大口よしのりの政策・実績

大口よしのり国会質問

大口よしのり国会質問

2011年4月13日

177-衆-法務委員会-5号 平成23年04月13日

○大口委員 公明党の大口でございます。
最後の質問者になりますので、よろしくお願いいたします。
東日本大震災から一カ月と一日たったわけでございます。本当に、現場の被災者、避難者の皆さんには心からお見舞い申し上げたいと思います。
そういう中で、現場に弁護士会等、法律相談で駆けつけておられます。そういう中で、本当に、被災者の方から、今後の生活や事業をどう再建していくのかということ、いろいろな悩みがございまして、その相談もあるわけです。そういうことについてピックアップして、まずはお伺いさせていただきたいと思います。
まず、被災地においては、多重債務を抱える被災者もありますが、被災者生活再建支援金、これが、今、現行は最大三百万。これは、みずからの生活再建のために支給されるものであって、債権者らの引き当てとなるべきものではないことは明らかです。ただ、差し押さえ禁止にはなっておりません。
そこで、被災地の生活再建に不可欠な金額であるということからいっても、破産法三十四条四項に基づいて、破産申し立てをした場合、被災地において、破産事件における自由財産拡張の申し立て、これによって、原則限度額が従来九十九万円でありますが、それに生活再建支援金を加えた額を自由財産拡張限度額とすべきではないか。要するに、従来の九十九万円プラス生活再建支援金を加えた金額以上とすべきではないか、こう考えます。
さらに、生活基盤である居住用不動産、生業に必要な自動車、船舶、農業機具を自由財産とできる等、被災地の実情に照らした弾力的な適用が図られるべきであると考えます。これは法務省の方針を出すべきであると思いますが、御答弁願います。

○江田国務大臣 委員御指摘のとおり、大変な被災の状況で、被災された皆さんの生活が大変だ、これは本当にそのとおりだと思っております。
そんな中で、被災者生活再建支援金三百万、これが破産で差し押さえをされてしまったのでは、それはどうしようもないというその御心配もよくわかります。しかし、御指摘のとおり、この生活再建支援金は差し押さえ禁止財産とはなってはおりません。
ただ、破産法の三十四条第三項第一号あるいは民事執行法第百三十一条第三号などで、九十九万円の金銭を破産者の手元に残すことが可能だ、これがいわゆる自由財産ということで、この自由財産については、裁判所が破産者の個別の事情に応じて拡張することができるようになっていますので、九十九万というのは、標準世帯の一カ月の経費掛ける三、つまり、三カ月分。しかし、こういう場所にいて生活していくというのが標準世帯の一カ月の平均の経費ということでは、それは済まないでしょうから、収入の当ての問題、扶養すべき家族のことなどを考えて、裁判所が差し押さえする場合に、生活再建支援金というのは、これは債権者が引き当て、責任財産だと当てにしている金じゃないですから、そこは裁判所が適切に判断をしていただけることだと思っております。
さらに、自動車とか、それから船舶とかおっしゃいましたか、あるいは工場あるいは農地とかということですが、自動車や家財道具などの生活必需品は自由財産とすることは可能で、裁判所の柔軟な対応は期待できると思うんですが、一方で債権者が責任財産だと期待している、そういう財産もあるかと思うんですね。
それを自由財産の方に入れてしまいますと、今度は債権者の方の利益が害される。債権者が連鎖倒産していきますと、それがどんどん広がる。地域経済に大変な悪影響を与えるということもありますので、やはりそこは、最後は裁判所の個別の事情による判断でございますが、自動車、家財道具といっても、ベンツもありますし、家財道具も黒檀や紫檀もあるかもしれませんし、個別の事情によってそこは区切るところはあるだろうと。
やはり、私は、不動産はなかなか難しいのではないかという気がしております。

○大口委員 また、被災者の生活再建、事業再建では、平時以上の負担となることから、個人の民事再生の適用の場面を広げる必要がある。そういうことで、この適用上限額、今現行五千万円、これを引き上げる、あるいは、住宅ローン条項の適用条件についても、住宅ローン債権以外の担保がある場合も含める等、適用条件を大幅に弾力化するべきではないかと考えます。
そしてまた、最低弁済額の引き下げも考えていただきたい。現行おおむね十分の一から五分の一程度でありますが、これをさらに引き下げる、あるいは、今最大五年にとどまっています弁済期間の延長、これは十年ぐらいにはしていただきたい。そういうことで、支払い条件の緩和も検討されるべきであると思いますけれども、法務省の見解をお伺いします。
そして、最高裁には、倒産手続について、あらゆる資料を喪失した被災者も少なくありません。そういう点で、倒産手続を申し立てる際に、裁判所においても資料不足に対して厳格な対応をせずに弾力的な手続を行うべきである、こういうふうに考えます。
法務省、最高裁から御答弁願います。

○江田国務大臣 さまざまな場面で、委員初め野党の皆さんからも、いろいろな提案をいただいているということはありがたいことだと思っております。
ただ、さはさりながら、今も自由財産のところで申し上げましたが、債権者の利益というのもやはり考えていかなきゃいけない。債権者もまた被災者である。そこで連鎖倒産がつながっていってはどうにもならぬということもあるわけです。
民事再生手続は法人も個人もともに使えるわけでございますが、民事再生法の小規模個人再生手続というのは、特に債務額が少額な個人を対象とするということを前提にして、重厚な通常の民事再生手続よりも相当簡素な手続にしておりますので、債権者の利益が害される面があるということで、再生債権額の上限を五千万円として、また弁済期間も最長五年としているわけです。
そこをいろいろいじってまいりますと、債権者による債権回収が困難になって連鎖倒産になるということもありますので、慎重な検討が必要というのが今のところの私どもの検討結果でございますが、また鋭意検討をしてまいりたい。
さらに、住宅資金の貸付債権に関する特則というのもございまして、これは住宅ローン債権の繰り延べを内容とする条項を再生計画に定めることができる、あるいは住宅ローン債権者を再生計画案の決議においては議決権を有しないとする、そのような特則の制度が設けられておりまして、これも、これをどっちへ振るかによってまた、本当に微妙な債権者、債務者の接点ということになっておりますので、これを変えることには慎重な検討が必要です。しかし、大いにここは知恵を絞っていきたいと思います。

○永野最高裁判所長官代理者 御指摘のとおり、被災地におきましては、債務者が破産や民事再生の申し立てをする際に必要な書類などが散逸したり滅失したりといった事態が想定されるところでございます。
被災地の裁判所においては、当然のことではございますけれども、被災地におけるこのような実情を十分に考慮した上で、法の趣旨にかなった事件処理が行われることと考えておりますので、破産や民事再生の申し立ての際に資料が添付できないといった場合にも、各裁判所において適切な対応が行われるものと考えております。

○大口委員 これは千五百件ぐらい、いろいろ法律相談を受けて、本当に、弁護士の人たちも、ぜひともこれは検討してもらいたいというものの中でも特に優先順位の高いものでした。
法務大臣、やはりここは、もう現場を見てこられたわけですから、普通のあれではないわけです。また、住宅ローン債権というのは銀行等が債権者であります。そういうことを考えますと、この千年に一回と言われている事態に対して消極的な答弁じゃないかなと私は思いますが、もう一度お願いします。

○江田国務大臣 繰り返しになりますけれども、債権者、債務者の本当に微妙な接点になっている、両方が被災者だと。
しかし、おっしゃるとおり、住宅ローン債権などは債権者は銀行などが多いというのは、それは事実でしょう。そういうときには、やはり銀行にもう少し厚目に手当てをしろよという、そういうことも必要にはなってくるだろうと思います。

○大口委員 次に、いろいろな相談業務、これについてはきめ細かな配慮をいただきたいと思います。
一つは、法テラスにおける出張・巡回法律相談において、外国人の方、あるいは高齢者、障害者の方、そして女性、子供に代表されるような方々に対する特別の配慮、専門相談窓口、しっかりその配慮を行う制度上の措置が講じられるべきであると考えます。避難所において、外国人、高齢者、障害者、女性、子供が必要なケアを受けられない状況が少なからず見受けられます。法律相談としての件数に上がってこないケースも考えられますので、十分な配慮をお願いしたい。
そしてもう一つ。被災地の生活上の不安、労働上の問題、中小事業者の再建方法等については、さまざまな要素が複合する問題となることから、被災者に対しては自治体が設置する被災者生活再建支援窓口、それから労働者に対してはハローワーク等、中小企業に対しては商工会議所、商工会、金融機関、農漁協などと弁護士等が共同したワンストップの相談体制というものを確立すべきだ。これについても配慮をいただきたい。
そして、こういう相談業務におきまして、やはり弁護士のみならず、臨床心理士、精神保健福祉士、社会福祉士等も配置して、被災者の心のケアも徹底する、生活全般を見通した相談をできる体制をしくべきである、こういうふうに考えますが、大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

○江田国務大臣 ちょうど今、年度がわりでございまして、新年度が始まったところで、日弁連、あるいは東京、関東周辺の弁護士会、あるいはさまざまなそういう隣接士業の皆さんがごあいさつにお見えになっておりまして、その都度、私は、大変な震災の後で、阪神・淡路大震災のときにもそうした皆さんにいろいろな相談をお願いしましたが、今回もぜひよろしくということを申し上げております。
特に今、委員御承知のとおりで、全国各地で法テラスの常勤弁護士を初めとする多くの弁護士が被災者からの相談対応に従事しており、またこれからもこれはふえていく。外国人の場合、女性の場合、高齢者の場合、あるいは障害者の場合、子供の場合などいろいろありまして、そうした人たちに親切に心の通う相談ができる、そうした専用の相談窓口を設ける、あるいは臨床心理士など心のケアができるそうした配置もしていく、こうしたことを実情に応じてやっていかなければいけないと思っております。
それから、商工会議所とかそうした団体の皆さんがいろいろなノウハウを持っておられることもよくわかるわけでありまして、そうした他の機関の皆さんと連携を図って、そこへ、一つの場所へ行けばいろいろな相談がすべてできる、そういうワンストップサービスを提供することも重要だと思っておりまして、法務省の関連でいえば、法テラスの皆さんに、関連機関と連携しつつしっかり対応してくださいとお願いをし、法務省としても法テラスをしっかりと後押しをしていきたいと思います。

○大口委員 前回も質問させていただいたんですが、震災特別民事扶助ということを考えていただきたい。阪神・淡路のときも、法律扶助協会が特別の民事扶助を活用して、一千件を超える援助実績があったわけであります。被災地における早期の紛争解決に大いに寄与したわけです。そういう点で、法テラス、日本司法支援センターが行う民事扶助、とりわけ代理援助について、厳格な資力要件、煩雑な手続があって、このままでは被災者の積極的な利用が見込めない。
そこで、一、震災に関する事件について特別の予算を講じるとともに、二、資力要件を撤廃もしくは大幅に緩和し、三、徴求資料等を略して手続を簡素化し、四、立てかえ費の償還を原則的に猶予、免除し、五、対象を裁判に限定せず、ADRや行政申請手続も含めるべきである、こういうふうに考えます。これらの実施に必要な限度で、運用対応あるいは総合法律支援法の改正、こういうものを行うべきである、こういうふうに考えますが、いかがでございましょうか。

○江田国務大臣 阪神・淡路大震災のときにはまだ法テラスができておりませんでした。そこで、民事法律扶助でいろいろなことをやっていただいた、その経験が今も生きていると思っております。法テラスの民事法律扶助事業、扶助業務の運用を通じて適切に対処していきたいと思っておりますし、また、今、多岐にわたる御提案もいただいているわけで、この必要性は高いと思います。
御指摘の中には、資力要件を撤廃するということになりますと、民事法律扶助制度の根幹にかかわっていくため、ちょっと慎重にというところもありますが、しかし、運用はいろいろできる。資力要件の確認のための資料の提出を一体どの程度厳格にやるのか。これを緩和するとか、あるいは償還の猶予、免除の制度のあり方、これも弾力的な運用が可能であるとも考えられますし、それから、法務省では、法テラスの平成二十三年度予算、この運営費交付金を使って法テラスが対応するものだと思っておりまして、ここは支援をしていきたい。
そして、今委員がおっしゃるADRですが、これは、法務省が民間のADR事業者の申請を受けて所定の基準を満たす業務について認証しているわけでございまして、こうした震災関係の紛争を解決するために活動するADRとしては、弁護士会あるいは社会保険労務士とか、さまざまございます隣接法律専門職種の団体が既に相当数ADRとして認証されておりまして、さらに新たに申請がある場合に、書類審査の合理化による期間の短縮、あるいは審査の並行的実施等、迅速な審理を行い、適切な対応をとっていきたいと思っております。

○大口委員 ADRの認証申請につきましても、平時ですとガイドラインで三カ月ということですが、さらに迅速にお願いをしたいと思います。
それから、今、後見制度といいますか、後見人、被後見人の安否ということが気遣われるわけです。東北三県で後見事件は延べ五千件強あるということでございます。
四月十三日、本日の産経新聞に、この件につきまして、家庭裁判所が何らかの形で安否確認や、後見人が活動できているかどうかの確認ができていないとなると心配だ、こういうことを指摘する声がある。
本当に、後見人や被後見人の安否確認を積極的に裁判所がやらなきゃいけないのにやっていないのかということについて、この産経新聞によると、これは最高裁の広報課ですか、「何事も申し立てが前提となっており、裁判所から積極的に動く制度になっていない。亡くなった原因が震災なのかを把握するすべはない」、こういうことで、被災地の実態把握ができない、こういう見解を示したという記事なっているわけです。
これについて、それこそ中央大学の新井教授が、「あまりにも官僚的。裁判所が後見人を認容しているのだから、活動できない状況に対して責任があるはずだ」、こういうコメントもしているわけでありますけれども、この点、最高裁、家裁としてどういう対応をしているのか、お伺いしたいと思います。

○豊澤最高裁判所長官代理者 委員御指摘のとおり、今回の大震災では、被災地に居住する後見人あるいは被後見人の方々にも、いろいろな深刻な状況に置かれている方もかなりおられるものと思われます。
被後見人の保護という観点から、例えば、後見人が欠けたときには早急に新たな後見人を選任する必要がございます。家庭裁判所は、後見人等の監督を担うという立場にございますことから、新たな後見人を選任する必要があるかどうか、その必要性などについて把握するために、後見人や被後見人の安否を早急に調査、確認することといたしておりまして、既に被災地の裁判所においてそのための作業を開始しているところでございます。

○大口委員 では、ちょっとこの新聞の記事と違うじゃないですか。どうなんですか。

○豊澤最高裁判所長官代理者 新聞報道の件につきましては、次のような経過でございます。
四月の五日に報道機関の方から、まず第一点として、後見人や被後見人の死亡や行方不明など震災の影響の実態をどのように把握しているのか、二つ目として、現時点で、震災により後見業務を受けられない状態となった被後見人が必要な後見業務を受けられるようにする手だてがあるのかといった質問がございました。これに対して広報課の方で、前者については現状の統計からは把握が困難である旨、後者につきましては個別の事件ごとの対応になる旨、そういう基本的な、その記事に書かれてあるような回答をしております。
当時、後見人の安否調査等につきましては既に検討が行われておりましたが、その情報が広報窓口にまで伝わっておりませんでした。このことが原因でございます。裁判所内部の連携がうまくいっておりませんでした。このことについては率直におわびを申し上げたいと思います。

○大口委員 被後見人の方々も大変な状況であるわけでありますので、とにかく安否確認をしっかりやる、そして対応していく。また、専門職の後見人の確保、これは二割の方がそういうことのようですから、確保もしていかなきゃいけないということで、全力を挙げてやっていただきたいと思います。
次に、東京電力福島第一原発事故についてお伺いしたいと思います。原子力損害の賠償に関してでございます。
これにつきましては、三月三十日に稲田委員も質問されておりまして、第三条の第一項ただし書きについて質問をされていたわけであります。要するに、原子力損害というのは、無過失責任、そして集中責任、無限責任ということでございます。そして、第三条一項ただし書きが例外であるということでありますが、政府は一貫して、第三条ただし書きには該当しない、ですから東京電力が第一義的には賠償責任を負う、こういうことであります。
これについては、そういうことが前回ありましたので、それを前提にしてお伺いしたいと思うのですが、そういう場合、賠償措置額というものがあって、これは、電力会社と政府補償契約を結んで、電力会社が一事業所当たり賠償措置額の一万分の三の補償料を払ってやるわけで、例えば、一千二百億ですから、三千六百万円を毎年一事業所ごとで払っているということでございます。
きょうの毎日新聞に、電力会社が毎年国に納めた補償料が一九六二年から二〇一〇年で累計で百五十億円しかない、こういうことであります。今回の補償額、これは、一事業所当たり一千二百億となっております。そして、二事業所と考えれば二千四百億ということでありますが、そうすると、百五十億しか電力会社はこれまで払っていないということは、それを除く部分は結局国が負担する、これは国民が負担することになるということで、もともとこのリスクに対して甘かったのではないかなと思いますが、その件についていかがかということ。
今回、この賠償措置額というのは、二事業所と考えますと二千四百億ということであります。しかし、第二原発と第一原発とあって、第二原発の方との相当因果関係にある損害というのはどれぐらいの額かというと、一千二百億円を超える場合もあるし、下回る場合もあります。そうしますと、下回る場合は、第一の方は一千二百億、第二が下回った場合は、合計二千四百億を下回ることもあるのか。
この二点、お伺いしたいと思います。

○林大臣政務官 大口委員の御質問にお答えをさせていただきます。
まず第一点目の点でございますけれども、よく委員御存じのように、原子力損害が発生したときに迅速かつ適切に損害賠償を履行できるように、原賠法においては、原子力事業者が、一般的な事故については民間保険会社、そして地震、津波などによるものについては国が引き受け手になるという一種の保険契約を結んでいるということになるわけでございます。
こうしたことを踏まえますと、政府補償契約において電力会社が文科省に納付する補償料というのはいわば保険料のようなものでございまして、事故の時期によってとか、あるいはそれまでの保険料の累積によって、もともと、その保険料の累積と支給される額にやはり多寡が出る性質のものなんだというふうに考えております。累積を超える補償金を支払うということがあれば、その不足分は当然国からの支出になるというふうに考えております。
そして、第二点目の、第二原発は一千二百億円を下回る可能性があるのかどうかという点でございますけれども、こちらも委員よく御存じのように、一事業所当たり一千二百億円ということでございますけれども、事故との相当因果関係が認められるものについては補償はされるということでございますので、その金額が相当因果関係によって一千二百億円を下回る可能性もあるということだと思います。

○大口委員 だから、新聞記事ですと一千二百億から二千四百億というようなことになっていますけれども、相当因果関係がなければ、丸々二千四百億認められない場合もあるということでございますね。
次に、原賠法の十六条の一項において、「政府は、原子力損害が生じた場合において、原子力事業者が第三条の規定により損害を賠償する責めに任ずべき額が賠償措置額をこえ、かつ、この法律の目的を達成するため必要があると認めるときは、原子力事業者に対し、原子力事業者が損害を賠償するために必要な援助を行なうものとする。」こう定めています。この「必要な援助」というのはどういうメニューがあるのか。補助ですとか無利子融資ですとか、出資だとか社債を買うとかいうことが考えられますが、どうなのか。そして、出資ということは国有化というようなことも考えられるのか、お伺いしたいと思います。

○林大臣政務官 お答えをさせていただきます。
メニューという点につきましては、今委員るる御指摘をいただいたこともございますが、基本的には、政府の行う、御指摘のあったような金融上の措置、さらには財政上の措置というものが想定をされるというふうに思います。
なお、こうした援助は、当然、国会の議決によって政府に属された権限の範囲内において行うという原則をしっかりと守って当たっていきたいと思います。

○大口委員 これは国会の議決が必要ですので、しっかり議論していかなきゃいけないと思っております。
それから、今回、原子力損害賠償紛争審査会、我々も強く言って、ようやく四月十一日に設置されました。初会合をいつ開くのか。いつまでに原子力損害の範囲の指針を定めようとしているのか。早くその指針を定めるべきであるというふうに思うわけでございますので、その点についてお伺いしたいと思います。

○林大臣政務官 私も委員のお考えに全く同感でございます。
第一回はいつ開かれるのかという御質問でございますが、これはできるだけ速やかにというのは当然でございますが、今週中にも第一回の会合を開催したいというふうに考えております。
指針についてはどうなんだという御質問もございましたけれども、これについても、これだけ非常に大きな被害を受けられて、そうした中でも今なお頑張っていらっしゃる被災者の皆さんのことを思えば、当然速やかに策定に当たっていきたいというふうに思います。

○大口委員 とにかく、皆さんは将来に対して本当に希望を失っている、こういう状況でございますから、早く指針は出していただきたい、こういうふうに思います。
そして、平成十一年九月に発生したジェー・シー・オー臨界事故について、平成十二年三月二十九日に原子力損害調査研究会最終報告書が取りまとめられたわけです。その中で、身体の傷害、人の検査費用、避難費用、物の検査費用、財物汚損、休業損害、営業損害、精神的損害という八つの損害項目について損害賠償の判断基準指針が示されたわけであります。今回の事故に関する原子力損害範囲の判定の指針、これは、ジェー・シー・オーのこの基準というものが反映されるのかということ。
それから、本当にこの事故と損害の相当因果関係があるのかどうかということが心配されております。第一原発から二十キロから三十キロ圏内の住民の自主避難に必要な費用はどうなのか。第一原発から三十キロ圏外でも、健康影響の可能性が指摘される程度以上に高い放射線量が計測された地域住民の避難費用はどうなのか。第一原発から三十キロ圏外でも、原発の風評被害で物流が滞るなどして自主避難を余儀なくされた住民の避難費用はどうなのか。
それから、区域も、今五つの区域が考えられますね。避難指示区域、それから屋内退避区域、計画避難区域、緊急時避難準備区域、それから、田村市、南相馬市両市の一部やいわき市全体のように、二十キロから三十キロ以内でも、緊急時避難準備区域でもなければ屋内退避区域でもないところがある。こういう方々は一体どうなるのか。
それから、摂取、出荷制限が行われている野菜、原乳の営業損害、出荷制限が行われていない野菜等のいわゆる風評被害、魚介類から放射性沃素等が検出された場合の営業損害、漁業における風評被害、農水産物以外の観光サービス、製造業等への風評被害、こういうものがあるわけです。相当因果関係があるのか、お伺いしたいと思います。

○林大臣政務官 基本的に、ジェー・シー・オーのときの指針は、当然それを踏まえてということに今回はなるというふうに思っております。さらにその上で、委員御指摘のように、今いろいろな形で自主避難をいただいているわけでございますが、これはジェー・シー・オーのときもそうでしたが、避難をいただいたときの、それにかかる経費あるいは出荷制限によって受けた損失、さらには風評被害によって受けた、これも損失ですね、こうしたことも当然その対象に含まれてくるだろうというふうに考えております。

○大口委員 それでは、仮払いについてお伺いしたいと思います。
海江田経済産業大臣が四月五日、閣議の後で、一日も早く仮払いをすべきであるということを記者会見で述べたわけです。また、新聞紙上でも百万円ということで載っているわけであります。
これはどういう方が対象なのか。今挙げましたように五種類の地域があるわけですね。そして、幾らなのか、そして、いつごろ出すのかということにつきまして、やはりこれは原賠法が適用されるということでありますので、逆に、被災者生活再建支援法、こちらの基礎支援金百万円が出されない。ですから、同じ時期にやはり百万円支払うべきだ、こう考えますが、いかがでございましょうか。

○田嶋大臣政務官 御答弁申し上げます。
委員御指摘のとおり、原賠法の枠組みというのがございまして、その法律に基づいて、おっしゃっていただいた審査会、四月十一日に立ち上がりまして、その趣旨に基づいた賠償ということがございますけれども、大変時間がかかってはいけないということで、屋内退避の方々あるいは避難をされている方々、先ほど五種類とおっしゃっていただきましたが、避難区域の区別なく、その窮状にかんがみて緊急的支援措置として、生活資金としての一時金を支払う準備を現在いたしております。支払う主体は東京電力ということでございますが、国も連携して今その準備をしておるところでございます。
タイミングでございますが、きょうこの時点では何日ということは申し上げられませんが、一日も早くということをあちらこちらから御要望もいただいておるところでございますので、今必死になってやっておるところでございます。
現地においての本人確認等はまず確実にしていかなければならないということで、それが済み次第、十幾つの自治体が関係いたしておりますが、それぞれに、額としては先ほどおっしゃっていただきました額、基本的には被災者生活再建支援制度と、タイミングも、それから額に関しても横並びということで考えております。

○大口委員 それでは、時間ももうありませんので、検察の在り方検討会議についてお伺いします。もう時間がございません。
それで、今、大臣は、特捜部の身柄事件について、全過程の可視化を含む試行について検事総長に一般指揮権ということで指示をされたということについては、私ども一定の評価をしたいと思います。
ただ、先ほどの答弁でも、法制審議会に諮問をして、そして一年を目途に可視化のアウトプットをやる、こういうことでありますが、いつこの法制審議会を開くのか。これは直ちにという考えでいいのか。それから、可視化のアウトプットということでございますけれども、一年後ということですが、これは閣法でそういう法律を出すのか。それから、特捜部の取り調べの録音、録画の試行の一年後の検証ということと一年後を目途に可視化のアウトプットとの関係がどうなのか、お伺いしたいと思います。

○江田国務大臣 検察の在り方検討会議の提言を受けまして、私の方でこれを精査して、項目ごと、いつまでにというのを振り分けて、そして検察改革に関する取り組みということで指示をいたしました。
これと、もう一つ省内の勉強会というのがあって、これは六月をめどに国の内外の勉強をずっと進めて、そこで、それが上がってきた段階で、なるべく早い段階で省内での検討の結果を出していくという、今、この二つのことが進んでおりまして、初めの検事総長にお願いした部分と、それと法務省でやる部分と、これを適切に振り分けながらやっていくというのと、ちょっと複雑な関係にはなっておるんですが、いずれにしても、検察庁において特捜の身柄事件、それから裁判員裁判の部分が別個まだあるんですが、これは検討ばかりじゃだめですよ、試行しなさいということで、実際に実行する。これが特捜の身柄事件の全過程の録音、録画を含む試行の実行ですね。
こうしたものが進んでいきまして、そして、法制審議会の場に、刑事司法全体を多角的に見直していく、そういう場をつくろうと。これは法制審議会の場をおかりしますが、法制審議会の委員の皆さんにも入っていただくけれども、外部の目、外部の風ということをこの提言で言っていただいておりますので、外部の皆さんにたくさん入っていただいて、刑事司法全体を検討していく場を、これは早急に立ち上げたい。そこを場にしながら、いろいろな検討の結果をここへフィードバックしていって、そして仕上げをしていこうということでございます。
この期限については、そこはいろいろ複雑になっておりまして、特捜の身柄についての全面的な録音、録画については、これは一カ月と言ったと思いますが、それから、もう一つ、また別のものとして横へ出すわけですけれども、供述がついつい誘導されやすい皆さん、知的障害とかコミュニケーション能力とか、こういう皆さんについては、最高検の方で三カ月をめどに試行の具体的なプログラムを立てなさいというようなことを言ったりしておりまして、今の刑事司法全体の改革については、録音、録画だけで済みませんから、これは相当長期になっていくだろうし、その都度、審議をしたものを、この部分をやりなさい、次にこれをやりなさいといった形で出ていくことも考えられる。今、そういったような全体の構造になっております。
私の頭も時々混乱することがありますが、ぜひまた委員の御指導もいただきながら、整理をして前へ進めていきたいと思っております。

○大口委員 一年後を目途に法制審議会で結論を出すということを答弁でおっしゃっていたので、そして、それらの可視化のアウトプットということで一年後に出されるということだったわけですが、その点はどうなんですか。閣法を出すというところまで一年後に行くんですか。

○奥田委員長 先ほどの答弁漏れ部分、お願いいたします。江田法務大臣。

○江田国務大臣 この検証結果を踏まえて可視化をやるという文がありましたが、それについて、もっと踏み込んで提言の取り組みということで、最高検に、特捜の身柄の全過程の録音、録画を含む試行をやりなさいということを言っておりまして、それのアウトプットを出していただくのが一年ということでございます。

○大口委員 そうすると、法制審議会でまとまったものからアウトプットしていくということですが、可視化のアウトプットはいつごろになるんですか。

○江田国務大臣 ですから、最高検で、特捜の身柄について、全過程の録音、録画を含む試行をやりなさい、その試行のアウトプットはだから一年で出してくださいと言っているわけで、録音、録画について法制化する必要があるかどうかも、これも検討していかなきゃなりません。
録音、録画の法制化が必要であるかどうかということについて、省内の勉強会を、六月の後のなるべく早い段階について一定の方向を出していきたいと思いますが、これも恐らく、法制審の方に検討していただいて、出てくるということになると思います。
そうすると、先へ先へどんどん延ばすんじゃないかという御懸念をいただくことがあるかと思いますけれども、それはそうではなくて、最高検の方で、これは検討ではなくて、まず試行をしなさいということを言っているわけですから、そこはもう一カ月後にはちゃんと方向が出て、実行されるというふうに私は思っております。

○大口委員 時間が来ましたので、これで終わります。ありがとうございました。

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