大口よしのりの政策・実績

大口よしのり国会質問

大口よしのり国会質問

2004年4月28日

159-衆-内閣委員会-11号 平成16年04月28日

○大口委員 小幡先生、市川先生、前田先生、きょうは本当に御苦労さまでございます。
私からは、まず、前田先生、こういう「日本の治安は再生できるか」という御本があります。
その中で、検挙率が低下しているという理由について、昭和の時代は六〇%、それが平成に入って四〇%、平成八年ぐらいから二〇%ということで、非常に検挙率が下がっている。それは、先生がおっしゃるには、平成元年に警察庁の政策転換があった。警察庁次長通達によって、職務質問の適正化の指示があって、軽微な事案の検挙よりも重要な犯罪の摘発に力を入れるように指示した。これが検挙率の低下につながった。ただ、限られた警察の数の中においてはそういうこともやむを得なかったんではないか。それとともに、検察の方の起訴率も同じように、重要な案件に投入すべきだということで、起訴率についてもそうだ、こういう分析をされておるわけです。
ところがまた、破れ窓の理論というようなことで、軽微な犯罪もきちっとやらなきゃいけない。そうすると、警察現場は重要な犯罪もやらなきゃいけない、強盗事犯も五割を切るということにもなってきますと、これは大変だ。片方では、非常に軽微な事犯についてもしっかりやらなきゃいけない、こういう状況にあると思います。
私は、そうなってきますと、やはり地域の防犯力というのは非常に大事だな、こういうふうに思っております。私ども、子供の安全プロジェクトとか治安対策プロジェクトの座長とか事務局長を私やっておりまして、最近も、「子どもたちの生命を守る安全プラン」という提言を出させていただいたんですが、やはり学校の防犯力を強化したり、地域と子供の結びつきを深めることをしたり、防犯性の高い地域環境をつくるために、防犯環境設計というものに配慮したインフラにしなきゃいけないとか、あるいは、防犯まちづくり推進基本計画みたいなものを国また自治体レベルでつくらなきゃいけない、こういう提言をさせていただきました。
先生、このあたりの分析、非常にお詳しいものですから、分析と私どもの取り組みについて、お言葉をいただきたいと思います。

○前田参考人 御質問、ありがとうございます。
私などいろいろなところでしゃべらせていただいた内容と今の大口先生の内容、ほぼ重なっているといいますか、そういうことが必要だということなんですが、一つだけ申し述べておきたいのは、次長通達が原因でというのは、書いた言葉があれなんですが、きっかけなんですね。
やはり、なぜ検挙率が落ちたかといえば、犯罪数に対して警察官の数が基本的に足りないから、力関係で落ちていくんで、それはもうどの県警でも、事件負担の多いところほど検挙率が下がるという、完全な、きれいな相関がありますので、それはある程度科学的に立証できているんだと思うんです。
あと、あのときには、やはり警察官の勤務体制を変えて、勤務時間を一般の人に合わせて、週休二日とかいろいろな問題があって、実質減員になったわけですね。減員になったのに増員しないで、しかも通達が出てという状況の中で、検挙率が落ち出した。
その中で、では警察官を増員すればいいということですけれども、それはそう簡単にはいかないということで、やはり地域の力も入れて犯罪を少なくしていく、あらゆる資源を使って犯罪を少なくしていかなければいけない状況だということで、御提言のあった施策、泉先生のさっきの御指摘とも全く私はつながっていると思いますし、神奈川の知事さんのやっているのも私は同じだと思いますね。埼玉もそうだと思います。その方向性がぜひ必要だ。
その中で私が申し上げたかったのは、警察官の仕事の中で何が現場で一番大変かというと、書類づくりなんですよね。捜査上、いろいろなことをやっていく中で、確かに会計の可視化、明確化というのは非常に大事なんですが、そのハードルをどの程度にしておくのか、また、負担を少なくしながら国民から批判されないような制度を考えていただきたい。
書類づくりに追われて、出張行くのにも、行って帰ってというようなことを、それは当たり前だといえば当たり前なんですが、少ない人数でこれだけ事件がふえている中で、現場の活動時間をどう担保していくか。そういう視点も入れていただきたいということを申し上げたつもりなんです。

○大口委員 先生のおっしゃったこと、よくわかりました。
やはり、一つはそういう面におきます、また、人員の増員も私も要求しているんです。今回、三千百五十名ふえましたけれども、これはしっかりやっていかなきゃいけない。それから、非常に事務の効率化ということもやっていかなきゃいけない。それとともに、やはり地域の防犯力、地域の方の応援、まさに自分たちの地域は自分たちで守るということ、こういうことについて、やはり今回の不祥事というのは非常に、余りいい影響じゃない、こう思っておりまして、ここはやはりしっかりとしていかなきゃいけないな、私そう思っております。
次に、市川先生それから前田先生にお伺いしたいんですが、市川先生が今回のことについて、やはりきちっと、例えば報償費については道費ですので、北海道あるいは都道府県の監査委員による監査をしっかりやるべきだ、それから今後については会計検査院の検査をしっかりやるべきだ、その場合どうしても捜査の支障という理由で壁があると。私は北海道の道会議員とも、我が党の議員ともいろいろ話をしたんですが、捜査の協力者、これに対して当たれない、監査委員の場合は捜査員にも当たれなかったわけですから。今回当たれるようになった。さらにその先の情報提供者、協力者に対して当たれないということが非常にネックになっている。
私もこの前の四月十四日のこの委員会におきまして、会計検査院に対して、捜査協力者に対して直接当たるということについてどうなのか、こういう質問をしたんです。
それに対して、会計検査院の方は、「協力者にもさまざまな態様があろうかというふうにも考えますので、どういった場合が可能でどういった方法がとれるのかということにつきまして、その方法をいま少し探ってみたいと思います」こういうことで、今までは全く会計検査院もノータッチであったわけですが、今は検討します、こういうふうに言っておりました。また、小野国家公安委員長についても、それとパラレルな、若干それよりは控え目でありましたが、そういう答弁もありました。
ここら辺につきまして、捜査協力者に当たるということ、こういうことと捜査の支障という問題、ここをどう調和するかということが大事だと思うんですが、それについての両先生の御見解をお伺いしたいと思います。

○市川参考人 まず前提として、今まで本当に協力者にお金が渡るような書類のつくり方がされていたのかという点が問題になろうかと思います。といいますのは、原田さんの証言あるいは弟子屈署での斎藤さんのお話、きょう持ってきた弟子屈署での設定書の問題、あるいは警察本部会計課からの副署長、次長に対する研修資料などを見ても、本当に捜査のためにつくった書類というものがつくられているのかどうかが出発点だろうと思います。
先ほど、私、稲葉さんの事件で情報公開の訴訟をしていると言いました。稲葉さんは自分の事件の被告人として公判廷でどう証言したかというと、首なし一万、つまり被疑者なしで銃だけが出てくる場合で一万円を払っていた、自首の場合に三万だと。そのお金がどう払われているか、どの予算から出されているか。本人は、警部ですね、わからないと証言しているんです。現金を上司からもらって渡していた、それだけなんですね。つまり、そこでは支出に関しての精算もなければ、領収書もなければ、支出伺いも恐らくないでしょう。
それで私は情報公開請求をしたら、存否を明らかにしないという回答が来たんです。恐らく僕はないだろうと思っています。つまり、実際の捜査についてそういう領収書類はない可能性が極めて高い。そういう状況の中で、捜査上の支障があるから見せられません、あるいは名前を書かれている協力者に当たれませんというのは、事実からすれば非常に奇異な感じを受けます。それは単に隠しているだけではないかということですね。
ですから、一般的に捜査上の支障、どういうものがあるのか、それについてどうすべきかの議論の前に、何度も言いますが、今実際現場で何がどう行われているのか、それをはっきりさせることが大事だ。それをはっきりさせるには、まず、捜査費、捜査報償費については協力者の名前を開示して、監査委員、会計検査院がそれぞれ当たれるということが大前提ではないかと思っております。
〔今津委員長代理退席、大村委員長代理着席〕

○前田参考人 私、さっきもちらっと申し上げたんですが、やはり協力者の秘密性みたいなものといいますか、その方の情報が外に漏れないということが、システム運営上、不可欠のものだと思います。ですから、それは今後も、警察の捜査の中にはどうしてもその部分は残らざるを得ないと私は思っております。それ自体は国民の御理解をいただけると思うんです。
あと、存否応答拒否の問題が今出されたんですが、私も実は、要するに審査する側で、警察情報を出す出さないということで存否応答拒否をするということ、まあ北海道ではございませんけれども、判断するのに悩ましいところはありますが、やはりそれが出てしまうと、それだけで、協力者の身辺が危なくなるとかいう問題はないにしろ、システムが動かなくなるという問題はあるんですね。ですから、非常に信頼のできる方で、絶対外に出ない人がみんなの代表として出てきて、そこでチェックするみたいなシステム、今の情報公開の審査というのはある部分そうなっているわけですけれども、その手のものというのは非常に合理的だと思いますが、それがマスコミを通じて外に出てしまうようなものをやってしまうと捜査は死んでしまうということだと思っております。

○大口委員 この前北海道に行ってまいりました。小幡先生にちょっとお伺いしたいんですが、佐野文男北海道公安委員長からいろいろお話をお伺いしました。
その中で、事後の情報というのは入ってくるわけですが、先取りした情報というのが必要だ。ところが、現在のシステムでは情報収集能力の強化というのは不可能だ。また、何かあった場合は応援体制は必要だと。これは、現職の北海道の公安委員長の佐野文男さんという方がおっしゃっておるわけです。
そういう点で、こういう不祥事をきっかけにして、あるいはせっかく平成十二年に警察法の改正をして公安委員会の管理機能の強化ということをされたわけですが、それが本当に、実際平成十三年からですのでこれからだと思うんですが、まだまだ改善しなきゃいけないところがあるんではないかな、こういうふうに思っております。
その一つとして、確かに独立の事務局を設けることについてはいろいろ議論があります。それはまた議論しなきゃいけないと思いますが、それとともに改善策として、例えばこういう一般の市民の代表として一応公安委員会委員に任命される、国家公安委員とまた都道府県の公安委員、それぞれ違うと思いますが、人が大事だなと。だれを人選するかが非常に大事だな、これが一つ。
それから、例えば法律の専門家だとか会計の専門家ですとか、こういういろいろ専門家のアドバイザー制度といいますか、サポート制度といいますか、これは外部のですけれども、こういう制度があってもいいんじゃないかな。ただ、これも一本釣りで指名するというより、例えば弁護士会なら弁護士会から推薦をもらうとか、あるいは会計士協会や税理士協会から推薦をもらうとか、会として推薦していただくという形にして、サポート体制といいますか、こういうものが必要ではないか。
あるいは、監察の指示権につきましても、先生、四例あるということですが、国家公安委員会においては一回も例がない。地方においては四例あるということで、こういう監察の指示権というものが本当に機能できるのか。
これを機能させるということを考えますと、例えば先生もおっしゃっていますように、住民の苦情申し出制度、こういうものと連携していけば、監察の指示権も、情報を入手してできるんじゃないか、こういうことですが、なかなかこれがまだ行き渡っていないといいますか、平成十四年度で警察あてに対しては一万三千八百八十六、苦情の申し出があるんですが、要するに、公安委員会に対する文書による苦情申し出というのは四百五十六件しかないわけですね。
あるいは、この苦情申し出というのは警察職員もできるということですから、内部通報ということでヘルプラインにもなるわけですが、まだまだこのあたりが十分機能していないということで、これについてやはり機能させるための改善点がないのかな、こういうふうに思っておるわけです。
そういうことで、今二点申し上げましたが、サポート体制のことと、それから苦情申し出制度についての改善のお考え、私どもの今提案した意見に対する評価をいただければと思います。

○小幡参考人 御質問ありがとうございました。
まず、サポート体制でございますけれども、確かに人選が一番難しいところではないかと思います。公安委員というのは大変な責任を持っている仕事になりますので、これは一般の方といっても、なろうとされる方は大変な職務を負われるわけで、これは確かに客観的に見てもなかなか難しい人選であろうと思います。中には、弁護士さん、法律家あるいは会計に詳しい方がなっていらっしゃる例もあるやに聞いておりますけれども、必ずしもすべての都道府県でそういうわけではないということもおっしゃるとおりであると思います。
私は、そうであっても、本来の姿は、管理権限、人事上の権限も持ってございますので、本来は何でも指示してコントロールできるはずであると思います。ただ、それが必ずしもそうでないというお話もあるということでございますので、それは、まさに公安委員会の方々が、平成十二年改正にのっとった形で、可能であるのだからという形で、できるだけ適切な対応をしていただきたいと思います。
ただ、例えば専門委員、犯罪被害者等のところにございますけれども、そういうのを置いてはというのも選択肢としては私はあるのではないかと思います。ただ、何人置くのかとか、あるいは法律の専門家を置けばそれでよいのか、そのあたりがなかなか、詰めなければいけない話かなと存じております。
それから、もう一点は……(大口委員「苦情申し出」と呼ぶ)そうですね。
これも平成十二年に入ったばかりでございまして、まさにおっしゃるように、警察の方が公安委員会に苦情を申し出するということも十分考えられるわけでございます。こういうものを使えば、なかなか警察内部で言いにくいことも直接公安委員会の耳に入るということになりますので、ぜひとも、こういうのを使えば、まさに内部告発も可能ですし、非常に有効だと思いますが、実際に平成十三年に動き出しておりまして、確かに周知という点でいうならば、まだ若干足りないのかなと。
ただ、現実には国民の方からはかなり使われ出しておりますので、私は、公安委員会が動き出すときの端緒になるのではないかということで、今後ますますこれが周知徹底されますことを期待しております。
〔大村委員長代理退席、委員長着席〕

○大口委員 どうもありがとうございました。時間が来ましたので終わります。

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