大口よしのりの政策・実績

大口よしのり国会質問

大口よしのり国会質問

1995年2月20日

132-衆-予算委員会第三分科会-1号 平成07年02月20日

○大口分科員 新進党の大口善徳でございます。
本日は、定住外国人の参政権の問題、また銃規制の問題についてお伺いをしたいと思います。
まず、定住外国人の地方参政権の問題につきまして質問をしたいと思います。
定住外国人の地方参政権の問題につきましては、本年の二月二日、予算委員会におきまして、冬柴代議士からも質問がございました。この定住外国人の地方参政権の問題につきましては、学説でもいろいろと新しい動きがあります。伝統的なものとしましては、憲法十五条の国民主権ということとの絡みもありまして、憲法九十三条の「住民」というものは日本国民ということの「住民」であろう、こういう考え方がございます。この考え方に立ちますと、定住外国人の地方参政権を認めることが憲法上許されない、こういう考え方になりまして、これは禁止説というふうに言われているものでございます。
それに対しまして、許容説というものがございます。これは、定住外国人が地方参政権を付与されることについて憲法上は禁止をされない、そういう点からいきますと、憲法九十三条の「住民」というのは必ずしも日本国民である必要はないということでございましょう。ですから、立法政策において、定住外国人の地方参政権を認める、こういう法律をつくることについては許容する、こういう考え方が非常に有力になってまいりました。
本年は、戦後五十年、また日韓国交正常化三十周年ということで、戦後の問題を考える上におきましても極めて大きな節目でございます。こういうときに、この定住外国人の地方参政権について、政府としましてももう一度白紙に戻って考えるべきときが来ているのじゃないかな、こう思うわけでございます。
また、もう一つ学説がございまして、外国人の参政権につきまして憲法上保障を要請されている、ですから外国人の選挙からの排除というのは憲法違反だ、このような説もございます。
以上、この三点の説につきまして自治省においてどのように考えられているか、お伺いしたいと思います。

○野中国務大臣 ただいま委員からも御指摘ござ
いましたように、憲法は国民主権の原理を定めておりますし、また、このことから、公の意思の決定や公権力の行使の任に当たります議員、首長等の公務員を選定、罷免することは我が国国民固有の権利であるということを、委員が御指摘になりました憲法十五条が定めておると認識をいたしておりますので、私どもはさような解釈に立っておるわけでございます。
それだけに、公務員を選任する行為であります選挙につきまして、国政選挙、地方選挙を問わず、外国人の方々に選挙権を付与することは極めて難しい問題があると認識をしております。

○大口分科員 この問題につきましては、二月二日の村山総理大臣の答弁で、
ずっと日本に居住をして、もう全く生活もつき合いも日本人と同じような暮らしをしておる、今いろいろ言われた、委員の言われる意味の心情というものは、私はよく理解できます。
ただ、憲法九十三条と地方自治法の十条と、「住民」という概念がどういうふうに違うのか、そこらのところはまだ最高裁も明らかにしていませんし、法律的な解釈と現実的にどう判断をするかという問題と両面あると思いますから、これはこれからの宿題として大いに検討させていただきたいというふうに思います。こう総理大臣が答弁をされているわけです。
これを見ますと、九十三条と地方自治法十条の関係についてはまだ最高裁も明らかにしていない、こういうふうに総理大臣が述べておられるわけでございます。そういうふうに総理大臣が述べておられる以上、果たしてこの禁止説をとるかどうかにつきまして最高裁が明らかにしていないということではないかと思うのです。
ですから、先ほど自治大臣がおっしゃられたような、はっきりと禁止説をとる、こういうようなことが果たして総理大臣の答弁との間でどういう関係にあるのか、このことをお伺いしたいと思いますし、また、最高裁判所が明らかにしておりませんしということなんですが、実際、裁判の場合は、こういう定住外国人の地方参政権を認める法律をつくって初めてそういう具体的な争訟においてその法律が合憲か違憲かということが問われるわけでして、今の構造におきましたら、傍論で最高裁が意見を表明する以外に、まともに真っ正面からこの問題について意見を出さないことだってできるわけでございます。
そういうことからいきますと、やはり政治的な判断をすべきではないか、このように思います。いかがでしょうか。

○野中国務大臣 先日、冬柴議員の質問の際に、今委員が御指摘になりましたような総理答弁もございました。総理も、なかなか困難な幾つかの問題があろうけれども、現実問題として、我が国に長く在日し、そしてその市民権を得ておるような状態になっておるような在日の皆さん方については、もう少し踏み込んで検討をしてくれないかという話が私にもございました。
私もまた共通した認識は持っておりますので、今後の課題として検討させていただきたいとは存じております。けれども、現在これがどうなのかと言われますと、先ほど申し上げたような解釈に立って私どもは申し上げるべきであろうと考えておるわけでございます。

○大口分科員 今、大臣のお話ですと、総理が自治大臣に具体的にこの問題についてさらに検討するように、こういうお話があった、こういうことでございますけれども、いつそういうお話があったんでしょうか、そしてそれに対して自治省としてどういう形でこれから検討されるんでしょうか、よろしくお願いします。

○野中国務大臣 この間質問がありましたときに、ちょうど私はそばにおりまして、総理が私にそういうお話をされました。私もまたその後部内でこれについてどう対応するかを綿密に事務当局と打ち合わせはいたしておりませんけれども、総理のお話でもございますので、今後、この問題についてそれぞれどういう問題点があるかを整理し、検討はしなければならないと考えております。

○大口分科員 総理の所属する党である社会党も、この問題については一生懸命考えておられると思います。方針変更していなければの話ですが、考えておられるということでございます。具体的にやはりそういう委員会等をつくっていただいて、しっかりと検討をしていただきたい、このように思います。
私としましても、この問題につきましては、やはり一つは地方議会においてたくさん議決が行われている、これは重視しなければならないと思います。憲法の九十二条の地方自治の本旨、その中に団体自治とともに住民自治ということがございます。やはり住民、これは地方自治法の住民と思いますが、この住民がみずから身近なことについて決めていく、タックスペイヤーとして税金を払っているわけですから、その使い道についてちゃんとこれはチェックをする、そういう権利を持つことが私は当然ではないか、それが民主主義の原理ではないか、そのように思うわけです。
国民主権主義につきましても、民主主義、こういうところから来ておるわけでございまして、そういう民主主義という大きな観点から考えましたときに、やはりこの、特に地方の参政権につきましては、定住外国人の方にこれを認めるべきである、このように考えるわけでございます。
また、冬柴議員も指摘しましたように、地方自治法の九十条、九十一条に、地方議員の定数の定限について、これの基準となる人口は、これは定住外国人の方も入っておられる数でございます。また、政党助成法の政党交付金、この算出基準としての人口、この中にも定住外国人の方の人数が入っておられるわけでございますから、そういうことをしっかりとやはり考えていくならば、もっともっと前向きに考えるべきであると思います。
ところで、各都道府県、市町村議会の議決の数でございますけれども、さらにふえているようでございます。確認のためお伺いしたいと思います。

○谷合政府委員 定住外国人の地方参政権を求め、あるいは検討を要請する意見書なり要望書なりの数でございますが、昨年末におきましては百三十八件だったと思いますが、議決と送付のときのあれがちょっと違っておりますので、現在では百四十一件というふうに承知をしております。

○大口分科員 この百四十一件、非常にこれは大きく私たちは受けとめなければならない問題であると思います。本年は、そういう点では一番この問題を考えるにはふさわしい、また、ある程度方向性を出すべきそういう年ではないか、こう思うわけでございます。
また、地裁段階の判決におきましても、この許容説というものに含みを残した判例がございます。例えば、大阪地方裁判所の一九九三年六月二十九日、ここにおきましても、「仮に参政権を付与することが憲法に違反しないとの立場を採り得るとしても、これを付与するか否かは立法政策の問題にすぎない」、こう傍論で述べているわけですけれども、ここにやはり許容説をにじませている、私はこのように読むことができると思います。
また、福井地方裁判所の判決、平成六年十月五日の判決がございますが、ここには、この地方参政権を定住外国人に認めている諸外国の例を挙げて、「市町村レベルでの選挙権を一定の外国人に認めることは憲法の許容するとの見解は十分に成り立つ」、このように踏み込んだ判示をしております。
そこで、外国の事例につきまして簡単に述べていただきたいと思います。

○谷合政府委員 いわゆる定住外国人に地方参政権を付与をしている外国の事例でございますけれども、私どもは、スウェーデンあるいはデンマーク、ノルウェー、オランダ、アイルランドというような国々では、一定の条件を満たした外国人に地方参政権を認めているというふうに承知をいたしております。

○大口分科員 EUにおいても新しい動きもござ
いますし、このような諸外国の状況についてもしっかりと調査をして研究をしていただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。

○谷合政府委員 そうした細かい内容についても、いろいろな資料等を取り寄せながら勉強させていただきたいと思っております。

○大口分科員 次に、銃規制の問題についてお伺いをしたいと思います。
この一年ぐらいの間、大変、特に一般の市民が銃によって発砲され、被害を受けるということがございます。非常にこれはゆゆしきことであると思います。日本にどれくらいの銃があるのか、いろいろと言われておりますが、六万とか七万とか、あるいは十五万とか三十万とを言う人もございます。こういう銃の規制をやはり徹底して行っていかなければならないと思います。そういう中で、法律でまずは罰則の強化ということを真剣に考えていかなければいけないと私は思います。
政府におかれましても、この銃規制の問題については、けん銃取締り対策に関する関係省庁連絡会議、こういうところで十二月二十七日に「けん銃の摘発強化への取組について」、こういうものを出されておられます。この中におきましても、この最後の方にありますが、「罰則の強化その他関係法令の整備について検討する。」このようになっております。
この罰則の強化でありますが、特に実砲、火薬の入った弾、これに対する規制が十分でない、私はこのように考えるわけでございます。火薬類取締法を見ますと、その二十一条に火薬類の所持についての規定がございます。また、十七条におきましては、譲渡、譲り受けに関する規定がございます。そして、二十四条に輸入に関する規定がございます。
これの罰則を見てまいりますと、輸入につきましては、「三年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。」ということで、三年以下という、非常に軽いと私は思うのですが、こういう罰則になっております。また、所持、そしてまた譲渡、譲り受けにつきましては、五十九条で「一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。」「一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金」、こうなっておるわけでございます。火薬が中に入っている実砲につきましても厳しくやはり規制をすべきであると私は思いますが、この点についてお伺いします。

○天野説明員 先生の御指摘は、実砲についての御質問だったかと思います。
けん銃の取り締まりにつきましては、私ども通産省といたしましても、国民生活の安全と平穏を守るため、極めて重要というふうに認識している次第でございます。このため、先ほど先生から御指摘ございましたように、昨年十二月に連絡会議を開催いたしまして、けん銃の摘発強化等について申し合わせを行ったところでございます。
けん銃の実弾に関しましては、先ほど先生から御指摘ございましたように、その所持につきましては火薬類取締法により規制されておるところでございます。また、先生御承知のとおり、けん銃と同時に所持した場合の罰則につきましては、いわゆる銃刀法によりまして、けん銃のみの不法所持より重い罰則が科されているという現状でございます。
先生の御指摘は、実弾を単独で不法所持している場合の罰則の強化ということかと思いますが、この点につきましては、現在いかなる方策が可能であるかということにつきまして、昨年の十二月来でございますが、警察庁、法務省さん寺とも検討を開始しておるところでございます。
引き続き、先生御指摘のような観点から、火取法と申しますと産業全体、火薬全体を見ている法律ということで、その中で実砲だけをいかに取り上げるかという法技術的な問題もあるわけでございますが、いずれにいたしましても、実砲の対策は重要であるということを十分認識しておりますので、引き続き関係省庁と勉強していきたいというふうに思っておる次第でございます。

○大口分科員 また、今回のこの連絡会議の申し合わせにおきまして、各税関あるいは海上保安庁等とも連携をとって、そしてもう一度その体制を見直してやっていく、こういうふうに書かれております。また、民間の協力もしっかりと得ていく、こういうことも述べておられます。
そこで、この取り締まり体制を強化するためには、過去の例を見てみましても、ある時代、時代に即応した、対応した取り締まり体制を持たなければいけないと私は思います。
例えば、昭和四十七年、八年、これは交通事故が高速道路等の普及で頻繁に起こったということもあって、例えば増員を八千五百人、二年間で増員をしている、沖縄返還ということもあったのでしょうけれども。また、昭和五十五年から五十六年にかけては覚せい剤、薬物の対策の増員強化ということで四千八百八十名が増員されております。昭和五十七年から五十八年にかけて、暴走族等の問題についての増員強化二千五百二十名。また、昭和六十二年はテロ・ゲリラ等の事件への対応ということで九百二十七名、このように地方警察官の増員が行われているわけでございます。
確かに今行政改革、こういうことでございまして、この増員ということについては大変難しいことだと私は思います。むしろ方向性といたしましては、この時代、時代の犯罪、あるいはそういう傾向に対して配置を適正に行っていく、こういうことが非常に大事になってくるとともに、やはり税関とか海保とか、そういういろいろな諸機関と連携を密にして、そして効率的に取り締まりをしていく、こういうことが非常に大事であるのじゃないか、そう思います。
そういうことにおきまして、銃規制におきましてもしっかりと人員を配置する、適正に配置する、こういうことを求めるものでございますが、いかがでございましょうか。

○野中国務大臣 委員から今御指摘ございましたように、最近の銃器犯罪等、まことに深刻な問題が山積をしておるわけでございます。しかし、地方警察官の増員につきましては、もう御承知のとおりに、臨時行政改革推進審議会におきます答申で原則凍結ということになっておりまして、一方、また厳しい財政事情等を考慮いたしまして、可能な限り抑制をしておるところでございます。
しかし、今も御指摘をいただきましたように、各種警察事象の増加など治安事情は年々厳しさを増しておりますし、また、これらに的確に対処するため、警察としては組織、人員の効率的な運用等に努力しつつ、必要な体制を整備しておるところでございまして、引き続き検討してまいりたいと承知をいたしております。
なお、各県の負担人口等につきましても御指摘がございましたが、そもそも各県ごとの定員は、人口のみならず、犯罪の情勢あるいは今御指摘のございました交通の発達状況あるいは交通事故等の諸要素を総合的に勘案をして決まってまいるものでございまして、しかも各都道府県警察においては、今申し上げましたとおり、可能な限りの内部努力を行いながら現在の治安水準の維持に努めておるという現状でございます。ぜひ御理解を賜りたいと存じます。

○大口分科員 二月十五日の予算委員会におきまして、私はこの問題につきまして、特に水際の対策の強化につきまして質問しましたところ、大臣から、今後もこの問題は重要課題と認識し、政府を挙げて諸施策を強力に推進していく、こういう力強い御発言がございました。そういうことでございますので、水際対策につきましても、大臣が先頭に立たれてこれはやっていただきたいと思います。
そこで、通告してありましたように選挙の関係でもう一つお伺いをさせていただきたいと思います。これは在外日本人の国政選挙における選挙権の行使の問題でございます。
カンボジアにおいてPKOを派遣した、PKOの隊員は国政選挙、これはできない。ところが、カンボジアの方々はニューヨークにおいても選挙をすることができた。こういう事例を見ましても、やはりこれだけの国際社会におきまして、在
外日本人がたくさんいらっしゃいますけれども、在外日本人のこの選挙権の行使をどう現実のものとしていくかということが近来大変な話題になっております。そしてまた、昨年の四月でしたか、政治改革特別委員会でも、非常にこれは委員が海外で視察をして諸外国の実情をつぶさに検討されて議論をされた、そういうふうに伺っております。
この問題につきまして、もうかなりの期間もたっております。自治省におきましてもこの在外日本人の国政選挙における投票の問題は相当検討なされたと思うのですが、このことについてどのような形で検討をされているのか、今後どういう方向性を考えておられるのか、そしてまたその結論をいつごろまでに出されるのか、この点についてお伺いをしたいと思います。

○野中国務大臣 先般もお答えをしたわけでございますけれども、委員が御指摘になりましたように、国外に居住をしておられます我が国の国民の皆さん方に選挙権を行使する機会を保障していくということは、選挙制度の基本にかかわる問題で重要な課題であると認識をしておるわけでございます。けれども、一方において、前にも申し上げましたけれども、在外の選挙法案を政府提出し、そして国会の審議にかけましたけれどもかつて廃案になったという経過もございます。
実際に選挙を行います場合に、選挙の公平性がどう確保され、適正に、円滑に行われるかどうかという諸点から考えましたときに、まだまだ多くの課題を持っておるわけでございます。世界にそれぞれ散らばっていらっしゃる方々に選挙の公平性を確保するために、例えば衆議院の十二日間という限られた期間に、どのように選挙の公平性を担保して、在外公館のそれぞれ協力を得ながら果たして行えるかどうかというのは、いろいろな観点から考えますときに、非常に際路はたくさんあるわけでございまして、そういう諸点を考えながら、今後関係省庁とできるだけ十二分に、かつ総合的に検討をしてまいりたいと考えておるところでございます。

○大口分科員 それで、その時期の問題についてですが、いろいろと検討しているということでございますけれども、大体いつごろまでにとお考えでありますか。

○野中国務大臣 関係省庁と申しましても、特に外務省を初めとする諸機関と十分調整して考えなくてはならない問題でございますので、今ここでいつごろということを私は委員にお約束をするだけの見通しを持たないものでございます。
しかし、先ほど申し上げましたように、海外に居住していらっしゃる日本の皆さん方に選挙権を行使していただくというのは選挙制度の上で重要な基本でございますので、そういう基本を踏まえながら、けれどもその公平性をどう担保し、確保し、それを適正に行うかという問題では、もう私が申し上げるまでもなく委員も十二分に御承知の多くの諸点の難しさがあるわけでございますので、ぜひしばらくの時間をかしていただいて、検討をさせていただきたいと考えるわけでございます。

○大口分科員 自治省において、外務省と協議ということでございますが、自治省がこの選挙につきましてはとにかくこれは一番の大きな責任があるわけでございますから、またさらなる努力をともどもにしてまいりたいと思います。
以上で質問を終わります。ありがとうございました。

大口よしのりについて
大口よしのりについて
活動記録
活動記録
政策・実績
政策・実績
リンク集
リンク集

▲このページの先頭へ