと思うんですね。今大臣から前向きの御答弁がありましたので、しっかりそれを踏まえてやっていただきたい、こういうふうに思います。
さて、次に、裁判員制度の見直しについてでございます。
裁判員法の附則第九条で、施行後三年を経過した場合においては、法律の施行状況について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて、裁判員の参加する刑事裁判の制度が我が国の司法制度の基盤としての役割を十分に果たすことができるよう、所要の措置を講ずるものとするとしているわけですね。
平成二十一年の五月二十一日から裁判員制度というのは開始をされて、三年が経過したわけでございます。ことしの三月末までで、裁判員裁判の終局判決で三千六百八十五件を超え、補充の裁判員を含めて二万八千七十四人以上が参加をしてくださっていて、一生懸命やっていただいているわけでございます。
そこで、まず、裁判員制度については、現在、法務省の裁判員制度に関する検討会において、法改正及び運用に係る検討が、また、最高裁の裁判員制度の運用等に関する有識者懇談会において、運用の見直しについて検討されていると伺っております。現在、法務省の検討会においてどのような検討をされているのか、お伺いしたいと思います。

○滝国務大臣 これまで法務省の検討会では、前後十回ほどの会合を開いて、検討をしてまいりました。今その論点整理の段階に入っている、こういう状況でございます。

○大口委員 論点について、いろいろ指摘されていることについて、これからお伺いしていきたいと思います。
ただ、検討会で検討しているから、それに任せるということであってはいけないと思うんですね。検討会のメンバーの方は、別に大臣がどのような発言をしようと、みずからの信念に基づいていろいろ議論されているわけです。ただ、やはり大臣の見識として、いろんな論点についてのお考えをこれからお伺いさせていただきたいと思います。
今回、最高裁が公表しました「裁判員裁判の実施状況について」、これによれば、制度施行から二十四年の三月末までに終局した事件について、裁判員が裁判所に出席した平均日数は四・七、また約八割の事件では五日以内、こういうことで、おおむね、それほど日数は多くなっていない。しかしながら、開始以降、裁判員の平均職務従事日数の推移を見ますと、二十二年一月までが三・五日、二十三年三月末までが四・四日、平成二十四年三月末までが四・七日と、少しずつでありますけれども期間が伸びる傾向になっているわけです。否認事件ですとかあるいは死刑求刑が予想される極めて重大な事件、また、それ以外の事件に比べれば、そういう点では、裁判員選任から判決までの期間が長くなる傾向にあるわけです。
平成二十二年の鹿児島地裁での夫婦強盗殺人事件、これは第一審無罪ですね、四十日間。昨年、大阪地裁で、パチンコ店放火殺人事件、これは一審死刑、六十日。さらに、さいたま地裁で審理が行われた、本年四月死刑判決が出ました連続不審死事件では、これは審理期間が百日、職務の従事日数が四十七日ということで、裁判員の負担は極めて大きかったのではないかなと思うわけであります。
法務大臣も、この六月十二日の所信挨拶で、長期に及ぶ事件の審理のあり方において、「裁判員制度については、本年五月にその施行から三年が経過しましたが、裁判員の方々の誠実な取り組みにより、国民の間に定着しつつあります。」こう述べておられるわけでありますが、裁判員制度が真に国民に定着するためには、やはり長期間に及ぶ事件の審理のあり方等の検討、裁判員の負担をできるだけ軽減する施策、これをすることが不可欠だと思うんですね。
裁判員裁判導入のとき、あるいは今もそれは言われているんですが、審理が長期間かかる重大な裁判は対象から外して、比較的軽い事件から導入すべきである、こういう意見もいまだにあるわけです。しかし、死刑を含む重大な裁判こそ、一般の方々に判断を求め、捜査や検察の立証のチェックをするべきだ、こういう考え方にのっとってやっているわけですね。また、短くすればいいということで、それで逆に、しっかり議論を尽くすことができない、場合によっては、判決を延期してでも議論を尽くすべきだ、こういう御意見もあるわけであります。
そこで、裁判員の負担についての御認識、それから負担軽減策の検討について、大臣にお伺いしたいと思います。

○滝国務大臣 もともと裁判員裁判というのは重大事件が対象という原則を持っておりますから、そういう意味では、長期間にわたる裁判というのがこれまでの実績でございます。百日間に及ぶ審理をしたということは大変なことだったろうと思って、改めて、裁判員の皆さん方に敬意を表したいと思います。
それだけに、これをめぐっての議論というのは、どうしたらもっと時間を短縮できるかということで、関係者いずれも、その目標を持って取り組んでいるところだろうと思います。
ただ、幾ら簡素化するといっても、それは限界がありますので、したがって、百日間に及ぶような裁判について、どうやって負担を軽減できるんだろうかということは、現場の実態に即して、私どもも関心を持って検討してまいりたいと思っております。

○大口委員 そこは、法務省もそうでありますし、最高裁も、法改正あるいは運用という点でいろいろな検討がなされているようでありますけれども、しっかりやっていただきたいと思います。
そういう中で、この裁判員裁判の対象犯罪というのは、現行法では法定刑によって決められているわけですけれども、薬物犯罪や通貨偽造事件など、市民の感覚によって判断を求めるのに適当なのか、こういう問題があります。
一方、性犯罪について、被害者のプライバシーの観点から、裁判員裁判に適当ではないのではないか、こういう指摘もある。ただ、実際に科される刑罰ということでいえば、市民感覚を反映しているという指摘もあるわけです。
対象犯罪をどうするかということでこういう議論がなされていますが、これについて、大臣のお考えをお伺いしたいと思います。

○滝国務大臣 御指摘のように、確かに、性犯罪であるとか薬物事件というのは、裁判員の個人的な人生観みたいなものが当然入ってくるわけでございますから、そういった問題、それからプライバシーの問題がかなり濃厚に出てくる結果を持つわけでございますので、そういう意味ではどうなのかという議論があることも事実だろうと思います。
ただ、こういったものを初めから除外するわけにもまいりませんし、もともと裁判員制度というのは、実際のプロの法曹の感覚と市民感覚とのずれをどうやって補っていくかというところから出発しているものですから、難しいからといってそれは避けて通れない、こんな感じもございます。
いずれにいたしましても、実績を踏まえて、今おっしゃったように、対象から除外すべきだという意見もあることでもございますし、いや、やはりそれは必要だという意見もありますものですから、両方から検討を慎重に進めていかなければいけない、こう思っております。

○大口委員 特に、性犯罪における被害者のプライバシーという問題は極めて重要な問題でございます。そういう点で、さらに、この点についても、いい対策というのを講じていただきたいと思う次第でございます。
もう一つの問題といたしまして、例えば、犯人性が争われているいわゆる痴漢冤罪、それから過失の有無が争われている交通事犯等、また公訴事実及び犯罪の成立を妨げる理由または刑の加重減免の理由となる事実に争いのある事件における有罪、無罪等の判断は、これは国民の関心が高く、かつ社会的に影響が大きい、被告人が起訴状に書かれている罪を犯したことは間違いないと考えられるかを市民の常識に従って判断する意義が大きいということでございまして、また、公判前整理手続における争点及び証拠の整理において公訴事実に争いがあると認められ、かつ被告人または弁護人から請求のあった事件、こういうことも対象にすべきである、こういう意見があります。
この対象犯罪を拡大するということについては、もっと積極的に考えていいのではないかと私は思うんですが、大臣、いかがでございましょうか。

○滝国務大臣 今御指摘のとおり、重大事件じゃなくても、公訴事実に争いがあるとか、少し広げた方がいいんじゃないかという御意見というのは、日弁連からもいただいているところでもございます。そういう専門家の御意見というのも大変貴重な御提言でございますから、そういったことも含めて、どれだけ広げられるかという、物理的な問題も恐らくあるんだろうと思います。裁判員といっても、確保するというのはそれはなかなか難しい問題でございますから、事件を広げることによってどれだけこなせるかということもこれありという感じはいたしますけれども、せっかくの御提案でございますから、そういう今までの対象範囲に限定せずに検討していくということは必要なことだろうと思っております。

○大口委員 次に、裁判員の守秘義務についてでございますけれども、守秘義務違反は罰則がある、守秘義務の範囲が広過ぎる、こういう批判もあるわけですね。ですから、守秘義務に違反しない限り、大いに裁判員についてはお話ししていただく、そのことで裁判員制度の理解も広がるわけです。しかし、話していいことといけないことの境界が曖昧で守秘義務の範囲がわかりにくいということで、何も話せないという方もいらっしゃるわけであります。
ですから、やはり罰則の対象をもっと限定して、そして境界を明確にするということが大事じゃないかということで、職務上知り得た秘密を漏らす行為、評議の秘密のうち、裁判官または裁判員の意見について、当該意見を述べた者の特定に結びつく形で漏らす行為、裁判員の任務が終了した日から十年が経過する前に事実の認定または刑の量定の当否を述べる行為に限定すべきだ、これは日弁連等からもこういう意見がなされているわけです。
この点について、今回の見直しを法改正というような中でも検討すべきではないかと思うんですが、いかがでございましょう。

○滝国務大臣 守秘義務については、御案内のとおり、三つぐらいの背景があると思うんですね。一つはプライバシーの保護という問題もありますし、それから、裁判の公正さを疑わせるような言動があっては、せっかくの熱心な審理がふいになるという問題もございます。それからもう一つは、やはり裁判員の保護をする、報復だとかそういうようなことが身に及ぶのをできるだけ避けなければいけない、そんな配慮もあると思います。
しかし、余りプライバシーとか守秘義務にとらわれていると、自由な議論ができないようでは、これまた裁判の目的に反しますから、そこのところは、実態をどれだけ反映できるかということも考慮して、考えて、見直しをしていくものは見直したらいいと思っております。

○大口委員 今、三つの理由、守秘義務の理由をおっしゃいました。ですから、そういう理由からしても、ちょっと広がり過ぎているんじゃないか、あるいは境界線が曖昧じゃないか、こう思うわけですね。そこら辺を是正していただきたいということでございます。
次に、裁判員制度は、一般の人にわかることが求められるわけですね。今回、裁判員制度で、いわゆる調書裁判から法廷でのやりとりが中心となる裁判ということで、わかりやすくいい裁判になる、これが非常に大事なことであるわけです。
五月二日の最高裁判所長官の憲法記念日を迎えるに当たっての談話において、「法律家の側では、こうした裁判員の高い資質を前提とした過度に詳しい主張、立証が次第に増加し、当初の分かりやすい審理という理念がやや後退しているのではないかという問題も感じます。」こう述べているわけですね。
最高裁が公表した裁判員等の経験者に対するアンケートの調査結果でも、審理の内容が理解しやすかったという回答が、平成二十一年は七〇・九%、平成二十二年が六三・一%、平成二十三年が五九・九%と、年々低下をしているわけであります。
そういうことで、わかりやすい審理ということについて、やはりこれから努力していかなきゃいけない。そういう点で、最高裁に、こういう説明のわかりやすさについて、あるいは今どういう状況になっているのか、それに対する対策はどうなのか、お伺いしたいと思います。

○植村最高裁判所長官代理者 委員御指摘のとおり、アンケート結果を見ますと、審理内容の理解のしやすさとか法廷での説明等のわかりやすさというデータが低下しておりまして、これを重く受けとめております。
さまざまな原因が考えられるところであるとは思っておりますが、原因の一つとして、当事者の方で最初に冒頭陳述をされるわけですが、その内容が非常に細かいものになっているとか、さらに、証拠調べでも供述調書が使われて、場合によっては時間が長くなっているというようなこともあるようでございます。そういう書面を使う審理ということが一つの原因ではないかというふうに考えている次第でございます。
そこで、公判前整理手続がございますので、そこできちんと事実認定や量刑のポイントとなる事項を整理することが大前提ではございますが、その上で、証拠調べに入った中で、裁判員の方々というのは刑事裁判に初めて参加されるわけでございます、そういった方々に実感を持って証拠の中身をわかっていただくためには、そういう書類ではなくて、例えば、自白事件におきましても、重要な点につきましては可能な限り証人尋問を行う。もちろん、これには訴訟当事者の理解と協力もいただく必要はございますが、できるだけ証人尋問を行って、裁判員の方々が関係者から直接話を聞いていただく、足りないところがあれば裁判員の方から直接質問していただく、そういうような審理が必要ではないかということで、裁判所ではそれに今取り組んでいるところでございます。

○大口委員 わかりやすい審理ということについて努力をしていただきたいと思います。
裁判員裁判では、裁判員の精神的な負担が重過ぎるのではないかと指摘されているわけですね。今、裁判所は、裁判員メンタルヘルスサポート窓口を用意して、二十四時間対応で電話相談、ウエブ相談を行い、本人の希望や症状により、臨床心理士及び心療内科医等による面接、専門医、専門医療機関の案内及び情報の提供を行っているわけでありますが、平成二十四年四月末時点で窓口利用が延べ百五十五件ということにとどまっていると聞いております。二万八千七十四人の方が、三月末ですか、利用されているというには余りにも利用件数が少ないのではないかな。
そこで、利用しやすいように工夫をしていくということも大事だと思うんですが、最高裁にお伺いしたいと思います。

○植村最高裁判所長官代理者 最高裁といたしましては、せっかくつくったメンタルヘルスサポートでございますので、使い勝手をよくしたいと思っているわけでございます。
何よりもまず、そういうものがあるということを裁判員になった方にお知らせするのが先決だと思っておりまして、裁判員、補充裁判員になった方には、その当日にメンタルヘルスサポート窓口に関するパンフレットをお配りしております。
そのパンフレットの中には、連絡先はもちろんのこと、具体的にどのようなことが相談できるのかとか、どんな資格を持った人が対応してくれるのか、その利用方法でございますとか、さらには、秘密はかたく守られますといったようなことをお知らせして、御理解をしていただけるように努めております。さらに、最初だけじゃなくて、その後も裁判所から重ねて説明をするなどして周知するようにしております。
メンタルヘルスサポート窓口は、今委員からも御説明がございましたが、電話とかインターネットで年中無休、これは二十四時間いつでも期限なしで受け付けております。電話料とか相談料もかかりませんので、使い勝手を考慮してそのようなことにしたわけでございますが、そういうものがあることを知らなかったというようなことでは本当に意味がなくなってしまいますので、周知方にさらに努めてまいりたいと思っております。

○大口委員 このほか、裁判員裁判制度におきましては、控訴審で裁判員裁判の判決を破棄して一審に差し戻しをするという場合の問題ですとか、差し戻し審の審理についての破棄判決の拘束力の問題でありますとかがあるわけでありますが、それはまた次の機会にしたいと思います。
次に、ちょっと順番を変えたいと思うのですが、国選付添人制度の拡充について、大臣にお伺いをしたいと思います。
私も、これは毎回毎回、大臣がかわるたびに質問させていただいているわけでありますけれども、御案内のように、現行の国選付添人制度というのは二〇〇七年十一月一日に施行されたわけであります。その対象の範囲が狭過ぎると言われているわけですね。これは我々が与党の時代につくったという面もあるわけでありますけれども、状況は大分変わってまいりました。
今、その対象範囲というのは、殺人、傷害致死、強盗罪等の重大事件、かつ、家庭裁判所の裁量的な選任、それに、検察官が関与する事件、被害者が傍聴する事件ということになっているわけですが、非常に対象が狭いということで、選任数が、二〇一〇年、三百四十二人、二〇一一年、三百七十八人、こうなっているわけでありまして、少年鑑別所収容の少年の国選付添人の選任率は、二〇一〇年が三・二%、二〇一一年、三・七%、こういう状況でございます。
二〇〇九年の五月二十一日に、被疑者国選弁護制度の対象事件が必要的弁護事件に拡大されたということですが、国選付添人制度の対象は拡大されなかったということで、被疑者段階で国選弁護人により弁護士の援助が受けられる少年の大多数が、家庭裁判所送致後、国選付添人制度による援助を受けられない、弁護士費用が負担できない場合は弁護士付添人を選任できないということで、成人の刑事事件の被告人の場合はほぼ一〇〇%弁護士が選任されているのに比べますと、少年審判を受ける少年の弁護士付添人選任率は低い。少年鑑別所に送致された少年については、弁護士付添人選任少年の割合が、二〇一〇年、六二%となっていて、日弁連が八億円かけて少年保護事件付添援助の制度、少年当番弁護士制度というのでカバーしているわけですが、本来、これは国がやるべきものだと思うわけですね。
昨年の十月二十五日に、平岡法務大臣は、やはりそのことについて理解を示していて、できるだけ前広にというか、私なりにスピード感を持ってこれは対応していきたい、こういうふうに答弁していました。
ことし三月十六日に、小川前大臣は、予算を伴うものである、国民に理解を得る範囲でそれを導入しなければならないということで、ちょっと後ろ向きの答弁になっているのかな、こう思うわけであります。
いずれにしましても、このことについての大臣の前向きの御答弁を賜りたいと思います。

○滝国務大臣 前二代の大臣がそれぞれニュアンスの少しずつ違った答弁をしておりますから、その大臣の意見も踏まえた上で検討してまいりたいと思います。
ただし、この問題は、既に日弁連として支援をしている事件でもございますので、その辺のところも、実態を直接聞きながら検討をさせていただきたいと思っております。

○大口委員 どうですかね。こういうふうに、被疑者段階で国選弁護人がついていて、それで弁護士の援助を受けられる、ところが、家庭裁判所送致後に、少年鑑別所で身柄拘束を受けている場合に国選付添人の援助を受けられない、こういうことは国の制度として問題がある、このように思うんですね。そして、やはり、少年を支える要素として、弁護士という専門家による付添人がつくということが再犯の防止にも大きくつながってくるわけであります。
そういう点では、少年審判というのは後見的な性格はあるわけですけれども、やはり、今大臣も、再犯の防止ということは大変重要な問題だ、大人においても少年においても。そういう観点から、大臣の御見解をもう一度お伺いしたいと思います。

○滝国務大臣 少年事件については、調査官が少年に寄り添っていろいろな聞き取りをやっているからいいじゃないか、こういうようなこともあったと思います。
ただ、今先生の御指摘のように、やはり、少年は少年としての、事件を起こした背景には、寄り添う人がいなかったとか、そんな問題が大きな原因になっているはずでございますから、そういうことも含めて今の状況を、できたら、日弁連が弁護士さんを自前でおつけになっているということでもありますので、その辺のところもあわせてお聞きしながら検討するのが一番順当な手続ではないだろうかな、こう思っております。

○大口委員 次に、取り調べの可視化についてお伺いしたいと思います。
四月の五日に、法務省、最高検が、検察改革の進捗状況について取りまとめを公表されました。現在、検察改革の一環として、特別捜査部、特別刑事部における被疑者取り調べの録音、録画の試行、裁判員裁判対象事件における取り調べの録音、録画の試行的拡大、知的障害によりコミュニケーション能力に問題がある被疑者等に対する取り調べの録音、録画の試行について、検証及び検証結果を六月下旬ごろ発表されるというふうに聞いています。
実は、この録音、録画の試行についての検証というのは極めて大事でございまして、ここはやはりしっかりとした検証をしていただくということが今後の立法作業にも大きな影響を与えると思います。これについて大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

○滝国務大臣 今委員が御指摘のとおり、六月中にも何らかのまとまりができる、こういうことでございます。
ただ、やはりこれは大事な問題ですから、仰せのとおり、一つ一つきちんと検証をしながら、この問題に取り組む道筋を考えていかなければいけない、そう思っております。

○大口委員 それで、提案がなされていますね。この検証作業については、内向きの検証ではなくて、やはり法務・検察関係者でない第三者的な人を検証に参加させるということが必要じゃないかと。供述内容を検察以外の第三者が見るということは問題じゃないかということがありますが、これは、国家公務員で任期つき職員として守秘義務をかけてやれば、私は第三者的な立場の人も検証のメンバーに入れて行った方がいいと思うわけですね。
やはり滝大臣は、就任されて、この検証がいかに大事かということ、そして第三者性といいますか、これも大事だという御認識があると思うんですね。そのあたりはいかがでございますか。

○滝国務大臣 おっしゃるとおり、検証するためには、相当、捜査調書とか外部に出ていないものも、当然プライバシーを含みながらの記録が出てくるわけでございますから、そこのところをどういう格好で検証していくのかということも、大変重大な問題だと思います。
ただ、言えることは、ある意味では第三者的な人の意見をいただくということもこれからの問題として大事な問題ですから、そこら辺のところを、どうやってその問題をクリアしていくのかということも含めて考えてみたいと思っております。

○大口委員 検証及びその結果の発表が近くなっているわけですので、時間もそうないわけです。そういう点で、第三者的な意見がどう反映されるのか、しっかり検討していただきたい、こういうように思います。
取り調べの可視化についてでありますけれども、今、法制審において、新時代の刑事司法特別部会で、この秋以降、二巡目の議論が始まるということですが、平成二十四年度中の答申を目指すことになっているわけですね。そして、来年の通常国会へ法案が提出されるのか、そこら辺のスケジュール感を大臣にお伺いしたいと思います。

○滝国務大臣 法制審にもかけている話でございますから、余り間を置かずに、できれば何とか実際の実務に反映できるような格好でやっていきたいというのが、これは基本的なスタンスでございます。
したがって、時期的なことも考えながら、これからの法制審の審議というものも早めるようにできればいいなと思いますけれども、それは、法制審自体がどういうようなスケジュールで、少し急いでくれるかどうかというのはこれからの問題だろうと思います。

○大口委員 次に、民主党の歴代法務大臣は、取り調べの可視化と新たな捜査手法はリンクしない、新たな捜査手法の導入が必ずしも可視化実現の前提条件とはならない、こういう趣旨の答弁を繰り返されておられます。滝法務大臣はどのようなお考えなのか。
それから、三月五日、予算の分科会で私は松原国家公安委員長にお伺いしましたら、公安委員長は、取り調べの可視化と新たな捜査手法はリンクしているとの考え方を明らかにされたわけです。ここに見解の相違があるのではないかなと。
それと、やはり、国家公安委員長と法務大臣がそういう点でも協議をし、調整をしていく必要があるということでございますけれども、そのあたりについてのお考えもお教えいただきます。

○滝国務大臣 基本的には、取り調べの可視化と新たな捜査方法の導入、必ずしもセットでというふうには考える必要がないんじゃないかというのが、基本的に法務省としての受け取り方でございます。
ただ、おっしゃるように、国家公安委員会、警察の方は、やはり、現場の経験からいって、新たな捜査方法が導入できないとなかなか捜査結果が得られない、こういうような御配慮だろうと思います。
ただ、今までも、国家公安委員長と法務大臣は過去四回にわたっていろいろな意見交換をしておりますので、私どもも松原国家公安委員長とは必要に応じて打ち合わせをするとか意見交換をしながら、閣内で違った方向に走らないような格好は必要だろうというふうに思います。

○大口委員 そういう点では、刑事訴訟法の改正ということになるわけですから、法務省がやはり責任を持ってやらなきゃいけないわけですね。
これは一貫して、リンクしないということが法務省の見解でありますから、そこら辺についてしっかりと国家公安委員長に理解をしてもらっていくことが大事だと思うんですね。そこら辺についてはどうでしょうか。

○滝国務大臣 基本的に、私は、法務省のスタンスというものを大事にしながら、具体的に、ただ、現場の捜査は圧倒的に警察が行っているわけですから、その意見も突き放すというわけにはまいりませんので、そこのところは、何か妥協点というか、新しい捜査方法を導入しなくてもどこまでいけるかということもこれあり、率直に意見交換をしていったらいいと思っています。

○大口委員 新しい捜査手法の中で司法取引というのがあるわけですね。国民感情という問題がございます。これについて大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

○滝国務大臣 司法取引なんということが出てきますと、何か密室でもって足したり引いたりしているというような印象を与えるというのは、これは刑事事件としての扱いとしては大変好ましきことではありませんから、そういうことが疑われないようなことは十分配慮していかなければいけないと思います。

○大口委員 もう時間も終わりに近づいてまいりましたので、四月五日、検察改革の進捗状況という取りまとめの発表で、知的障害によりコミュニケーション能力に問題がある被疑者の取り調べの録音、録画の試行について、東京、大阪、名古屋の三地検において昨年七月から、全庁では同年十月から試行に取り組んでいるわけですね。事件数では三百八十八件、取り調べ回数は千六十九回録音、録画を実施し、そのうち取り調べの全過程を録音、録画したものは百二十件ということであります。
それと、取り調べにおける専門家の助言、立ち会いも試行しているということが発表されているわけですが、この知的障害によりコミュニケーション能力に問題がある被疑者の対象となった事件三百八十八件のうち、どれくらいの件数でこの専門家の助言、立ち会いが行われたのか。そういう数でありますとか実施状況について、これも検証対象になると思うんですね。そういう点で、その件についてお伺いしたいと思います。

○滝国務大臣 おっしゃるように、昨年四月からことしの二月までの数字は、今委員がおっしゃったとおりでございます。
ただ、実際にどの程度の専門家がこれに関与したかというのは、必ずしも数字的に把握しているわけではございませんので、何ともお答えのしようがないのでございますけれども、そういう意味では、今のところはまだ不明というようなことではないかと私は認識しております。

○大口委員 昨日通告してあったわけでありますけれども。
ただ、このコミュニケーション能力に問題がある被疑者の取り調べにおける専門家の助言、立ち会いというのは非常に大事なことで、長崎方式とか、これは最高検も積極的に考えておられますね。ですから、この検証というのは非常に重要だと思うんですよ。ですから、数も含めてしっかり対応していただきたいと思いますが、大臣、そこについてお伺いします。

○滝国務大臣 確かに、今までの実績からすれば、極めてわずかな数字だろうというふうに思います。十件あるかないかというような段階だろうと思いますけれども、せっかく専門家の助けをかりるということでございますから、そこのところは、今までの実績を踏まえた上で、当然ふやすものはふやしていかなければいけない、それがこれまでの実験の当然の帰結だろうというふうに思います。

○大口委員 時間が来ましたので、これで終わりにします。
ありがとうございました。

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