大口よしのりの政策・実績

大口よしのり国会質問

大口よしのり国会質問

2013年3月4日

183-衆-議院運営委員会-11号 平成25年03月04日

○大口委員 公明党の大口善徳でございます。
黒田東彦候補にお伺いをさせていただきたいと思います。
我が党は、日銀総裁につきましては、実務的な能力、これは金融政策を適切に遂行するということ、それから、独立性のある日銀の組織運営をしっかりマネジメントすることができるということ、それから二番目に、やはり市場との対話能力、あるいは海外に対する発信力、また海外のさまざまなマフィアとの対話能力、交渉能力、そういうことが大事だろう、こう思っております。そういう点で黒田候補は非常に適切であるな、こういうふうに考えております。
また、日銀は、国内経済に対しても精通していなければなりません。国内経済のメカニズムについていかに精通しているか。中小企業等も、地域の経済ということで、非常に大事でございます。
こういうことにつきまして、要するに、日銀総裁としての求められる能力について、なかなか御自分のことは言いづらいわけでありますけれども、お話をいただけたらと思います。

○黒田参考人 委員御指摘のとおり、なかなか自分のことを申し上げるのも難しいわけですが、私の経験を申し上げることはできると思います。
私、財務省に三十年強勤めましたが、さまざまな経験をさせていただいて、その中で、おっしゃるように、政策決定過程に関与させていただいたわけで、それは非常に有意義だったと思います。
何よりも、決まった政策を実施していく、実行していくということが重要でございまして、その点で、組織のマネジメントというのは非常に重要だと思います。
私、過去八年間、アジア開発銀行の総裁を務めてきたわけでございますが、アジア開発銀行は、三千人ぐらいの職員がおりまして、加盟国は六十七ございますが、そのうち四十八が域内、アジアの加盟国でありまして、四十カ国近くで支援を行っております。
それぞれの社会情勢、経済情勢、まことに違いが大きくて大変ですけれども、そういう中で三千人のスタッフがどうすれば一番その開発支援を効率的にやれるかという意味で、マネジメントの必要性というものが非常に大きいわけで、それを何とか務めてこれたというふうに思っております。
また、市場との対話、あるいは海外への発信というのはまさに重要でして、これは財務省での経験もございますし、またアジア開発銀行での経験もございますので、そういったことで職責を果たせるのではないかというふうに思っております。
なお、最後に指摘されました中小企業あるいは地域経済というのは、実は非常に重要です。日本経済の枢要な経済活動は確かに東京、大阪、名古屋を中心に行われていますが、日本は全体としてかなり人口も経済活動も散らばっていまして、中小企業の役割は非常に高いわけですね。
ですから、地域経済、中小企業の状況というのを十分把握して金融政策も進めていかなければならないというふうに思っております。

○大口委員 次に、政府と日銀の関係についてお伺いしたいんです。
日銀の独立性、これは日銀法に書かれているわけでありますけれども、私どもも、大事にしなきゃいけない、こう思っております。
かつて、前川春雄氏が、奴雁を担えるかという、奴雁という言葉を書いたわけであります、やはり警鐘を発するということも大事であろうと。
しかし、また、政府との連携ということをしっかり密にしていかなきゃいけない。
経済対策については、日銀はやはり責任を持つわけでございます。そういう点で、アベノミクスといいますか、三本の矢、大胆な金融緩和、それから機動的な財政出動、民間資金を活用した成長戦略、この政策についてどう評価をするかということについて認識を聞いておく必要があると思います。
それから、十五年間、異常な事態のデフレから脱却ができなかったということであります。これは、これまでの日銀のあり方ということに対して批判をされているわけですね。
二〇〇六年三月の量的緩和の政策の解除、こういうことは非常に問題があった、私どもはこういうふうに思います。物価の見通しについて誤っていた、こう思っているわけです。
こういうことについても、日銀の独立性ということで警鐘を鳴らすつもりであったんでしょうけれども、やはり経済全体を見ていなかったのではないかな、政府との連携が、政府の方はまだ緩やかなデフレ状態だと言っていたわけですから、そういう点では少し踏み外したのではないかな、こう思っています。
こういうことについてお伺いしたいと思います。

○黒田参考人 御指摘のように、現在の日本銀行法が定められましたときにも、日本銀行法の中に、政府との緊密な連絡、協調をするようにということが書いてあるわけですね。その意味で、必ずしも十分な連絡、連携、協調が行われていなかったのではないかという反省をすべきであるというふうに思っております。
十五年間のデフレが続いている、これから脱却するということは中央銀行の責務だと思いますし、その過程で、日本銀行の政策として、今から見直してみて、やや疑問があったという点が幾つかあろうと思いますし、二〇〇六年の決定も、今から見ると明らかに間違っていたと。
さらに言えば、二〇〇〇年に量的緩和を一旦やめるわけですね。その際は、政府はそれについて議決延期を請求したんですけれども、政策委員会で否決されまして、結局、量的緩和が、量的緩和というかゼロ金利が一旦とまるということで、これも明らかに、当時、政府ははっきりと反対をしたわけですけれども、そういうことで行われてしまった。今から見ると、やはり間違っていたと。
ですから、中央銀行は、一方で、常にマーケットの状況を見、経済の実態を把握して、前向きに、先行きを見通しながら、警鐘を出すべきときは出すということは必要ですけれども、しかし、足元の経済がよくないというか、むしろデフレが続いている中で金融緩和をとめるというのは、明らかに間違っていたというふうに思います。

○大口委員 それで、二%の物価目標、これを一日も早く達成する、こう言われています。今、アベノミクスは、要するに、こういうことをやりますと。
そして、緊急経済対策、補正も、皆さんの御協力で成立をいたしました。これからどんどん執行に入っていきます。
金融政策は、この一月、共同声明が出されましたけれども、しかし、それを具体的にどうするかということは、総裁になられたら、まさしく黒田さんが責任を持ってやっていかなきゃいけません。
そういう点では、絶対二%を達成するんだ、そういう強い意思の表明、デフレから必ず脱却するんだ、こういう強い思いがなきゃならない。
コミットメントが大事だということで、以前にも、これは本当に職を賭す覚悟でやる必要があるんだ、覚悟を示すことが大事だ、それが一番欠けている、こういうお話でございました。
ですから、デフレから必ず脱却する、それで二%目標を必ず達成する、そしてそれは日銀の責任で必ずやる、いろいろな影響はありますけれども、物価安定の目標を達成する最大の責任は日銀にあるということを明確にしていただきたい。これが一点です。
それから、そのために具体的な手法、これをしっかりやらなきゃいけないですね。
今どうなっているかといいますと、二〇一三年までに大体百一兆円の基金。今は六十七兆円ぐらいですね。百一兆円まで二〇一三年までにやる。二〇一四年以降、毎月十三兆円、そして二兆円程度は長期の国債ということで、二〇一四年の末には百十一兆円まで、それを期限なくずっと続けていく。こういうことが今政策決定会合で決まっているわけですね。
しかし、それでは足りない、こういうふうにおっしゃっているわけですから、どこのところをどうやるのかという方向性を示していただきたい。具体的な方法があるんだということでありますので、そこを示していただきたい。
この二点、お願いします。

○黒田参考人 物価安定の責務が中央銀行にあるというのは、まさにそのとおりでありますし、日本銀行自体、一月に二%の物価安定目標というものを政府と協議して決めて、そして政策委員会で決定したわけでございますので、当然、物価安定の責任をより明確にされたというふうに思っております。
最近公表された消費者物価の状況を見ますと、ことしの一月でも、対前年同月比で、全国で、総合でまだ〇・三%マイナスになっていますし、生鮮食料品を除く総合でも〇・二%マイナスになっているということで、デフレが依然として続いているわけです。これを是正してデフレから脱却し二%の物価安定目標を達成するというためには、既に決めた金融緩和では不十分であるというふうに思います。
したがって、今御指摘になったような政策が決められて発表されているわけですけれども、さらなる緩和が必要である。
その場合に、どういう手法でやるかということになりますと、当然、量的に拡大する、資産の買い入れを拡大するというだけでなくて、対象も、国債であればより長期のもの、それから、既に社債とかETFとかも買っていますけれども、そういったものも幅広く検討していく必要がある。
委員御指摘のような、残高が、今年末に百一兆円、来年末に百十一兆円、そして二〇一五年以降、百十一兆円といったレベルで推移するという程度の緩和では、明らかに不十分だと思います。したがって、量的にも質的にもさらなる緩和策が必要である。
ただ、具体的に、何をどのようにやるかということは、市場の状況、経済の動向を踏まえて、政策委員会で決めるということになると思います。

○大口委員 物価の安定目標を達成するということの中で、耐久消費財といいますか、例えば価格競争の激しい薄型のテレビ、これは三二・八%になる。東京区部の二月の消費者物価指数ですね。東京区部では、二月は〇・六%下落しているんですね。ですから、こういうことをどうしていくのか。
それから、やはり、給与がふえないと消費に火がつかないわけです。そしてまた、企業も、もうけなければ設備投資に行かないわけであります。そういう点で、労働分配率も上げなきゃいけない。また、成長戦略もしっかりやらなきゃいけない。そして、国や民間の投資というものをふやしていかなきゃいけない。財政出動あるいは成長戦略、こういうことを総合していかなければ、なかなかデフレ脱却というのは厳しいのではないかなと思うんですね。
その中で、日銀の金融政策でどこまでできるんだと、ここまではできると、それができなかったために、これまで幾ら政府がいろいろやっても効果が上がらなかったんだと、そこを、日銀が変わる、金融政策が変わるということでいえば、わかりやすく、そのあたりがこういうふうに変わるのだということをお伺いしたいと思います。

○黒田参考人 政府はいろいろな政策を過去十五年間講じてきたと思いますが、残念ながら、日本銀行の金融政策が必ずしも十分でなかったということもありましてデフレから脱却できなかったわけでして、デフレからの脱却の責任、物価安定の責任は、中央銀行、日本銀行にあるというふうに思います。
ただ、何度も申し上げていますように、物価安定を通じて経済の持続的な成長、発展に寄与するということが中央銀行としての責務でございますけれども、やはり、経済がバランスよく成長しないと持続的な成長というのはなかなか達成できないわけでして、その観点から、政府が機動的な財政運営と民間投資を中心にした成長が可能になるような成長戦略というものをあわせて実行されるということは、大変好ましいことであるというふうに思います。
そういうことと相まって、よりスムーズな形で物価安定目標が達成されることを期待しているわけですが、ただ、物価安定の責務が日本銀行にあることは間違いございませんので、その責務は必ず果たしていかなければならないというふうに思っております。

○大口委員 これから、具体的な手法の中で、五年、十年の長期国債を買う。これを余り買い過ぎると、今度は財政赤字の穴埋めというような形になって、これは日本売りという可能性も出てくる。そこら辺はどういうふうに考えておられるのか。
それから、介入目的でない外債の購入、こういうことについては検討されているのか。
それから、今のペースは、二〇一三年までに百一兆円、二〇一四年以降は百十一兆円ということなんですが、これをもっと前倒しでやっていくことになるのか。そこら辺をお願いしたいと思います。

○黒田参考人 長期国債につきましては、たしか一年から三年というものを買いオペの対象にしていると思いますが、長期国債は十年あるいはもっと長いものもあるわけでして、一年から三年ということに限る必要はない、もっと長いものも買うことを検討してよいと思います。
先ほど申し上げましたように、短期のものに集中してやっていますと、そのマーケットがどんどん薄くなってしまいますので、よりバランスのとれた形で、長期金利に対する影響も考えますと、やはり、より長期の国債を買っていくということを検討するべきだと思います。ただ、これは市場の状況をよく把握しながらやっていくということだと思います。
為替につきましては、日本銀行の目的、使命、目標というのは物価の安定でございますので、為替について何かするということはあり得ないわけですが、為替安定ではない形で何か外国為替を買うことができるかどうかということについては、いろいろな議論があるところです。
いずれにせよ、国際的に為替レートというのは基本的に市場で決まる形で行うべきだと、経済のファンダメンタルから非常に離れているときには単独であるいは協調で政府が介入するということはありますけれども、そういう合意のもとでG7等が過去数十年にわたって為替政策の国際的な調整をやってきていますので、そういうことは十分考慮していかなければならないというふうに思っております。
なお、御指摘の前倒しの点については、当然、検討することになると思います。

○佐田委員長 大口善徳君、時間になりました。

○大口委員 はい。
ありがとうございます。以上で終わります。

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