大口よしのりの政策・実績

大口よしのり国会質問

大口よしのり国会質問

2013年4月4日

183-衆-憲法審査会-4号 平成25年04月04日

○大口委員 公明党の大口でございます。
憲法第五章内閣に関する諸論点について、公明党を代表して意見を申し上げたいと思います。
内閣総理大臣のリーダーシップの強化につきましては、近年、我が国の統治のあり方を課題として、内閣総理大臣のリーダーシップ強化が強く主張されています。行政権の主体を内閣総理大臣にすべきとか総理の専権事項をふやすべきといった意見や、後に触れる首相公選制の導入論も、総理の指導力強化という趣旨が基本にあると思われます。
しかしながら、現行憲法でも内閣総理大臣は内閣の首長とされ、国務大臣をみずから任命、罷免、議案の国会提出などについて、内閣を代表する地位を有しています。行政各部の指揮監督権については、これを内閣総理大臣単独の権限とすべきという意見もありますが、内閣法六条により、閣議で大枠としての基本方針を定めておけば、これに基づいて総理が臨機に指揮監督するということも、現行法上、可能となっています。
閣議にかけて決定した方針に基づくという要件は、総理の独断での権限行使に対する最低限の歯どめと考えられるため、総理の権限強化という趣旨からこの要件を削ってしまうことについては慎重であるべきと考えます。
総理のリーダーシップが発揮できないという指摘については、その原因が、制度的な問題、中でも立法で対応できない憲法上の問題に由来しているのか、あるいは、我が国の政治文化や、歴代の総理の政治手腕、個性に由来するものなのかなど、その背景を検証する必要があると考えています。
連立政権下での意思決定との関係でいいますと、近年、我が国では連立政権が続いているという事実を踏まえて考える必要があります。連立政権の運営においては、与党間の政策のすり合わせが不可欠であります。さらに、閣内においても、与党各党を代表する閣僚の全会一致により政策決定を行うという形の方が連立政権の実態になじむものと考えます。
首相公選制について述べます。
首相公選制につきましては、これを導入した場合、首相と国会の多数派との間で新たなねじれが生ずる可能性があり、政治的停滞や膠着状態を起こしかねないなどの指摘がされています。また、人気投票の弊害というものもあります。
衆議院憲法調査会がイスラエルの首相公選制を調査しましたが、政権安定のために導入した首相公選制が、かえって首相と議会の間のねじれを深刻化させてしまい、首相公選は三回実施されただけで失敗に終わり、二〇〇一年に廃止されています。このため、公明党では、議院内閣制を実効的に機能させれば内閣の政策決定能力を高めることができるという意見が大勢です。
さらに申し上げれば、国会による内閣のチェックを十分に機能させるという点でも、議会が政府に対して民主的統制を及ぼすという議院内閣制がすぐれていると考えています。
なお、道州制の導入と憲法改正はリンクしないというふうに考える方が多いと思います。
次に、国務大臣の任命のあり方についてです。
現在、国務大臣は、そのほとんどが国会議員の中から、衆参のバランスなどの事情も踏まえて選ばれていますが、特に参議院からの選任のあり方については、日本国憲法の議院内閣制の趣旨や二院制における衆参の役割分担についての考え方を踏まえて、どのような形が望ましいか検討すべきであると考えます。
その他、衆議院解散の決定権の所在や、内閣総理大臣が欠けたときの臨時代理など、現行憲法下での慣習や、立法により特例扱いが確立している点については、あえて憲法を改正する必要はないと考えます。
次に、国会の行政監視機能についてでございます。
国会の行政監視機能については、その位置づけの強化を図るため、憲法上、明文で位置づけるべきとの意見もありますが、現行憲法でも、内閣の国会に対する連帯責任や国政調査権の規定など、憲法全体の構造から導くことができると考えます。また、決算行政監視委員会等をしっかり充実させていくことが大事だと考えます。
また、行政監視機能についてのポイントとなるのが、議会多数派と政府が同一政党で構成される議院内閣制のもとで国会の行政監視機能を有効に機能させるために、少数会派による調査の機会をいかに確保するかという点が大事だ、こういうふうに思っております。
現行憲法六十二条では、行政監視の重要な手段である国政調査権が議院の権能とされていますが、これを議員個人の権能とすべきとの意見もあります。
もっとも、衆議院においては四十人以上の議員の要請に基づく予備的調査命令の制度が設けられているように、現行憲法の六十二条で国政調査権が議院の権能とされていることと少数会派の意向に基づく調査の重視という点の調整を図るため、必要な取り組みが現行行われています。この四十人以上ということについては、さらに検討を加える必要があると思います。
最後に、オンブズマンなどの行政監視のための専門機関を新たに憲法で置くかどうかという点でありますが、本来、行政監視の機能は議会そのものが果たすべき役割であることから、議会のチェック機能を強化することが本質である、新たに組織をつくることの優先度は必ずしも高くないというのが党内での多くの意見であると思います。
以上、公明党を代表して、第五章内閣の章に関する現時点での見解を、若干の私見を交えつつ申し上げました。
以上でございます。

大口よしのりについて
大口よしのりについて
活動記録
活動記録
政策・実績
政策・実績
リンク集
リンク集

▲このページの先頭へ