大口よしのりの政策・実績

大口よしのり国会質問

大口よしのり国会質問

2013年11月7日

185-衆-本会議-8号 平成25年11月07日

○大口善徳君 公明党の大口善徳でございます。
私は、公明党を代表して、ただいま議題となりました特定秘密の保護に関する法律案について質問いたします。(拍手)
まず、本法案の必要性についてお伺いします。
国及び国民の危機とは、国際情勢が複雑化する中、国の内外から、大量破壊兵器の拡散、国際テロ、サイバー攻撃等の安全保障に関する重要事項について、早期に正しい情報が手に入らないことです。重要な情報を迅速に入手し、矛盾する情報をきちんと分析できなければ、国と国民の安全を確保することはできません。
逆に、正しい情報に基づいて適時適切に政策判断することによって、紛争を未然に防止し、紛争の平和的解決を実現することが可能となります。
そして、国の内外から正しい情報を入手するためには、受け取った情報を秘密として保護することが不可欠です。情報を受け取る側の保護措置が不十分であれば、情報を提供する側が情報漏れを心配し、その結果、正しい情報を適時適切に入手できなくなるからでございます。その意味で、秘密の保護と情報の入手とは表裏一体の関係です。
また、本法案は、我が国の安全保障に関する重要な情報について、縦割り行政を克服すべく、初めて省庁横断的な情報提供ルールを法律で明確にした点で、大変意義のあるものと考えます。
本法案の必要性について、国民にわかりやすい説明を総理に伺います。
次に、本法案に対する最も強い懸念は、国民の知る権利や報道、取材の自由の侵害にならないかという点です。
公明党は、計十三回にわたるプロジェクトチームでの議論、審査を経て、本法案がこれらの権利や自由を侵害しないことを条文上明記すべきと政府に強く主張しました。その結果、本法案の第二十一条一項に、「国民の知る権利の保障に資する報道又は取材の自由に十分に配慮しなければならない」ことが規定され、司法も行政も捜査機関も、この規定を解釈の指針として適用、執行することになります。
さらに、漏えいの独立教唆等が処罰対象であるため、通常の取材行為も処罰されるとの懸念が強いことを踏まえ、「出版又は報道の業務に従事する者の取材行為については、専ら公益を図る目的を有し、かつ、法令違反又は著しく不当な方法によるものと認められない限りは、これを正当な業務による行為とするものとする」として、通常の取材行為は、刑法第三十五条で違法性を阻却され、犯罪とならないことが明確になりました。
これらの条文の意義について、総理にお伺いします。
関連して、二点お伺いします。
一点目は、取材行為に対する萎縮効果です。
本法案では、公務員に対し、根気強く執拗に特定秘密の情報提供を説得、要請しても犯罪となりませんが、一部には、通常の取材行為も、漏えいの独立教唆等の構成要件に該当し、捜査対象となるのではないかとの懸念があります。
そこで、たとえ公務員が漏えい罪の正犯として捜査の対象となっても、通常の取材行為が捜査の対象にならないことについて、総理の明確な答弁を求めます。
二点目に、本法案では、公務員等が特定秘密を漏えいした場合、十年以下または五年以下の懲役等が科されるため、公務員が処罰を恐れて情報提供を萎縮させるとの懸念があります。
公務員による情報隠しは、国民主権の観点から、許されません。他方、本法案で処罰されるのは、特定秘密として指定された情報、いわば、国民、国家の安全のため公にしてはならない情報の漏えいであります。
本法案による処罰と公務員の情報提供の萎縮との関係について、総理の見解を伺います。
次に、特定秘密の件数についてお伺いします。
現在、政府は、重要な情報を防衛秘密や特別管理秘密として指定、保護していますが、本法案により、さらに広い範囲が特定秘密として指定されるとの懸念があります。
そこで、現在の、防衛秘密と特別管理秘密の各件数、特定秘密の件数の見通しと、別表に掲げられている四類型の内訳の各件数の見通しについて、総理にお伺いいたします。
次に、特定秘密の指定について、行政による恣意的な指定を排除するための仕組みが必要です。
この点、公明党が主張した結果、第十八条第一項では、「政府は、特定秘密の指定及びその解除並びに適性評価の実施に関し、統一的な運用を図るための基準を定めるものとする」と規定されています。
そこで、統一基準の主な内容とは、特定秘密の指定、更新及び解除の各手続、指定の対象となる事項の細目、指定期間の基準、指定、更新、解除等の状況の公表等であることにつき、総理に確認の答弁を求めます。
さらに、同条第二項では、「政府は、前項の基準を定め、又はこれを変更しようとするときは、我が国の安全保障に関する情報の保護、行政機関等の保有する情報の公開、公文書等の管理等に関し優れた識見を有する者の意見を聴かなければならない」として、統一基準の作成、変更と、運用が基準に従っているかどうかの政府部内の監督に対する点検を行う有識者会議の設置を条文上明記しました。
この有識者会議は、統一基準の作成にかかわり、権威あるものにする必要があると考えます。また、誰が会議のメンバーになるかが非常に重要です。公明党の主張により、安全保障情報の保護の専門家に加え、情報公開や公文書管理の専門家がメンバーになることが条文上明確になりましたが、さらに、報道や法律の専門家もメンバーに加えるべきと考えます。
有識者会議の位置づけとメンバーの構成について、総理の所見をお伺いします。
加えて、この有識者会議は、専門的な第三者の目から行政をチェックする機関であり、その議論を国民に対し広く知らせるため、会議の透明性を確保することが必要と思われますが、その具体策につき、森担当大臣の所見をお伺いします。
また、半永久的な指定の更新を防ぐため、与党の主張により、法案の第四条三項では、指定の有効期間が通じて三十年を超える場合には、「情報を公にしないことが現に我が国及び国民の安全を確保するためにやむを得ないものであることについて、その理由を示して、内閣の承認を得なければならない」と規定しています。
この「やむを得ないもの」というのは、具体的には、どういう場合か。また、この承認の際には、政府がその理由を国民に対ししっかりと説明する責任があると思いますが、総理の見解をお伺いします。
次に、国会との関係についてお伺いします。
法案の第十条一項第一号イでは、行政機関の長が衆参各議院及び委員会等に特定秘密を提供する場合、各議院等に対して、秘密会の開催による非公開、政令など行政が定めた運用基準による知得者の範囲の限定や、秘密保護措置等の条件の充足を求めています。しかし、国会は、国権の最高機関として、みずからの自律権に基づき、国会法改正や各議院規則改正等により秘密保護措置等の運用基準を決定すべきとの意見がありますが、総理の見解をお伺いします。
また、国政調査権に関する規定である国会法第百四条三項では、国家の重大な利益に悪影響を及ぼす旨の声明を内閣が出すことで国会からの資料の提出等の要求を拒否できるとされていますが、本法案によって、これまで行政から国会に対して提供されてきた情報が提供されなくなってしまうことはないのか、総理にお伺いします。
さらに、国会の行政監視、国民の知る権利の観点からは、政府は特定秘密の指定、更新、解除等の状況につき定期的に国会に報告すべきと考えますが、総理の見解をお伺いします。
最後に、情報公開のさらなる体制整備についてお伺いします。
国の秘密の保護と同時に重要なのが、国民主権の観点からの国民への情報公開、そして、その前提となる公文書の管理です。公明党は、既に党内にプロジェクトチームを設け、議論を開始しています。
公文書管理に関しては、一八八五年の内閣制度創設以来作成されなかった閣議等の議事録を作成し、三十年の保存期間を経過後、国立公文書館に移し一般に提供することは、現在及び将来の国民にとって大変歴史的な意義があることです。
そのための公文書管理法改正案の提出を先般総理が約束されましたが、改正案提出の決意について、総理にお伺いします。
また、情報公開の一層の推進のためには、情報公開法の目的規定への国民の知る権利の追加、国の重大な利益を害する一定の場合を除き裁判所が当事者を立ち会わせずに対象文書について証拠調べを行ういわゆるインカメラ審理制度の創設等が重要であり、政府においても積極的に検討を進め、必要な改正を行うべきであると考えます。
情報公開制度の検討、改正について、総理の見解をお伺いします。
以上で質問を終わります。
ありがとうございました。(拍手)
〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 大口善徳議員にお答えをいたします。
特定秘密保護法案の必要性についてのお尋ねがありました。
情報漏えいに関する脅威が高まっている状況や、外国との情報共有は情報が各国において保全されることを前提に行われていることに鑑みると、御指摘のとおり、秘密保全に関する法制を整備することは喫緊の課題であります。
また、政府部内で情報共有が促進されるためにも、秘密保護に関する共通ルールの確立が必要であり、新たに設置される予定の国家安全保障会議の審議をより効果的に行うためにも、秘密保全に関する法制が整備されていることが重要であると認識しております。
本法案と取材の自由等との関係についてお尋ねがありました。
御指摘のとおり、秘密を保護する必要性とのバランスを考慮しつつ、国民の知る権利や、報道または取材の自由に十分に配慮することは、重要なことであると認識しております。
本法案では、国民の知る権利に資する報道または取材の自由に十分に配慮しなければならないこと、通常の取材行為は、正当業務行為として、本法案の処罰の対象とならないことを明記しており、これら規定により、取材の自由等に十分に配慮した本法案の運用が確保されるものと認識しております。
取材行為についてのお尋ねがありました。
報道機関による通常の取材行為は、処罰対象となるものではありません。このことは、過去の最高裁決定からも明らかとなっており、本法案では、通常の取材行為は、正当な業務行為として、本法案の処罰対象とならない旨を条文上も明確にしております。
本法案と公務員による情報提供との関係についてのお尋ねがありました。
政府がその活動を国民に説明する義務を全うすべきことは大変重要ですが、公務員が法律上の守秘義務を遵守することも、当然必要であります。
本法案では、特定秘密ごとに取り扱う職員の範囲が定められ、また、特定秘密が記録された文書にはその旨が表示されることから、取り扱う公務員にとって何が特定秘密であるかは明確です。また、それ以外の公務員は、そもそも、特定秘密を漏えいする罪の主体とはなりません。
このようなことから、特定秘密という制度を設けることが公務員の取材への対応に支障を及ぼすことはありません。
特定秘密の件数の見通し等についてお尋ねがありました。
平成二十四年末現在の特別管理秘密文書等の総数は約四十二万件、うち、防衛秘密文書等の件数は約三万七千件と承知しています。
本法案において特定秘密と指定される情報を記録する文書等の件数の見通し及び同法案の別表各号ごとの内訳については、現時点で確たることを申し上げることは困難でありますが、特定秘密は、特別管理秘密よりもさらに対象範囲を限定していることから、特定秘密の対象文書等の件数は、特別管理秘密よりも少なくなるのではないかと考えられます。
特定秘密の指定等に関する統一的な基準の内容についてお尋ねがありました。
政府が、特定秘密の指定等に関し、統一的な運用を図るために定める基準については、今後、有識者の意見を反映し、定めることになりますが、御指摘のとおり、特定秘密の指定、更新及び解除の各手続、指定の対象となる事項の細目、指定期間の基準、指定状況の公表等をその内容とするものとなると考えています。
有識者会議の位置づけとメンバーの構成についてのお尋ねがありました。
特定秘密の指定等の運用基準の策定に当たっては、有識者会議を開催し、各界の有識者の御意見を反映し、これを策定いたします。
その際、本法案に規定する専門家に加え、御指摘の、報道や法律の専門家の御意見をいただくことも必要であると考えており、有識者会議の構成員とすることを検討してまいります。
三十年を超えて特定秘密の指定を延長する際の要件等についてお尋ねがありました。
三十年を超えて指定を延長する具体例としては、例えば、指定を解除すれば相手国が対抗措置を講ずるおそれがある場合など、三十年を超えてもなお当該情報を特に秘匿することが必要である場合が考えられます。三十年を超えて指定の延長を行う際には、政府としての説明責任をしっかりと果たしてまいります。
特定秘密の提供と国会の関係についてのお尋ねがありました。
本法案では、公益上の必要により、特定秘密の提供を受ける者が漏えいを防止するために講じなければならない措置について、一般的かつ必要最小限のものを政令で定めることとしています。
国会において講じる保護措置の具体的なあり方については、国会の手続及び規律に関する事柄であり、今後、国会において御議論がなされるものと考えます。
本法案と国政調査権との関係等についてお尋ねがありました。
本法案には、一定の条件のもと、国会に特定秘密を提供することができる仕組みが盛り込まれており、本法案が実施されれば、国会の求めに応じ、特定秘密を提供することが可能となるものであります。これまで行政から国会に提供されてきた情報が提供されなくなってしまうのではないかとの御懸念は、当たりません。
特定秘密の指定件数等の本法案の実施状況については、定期的にこれを公表することを検討しております。
公文書管理法改正についてお尋ねがありました。
閣議の議事録を作成し一定期間経過後に公開するための公文書管理法改正法案については、先般参議院本会議において答弁したとおり、明治以来議事録を作成してこなかった我が国の閣議のあり方ともかかわる問題であるため、政府部内で必要な調整、検討を行った上で、提出することとしたいと考えています。
情報公開制度についてお尋ねがありました。
情報の公開は、行政が国民に対して説明する責務を果たすために重要なものであり、今後とも情報公開が適正かつ円滑に実施されるよう、必要な取り組みを進めてまいります。
残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
〔国務大臣森まさこ君登壇〕

○国務大臣(森まさこ君) 有識者会議の透明性を図るための具体策についてのお尋ねがありました。
特定秘密の指定は、有識者会議の意見を反映させた運用基準に基づいて行うこととしており、御指摘のとおり、運用基準について議論される有識者会議の透明性を確保することは、特定秘密の適正な指定を確保する上でも、重要なことであると認識しております。
具体的には、会議の議事要旨は会議終了後速やかに公開すること、会議における配付資料は原則として公開することといった方策を講じることを検討しております。(拍手)
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