(厚労、文科両省の調査から)緊急確認で虐待防止―一時保護、施設入所は170人―長期欠席1.2万人 情報共有
千葉県野田市で起きた小学4年女児の虐待死事件を受け、厚生労働、文部科学両省は2月から3月にかけて全国の児童相談所や学校などで緊急の安全確認を実施。3月28日に、虐待死の再発防止に向けた両省合同プロジェクトチーム(PT)の会合で結果を公表しました。主な結果と、同PT共同議長の大口善徳厚生労働副大臣、浮島智子文部科学副大臣のコメントを紹介します。
■保護者と分離
厚生労働省では、2月14日時点で各児相が在宅指導している子ども3万7806人に対し、3月8日まで面接などで直接確認を進めました。このうち、虐待のリスクが高いとして▽一時保護144人▽児童養護施設への入所など26人――の計170人を保護者と分離しました。
このほか、昨年に各市町村で行った未就園児や乳幼児健診未受診者らの安全確認の追跡調査も実施。昨年11月末時点で把握できなかった2936人のうち、3月1日時点で2513人の状況を確認し、虐待の恐れがある16人を市町村や児相の支援につなげました。
両調査で安否確認できていない子どもについては継続して確認を進め、4月11日までに報告を求めました。
■長期欠席
文部科学省では、2月1日から2週間続けて小中学校、高校などを欠席した18万7462人の緊急点検を3月8日まで行いました。学校の教職員らが面会し、虐待の恐れがあるとした2656人と、面会できず、虐待の恐れがないとは言い切れないとした9889人の計1万2545人は、児相や警察などと情報共有しました。
面会できなかったが、受験などの欠席理由により情報共有しなかった1万417人については、改めて4月19日までに面会状況などの報告を求める方針。
これとは別に各教育委員会を対象にした調査では、虐待の疑いがある子どもの保護者らによる不当な要求や罵倒が、昨年度に計44件あったことが分かりました。
緊急の安全確認を巡っては、2月7日の参議院予算委員会で公明党の質問に対し、安倍晋三総理が、「関係閣僚会議を開き、緊急的な子どもの安全確認などを協議する」と表明。翌8日の会議で実施が決まりました。
■両省PT共同議長 大口、浮島副大臣がコメント
“最後の一人”まで見逃さず安全確保―大口厚生労働副大臣
安全確認や追跡調査の実施が、支援を要する子どもの安全確保につながったと受け止めている。“最後の一人”まで見逃さず、さらに確認を進めていく。今後も子どものSOSをしっかり受け止めるため、定期的に状況確認を行い、適切に対応する。子育ての孤立防止にも取り組む。
関係機関と連携し隙間のない支援へ―浮島文部科学副大臣
緊急点検の結果、長期欠席を端緒に得られたリスク情報などが関係機関と共有され、必要な支援につなげられたと考えている。引き続き、学校などが関係機関と連携して隙間のない支援を行うなど、子どもたちの命を守るために全力を尽くしていく。
(公明新聞 2019年4月12日付より転載)