大口よしのりの政策・実績

大口よしのり国会質問

大口よしのり国会質問

2004年5月25日

159-参-内閣委員会-15号 平成16年05月25日

○衆議院議員(大口善徳君) 公明党の大口でございます。
まず初めに、今日こうやって消費者基本法が皆さんに御審議いただける、衆議院を通過してここに至ったことに対して、非常に感慨深いものがありますし、また心から感謝申し上げたいと思います。
私どもも、三十六年ぶりの改正だと、これは消費者政策の憲法だということで、歴史的な使命というものを実感しながら、自民党の先生、そしてまた民主党の先生あるいは各会派の方々と本当に議論をして、その議論の過程の中でこの案というものをどんどん深化させて、そして委員長提案という形になったわけでございます。そういう点で、議会の一つの在り方として私は非常にいい体験をさせていただいたと。これも感謝しておるわけでございます。
そして、そういう使命感に立って、今回、まずこの現状の認識、これを明確にしていかなきゃいけない。
確かに、規制緩和の流れがあります。そういう点で、ただ単に消費者を規制によって保護する、外部から保護すると、こういう流れから規制緩和の流れになってまいりました。そして、消費者というのは、市場社会において重要なプレーヤーという立場になっていかなきゃいけない。その中で、この市場のゆがみというものも、これも消費者がその重要なプレーヤーとして是正していく、こういう役回りもある、そしてまた消費者団体もそういう役割があると、こういう認識がございます。そして、ただ、厳然とこの消費者とそれから事業者との間には、情報力あるいは交渉力等の構造的な格差、これも存在していることは事実でございまして、消費者トラブルは今、長期的になお増加を続けていることは今いろいろな答弁あるいは委員の御指摘があったとおりでございます。
そういう点で、この規制緩和の流れ、IT化、国際化の進展の影響を受けて、そのトラブルの内容も商品又はその品質ということからむしろ役務の、サービスの方のトラブルが六割を占めるとか、あるいは契約におけるトラブルも占めている、あるいはIT化によるトラブルも増えていると。こういうことからいきますと、やはりこの構造的な格差というものにしっかりと着目して、第一条の中でその「格差にかんがみ」という形で条文に規定をさせていただいて、こういう認識の下に、保護から自立への転換というそういう言葉もあるわけですが、私はむしろこの自立の名の下に保護の視点が後退する危険性、これがもうあるということで、私としましては、これは我が党も長年主張し続けてきました消費者の権利、これを明確にすべきであると。消費者の権利のまた主体がこれが消費者である、そういう点ではこの基本法における位置付けも、消費者の位置付けをこれを保護の対象から権利の主体へと転換すると、こういう意義付けをやったわけでございます。そして、二十一世紀にふさわしい消費者主権の拡大に向けて本改正案を提案したわけです。
やはり、先生御指摘のように、私ども特に強く我が党で主張したのは、第一条の目的にこの「消費者の権利」というものを、この文言を入れたいということでいろいろ議論をさせていただきました。やはり、この目的に「消費者の権利の尊重」というものを入れることによって、この条文全体がこの消費者の権利の尊重ということを目指しているんだということも明確にさせていただいたわけであります。ですから、この条文というのが消費者の権利というものの尊重という目的のために作られたということを明確にさせていただいたということもどうか御理解いただきたいと思います。

○魚住裕一郎君 提案者の情熱が伝わってくる御答弁で、ありがとうございます。
その消費者の権利でございますけれども、私も勉強させていただきましたけれども、何かえらい古いケネディ大統領の特別教書の中に出てくるというのが出発点のようでございますが、一九六二年ですわ。また、先ほど神本委員からも、理事からもございましたけれども、この国際消費者機構の名が出てくるのも一九八二年という、二十世紀の後半の方に出てきた考え方なんだと思いますが、我が先進国日本もようやく二十一世紀の頭になって、先生方の御努力によってようやく出てきたなというふうな感慨を持つわけでございますが、それは具体的には基本理念と言われております第二条にその具体化になっているのかなというふうに思いますが、この第二条の意義についてもうちょっと御説明をいただけますでしょうか。

○魚住裕一郎君 今御説明の中にもありましたように、いろんな状況を踏まえながら、状況に的確に対応するという、的確にというような表現が何か所かございます。
そこで、第九条では消費者基本計画ということが規定されておりますが、政府はこの消費者基本計画というものを定めなければならない。その中で、長期的に講ずべき消費者政策の大綱、これをやはり社会の実態を的確にとらえて消費者政策を推進するということになりますと、幅広に御意見を各所から聞かなきゃいけないのかと思うわけでございますが、その策定作業という手順はどのようになるというふうにお考えでしょうか。これは内閣府の方からお願いします。

○政府参考人(永谷安賢君) 第九条の消費者基本計画の策定の手順について、社会の実態を反映されるようにきちっと消費者等の意見を聞いてやれという御指摘であります。
もうこれは今、大口先生の御説明にもございましたように、今回の基本理念の中で、消費者の意見が消費者政策に反映されることは消費者の権利というふうに位置付けられております。それを受けまして、この法案の十八条では、消費者の意見の反映及び施策の策定過程の透明性の確保というのが国の基本的な施策の方向というふうにされております。したがいまして、消費者政策の立案でありますとか推進に当たりましては、その消費者の意見を最大限反映させていくということはとりわけ重要であろうというふうに認識しております。
今先生御指摘の消費者基本計画でありますけれども、消費者政策会議がこの案を策定するわけですけれども、その消費者政策会議がこの案を策定するに当たっては、消費者の代表を含む国民生活審議会の意見を聴くというふうにされております。それが一つ。それからもう一つは、パブリックコメント等で消費者団体を含めた国民各層からの意見を聞いてこれを作っていくというふうに、今の時点では考えております。

○魚住裕一郎君 先生方の御苦労にもかかわらず、そんなにでかい大部な法律ではないので私もざっと目を通させていただきましたけれども、いわゆる団体訴訟の規定がないんですね。私も弁護士の端くれやっておりましたから、えっという、そんなふうに感ぜざるを得ませんでした。やはり悪徳商法とか、そういった場合、テレビニュースとかでも、何とか被害者弁護団みたいな、そういうような形でやりますわね。やはり被害額、一人一人は少額なんだけれども、でも、幅広な社会問題になるような、そういうような案件もございます。
団体訴訟というと、イギリスでもフランスでもドイツでも、またアジアでもタイとかインドネシアとか導入をしているようでございますが、二十一世紀最初になって、それはもう自民、公明、また民主の皆さん方の中でいろんな議論をされたんだろうなというふうに思いますし、また、政府においても検討が進んでいるんだろうなと承知をするところでございますが、この導入するかどうかという議論始まっているようでございますが、その議論の進捗具合、また見通し、論点等について簡潔にちょっと御説明をいただきたいと思います。

○政府参考人(永谷安賢君) 団体訴訟制度の導入に関する御質問でございます。
私どもで昨年、消費者政策部会、国民生活審議会の消費者政策部会の中で二十一世紀型の消費者政策の在り方ということを御議論させていただいております。その結果が昨年の五月に報告書として出されておりますけれども、その報告書の中で、制度の導入が必要である、特に、消費者被害の発生、拡散を防止するための差止め制度を導入することが必要である旨の提言をいただいております。これを踏まえまして、先般、この消費者政策部会の下に検討委員会を設置していただきまして、実は昨日その第一回目の検討委員会が開催されたという状況になっております。
これ、今先生もおっしゃっていましたように、消費者団体訴訟制度でありますけれども、一定の適格性を有する消費者団体に対して訴訟を提起する権利を認めている、認める制度であります。論点としては、例えば、どのような内容の訴権をどういうような団体に認めるのが適当かというようなこと等が考えられております。
私ども、本年末を目途に何らかの形の成果を取りまとめられればということで今作業をしているという状況であります。

○魚住裕一郎君 同じ弁護士として先輩に当たります大口先生、多分この議論の中でかなり大きな声でおっしゃったんではないのかなと推測するわけでございますが、その点はどうだったんでしょうか。

○衆議院議員(大口善徳君) 今先生御指摘のとおり、この団体訴権の問題がこれ非常に重要な問題であるわけです。それで、当然、この問題につきましては自民党、民主党そして公明党、本当にいろいろと議論をさせていただきました。
そういう中で、僕は、着実に進めていくべきだということで、早急にこれはこの団体訴権を認めていくべきだ。我が党のマニフェストの項目の中にも入れたわけでございますが、それで、じゃ、この消費者基本法に芽出しを、何とかこの思いをこの規定の中に盛り込みたいと、こういうことでいろいろと議論をさせていただきまして、第八条に、ここに、消費者団体は、消費者生活に関する情報の収集及び提供並びに意見の表明、消費者に対する啓蒙及び教育、そして消費者の被害の防止及び救済のための活動その他の消費者の消費生活の安定及び向上を図るための健全かつ自主的な活動に努めるものとすると、こういうことで、消費者団体の活動の中にこの被害の、消費者の被害の防止及び救済のための活動、こういうものを盛り込みまして、そしてさらに、二十六条に「国は、国民の消費生活の安定及び向上を図るため、消費者団体の健全かつ自主的な活動が促進されるよう必要な施策を講ずるものとする。」と。消費者団体の活動の中に、この八条に消費者の被害の防止及び救済のための活動というのがあるわけです。それと対応しておりまして、この活動が促進されるよう必要な施策を講ずるものとするという形で、団体訴権についての思いをこの八条、二十六条に込めていると、こういうことでございます。

○魚住裕一郎君 何か御苦労が手に取るように御説明をしていただいたわけでございますが、ただ、今話題となっておりますが、ADRというようなこと言われておりますけれども、ただ、あれはやはり仲裁とか和解とかそういうようなものでございまして、ADRに逆に逃げ込まれないように、やはり私たちしっかりまた進展を見ていかなきゃいけないなというふうに思うところでございます。
それで、御説明いただいてきたわけでございますが、やはり保護の対象から権利の主体にということで、またそれに向けての施策をしていくということでございますので、やはり本当に大きな社会の変化にも資する法律案であるというふうに承知をするものでございますが、それに応じてやはり、消費者ももちろんでございますが、企業もこの意識改革というものをしっかり図っていかなきゃいけないなというふうに思いますが、今後、こういうことに、この点につきましてどのような取組になっていくのか、その点について御説明をいただきたいと思います。じゃ、大口先生。

○衆議院議員(大口善徳君) 今先生御指摘いただいた、企業、事業者の意識改革、これをしっかりやっていかなきゃいけない、もう本当に当然のことでございまして、この第五条の二項に、事業者はその云々書いておりまして、この事業活動に関し自ら遵守すべき基準を作成すること等により消費者の信頼を確保するよう努めなければならないと、こういうことでコンプライアンス経営というものを非常に今やっておる。コンプライアンス経営ができない企業はもう駄目だと、こういうような状況が醸成されなきゃいけないと、こう思うわけです。
そういう点で消費者の側も、そういう点では消費者が市場社会における重要なプレーヤーとして、そういう企業のコンプライアンス経営がちゃんとなっているかどうかということもチェックするということも私は非常に大事ではないかなと、こう思っておるわけでございます。
そういうことで、私ども、もう一つ我々の方でいろいろこの条文作りの中で検討させていただいたことは、やはり今回、この十七条の中で啓発活動及び教育の推進と、こういうものを規定をさせていただきました。国は、消費者の自立を支援するため、消費生活に関する知識の普及及び情報の提供等、消費者に対する啓蒙、啓発活動を推進するとともに、消費者が生涯にわたって消費生活についての学習する機会があまねく求められている状況から、学校、地域、家庭、職域その他の様々な場を通じて消費生活に関する教育を充実する等必要な施策を講ずるものとすると、こういうふうに、また地方公共団体も同様の施策を講ずるように努めなければならないと、こういうことで、企業の意識の改革とともに、また消費者の意識の改革もしなきゃいけません。そのためには、学校の教育それから地域における教育、それとやっぱり生涯学習ということでいきましたら、さらに、家庭、そして職域においてもこういう生涯学習という観点から意識改革をしていくことが大事だと。
特に、私ども、各界の御理解をいただきまして、この十七条に家庭、職域ということを具体的に規定させていただいた意義は大きいと、こう思います。とにかく、高齢者の方あるいは若年者の方、そういう点では知識不足だということで消費者トラブルに巻き込まれやすい、こういうことにかんがみますと、生涯学習の重要性を踏まえ、消費者が生涯にわたって消費生活について学習する機会をあまねく求められる状況にかんがみてこういう規定を置かさせていただいたということでございますので、御理解いただきたいと思います。

○魚住裕一郎君 これで質問を終わりますけれども、再度皆様方の御苦労に敬意を表して、質問を終わります。

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