大口よしのりの政策・実績

大口よしのり国会質問

大口よしのり国会質問

2011年5月18日

177-衆-法務委員会-12号 平成23年05月18日

○大口委員 公明党の大口でございます。
三人の先生方、きょうはありがとうございます。
まず、但木参考人からお伺いをさせていただきたいと思います。
但木参考人、二〇〇七年に危機があったということで、志布志事件ですとか、あるいは富山の氷見市で連続婦女暴行の容疑で逮捕された男性が服役後にその真犯人が見つかったあの氷見事件等々ございまして、そして、最高検でも検証の報告書を出されまして、そして、捜査の基本十項目という形でやられたわけですね。その後もやはり、今回の村木事件、そして大阪地検の一連の事件が起こっているということでございますので、私は、本当に今回、検察のあり方ということを抜本的に変えなきゃいけない、そう思うわけです。
ですから、但木参考人も、大転換のときだ、そして、取り調べあるいは調書に依存した、こういう日本の刑事体系というのを抜本的に変えていかなきゃいけない、こういうお話だと思うんですね。
今回の在り方検討会議で、検事さん千三百人の意識調査をしたと。そうしたら、その四分の一が実際の供述とは異なる特定の方向で調書の作成を指示されたことがある、こういう非常にショッキングなことが出ているわけです。ですから、本当に、検事の意識また幹部の意識、これも変えなきゃいけないと思います。
また、これは引き返す勇気とも関連しますけれども、今回、特捜部の可視化を試行しますが、そして、全過程のものもやるということでありますけれども、特捜部が捜査した事件は他の部署が起訴をするということを、はっきりとこういうものが、このあたりから本当は、今回、在り方検討会議でこれをやるというようなことを最高検が打ち出していれば、まだ最高検が変わろうという意思が国民に伝わると思うんです。
以上の点、どうでございましょうか。

○但木参考人 御指摘のとおり、私が最高検におりましたときに、志布志事件それから氷見事件につきまして、最高検で検証を行いました。やはり基本に忠実な捜査というのが非常に大事で、したがって、供述を得たら、それが真実だと即断せずに、丁寧に一つ一つ裏づけをとって、裏づけのない供述というものは信用できないんだというようなことで報告書をまとめて、これを検察官に共有させたのでありますが、残念ながら、今回のこういう事件がまた起きて、あの検証は何だったのかなと、本当を言うとつらい思いがしております。
特捜部の事件というのは、一般の刑事事件とちょっと違う性格も持っております。先ほど申しましたように、非常に世間の注目が強いものですから、どうしてもそれを意識した捜査というものが行われやすい傾向、危険というものがあるような気がいたします。
私も、できれば特捜部ではないところが起訴するというようなこともやはり考えていくべきではないか、やはり、特捜の捜査をクールに見る検察官がいた方がいいんじゃないかなと思っております。
ただ、これがこれからどうなっていくか、それは、今後の検察の一つの検証を踏まえた結論が出てくるんだろうというふうに思っております。

○大口委員 次に、江川参考人にお伺いしたいと思います。
江川参考人は、知的障害の方ですとかコミュニケーション能力の不足の方々についての取り調べのあり方、あるいは冤罪等について、非常に取材もされているわけでございます。
今回、これにつきましては、やはり全過程の可視化を行うべきということと、そして、関係者の方の立ち会いもやるべきだ、こういうふうに書かれているわけでございます。そういう点で、このあたりのことをひとつお伺いしたいということと、韓国を視察されました、その中で、可視化についていろいろ見てこられたと思うんです。
江川参考人はまた、請求をしたものに対して可視化をするということで、請求がない場合は可視化をしなくてもいい、とにかく請求を待ってというお話でございました。ただ、知的な障害を持った方とかいうことについては、やはりこれは可視化をすべきだということでございましたけれども、そのあたりのことについてお伺いしたいと思います。

○江川参考人 私が請求をしたものをというふうに申し上げたのは、つまり、いきなり全件やるのは無理だという話があるので、だったら、できるところから、あるいは必要性の高いところから始めてみたらどうかということで、そのように申し上げたところです。
特に必要性の高いところというと、本人がやってもいないのに無理やり調書を押しつけられそうになっているというような状況がある人たちとか、あるいは、今おっしゃった、知的な障害があってコミュニケーションが非常に難しいという方の場合は、それをちゃんと撮っておくということが、むしろ検察の方も、取り調べをする人だけじゃなくて、決裁をする人が、いや、どうだったのかとちゃんとチェックをして決裁ができるという意味では非常に有効ではないかなというふうに思います。
また、昨今は、不起訴になっても検察審査会がありますので、例えば被害者が出た事件などはそちらに行く、申し立てが出る場合もあるわけですよね。そういうときに、検察審査会の委員の方たちが、調書だけじゃなくて、そういった取り調べのときの映像も見れば、どういう状況だったのかということが非常にわかりやすく、間違った判断をしにくいのではないかなというふうなことも思います。
そういう意味で、知的障害のある方は、やはり優先的にやっていくべきだと。前の調書裁判だと、調書だけあれば何か有罪になっていくので、刑務所は、やはり知的な障害のある方が随分いらっしゃいます。そうなると、刑務所が究極の福祉施設化してしまうということも実際に起きてきているわけですよね。そういうことがないようにといういろいろな観点からも、障害のある方の可視化については急ぐべきである、特に、警察も含めて協力していただきたいというふうに思いました。

○大口委員 次に、石田参考人にお伺いいたします。
石田参考人は、まず、取り調べに対する弁護人の立ち会い権、これを認めるべきだ、捜査の過程がリアルタイムでチェックできる、このようにしていくことが大事だと。そして、それを補完する意味で、取り調べの全過程の録音、録画、そして、供述調書の任意性あるいは特信性の立証のために、これを客観化するためにも、この録音、録画が必要だ、こういうことでございます。
この弁護人の立ち会い権につきましては、日本でこれを導入するに当たっては、実務的な面でいろいろな問題があるのかないのか、またそれをクリアできるのかどうか、それと費用の問題もございます。江川参考人の資料の中に、弁護人の立ち会い権を認めることによって、お金のある人とない人、それを雇えない方の場合はどうなるのかとか、こういうこともありました。
そういう点で、今、日本の場合は身柄の拘束がかなり長いですね。よく人質司法と言われています。そういうような環境下にあって、弁護人の立ち会いをどう実現していくのか、お伺いしたいと思います。

○石田参考人 この弁護人の立ち会い権を認めた場合、我が国で実際に対応できるのかという基本的な御質問、もっともだと思います。この中には、いわゆる弁護人の質の問題と数の問題と金の問題、この三つがあるのではないかと思います。
まず、質の問題につきましては、私は、弁護士に高い倫理性と能力が求められるということは事実だと思いますが、我が国では、非常に難しい司法試験あるいは研修制度がございまして、ある一定レベルの質と能力は保たれているのではないかと思います。ですから、それは十分に対応できるというふうに思っております。
では、数の問題はどうかといいますと、この弁護人の立ち会いを実際に本当に行わなければならないのは一体どのくらいあるんだろうかという問題なんですね。
今ここに司法統計年報のその部分を持ってきておりますけれども、平成二十一年度における地方裁判所の通常第一審の終局における被告人がどのような対応をしたかという統計でございますけれども、終局総人員が六万五千八百七十五件であったのに対して、否認事件は四千六百九十七件という司法統計年報の数字が出ております。ですから、捜査段階からずっと否認をし、そのような対応をしてきたというのがこれの恐らく一割強ぐらい多いと思いますので、恐らく年間に五千件から六千件ということではないかと思います。
ですから、数の面ですが、むしろ、このようなあらゆるサービスに対応するために前の政府は弁護士を大幅に増加させているわけでありますから、そのようなことに対応するように皆さん方はお考えになったのではないかというふうに思っております。
もっとも、こんなにたくさんの弁護士を大幅に増加させるのが必要かどうかという問題はまた別の問題で、私は反対なのでありますけれども、数の面からでもそのように考えられると思います。
もう一つは、抑止力ということを考えなければいけないと思います。弁護人が立ち会うということに基づいて、このような制度があるということによって違法な取り調べが抑止されるという面も考えられると思います。
それから、お金の面なんですが、韓国の弁護報酬がどのようになっているかわかりませんけれども、幸いにして我が国におきましては、曲がりなりにも、被疑者段階における国選弁護、あるいはそれを支える法テラスの制度がつくられております。そういったことで、金がなければ弁護してもらえないという状況は、少なくとも我が国ではどんどん解消されつつある。実際に、捜査段階ではなくて公判段階においては、皆さん御存じのようにずっと前から国選弁護制度となって、非常に充実した弁護が行われております。そういうことについては全く私は心配をしておりません。
以上です。

○大口委員 ありがとうございます。
予算の措置等も、これからの大事な問題になってくるんじゃないかと思います。
最後に、特に全過程の可視化について、やはり、今回は一層広げるという形でまとめられたわけですが、法制審議会でこれから本格的にその議論があります。まず、この可視化の問題に結論を出し、そして、そういう優先順位といいますかについてどうお考えなのか、江川参考人にお伺いしたいと思います。

○江川参考人 先ほど石田先生の方からもお話がありましたように、ここの間、ずっとこの問題については議論されていて、論点はほぼ出尽くしていると思うんですね。ですから、これは最優先でやっていただきたい。先ほど申し上げたように、今まさに冤罪の被害者が出ているかもしれないわけなので、そこのところは本当にお願いしたいというふうに思います。
それと、今まで検察の問題点をいろいろ申し上げましたけれども、やはり個々の検察官で、非常に優秀で一生懸命勉強されている方もたくさんいるわけで、例えば、裁判員裁判が始まる前には、公判傍聴に行っても、検察官の質問というのは紙に書いたものをずっと読んでいるような感じでしたけれども、きょう午前中、私は裁判員裁判を傍聴してきて、女性の検事さんでしたけれども、被告人質問で、まことに当意即妙というか臨機応変な充実した被告人質問をやっていらっしゃいました。これは裁判員裁判という制度ができたから、それにちゃんと合わせてきちっとやっていけるように検察官が努力をされたんだというふうに思います。
この可視化が実現されれば、検察官、警察官もそうでしょうけれども、その中でどういうふうな取り調べをやるのが有効かということは、日本の検察官はしっかり勉強されるというふうな信頼もしております。

○大口委員 裁判員裁判制度が始まったということは、公判中心主義といいますか、また調書からの脱却という点では非常に大きな意味があるわけです。そのことも但木参考人もおっしゃっていたわけでございますけれども、これを契機に、本当に客観的な証拠に基づく、取り調べに過度に依存しない刑事司法を目指していきたいと思います。
ありがとうございました。

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