大口よしのりの政策・実績

大口よしのり国会質問

大口よしのり国会質問

2012年8月7日

180-衆-法務委員会-12号 平成24年08月07日

○大口委員 公明党の大口でございます。
今回、刑法等の一部を改正する法律案、薬物使用等の罪を犯した者に対する刑の一部の執行猶予に関する法律案について審議することになったわけです。これは昨年の十二月一日、参議院で可決をされている。ここに来てやっと衆議院で審議をやるということでございます。
そこで、この一部執行猶予制度の導入全般についてまずお伺いしたいと思います。
非拘禁措置に関する国連の最低基準規則、東京ルールズとの関係において、これは一九九〇年の犯罪防止及び犯罪者の処遇に関する国際連合会議第八回の会議で採択された非拘禁措置に関する国連最低基準規則、東京ルールズがあるわけでありますが、この法律案はこれに沿って立案をされたものなのか、どのような改正点がこれに沿った施策となるのか、お伺いしたいと思います。

○滝国務大臣 基本的には、今御指摘のように、非拘禁措置のための国際連合最低基準規則、これに沿った形で今回の法律改正をしようといたしているところでございます。
中身的には、特に、社会貢献活動を新しい保護政策の中に入れ込む、こういうことが大きな一つのポイント、こういうように理解をいたしております。

○大口委員 今回のこの改正案について法制審議会で議論された。平成十八年に諮問されて、平成二十二年に答申をされた。
この諮問文を見ますと、被収容者の人員の適正化を図るとともに、犯罪者の再犯防止及び社会復帰を促進するという観点から、社会奉仕を義務づける制度の導入の当否、中間処遇のあり方及び保釈のあり方など、刑事施設に収容しないで行う処遇等のあり方等について意見を承りたいということであったわけです。
ただ、この被収容者の人員の適正化の方は、PFI刑務所の整備ですとか、あるいは犯罪の検挙人数の減少等もあって、今のところ落ちついている。今回の一部執行猶予制度の導入などの改正というのは、社会内処遇の充実による再犯防止を主なテーマとしている、こういうふうに捉えているわけでございます。
平成十九年版の犯罪白書だと、三割の再犯者によって約六割の犯罪が行われている、こういう事実が明らかになっておりますね。また、平成二十三年版の犯罪白書においては、平成二十二年における一般刑法犯の検挙人員に占める再犯者の比率は約四三%、刑務所への入所受刑者人員に占める再入者の比率は約五六%であって、いずれも近年、上昇傾向が続いております。
やはり、犯罪の発生を防止するには、再犯をいかに防止するかということが大きなポイントであります。今回の改正によって、再犯防止の効果についてどの程度見込んでおられるのか、大臣にお伺いしたいと思います。

○滝国務大臣 先般、法務省としても発表したわけでございますけれども、今後十年間で出所後二年以内の再犯を二〇%減らしたい、こういうことを一つのいわば基準設定という格好で発表をさせていただきました。したがって、今回の法案もその目標に沿う形でもともと立案をしている、こういうようなことでございます。
基準設定は法案の作成以後でございますけれども、この法案をにらんだ上での基準設定、こういうふうに私どもは理解をいたしているところでございます。

○大口委員 刑務所出所後二年以内に再び刑務所に入所する等の割合を今後十年で二〇%以上削減するということなんですけれども、この数値目標というのは、どういうことを根拠にされているんですか、今回の法改正も入っていると思いますけれども。

○滝国務大臣 特に積み上げ計算をして予測しているわけではありませんけれども、現状の数値を比較すると、とにかく二〇%というのがいわば数値目標としてはぎりぎりのところかなと。余り高くてもこれは荒唐無稽ということになりますし、低くても目標になりません。そういうことで、現在押さえている数字が、いわば出所後二年以内に入ってくる数字が、二度目が大体二五%ぐらいでしょうか、それから一度目は一〇%、こういうことでございますので、そのようなところをにらんで、二十年間で二〇%を削減させよう、こういうことでございます。(大口委員「二十年間じゃない、十年間ですよ」と呼ぶ)十年間です。

○大口委員 そういうことで、再犯者の約七割が無職ですね。また、刑務所再入所者のうち、前回出所時に適当な帰住先がなかった者の六割が一年未満で再犯を起こしているというデータがありますよね。
そういう点では、出所後の居場所、住居、それから出番、就業の確保が非常に大事だ、こう思っていますが、この二〇%削減ということとの関係において、どう取り組んでいかれますか。

○滝国務大臣 基本的には、まず住むところ、帰住先を確保してあげる、こういうことでございます。それから二番目には、当然のことながら、就労の場所を確保する。この二点を再犯防止という観点からは大きな目標として取り組んでいく、こういうようなことでございます。

○大口委員 そこで、再犯防止を行うにおいて、刑務所内での処遇がしっかりと行われている必要があるわけです。これと、刑務所を出る前に就労先が確保されることも重要です。昨今、厳しい雇用また経済情勢にあって、就労先を確保するのも難しくなったと思われます。施設内処遇と社会内処遇を連続して行うために、こうした情勢においても就労先を確保していくことが必要です。
刑務所出所者等の就労を支援するために、平成十八年からですか、法務省が厚労省と協力して、原則三カ月間、試用雇用の期間の賃金助成を行うというふうに聞いています。トライアル雇用というんですかね。
そこで、厚労省にお伺いしますけれども、この施策の予算額の推移、実績、そして、今後さらにこれを強化していくべきだと考えますが、いかがでございますか。

○西村副大臣 お答えいたします。
委員御指摘のとおり、刑務所出所者等に対する就労支援につきましては、平成十八年度から、ハローワークと刑務所、そして保護観察所などが連携をいたしまして、職業相談や職業紹介、そして協力雇用主を対象とした求人開拓及び試行雇用奨励金、これがトライアル雇用でありますけれども、これの支給等を行う刑務所出所者等就労支援事業を実施してきております。
本事業の平成二十四年度予算額は約二億六千万円となっております。事業を開始した平成十八年度が約一億七千万円となっておりましたので、一・五倍に増加しているということであります。この試行雇用奨励金、トライアル雇用の奨励金の支給実績は、平成二十三年度で二千七百万円となっております。これは平成十八年度の約四百六万円と比べますと約七倍ということになっております。
厚生労働省といたしましても、非常に重要な課題だと思っておりますので、法務省と連携をいたしまして、引き続き、刑務所出所者等就労支援事業に取り組んで、刑務所出所者などの就労支援に、そこはしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

○大口委員 だから、予算の一割ちょっとしか消化していないということですね。だから、本当に法務省、厚労省、しっかり力を入れて職場の確保ということをやっていかないと再犯の防止というのはできませんので、よろしくお願いしたいと思います。
次に、保護観察対象者の増加に対応した保護観察官の増員ということが大事だと思いますね。今回、一部執行猶予の導入によって、保護観察対象者というのは、現在よりも二千数百名から三千数百名程度増加する、こういうことで参議院の法務委員会でも局長から答弁がありました。この保護観察対象者の増加に対応しながら社会内処遇を充実させ、その実効性を確保するためには、これを担う保護観察官の増員が欠かせません。
また、今回、特に薬物事犯の再犯防止が重要なテーマとなっているわけですけれども、この薬物事犯の再犯者に対する刑の一部執行猶予制度と、これに伴う新たな薬物処遇プログラムも実施されることになるわけでありますが、これを実施するためには、薬物事犯の更生について、その専門性を有する保護観察官の養成、増員も欠かせないわけであります。
平成二十五年度新規採用の抑制ということで、法務省でも五二・三%削減されると聞いているわけでありますが、この保護観察官、平成二十四年度は三十人の増ということですよね。平成二十五年度をどうするのか。施行までの三年間、この増員について、どういう方針で、どういう目標で増員していくのか、お伺いしたいと思います。

○滝国務大臣 今委員の方から、薬物依存という問題を取り上げての御意見がございました。
法務省としては、平成二十四年度で、保護観察官の定数を三十人増加いたしております。したがって、特に薬物事犯ということでこれから実務につくわけでございますけれども、そういったことをとにかく力を入れてやっていくということでございます。
それからもう一つ。今政府としては、定数は定数として、新規採用抑制方針を打ち出しております。したがって、来年度新規採用がどうなるかというのはまだこれからの話でございますけれども、とりあえず、本年度、来年度、いずれにいたしましても、定数をそのまま採用するわけにはいかないというような事態が出てきた場合には、いわば再任用制度を使いながら、何とか実数としての保護観察官を確保していく、そうでなければ新しい法律改正には対応できない、こういう観点からの対応を進めてまいりたいと思っております。

○大口委員 ですから、二十四年度は三十人ということなんですけれども、この三年間でそれをちゃんと整備しないと、二千数百名から三千数百名対象者がふえるわけですから、また、薬物の対応もあるわけですから、ある程度の方針、目標を立てて、それで、二十四年度は三十人だけれども、来年は抑制がされるから十五人とか、そういうことになるんじゃないかと心配しているんですよ。いかがですか、大臣。

○滝国務大臣 まだ来年度の予算要求まで間がありますけれども、とにかくこの法律改正がフォローできるような体制は確保していかなければいけませんので、その辺のところもあわせて対応をしてまいりたいと思っております。

○大口委員 また、保護司さんにも、前回も法務委員会で橘委員が質問をされておりましたけれども、大事な役割を担っていただいているわけであります。更生保護の体制を充実させるために、やはり、保護観察官の増員だけじゃなくて、保護観察官とともに更生保護を担っていただいておる保護司の人員の確保ということをしていかなきゃいけないです。
最近の報道でも、保護司の体制は、法律上は定数が五万二千五百人、これに対して実員は約四万八千人。そして、新たな担い手の確保もなかなか大変で、昨年一年間で退任者が約二千八百人、これに対して新任者は過去十年間で最少の二千三百八十七人、こういうことで、退任者を大きく下回っている。中でも、都市部の担い手不足は非常に深刻で、東京では定員の六割にも満たない地区もある、こういうことでございます。
都市部の場合、特に住民の入れかわりが激しいので適任者を探しにくいとか、マンション住まいの人が多いとか、保護司の自宅での面接が困難であるというようなことが掲げられ、これについては、更生保護サポートセンターというようなことも、かなり保護司の方に御負担をかけながらやっているという現状なわけですね。
法務省は五月から、全国保護司連盟と連携して、全国八百八十六カ所の保護司会を対象にして、保護司の就任を依頼した際にどのような理由で断られたのかということについてのアンケート調査も行っているわけでありますが、しっかりとこういうものを分析して、そして対応していかないと、更生保護の体制が崩壊してしまう。非常にそういう点では危機感を持っておるんですが、大臣、どう対応されますか。

○滝国務大臣 今委員の御指摘のとおり、現在、保護司の数は毎年少しずつ減り続けているというのが現状でございまして、四万八千人をちょっと超えるところまで落ちてまいりました。したがって、今お尋ねのように、ことしの五月に、保護司への就任依頼に関連してのアンケートを実施したところでございます。基本的には、異口同音にして、新しい保護司さんに委嘱するのが難しくなった、こういうことでございます。
したがって、その穴をどうやって埋めていくかというのが喫緊の課題でございますので、これについても、このアンケート調査の結果を見て、私どもとしては、何とか保護司の実員を確保するようなお願いをして歩く、こういうことでございます。
最終的には、今までも、足りないところは市町村役場にお願いをして、何とかもう一人確保してくださいとか、こんなようなことをお願いしながら確保してまいりましたけれども、それにも限界がありますので、どうしたら定数を確保できるのか、そんなことも新たに考えてまいりたいと思っております。

○大口委員 保護司さんと懇談する機会もあるんですけれども、本当に保護司さんの善意でボランティア的に、しかも自腹を切ってやっておられるということをやはりしっかり対応していかなきゃいけない、このように思います。
次に、現行刑法は、全部執行猶予または実刑、この二つしかないわけですね。今回、一部執行猶予というのが加わるということで、今回の改正は実は大変な改正なんです。これまでにない大きな改正になるわけであります。
そういう中で、全部執行猶予と実刑しかない場合には、中間的な刑罰としての一部執行猶予を創設するとなれば、これまで全部執行猶予が選択されていた事例の一部が一部執行猶予になるのではないか、そういう指摘があるわけです。そういう点で、もしそうなれば、実質的には重罰化になるわけであります。
参議院の審議で、平岡法務大臣が、「これまで全部執行猶予だった人について一部執行猶予を言い渡すといった運用がなされるとは考えにくく、厳罰化につながるという懸念は当たらない」こういう答弁をされているわけでありますけれども、これは、裁判員裁判の場合、このようなことについて懸念はないのか。
この一部執行猶予の考え方について、しっかりこれは裁判員に理解していただかないと重罰化につながってくると思うんですが、どうでしょうか、大臣。

○滝国務大臣 今委員が、この新法の適用によって重罰化が出てくるんじゃないか、こういう御指摘でございました。
基本的には、裁判員裁判の扱う対象事件からすると、比較的重い犯罪が中心だろうと思いますけれども、しかし、御指摘のように、三年前後の罰則の適用ということも、それは当然あり得る話でございます。
したがって、全部執行猶予にしていたものを一部執行猶予に切りかえるということについては、これはよほど裁判官会議できちんと、その辺の具体的なこれまでのあり方、それから、これからのあり方、みんなで議論をしてもらう。プロの裁判官がその解説をしながら進めるのでございましょうけれども、そんなことをきちんと裁判員にわかるような説明を加えていかなければいけない、それはもう御指摘のとおりだと思います。

○大口委員 大臣、法務大臣としてはその程度のことしか多分答弁できないと思うんですが、これは最高裁初め、しっかり検討していただきたいなと思っております。
それで、一部執行猶予とする場合のその判断の可能性について、判決時点では、その一年後あるいは二年後というような将来の施設内処遇の効果を予測することがなかなか難しいということで、判決の時点で裁判所が、施設内処遇と社会内処遇の連携を図るため、実刑部分は何年にして執行猶予期間は何年にすればいいのかというこの判断が非常に難しいと思うわけであります。
そういう点で、情状の事実というものを、相当これに審理を充実させたものにしないとこれは非常に難しいと思いますが、法務大臣、この点どうお考えでしょうか。

○滝国務大臣 これも委員が先ほど御指摘されていましたように、私どもからどうこうするということはなかなか言いにくい話でしょうけれども、裁判所は裁判所として、今までのいろいろな量刑の科し方の問題、それから執行猶予のつけ方の問題、こういったものの資料を当然集めておいでになると思いますから、そういう中で裁判所は裁判所としての具体的な対応をしていけるものと思っております。

○大口委員 慎重論の意見ではそういうことが指摘されておりますので、確認をしておきたいと思っております。
また、一部執行猶予にする際に、裁判官においては、実刑を何年にして執行猶予の部分はどうするのかということ、そしてまた、執行猶予期間を何年にして保護観察を付するかどうか、薬物の場合は必要的でありますけれども、こういう、個別事件について詳細に検討して判断しなきゃいけないという、非常に難しい判断になるわけですね。
裁判員裁判においては、裁判員の量刑が裁判官の量刑よりも重い場合には、裁判官の量刑の中で一番重いところまで量刑が下がるわけでありますけれども、その場合の刑の軽重の関係がどうなるのか。例えば全部実刑と一部執行猶予の刑の軽重の関係について、二年全部実刑とすべきという意見と、刑期は二年四月のうち六月を執行猶予とするという意見があった場合に、どちらが重いのか、こういう問題が生じてくるわけですね。
実際に刑務所に入っている期間をどう見るのか、あるいは刑期という全体をどう見るのかということでありますが、裁判員裁判になる場合、裁判員に対してこういう量刑の判断について相当説明しないと、我々だってどちらが重いのか軽いのかわからないわけですよね、それを一般国民の方に理解していただくには相当の説明を要すると思いますが、いかがでございますか。

○滝国務大臣 これも法務省としてこういうことを言うのは少し行き過ぎかもしれませんけれども、今までの判例の中を見てまいりますと、今御指摘になりましたように、実刑の部分がどうなるかということが重いか軽いかという、要するに、実際の判決を受ける立場から見て、やはり実刑の期間が短ければそれはそれとして執行猶予期間が長くなっても軽いんだとか、そんなような裁判例がございますので、そういうことを恐らく裁判所に、具体的にはそういう過去の事例をもとにした説明をされた上で実際の裁判に臨む、こんな体制をつくっていただけるものじゃないだろうかなということを私どもとしてはいわば推測いたしているわけでございます。

○大口委員 次に、薬物使用等の罪を犯した者に対する処遇のあり方についてお伺いしたいと思います。
今回、刑法等の一部を改正する法律案において、更生保護法の改正として、薬物使用等の罪を犯した者に対する刑の一部の執行猶予に関する法律案の対象者について、原則として、規制薬物等の使用を反復する犯罪的傾向を改善するため、専門的処遇を受けることを保護観察の特別遵守事項として義務づけていくことが盛り込まれているわけでございます。
この件で、これは新たな薬物の処遇のプログラムということを検討されているようであります。これまで覚醒剤の処遇プログラムはあったわけでありますけれども、この点、薬物処遇研究会が本年三月まで開催されて、四月以降、この新たなプログラムの試行、検証等の実施をすると伺っているわけです。
この新たな薬物処遇のプログラムの開発状況、それから、その内容の公表時期、そして、施行は三年ということでありますので、今後どういうスケジュールでこれを本格的なものにしていくのか、お伺いしたいと思います。

○滝国務大臣 昨年度、薬物処遇研究会を開催いたしまして、新しい法律に対応するための薬物処遇プログラムを開発してまいりました。その中で、ことし十月から一部そのプログラムを実施してみよう、こういうようなテストに入ることになっているわけでございます。したがって、その結果を見ながら新しい法案の実施に踏み切っていくということでございますけれども、多少猶予期間が実際の実施までにありますから、その中でテストをやってみて、さらに改善をしていく、こういうことが当面のスケジュールとして予定をいたしているところでございます。

○大口委員 これは非常に大事なことでございますので、今回の薬物関係についてこのプログラムは大変重要なことでございますので、その都度、やはりある程度、こういうことでやっていますということを報告というか公表といいますか、それはしっかりやっていただきたいと思います。大臣、どうですか。

○滝国務大臣 できるだけ各方面からの意見も求めていかなければいけませんので、適当なときにあるいはそれを公表して、さらに改善をしていくということのきっかけになり得ればという感じはいたしております。

○大口委員 次に、保護観察終了後あるいは出所後の薬物依存者の治療、社会復帰の支援についてお伺いしたいと思っております。
保護観察中あるいは矯正施設収容中の充実した指導等が規制薬物等に対する依存から離脱させ、再度の薬物乱用を阻止するということで極めて重要であるわけですが、やはり保護観察も矯正施設への収容もいずれも期限があるわけでありまして、保護観察が終了したり矯正施設を出るということになった場合、薬物依存からの離脱や薬物の再乱用防止のためには、保護観察中あるいは矯正施設収容中の充実した指導はもちろんのこと、その指導と連携した形で保護観察終了後や矯正施設からの出所後、出院後における治療や社会復帰への支援が不可欠であると思います。
この点について、私ども、ダルクの皆さんと懇談したことがあるんですが、ダルク等の民間団体あるいは国立精神・神経医療研究センター等の幾つかの機関が薬物依存からの離脱支援活動また薬物依存の治療に尽力され、大変力を入れてやっておられるわけであります。保護観察終了者や矯正施設からの出所者、出院者に対する治療、社会復帰支援について、これまでの民間団体、医療、保健、福祉の関係機関において支援活動や治療の充実、これらの団体、諸機関との連携や関係省庁間の連携の強化が重要だと考えます。
現状、今後の取り組みについて、法務省と厚労省からお伺いしたいと思います。

○滝国務大臣 これからの問題として、地域における支援、こういうことを意識した勉強もしていかなければいけない、こんなことで、今委員が仰せのとおり、薬物地域支援研究会を立ち上げて、そこで地域支援の立場からのガイドライン、こういうものをつくっていこう、こういうような試みを今やっておりまして、ことし、既に六月にその全体会議を開き、秋以降、さらに回数を重ねていきたい、こういうふうに考えているわけでございます。
当然、その中には専門家として各研究所のスタッフの参加も求めておりますけれども、今御指摘になりましたダルクが各地域で活動していらっしゃいますので、そのダルクの代表者も加わっていただいて、具体的なガイドラインを作成する、今こういう段階に入ってきているということでございます。

○西村副大臣 今回の法改正によりまして、これまでの刑務所に入所中の回復プログラムに加えて、保護観察中の人に対する医療の提供及び社会復帰に向けた取り組みが行われることになっているというふうに認識しております。
一方、こうした法務省関係の施策に加えまして、出所後及び保護観察終了後の薬物依存症については、地域の医療機関での支援、また社会復帰を支えるための支援機関による対応、こういったことが必要になるわけでありまして、厚生労働省として取り組んでいく必要があると考えています。
厚生労働省では、これまで、地域における薬物依存症対策として、地域依存症対策推進モデル事業を実施し、また、民間、これは委員も言及されましたダルクでありますけれども、そういったところで行っております薬物依存症回復施設の職員に対する研修などを行ってまいりました。
しかしながら、薬物依存症者に対する医療については、効果的な治療法が確立されていないこと、また、患者の背景もさまざまであり、画一的な治療が難しいこと、薬物依存症を専門に診る医療機関が残念ながら少ないこと、こういったさまざまな問題があると思います。
このため、厚生労働省としては、今回の法改正も一つの契機といたしまして、当事者や有識者などから構成する検討の場をことしの秋を目途に立ち上げるべく準備を進めておりまして、地域における医療や社会復帰支援のために必要な施策についてさらに検討を行っていきたいと考えています。

○大口委員 よろしくお願いしたいと思います。
今回の改正で大きな柱として、社会貢献活動、これがあるわけですね。この社会貢献活動の中身は、公共の場所での清掃活動それから落書き消し、福祉施設における介護補助の活動、公園の緑化活動の三類型があって、おおむね五回程度、一回当たり二時間から五時間程度を想定している、こういうふうに聞いているわけですね。
八月三日の当委員会で、橘秀徳委員が質問をされて、そこで、新たな取り組みとして、違法なポスターの撤去や使用済み切手の整理などが答弁で紹介されたわけであります。更生につなげていくためには、やはり継続性が必要だと思います。それから、他者からの感謝の念に触れられるような、こういう活動が好ましいというふうに思います。
そういう点で、外国でどういう事例があるのか、あるいは日本でのこの社会貢献活動が広く受け入れられるためにどうすればいいのかとか、いろいろなことを調査したり検討しなきゃいけないわけでございます。
そういう点で、一定の期間が経過して、ある程度の事例が積み重なって、社会貢献活動の効果を検証したり、改善更生に資するように運営を図っていく必要があるわけですが、私はやはり、大臣、この社会貢献活動というのは極めて重要なものと認識しておりまして、こういうものに、まあ、あり方検討会というのはいっぱいできていますよ、法務省に。ですから、この社会貢献活動におけるあり方検討会、こういうものを持って、法務省の役人だけじゃなく、やはり外部の有識者も集めて、いかに充実した社会貢献活動を実現していくかということについての検討会を設置すべきである、こういうふうに提案したいと思いますが、いかがでございましょうか。

○滝国務大臣 社会貢献活動については、昨年来、一部、テストとして保護観察対象者の了解を得て行ってまいりました。したがって、そういう実績を見てということもございます。また、その際にいろいろなボランティアの人たちにも手伝ってもらっているはずでございますから、そういう中で、やはり、実際に実施するのは保護観察官だけでは無理でございますから、いろいろな応援を民間のいわばボランティアという格好で応援をいただく。そのためには、幅広く民間で持っている知識を活用していく意味では、今御指摘のような、御提案のような格好での、何がしかの、いわば審議機関といいますか、意見を聞く組織というものは必要だろうというふうに受けとめさせていただきました。

○大口委員 もう既にこの社会貢献活動については先行してやっておられて、だんだんいろいろな事例も積み重なってきているわけですね。
だから、大臣、そういうあり方検討会について、いつごろ設置されますか。今前向きの答弁だったので、さらに、いつごろかということをお伺いしたいと思います。

○滝国務大臣 まだ省内で具体的に決めているわけじゃありませんけれども、今の御指摘も踏まえて、実績がとにかく出てきているところでございますから、そういうことも含めて、あり方検討会という御提案については受けとめていきたいと思います。

○大口委員 再発防止の問題につきましては、あと、累犯障害者の問題ということで、長崎方式ということで、いろいろ対応もされているわけでございます。
本当に刑務所が一番安心する場であるというような、非常に悲しい現実もあるわけでございまして、そういう点では、これは法務省と厚労省がしっかり連携をして、そういうことのないようにしていかなきゃならない、このように思っております。この件は通告しておりませんけれども、大臣、どうお考えでございますか。

○滝国務大臣 とにかく、刑事施設に収容されている人たちについて、いわば社会福祉的な要素を相当入れていく、あるいは職業の確保もやっていく。これは、いわば、平成十七、八年ぐらいから、ようやく厚生労働省との協力関係が敷かれてきた問題でございます。
したがって、今回のこの新法も、当然、厚生労働省の関係の皆さん方との、いわば知識を導入していかなければいけない問題。そういう意味では、新しいいろいろな試みをしていかなければいけない、そういうふうに認識をいたしております。

○大口委員 時間が来ましたので、これで終わります。ありがとうございました。

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