大口よしのりの政策・実績

大口よしのり国会質問

大口よしのり国会質問

2012年3月23日

180-衆-法務委員会-4号 平成24年03月23日

○大口委員 公明党の大口善徳でございます。
今回、修正案も出させていただきました。
まず、佐藤参考人にお伺いをさせていただきたいと思います。
佐藤参考人、審議会の会長、また顧問会議の顧問でもあったということで、この司法制度改革の生みの親ということで、きょうはその思いを語っていただいて、その崇高な理想に対して私も感銘を受けた次第でございます。
二〇〇六年の七月ですか、シンポジウムがあって、そこで佐藤参考人は、やはりこの法曹養成についての心配といいますか、それを吐露されたわけです。予想以上の法科大学院が設立されたことに伴う定員と新司法試験の合格者との間に相当なギャップを生じ、法科大学院への志望者の質や種類、あるいは法科大学院における教育に暗い影を落とし始めているように感じると。法科大学院が予想以上に設立した、非常に定員が多くなった、合格率とのギャップが生じた、理想は七、八割の合格ということもできない、そこに暗い影を落とし始めているということだと思うんですね。
この点につきまして、もう少し、当初の司法制度改革の議論が始まったときに予想しなかったような事態があるわけでありますから、それに対してどう認識をされているかということが一点でございます。
二点目に、この司法制度改革というのは、これもジュリストに書いてあるわけでありますが、これだけの大改革というのは一朝一夕で完成するものではない、長年にわたる努力が必要で、次の世代、そしてまたその次の世代へ引き継がれて、より完全なものへ仕上げていくものだと思う、それを可能にするしっかりとした基礎を固めること、それが今に生きる私たちの責務ではないか、こういうふうにも述べられているわけでございます。
そういう点からいきますと、司法制度改革審議会から始まりまして十年以上たつわけでありますけれども、やはりこのあたりでもう一度、法曹養成のあり方というもの、これは三本柱でございますね、要するに、裁判員裁判、法テラス、そして法曹養成というのは、この三本柱の、大きな大きな柱でございます。そして、人的な要素ということで、やはり司法というのは人によって支えられているわけですから、極めて大きい。
こういう大きな問題につきまして、実は政府の方は、六大臣の申し合わせ事項というような非常に法的根拠が曖昧なフォーラムというものをつくられて、そして、要するに、給費制度を廃止して貸与制度へ導く、概算要求があるということで、まずそれを議論されて、法曹養成全体の議論は後回しにしてやられた。こういう議論のあり方も、法曹養成の議論をしていくことを非常にゆがめてしまったな、こう思うわけであります。
そういう点で、私どもは、やはり法的根拠に基づく合議制の機関を設けて、そこで、連携法にもありましたけれども、法科大学院、そして司法試験、司法修習というものを抜本的に議論していく、そして現実と理想のギャップを埋めていく、このことを真剣に議論していかなきゃいけない、こういうふうに思っているわけです。それが修正案のところに盛り込まれております。
この考え方についてお伺いをしたいと思います。

○佐藤参考人 第一点でありますが、予想以上にというのは、当時の規制緩和の動きが非常に強くて、それが予想以上に強かったということがあります。一定の基準をつくったらそこへ全部入れろというのが規制緩和の論者の強い主張でもあったわけですね。そのときに、文科省が数を決めてやるというようなことになりますと、これは恐らく実現できなかったんじゃないかと。その認識が正しいか正しくないかはわかりません。けれども、そういうことが一つ。当時の政治状況を少しお考えいただきたいと思います。
それからもう一つ、大学自体が法科大学院をつくるのは大変だろうと私は思っていました。よっぽど人的、財政的にしっかりしたところでないと、まさかおつくりにならないだろうと思っていたところが、何か、乗りおくれるなということなのかどうかわかりませんけれども、続々と、七十四に及んでしまったわけであります。
これは、さっきの青山先生のお話もありましたけれども、入り口でのそごといいますか、これは何とか正していかなければならないというように思っています。
私は、法科大学院の理念それから教育内容は決して間違っていないし、これをむしろ磨いて、よりよいものにしていく。そして、なぜ大学かということなんですけれども、やはり、学生が先生やそれから実務家の後ろ姿を見て育つんです。あの先生、あの人、先輩と。そういう場を二年ないし三年持つ、そこで一生懸命、双方向の議論で切った張ったをやる、そういう訓練をすることが将来の法曹としての成長にとって極めて重要だ、それは身体上のお医者さんと同じである。だから、その意味では、これを育てなければならないというのは今も全く変わりません。
そして、私が一朝一夕にできるものではないと申した理由の一つは、アメリカのロースクールは、今は確たる、赫々たるものですけれども、あれはもともと徒弟制度だったんですね、十九世紀のアメリカは。それをロースクール、大学でやる、そこで実務家と研究者とのいろいろなあれがあって、何十年も、やはりそのやりとりの中で、今のアメリカのロースクールがあるわけです。私が一朝一夕にできるものではないと言ったのは、やはりアメリカのそういう状況を見て、しかし、彼らはここまでつくってきた、その彼らのエネルギーと知恵というものに我々も学ぶ必要があるということで、一朝一夕云々の話をしたわけであります。
それで、最後の給費制のお話、全体のあれとしてなりましたけれども、私はやはり……(大口委員「合議制のことですね、会議体をつくる、合議体をつくる」と呼ぶ)会議体ですね。
それは私の口からはちょっとあれですけれども、あれはもっと、今と違った設置の仕方、工夫の仕方があるのかもしれません。その点は関係者で御議論いただいて、何が一番よいか。法律でつくってちゃんとやるのか、いや、そうでなくて、しかしもうちょっとしっかりした、きちっとしたものにするのか、その点は関係者でいろいろ御議論いただいて決めていただいたらいいのではないか。
私は、今のフォーラムについて、議論の内容というのは、いろいろ目配りしながら議論なさっている。ただ、給費制について、ちょっと拙速じゃないかという御指摘ですけれども、その点は、既に裁判所法をどうするかというのがあったわけですから、あれはやむを得なかったのかなと思わぬでもないんですけれども、御指摘の点はこれからいろいろお考えになる余地があるんじゃないかというように思っています。

○大口委員 次に、青山参考人にお伺いをさせていただきます。
法科大学院協会の理事長をやっておられたということでございますので、今、やはり法科大学院生の立場に立って、もっと言えば法曹の道を目指す方の立場に立って考えていただきたい、こういうように思うわけでございます。ただ単に法科大学院生というだけじゃなくて、やはり法曹を目指す人、多くの人々のことを考えていただきたいと思います。
そういうことからいきますと、やはり、法学部の志望者あるいは法科大学院の志望者が激減をしているということは、本当に、三権の非常に重要な司法を担う人材の基盤が今崩れつつあるということであるわけですね。そういうことからいきますと、できるだけそういう急減の状態を、その理由を取り除いていくということが今一番大事なことだと思います。
先生は二つのリスクということで、なかなか司法試験に合格できないというリスク、それから法曹として就職ができないというリスクも確かにそうであると思うんですが、やはり法科大学院が、お金がかかって、そして時間もかかる、こういう問題もある。そしてまた、司法修習は義務ですから、司法修習というものを経なければ法曹になれないわけでありますね。そこが、ほかの国において、そうでないところも結構あるわけです。
そういうことからいきますと、その辺につきまして、貸与制に移るということが、やはりそれは一つ経済的には負担を負わせるということでありますから、これもマイナスの要因ではないかな、こう思っているわけであります。
特に、司法修習生については修習専念義務が課されています。副業等は禁止されているわけであります。家族を持っておられる方、社会人から挑戦をされる方、また、介護でありますとかあるいは育児でありますとか、いろいろな家庭の状況がございます。ですから、生計を維持する手段というものが制限されているという反面、この給費制というのがなくなりますと、生活費を保障する制度というものが貸与という形になるわけであります。そして、既にもう一千数百万借金している方もいらっしゃるというわけですね。
修習中も、国が定める、居住地を制約するということもありますし、またそういう点では、いろいろ守秘義務でありますとか、さまざまな監督を受ける義務もあるわけであります。
ドイツや韓国でございますけれども、ドイツも、司法試験の第一次試験に合格後、二年間修習を行い、修習生には国費から給費を支給される。これも、司法修習ということを通らなければ法曹になれないからでありまして、ですから国費から出す。
また、韓国の旧制度は、日本の旧制度と同様、司法試験合格後、大法院傘下の司法研修院で二年間研修が行われ、その研修員の給与は国費から支給される。ただ、二〇〇九年から法科専門大学院制度、ロースクールが開始されました。これは、法曹の一元を実現するため、司法試験は弁護士試験となって、研修はもう弁護士研修のみで、とにかく司法修習は行わないということで、みんな弁護士になってから判検事になっていくということでありますので、司法修習というのは義務化されていないという形のあり方ということもあるわけでございます。
法曹になるため司法修習を受けなきゃいけない、そして厳しい修習専念義務、兼業の禁止ということになりますと、どうしてもこれは法曹を目指す人たちに対する大きな負担になるわけであります。この点について、外国の例も踏まえてどう考えているのか、お伺いしたいと思います。

○青山参考人 委員御質問のとおり、司法修習生の給費制を維持すれば法曹になる魅力が増すのではないかという点は、それは確かにそういう効果は私はあると思います。
しかし、私は、法科大学院の三年間の教育と司法試験の合格とその後の一年の司法修習という三段階の法曹養成過程で、最後の過程で司法修習生に対して給費を与えるというのは、例えてみれば、山の中に高速道路をつくるようなものだというふうに思っています。高速道路に行き着くためには、まず取りつけ道路であります法科大学院の三年間あるいは二年間の教育をきちんと受けなくちゃいけない。そして、それを修了して、次に国家試験である司法試験に合格して、やっと高速道路にたどり着く。高速道路にたどり着くと、あとはすいすいと進むということではないかと思います。
法科大学院に対する志願者が減っているというのは、司法修習生の給費制が貸与制になるからということで減っている、多少はそういうこともあるかもしれませんけれども、それよりも、法科大学院に入って、ちゃんと自分が三年間の教育を受けて司法試験に合格するんだろうか、将来就職できるんだろうか、そういうことの方がやはりリスクとして大きいわけであります。
ですから、私としては、給費制が財政的に維持できるものならそれは給費制を維持するという政策決定があってしかるべきだと思いますけれども、私の見るところ、先ほど申しましたことの反復でございますけれども、司法制度改革で司法に対するさまざまな予算がつけられなければならない段階で、貸与制に切りかえないで果たしてもつのかということを考えているというのが私のお答えでございます。
それから、外国の制度のことをおっしゃいました。
確かに、ドイツのレフェレンダール制度は給費制でございます。しかし、アメリカでは、司法試験に合格すればすぐ開業できる制度になっております。それから、今おっしゃった韓国の場合は、二〇〇九年まではおっしゃるとおり日本のまねをしていたわけですけれども、それが、先ほど申しましたように、法科大学院をつくる、そしてそれは、合格者は千五百名にする、一学年の定員は二千名にする、法科大学院の数は二十五に絞るというような制度改革と一緒に、司法研修所の制度は廃止するということにしているわけであります。
かつては、司法研修所に入ると、日本と同じように、二年間の給与を受けていたんですが、なぜ韓国はそれを廃止したかということを聞きましたら、いや、それは日本の制度を見ているんだということで、日本の制度よりさらに一歩進んで、法曹一元を実現するんだ、だから司法試験制度も弁護士試験に衣がえをする、そして、修習をするのは分離修習に切りかえるんだ、だから、日本のような、給費とか貸与とかいう必要はないんだというのが韓国の認識でございます。
私自身は、二つだけここで言っておきたいと思いますが、一つは、法科大学院制度は、いろいろな欠陥が御指摘されているとおりでございますけれども、それは率直に認めますけれども、しかし、制度そのものの理念が間違えていたというふうには思っておりません。この制度をさらによくなるものに、改善するために、きょうの御議論も私は持ち帰って、自分の明治大学法科大学院ではそういう理念に基づいてさらに教育の質を高めていきたいと思っていることが第一点でございます。
それから、韓国の分離修習の道ということについては、私はやはり統一修習が望ましい、それは日本では堅持すべきであるということを考えております。やはり、同じ釜の飯を食いながら、判、検、弁が一体となって日本の司法を支えていく姿こそが私は望ましいというふうに考えていることだけお答えさせていただきたいと思います。

○大口委員 ですから、司法修習というものを経なければ法曹になれないという場合は、やはり国が手当てをすべきではないかなというふうに思うわけです。
次に、新里参考人にお伺いしますが、今後、この法曹養成のあり方についてどうすべきなのかが一点。それから、六十五期の修習生が今非常に困難な状況にある、要するに、貸与制に変わったということでですね。そのあたりの状況についてお伺いしたいと思います。

○新里参考人 お答えさせていただきます。
今、この席でも議論されておりますように、法曹養成に関するフォーラムが今行われておりまして、今はヒアリング、いわゆる弁護士の職域の拡大、業務分野の拡大等のヒアリングをして、今後、論点整理をするという段階になっているという状況でございます。
先ほど私もお話ししましたように、全体としての法曹養成制度がこれだけゆがんでいるとすれば、やはり、誰でもが目指せるような法曹養成をどうつくっていくかという大きな観点から議論をすべきではないのか。その中で、司法修習のあり方、給費制のあり方も議論すべきではないのかな。
実は、日弁連の方からも、何で給費制の話ばかりするんだということを、昨年、一昨年、強く指摘されたところでございましたけれども、全体の議論をする間がなくて、給費制が貸与制に移行するということでございましたので、その部分だけお話をさせていただきましたけれども、やはり全体として議論して変えていかなきゃならないというのは、全くその思いは一緒でございまして、その出口のところの、修習の意義と給費のあり方ということを、やはり最後のところで全体として議論していただきたい。
そういう意味では、今回、六大臣の申し合わせという格好になっていますけれども、委員の先生方も、自分たちで決めたことがいろいろな国会の中で、すぐに通らないということも逆の意味で言われていることからすると、きちっとやはり公明党さんが言うような法律をつくる、または、少なくても閣議決定など、やはりきちっとした権威づけをして全体を議論していただく。
ただ、時間はそれほどないのではないのかなというふうに思っております。これだけゆがんでいる中で結論を出さなきゃならないとすれば、一年とか時間を定めて、きちっと議論していただくということが極めて重要になってくるのではないかなというふうに思います。
それから、先ほど少し六十五期の現場の話をさせていただきました。一応私も修習を行ったわけですけれども、第三志望で私は仙台で行いましたけれども、司法修習生に対しては、たしか第七希望まで出させるのではないかなと。
その中で、どこかには希望がかなうといいますけれども、例えば、東京に実家があるのに熊本に採用されるという事態があって、では、それの引っ越し費用があるのかというと、出ません。新しい初期投資をするための、賃貸をするためのお金も出ない。それから、通うときの交通費も出ないという状況の中で、修習専念義務だけを課されてしまう。
それに対して、やはり私自身は修習専念義務を緩和すべきではないと、基本的には日弁連もそう思っておりますけれども、そうすると、やはりそれに見合うものとしての給付的なものが必要なのではないかな、それが今、現場の声として上がっているのではないかな、それをぜひ国会のところでも受けとめていただきたいというふうに思っております。
きょうの日弁連の方の提出資料の五番目でございますけれども、資料五という格好で、若手の弁護士、司法修習生、それから法科大学院生でつくっているビギナーズ・ネットが、六十五期司法修習生の声という形でこの資料をまとめさせていただきました。これを先ほど私、初めの説明の際にピックアップしてお話しさせていただいて、こういう実情であるということをぜひ議論の中で参考にしていただきたいというふうに思っておるところでございます。よろしくお願いします。

○大口委員 時間が参りましたので、以上で終わります。
きょうはありがとうございました。

○小林委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。
参考人の方々には、貴重な御意見をお述べいただき、まことにありがとうございました。委員会を代表して厚く御礼を申し上げます。
この際、暫時休憩いたします。
午前十一時四十八分休憩
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午後一時四十五分開議

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