大口よしのりの政策・実績

大口よしのり国会質問

大口よしのり国会質問

2012年8月3日

180-衆-法務委員会-11号 平成24年08月03日

○大口委員 公明党の大口でございます。
質問をさせていただきます。
悪質な運転の結果、重大な結果が発生した事例について、危険運転致死傷罪が適用できないケースが目立っております。
平成二十三年十月の愛知県、無免許で飲酒ひき逃げ事件。これは、無免許のブラジル人が飲酒運転をする車が一方通行を逆走し、自転車で横断歩道を渡ろうとしていた男性をはね、死なせる。運転手は衝突後、車のヘッドライトを消して逃走した。それで、自動車運転過失致死罪、道路交通法違反、救護義務違反で公訴提起され、求刑は懲役十年、判決は七年でございました。
また、本年四月の京都・亀岡暴走事故。無免許運転の少年が軽自動車の運転中に居眠り運転をし、車が集団登校中の小学生らの列に突っ込む。登校中の児童ら十人がはねられ、三人が死亡した。死亡した保護者は妊娠中で、胎内に胎児がいて、あと数カ月で生をうけるはずであった。
これに対し、事故で死傷した遺族らは、危険運転致死傷罪での起訴を訴え、署名活動を展開して、六月十二日に約二十二万の署名を京都地検に提出した。京都地検は、少年が無免許運転を繰り返しており、事故の直前も無事故で長時間運転していたことから運転技術はあると判断し、自動車運転過失致死傷罪で起訴を行った、こういうことでございます。
今、そういう状況の中で、このような悪質な運転を行い、重大な結果を引き起こした事例に危険運転致死傷罪を適用できないかということについて疑問を感じるわけでございます。
特に、無免許運転を行っていながら、危険運転致死傷罪に言う自動車の進行を制御する技能を有しないという構成要件に該当しないということについて、被害者を初めとする国民の疑問が強く提起されているわけであります。無免許運転を続ければ続けるほど技能があることを裏づけることになる、こういうことはおかしいのではないかということでございます。危険運転致死傷罪の適用範囲を拡大するということを被害者の遺族の方々は求めておられます。無免許運転も危険運転致死傷罪の構成要件に加えるべきだ、こういう要望でございます。
こういうことについての法改正を行うことについて、大臣の見解をお伺いしたいと思います。法務省でどのような検討がされているのか、そして近々法改正を行う可能性があるのか、お伺いします。

○滝国務大臣 このところ続けざまに危険運転による事故が続いている、こういうこともあり、法務省としても、この問題ついては関係方面からいろいろな要請を受けているところでございます。
そういう中で、前大臣のときから、何とかこの問題については省は省として検討を進めていく必要がある、こういうようなことでずっとやってまいりました。そういう意味では、私にとりましても、これは前大臣のときからの懸案事項でございますから、引き続きどうするかということで検討をしているところでございます。
それにいたしましても、やはり、最初の危険運転致死傷罪をつくり上げたときの当委員会における議論というもの、これも念頭に置いた検討を進めなければいけないということでもございまして、なかなか簡単にはいかないと思いますけれども、しかし、乱暴な運転をしていても法律のすき間があるよというようなメッセージが世間に出ているというのは大変好ましいことではありませんので、何とかそのすき間を埋めるような方策は、法務省としても、法案改正という格好でできれば望ましいという態度を今とって検討しているところでございます。

○大口委員 今大臣から、法改正に向けてということでございます。
そうしますと、法制審議会等を経て、来年の通常国会、そういうような予定でいらっしゃるんですか。

○滝国務大臣 できれば、八月中ぐらいには法制審に諮問をするというようなスケジュールで作業を進めていきたいと思います。したがって、その後の法律改正になると、法制審も、こういう限定された事項ですから、そんなに長時間かかるとは思われませんけれども、法制審の審議の状況を見て、法案作成に取りかかる、こういう段取りだと思います。

○大口委員 できれば臨時国会で出せれば一番いいわけであります。引き続き、大臣、御検討をよろしくお願いします。
大臣から、法改正に向けてやるということでございます。その点を私は大変評価をしたいと思います。
これについて、当初、この危険運転致死傷罪というのが、故意に危険な運転行為をした結果、人を死傷させた者を暴行により人を死傷させた者に準じて処罰しようとするものということで、このような運転行為は、人の死傷の結果を生じさせる実質的な危険性の点において、人に対する有形力の行使であるところの暴行に準ずるものと評価されるということが、法制審議会でその考え方が指摘されているわけであります。
そして、事故になれば重大な結果が生じやすいという高い危険性があり、その行為自体が、酒酔い、著しい高速度など、極めて反社会性が強いものを選んだ、こういう理論構成になるわけでございます。
ですから、今回のように、無免許であるけれども、繰り返し繰り返し無免許をやって運転技能上の問題をクリアするということで構成要件に該当しないということは、いかにも、やはり社会通念を形成する一般国民から大きな違和感を感じられているわけでございます。
そういう点で、やはり、危険運転致死傷罪は国民の感覚から大きく外れる部分がありますので、その理論構成、たてつけを根本的に見直す必要があるのではないか、こう思うわけです。
きょう、平沢先生もいらっしゃいますけれども、危険運転致死傷罪を考える超党派の会という勉強会を開いておりまして、大畠先生や平沢先生とともにやっておるわけですが、こういう今の見直し、要するに、理論構成、たてつけからの根本的な見直し、これについてどうお考えでしょうか。

○滝国務大臣 今委員が御指摘のとおり、現行法をつくるときも、法制審で専門的な立場からいろいろな意見を頂戴いたしました。委員は、その中で、もう一遍たてつけそのものも見直す必要がある、こういう御指摘だろうと思います。
確かに、危険運転致死傷罪とそれから過失致死傷罪、基本的な立て方が違う。なぜ違うかというと、やはり過失の方は業務上過失という問題が根っこにあるものですから、それとのバランスでなかなか、例えば量刑を決めるときも、それにいわばバランスをとった格好でやらなきゃいけません。特に、業務上過失罪というのは最長五年というような期間が設定されているものですから、それとのバランスの中でこの問題も考えていくという意味では、たてつけそのものを全面的に見直せるかどうかというのは、これからの議論にまつところがあるんじゃないだろうかなという感じはいたします。

○大口委員 危険運転致死罪でありますと、法定刑の上限が懲役二十年ですね。一年以上の有期懲役ということですから。これに問えない場合、最高懲役七年の自動車運転致死傷罪が問われる。
しかし、自動車運転致死傷罪で処罰する場合、仮に道交法違反との併合罪を考慮するとしましても、例えば酒酔い運転の場合は懲役五年ですが、併合罪の上限が懲役十年六月ですね。そしてまた、無免許運転の場合は法定刑は懲役一年ですから、併合罪加重しても懲役八年ということでございまして、悪質な交通事故事犯で、危険運転致死とのギャップが大きいわけですね。やはりこのギャップを小さくする法改正を考えるということであれば、自動車運転致死傷罪の法定刑を上げる、例えば七年を十年にするとかいうことが考えられるわけです。
もう一つは、自動車運転致死傷罪を致死罪と致傷罪に法定刑を分けて、致死罪の方を引き上げる、こういう考えも出されているわけです。これは、いろいろなバランスの問題といいますか、自動車運転過失致死傷罪の法定刑の上限を懲役十年とした場合、酒酔い運転あるいは薬物使用運転との併合罪加重とすると、懲役の上限が十五年となって、危険運転致死罪と同じになる、こういうことがあって、致死罪と致傷罪を分ける、こういう考え方も有力にあるわけです。
この法定刑の引き上げについて、お考えをお伺いしたいと思います。

○滝国務大臣 今委員が具体的に刑期の問題についても御指摘いただきました。
基本的には、先ほど申しましたように、業務上過失罪が五年ということでございますから、それがやはり根っこにあるということは否定できないところでございますね。
したがって、この辺は、法務省としても、どういう形で委員が御指摘されているような立て方を変えていくかというのは、相当バランスを考えた議論をしていかなければいけない。しかし、余りすき間が出るようでは改正する意味はない。そういうようなことで取り組んでいるというのが今の実態でございます。

○大口委員 もう一つ、無免許運転に対する罰則の引き上げについて、これは警察庁にお伺いしたいと思うんです。
悪質な運転の処罰に関する道交法改正の経緯を見ますと、酒酔い運転は、平成十三年に二年から三年、十九年にさらに五年、過労運転は、十三年に六月から一年、そして十九年に一年以下から三年以下と引き上げられたわけです。ところが、無免許運転については、平成十三年に六月以下から一年以下に引き上げられて以降、平成十九年の改正でも行われなかった、こういうことであります。
先ほどの事例でも見ましたように、無免許運転の悪質な事例があるわけでありますし、また、自動車運転過失致死傷罪と併合罪加重した場合の処断刑と危険運転致死傷罪の刑の上限とのギャップを埋めるという意味からも、無免許運転に対する罰則を引き上げる必要がある、こういうふうに考えるわけです。
松原国家公安委員長も、ことしの七月二十四日、閣議後の記者会見で、無免許運転に対する罰則の引き上げの検討を事務方に指示した、こう報じられているわけであります。
警察庁において、この刑の引き上げの検討、例えば一年から三年以下に引き上げるとかいうことの検討はなされているのか。仮に、閣法で法案を提出する場合、やはりこれはすぐにやった方がいいと思いますので、臨時国会に出すべきと考えますが、いかがでございましょうか。

○石井政府参考人 無免許運転の厳罰化につきましては、先日、亀岡市における児童等多数死傷事故の御遺族及び名古屋市におけるブラジル人による死亡ひき逃げ事件の御遺族と松原国家公安委員会委員長が面会し、その罰則の引き上げ等の要望書の提出をいただいたところでございます。
無免許運転の罰則の引き上げ等につきましては、こうした御遺族の御要望を重く受けとめ、国家公安委員会におきましても御議論を願っているとともに、警察庁におきましても、他の刑罰との権衡等も勘案しつつ、現在検討を進めているところでございます。
なお、道交法の改正につきましては、昨年四月、栃木県鹿沼市で発生をいたしましたクレーン車による事故を踏まえ、一定の病気等に係る運転免許制度の改正につきましても、現在、あわせて検討作業を行っているところでございます。
いずれにしましても、速やかに改正案を取りまとめることができるよう、引き続き作業を進めてまいりたいと考えております。

○大口委員 勉強会でも、議員立法ということも考えておりまして、とにかく政府としてしっかりとした対応をしていただきたい、こう思います。
次に、本年七月四日、最高検で、検察における取り調べの録音、録画についての検証として、特捜、特刑における被疑者取り調べの録音、録画の試行について、それから裁判員裁判対象事件における被疑者取り調べの録音、録画の試行的拡大について、知的障害によりコミュニケーション能力に問題がある被疑者等に対する取り調べの録音、録画について、この三つの検証結果が発表されたわけでございます。
これを見ますと、取り調べの全過程の録音、録画の実施というのは、特捜、特刑におけるものは九十一件中三十九件、約四二・九%、裁判員裁判対象事件においては千九百六件中三百九十九件、約二〇・九%、知的障害によりコミュニケーション能力に問題がある被疑者等に対するものについては五百四十件中百九十四件、約三五・九%ということでございます。
取り調べの全過程の録音、録画のケースがまだ少な過ぎるように思います。この程度の割合にとどまったのはどうしてなのか。あるいは、数値目標を掲げて全過程の実施率を引き上げるべきである、こう考えますが、大臣、いかがでございましょうか。

○滝国務大臣 今委員から御指摘ございましたように、全過程の録音、録画はそのような数字にとどまっているということだろうと思います。ただ、全体としての録音、録画の対象件数というのは、既に九割を超えている。
こういう中で、できるだけ全過程を進めるようにというのが、本来、最高検の基本的な考え方として出ているわけでございまして、これからどれだけそれを実績として上げていくかということが問われているというのは、御指摘のとおりだと思います。

○大口委員 大臣、大いにこれは最高検に督励していただきたい、こういうふうに思います。
次に、これまでは、自白調書の任意性立証を念頭に置いているために、レビュー方式あるいは読み聞かせレビュー方式ということで、供述調書を前提に録音、録画していたわけですが、今回、試行拡大以降、これまでなかったライブ方式、すなわち、被疑者の供述を録取した供述調書の存在を前提とせずに、犯行に至る経緯、犯行状況、犯行後の行動等について質問し、被疑者が応答する場面をそのまま録音、録画する方式を実施したということであります。これが本来取り調べ可視化にとってなされるべき録音、録画の形態だと思われます。
例えば、裁判員裁判対象事件について言いますと、四千七百二件中、ライブ方式で、被疑者に発問し供述を得ている場面を録音、録画したものが千二百九十八件、それから、供述を得ている場面から供述調書の署名、指印場面までの録音、録画をしたものが千四百四十七回、それから、供述を得ている場面から供述調書の署名、指印に至る場面に加えて、それまでの取り調べ状況について確認するなどした場面まで録音、録画したものが千二十四回ということで、かなりライブ方式を導入されているということでございます。
このライブ方式の録音、録画は、本来の取り調べの可視化という観点から、今後も拡大を図っていただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。

○滝国務大臣 委員は、ライブ方式、こういうふうにおっしゃいました。要するに、生々しい実際の取り調べの姿をそのまま録音、録画する、こういうことだろうと思いますけれども、当然、国民の皆さん方の感覚は、そういうことが録音、録画の目的、こういうふうに理解をしていらっしゃると思います。そういう意味では、単なる調書の読み上げの部分だけを録画するんじゃなくて、生々しい実際の取り調べの過程をどこまで録音、録画でできるかというのが当初からの懸案事項だと思います。
そういうためには、ただ単にやれといってもなかなか難しい問題があります。これはやはり、取り調べの技術というか、担当される検察官がどこまで実際に録音、録画されているということを意識せずに、ごく自然に取り調べができるかという、その取り調べの技術という問題もあるように思います。
最高検とされては、そういうことも含めて、これから取りかかっていくんだ、こういうことを報告書で申されておりますので、そういう方向というのは目指すべき方向というふうに理解をいたしております。

○大口委員 今回の検証の結果、録音、録画の有効性について発表されているわけですね。それから、問題点についても発表されているわけです。そのあたりを簡潔に御紹介いただけますでしょうか。

○滝国務大臣 まず、検証結果によって何に効果があるかというのを三点ほど最高検は挙げていると思います。
一つは、取り調べの適正確保に役に立つ。適正である、こういうようなことの一つのあかしになる。それから、供述の任意性、信用性の判断が、そのとおりだ、こういうふうに受け取ってもらえること。それから、被疑者の供述が客観的に、そのまま記録される、こういうことが大きな目的だ、こういうふうに検証結果は出ているわけでございます。
ただ、もう一方、委員の御質問にございましたように、何が問題かというのも三点ほど挙げれば、緊張や羞恥心、自尊心、そういった心理的な影響、あるいは、プライバシーの関係で自由な供述を取り調べられる方がしづらくなる、こういうことが第一点。
それから、先ほど申しましたように、その反面、取り調べに当たる方も、録音、録画を意識して、十分な説得、追及ということが今までのようにはいかなくなる、こういうのが二点目。
それから、三番目には、これは頭の中で考えている話でございますけれども、録音、録画の内容が開示された場合には、関係者の名前や何かがそのまま出ますので、そういうようなときにはやはりプライバシーの侵害、害することになるんじゃないか、こういうようなことが一つの懸念事項として、合計すると三つある、こういうようなことだろうと思います。

○大口委員 今、録音、録画の有効性と問題点について簡潔に御答弁いただいたわけでありますけれども、有効性は、一部の過程よりも全過程を録音、録画をした方がより有効性が高まる、こういうふうに思います。それから、問題点につきましては、いろいろ取り調べの方法等を工夫すればクリアできると思うんですね。
そういう点では、大臣、やはり全過程の録音、録画という方向に向けて進んでいくべきである、こう考えますが、いかがでございましょうか。

○滝国務大臣 最高検が目指しているところと私どもが考えていることとは、それほどの大きな違いはないと思います。
ただ、今申しましたように、問題点が三点ばかり挙がっておりますので、その中で、やはり検察官がどれだけ自由に、今までと同じような意識でもって取り調べができるかどうか。そういうためには、やはり取り調べの技術というものをお互いに切磋琢磨して、レベルをアップしていくということが当面の問題、それによって全面的な録音、録画に少しでも近づく、こういうことだろうと考えております。

○大口委員 取り調べの録音、録画について、被疑者の方で拒否する理由として、取り調べを受けている姿を他人に見られたくない、こういう理由が指摘されているわけですね。
これは、肖像権は憲法で保障されているわけでございます。取り調べの状況を録画されて、場合によっては法廷で上映されることもあり得るということは理解できないわけではないわけでありますけれども、ただ、録画しないで録音だけするという方法も考えられるわけですね。
そういうことで、ここら辺はいろいろ工夫をすべきじゃないかと思いますが、いかがでございますか。

○滝国務大臣 確かに、御指摘のように、録画じゃなくて録音だけでもそれなりの効果はある、こういう御指摘のようでございます。それも一つの方法として配慮すべき事項かなとは思いますけれども、せっかく、録画があった方がやはり何となく信憑性が高まる、こういうことで出発しているところでございますから、その辺のところは、どうやって録音だけを取り込むかというのも一つの課題として認識をさせていただきたいと思います。

○大口委員 裁判員裁判対象事件の被疑者取り調べの録音、録画の試行拡大についての検証結果の中で、DVDの公判段階における使用について、実質証拠として請求した事例が一例あるわけですね。これは、覚醒剤密輸事件で、自白供述を内容とするDVDを、犯意等を含めた犯行状況の立証のために使うと。これは供述調書が得られなかった事例です。そういう場合に実質証拠として請求した事例となっているようです。
あるいはそれ以外でも、公判前整理手続が進行中であるなどの理由で、報告に至っていないものも含めて、録音、録画のDVDを実質証拠として請求した事例があるということでありますが、取り調べの録音、録画したものを実質証拠として請求する、すなわち有罪、無罪の証拠として請求することについて、検察庁として今後も積極的にこれを請求する方針なのか、これが一点でございます。
もう一点。検察庁が取り調べの録音、録画を開始した際の説明として、被疑者取り調べによる供述の任意性、信用性を担保するためということを掲げていたと理解しているわけでありますが、録画媒体を実質証拠として請求することは、その説明と矛盾する可能性はどうなのか。実質証拠として利用されるようになると、公判中心主義との関係での疑義が生じる、あるいは、被疑者が黙秘したり、録音、録画を拒否する事例がふえて、結局、取り調べの録音、録画の意味が減殺される、こういう指摘もあるわけであります。実質証拠として請求することについてどう考えているのか、お願いしたいと思います。

○滝国務大臣 委員が挙げられました、実質証拠として利用している件が確かにあると思います。それは恐らくは、供述調書を被疑者が拒否する、こういうときに、この問題を実質証拠として使った、こういうことだろうと思います。それはそれなりに意味があったんだろうと思いますけれども、しかし、今おっしゃるように、公判主義との問題からすると、それでいいのかというようなことに突き進む、そういう懸念もないわけではありません。
したがって、それは、取り調べに当たる検察官が個別的にその事件事件で判断すべき問題として委ねるというようなことではないだろうかなというふうに受けとめさせていただいております。

○大口委員 法制審議会でも議論されているようですけれども、ここら辺は議論を深めていかなきゃいけないと思っています。
あと、少年事件の被疑者についても録音、録画の試行の対象にしていくということでありますが、それを検討していくということでありますが、少年事件の被疑者については、私は早急にやるべきだと思います。大臣、いかがでございますか。

○滝国務大臣 外国の例を見ると、少年事件こそ録音、録画で取り調べるべきだ、こういうような意見もあります。しかし、そうでもない意見もございます。録音、録画することになると、子供がやはりそれだけの緊張感を持たざるを得ない、こんなこともあるんだろうと思いますけれども。
いずれにいたしましても、子供は子供としての録音、録画の方式というものも試行の中でやはり検証していく、その結果をまちたいと思っております。

○大口委員 これからさらに、取り調べについて、新しい時代の取り調べのあり方ということで検討されるようでありますが、どういうことをやろうと考えておられますか。

○滝国務大臣 基本的には、今の段階では内部的な検討にとどまっているということでございますけれども、検察当局も、最高検に外部参与というものも昨年来設置をいたしておりますので、外部の意見も直接聞きながら、この問題を一つの確立されたルールとしてどこまで徹底するかを見きわめていきたいと思っております。

○大口委員 前回も委員会でも指摘しましたけれども、今回の検証は最高検だけでやられた。やはり、供述心理学とかあるいは第三者の有識者、こういう方も交えた検証ということを、大臣、もう一度考えていただきたいと思うんですけれども、いかがでございますか。

○滝国務大臣 直接的な取り調べの中身に議論をする話でございますから、なかなか外部の第三者というのは少し抵抗があるかもしれませんけれども、その辺のところも一つの課題として受けとめさせていただきます。

○大口委員 時間が参りました。これで終わりにしたいと思います。
ありがとうございました。

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