大口よしのりの政策・実績

大口よしのり国会質問

大口よしのり国会質問

2013年3月22日

183-衆-法務委員会-4号 平成25年03月22日

○大口委員 公明党の大口善徳でございます。
谷垣法務大臣には、本当に野党時代からいろいろと御指導いただきまして、また、弁護士資格を持っておられる法務大臣として大いに活躍をしていただきたい、こう思っております。
今回の裁判所職員定員法の一部改正法案、これについても私は賛成をさせていただきます。
そして、その中で、私ども公明党が昨年七月に成年後見制度利用促進法案を策定して、自民党にも提示をしているところでございます。
認知症高齢者の数が平成二十七年に三百四十五万人に達すると推計されています。知的障害者の十八歳以上の方が約四十一万人、精神障害者は二十歳以上の方が約三百五万人あると推計されているわけです。そういう点で、今、成年後見制度等の申し立て件数が三万、そして累計で二十六万、成年後見制度自体、十三万六千人程度の累計だということでありますけれども、ますますこれはふえてくると思います。また、成年後見制度をもっともっと利用していただかなきゃいけない。
そういう点で、成年後見制度利用促進法というものを私ども提案させていただいておりまして、内閣府に成年後見制度利用促進会議を設置する、利用促進委員会という有識者のものをつくる、基本計画を国、地方にも策定をしていただく、そして、基本的理念のもとに、権利制限に関する制度の見直しですとか、いろいろと、成年後見制度を利用するに当たって、もっと環境整備をしなきゃいけない、これはプログラム法でありますけれども、こういうことを提案させていただいているところでございます。
そういう中で、今回の法案でございますけれども、最高裁の資料によりますと、平成二十四年の家庭裁判所の成年後見関係事件が速報値で十三万二千七百七十件ということで、平成十三年に比べて九倍ふえているということでございます。そういう点で、やはりしっかりと成年後見事件の増加に見合った人的体制の整備を行っていくべきではないかと思います。
そして、昨年は、書記官が非常に大事なわけでございますけれども、八十名増員されました。今回は四十八名の増であるということでございます。
そういうことで、最高裁にお伺いしますけれども、こういう成年後見制度の急増等でどういう体制を、また、書記官について四十八名の増でいいのか、お伺いしたいと思います。

○戸倉最高裁判所長官代理者 お答えいたします。
裁判所では、成年後見人等による適切な後見事務を確保いたしまして、不正の早期発見あるいは被害拡大の防止を図ることを目的として、裁判所におけます後見事務の監督を大幅に強化しておるところでございます。
今委員御指摘のように、昨年増員いただきました書記官につきましても、この書記官というのは、特に、申し立て段階では手続の教示をする、あるいは各段階で後見人からいろいろな報告書が提出されますが、この第一次的な審査を行ったり、さらには裁判官の指示を受けて関係人との調整を行う、こういった事務を担当しております。
こういった事務を実効的に行わせるため、このたびの増員につきましては、現有勢力もあわせまして、相当程度の人数をそういった受付部門あるいは一次的な審査を担当する部門に重点配置をしたところでございます。
今回、書記官の増員数は、昨年に比べまして若干少な目となっておりますけれども、こういった点につきましては、引き続き、増員分だけではなくて、現有勢力の配置の見直しといったことも含めまして、今事件が急増しておるところでございますので、これに的確に対応できるような体制を整備してまいりたいというふうに考えておるところでございます。

○大口委員 先週、三月の十四日、東京地方裁判所で、成年被後見人に対する選挙権を付与しないとした公職選挙法十一条一項一号は、国民に保障された選挙権に対するやむを得ない制限であると言うことはできず、憲法十五条一項及び三項、四十三条一項並びに四十四条ただし書きに違反すると言うべきである、こういう判決を下したわけでございます。
この判決は、主権者である、また障害者であるその選挙権を正当に保障する極めて妥当な内容であると私は評価しております。
私も、立法府の一員として、こういうことを放置していたことに対するおわびをまずこの場でしなければならないな、そういう点でもこれは早急に対応しなければならない、こう考えておるところでございます。
この判決につきまして、法務大臣、御所感をいただければと思います。

○谷垣国務大臣 この判決でございますが、私は国のこの訴訟の担当者ということでもございます。
それで、従来どういう主張をやっていたかということになりますと、一つは、選挙権の行使に最低限必要な判断能力を有しない者に選挙権を付与しないという立法目的には一定の合理性があるだろう。そして、成年被後見人とは、家庭裁判所の審判によって、事理を弁識する能力を欠く常況、常にそういう状況であるとされた者であって、選挙権の欠格事由として成年後見制度を借用することにも一定の合理性があり、公職選挙法の規定が憲法に違反するとまでは言えない。これが訴訟の場での国の主張でございました。
今回、東京地裁は、選挙権を行使するに足る能力を具備していないと考えられる者に選挙権を付与しないとすることは、立法目的として合理性を欠くものとは言えないとした上で、しかし、成年被後見人から選挙権を一律に剥奪する規定を設けることは、やむを得ないとして許容する範囲を超えているということで、今回の結論を出したわけです。
したがって、今までの国の法廷における主張からすると極めて厳しい判断を裁判所が示されたということになります。
それで、控訴の期限、三月の二十八日、もうわずかでございますから、政府部内でもきちっと結論を出さなければいけません。
しかし、これは、主として、選挙制度の基礎を判断するのに成年後見制度の規定を、借用というとちょっと言葉が悪いかもしれませんが、借用するのが妥当かどうか、選挙制度の方の判断が主たるものになるであろうと考えております。
そういった観点から、私も、関係閣僚、関係省庁とよく協議をして結論を出したい、このように思っております。

○大口委員 そういうことでございますけれども、成年後見制度というのは、財産の管理、処分をする判断能力があるかどうかということを審査して、そして、平成十一年の民法改正で、自己決定権の尊重、あるいは残存能力を活用してできるだけ通常の生活ができるようにというノーマライゼーションの精神で成年後見制度というのはできたわけであります。
そういうことからいいますと、私は、成年後見制度というものを借用して、成年被後見人から一律に選挙権を剥奪するというのは、選挙権というものが、議会制民主主義の根幹の極めて大事な選挙でありますし、また、障害者の方も高齢者の方も、さまざまな方が投票権を行使することによって、この社会をノーマライゼーション社会にしていくことは非常に大事なことであるということからいきますと、これは過度な制限である、このように思っているところでございます。
そこで、成年後見制度は財産を管理、処分することができるかどうかの判断だ、しかし、選挙権を認めるかどうかというのは、事理弁別能力、要するに、選挙権を行使することができる能力ということで、違うわけですよね。それを成年後見制度を借用して選挙権を剥奪するということが本当に合理的なのか。
また、成年被後見人と同様の状態にある方でも、この成年後見の制度を利用していないという方は選挙権を行使しているわけですね。実際、この原告の名児耶匠さんも、一九六二年生まれでございますけれども、二〇〇七年二月十七日に家裁の審判で後見開始となって、それで選挙はがきが来なくなった。それまでは欠かさず両親と一緒に選挙に行き、そして選挙公報を見ながら投票に行っていたということであります。
余りにも、成年後見制度を借用して一律選挙権を剥奪するというのは合理的でないんじゃないか。特に今、総務省さんは、不正、不公正あるいは不適正な投票が行われることがあり得る、こうおっしゃっているわけですけれども、本当にそういう根拠があるのか、お伺いしたいと思います。

○坂本副大臣 公職選挙法第十一条は、成年被後見人につきまして、選挙権及び被選挙権を有しないということになっております。
平成十一年の民法改正以前は、禁治産者につきましては、その要件が「心神喪失ノ常況ニ在ル者」であることから、行政上の行為をほとんど期待できないために、選挙権及び被選挙権を有しないこととされておりました。
平成十一年の民法改正により、禁治産者は成年被後見人と呼称が変わりました。その定義は「心神喪失ノ常況ニ在ル者」から「精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者」というふうに改められましたが、その対象者は一致するものであり、選挙時に個別に能力を審査することも困難であることから、従前の禁治産者同様、選挙権及び被選挙権を認めないこととされているところであります。
そして、今言われました、どういう不正が生じるかということにつきましては、御指摘の点につきましては、三月十四日の東京地裁判決におきまして、選挙権を行使するに足りる能力を有しない者に選挙権を与えると、第三者が特定の候補者に投票するような不正な働きかけを行ったり、白票や候補者名以外の氏名を記載した票を投じたりして、不公正、不適正な投票が行われることがあり得る旨が述べられているものと承知しております。
いずれにいたしましても、三月十四日に東京地裁におきまして違憲判決が出されたところでありますので、総務省といたしましては、今後の訴訟対応につきましては、国を当事者とします訴訟を代表いたします法務省と協議をしてまいりたいと思っております。

○大口委員 学説の方も、成年被後見人に選挙権を認めない公選法十一条一項一号は不当な人権制限であるとか、あるいは、成年被後見人たることの一事をもって、個別の投票能力を判断することもなく一律全面的に選挙権を奪ってしまう公選法規は、違憲とのそしりを免れないだろうと。これは、前者が奥平康弘東京大学名誉教授、それから後半が高見勝利上智大学教授もそうおっしゃっております。
それから、諸外国でも次々と、この成年後見制度と選挙権をめぐる関係につきましては、制限をしないように、オーストラリア、スウェーデン、カナダ、イギリス、オランダ、フランス等でやっておりますし、また、米国では、選挙制限については裁判所の審査というものをかませているわけですね。
そういうことで、私は、三月二十八日の控訴期限、これについては控訴を断念すべきである。そして、このほかにも京都ですとかさいたまですとかあるいは札幌地裁でもやっています。これは請求を認諾すべきである、こういうふうに思うわけでございます。
私の公明党の方にも、名児耶匠さん、清吉さん、佳子さんが来られました。お父さんは八十一歳、お母さんは八十歳ですね。一日も早く三人で一緒に選挙に行きたい、こうおっしゃっています。四十一万人の署名が全日本手をつなぐ育成会でも集められました。そういうことも考えて、ぜひとも控訴を断念していただきたい。
あるいは、三月十八日の政府・与党協議会で、井上幹事長と石破幹事長は、公選法の改正、これで一致しました。
この点について、もう一度坂本副大臣、さらには法務大臣にお伺いしたいと思います。

○坂本副大臣 いずれにいたしましても、先ほどの繰り返しになりますけれども、今回の判決につきましては、法務省と十分協議をした上で判断してまいりたいと思っております。

○谷垣国務大臣 今の坂本副大臣と同じ答弁になりますが、いろいろなことを考えていかなきゃいけないんだろうと思います。
一つには、ほかにもたくさん訴訟がございますから、下級審でそのまま確定させてしまっていいのかどうかというような配慮もあると思います。
しかし、今おっしゃったように、これが選挙権を付与するかどうかということの前提になっていいのかどうか、いろいろな観点から考えて判断をいたしたいと思います。

○大口委員 どうもありがとうございました。

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