大口よしのりの政策・実績

大口よしのり国会質問

大口よしのり国会質問

2007年3月13日

166-衆-法務委員会-5号 平成19年03月13日

○大口委員 公明党の大口でございます。
今回、二本の法律が審議されるわけでございます。執行官法の一部を改正する法律案、これにつきましては、今回、恩給の受給者の実情、そして執行官は手数料制である、そういう特別の公務員である、そしてまた年金制度の官民格差等の状況を踏まえて、暫定措置である恩給を廃止する、こういうことになったわけでありまして、これで単年度で五億円の削減、こういう大きな改革をされたということで、私、評価をしたいと思っております。ただ、執行官の人材確保に対する影響等もしっかり考えていただきたい、このことを指摘しておきたいと思います。
次に、裁判所職員定員法の法律案について質問をさせていただきたいと思います。
この件につきましては、民事訴訟事件及び刑事訴訟事件の適正かつ迅速な処理を図るとともに、裁判員制度導入の体制の整備を図るため、判事の員数を四十人、判事補の員数を三十五人増加する、こういう理由づけから、七十五名増加、こういう内容であるわけでございます。
私ども、最高裁判所から、最近の民事訴訟事件、刑事訴訟事件の新受件数、この推移についてお伺いしました。
まず、民事訴訟事件の新受件数が、平成三年以降おおむね増加を続けていて、平成十六年四月から人事訴訟が家庭裁判所に移管されたことや簡易裁判所の事物管轄が拡大されたということもありまして、平成十六年、十四万五千四百九十七件、平成十七年、十三万八千九百件と若干減少しましたが、平成十八年、十五万四千八百九十二件と、前年と比べても増加傾向にある。
また、刑事訴訟事件の新受人員、これは平成五年以降大幅な増加傾向にある。平成十七年は十一万一千七百二十四、平成十八年は十万六千十六、こういうことで、わずかながら減少しておりますけれども、依然高い水準にある、こういうふうに聞いております。
それから、裁判官一人当たりの手持ちの事件数、これにつきまして、東京地裁の民事部、一時期は三百件を超える単独事件の手持ち事件を抱える、こういう裁判官がいたわけであります。全国平均でも二百七十件前後と大変な重い負担状況であったわけでありますが、最近は二百件を下回る、こういう状況になっている、こういうふうにも聞いておりまして、裁判官の増員ということを計画的にやってきた、その成果がこの手持ち件数については上がっているんじゃないかな、こう思っておるわけでございます。
そういう中で、平成十三年の司法制度改革審議会で、訴訟の迅速化、専門化への対応等のために今後十年間で約五百人の裁判官の増員が必要であるとして、平成十四年から計画的に増員をしているということでございます。今回の改正でどれぐらい達成されるのか、その進捗状況、また今後の見通しについて、お伺いしたいと思います。

○高橋最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。
民事第一審訴訟事件の平均審理期間、既済事件の平均審理期間につきましては、平成十二年末で八・八カ月であったものが平成十八年末には七・八カ月と、約一カ月短縮しております。
このうち、実質的な審理を行った、人証調べを実施して対席判決により終了した事件の平均審理期間は、平成十二年末で二十・三カ月であったものが平成十八年末では十九・一カ月、これもやはり約一カ月程度短くなっております。
また、民事第一審訴訟未済事件のうち二年を超える長期未済事件は、平成十二年末で一万二千件以上あったものが平成十八年末では約六千二百件程度、約半分に減少しております。
さらに、審理の長期化が目立っておりました専門訴訟につきましては、医事関係訴訟では、平成十二年にその審理期間が三十五・六カ月でありましたものが平成十八年末には二十五・一カ月に、知的財産権関係の地裁の民事訴訟につきましては、平成十二年に二十一・六カ月でありましたものが平成十八年末には十二・四カ月に、それぞれ短縮されておりまして、大幅な審理期間の短縮が実現しております。

○大口委員 そういう中で、これからさらに増員をしていくということでございまして、その増員の計画について、どれぐらい達成できて、そしてこれからどうそれを達成させていくのか。十年間で五百人ということでございますので、その点についてお伺いしたいと思います。

○高橋最高裁判所長官代理者 裁判所は、先ほどの司法制度改革審議会におきまして、裁判の迅速化、専門化への対応等のために、十年間で裁判官約五百人の増員が必要であるという意見を申し述べたところでございます。平成十四年度から、計画性を持って、これに従いまして増員してきております。
今回の改正を含めまして、平成十四年度からの裁判官の増員の数は、約三百六十人でございます。この中には、裁判員制度導入のための体制整備等の増員分が含まれております。したがいまして、訴訟の迅速化、専門化への対応のための増員としては、約二百七十人の裁判官を増員してきていることになります。
平成二十年度以降も、訴訟の迅速化や専門的事件の処理状況を見ながら、計画的に必要な人員の増員を図っていきたいと考えております。

○大口委員 そういうことで、五百のうちの二百七十ということですから、あと二百三十、これを計画的に進めていく、こういうことなんでしょう。ただ、判事の供給源が問題でもあって、弁護士の任官等も進めていかないと、なかなかこの計画は達成できないのではないかなということですので、引き続き努力をしていただきたいというふうに考えておるわけでございます。
平成二十一年から裁判員制度が実施されることになっているわけですね。この裁判員制度の対象となる裁判の件数はどれぐらいと考えられるのか、そしてどれぐらいの裁判官の増員が必要と考えられるのか、裁判員制度の実施に伴う増員は、今回の改正を含めて、今までどの程度行われ、今後どのようにしていくのか、お伺いしたいと思います。

○高橋最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。
裁判員制度の対象となる刑事事件につきましては、これは将来の事件数の予測でございますので非常に困難でございますが、過去の新受件数をもとに推測いたしましたところ、約三千五百件程度になるのではないかというふうに考えております。
裁判員制度導入までに必要な裁判官の増員の数につきましては、裁判員制度の具体的な運用等について模擬裁判等を通じてさらに検討を進める必要がありますことから、いまだ確定的なことを申し上げる段階ではございませんが、これまでに最高裁や全国各地の裁判所において実施された模擬裁判の結果や、これまでの事件数等をもとに、現時点ではおおむね百五十人程度の増員が必要になるのではないかと考えております。
このような検討から、裁判所といたしましては、平成十七年度以降、裁判員制度導入の体制整備を理由の一つに加えて裁判官の増員を行ってきているところでございまして、平成十九年度までに裁判官約九十人の増員をこの裁判員制度の関係で図ることになります。また、平成二十年度以降も計画的に増員を図っていきたい、このように考えております。

○大口委員 そういう点で、二十年、二十一年であと三十人ずつ、これで百五十人、こういうことになると思います。着実に計画を進めていっていただきたいと思います。
これからも複雑で困難な専門的な訴訟が増加する傾向にある。適切かつ迅速にそういう事件等も処理していかなきゃいけない、裁判員制度の実施に伴って裁判官の増員が必要である、そういうことで、裁判官と協働する裁判官以外の人的な体制の充実、これも図る必要があるわけでございます。
今回の改正案では、裁判官のみの増員となっているわけですが、裁判所職員定員法第二条の裁判官以外の職員の改正は行われていないわけであります。裁判官以外の職員の人的な体制の充実はどのようになっているのかお伺いしたいとともに、政府の総人件費改革において、国の行政機関の職員の定員を五年間で五・七%以上純減することとされているわけです。もちろん裁判所は行政機関ではないわけですが、これについては尊重していく、こういうことでございまして、特に事務局的部門ですか、これについての定員削減の努力はしていかなきゃならないと思いますね。そこら辺について、裁判所のお考えをお伺いしたいと思います。

○高橋最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。
裁判所といたしましては、司法制度改革を実現するために、委員御指摘のとおり、事件処理体制を充実強化することが必要である、裁判官の増員を確保するとともに裁判官以外の職員についても必要な増員を確保しなければならない、そのように考えております。
そこで、新受事件数が依然高原状態にあり、特に、医療、建築等の複雑困難な事件が増加傾向にある民事訴訟事件、同じく新受事件数が増加傾向にある刑事訴訟事件及び家庭事件に適切に対処し、また裁判員制度導入後の体制整備を図るために、裁判所書記官を百三十人増員することとしております。純増が百人で振りかえが三十人でございます。
その一方で、政府の定員合理化計画に協力いたしまして、先ほど申し述べましたように、庁舎管理業務の合理化を図ることにより技能労務職員百人を削減し、さらに裁判所速記官二十人、裁判所事務官十人を振りかえで削減することにしております。
この結果、裁判官以外の裁判所職員の員数にはプラス・マイナスで増減はないことになりまして、裁判所職員定員法二条の改正を行う必要はないということになるわけでございます。今述べたとおり、必要な裁判所書記官の増員は行うということになります。
もう一つのお尋ねの政府の総人件費の削減の取り組みとの関係でございますが、裁判所といたしましては、司法制度改革を実現するために事件処理体制を充実強化することが必要でありまして、今後も裁判官、書記官等の必要な人員を確保しなければならないわけでございますが、裁判所も国家機関の一員として政府の総人件費削減計画に協力していくことが必要であるというふうに考えておりまして、以下のように体制整備のための最大限の努力を行ってきております。
裁判所は、政府からの定員削減計画への協力要請を受けまして、事務の性質が行政機関と類似する事務局部門につきまして、国家機関として、他の行政機関と同様に、事務の効率化等必要な内部努力を行いまして、定員削減に協力しております。
さらに、国の行政機関の定員を五年間で五・七%以上純減するという総人件費改革の政府方針が閣議決定され、裁判所等の特別機関に対しても協力要請がされたということを踏まえまして、平成十九年度におきましては、定員削減計画への協力分七十二人にさらに加えまして、内部努力としてさらに二十八人の削減を上積みして、技能労務職員百人の定員削減を行うこととした次第でございます。

○大口委員 平成十四年の十一月に知的財産基本法が成立しました。我が国は、知的財産立国を目指し、歩み始めたわけであります。
平成十七年四月に、知的財産に関する事件についての裁判の一層の充実、迅速化を図るために、知的財産高等裁判所が東京高等裁判所に設立されたわけでございます。この設立によって、知的財産関係訴訟はどのような変化があったのか。そしてまた、平成十八年六月に知的財産戦略本部が決定した知的財産推進計画二〇〇六、こういうものが決定されたわけでございます。今後の知的財産関係訴訟の見通しについて、お考えをお伺いしたいと思います。

○高橋最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。
まず、知的財産高等裁判所における知的財産訴訟の処理状況につきましては、知財高裁、知的財産高等裁判所が発足いたしました平成十七年四月から平成十八年の三月までの事件処理状況をその前の年の平成十六年四月から十七年三月までの東京高裁におけるそれと比較いたしますと、新受件数は相当数増加しているのに対しまして、未済事件数は減少しております。おおむね順調な事件処理が行われているというふうに考えられます。
また、平成十八年の一月から十二月までの平均審理期間は、知財高裁の審決取り消し訴訟は八・六カ月、侵害事件、これは民事訴訟の差しとめとか何かを求める侵害事件の控訴事件の審理期間が八・五カ月でございまして、平成十六年に比べますと、四カ月それから〇・五カ月、平成十七年に比べますと〇・八カ月、一・三カ月、それぞれ短縮しておりまして、知財高裁の発足の前後で知財訴訟の審理の一層の迅速化が図られたというふうに考えられます。
知財高裁におきましては、高裁レベルにおける事実上の判断統一を期待して導入された特許権等に関する訴え等のいわゆる五人合議制によりまして、これまで、著名な一太郎事件それからパラメーター事件それからインクカートリッジ事件について、判決の言い渡しがございました。このうち一太郎事件とパラメーター事件の二つの事件につきましては、上告が提起されることなく判決の言い渡しで確定しておりまして、企業の経済活動等に重大な影響を与える事案につきまして、事実上の判断統一が行われたというふうに評価してよいと思われます。
また、裁判所が技術等の専門的事項に関する主張や証拠を整理するために必要な専門的知見に基づく説明を受けることを目的として導入されました、一級の技術者であります専門委員制度につきましては、平成十九年三月一日現在、百八十五名の知財訴訟に関する専門委員が任命されておりまして、知財高裁においては、平成十六年四月の制度発足から十九年の二月末までの間に延べ二百四十一人の専門委員が知財訴訟の手続に関与し、専門的な知見を提供していただいております。

○大口委員 以上で終了いたします。ありがとうございました。

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