大口よしのりの政策・実績

大口よしのり国会質問

大口よしのり国会質問

2004年4月19日

159-衆-武力攻撃事態等への対処…-4号 平成16年04月19日

○大口委員 公明党を代表して御質問させていただきます。
まず、今回、三名の方、そしてまた引き続き二名の方が解放されまして、非常に御本人も、また御家族にとっても大変喜ばしいことであると思いますし、また、国民の皆さんが御心配しておった、皆さんにとっても朗報であった、こういうふうに考えております。
そういう中で、総理のリーダーシップ、また、チェイニー副大統領ともいろいろ会談された、また川口大臣初め政府関係者の方々、そして現地対策本部、また現地の外交官の方々、あるいは関係各国の方々、またイラクの地元の指導者の方々、こういう方々の御努力によって今回の結果を得たと思います。ただ、日本ではなくてさまざまな国でまだ人質になっておられる方がいらっしゃる、そういうことを考えますと、一刻も早く今人質になっている全員が無事解放されることを願ってやまない、そういう思いでございます。
今回、総理は、一つは、テロに屈してはいけない、国家の政策というものが、そういう違法な人質ということによってこれがゆがめられてはいけない、それは民主主義の死にも通ずる、こういう国際的な要請、民主主義の要請が一つある、それとともに、国民の生命を守らなきゃいけない、こういう義務もある、この二つの義務の中で非常に難しい御判断をされた。
しかしながら、その中で、もうすぐに、自衛隊の撤退はこれを拒否すると明確に出されたこと、これについては非常に私も評価させていただきたいと思いますし、また、国民もこのことを冷静に判断し、六割か七割の方々がこれを評価されておるということで、このことについて、私も、政府の対応について大変評価をさせていただきたい、こういうふうに思っております。
さて、そういう状況の中で、イラクの情勢について、アメリカのブッシュ大統領は四月の十三日の記者会見で、現在の暴力は内戦でもなく人民蜂起でもない、イラクの大部分は比較的安定しており、大部分のイラク人は暴力を否定し、独裁に反対している、こういうふうにイラクの情勢について述べられておるわけでございます。
私どもは、ファルージャでありますとかあるいはナジャフでありますとか、スンニ派、シーア派が反米で一致したとかいうようないろいろな情報を聞きますので、国民の皆さんもイラクの情勢について心配であると思います。また、サマワで我が自衛隊が非常に活躍されているわけですけれども、そういうことから考えましても、総理としてこのイラクの情勢についてどのような御認識を持っておられるか、お伺いしたいと思います。

○小泉内閣総理大臣 イラクの情勢におきましては、不安定な状況にあるのは事実でございますが、ここで、それでは米軍が撤退した場合どうなのかということを考えますと、さらに混乱を深めるのではないか。
我々の目に映るのは、いわゆる武装勢力といいますか、テロリストのグループといいますか、何としてでも早く米軍撤退せよ、また外国の軍隊撤退しろという動きが強く報道されます。しかし、私は、イラクの全体の国民を見れば、早く治安を回復して自分たちの手によってイラクに安定した民主政権をつくるということを考えると、今の時点で米軍が撤退したら困るという人の方が多いんじゃないでしょうか。
今回の事件におきましても、自衛隊の諸君はイラクの復興支援、人道支援に活動しているんだと理解して、自衛隊歓迎だという方々もイラクにはたくさんおられます。現に、過日、イラク統治評議会のイラク人の方々が日本においでになったときも、自衛隊の活動を歓迎するというお話を私も聞きましたし、イラクにおきましてさまざまな考えがあるのは承知しておりますが、必ずしもすべての国民が、今すぐ米軍は撤退せよとか、自衛隊撤退しなさいとか言っているとは限らないと思っております。
やはり大事なのは、国際社会が協力して、イラク人が希望を持ってみずからの国を再建、復興できる環境を早く整えるということだと思います。開戦時に米軍の攻撃に対して賛成しなかったロシアにおいても、フランスにおいても、ドイツにおいても、今米軍を撤退しろとは言っておりません。
そういう中で、できるだけ早く政権を移譲しなきゃならない。国際社会の関与、いわば国連の役割をもっと強めていこうということについては、私もかねがね、ブッシュ大統領のみならず各国の首脳にもお話ししているとおりであります。先日、チェイニー副大統領が来日したときも、その点を強く私は申し上げました。
今後、できるだけ早く、イラク人がみずからの国を再建させようとする意欲をどうやってつくり出していくかということも、イラクの安定を考えると極めて重要なことであると思いまして、日本政府としても、各方面に、国連の重要性を認識し、国連の役割をもっと大きくするような方法を働きかけていくと同時に、イラク人のさまざまなグループに対して、イラクを復興できるのはイラク人自身しかありませんよ、イラクを復興させ、安定した民主的な政権をつくるのは、アメリカでもない、国連でもない、ましてや日本でもないと。イラク人自身が、反米勢力、親米勢力の対立を乗り越えて、自分たちが立ち上がって自分たちの国を復興させていくんだ、そういう意欲を持たない限り、イラクの安定した民主政権をつくることはできないのではないか。
そういう点についても、イラク国民全体の、みずからの国はみずからの国で立ち上げようという意欲の重要性、これに対しても、日本としてこれからもよくイラクの人々にもお話しして、日本の支援は人道支援、復興支援、イラクの国民が歓迎することを、評価していることを、イラクの国民が嫌がることは日本としてもする必要はない。一部のグループが、必ずしもイラク国民の全体のグループの声とは思っておりません。その辺はよく注意しなきゃならない。
そういう中で、国際社会で、今イラクの人道復興支援というのは国連がすべての加盟国に要請しています。その要請にこたえて、日本はイラクに復興支援、人道支援を、資金的支援のみならず人的な支援も行おうということで、自衛隊の諸君に、厳しい状況でありますが、イラクで活動していただいている。
これからも、このような考えのもとで、一日も早く、イラク人が希望を持って自分たちの国を再建できるような環境づくりにも日本は協力していかなきゃならないと思っております。

○大口委員 米英首脳会談におきましても、国連が中心的な役割を担っていく、ブラヒミ特別代表の提案を支持していく、こういうことで、今、アメリカもイギリスも、また、総理がチェイニー副大統領とお話しされて、いろいろとイラクの問題について前向きな方向でやっておられる、努力されておる、今そのお話をお伺いして感じたわけでございます。
そういう中で、やはりこれから国連が中心になっていく。ただ、治安の維持、これは非常に大事です。だから、米軍の駐留も必要です。ただ、主要国がやはり国連の傘のもとで本当に協力し合っていく、こういう体制をつくっていかなきゃいけない。そこにおいて、小泉総理はブッシュ大統領と極めて親しい間柄にあって、何でも言える関係にあると私は思うんですね。また、諸外国に対しても、EU初めあるいはアラブ連合の方々、いろいろな方に対して、私は、日本というのはいろいろと今までも大事につき合いをされてこられて、発言力もある、そういう点で、国連の中心的役割が機能するように、本当に総理の働きを期待したい、こう思っておりますが、いかがでございましょうか。

○小泉内閣総理大臣 私も、今まで、ブッシュ大統領と何回か会談し、また、アメリカの政府高官の皆さんとも会談するたびに申し上げているんです。アメリカがイラクに領土的野心を持っているということはない、そういうことはみんなわかっていると。アメリカがイラクに安定した民主的政権をつくるというこの大義、善意、これは、私はわかっているけれども、しかし、その点を考えると、イラク国民に余り理解されていないんじゃないか、あるいは多くの世界各国の中にはそういう点で理解を得るのに不十分な点があるんじゃないかということから、アメリカの大義と善意が、イラクの国民はもちろん、全世界の国々にわかるようにできるだけ行動すべきだと。
いわゆる国連の場におきましてもいろいろ議論されておりますけれども、アメリカの力というのはすべて認めております。しかし、世界、世の中、力だけで動くものじゃない。力と権威というもの、信頼というものがあります。そうすると、今、国際社会に安定した社会をもたらそうという場合に、アメリカの旗のもとにというよりも、国連の旗のもとにすべての国がイラクの復興に力をかそうということの方が、アメリカの善意も大義も理解してもらいやすいんじゃないかということを、私は常々申し上げているわけであります。
その点についても、対応は十分考えるべきだというようなことを言っておりますし、最近の動きは大体そのような方向になってきたなと。日本としても、これまでもそのような方針をアメリカにも国連にも各国にも、そしてイラクの国民自身にも働きかけている。そして、早くイラクの治安が安定して、多くの国民が、軍隊やら自衛隊だけでなくて、一般の民間人も、一般の企業もイラク復興支援に参加できるような環境をつくっていくことが極めて重要だと思っております。

○大口委員 次に、四月の十四日、実は、胡錦濤国家主席とチェイニー副大統領が会談をされて、その中で、北朝鮮が少なくとも三個の核爆発装置を保有している、こういう新しい情報を提示されたりしておる状況でございます。
そういう点で、本当にこの危機管理というものをしっかりとしていかなきゃいけないな、こう考えておるわけでございますが、今、この有事法制の審議の関係で、緊急事態に対処するための措置として政府が緊急事態基本法が必要と考えているのかどうか。それから、これは、災害対策基本法など既存の法令との関係を十分整理して、もし必要があれば、国民にわかりやすい形で政府案を提示すべきであると思うんですが、この点について総理の御見解を聞きたいと思います。

○井上国務大臣 昨年成立いたしました武力攻撃事態対処法の審議におきまして、この基本法につきましていろいろな議論がございました。最終的な取り扱いにつきましては、当時の与党三党と民主党との合意によりまして、基本法制を検討していく、こういうことに相なったわけでございます。しかも、事態はさらに進みまして、自由民主党、公明党、それから民主党で今基本法制の検討の協議会が設置されておる、御案内のとおりだと思うんですが。
それを拝見いたしますと、これは武力攻撃事態とか、有事ですね、それから大規模のテロだとか大規模災害、こういうのに適用される基本法制をつくるということで基本的には合意をされておりますし、その主要な項目というんですか、骨子については、今提案しております法案が衆議院を通過する前までに関係者で固めるということになっておりまして、さらには、来年の通常国会の終わりまでにその基本法の成立を期すというようなことが三党の合意になっているわけですね。
こういう状況でありますので、私どもといたしましては、この三党の協議を見て、いずれずっとまとめられてくると思うのでありますが、その状況を見ながら対応しないとと基本的には思っておるのでありますけれども、我々としても必要な検討は行い、我々として求められるものがあれば、そういったものについて御意見を申し上げたい、そんな状況でございますので、今政府が基本法案をまとめまして国会に提出するのはいかがなものかというふうに考えております。

○大口委員 昨年NHKの調査がありまして、武力攻撃を受けたときに安全は保護されると思わないというのが七七%いるということで、今国民保護法制が議論されておるわけですが、国民がそういう今意識にあるということでございます。
その中で、今、島根県が公開模擬訓練というのをやりました。それで、その中で、これは国民保護法制担当課長さんですか、防衛庁の課長さんです。それこそ自衛隊の移動と住民の避難、これが、国道が三本しかないというような状況の中で、いろいろと議論があったと。確かに、住民の避難といっても、これは市町村が丸ごと移動しなきゃいけないとか、非常に大きな移動があるわけです。それと、自衛隊の移動ということがある。
こういう中で、課長さんも、軍事を優先するか住民の生命財産を優先するかは、これは相矛盾するものではない、国を守る、国民の生命財産を守るということはその目的は同じと思います、ただ、外敵と戦って除去してしまわなければ本質的な対応はできないわけですから、自衛隊に与えられた役割を皆さんにもぜひ御理解いただきたい、こういう答弁をされておるわけです。
そこで、国民保護法における自衛隊と、それの主たる役割である侵害排除の任務と地方公共団体との関係、そして連携ということを、先ほど答弁がありましたが、簡単にお答えいただければと思います。

○石破国務大臣 済みません、それは島根ではなくて鳥取の例ではないかと思っております。
そこで、今先生が御指摘になったようなことがあったわけで、その場になって何が起こるかわかりませんが、出たとこ勝負みたいな話は絶対にだめでございますので、この国民保護法案におきまして、都道府県あるいは市町村において国民保護協議会というのをつくってくださいということになっております。そのときに、諮問機関でございますが、いろいろな例を検証してください、その場合には自衛隊も参加ができるということになっております。必要なときには、また、武力攻撃事態等が発生しましたときには、職員、私どもの職員ですが、これを都道府県対策本部の会議に出席させ、連絡調整に当たらせる。
それからもう一つは、この法案で自衛隊法を一部を改正しております。これは八十六条でございますけれども、これは、そういうような場合に、自衛隊と、そしてまた都道府県知事、あるいはそのほかの機関、これが相互に緊密に連絡をし、及び協力する、こういうようなことが定めてあるわけでございますが、これに国民保護等派遣というものを追加いたしました。
要は、先生が一番よく御案内のとおり、条文だけどんなに整えてもだめなんでありまして、できれば市町村においてそういうような協議会を早期に発足させていただいて、あらゆる可能性を議論していただいて、一本しかないといっても、それじゃ何にもできないかと言えばそんなことはないわけであります。
いずれにしても、そのときになって大慌てでどうしましょうというようなことをやりますと、この法案の実効性が相当に損なわれるというふうに考えております。

○大口委員 最後に、戦時国際法、残虐行為を禁じる条約などから構成される法体系は、国際人道法と呼ばれ、その番人となる国際刑事裁判所、ICCに、今、欧州、中南米、アフリカを中心とする九十カ国以上の国が参加しております。しかし、残念ながら、我が国はまだ参加しておりません。
その大きな理由として、紛争時の住民や捕虜の人権保護を定めたジュネーブ条約追加議定書の批准がおくれていたことにあると指摘されております。それが今国会でようやく実現をする運びとなった。批准に必要な国内法が有事関連法案として提出され、議論が開始された今、これを機に集団殺害を罪と定めるなどの必要な国内法の整備を進めて、国際刑事裁判所、ICC参加への道を開くべきである。我が党は一貫して、生命や人権を重んじる人間の安全保障を外交の目標に据え、国際社会へ貢献するよう訴えてきました。
まだまだ残虐行為がまかり通る世界の中で、少しでも法の支配を強めるために、我が国も速やかに国際刑事裁判所、ICCへの加入をすべきであると考えますが、川口外務大臣の御決意をお伺いしたいと思います。

○自見委員長 川口外務大臣、時間が過ぎておりますので、簡潔に御答弁をお願いいたします。

○川口国務大臣 それでは、委員がおっしゃられましたように、今回の一連の法制度の整備の中で、ジュネーブ追加議定書1、2、これを批准するということが可能になれば、ICCの規程を締結するのに向けて一歩前進をするということは確かでございますけれども、それ以外にも、恐らくまだ整備をしなければいけない法制、必要性が残っているということでございまして、例えば集団殺害ですとか扇動ですとか、そういったことについてどのような法整備が必要かということがまだ課題として残っております。
したがいまして、我が国といたしましては、今この規程の内容あるいは各国における法整備の状況について精査をするということと、国内法令との整合性について引き続き必要な検討を行っているということでございます。
政府として、もともと、この準備過程では非常に積極的にイニシアチブをとったという経緯がございます。二〇〇二年にICC規程が発効いたしましたので、それを踏まえまして、政府として検討を進めていきたいと考えております。

○大口委員 どうもありがとうございました。

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