大口よしのりの政策・実績

大口よしのり国会質問

大口よしのり国会質問

2021年5月24日

204-衆-災害対策特別委員会-5号 令和03年04月15日

○大口委員 公明党の大口でございます。

 東日本大震災から十年、また、熊本地震から、四月十四日と十六日でございますが、五年の節目を迎えました。そうした大きな節目の本年、近年の台風災害等の教訓等を踏まえ、災害対策基本法等の改正案が今国会に提出された意義は大きいと考えます。

 昨年、我が党は、全国ネットワークを駆使して、近年の台風や地震災害の被災地の関連する都道府県本部に対し防災対策に関する聞き取り調査を実施し、主な被災地に赴きました。また、未曽有のコロナ禍は、我が国の災害対応の在り方を大きく変えています。我が党は、前後して、避難所の総点検や分散避難の取組など、コロナ禍を踏まえた防災対策についても各地で調査を実施いたしました。さらには、今後の我が国の防災、減災の在り方等について、有識者のヒアリングも行い、党内でも議論を重ねてきました。

 それらを踏まえて様々な論点や課題を整理、集約し、昨年七月には、党として、新たな防災、減災に関する提言を取りまとめ、政府に申入れを行いました。本法律案は、そうした我が党の要請の内容も盛り込んだものと承知しております。国民の命と暮らしを守るため、次のまた出水期も考えますと、本法律案が速やかに成立することを望んでおります。

 本法律案につきまして、最初に、この改正案の意義とともに、災害列島の我が国だからこその、世界一災害に強い防災大国日本の構築に向けた今後の防災・減災対策の取組について、小此木大臣の決意をお伺いします。

○小此木国務大臣 ありがとうございます。

 大口委員には、かつてから、国会対応も含め、様々なお仕事をさせていただきました。また、今テーマになっておりますこの防災対応につきましても、現在、気候の変動による災害のよく激甚化、頻発化と我々は口にするわけですけれども、そういった対応でもいろいろな御指導をいただいておることを心から感謝をいたします。

 今回のその中でのこの改正案でありますけれども、令和元年東日本台風等の教訓を踏まえ、災害時における逃げ遅れが生じないよう、避難勧告、避難指示の一本化、個別避難計画の作成など、円滑かつ迅速な避難の確保を図るとともに、災害が発生するおそれ段階での国の災害対策本部の設置を可能とするなど、災害対策の実施体制の強化を図るものであります。

 国民の命を守るための法案というのは言うまでもない話でありますけれども、国会審議を通じこの成立をいただければ、梅雨までに施行できるよう、しっかりと準備を行ってまいりたいと思います。

 また、昨年十二月には、防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策、これを閣議決定いたしまして、流域治水対策やインフラの老朽化対策などに重点的かつ集中的に取り組むことといたしました。様々な災害の被害を軽減するため、省庁の縦割りを排し、ハード、ソフト両面から事前防災に取り組んでまいります。

 私の着任の後も、この冬の大雪ですとか二月の福島県沖を震源とする地震などの災害が発生しており、災害時、またアドバイスも頂戴いたしました。災害はいつ起こるか分からない状況がますます増えておりますけれども、引き続き、災害から得られた教訓を踏まえ、防災・減災対策の不断の見直しを行いながら、あらゆる手を尽くして、我が国の防災力、これを高めてまいりたいと存じます。

○大口委員 大臣の対応に期待をしております。よろしくお願いいたします。

 本法律案では避難指示、勧告を一本化しますが、次の出水期が始まる六月までに国民一般にこれが周知されるには余りにも時間がタイトであり、迅速な周知の取組が不可欠です。国民への周知に向けて、メディア等にも協力をお願いしなければならないと思いますけれども、関係機関との調整状況を含め、どのように周知を進めるのか、伺います。

○青柳政府参考人 お答えいたします。

 新たな避難情報につきましては、御指摘のとおり、令和三年の梅雨どきから市町村によって円滑に運用されるとともに、住民にその内容が理解されるよう周知徹底することが極めて重要でございます。

 このため、国会審議の状況、国会の法案の成立も踏まえなければいけないところでございますけれども、早い段階から都道府県、市町村の防災担当者向けには説明会を開始をしておりまして、広報誌の作成、新たな避難情報を用いた避難訓練など、周知の準備を開始していただくということ、それから、テレビ、インターネット等のメディアにおいて新たな避難情報について解説する特集を組んでいただけるよう、依頼は既に始めているところでございます。

 改正法案が成立、公布をした後からは、新たな避難情報に関するポスターなど、指定公共機関や市町村等とも連携しながら、様々な施設や店舗等に掲示することを予定しておりまして、梅雨どきからの運用開始に向けて、しっかりと周知、普及、啓発を図ってまいりたいと考えております。

○大口委員 どうか徹底のほど、よろしくお願いしたいと思います。

 次に、個別避難計画について伺います。

 個別避難計画とは、災害時に自力で避難することが難しい高齢者や障害者の方々を誰がどこにどのように避難させるかを明確にし、確実に避難させるための実行計画を平時からしっかり備えるもので、高齢者等の逃げ遅れなどの課題を克服するため、極めて重要な計画であります。

 ところが、この個別避難計画の作成はなかなか進まないのが現状であり、先般、三月三十日の消防庁の最新の発表では、昨年十月一日現在、全ての避難行動要支援者について個別避難計画が作成済みの市町村は全国で約一〇%ということでございます。

 個別避難計画の作成が進まない理由としては、これまでは、法的根拠がないことや予算、人材、ノウハウの不足などの課題があることが指摘されており、そうした意味でも、今回、同計画の作成が市町村長の努力義務として法律に明記される意義は大きいと考えます。

 個別避難計画の作成の参考となる事項については、避難行動要支援者の避難行動支援に関する取組指針に記載されており、内閣府は本法律案の成立後にこの指針を改定する予定と聞いていますが、改定に当たっては、各市町村の取組が加速するよう十分に配慮していただきたいと思います。

 他方、近年、各地では、災害・避難カードやマイ・タイムラインなど、住民が自らの避難行動を事前に決めておく取組も進んでいます。こうした取組が個別避難計画と相互に連携し、より効果的な避難計画を作ることも今後重要になると考えますが、見解を伺います。

○青柳政府参考人 お答えいたします。

 これまで、御指摘の取組指針によりまして、市町村における要支援者の避難行動支援のための名簿の作成、任意の個別避難計画の作成を促してきたところでございますけれども、法律が成立した暁には、今回の改正を踏まえて作成に努めることと努力義務がかかります個別避難計画について、一層分かりやすく、具体的な作成手順等も盛り込んだ形で取組指針を改定して、市町村における取組を加速させるべく取り組んでまいりたいと考えております。

 また、内閣府としては、これまでも、地区防災計画の推進など、住民同士の共助による地域住民の避難促進に向けた取組も推進してきたところでございまして、マイ・タイムラインあるいは災害・避難カードといった優良な事例の周知にも努めてきたところでございます。

 委員御指摘のとおり、こういった住民同士の共助による避難促進の取組内容と個別避難計画の内容が整合をして、避難時に連動して実効性ある避難が行われることが大切でございますので、こういった取組が促進されるよう、十分周知啓発に努めてまいりたいと考えております。

○大口委員 地域でも、地道に、それこそ自治会の方と高齢者の方が一緒になって避難路を歩かれて、非常に現場に即したことをやっておられますので、しっかり連携をしていただきたいと思います。

 個別避難計画は災害時に実際に機能することが重要ですが、作成が進んでいない自治体では、いきなり精度の高いものを作ることは難しいかもしれません。このため、一つのやり方として、例えば、現場の実情に応じて、まずは骨格的な内容に絞ったものを作ることから始めて、段階的にブラッシュアップして実効性の高い計画を目指すことがあってもよいと思います。

 また、実効性の高い計画とし、災害時に円滑かつ迅速に避難支援を行うためには、計画を作成した上で訓練を実施することが重要なので、各自治体における避難訓練の実施等についても支援をお願いしたいと思います。

 さらには、各地の先進優良事例の全国展開も重要です。内閣府は、避難行動要支援者の避難行動支援に関する取組事例集を作成しているほか、令和三年度予算では個別避難計画作りのモデル事業を行っていくとのことですが、先進優良事例やモデル事業については、国からの情報発信に加えて、自治体同士での情報共有や交流の場づくりなど、国としても積極的に行うべきではないかと考えますが、大臣の見解をお伺いします。

○小此木国務大臣 委員がおっしゃいましたように、避難計画、個別の避難計画の作成が進んでいないという自治体もあることから、まずは、特に必要な記載内容、避難支援の実施者ですとか避難場所そのもの、こういったものに絞って作成することから始めて、更新の機会等を活用して記載内容の充実を図るという方法もある、こういうふうに考えています。

 また、個別避難計画に基づいた避難訓練を実施することによって、計画作成の段階では分からなかった課題が明らかになってくるということもございます。それに加えて、計画内容の改善、避難の実効性の向上につながるということを考えており、今後改定する取組指針等を通じて避難訓練の実施を促してまいりたい、こういうふうに思っています。

 さらに、今おっしゃいましたこの先進事例を横展開していく観点から、令和三年度予算において個別避難計画作成のモデル事業を実施することとしておりまして、効果的、効率的なモデルを創出して全国の自治体に展開していくということに加えて、自治体間においてモデル事業の取組状況を共有する場やお互いに相談できる意見交換の場を設ける予定でもおります。こうした取組を通じて個別避難計画の作成を促してまいります。

○大口委員 自治体同士での情報交換と交流の場づくり、非常に大事でございますので、またよろしくお願いしたいと思います。

 次に、各市町村に対する財政支援として、個別避難計画の作成経費について、令和三年度より新たに地方交付税措置を講ずることとなったとのことでございます。

 今回の交付税措置については、三月十八日の本委員会において我が党の岡本委員の質疑に対する答弁でも御説明いただきましたが、全国で作成する対象人数や作成期間、一人当たりの作成費用はどのくらいを想定しているのか、改めてお伺いします。

○青柳政府参考人 お答えいたします。

 個別避難計画の作成に当たりましては、介護が必要な高齢者等であってハザードマップ上で危険な地域にお住まいの方といった、まずは優先度の高い避難行動要支援者について取り組んでいただきたいと考えております。

 内閣府としては、現時点で優先度の高い避難行動要支援者は約二百五十万人と推計しておりまして、この方々に係る個別避難計画の作成経費、先行事例等を踏まえますと、一人当たり七千円程度、全体では百八十億円程度要すると考えております。こういった優先度の高い方について、市町村の皆様方におおむね五年程度で作成に取り組んでいただきたいと考えておりまして、年平均では三十六億円程度、初年度の令和三年度はその半分の十八億円程度を要すると見込んでおります。

 これらを踏まえて、令和三年度において、市町村における個別避難計画の作成経費について新たに地方交付税措置を講じることとされているところでございます。

○大口委員 次に、デジタル防災と今後の個別避難計画についてお伺いします。

 今後はデジタル防災の取組も重要になります。例えば、災害時に自分がどこにいても、GPSを活用して、スマートフォンのAI技術によってその地点からの避難誘導や救助依頼の発信などを可能とする技術も進みつつあります。将来的には、個別避難計画にもこうしたAI等のデジタルの技術を積極的に取り入れて、更に効果的な避難対策を進めていくことも考えられます。

 政府では、昨年末より、デジタル・防災技術ワーキンググループを設置して議論を進めているとのことでありますが、個別避難計画に係るデジタル防災の取組を含めて、現状と今後の取組について大臣にお伺いをいたします。

○小此木国務大臣 御指摘にありましたように、デジタル技術を積極的に活用して、災害時に住民一人一人に対してきめ細やかに避難先への誘導を行うことなど、効果的な避難対策を行うことは重要であると考えています。

 そこで、デジタル化への対応として、今般の災害対策基本法の改正に併せて、マイナンバー法の改正も行うこととしております。

 例えば、現在は、市町村の個別避難計画の担当職員は要支援者の介護度の変更の有無を福祉担当職員に問い合わせる、こういう必要がありますけれども、マイナンバー法の改正後は、個別避難計画の担当職員はマイナンバーを活用することが可能となり、要支援者の現況を迅速に確認できるようになります。これにより、個別避難計画の作成、更新に係る市町村業務の効率化、事務負担の軽減、こういったものに資するとともに、避難行動要支援者本人にとっても現在の状況に即した避難支援等を受けることが可能になる、こういうふうに考えています。

 また、昨年十二月から有識者から成るデジタル・防災技術ワーキンググループを設置して、事前防災や、あるいは人命救助の場面等における防災のデジタル化の推進に向けた課題の整理、施策の検討、これを進めており、本年五月をめどに提言を取りまとめることとしています。

 引き続き、自治体や関係省庁と連携しながら、効果的な避難対策の促進等に向けて防災のデジタル化を推進してまいりたいと存じます。

○大口委員 大臣のリーダーシップで大いに促進をお願いをしたい、こういうふうに思っております。

 次に、今日は厚生労働省より山本博司副大臣に来ていただきましたが、よろしくお願いいたします。

 人の命を守るこの個別避難計画の作成については、各地の実情に応じて、様々な創意工夫を促しながら進めていくことが大事であります、重要であります。これまで、個別避難計画の作成の先進地域である大分県別府市や兵庫県では、介護支援専門員、ケアマネジャーや相談支援専門員等の福祉専門職の参画が大きな効果をもたらしており、市町村の中でも、福祉部局と防災部局の綿密な連携が重要になります。また、個別避難計画の作成に取り組むことが、災害時だけではなく、平時においても地域福祉の強化や孤立防止につながることが期待されます。

 そうした観点も含めて、今回の個別避難計画の作成の推進に当たっては厚生労働省がしっかり後押しをしていただきたい、こう思います。この市町村における福祉部局と防災部局の連携ということが非常に大事でありますので、この点、山本副大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

○山本副大臣 委員御指摘のとおり、介護支援専門員また相談支援専門員は、避難行動要支援者のうち介護保険サービス等の利用者について、日頃からケアプラン等の作成を通じて避難行動要支援者本人の状況等をよく把握しており、信頼関係も期待できることから、この個別避難計画作成の業務に福祉専門職の参画を得ることは極めて重要であると認識している次第でございます。

 このため、令和三年三月に、厚生労働省より自治体の福祉部局や関係団体宛てに、消防防災主管部局や保健医療などの関係部局との連携の下で、この個別避難計画の取組の検討及び実施準備に協力をいただけるよう依頼したところでございます。

 また、令和三年度より、個別避難計画の作成に係る福祉専門職の参画に関する報酬等の経費につきましては、先ほどお話ございましたように、新たに地方交付税措置が講じられておりまして、一件当たり七千円程度、想定している形でございますけれども、講じられている次第でございます。

 また、平時においてもしっかり対応するという意味では、令和三年度介護、障害福祉サービス等の報酬改定におきまして、ケアマネ事業所等に対しまして、一定の経過措置期間を設けて災害等に対する業務継続計画の策定等を義務づけるとともに、基本報酬の引上げを実施しております。例えば、ケアマネの報酬では一・八%引上げ、また障害福祉サービスでは最大四・一%引上げ、これは他のサービスよりも厚く評価している次第でございます。

 今後とも、災害対策基本法を所管する内閣府を始め関係省庁と連携しながら、福祉専門職の参画が確保されるように、関係団体に協力を求める等によりしっかりと対応してまいります。

○大口委員 山本副大臣、答弁ありがとうございます。しっかりお願いします。

 退席をしていただいて結構でございますので。

 次に、広域避難対策の強化についてお伺いします。

 大規模広域避難については、特に、首都圏、中部圏、近畿圏に広がるゼロメートル地帯等の低平地の避難対策が喫緊の課題でございます。我が党は、党の東京都本部とも連携をして議論を進めており、昨年七月の申入れでは、大規模広域避難対策を円滑に行う仕組みづくりを要請しました。

 それを踏まえて、本法律案では、災害が発生するおそれの段階で、つまり、発災前で空振りとなってしまうことも覚悟で、国民の命を守るため、国が災害対策本部を設置することができるようにすることや、市町村長が住民を広域避難させる場合の協議の手続などの新たな規定を盛り込んでいます。

 この法改正を踏まえて、国民に対して広域避難についての理解の促進や周知、普及を進め、今後は、住民を巻き込んだ避難訓練など、地域の実情に応じた対策を進めるべきだと考えます。さらには、新しいスキームがあるので、国と地方が平時からしっかり連携し、足並みをそろえて適切に広域避難を実施することができるようにしなければなりません。広域避難が円滑に行われるようにするために、今後どのような取組を行っていくのか、伺います。

 また、広域避難だけではなく、自らの地方公共団体内での垂直避難や公共施設や民間の大型商業施設への避難など、現実に対応可能な複数の避難パターンを組み合わせることで地域における総合的な避難対策を行うことが重要でございます。

 これについて、政府は、東京都等と連携し、首都圏における大規模水害広域避難検討会で議論を進めているとも承知しておりますが、これまでの検討状況や今後のスケジュール等についてもお伺いしたいと思います。これは大臣にお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。

○小此木国務大臣 広域避難についてですが、やはり避難、これは広域になればなるほどより地域をまたがるということになるわけでありますから、日頃からの関係の構築、こういったものが重要になろうと思います。顔の見える、言ってみれば信頼関係をいかに築き上げるかということも重要なことだと思っておりますので、国の関係機関、地方、地域が連携をして具体的な対応を検討しておくということが、これは言うまでもないことでございます。

 このため、内閣府では、法改正に併せて、全国での広域避難の取組を促進するため、広域避難の検討手順等の基本的な考え方について整理を行って、地方公共団体に周知していく予定であります。

 また、広域避難の実効性を確保するためには、住民に対しての周知啓発や訓練等を進めていくことも重要であることから、内閣府において、広域避難に関する解説資料や事例集の作成等を行って、各地域の取組が促進されるよう支援してまいります。

 加えて、荒川下流域のような大規模水害が想定される地域では、他の自治体への広域避難だけでなくて、自らの自治体内で立ち退き避難や垂直避難などの避難行動を適切に行う必要があります。具体的な避難先としては、親戚、知人宅、ホテル、旅館、国や都が所有する公共施設、民間の商業施設などの活用を図ることが重要であると考えます。

 こうした観点から、内閣府と東京都が共同で首都圏における大規模水害広域避難検討会を開催しており、今年二月には、荒川下流域を中心とした地域において、災害時に想定される自宅の浸水状況等に応じて、自宅からの立ち退き避難、自宅にとどまり安全確保など避難行動別に分類をして、それぞれの避難者数を試算したところであります。今年の梅雨期までに、これも、成立をさせていただいた後に、避難行動別の分類を踏まえた避難先、避難手段の確保の方策や、住民への周知啓発手法等について基本的な考えをまとめる予定としております。

 引き続き、都や関係自治体、交通事業者等の関係機関と連携して、多様な避難先の確保に向けた具体的な検討を行うなど、広域避難の円滑な実施に向けた取組を進めてまいります。

○大口委員 本法律案では、災害が発生するおそれがある場合、発災前に国の災害対策本部が設置された場合に災害救助法を適用することを可能としています。これは、避難所の開設、運営に係る市町村の費用負担の軽減につながるものと、画期的で、高く評価したいと思います。

 一方で、広域避難が必要となる場合には、具体的にどのような費用が国庫負担の対象になるのか。例えば、自力で避難が難しい高齢者や障害者のためのバス等の借り上げ費用や避難施設の借り上げ経費なども対象となるのか、市町村への財政支援の対象範囲や上限などについて伺います。また、国庫負担の対象となる事例など、ガイドライン等で分かりやすく示す必要があるのではないでしょうか。大臣にお伺いします。

○小此木国務大臣 今回の改正により、大規模な災害が発生するおそれがある段階において国が災害対策本部を設置した場合に、災害救助法の適用が可能となります。これにより、例えば、事前に広域避難する際などに必要となる避難所の供与、高齢者や障害者等で避難行動が困難な要配慮者の輸送のためのバスの借り上げ、こういったものの費用について国庫負担の対象となります。

 これらの救助の基準については、内閣府の告示においてあらかじめ規定することになりますけれども、個々の状況等を踏まえた柔軟な対応が可能となっており、内閣府としても、都道府県等から協議を受けた際には適切に対応してまいりたいと存じます。

 また、今回の改正による災害のおそれ段階における救助の対象範囲等の自治体への周知については、内閣府告示において規定するとともに、災害救助事務取扱要領、これにおいて、運用上の留意点、これらを分かりやすく示し、加えて、都道府県等の担当者に向けた全国会議において説明するなど、自治体とも連携して、円滑な事前避難の実現につながるよう周知に努めてまいりたいと存じます。

○大口委員 最後に、災害救助法の運用についてお伺いします。

 本年二月に発生した福島沖を震源とする地震では、福島、宮城を中心に大きな被害が発生し、福島県では八市九町に災害救助法が適用されました。

 これに対して、宮城県では、その後、三月に発生した宮城県沖を震源とする地震による被害を含めて一万棟以上の住家被害が発生したにもかかわらず、災害救助法が適用されていないため、被害の大きかった宮城県の山元町の町長、私、お伺いしたときに、災害救助法の適用を受けた福島県新地町は隣接する町なんですが、そこと山元町の被災状況に鑑み、国において同様の支援措置を講ずるよう、お話を伺ったわけでございます。

 災害救助法が適用されると、住宅の応急修理の対象となるほか、中小企業、小規模事業者対策や、公共料金の支払い猶予、減免など、他の制度でも災害救助法の適用が要件となっているのでありますが、災害救助法が適用されるかどうかということは、そういう点で大きな影響があるんです。

 災害救助法の適用については都道府県知事が判断することになります。現場の市町村長からの適用の要望があった場合にちゅうちょせず適用することなど、運用の改善が図られるべきではないでしょうか。また、災害救助法が適用されないことを踏まえて県や市町村が住宅の修理費用等について支援を行う場合には国として支援を行うことができないのか、併せて大臣にお伺いします。

○小此木国務大臣 この災害救助法の適用でありますけれども、これは、ふだんから内閣府として、都道府県に対して、ちゅうちょすることなくこの適用を行うよう助言等はしてございます。都道府県がちゅうちょなく判断を行うためには、現場の市町村の被災の程度や避難の状況等の情報を迅速に把握することが不可欠であり、現場の市町村との緊密な連絡が、これも必要不可欠であると思います。

 このため、救助法の適用が円滑に行われるように、内閣府として、引き続き、都道府県に対して救助法の適用に関し積極的に助言を行ってまいりますし、都道府県と市町村の間における災害時の情報共有、この手段の確立について平時から取組を進めるよう都道府県に対して促してまいりたい、改めて申し上げます。

 また、今年の二月の福島県沖の地震でありますが、ここでまとまった緊急対応策においては、救助法による支援の対象とならない場合でも、住宅の修理費用等を支援する措置も盛り込みました。具体的には、耐震性や瓦屋根の強度が不足した住宅に対する耐震基準等を満たすための改修工事について防災・安全交付金による支援、被災した住宅の補修等に必要な資金に対する住宅金融支援機構による低利融資、住宅の補修等に関する相談窓口の設置や現地相談等の実施、こういったことにより被災者の生活再建に向けた支援を行うこととしています。

 今後も、それぞれの災害における住宅の被災状況を見極めながら、必要な検討をしてまいりたいと存じます。

○大口委員 時間が来ましたので、終わります。

 ありがとうございました。

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