大口よしのりの政策・実績

大口よしのり国会質問

大口よしのり国会質問

1994年6月22日

129-衆-法務委員会-6号 平成06年06月22日

○大口委員 公明党の大口善徳です。改新、さきがけ・青雲・民主の風の御了解を得まして、質問したいと思います。
まず、戸籍に関する事務は、国の機関委任事務と言われております。この機関委任事務につきましては、地方自治の観点から整理合理化し地方公共団体の事務とするということが、つまり機関委任事務から団体委任事務にということが臨調、行革審答申においても非常に主要課題になっております。行財政改革、地方分権を推進するため、国と地方の関係、あり方についてこれを考えていかなければいけない、そういう観点からいきますと、現行の機関委任事務というものは原則として廃止して団体委任事務でいくべきだ、こういう有力な考え方がございます。
この点につきまして、戸籍事務については、これはどうしても機関委任事務でなければいけない、団体委任事務では困る、そういうような明確な理由があるのか。あるならば、そのことについてお答え願いたいと思います。

○濱崎政府委員 行政改革、地方分権ということが言われておることは承知しておりますが、この戸籍事務は、これは申し上げるまでもないことでございますが、国民の身分関係を登録してこれを公証する、また、婚姻等の届け出を受理して身分関係の形成にも関与するという事務でございまして、その当該地域の住民のみを対象とするものではないわけでございます。現在、住居地以外のところに本籍を持っておられる方はたくさんおられまして、これからだんだんふえていくということもあるわけでございます。そういうことでございますし、また、日本国民、日本国の国籍を有する、そういう公法上の身分関係を登録し公証するものでもあるわけでございます。
さらには、事務の内容は、民法等の諸法規の具体的な適用にかかわるというものでございますので、これはどうしても全国統一的な処理、全国公平な処理ということを確保する必要がある、そういうことからこれまでも国の事務とされてきているものでございまして、こういった性格から私どもとしては、どうしてもこの事務については、国の事務として全体統一的な管理をする必要があるというふうに考えています。
〔山本(有)委員長代理退席、斉藤(斗)委員
長代理着席〕

○大口委員 今回、コンピューターのシステム化による戸籍事務の処理によって、大量の情報を迅速かつ正確に処理することができるようになり、行政のサービスの向上が図られるわけであります。特に、この行革論議が叫ばれておる中で、やはり事務の効率化、歳出の削減ということからいきましても、情報化をしていくということが非常に大事になってくると思います。
今回の戸籍の事務につきましても、戸籍事務、これは検索そして記録、審査、これが効率化する、あるいは関連事務につきましても、統計、報告事務、これも効率化していく、こういうことを聞いておるわけでありますが、このようなコンピューター化の導入によって事務がどう効率化していく
のか。平成二年度の東京都内の二市八区において戸籍事務の実態調査も行われた上での導入であるということも聞いております。
そういうことで、大都市あるいは中小の都市においてで違うと思うのですが、場合を分けて、例えば人件費等がどれぐらい削減されるのか、そういう試算的なものがあるのじゃないかと私は思うのですね。また、事務処理上何%ぐらいカットされるのか、事務処理時間がどれぐらい短縮されるのか、このようなことについてお伺いしたいと思うのです。
この説明の中でも、戸籍謄本の交付の時間が十五分から五分、三分の一に削減される、こういうような説明を伺っておるわけでありますが、私は、こういうようなことは、これから行革を進めていく中において非常に大事な視点である。そういうことから法務省で、これだけ合理化ができるんだということをもっと声を大にして説明すべきである、それが国民に対する理解を得るための大事な条件じゃないかと思います。その点、いかがでしょうか。

○濱崎政府委員 その点について具体的な数字を示さないということでは今御質問いただいた衛藤委員からもおしかりをいただいたところでございますが、これはやはりなかなか、単に時間をもって、ストップウォッチを押してということで推しはかることができるものではないわけでございますので、具体的に数字をもって示すということは大変難しいものであるということは御理解をいただきたいと思います。
その生じた人的メリットというものは、やはりこれまで十分になし得なかった戸籍事務の充実、さらには、市区町村、いろいろ市民からの要望も多様化し複雑化しているという中で、そういったことへの振り向けというようなことで大きなメリットがあるということは市区町村から聞いておるところでございますし、また、これまでの、例えば住民基本台帳事務のコンピューター化によってどうであったかというようなことも伺いまして、やはり市区町村によって、いろいろ規模の大きさとか、そういうものによって違うということでございますので、甚だ申しわけありませんが、数字をもって示すということができないということを御了承願いたいと思います。

○大口委員 ただ、例えば東京の二市八区ではこういう実態調査もされているようですので、例えば東京都の場合はどうなるのか、そのあたりはわからないんですか。

○濱崎政府委員 ただいま御指摘の調査というのは、現在取り扱っているペーパー処理上の問題点について調査したということでございまして、コンピューター化した場合と紙で処理する場合の時間の比較ということまで調査したものではないというふうに承知しております。

○大口委員 コンピューターを導入するわけですけれども、これは市町村に非常に財政的な負担が大きいわけです。ハードが今住民記録で八七・八%実施されているということです。これはバージョンアップすればいいんでしょうけれども、そうでないところは、ハードの新規導入もあります、ソフトの開発もあります、あるいは戸籍情報のファイル作成作業、こういうものにも非常にお金がかかる。
こういうことにつきまして、地方交付税で対応するということでありますが、超過負担等にならないようにしなければこの推進がスムーズにいかないと私は思うんです。この点についてどうお考えでしょうか。

○濱崎政府委員 コンピューター化に伴う経費につきましては、今御指摘のように大多数の市区町村ではコンピューター本体は入っているわけでございますので、まずそういうところから戸籍事務についてもコンピューター化されるということであろうと思っております。一番経費として大きいのは、やはり現在の紙の記録を磁気ディスクに移しかえるという移行作業の経費であろうと思います。この経費、相当の経費がかかるわけでございまして、本来ならば、そういう経費について国の方で措置をすることができるということが可能ならば最も好ましいことであろうと思いますけれども、補助金というものについては閣議決定をもって厳しく抑制するということになっております等のこともございまして、そういう状況の中で、自治省と協議し、お願いして、地方交付税の中で対応していただくという方向での回答をいただいているところです。
先ほども御答弁しましたように、その中身、具体的にどうするかということについては、市区町村がどういうコンピューター化の計画を持っておるかということ等をこれから調査して決めていただくということでありますが、その中で私どもとしては、できるだけ適切な対応をしていただけるように、引き続き自治省と協議、お願いをして努力をしていきたいと思っております。

○大口委員 今回のコンピューター化によりまして、登記事務あるいは印鑑証明発行事務、こういうこととの関係で支障等がないかどうか、これをお聞かせください。

○濱崎政府委員 まず、登記事務の関係でございますが、登記事務の処理上は、既に必ずしも戸籍の記載どおりの書き方をそのまま使っているというわけではございません。
それから、今回のコンピューター化に伴って、字の書き方がコンピューター入力することによって変わってくるという方々について、そういう人が社会生活で、あるいはそういう登記等の窓口でも、やはり自分が自分で書く、いわば自分で署名の部分についてはこういう字を、書き方を使いたいということに対してはできるだけそういうお気持ちに配慮するという取り扱いを、登記でございますと私どもの所管でございますし、関係の各機関にもそういう努力をお願いしたいというふうに思っております。したがって、そういう関係で問題が生じないように配意をいたしたいと思います。
それから、印鑑登録、例えば実印を変えなければならないかというような御懸念をお伺いするわけですが、実印の印影につきましては、これは現在も必ずしも戸籍の字どおりの印影でなければ受け付けないということではないと思いますし、それから、既に自治省の回答といたしまして、戸籍の書き方を改めた場合であっても、従前の印鑑登録の印影を改める必要はないという回答がされているというようなこともございますので、そういう面でも混乱が生じるということはないものと考えております。

○大口委員 今回行政サービスの向上ということを柱にされておるわけですが、私も弁護士をやっていた関係で、非常に不便なことがございます。例えば、本籍地と住所地が遠隔の場合ですね。この場合、戸籍謄本、今度は証明書になるわけですが、これをとるのに、時間があれば郵送でいいわけですが、時間のないときは本籍地まで行く、こういうことで、経済的にもまた時間的にも非常に労力がかかるわけであります。
今回、コンピューター化が進むということで、各市町村のオンライン化、そのデータ交換によって、例えば住所地でもって戸籍の、今度は証明書ですか、がとれるようにする、こういう方向性で考えていただきたいな、こう思うんですが、いかがでしょうか。

○濱崎政府委員 コンピューター化に伴って利用者の利便を図るという面から、御指摘のようなオンライン化ができれば大変便利になるわけでございます。そういう御要請があるわけでございますが、現段階では、まだまだ全国的にコンピューター化が行き渡るというのはこれからの問題ということもございますし、また、それぞれの市区町村に入っているコンピューターが、コンピューターメーカーが違っているというようなこともありまして、そういうシステム開発のためにはなお相当時間をいただく必要があるだろうというふうに考えております。
それから、いま一つは、そういうことで情報が拡散するということに伴ってプライバシー保護という観点から大変御懸念を持たれる、そういう考
え方もあるわけでございまして、そういうことについてもコンセンサスを得る必要があるだろうというふうに考えておりますが、御指摘のとおり、大変国民にとって利便の高いものでございますので、将来重要な検討課題とさせていただきたいと思っております。

○大口委員 戸籍は、先ほどもおっしゃいましたように、身分関係の情報が蓄積されているわけですね。そういう点でプライバシーの保護というものが極めて重要であるわけです。これについては先ほどから山本先生、また衛藤先生がいろいろと詳しく質問されておりました。
その中で、私は、戸籍情報ファイルの作成、このデータ入力をこれは役所だけでは厳しいんじゃないか、外部へ委託する、こういうことになると思うわけであります。そういう外部に委託するとなりますと、身分上のことが、こういうプライバシーに関する情報が漏えいしていくんじゃないか、それを一番私は心配しておるわけでございます。
この改正法案の附則の第二項で、「第一条の規定による戸籍法の改正に伴う戸籍の改製に関する事務に、市町村長の委託を受けて従事している者又は従事していた者は、その事務に関して知り得た事項をみだりに他人に知らせ、又は不当な目的に使用してはならない。」こういうふうになっておるわけです。ただ、これも罰則規定がありませんので、規定を置くこと自体は私は大事なことだと思いますが、十分じゃないという感じがいたします。
また、個人情報を保護するということで、外部委託の場合、市町村と業者の間で外部委託の契約書、これをつくると思うのです。それにつきまして、やはり受託業者への調査の実施とか監督ですとか、いわゆるプライバシーの保護をきちっとしていかなければいけないと思うのです。
この二点についてどのようにお考えでしょうか。

○濱崎政府委員 今回、改正法案の附則二項において、そういう委託を受けて関与した者についての義務規定を設けております。ただ罰則はないわけでございますが、これによって例えば損害賠償の根拠にはなる、あるいは、これに違反した場合にその委託契約を解除する解除原因にもなるというような効果、そういう効果はあるというふうに思っております。
それから、御指摘のとおり、この移行作業につきましては外部委託をせざるを得ないということでございますが、その場合の情報の漏えいということについては本当に神経を使わなければならない。この点は法制審議会でも十分御議論の対象になりました。
そういうことを踏まえて、市区町村長が外部委託しようとする場合には、データの保管の施設あるいは体制を整備した受託業者を選択していただく、それから、受託者に渡したデータの返還あるいは必要なければ廃棄、必ずそういうことを義務づけさせていただく、それから、市区町村の職員が移行作業の現場に適宜立ち入って調査を行うことができるようにする、それから、契約内容といたしましては、データの機密保持に関する条項あるいは再委託してはいけない、下請に出してはいけないというようなこと、それから、データを複写し複製するというようなことは絶対にいけないというようなこと、それから、先ほどの附則二条に違反するようなことがあった場合には契約を解除するというようなこと、そういったことをきちんと定めてもらうということを市区町村に守っていただきたいと思っております。
そういったことにつきましても、先ほど御質問がありました法務大臣の指定という段階でどういう手当てをすることとなっているかというようなことも審査させていただくし、それから、具体的な実施については、法務局あるいは地方法務局の方でしっかりこちらも目を光らせていただくというようなことで対応させていただきたい、そのように考えております。

○大口委員 特に再委託は禁止してほしいですね。制限じゃなくて禁止。それから、データの複写、複製については、これはできないようにきちっと技術的にしていただきたいと思います。
次に、私の党の山田英介議員の意見も踏まえまして、今回の改正にも関連いたしますし、長寿社会における対応、国民の財産権の保護の観点から、除籍簿と戸籍の付票の保存期間について御質問したいと思います。
まず、戸籍法施行規則五条四項にある除籍簿の保存期間を現行の八十年から百年にこれは延長をすべきだ、こう考えます。昭和三十六年に五十年から八十年に改正されたわけです。その根拠を聞かせてください。

○濱崎政府委員 三十六年改正の理由でございますが、当時、市区町村長において、五十年間の保存期間を経過した除籍につきましても相続登記申請に必要であるとして、謄抄本の交付を求める要望が多くあったというようなことを反映いたしまして、保存期間を伸長したものでございます。

○大口委員 昭和三十六年、男性で平均寿命が六十六・〇、女性が七十・八。平成四年、これは直近ですが、男性が七十六・一、女性が八十二・二。男性は三十六年から十・一歳、女性が十一・四歳寿命が延びておるわけでございます。こういう長寿社会になり、そして八十歳を超える方もまれではなくなっている。
例えばある人が誕生して間もなく転籍し、除籍簿の保存期間八十年を超えて生存している場合、その人は生存中に除籍簿を廃棄される。ですから、少なくとも存命中には除籍簿が保存されるように私はすべきではないかと思います。
また例えば、これはある人が生存中、保存期間の経過によって除籍簿を廃棄され、そして死亡した場合、相続人が曽祖父母のみというこういうケースも出てくるわけです。その場合、除籍簿がないと相続関係の正確な把握を困難にするおそれがあります。
今回コンピューター化によりまして、保存期間の延長をしてまいりましても収納書庫の問題はクリアされると思います。また、長寿社会ということで、司法書士の方々等も含めまして非常にこの要望が強うございます。国民の財産権を守る上からも、長寿社会に対応するという上からも、この除籍簿の保存期間を八十年から百年に私はすべきである、そう思いますが、いかがでしょうか。

○濱崎政府委員 従来でございますと、保管庫、倉庫の問題があったわけでございますが、コンピューター化されれば確かにそういうことはなくなるという問題がございます。ただ、コンピューター化が全国に行き渡るには相当期間がかかるというような問題もございますし、コンピューター化庁とコンピューター化していないところとで保存期間が違うというわけにもまいらないという問題もございます。
ただ、この除籍簿の保存期間の問題は、御指摘のような影響はありますけれども、コンピューター化と直接連動する問題ではないだろうと考えておりますが、この問題については、そういう必要性の程度につきまして市区町村長等の意見、実情等も踏まえまして、今後考えてまいりたいというふうに思っております。

○大口委員 先ほどの具体例の中で、上申書を使って、それで相続人は私たち以外ありません、こういうようなものでやっているわけですね。これは、上申書を信用するということで不確定な部分が入ってくるわけですね。これは私はよくないと思います。ぜひともこの点延長を私は要望したいと思います。
次に、住民基本台帳法施行令三十四条の、消除された戸籍の付票の保存期間を五年から百年にこれは延長すべきであると私はそう思います。これは自治省にお伺いします。
不動産登記の際、登記した住所からその後住所が転々とするわけです。そういう場合が少なくないわけであります。住所が移転して、その都度住所の変更の登記をするということは、今実態はそういう実態になっておりません。そしてそれが長い期間が経過する。その中で、所有権移転登記あ
るいは抵当権の設定登記の必要が生じてきましたときに、登記簿上の住所を証明しようとする場合、戸籍の付票が五年で消除されてしまうということで、証明方法がないということが起こってきます。辛うじてこれも不在住証明書の発行によってクリアしているわけでありますが、本来この証明書というのも不正確なものであるわけです。
事は、これは国民の財産権にかかわることであります。そういう点では、除籍簿とはまた違うわけでありますが、長寿社会への対応あるいは国民の財産権そしてまた登記の実態、こういうことからいきまして、この五年間ということには合理的理由はないと思います。むしろ百年に改めるべきではないかと思います。今回、コンピューター化によって付票につきましてもコンピューター化されていく、そういう点におきましても収納書庫の問題もクリアされてくると思います。そういう点で、この件につきましては五年を百年に改正すべきである、そういうふうに私は思います。
これは具体例で、やはり横浜市が住民票のコンピューター化をしまして、その場合、消除された住民票が五年間で消滅するということで、平成八年から全住所を追求することができなくなる、こういう差し迫った問題もあるわけでございます。
そういうことで、この戸籍の付票の保存期間、これにつきましても五年から百年にすべきだ、このように考えますが、自治省、どうでしょう。

○松浦説明員 お尋ねの戸籍の付票の問題でございますけれども、これは戸籍を単位といたしましていわゆる本籍地の市町村がつくる帳票でございます。この中に、戸籍に記載されている人の本籍と同時に現住所が記載をされている、こういうものでございます。この現住所が明示されることによりまして、本籍地で編製される戸籍と住所地で編成される住民票とが連絡媒介するということが可能になってくる、こういう制度になっているわけでございます。
この戸籍の付票の保存年限を延ばしたらどうか、こういうお尋ねでございますけれども、今申し上げましたとおり、戸籍の付票の目的でございますが、いわゆる本籍地において戸籍に記載されている人の現住所を把握する、これが目的になっております。そういうことで、私ども、現住所を現在公証することを目的としております住民票でございますが、これの保存年限が五年ということになっておりますので、これに合わせた形で五年ということにいたしております。そうした制度の趣旨、それからプライバシーの保護という問題もございまして、そうした観点からいいましても、現在のこの五年間というのが適切な年限ではないかというふうに考えております。

○大口委員 これにつきましても、これは窓口に聞いていただけばわかりますが、この期間については延ばしてほしいという意見が大変多うございますので、よく市町村の窓口に聞いていただきたい、こう思います。いかがですか。

○松浦説明員 趣旨につきましては先ほど申し上げたとおりでございますが、実態等につきましては、私どもまた窓口に聞いてみたいと思っております。

○大口委員 以上で終わります。

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