大口よしのりの政策・実績

大口よしのり国会質問

大口よしのり国会質問

2021年4月8日

204-衆-法務委員会-2号 令和03年03月10日

○大口委員 公明党の大口善徳でございます。

 上川大臣、第十四回国連犯罪防止刑事司法会議、京都コングレス、大臣のリーダーシップで、本当に国内外で注目を集めておられる。非常に成功裏に、この十二日までの会議でありますけれども、期待をしておるところでございます。

 また、所信におきまして、大臣は、多様性と包摂性のある、誰一人取り残さない社会の実現を目指すと、力強く決意を述べられました。

 無戸籍者の問題につきまして御質問いたします。

 無戸籍者は、自らに何らの落ち度がないにもかかわらず、社会生活上の様々な場面で著しい不利益を被り、過酷な状況に置かれております。無戸籍者問題は重大で深刻な人権侵害であって、一刻も早く解消しなければならないと考えています。

 無戸籍者問題については、本年二月九日、法制審議会民法(親子法制)部会が、これを解消する観点から、民法の嫡出推定制度の見直し等を内容とする民法(親子法制)等改正に関する中間試案を取りまとめました。中間試案については、二月二十五日から四月二十六日までパブリックコメントの手続が実施され、今後、パブリックコメントを踏まえた調査審議を行い、来年には法案を提出することを目指していると承知しております。

 我が党では、二〇〇七年に無戸籍問題等プロジェクトチームを立ち上げ、無戸籍者の救済に向けた様々な提案を行い、リードしてまいりました。

 二〇〇八年には、総務省が全市区町村に無戸籍者の住民票を作成する際の統一判断基準を通知し、民法の嫡出推定制度に関連して、戸籍がない場合であっても、嫡出否認等の手続を行っているときは、その子の住民票の記載をすることができることとなったこと。加えて、二〇一八年には、就籍許可手続等の場合にも拡大することとなりました。

 また、無戸籍者が利用することができる裁判手続として、妻が夫の子を妊娠する可能性がないことが客観的に明白な場合の嫡出推定が及ばない子が、夫を相手とせず、実父に対し申立てできる認知調停の案内が適切に行われるよう、裁判所のホームページの改定等を行うよう提言を行い、実施されました。

 さらに、新型コロナウイルス感染症対策として支給された一律十万円給付の特別定額給付金につきまして、住民登録されていない無戸籍者を除外せずに給付対象とするよう求める緊急要望、法務省、総務省が連携をしてほしいということで要望いたしまして、そしてこれは実施されました。

 これまでの法務省の取組についてお伺いします。

 上川法務大臣もこれまで無戸籍者問題の解消に向けて積極的に取り組まれており、その指揮下で法務省において、市区町村の窓口等から得られた情報により各法務局において無戸籍者の情報を把握し、把握した情報に基づき無戸籍者の母親等に寄り添った支援を行ってきたほか、これらに資するための関係機関との連携にも取り組んできたものと認識しております。

 無戸籍者の解消に向けた更なる取組としてどのようなことを行っていくのか、大臣にお伺いいたします。

○上川国務大臣 無戸籍者問題につきましては、大口先生、力強いリーダーシップを振るっていただきまして、様々な御提言をこの間いただきました。一つ一つがしっかりと実現できるように取り組んでまいったところでございます。

 無戸籍の方々の存在がこの日本の国であるということ自体、あってはならないというふうに思っておりまして、国民としての社会的な基盤、これが与えられていないということでありますし、また社会生活上の不利益を受けるということでありますので、これは人間の尊厳に関わる重大な問題であるというふうに強く認識しているところであります。

 法務省におきましては、無戸籍者の解消のために、平成二十七年の五月から、無戸籍者ゼロタスクフォース、これを設置いたしました。一人一人にしっかりと寄り添って、そして、戸籍の記載に必要な届出、また裁判上の手続が取られるようしっかりと支援をするという寄り添い型の取組の実施でございます。

 そして、昨年十二月におきましては、無戸籍者やその母親等の関係者に相談をしていただくということが極めて大事であるということで、ウェブコンテンツを充実するという観点から、法務省ホームページに「無戸籍でお困りの方へ」のページを、スマートフォンにおきましても見やすいものにリニューアルをさせていただきました。また、無戸籍解消までの流れがしっかりと分かるように、スライドショーというような形での掲載もしているところであります。また、具体的に七つの解消事例集ということを作成いたしまして、法務省の担当者のアドバイスとともにこれを掲載をしているところでございます。

 無戸籍者の解消、かつ、その解消までの期間ができるだけ短くなるように、新たにこうしたウェブコンテンツなどによりまして、難しいと皆さんから思われている裁判手続等の情報を分かりやすく提供させていただき、法テラス、弁護士会等、関係機関と更に連携を取りながら、無戸籍者ゼロを目指しまして、各種政策をフル稼働してまいりたいというふうに思っております。

○大口委員 無戸籍者問題の解消のためには、無戸籍者をめぐる現状や無戸籍に至った原因の分析が必要であると考えます。

 今回初めて法務省民事局より出していただいた資料、これは配付資料としてお示ししておるところでございます。

 法務省で把握している無戸籍者の数は、令和三年二月十日時点で八百八十一人、累計の無戸籍者の数は三千四百三十五人。現在の無戸籍者のうち六百四十人、約七三%が、無戸籍となった理由としては、夫ないし前夫の嫡出推定を避けるためであると回答しております。このうちDVがあるものが四十七名、まあ、全てを把握されているわけではないので、実際はもっと多いと思いますけれども、そういう数字が出ております。

 次に、この資料の、無戸籍者の母の婚姻の状況を見ますと、婚姻中に無戸籍者を出生し、現に婚姻が継続している、継続中であるものが百五人、約一二%、婚姻中に無戸籍者を出生し、現在婚姻が解消しているものが百人、約一一%になっています。

 無戸籍となる原因として、DVも重要な事情であると考えますので、このうちDVの被害を受けている人は何人なのかもお伺いしたい。また、これ以外に、法制審議会の部会ではどのような事実が調査審議の基礎資料となっているのかもお伺いしたいと思います。

○小出政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のDVの被害につきましては、あくまで当事者の申告により把握しているものでございますけれども、御指摘の、婚姻中に無戸籍者を出生し、現に婚姻が継続中であるもの、これは百五名中、DVの被害があるものは十六人でございます。それから、婚姻中に無戸籍者を出生し、現在は婚姻が解消しているものについて、これは百人中十六人がDVの被害があるということでございます。

 このほかにも、法務省では、嫡出推定制度の見直しの検討をする際の資料とするために、婚姻解消後三百日以内に子が生まれたケースについて、母の再婚との関係に関する調査を実施しております。

 まず、母の婚姻解消後三百日以内に生まれた子であって母の再婚後二百日以内に生まれた子につきましては、原則として母の前夫の子と推定されるわけですが、現在の戸籍実務では、裁判が確定した場合や離婚後に懐胎した子であることが医師により証明された場合については、母の再婚後の夫を父として届け出ることができることとされております。

 調査の結果、このような子のうち九六・六%の子については、判決の謄本等や懐胎時期に関する証明書を添付することによって、母の現夫、すなわち再婚後の夫を父とする届出がされていたことが明らかとなりました。

 また、法務省が把握している無戸籍者であって離婚後三百日以内に生まれた子のうち、母が離婚後三百日以内に再婚をし、その後に出生しているものの割合は約三五・八%、再婚後に生まれたか否かにかかわらず母が離婚後三百日以内に再婚しているものの割合は四六・八%であることが明らかになっております。

 こういった結果は法制審議会の民法部会にも報告されており、その調査審議の資料とさせていただいているところでございます。

○大口委員 今回の配付資料をまたしっかり分析しますとともに、法制審で出された基礎資料もしっかり分析して議論をしていかなきゃいけない、こう思っています。

 これらの調査結果から分かるように、無戸籍者問題を解消するためには、民法の嫡出推定制度の抜本的見直しが不可欠だと考えています。

 今回の中間試案は、嫡出推定規定について、婚姻解消等の日から三百日以内に生まれた子について前夫の子と推定するとの原則を維持しつつ、母が前夫以外の男性と再婚した後に出生したものは再婚後の夫の子と推定するとの例外を設けています。それとともに、未成年の子に嫡出否認を認め、夫ないし前夫に対する嫡出否認の訴えを提起することができるようにするものであり、無戸籍問題の解決に資するものと考えます。

 ただ、基礎資料で、例外規定に該当する子は三五・八%、また、DVがある場合には未成年の子が夫又は前夫に対する嫡出否認を行使することが困難な場合が相当数あると考えられます。無戸籍者問題を根本的に解消する観点からは、離婚前出産の救済や、離婚後三百日以内に生まれた子を前夫の子と推定するという現行法の規定を撤廃することが必要であるという、長年無戸籍者問題に取り組んできた現場の弁護士らの意見もあります。また、母にも固有の立場で、成年等に達した子にも嫡出否認を認める必要があるとの意見もありますが、これらの意見について中間試案でどのように考えているか、法務省にお伺いします。

○小出政府参考人 お答えいたします。

 中間試案におきましては、委員御指摘のとおり、嫡出推定の期間について、離婚後三百日以内に生まれた子は前夫の子と推定する規律を原則としては維持しつつ、母が再婚した後に生まれた子は再婚後の夫の子と推定するといった例外を設けること、また、嫡出否認の訴えの提訴権者を子に拡大するとともに、その提起期間を三年又は五年に伸長すること、また、女性の再婚禁止期間を撤廃することなどを内容とする見直し案を提案しているところでございます。

 こういった見直しが実現した場合には、離婚後三百日以内に生まれた子であっても、母が再婚した後に出生した子については再婚後の夫を父とする出生届を提出することができます。また、そのような事情がない子であっても、未成年の子に代わって母等が嫡出否認の訴えを提起することによって、前夫の嫡出推定を否認することが可能となるため、前夫以外の男性の子として届出をすることができる場面が広がるものと考えています。

 他方で、委員御指摘のとおり、こういった見直し案に対して更なる改正をといった意見があることも承知しております。事務当局といたしましても、委員の問題意識を踏まえつつ、これと併せて、子の身分関係の早期安定を図る必要性等の要請も考慮に入れながら、充実した調査審議が法制審議会において行われるよう努めてまいりたいと考えております。

○大口委員 しっかり広くパブコメで意見を、またいろいろヒアリングもして、議論をしていただきたい、こういうふうに思います。

 次に、養育費不払い問題についてお伺いします。

 子供たちの命や未来を守るために早急に解消しなければならない喫緊の課題であると考えます。我が国の子供の貧困率は一三・五%でありますが、中でも、大人が一人の世帯の子供は四八・一%であり、大人が二人以上の世帯の子供は一〇・七%と比べて、著しく高いわけであります。養育費について、直近の一人親世帯等の調査の結果では、母子世帯で、この養育費の取決め率が四二%、現在も受け取っている割合が二四%にとどまっており、早急に改善されなければなりません。

 我が党は、昨年六月、女性活躍加速のための重点方針二〇二〇の策定に向けての提言、そして養育費支払い確保のための相談支援体制の充実強化を提案し、政府方針に反映されました。また、私が座長を務める公明党不払い養育費問題対策プロジェクトチームは、昨年九月に、現行制度の運用によって対応することができる方策に関する緊急提言を、さらに昨年十二月には、上川法務大臣や厚労大臣宛ての養育費不払い問題の抜本的解決のための制度見直しに向けた提言を、それぞれ政府に申入れを行い、政府において、これをしっかりと受け止めて、スピード感を持った取組をお願いしてきたところでございます。

 我が党の九月のこの緊急提言では、養育費が確保されるような広報啓発の拡充のため、離婚時や別居時に夫婦間で決めておくべき事項や支援内容、関連諸手続について、分かりやすい動画解説をウェブ上で提供するなど、SNSによる情報提供や、離婚届の用紙に養育費に関する相談機関に関する情報を追加すること、養育費、婚姻費用の自動計算ツールを提供すること等を提案しております。この対応状況につきまして、法務大臣よりお伺いいたします。

○上川国務大臣 養育費の不払い解消の問題につきましては、子供の生活あるいは未来を守る観点から喫緊の課題であると認識しておりまして、御党のPTから、九月と十二月にわたりまして具体的な提案をいただいたところでございます。この広報啓発に関する御提言の内容につきましては、いずれも重要なものであるということで、積極的に取組を進めております。

 まず、養育費の重要性、また取決めの方法など、分かりやすく説明する動画を初めて制作をいたしまして、養育費バーチャルガイダンスとして法務省の動画サイトで近日中にアップする予定でございます。この動画におきましては、養育費に関するお悩みの場面ごとにQアンドAの形で分かりやすく説明するという内容になっておりまして、養育費の問題で悩んでいらっしゃる方々広くに御覧をいただき、また御参考としていただきたいというふうに考えております。

 また、離婚届用紙を通じた情報提供ということにつきましても御提言がございまして、離婚に関する参考情報の記載を充実する見直しにつきまして、今検討中、準備中でございます。

 また、養育費の自動計算ツールの提供につきましては、養育費の取決め促進という観点から、法務省の離婚に関するウェブサイトにおきまして情報提供する方向で積極的に検討してまいりたいというふうに思っております。

 養育に関する効果的な広報啓発を進めてまいりたいと思っておりまして、この問題の解決に自らがしっかりとキャパシティーを持って、そして臨んでいただくということに支援をしてまいりたいと思います。

○大口委員 よろしくお願いしたいと思います。

 本年二月十日、法務大臣から法制審議会に対し、父母の離婚後の子の養育に関する制度等の見直しについて諮問されました。大臣が所信でも述べられていますように、チルドレンファーストで、子供の視点に立った検討をお願いしたいと思いますが、そのためには実態に即した議論が必要であると考えます。

 その観点から、我が党九月の緊急提言では、協議離婚の実態や養育費の不払いの原因、それらが子に与える影響に関する実態調査の提案をし、十二月提言では、父母の別居中の婚姻費用に関する実態調査の実施も提案をいたしました。これらの提案について、対応状況を大臣よりお伺いします。

○上川国務大臣 御党から御提言をいただきました、養育費の不払いなど父母の離婚が子に与える影響に関する実態調査につきましては、私も極めて重要であるというふうに考えておりまして、担当部局に早急に実施するよう指示をいたしました。既にアンケート調査を実施しておりまして、近日中の公表に向けまして、結果を今分析している状況でございます。

 この調査につきましては、未成年の間に父母の離婚を経験した二十代及び三十代の男女、合計一千名を対象とするものでございます。父母の離婚後の子の養育に関しまして、子供の立場に立った皆様の声を直接聞くという意味で、法務省として初めての実態調査となります。

 この問題につきましては、これまで申し上げましたとおり、子供の視点に立って検討を進めるということの重要性の上にこうした調査をしているわけでありますが、子供がどのような状況に置かれているのか、その実態の把握につきましては、今後の政策立案の上で極めて重要であると考えております。

 また、同じく御党から御提言をいただきました協議離婚の実態調査につきましても、実際に協議離婚を経験した方を対象として、アンケート調査を近く実施する予定としております。現在、その内容につきましても準備中ということであります。

 この調査の中では、協議離婚後の実態調査だけではなく、それに先立つ父母の別居状態にも目を向けて、御指摘の婚姻費用の分担の有無等に関する調査も併せて行う予定としております。

○大口委員 次に、一人親にとって最も身近な相談窓口は地方自治体であるということを踏まえ、我が党九月緊急提言では、地方自治体におけるワンストップでの相談支援の充実強化の観点から、自治体内の戸籍担当部署と一人親支援担当部署などの部署間連携の強化等を求めてきたところであります。

 この点につきまして、法務省及び厚労省が立ち上げた養育費問題支援タスクフォースでは、昨年十二月、自治体における部署間連携の在り方等について検討した成果を取りまとめ、今年二月には全国的に通知をしたと聞いております。

 また、我が党九月緊急提言では、新たな自治体の法的支援の在り方として、ITツールを活用した離婚、別居問題に関する相談支援、弁護士、司法書士による裁判手続の申立て書等の作成支援等について調査分析するための自治体モデル事業を提案しています。

 タスクフォースにおいてどのような自治体連携の方向性が示されたのか、また、モデル事業ではどのような法的支援について検討がなされるのか、民事局長にお伺いします。

○小出政府参考人 お答えいたします。

 養育費の不払い解消のために運用改善等により速やかに取り組むべき課題につきましては、先ほど来話が出ております御党の養育費PTからの緊急提言、昨年九月にいただいております。この緊急提言に盛り込まれていた自治体内の部署間連携の強化につきましては、これも委員から御指摘ございましたが、法務省と厚生労働省の担当審議官等をメンバーとする養育費支援タスクフォースで検討を進めまして、その成果として、両省から本年二月五日付で、戸籍担当部署と一人親支援担当部署の更なる連携強化の推進を求める事務連絡を発出したところでございます。

 この中では、自治体内の戸籍担当部署と一人親支援担当部署の連携の在り方の一例といたしまして、戸籍担当部署の職員が離婚届の書類を取りに来た方に対しまして一人親支援担当部署への誘導を行うといった具体的な方策を示すなどしておりまして、これを活用した自治体の取組が進むことを期待しているところでございます。

 また、同じく緊急提言に盛り込まれておりました自治体モデル事業の実施につきましては、地方自治体と連携してモデル事業を実施し、その成果等について調査研究を行う委託業務を行う予定にしておりまして、その予算が令和三年度予算政府案に法務省経費として初めて盛り込まれたところでございます。このモデル事業を通じまして、委員の御提案にあるように、養育費の取決めや紛争解決のための法的支援の在り方などに関しまして幅広く調査、分析を進めていきたいと考えております。

 御党の御提言を踏まえまして、法務省として、運用上の改善に向けた取組についてもスピード感を持って対応しているところでございます。今後とも、厚生労働省を始めとする関係省庁と連携しながら、必要な取組をしっかりと進めてまいりたいと考えております。

○大口委員 次に、養育費を確保するためには、家庭裁判所の手続の利便性を格段に向上させることが重要であります。

 我が党の九月緊急提言、十二月提言では、家事事件手続のリモート化、IT化の検討を進めるよう提言をし、これを受けて、現在、法務省、最高裁、日弁連、法曹三者連絡協議会の家事ワーキンググループを設置をしていただきました。この家事事件手続のリモート化等について今検討していただいておるということであります。

 利用者には様々な方がおられます。養育費の請求の相手方と離れた地に住んでおられる方やDVの被害を受けている一人親の方は、期日に出頭することは物理的、心理的に困難であります。そのような利用者の裁判所の出頭の負担を軽減するため、テレビ会議を一層活用するとともに、更に一歩進めて、ウェブ会議を利用するなどして当事者が裁判所に行かなくても済むようにするべきであります。

 ウィズコロナ、ポストコロナの観点を踏まえると、更なるIT化を含め、これらの取組を一層進めていく必要があると考えますが、法務大臣の所見をお伺いします。

○上川国務大臣 家事事件の手続の利便性向上をさせるため、利用者の出頭の負担、これを軽減するということは極めて重要であると認識しているところであります。

 実務的な課題につきましては、今委員が御指摘いただきました、現在、民事司法の在り方に関する法曹三者連絡協議会家事ワーキンググループにおきまして、手続のリモート化、具体的には、現在も行われているテレビ会議の更なる利活用等を課題として検討を進めておるところであります。本年度末までに取りまとめの予定としているところであります。

 さらに、本年四月以降は、令和三年度中に新たにウェブ会議の導入を目指しまして、最高裁、日本弁護士連合会とともに、実務的な観点からの検討を積極的に進める所存でございます。

 家事事件手続のIT化につきましては、成長戦略フォローアップにおきまして本年度中にスケジュールを検討することとされておりまして、現在、今後のスケジュールについても詰めの検討を行っているところでございます。積極的に検討を進めてまいりたいと考えております。

○大口委員 また、現在、法制審の仲裁法部会において、国際調停活性化の観点から、裁判外の調停、ADRによる和解合意に執行力を付与し得る制度の創設について議論されています。三月五日、中間試案が取りまとめられたことは承知しております。

 国際的な性質を有する調停に限定するとの意見や、家事紛争については執行力を付与し得る対象から除外すべきであるとの意見もあるようでありますが、国内、国外で差をつけることは理論上の整合性の問題があります。そしてまた、我が国のADRまたODRの推進のためには、そのような限定を設けることなく、国内の事案に広く執行力を付与し得るような制度設計にすべきであると思います。

 特に、養育費の履行確保の観点からは、例えば認証ADR機関でなされた和解合意であれば、家事紛争であっても執行力を付与すべきであると考えますが、法務大臣の見解をお伺いします。

○上川国務大臣 本年三月五日でありますが、法制審議会仲裁法制部会におきまして、仲裁法等の改正に関する中間試案が取りまとめられたものと承知をしております。

 部会におきましての議論におきまして、執行力を付与し得る調停による和解合意の対象につきまして、国際性を有するものに限定をするという考え方、また、そのような限定をすることなく、国内の事案も含まれるとする考え方が示されておりまして、中間試案におきましては両論が盛り込まれているものと承知をしております。

 また、家事紛争に関する和解合意にも執行力を付与し得る制度にすべきであるという委員の問題意識につきましても、この部会におきまして引き続き検討がなされるものというふうに考えております。

 中間試案につきましては、今後、パブリックコメントの手続をする予定でございまして、この結果も踏まえまして、部会におきまして、委員御指摘の点も含めて、引き続き充実した調査審議が行われるものと期待しております。

○大口委員 そして、また養育費に戻りますけれども、二月十日の諮問を受けて、法制審議会では、今後、父母の離婚に伴う子の養育の在り方等に関する家族法制についての検討が進められていて、制度面の課題について検討を行っている。

 我が党十二月の提言において、まず、制度の基本理念として、民法で、養育費は子供の非監護親に対する重要な請求権であって、子供の福祉のため特に優先されるものであることを明示すべきである、民事実体法上の優先的な地位を認めるべきであるという提案をしました。また、養育費の取決めの確保について、取決めを協議離婚の要件とするのではなく、DV、虐待被害その他様々な事情で離婚が望ましい場合でも速やかに協議離婚をできなくなる弊害のおそれがあることに十分配慮した上で、離婚時の子供のことを夫婦で考える時間を持てるよう、親ガイダンスなど、離婚時の養育費取決めを促進するための方策を実施することを提案しています。

 これらの提案は、これまでの法務省の担当者も参加してきた家族法研究会でも議論され、今後更に検討が進んでいくものと理解しておりますが、この二点の課題について、その重要性、方向性についてどのように認識しているか、民事局長より伺いたいと思います。

○小出政府参考人 お答えいたします。

 昨年十二月に御提言いただいた事項でございますけれども、まず、養育費を子が有する重要な権利として明示することにつきましては、委員から御指摘いただきました家族法研究会におきまして、親の未成熟子に対する扶養義務の法的概念の整理として議論がされたところでございまして、その取りまとめの報告書では、これが通常の親族間の扶養義務よりも重いものであることを明示する方向で更に検討を進めることが提案されております。

 また、この報告書では、協議離婚時の養育費に関する取決めを支援する方策として、協議離婚をする父母を対象に公的機関において養育ガイダンスを実施することや、その受講を確保するための方策について更に検討を進めることが提案されています。

 父母の協議離婚時に子の養育に関する事項の取決めを促進、確保する方策としては、協議離婚の要件とする考え方も選択肢として挙げられてはいますが、現行の協議離婚制度における簡易な手続はDV被害者が早期に離婚するための役割を果たしているといった指摘があることも踏まえた上で検討を進める必要があることも指摘されているところでございます。

 この家族法研究会の報告書、この取りまとめでございますが、今後、法制審議会で調査審議が行われるに当たって検討の素材になるものでございます。事務当局を務める法務省民事局としても、法制審議会において充実した調査審議がスピード感を持って行われるよう努めてまいりたいと考えております。

○大口委員 養育費問題は、子供の貧困の問題でありますし、本当に命にも関わる問題であります。法制審においてスピード感を持って検討をされますようお願い申し上げまして、私の質問を終了させていただきます。

 今日はありがとうございました。

大口よしのりについて
大口よしのりについて
活動記録
活動記録
政策・実績
政策・実績
リンク集
リンク集

▲このページの先頭へ