大口よしの活動記録

アクション 日々の活動から

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2020年8月14日

養育費 不払いなくせ―離婚で経済、時間に余裕なく―交渉は高いハードル―ひとり親世帯の貧困招く

養育費 不払いなくせ―離婚で経済、時間に余裕なく―交渉は高いハードル―ひとり親世帯の貧困招く

子どものための養育費を離婚相手から受け取れないために貧困に陥る、ひとり親世帯が少なくありません。こうした中、7月には公明党の主張で、問題解決に向けた第一歩として、政府の来年度予算編成の指針となる「経済財政運営と改革の基本方針」(骨太の方針)などに対策が明記されました。党不払い養育費問題対策プロジェクトチーム(PT、座長=大口善徳衆議院議員)が行っている支援団体などからの意見聴取を基に、不払い解消への課題を追いました。

「受けている」母子世帯で24%

養育費の現状
養育費を巡る現状について、厚生労働省「全国ひとり親世帯等調査結果」(2016年度)を見ると、母子世帯は123.2万世帯、父子世帯は18.7万世帯に上る(いずれも推計値)。

このうち、養育費の取り決めをしている割合は母子世帯で42.9%、父子世帯で20.8%にとどまります。「現在も養育費を受けている」と答えたのは母子世帯で24.3%、父子世帯で3.2%と極めて低いです。

子どもの生活の安定を経済的にサポートするための養育費は、親としての責任です。離婚の際に夫婦が協議で定めるべき事項の一つとして、民法には養育費が明示されています。だが現実は“逃げ得”と言われる不払いが横行。一般に父子世帯に比べて収入水準が低い母子世帯にとって、貧困の大きな要因となっています。

不払い解消には、①なぜ養育費の取り決めがされないか②どうすれば取り決めが守られるか――の2点からの解決が不可欠です。

厚生労働省調査によると、母子世帯の母が、養育費の取り決めをしていない理由として、最も多かったのが「相手と関わりたくない」(31.4%)。次いで「相手に支払う能力がないと思った」(20.8%)でした。

母子世帯を支援する認定NPO法人しんぐるまざあず・ふぉーらむの赤石千衣子理事長は、離婚に伴う生活の激変期に当たり、経済的にも時間的にも余裕がなく、養育費の取り決めまではハードルが高いと指摘。離婚全体の約9割を占める協議離婚について「実態はほとんど話し合いではなく、郵送による書面のやり取りではないか」と語ります。

また、新型コロナウイルスの感染拡大で緊急事態宣言が発令された4月には、養育費の取り決めがあるにもかかわらず、元夫から一方的に「支払いを止める」と告げられた母子世帯からの相談も、赤石理事長の元に寄せられたといいます。

こうした中で期待されるのが、低所得者向けの無料法律相談を行う法テラス(日本司法支援センター)です。

赤石理事長は、3月に実施した会員アンケートでもニーズが高かった法テラスに期待を寄せつつ、「家庭内の紛争などに詳しくない弁護士が対応することがある点は改善してもらいたい」と注文も付けます。

DV被害への配慮欠かせず
一方、養育費の確保に当たっては、DV(配偶者らによる暴力)被害への配慮も欠かせません。

支援団体のNPO法人全国女性シェルターネットの北仲千里共同代表は、被害者母子は夫から逃げ、連れ戻されないことを優先するため、相手との交渉が必要な養育費の受け取りを諦めることが多いといいます。

NPO法人女性ネットSaya―Sayaの松本和子代表理事も、養育費を取引材料に「居場所を教えろ」「子どもに会わせろ」などと被害者母子に迫ってくる事例に触れ、「面会交流を養育費の条件にしてはいけない」と厳しく指摘します。

公明訴え 法改正視野に論点整理

養育費の不払い問題について公明党は、6月に発足させたPTを中心に解決策を探ってきました。

政府の「すべての女性が輝く社会づくり本部」(本部長=安倍晋三総理)で7月に決定しました、女性支援策をまとめた「女性活躍加速のための重点方針2020」には、PTと連携する形で党女性の活躍推進本部(本部長=山本香苗参議院議員)が6月に申し入れた提言が反映。具体的には「動画やパンフレット等による効果的な周知・啓発」「法的支援・解決の在り方等について分析を行うため、地方自治体と連携したモデル事業の実施」などが盛り込まれました。

さらに、7月に閣議決定された骨太の方針には、「同重点方針に基づき、養育費確保の実効性向上策等を着実に実施」と明記されました。

現在、政府内では、法務省の検討会議などが法改正も視野に、養育費の支払い確保に向けた論点整理を実施。これに併せ、PTも精力的に議論を重ねています。

大口座長は、「養育費確保は子どもの権利という視点に立ち、未来を担う子どもたちを守るために全力を挙げていきたい」と語っています。



(公明新聞 2020年8月14日付より転載)

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