大口よしのりの政策・実績

大口よしのり国会質問

大口よしのり国会質問

2009年5月8日

171-衆-法務委員会-9号 平成21年05月08日

○大口委員 公明党の大口でございます。
本日は、清水参考人、市川参考人、徐参考人、鳥井参考人、お忙しいところ、ありがとうございます。
それでは、時間もございませんので、まず、清水参考人からお伺いをさせていただきたいと思います。
清水参考人、太田市の市長を長年やられて、集住都市会議でも座長ということで、私は静岡県なものですから、浜松とかが加わっておるわけであります。最近非常に雇用が大変な状況の中で、日系人の方は大変な状況になっている。特に子供にしわ寄せが来ているということで、私ども、これは国がもっと対応すべきだという市長の、また集住会議の本当に強い御意見がある、このように聞いております。
そういう中にありまして、今回、一番多文化、多民族共生社会を実践されているのは清水市長のところではないかな。教育におきましても、ポルトガル語ができる、しかも、教員はブラジルか日本の教員免許を持った人で対応している。しかも一クラスに三人、国際学級という形でやられている。私どもは非常に先進的な取り組みだと思っております。
そういう中、やはり行政サービスを提供するには、本当に太田市だったら太田市の住民かどうか、これを確実に把握する基盤というものが今までなかった。これが今の市長のお話だと思うわけです。
そういう点で、実は、今回の入管法の中で、在留資格の取り消し事由として、上陸して九十日以内あるいは居住地が変わって九十日以内に届け出をしないと在留取り消しの事由に当たる、ここが非常に厳しい、こういう御意見もあるわけでありますが、住居をきちっと正確に把握するという観点からいって、このような取り扱いについてどうお考えになるか、お伺いします。

○清水参考人 私は、そこは緩和してあげることが大事かなというふうに思います。
これは、規則は規則でありますけれども、例えば免許証の更新のときに、どこかへ登録しておくと手紙が必ず来て、あなた、免許証の期限が切れますよという、安全協会ですかね、そこから連絡が来るわけですけれども、同じような形で、居住さえしっかりしていれば、必ずどちらか、あるいは転居先がはっきりするかどうか、登録していない場合でも連絡可能なような形にしておいてあげて、やはりそこは留保すべき期間というものを設けるべきではないだろうか。親の都合で子供たちまで同じような形で日本にいることを拒否されるというようなことがあったら、本当に気の毒だというふうに思います。
ですから、その範囲を余り窮屈にしないことがいいんではないかなというふうに思います。

○大口委員 このあたりは、正当な理由ということを一つのキーワードにして考えていかなきゃいけないなと私も思っておるわけでございます。
次に、市川参考人、日弁連でこの問題をずっと取り組んでこられたわけでございます。その中で、例えば、国が外国人の生活の細部に立ち入って個人の生活を監視することを許し、外国人が犯罪の温床となっているのではないかという偏見や差別を助長するおそれがある、あるいは、プライバシー権ないし自己情報コントロール権の保障、外国人の差別的取り扱いの禁止等の観点から問題点を含む、こういうふうに今おっしゃっているわけであります。
そして、在留カードの番号について、これがその中でも非常に大きな問題がある、こういうお話でございますが、その点について、ちょっと御見解を確認したいと思います。

○市川参考人 これまでは、カードの番号がどうついているかということはそれほど意識されなかったのかもしれませんけれども、今の情報処理が進んでいる中では、カード番号何番の人が預金をここへつくりました、こういう預金経過ですよとか、あるいは在留資格に関しても、この番号の人はこういう経過をたどってこういうことをしている、図書館でも在留カード番号を控えて、こういう本を借りていきました、こういう形で、番号と結びつける形でいろいろな情報がいろいろなところに蓄積されていく。
これを、国やいろいろな機関が、例えば、警察が捜査とかいろいろな情報を把握するために照会をかけて、この番号の人と言えば、その番号はその方一つしかございませんので、名前や生年月日とは違う、本当に固有のものでございますから、それで全部情報をごっそりと統合することができるということになってしまう。
ですから、そういう意味で、住基カードのときにも住基番号というのが非常に神経質に、これを券面に書くべきではないという議論が起きたわけでございまして、今回もやはり同じような配慮をすべきではないか。
その点、今回、入管法の改正では、どうしても在留管理というのは目的に出てきてしまいますので、個人のプライバシーであるとか情報コントロール権、これは外国人であっても、やはり同じように人権として守られなければいけませんので、このあたりの配慮がやや欠けているのではないか。
そういう意味で、せめて現行の住基法と同じようなたてつけの保護方針の仕組み、これをやっていただきたいな、こう思っているわけでございます。

○大口委員 この問題につきましては、やはり入管という目的に沿った形できちっとやっていかなきゃいけないし、濫用があってはいけないのではないかと思います。また、行政機関による個人情報保護法等も、当然これはしっかり厳守していかなきゃいけないことだと思っています。
ただ、この番号というものを、要は、外国人が届け出をする場合に郵送でもできるようにとか、利便性を向上するために活用するというプラスの面も私はあるのではないかなと思うわけでございます。
それでは、徐参考人にお伺いをしたいと思います。
徐参考人は一九五二年のお生まれだと。ちょうどサンフランシスコ講和条約があって、特別永住者、韓半島から来られた方が一方的に国籍を失わされる、こういう状況があったわけです。一九四五年には選挙権も剥奪されている。そういう点で、在日韓国・朝鮮の方々の歴史的経緯というものは、私ども日本人としてもしっかり銘記しなければならない、こういうふうに思っておるわけでございます。
そういう中にありまして、これは十年前の衆議院、参議院の附帯決議で、この特別永住者の、当時は外登証、今回は特別永住者証明書の携帯義務については、特に特別永住の方についてはしっかり配慮しなきゃいけない、こういうことで、私どもも、徐参考人を初め民団の団長様以下、一緒に森法務大臣のところにもお伺いしたわけでございまして、そして、やはりこの携帯義務というものは削除すべきではないか、それから、行政罰であっても十万円の過料、これも削除すべきではないか、こういうことを一緒に森法務大臣に要望した次第でございます。
実際、この行政罰の十万円の過料、これはこの十年間一件もこういう適用がないわけでありまして、もう弾力的運用ということを法務大臣もおっしゃっていますので、実質は即時に身分を把握するための機能は有していないのですね。
私どもは、やはり衆議院、参議院の附帯決議、立法府の附帯決議は重く考えるべきである、こういう観点からも、今回の特別永住者についての特別永住者証明書の携帯義務あるいは行政罰、こういうものは削除すべきだ、こういうふうに考えておる次第でありますが、徐参考人から、その件について思いを語っていただきたいと思います。

○徐参考人 冒頭、意見陳述でも申し上げましたけれども、これは我々の積年の宿願といいますかお願いです。
我々、もう四十年余り、ずっとこの常時携帯ということで、我々の諸先輩からよく聞きました。僕はそれはなかったんですけれども、昔は家にはふろがありませんから、近場の銭湯に行くんですけれども、だれが外登証を持っていくんですか。そういうところで幾度もやられたとか、昔はそういう時代の影響もあったんでしょうけれども、いろいろな取り締まり、いじめとかいろいろなことを受けてきたと。
二世は特に、自分は仕事柄、全国を何十年間回っているんですけれども、車を運転するときに、ちょっと家に外登を忘れてきて、検問で外登がないと、これは不携帯だと。不携帯は刑法を適用しますから、それで署に引導しまして、調書をとって云々ということで、不携帯だけで前科がつくんですね。
この非常に嫌な思いを積年受けてきましたので、皆さんには、特別永住者から常時携帯制度そのものをぜひなくしていただきたい、こういう思いは非常に強いんです。十年前も自分は担当していたんですけれども、これを各政党にお願いしましたが、結局、その廃止に至らず、附帯決議で終わってしまったという非常に残念な思いがあります。このたびはぜひこれを実現していただきたいし、あわせて一つお願いがあります。
先般、森法務大臣にお願いしたんですが、一般永住者の枠が余りに広いんですよ。特別永住者というのは、一言で申し上げたら、戦前から継続して住んでいる者及び子孫に与えられるものですが、一般永住者の中には、戦前から住んでいて、戦後すぐ韓国に戻って、またすぐに戻ってきた方々が結構おられるんですね。この者たちは特別永住資格が適用されない、継続性がないものですから、一般永住ですね。彼らは三十年も四十年も一般永住なんです。だから、最近五年、十年で一般永住を取った方とは雲泥の差があって、納税額も莫大ですね。
だから我々は、十把一からげで一般永住をくくるのではなくて、例えば、自分は申し上げているんですけれども、一般永住を獲得して五年もしくは十年経過した者は、できれば日本国民に準じた扱い、もしくは特別永住者に準じた扱いをしないと、これからどうするんですかということを申し上げております。
そういうことで、今回、諸先生方の御尽力で常時携帯制度をぜひ外していただきたいとお願い申し上げます。

○大口委員 戦前、疎開で例えば韓国に戻られた、ただ一九四五年の九月の二日に戻ってこれなかった方は、同じような歴史的経緯があるにもかかわらず、一九四五年九月二日に日本にいなかったということで特別永住者と認められない、こういうこともあるわけですね。
ですから、要するに、特別永住者、そしてまた一般永住の中でも、いろいろな類型があるということも、本当に今後しっかり議論していかなきゃならないな、こう思う次第でございます。
そういう中で、みなし再入国許可制度、特別永住者の方は二年以内であればこれは再入国許可を得ないで行ったり来たりできる、これも昨年、当時は鳩山法務大臣の方に要望させていただいたわけでありますけれども、今回これが入ったということでは、私は評価できるのではないかなと思いますし、また、この再入国の許可の有効期間も、一般では三年から五年、それから特別永住の場合は四年から六年、さらに海外で一年更新できる、こういうことになったわけであります。
そういう点では、この点につきましても私どもの要望を組み入れていただいたのではないかなと思いますが、この点の評価について、徐参考人からお伺いしたいと思います。

○徐参考人 実は、常時携帯と相まって再入国許可制度の適用除外は、私ども、長年お願いしてきました。二年前に法務省に参りまして、実は、韓国やアメリカでもこのようにやっておりますよ、ぜひこれは是正してくださいということをお願いしましたし、昨年は大口先生また神崎先生の御尽力によりまして、当時鳩山大臣に時間をかけてお目にかかりまして、私ども、非常にお願い申し上げました。大臣も非常にその意を酌んでいただいて、これはやはり是正しなきゃいけない、簡素化していこうということを明言されまして、我々、今回のこの措置が、非常に積年やっておりますので、非常に前進したというふうに高く評価しております。
できましたら、もう再入国許可制度は一定の永住資格を持っている者に対しては、なぜかといいますと、日本に生活の本拠地があるわけですから、日本に戻ってこざるを得ないんですね。そういう者たちに対しては、もう再入国許可制度自体からの適用除外をお願いしたいと思うんですが、いずれにしましても、今回の措置は大きく前進したということで、高く評価しております。

○大口委員 それでは、鳥井参考人にお伺いをしたいと思います。
今、日本は働くために入国するということでは、高度人材といいますか、専門的、技術的な分野の方が入ってこられます。それから、研修・技能実習制度という形で入ってこられます。それから日系人が入ってこられます。研修・技能実習は、実態としては単純労働者を獲得するための形になっている。それから、日系人の方も、本当は、受け入れる以上は教育もあるいは社会保障も含めてしっかりとインフラを整備して受けなきゃいけないのに、それが整備されていないので、こういう経済的な危機になると、そういうところにしわ寄せが来るということで、これは本当に国としても反省しなきゃいけないことであると私も思いますし、また企業もここは認識しなきゃいけないことだと思うんです。
そういう中で、この研修、そして技能実習につきまして、団体監理型、ここが本当にいろいろと、参考人もいろいろなことで書いておられますけれども、大変な問題である、こう思っておるわけですが、そのことにつきまして、我々も、その団体監理型については今回、入管法で三年を五年にしたりとか、あるいは在留資格を取り消したりとか、いろいろな手当てもしているわけですが、この点について評価なり考え方をお伺いしたいと思います。

○鳥井参考人 御指摘のある点については、確かに入管法改正案の中にそれらについての罰則規定を強化しているという点はあるかと思います。しかしながら、残念ながら、この団体監理型というのは非常に巧妙な手だてをとっておるわけですね。ですから、例えば受け入れ停止になっても、全く違う名前で新たに始めておったり、違う名前でやるというようなことを行っておるわけです。
ですから、基本的には、この団体監理型というのをやめてしまうといいますか、技能実習制度をやめない限りはこの問題は解決しない。先ほど、現に技能実習制度、研修生、技能実習生を受け入れている企業はではどうするのかということですけれども、私は、その企業に対する産業政策と、そして労働者を受け入れる政策を早急にやらなければならないと思います。個々の中小零細企業の経営者にそのことを負わすのは、余りにも酷だというふうに考えているわけですね。
ですから、今回の改正案に対する評価と言われますと、非常に厳しいことを言わざるを得ないというふうになるかと思います。

○大口委員 そういうこともあって、緊急避難的に労働関係法令を適用するという形にさせていただいたり、そして、この技能実習という形での資格という形にさせていただいておるわけでして、これからしっかりこれは議論してまいりたい、こういうふうに思っておる次第でございます。
参考人の皆さん、きょうは本当にありがとうございました。

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