大口よしのりの政策・実績

大口よしのり国会質問

大口よしのり国会質問

2009年3月24日

171-衆-消費者問題に関する特別…-4号 平成21年03月24日

○大口委員 公明党の大口でございます。
きょうは、原参考人、郷原参考人、ありがとうございます。
両先生のお話を聞かせていただきまして、原先生は、もうこの道ウン十年ということで、専門家であられますし、今回の法案をつくられた生みの親でもあるのかなということで、本当に敬意を表したいと思います。また、郷原参考人は、やはり法曹として冷静なお考えを持っておられる、それから不二家の件についてもかかわっておられるということで、きょうは、お二人の御経験に即してお話をお伺いしたい、こういうふうに思っております。
まず、今回の消費者庁という組織、そして地方消費者行政というもののあり方、政府案がこれがあるわけですが、それと、民主党の消費者権利院そして地方消費者権利局、こういう、国と地方の構造がかなり違う、目指すところは同じなんでしょうけれども、かなり違うということでございます。
そして、原参考人がいろいろなこれまでの事件を紹介されました。その中に類型を七つに分けて紹介していただいたわけです。七つの類型に分けて、こういう問題を少なくしていくためには、やはり政府の消費者庁のような司令塔、それから情報が一元的に集まる仕組み、それと地方消費者行政との連動、そして、地方消費者行政の中では、やはり地方の行政ということで自治事務という中でいろいろと連携をしていく、そういう構造の方が機能しやすいのではないか、今の七つの類型等含めて消費者問題の抜本的な解決に向けて非常に有効なのではないか、こういうことにつきましてお伺いをさせていただきたいと思います。
それに対して、郷原参考人は、経産省は経産省、農水省は農水省、厚労省は厚労省、国交省は国交省、あるいは金融庁は金融庁と、それぞれの所管があって、各所管がそれぞれの専門の分野を持って、技術を持って、知識を持っているわけだから、そこがしっかりやるべきだ、いろいろといじくらない方がいいと。ただ、それに対して、全体を監視するような形のものがあった方がいいんじゃないかということで、民主党の案をよく勉強されたわけじゃないけれども、イメージとしてはその方がいい、こういうことであったわけであります。
すき間については、要するに、いろいろな消費者被害を防止するとか予防するとかいうことにおいて、行政がいろいろ行政処分等をやっていくにおいて根拠となる法律がない場合ですので、これをやはり何らかの形で埋めておかないと、要するに、それぞれの所管がしっかりやればいいというだけじゃなくて、権限をつくって埋めておくということも必要ではないか。そういうことで、今回、消費者安全法でその権限を消費者庁に持たせて埋めていくということも意義のあることではないか、私はこう思っておる次第でございます。
お二人の参考人から、政府案、また民主案、そして、これまでいろいろな事件、事故があった、これを抜本的に消費者の目線で解決、そして被害の防止をしていくためのお考えをお伺いしたいと思います。では、原参考人から。

○原参考人 パラダイムの転換という言葉が、今の、ここの委員会でも何度か出ておりますけれども、消費者行政推進会議でも、一番のねらいとしたのはこのパラダイムの転換というところにあります。ですから、これまでの行政の仕組みというのを、産業優先、省庁縦割り、そういった形ではなく、消費者、労働者、生活をしている側から組み立て直そうというところにあります。ですから、そういう中での中央の行政のあり方、地方の行政のあり方というところが問われているのだというふうに思います。
消費者行政というのを全体の中でどういうふうに考えるのかというのは、ずっと私も長く、パートタイマーみたいな感じなんですけれども、霞が関の委員会なんかに行っているんですが、どこの省庁も、消費者の意見は、聞いてくださるんですが、聞きおくという感じですよね。参考にさせてくださいということで、必ずしも消費者中心ではない、各省庁の片隅に置かれているという印象がとても強いわけです。ですから、消費者庁ができ上がると、やはり風景はちょっと、がらりと変わるかなというふうな感じはしております。
先ほど郷原参考人がすき間事案のお話をなさったんですけれども、私は、金融オンブズネットという、金融に特化した消費者グループにも加わっているんですが、為替が自由化されたので、外国為替証拠金取引というのが、二〇〇〇年に入ってから、お年寄りに外貨預金のようなものだという形で売られて、被害が大変大きくなったわけです。
ただ、これはどこが管轄をするのだ、規制をするのだというふうになると、金融庁は、これは先物みたいなものだから、先物をやっている商品取引所法を管轄している経産とか農水かなという言い方もするし、為替だから財務省かなとも思うし、かと思うと、経産に行くと、いや、金融だから金融庁でしょうと言うので、二〇〇三年の十月だったと思うんですけれども、一斉に全部の省庁を私たちは回って、全部意見を聞いて回りました。
そのときに言われたのが、この問題は金融庁と経済産業省の間の道路に落ちているような問題だというふうに言われて、だれも拾わないよというふうにおっしゃったんですけれども、ただ、やはりそういうふうにして動き回っていた中で、ようやく金融庁が十二月になって拾ってくれたということです。金融庁に後から聞くと、私たちが動いたおかげで、ここに問題があるんだ、だれかが責任を持ってやらなきゃいけないんだということで、だからそれで拾えたというところもあったということです。
ですから、私は、ずっと各省庁の方々を見ていて思うのは、やはり法律を根拠にしてお仕事をしておられるので、法律に根拠がないとやれませんということで、すぐ、やれないとかできないとかというようなことをおっしゃられて、それで一番しわ寄せを受けているのが消費者問題の部分ではないかなというふうに思っておりまして、そこをやはり直していきたい。司令塔になって、各省庁に、新しい問題であればこの問題をやってくださいとか、すき間になっているんだったらどこか責任を持ってやってください、複雑に絡んでいるんだったら、でも連携してやってくださいとか、ではあなたのところでやってくださいというふうに言えるような制度設計にしていきたいというふうに考えているところです。
それから、地方なんですが、先ほど随分はしょってしまったんですけれども、地方の消費者行政というもののとらえ方が非常に幅が狭いというふうに私は思っていて、私も、各地の、地方の消費者行政の担当のところとか消費生活センターに呼ばれてお話をしたりすることがあるんですけれども、消費者相談を受けるということ、これは非常に大きい仕事なんです。それと、啓発の事業をやっておられるんですが、これが二本の柱なんですよね。それは本当に大変大きくて、それを担っておられる相談員の方々というのも大変大きなお仕事をされておられるので、ここのところの充実というのは大変考えているんですが、私は、一人の消費者として、地元に住んでいてすごく感じるのは、そういったものを核にして、地方に住んでいる消費者が安全で安心して暮らせる仕組みをつくっていくことができるんですね。
例えば、ちょっと今難しくなりましたけれども、秋田県の消費生活条例では不招請勧誘の規制を検討しておりましたし、そういうように、それぞれの地方の消費者条例に工夫をすることができます。それから、消費生活センターに来ている相談を核にして、高齢者見守りネットワークというものの構築も進んでおります。それから、消費生活センターと教育委員会が連携をして、消費者教育とか啓発とか、消費者への情報提供を一生懸命やっておられるところがあります。それから、悪質事業者お断りというようなステッカーをつくられて、これはちょっと、個人で張ると怖いんですけれども、その地域一帯で全部張ると、やはり悪質事業者が立ち寄りにくい、そういう仕組みというんでしょうか、そういうのを地元でつくっておられるようなところもありますので、核にしていろいろなことができる。
長野県が消費生活条例を一番最後に制定して、ことし一月から施行だったと思うんですけれども、ちょうど去年の定例議会でその審議をなさっておられるときに、一緒にかかっていた案件が、バス路線の廃止の話がかかっていて、乗る乗客が少ないのでこれをどうしたものかという話をちょうど消費生活条例と同じときに県の議会にかけておられて、私は、やはりああいう感じで地方の消費者生活、地方の消費者行政の姿もあるべきだというふうに考えております。
そういう、拠点、核になるような形での地方消費者行政の姿が望ましいというふうに思っております。
以上です。済みません、長くなりました。

○郷原参考人 先ほども、すき間を埋めていくということだけでは足りないんじゃないかというふうに申し上げたんですが、私は、今までの官庁の枠組みと官の考え方のままで単にすき間を埋めるということではなくて、やはり官と民、そして官と消費者との関係、目線と関係をどう変えていくかということの方が重要なんじゃないかと思うんですね。
それは企業と消費者との関係についても言えることで、重大事故が起きたときの加害者と被害者との関係についても言えることだと思うんですね。
たまたまきのう、ある記者が、JRの尼崎の事故、もうすぐ四年になりますよね、その関係で取材に来ていて、私、その話を聞いて驚いたんですけれども、今被害者遺族の間から、JRの方と一緒に、事故の原因についての検証の組織をつくろうという話が出ているらしいんです。
今までにない発想だと思うんですね。今までは、とにかく加害者と遺族が徹底的に対立、対決関係にあって、そこに法令とか法的責任というものが絡み合うものですから、絶対にまじり合えないという関係だったんですけれども、本当に遺族が望んでいることはそういうことではなくて、その事故の原因を究明して将来に役立ててほしいということだということが徐々に顕在化してきたのかな、そういう思いが顕在化してきたのかなという気がするんですね。
それと同じように、絶対にまじり合えない部分はありますけれども、悪徳業者とか暴力団系の業者とか、そんなのは徹底して排除するしかないんですけれども、多くの企業というのは、最終的には消費者とちゃんと理解し合える存在じゃないかと私は思うんですね。
そこに断絶があるわけです。情報のギャップがある、コミュニケーションのギャップがある、そして、マスメディアが変な方向で問題を伝えてしまいますから、問題の本質から目がそらされてしまう。そういうようなことを是正していく。本当の意味で企業と消費者との間で最終的にはいいコラボレーションができる関係をつくるための官という存在にこれから変わっていかないといけないんじゃないか。
そういう面で、私は、所管という考え方を少し改めて、先ほど原参考人がおっしゃった新たな取引なんというのもあるんですけれども、そういった取引をすべて詳細に把握して規制して、絶対間違いが起きないようにしようということ自体がもう無理なんじゃないかと思うんですね。マーケットというものがそこにあって、マーケットがいかに健全に機能していくかということをベースに考えていきながら、その中で、そこを逸脱した業者がいれば徹底的に闘わないといけない。そこには基本的な考え方が示される必要はありますけれども、どこかががっちり所管して守っていないといけないということではないのではないか。そういう意味で、その考え方を抜本的に変えていく必要があるんじゃないかと考えております。
そういう面から、ちょっと雑駁な意見になるんですけれども、私は、消費者庁法案よりも、もっとオールラウンドな組織の方が、所管の枠にとらわれない組織の方が望ましいのではないかと考えているところです。

○大口委員 消費者庁が、二十九本の法律に限定されたものではなくて、実は非常にオールラウンドなものであるということについても国民に御理解いただく必要が私はあると思います。この辺について、原参考人、これはオールラウンドなものであるということをずっと推進会議等でも議論されてこられました。そして、長年にわたる消費者問題を扱ってこられたその立場から、お話しいただきたいと思います。

○原参考人 消費者庁の一番の基本は消費者からの情報なんです。消費者からの情報というのは、あらゆる形であらゆるものが入ってくるというふうに思っておりまして、それを起点にして動く組織にしたいというふうに政府提案も、御苦労なさってつくっておられるというふうに思っております。
確かに、所管する法律の数を見るとたった二十九本かというふうに見えるかもしれませんけれども、先ほども申し上げたように、基本となる法律は所管をしているということと、それから、設置法の中には、各省庁への協力を要請ができることにもなっておりますし、安全法の中では、措置要求ができるという仕組みを入れておりますので、どんな法律に対しても、どんな所管に対しても、消費者庁が措置要求ができるということで思っておりますので、非常に狭い範囲のことでしか動けないということではなくて、消費者庁もオールラウンドに動ける部分を持っているということは理解をしていただきたいと思っております。
それから、所管をする法律が少ないというのは、私は少し違和感を感じるところがありまして、というのは、確かに、消費者が関連する法律というのはたくさんあるんですけれども、条文の中にわずかに書き込まれているにすぎないとか、消費者側から見ると消費者法制というわけでもないというようなものもあるわけなので、やはり、それだけ数が少なかったということを、今の霞が関の中での消費者政策のポジションのような感じもしております。ですから、数の多寡というようなところに焦点が当たるのは違和感を感じておりまして、オールラウンドにも動けるということは理解していただきたいと思います。
以上です。

○大口委員 その上で、消費者庁自身が、これは、例えば公取から今度は消費者庁に景表法が移るので、公取のその部分も消費者庁に移るとか、かなり特商法の関係が移るので、例えば経産省のその部門のかなりの人が移るとか、二百四名でありますが、非常勤で専門家も入れてやるということのようであります。
そういう中で消費者庁がどう機能していくのかということが大事なんですが、消費者庁自体がやはりお役人の集まりである、そうすると、消費者の目線というのが、消費者庁がどう消費者の目線で動けるのか、司令塔になれるのかということに対する御意見もいろいろあるわけです。
そういう点で、原参考人も書いておられますが、消費政策委員会というものは、非常にこれが大事になってくると思うんですね。消費政策委員会というのは、原参考人のような、消費者団体で本当に長年現場のことをわかっておられるような方ですとか、あるいは、郷原先生のように企業のコンプライアンスを一生懸命やってこられて、その立場からいろいろと発言されている方でありますとか、あるいは日弁連、いろいろ消費者問題を扱っておられるような方、こういう、本当に実務をわかって、それこそ役所に対して、消費者庁に対して、あるいは総理に対して、担当大臣に対して、各省庁に対していろいろ意見具申、あるいは調査をしていろいろ要求できるわけでありますから、そういう点では消費者政策委員会というのは大事だと私は思います。
特に、消費者政策委員のメンバーが大事だということと、あと事務局も大事でして、やはり消費者のサイドに立った事務局でなければならない、こういうふうに思っておるところでございます。
そういうことで、原参考人から、この消費政策委員会の役割、そしてこうあるべきだということの御意見を、それでまた、郷原参考人からは、とにかく官の意識を変えなきゃいけないというお話がございました。そういう点で、消費政策委員会に対する、こうあるべきではないかという御意見を賜れればと思います。
では、まず原参考人からお願いします。

○原参考人 消費者政策委員会の機能が大事だということについては私も大変同感です。ここをどういうふうに消費者の声で、消費者の目線でここの会議を持つことができるか、委員会を持つことができるかということが大変大きなポイントになってくると思っております。
人員については十五人というふうに書かれていて、では、だれがこの十五人になるのかというところなんですけれども、私も、単純にどういったポジションの人というようなことを考えるよりは、現場のこともよくわかり、消費者問題について真剣に考えてくださる人がその委員になっていただきたいというふうに考えております。
それから、実際に条文の中の置き方というのは、審議に応じるという部分もありますけれども、意見を述べることができるということも入っておりますので、ここの、意見を述べるという部分を最大限活用したいということを考えていること。
それから、機能するためには、条文に幾ら書かれてあっても、おっしゃられたように事務局機能が大事ですね。やはり事務局機能というものを、例えば規制改革会議だと三十人ぐらい事務局がいたと思いますが、半分は民間が入っていたと思います。それから、総合科学技術会議は、たしか事務局は八十人ぐらい存在をしていると思いました。ですから、そういった日常的に動ける事務局スタッフというのは必要だというふうに考えております。
以上です。

○郷原参考人 消費者庁法案における消費政策委員会、非常に重要だと思いますし、これは、民主党の消費者権利院という構想の中でも、権利官一人で何も全部決めるんじゃなくて、それをサポートするような組織が当然必要になってくると思います。
いずれにしても、そういった組織で、本当にバランスのとれた考え方を出していかないといけないと思いますし、そのための人選が非常に重要になると思います。消費者問題の専門家と言われる方々の中にも、原参考人のように非常にバランスのとれた方もいらっしゃる一方で、結構、なかなかお話が合わないなという方もいらっしゃいまして、今度は逆に、企業の側でも消費者問題に対する理解がなかなかない企業人もいますし、やはりそこは、本当に全体として、その辺のバランスのとれた人選をしていくことが重要だと思います。
そうした中で、とにかく白紙に戻して物事を見ていくという視点をぜひ持っていただきたいと思います。今、いろいろな企業不祥事の問題なども、マスコミは何かのバイアスで物事をゆがめてとらえてしまうという傾向があって、そういう消費政策委員会のようなところは常に冷静に、客観的に物を見るという姿勢を貫いていただくことが重要なんじゃないかと思います。

○大口委員 時間が参りましたのでこれで終了します。
ありがとうございました。

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