大口よしのりの政策・実績

大口よしのり国会質問

大口よしのり国会質問

2004年5月26日

159-衆-内閣委員会-17号 平成16年05月26日

○大口委員 公明党の大口でございます。
五月二十二日の小泉総理と金正日国防委員長との首脳会談の結果、日朝平壌宣言が日朝関係の基礎であることが再確認された。総理の大局的な見地に立った行動を評価します。
総理のリスクを覚悟の決断によって、蓮池、地村両家の御家族五名の帰国が実現したことは大変喜ばしいことであり、長い間この日の来ることを待ち続けてこられた御家族の皆様に対し、心からお喜び申し上げたいと思います。曽我さん御一家については胸の痛む思いでありますが、第三国での再会について政府を挙げてバックアップを行い、早期に実現していくべきだと考えます。
また、これまで北朝鮮側が解決済みとしていた十名の安否不明の方々について、白紙の状態から本格的な再調査を行うことになった。北朝鮮が拉致問題を小出しにして取引に利用しているようにも見えますが、真相解明に向けてこれからが正念場であり、政府と我々が一丸となって、四半世紀に及ぶ苦しみに必死で耐えて闘っておられる拉致被害者の御家族の方々、国民が納得できる結果を出さなければならない、こう思っておるわけでございます。
そのほか、弾道ミサイルの発射実験のモラトリアム、一時停止が確認され、核、ミサイル問題では、金国防委員長から、朝鮮半島の非核化が最終目標、核の凍結は非核化の第一歩であり検証を伴うのは当然、六者会合を活用した平和的解決に向け努力する旨表明があった。六カ国協議における北朝鮮の出方をしっかりと見きわめなければなりませんが、一歩前進である、こう考えます。
そこで、これから質問させていただきたいと思います。
まず、曽我さん御一家の再会についてでございます。
国交正常化交渉再開の前提条件である曽我さん御一家の再会について、政府は、ジェンキンス氏に対して、日本への入国について、日米地位協定や日米犯罪人引き渡し条約上の日本の法的義務の説明、米国の訴追免除の担保を示す必要があります。さらに、再会場所について、ジェンキンス氏と二人の娘さんの自由な意思決定に対する北朝鮮の影響力を排除しなければなりません。また、米国の犯罪人引き渡し条約締結の相手国、百九カ国一地域を避け、これは香港を含みます、曽我ひとみさんの意向も尊重しなければなりません。
これらの点を十分考慮して、できるだけ早い再会の時期、場所、相当長い滞在期間、具体的な財政支援等を検討すべきであると思いますが、政府はどのように考えておられましょうか、御答弁を願います。

○細田国務大臣 小泉総理訪朝の際に金正日委員長からもそういう指摘があって、ジェンキンス氏はみずからどうしても日本に出られる意思がないようだ、このことは直接お会いして確認もしてほしい、お嬢さんも近くに来ておられるからお会いしてほしいということでございました。そうして、一時間にわたりましていろいろお話を申し上げましたが、ジェンキンス氏は、過去のことについて、アメリカから常にかなり情報も得ておられるような感じでございまして、アメリカはそれほど甘くはない、だから本当に自分の身が安全であるかどうかについては非常に不安を持っておるということを言われて、日本にこのまま移るということについてはどうしても了承しなかったわけでございます。
そこで、どうなんだろうか、例えば北京という話はしたのでございますけれども、総理から、そういうところで家族水入らずで四人でお話しになってはどうかということを言いましたら、ジェンキンスさんはむしろ、それは自分も考えた案なんだ、それを提案したぐらいの案であって、強く望むというお話がございました。私は、日本側におって、そういうことでいいかということで曽我ひとみさんに直接お話ししましたら、どこかの、第三の地でお会いして、いろんな話をしたいということを言われましたので、じゃ、そういうことでということでございます。
ただ、場所の選定につきましては、大口議員が今言われますようにさまざまな条件がございますので、要は、四人の御家族が水入らずで、いろんなことに煩わされたりおかしなことにならないようにしながら、意見を交換して、将来の御家族のありようを決めていただくということが一番大事だと思っておりますので、私ども、今緊急に、曽我ひとみさん御自身、そしてジェンキンスさん、お嬢さん、そして間に立つ日本政府、北朝鮮の政府との間で協議を開始しておりまして、最もいい場所の選定をいたしたいと思っておるところでございます。
まだ方向は決まっておりませんが、考え方は大口議員がおっしゃったとおりでございます。(大口委員「財政支援は」と呼ぶ)財政というのはどちらの……(大口委員「経済的な支援です」と呼ぶ)その人たちに対するですね。
当然ながら、支援室でいろいろ支援、これまでもやってきておりますし、そのための支援体制は万全を期してまいりたいと思っております。

○大口委員 次に、十人の安否不明の方々について、白紙に戻す、本格的な再調査をする、こう北朝鮮側は約束したわけでございます。北朝鮮側の単なる時間的な引き延ばしにすぎないという批判もあるわけでございますが、この再調査について、具体的で実効ある調査体制を早急につくるべきだと考えます。
そこでまず、この白紙の意味について、五月二十三日、山崎官房副長官はテレビ番組で、金委員長が従来の調査結果の内容の誤りを認めたと受けとめても構わないと言明した。これは政府の公式見解でありましょうか。
さらに、政府は、十人の安否不明の方々、新たな拉致被害者と認定された方々の真相究明について、我が国が参加する調査体制をどのように構築するのか、日本独自の情報収集はどのように行っていくのか。
北朝鮮からの十人の安否不明の方々の調査結果が証拠に基づく客観的、合理的なものでない場合、日朝国交正常化交渉を再開すべきでないと私は考えるわけですが、正常化交渉の再開の前提条件として、このような証拠に基づく客観的、合理的な調査結果というものが前提条件であるかないかについて、昨日の総理の本会議における答弁と官房長官のお話とがまた食い違いもあるように考えます。その点について、整理して御答弁願いたいと思います。

○細田国務大臣 まず、白紙の意味でございますけれども、これまで北朝鮮は、もう本件は解決済みである、すべて回答したと主張して、一切のそれと異なることを認めなかったということは御存じのとおりでございますので、白紙に戻って本格的に、早期にかつ徹底した調査を行うと言明したことは、従来の姿勢を改めたものと私どもは解釈しております。
次の、調査期限の問題とか調査への参加とかという調査のあり方の問題でありますが、基本的には向こうの、北朝鮮側においてその人たちがどういうふうに生活しておったか、今しておるかということは、彼らは当然情報として持っているはずですね。これは間違った結果にしても、その八人はかくかくしかじかであったとわざわざ言ったわけですから。ということは、その人を一応確認して、その上で、結論がどうかはわかりませんが、情報を提供したということは、今ここにおられればすぐにわかるわけですから、速やかにそういうことを、調査を、結果をこちらに通報すべきでありますし、二名の方は、いや全く確認できないと言っていますけれども、状況から見て当然知っておるはずでございますので、この点は速やかに接触を行って話し合う必要があり、先ほどもちょっと御答弁いたしたんですが、こちらからの問題意識も提示していかなきゃならないと思っております。
情報収集は、こちら側でもいろいろな形でございます。また、こちらで、このたび帰国された皆さんもいろいろ情報も自分なりに持っておられるというようなことも言っておられますが、十分このあたりも伺いながら、こちらとしての情報を煮詰めていきたいと思っております。
そういった交渉は、当然早期に始まるものと思っております。総理の言い方は、当然始まると約束しているんだから、正常化交渉というのも直ちにすべてが進むというわけじゃないから、まずいろんな問題から、それではやりましょう、この問題はどうしましょうかというような話し合いですから、それは始めてもいいんじゃないかという意味で言われたと思っておりますが、やはり今回、十人の御家族の方々の非常な強い御心配がありますから、この問題を精力的に取り組んでまいることも私は本当に大切なことであると思っております。

○大口委員 次に、総理は、日朝平壌宣言を遵守する限り制裁措置を発動しないと表明しました。北朝鮮は現在、日朝平壌宣言の第三項、第四項を遵守していると言えるのでしょうか。

○細田国務大臣 さまざまな経緯がありまして、最初に、一年八カ月前に総理が行かれて、その後、核、ミサイル政策などについても非常にその主張を変えてみたり、それから、拉致の問題についても、一たん帰国したものを帰さなきゃだめだとか、十人のものは解決済みだとか、いろんなことを言いましたね。いろんなことを言っている間に、主張には揺れがあって、このたびようやくもとの線に戻りながら前向きに取り組もうとしておりますので、私はこの平壌宣言の条項に戻りつつあるのかなというふうには考えております。

○大口委員 戻りつつあるということは、今は違反している状態だというふうに思うわけでございます。
いずれにしましても、今回、与野党で今、特定船舶入港禁止法の調整をしているわけでございますけれども、やはり、この法律の制定に向けて私どもも全力を挙げてまいりたい、こういうふうに考えております。
それでまた、ずさんな調査の結果ですとか、あるいは核、ミサイルについて六カ国協議で不誠実な対応があれば、これは日朝平壌宣言の履行の誠実な態度が見られない、こういうふうに私どもは判断したい、こういうふうに考えております。
そしてまた次に、拉致、核、ミサイル問題の包括的解決なしに日朝国交正常化はあり得ない、こういうように考えておるわけでございますけれども、これについての政府の御認識と、今後の日朝国交正常化へのロードマップをお伺いしたいと思います。

○細田国務大臣 政府といたしましては、日朝平壌宣言に沿いまして、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決して、その上で、北東アジアの平和と安定に資する形で日朝国交正常化を実現するとの一貫した基本方針を堅持しておりまして、これに基づいて、引き続き対北朝鮮外交を進めていく考え方であります。
国交正常化交渉の再開に関しましては、政府として、かねてから、拉致被害者五名の御家族の速やかな帰国を実現し、その上で、再開された正常化交渉の中で安否不明者の真相究明も行っていく方針をとってまいりました。今回、日朝首脳会談によりまして、八名の御家族のうち五名の帰国が実現しました。残る三名の御家族については、御本人の意向もあり帰国は実現しなかったけれども、これについては、今後第三国における再会を実現すべく調整していくことで双方が一致いたしました。したがいまして、政府としては、今回の首脳会談を踏まえて、しかるべき時期に日朝国交正常化交渉の再開に向けて調整を行っていく考えであります。
今次総理訪朝に際しましては、北朝鮮が安否不明者の真相究明についても再度着手する旨約束しており、政府としては、その進展も見つつ、必要に応じて国交正常化交渉の中でも真相究明を強く求めていく考えであります。
いずれにしても、政府としては、国交正常化が実現されるに当たりましては、この真相究明や核、ミサイル問題の解決が行われることが必要であると考えております。

○大口委員 小泉総理の再訪朝について、政治家の中には評論家的な批判をする方もいらっしゃいますが、非常に違和感を感じます。国交正常化及び国交正常化後の本格的な経済協力が日本にとって北朝鮮に対する最強のカードであり、これを最大限活用して、包括的解決の実現に向け、政府、私ども、一丸となって全力を尽くしてまいる、そういう決意と考えを示しまして、質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。

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